攻撃性の気になる幼児の理解とその対応
学校教育専攻 幼年発達支援コース 笠 井 由 美
1.問題の所在と研究の目的
近年、保都庁で、は子どもを取り巻く環境の大 きな変化に伴い、延長保育、時間外保育、休日 保育、一時保育、夜間保育など、さまざまな支 援対策を行ってきた。そうした保育時間の延長 とともに、保育者として気になってきたのが、
イライラして落ち着かず、欲求不満な子ども達 の増加である。多動で攻撃的な行動が目立ち、
トラブルを多発する子どもは、保育者との否定 的な関係性を生み出しゃすく、子どもに低い自 己言科面を植え付ける原因ともなっているo筆者 が担当しているクラスも、そうした子どもが引 き起こすトラブルとその対応に追われている。
そこで本研究では、 Fじゃれっき遊びJを保育 の中に導入し、攻撃性の気になる子どもの変容 を探るとともに、こうした攻撃性の強い子ども が引き起こすトラブノレに対応する方法を解明す ることを目的とした。
2. じゃれっき遊て縛入と M男の変容
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調査目的:r
じゃれっき遊び」が攻撃性の気 になる子どもに及ぼす効果について探る。(2)調査方法
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紬出児 :T市立F保育所5歳児Z組のM男 攻撃性が気になるM
男は、保育士への関わり を求め、膝に座るなどよくする。登所後は、カ バンや身支度もせず、戦いごっこをしては室内 を走り回る。戸外では、圏庭を百散しとスケー タ--~こ乗って走り回り、スピード感を楽しむ。指 導 教 員 橋)11喜美代
@灘察期間 :2007年5月'"'‑'6月
@灘察方法:毎日9時30分から 15分程度実施 する「じゃれっき遊びJでのM男の行動をビ デオ収録し、
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男の行動にみられる変容や仲 間への関わり方の変化を探る。(3)M男の変容
導入期U'"'‑'5回D:M男は関心を持って遊ひ、に 取り組もうと、約束事もきちんと聞く。じゃれ っき遊びの導入は、 1日の流れを M 男に認識さ せ、見通しを持って活動し始めたo
遊びを存分に楽しむ(6'"'‑'12回D:M男の気持 ちは常に安定しているわけではなく、遊びたい 時もあればそうで、ない時もあったo10回を越え る頃から、馬になる保育士に、高さを変えるよ うに指示したり、跳び方を工夫したり、自分で 楽しみ方を探るようになった。
逸脱の中にも仲間と関わる(13'"'‑'16回):開放 感を求める傾向が強まり、他児とのこぜり合い が頻繁に起こるようになったo 理由もなく暴言 を吐いて、他児の足を蹴ったり、怒鳴り散らし たり、順番を待つ間に直立跳びを繰り返すなど、
落ち着きがない。しかし、毛布の四隅を持って 一人の友達を進ぶ甑
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が始まり、 M男はこの遊 びにスピード感を求めるようになったoそして、この毛布遊びが、仲間との関わりや一体感をも たらす契機となった。
攻撃性を自制することも(17'"'‑'24回):遊びを 楽しんでいく中で、仲間との関わりが増え、
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M男の声かけに、仲間が息を合わせて動いて くれるといった充実感も味わうことができた。
そんな積み重ねが、時には落ち着いた対応に 繋がり、攻撃を自制するといった行動にも結 び二ついた。 トラブルや攻撃性がなくなったわ けではないが、遊びを楽しむことは、仲間と の関わりを深める契機となったo
3. トラブルを巡る対応
(1)調査目的:子どもと保育者の関係性がトラブ ル場面の対応に及ぼす影響を探るo
(2)調査方法
①調査対象者:T県下の保育所に勤務している 保育士と勤務経験者10名
②調査期間 :2007年7月"‑'9月
③調査方法:保育に関わる4項目とトラブル場 面3事例に対する対処方法について聞き取り 調査を実施した。
(2)研究結果
保育士が保育に行き詰まりを感じる時キ哩由 について尋ねたところ、①保護者への対応、② 発達障害児への対応、③保育に対する理解と力 不足、などをあげた。経験年数の長し可呆育士が 保護者対応に行き詰まりを感じており、保護者 の変容が改めて浮き彫りにされた。子どもの怪 我やちょっと気になる行動がきっかけで、関係が 崩れ、保育の行き詰まりを感じたと言う。次に、
発達障害児への対応では、思考錯誤している様 子や、保護者への支援も含め、所内では抱えき れない実態が語られている。
指導しにくいタイプの幼児として、①発遺1章 害児、②菊窪環境の問題で弁れる子、をあげて いる。自閉症、 ADHD、LDなど、ケースご
とに異なる対応に追われている様子である。
保育観・子ども観では、子ども中心型、受容 型、楽しさ共感型の3類型に分けられた。子ど
も中
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型は、大人が与える保育ではなく、子ど もが自ら挑む姿を大切にし、自己決定権を尊重 する。受容型は、子どもの気持ちに添うことや、信じて待つ姿勢をとり、子どもを一人の人間と して大切にする。また楽しさ共感型は子ども達 だけでなく、保育者や保護者、さらには蝉或の 人々をも楽しさに巻き込むことを爵見している。
こうした3類型による保育観の違いは、 トラブ ノレへの対矧去に影響することが明確となったo
子ども中心型は、 トラフ、ノレの状況や文脈を多 様な観点から分析し、 トラブノレを子どもの成長 発達に意味ある体験にする努力を目指していた。
楽しさ共感型は、生活や遊びの楽しさを追求す るという観点から、両者の関係性の改善を求め ていた。また、受容型はその対応において、子 ども中
J t .
型、楽しさ共感型の中間に位置してお り、両方の考えに近い対応を示す者も含まれて いた。いずれの保育士もトラブルの当事者で、あ る子どもを「困った子どもJと受け止めず、理 解しようとする姿勢においてはおおむね一致し ていた。子ども中心型の対応の鞘数は、一人ひ とりの子どもの心の育ちに加え、場所や状況を 多面的に捉え、場所を共有させることで負の状 況を乗り越える方法を学び取らせていた。4.まとめ
「じゃれっき遊びJは、スピード感や全身を 使った遊び、を好U M男に受け入れられ、攻撃性 をコントローノレする力や、仲間への積極性を与 える契機となったo また攻撃性の強い子どもに よるトラフツレへの対応では、①トラブルを起こ さずにはいられない幼児の思いに気付き、支援 する方向性を探ること、②周囲の子どもを含め た、集団の関係性の中で、その子の育ちをしっ かり見取る目を育てること、の2点が今求めら れていることが明らかとなった。
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