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一 沓沢俊雄・長谷川誠一

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Academic year: 2021

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50%衝撃フラッシオーバ電圧に対する考察

電気工学科

沓沢俊雄・長谷川誠一

1 緒 言

ある電極間に衝撃電圧を印加した場合,印加電圧の大 きさにより次のつの場合を生ずるo

i)全くフラッシオーバを生じ得ない電圧範囲 ii)一定電圧を印加したときフラッシオーバを生ずる

こともあり,生じないこともある電圧範囲

iii)必ずフラッシオーバを生ずる電圧範囲

一般にii)の電圧範囲を不整範囲あるいは変動範囲と 称し, この範囲においてはフラッシオーバがギャップ条 件によって確率的に起こるoいまある一定電圧をN回印 加したとき,印加回数Nのうちn回だけフラッシオーバ を生じたとすればn/Nをその印加電圧における放電率 という。通常,電気機器の衝撃電圧試験においては放電 率が50%となる電圧を50%フラッシオーバ電圧とよび,

衝撃性異常電圧に対する絶縁耐力を示すものとして用い られている。実際にこの50%フラッシオーバ電圧を求め るについては,たとえばJECによれば5回以上の電圧 印加により, 2点の放電率を求め内挿法により定めるこ とが規定されている。ただしこの程度の印加回数では測 定結果に相当のバラツキを生じ,その結果がどの程度主 で信頼できるか判断しかねる場合がままある。このよう な場合電圧印加回数を増せば精度が上昇することは常識 的に考えても期待できそうである。しかし多数回電圧を 印加することによる被測定物の損傷と測定に要する時間 を考えた場合むやみに印加回数を増すことはできない。

むしろ出来るだけ少ない印加回数で測定することが望ま

しい。

また印加電圧波高値と放電率との関係をあらわす放電 率曲線はしばしば正規累積分布曲線として取扱われ, こ れにもとづいて補間法,昇降法等の簡略的な方法で能率 よく50%フラッシオーバ電圧を定め得ることが知られて

いる。

筆者らはかねてより誘電体の同一面上にあい対した針 対平板電極配置における種々の特性を検討してきたが今 回は針電極を誘電体面から空気中に浮かした場合につい

て放電率を測定し, 50%フラッシオーバ電圧が前述の簡

略法を適用できるかどうかについて検討した結果につい て報告する。

2実験方法

第 図に本実験に使用した電極配置を示した。印加し た衝撃電圧は標準波形( ×40"s)でその電圧範囲は 次のように定めた。すなわち電極に10〜20回程度電圧を 印加し必ずフラッシオーバする電圧の最下限の近似値,

および全くフラッシオーバしない電圧の最上限の近似価 第1図供試電極

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を求め, これらの範囲内に含まれる電圧について測定を

行った。またある一定の印加電圧の放電率は電圧印加回

数Nを10コとし,そのうちフラッシオーバした回数nか らn/10として定めた。 この操作を各印加電圧において

5回づつ行った。測定中において周囲条件は若干変化し

ているが,空気密度補正係数の値には大きな差を生じな

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承なし得ない。

ここでこの測定結果を検討するに際して50%フラッシ オーバ電圧を適確に定めることに主眼を置き次のように 測定結果を処理した。すなわち各場合について供試電極 の真の放電率曲線が正規累積分布曲線であると仮定し,

放電率が30〜70%までの値をとる確率密度および確率を 各印加電圧波高値に対して求め,破線で示した。この結 果によれば大気湿度90土5%の負極性の場合を除いた各 々において放電率が30〜70%の値をとる印加電圧波高値 の平均値〃は先述の単なる放電率の算術平均値から描い た放電率曲線(実線で図示)の50%フラッシオーバ電圧

とほぼ同じ値を示していることがわかる。このことは一

般に放電率が20〜80%の範囲内では放電率曲線がほぼ直 線であると言われていることからもうなづけると考えら

れる。

また標準偏差のから承た場合,やはり大気湿度90土5

%の負極側の標準偏差は他のいずれの場合よりも大き かつたので,ほぼ一定と承なした。

3実験結果

第2〜第5図に大気湿度が90土5%および60±5%の 各場合について各印加電圧波高値に対する放電率の測定 結果を示した。図示の如く測定結果にはかなりのバラツ キがあり, この結果から直ちに放電率曲線を明確に描く ことは困難である。即ち電圧印加回数10回の試験から定 めた放電率をもとに放電率をもとに放電率曲線を描いた 場合,大きな誤差を生ずることが考えられる。そこで各 電圧における放電率の平均値をとって承ると実線で示し たようになる。大気湿度90土5%の正極性, 60土5%の 正,負両極性の各場合においてはある程度,真の放電率 曲線に近以したものが得られそうである。しかし大気湿 度90土5%の負極性の場合は必ずしも近似性があるとは

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く30〜70だの放電率が得に.くいことをあらわしている。

このことは周囲条件(特に大気湿度)の差違による影響 があらわれているものとら考えれる。ここで求めた平均 値〃に対する標準偏差oの大きさはたかだか数%程度で ある。たとえば大気湿度90±5%の正極性において は似=64.5(KV)を中心に±ぴ=±1.9(KV)の電圧 範囲で30〜70%の放電率を得る確率は約68%である。も

しなんらかの簡略な方法で50%フラッシオーバ電圧と考 えられる値を得たとする。これをさらに適確な値にしよ

うとする場合その値の上下数%以内の範囲で電圧を印加 し,先述のような方法で測定結果を処理することにより 平均値〃を求めるならばかなりの精度の改善が期待でき ると考えられる。ただしこの方法はあくまでも放電率が 30〜70%と限定して行ったものであるから, これから放 電率曲線全体を推測しようとすることは無理である。ま た同一のギャップであっても周囲条件等の変化によって

影響を受けているとゑなされる場合も適用は困難であ

るo

4結

以上の結果から本実験のような針電極を誘電体面から 空気中に浮かした電極配置における50%フラッシオーバ 電圧は誘電体を介在しない普通の電極配置の場合と同じ く簡略的な方法でその値を定めることができることがわ かった。しかし高湿度の負極性においてはこの点につい

てさらに検討中である。

参考文献

1. 電気工学ハンドブック (電気学会)

2. 放電ハンドブック , (電気学会)

3. 笈川(電学誌73,836)

参照

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