マンション管理規約上の権利義務の法的性質―宮崎 地裁平24・11・12判決,判タ1386号344頁―
著者 大野 武
雑誌名 明治学院大学法学研究 = Meiji Gakuin law
journal
巻 97
ページ 87‑106
発行年 2014‑08‑31
その他のタイトル Case Study : Decision of the Miyazaki District Court of November 12, 2012, Decision
concerning the Rights and Obligations in the Condominium By‑laws.
URL http://hdl.handle.net/10723/1979
マンション管理規約上の権利義務の法的性質
―宮崎地裁平 24・11・12 判決,判タ 1386 号 344 頁―
大 野 武
事案の概要
Xは,本件マンションの区分所有者全員によって構成される管理組合であり,
代表者の定めのある権利能力なき社団である。これに対し
Y
は,本件マンショ ンの 403 号室を区分所有する株式会社である。本件マンションの 403 号室については当初
A
が所有していたが,平成 21 年 9 月 15 日,YがA
から同室の区分所有権を取得した。そして,Yは,同室をA
に月額賃料 3 万円,賃貸借期間を同日から平成 22 年 4 月 30 日までとする約 定で賃貸し引き渡した。同室の賃借人
A
の同居人B
は,遅くとも平成 22 年 1 月 26 日までに,盗電 目的で同室前の共用廊下の天井灯から同室に電気を引き込み,同日,本件マン ション全階の共用廊下および東側外部階段灯を停電させた。このため,Bが共 同灯から引き込んだ配線の撤去,接触不良を起こしたスイッチ交換,一部欠損 した配線の補修およびプレート交換等を含む本件作業に 10 万 1,409 円を要し たため,Xは,同年 8 月 6 日,Yに対し,同額の支払いを請求したが,Yはこ れに応じなかった。そこで,Xは,Yは旧規約 16 条 1 項等により,「本件マンションの管理又は
【判例研究】
使用に関し区分所有者(組合員)の共同の利益に反する行為をしてはならない 義務」(以下「本件義務」という)等を負っているところ,本件マンションの 403 号室を
Y
から賃借していた賃借人A
の同居人B
の故意過失は,信義則上,区 分所有者Y
のそれと同視すべきであるから,履行補助者の理論が適用され,Y はB
の本件盗電行為によって発生した損害を賠償すべき責任を負う旨主張し て,Yに対し,民法 415 条に基づく損害賠償として,15 万 1,409 円および遅延 損害金等の支払いを請求した。これに対し
Y
は,①法および新規約には,管理組合の管理者(理事長)に任 意的訴訟担当を認める規定は存するものの,管理組合に当事者適格を認める規 定は存しないから,Xはそもそも当事者適格を有し得ない,また,仮にX
が当 事者適格を有し得るとしても,Xは,法 57 条 2 項の集会の決議を欠いたまま 本訴を提起しているし,訴訟追行をすることについての理事会の決議も得てい ないので,Xによる本訴提起は不適当である,②本件盗電行為は,Yが 403 号 室をA
に賃貸してからわずか約 4 か月後の事件であり,Yがこれを予測するこ とは不可能であるから,Y自身に故意過失は認められず,かつ,履行補助者の 理論は適用されないから,損害賠償責任を負わない旨主張して争った。原審(宮崎簡裁平 24・3・27 判決)は,Xの当事者適格を認めた上で,本件事 件につき,Yには故意過失が認められず,かつ,履行補助者の理論は類推適用 されないなどと判断して,Xの本訴請求を棄却した。
判旨
1.当事者適格の有無
「区分所有者全員で構成する団体たる管理組合が,規約において,法 30 条 1 項の区分所有者相互間の事項として,管理共有物の使用等につき組合員たる区 分所有者の共同の利益に反する行為を禁止する旨を定めている場合には,組合
員たる区分所有者は,管理組合に対し規約の上記規定に基づく遵守義務を負い,
これに対応して,管理組合は,組合員たる区分所有者に対し上記義務を遵守さ せ,区分所有者が上記義務に違反する行為をする場合には,違反行為の是正を 求めることができるというべきである。そして,管理組合の規約上の上記義務 及びこれに対応する権利は,管理組合が組合員たる区分所有者全体の団体であ ることに着目すると,契約類似の債権債務関係とみることができるから,組合 員たる区分所有者が規約上の上記義務に違反した場合には,管理組合は,民法 414 条に基づき,区分所有者に対し,上記義務を遵守するよう請求することが でき,区分所有者の上記義務違反により管理組合に損害が生じた場合には,同 法 415 条に基づき,損害の賠償を求めることができると解するのが相当である。」 「これを本件についてみるに,Xは権利能力なき社団であり,民事訴訟法 29 条の要件を具備しているものと認められるところ,…Xが本訴を提起すること について理事会の決議を得ていることが認められ,Xは,管理者を
X
の代表者 としてX
の名で本件訴訟を提起することができるから,本訴の提起につきX
の当事者適格に欠けるところはないというべきである。」また,「本訴請求は,Y
の規約違反を理由とする損害賠償請求であるから,法 57 条の適用はなく,管理組合である
X
に当事者適格が認められるものであ」る。2.区分所有者
賃借人の同居人による本件盗電行為について損害賠償責任を負う
「区分所有者が,管理共有物の使用につき組合員の共同の利益に反する行為 をしてはならないという規約の遵守義務を負っている場合,区分所有者からそ の所有部分を賃借した者やその同居人も,同部分を使用収益する以上は,区分 所有者の上記義務の履行を補助する関係にあるとみることができる。区分所有 者は,その所有部分を賃貸して収益を得ている以上,賃借人ないしその同居人 が他の区分所有者(組合員)に対して損害を被らせた場合に,自らに故意過失
が な い 限 り こ れ を 賠 償 す る 責 任 を 負 わ な い と 解 す る の は 妥 当 で な い。
そうすると,区分所有者からその所有部分を賃借した者ないしその同居人は,
上記義務の履行について区分所有者の履行補助者に当たるというべきであり,
区分所有者は自らに故意過失がない場合であっても,賃借人やその同居人の故 意過失に基づく上記義務違反行為によって生じた損害を賠償すべき責任を負う と解するのが相当である。」
「これを本件についてみるに,…本件盗電行為は,Yの履行補助者である
B
による上記義務違反行為ということができるから,Y
は,民法 415 条に基づき,それによって管理組合たる
X
に生じた損害を賠償すべき責任を負うというべ きである。」検討 1.問題の所在
本件マンションの管理規約において区分所有者は本件義務を履行することが 義務付けられているところ,本判決は,区分所有者からその所有部分を賃借し た者や同居人は,本件義務の履行について区分所有者の履行補助者に当たると した上で,その同居人の盗電行為によって共用部分に損害を被らせた場合には,
管理組合は,区分所有者に対し,民法 415 条に基づき,共用部分から生じた損 害の賠償を請求することができるとしたものである。
本判決については,まず,権利能力なき社団たる管理組合の原告適格の有無 についてこれを認める判断がなされているが(1),実体法上の権利義務の帰属と いう観点からすると問題のある判決であるといえる。一般に,権利能力なき社 団である管理組合が当事者となるべき訴訟は,管理組合に団体的に帰属する権 利義務,すなわち,管理組合の構成員である区分所有者に総有的に帰属する権 利義務に関する訴訟ということになり,具体例としては,管理組合が区分所有
者に対して管理費の支払いを求める訴訟,管理組合が区分所有者に対して規約 に基づく義務の履行(規約の具体的な定めに違反する行為の差止め等)を求める訴 訟,共用部分の修繕工事を目的とする請負契約に基づく権利義務に関する訴訟 といったものが考えられると解されているが(2),これに対して,共用部分を不 法に占拠する第三者に対する妨害排除請求訴訟,建物の区分所有等に関する法 律(以下「区分所有法」あるいは「法」という)26 条 2 項後段に規定する事項に関 する訴訟(共用部分についての損害保険契約に基づく保険金額ならびに共用部分等に ついて生じた損害賠償金および不当利得による返還金の請求および受領に関する訴訟)
は,訴訟物である権利が管理組合に団体的に帰属しているわけではなく,共用 部分の共有持分権に基づく権利であるから,その訴訟の追行は,各区分所有者 においてすべきものとなると解されている(3)。したがって,本件事案のような 共用部分から生じた損害賠償請求権は各区分所有者に帰属する分割債権となる ものであり,本件事案の規約において管理組合に法 26 条 4 項に基づく任意的 訴訟担当を認める規定が存在しない場合には,管理組合による損害賠償請求を 認めるのは誤りであるので(4),本判決は請求棄却判決となるべきものであった との見解が示されている(5)。
筆者も,結論においては,本判決は請求棄却判決となるべきものであったと 考えるが,その理由付けは次のような観点から行われる必要があるものと考え る。本件事案は,管理組合と区分所有者との間の規約上の権利義務関係を「契 約類似の債権債務関係」とみて,管理組合が,自己の名において,区分所有者 に対し本件義務違反に対する債務不履行責任を追及するものであるので,本件 事案においてまず問題とされるべきは,管理組合と区分所有者との間の権利義 務関係を「契約類似の債権債務関係」と評価することができるかどうかという 点であり,そして,仮にそのような評価が可能であるとした場合,本件義務違 反による損害の範囲に管理組合には実体法上帰属しない共用部分から生じた損 害を含めて算定することが許されるかという点であるだろう。この意味におい
て,本件事案は,管理組合が,各区分所有者を代理して,盗電行為(不法行為)
によって共用部分に加えられた損害の賠償請求をするという事案とは区別して 検討される必要がある。
以上のように,区分所有関係に関する紛争は非常に複雑であるため,誤解が 生ずることも少なくない。そこで,本稿ではまず,管理組合と区分所有者との 間の実体法上の権利義務関係を整理することから始めたい。具体的には,管理 組合と区分所有者はそれぞれどのような権利や権限が認められているのか,そ して,区分所有者は規約上どのような義務を負い,その義務違反に対して管理 組合はどのような法的措置を講ずることができるのか,という点につき検討を 行う。その上で,本判決の問題点について再度検討を行うこととする。
2.管理組合と区分所有者の権利・権限の帰属
(1)管理組合の財産権の帰属
区分所有法によれば,「区分所有者は,全員で,建物並びにその敷地及び附 属施設の管理を行うための団体」(区分所有者の団体)を当然に構成するものと されている(法 3 条)。もっとも,実際の分譲マンションでは建物等の管理を行 うために管理組合と称する団体が任意に設立されているが,この管理組合が区 分所有法の規定に則っている限り,法 3 条の区分所有者の団体に他ならないと 解されている(6)。そして,管理組合は,区分所有法の定める集会,規約,管理 者等に関する規定に従って機能する限りにおいて,集会の特別多数決議と登記 により管理組合法人となる場合(法 47 条 1 項)を除き,権利能力なき社団に該 当するものと解されている(7)(以下では専ら,権利能力なき社団としての管理組合に ついて検討する)。
判例によれば,「権利能力のない社団の資産は構成員に総有的に帰属する」(最 判昭 39・10・15 民集 18 巻 8 号 1671 頁)と解されている。しかし,管理組合は,「建 物並びにその敷地及び附属施設」に関しては何らの財産権も有していない(専
有部分については各区分所有者が区分所有権を有し,共用部分や敷地については各区分 所有者が共有持分権ないし準共有持分権を有する)。もっとも,多くのマンションが 準拠するマンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」あるいは「規約」
という)によれば,管理費や修繕積立金の管理組合への納入義務(規約 25 条 1 項)
や専用庭や駐車場の専用使用料の管理組合への納入義務(規約 14 条 2 項,15 条 2 項)が規定されている。したがって,管理組合の固有財産(区分所有者に総有 的に帰属する財産)は,各区分所有者から徴収された管理費および修繕積立金(8) ならびに専用庭や駐車場の専用使用料(以下「管理費等」という)に限定される ことになる。そして,管理組合が管理費等を原資として購入した動産類(9)や管 理組合が管理費等について銀行との間で締結した預金契約により取得した預金債 権(10)も管理組合の固有財産に含まれることになる。
これらの管理組合の固有財産は,区分所有者に総有的に帰属するので,管理 組合の代表者(一般に理事長(11))は,管理組合の名において,区分所有者全員 のために権利を取得し,義務を負担することになる(12)。そして,管理組合は,
自らの固有財産について,規約または集会の決議により,原告または被告とな ることができることになる。具体的には,区分所有者が管理費等を滞納した場 合,標準管理規約によれば,管理組合は,その未払金額について,年利○%の 遅延損害金と,違約金としての弁護士費用ならびに督促および徴収の諸費用を 加算して,その組合員に対して請求することができると規定されており(規約 60 条 1 項,2 項),そして,理事長は,未納の管理費等の請求に関して,理事会 の決議により,管理組合を代表して,訴訟その他法的措置を追行することがで きると規定されている(同 3 項)。本規定の遅延損害金は,債務不履行(履行遅滞)
による損害賠償金と解されているので(13),管理組合の理事長は,理事会の決 議により,管理組合を代表して,滞納区分所有者に対し,民法 415 条に基づく 損害賠償請求訴訟を提起することができることになる(また,仮にこのような規 約の定めがなくても,区分所有法 18 条に定めるところの集会の決議により,同訴訟を
提起することができる(14))。
また,購入した動産類について第三者による不法占有,不当利得あるいは不 法行為があった場合,区分所有者に総有的に帰属する財産が侵害されたことに なるので,管理組合の代表者は,集会の決議により,区分所有者全員のために,
管理組合の名において,第三者に対し,所有権に基づく返還請求権,不当利得 による返還金の請求権(民法 703 条)あるいは不法行為に基づく損害賠償請求 権(民法 709 条)を行使することができるし,購入した動産類について隠れた 瑕疵があったり,不完全な給付がなされたりした場合,管理組合の代表者は,
集会の決議により,区分所有者全員のために,管理組合の名において,売主に 対し,瑕疵担保責任(民法 570 条)や債務不履行責任(民法 415 条)を追及する ことができると解することができる。
以上のように,管理組合の固有財産については,管理組合の代表者(理事長)
は,管理組合の名において,区分所有者全員のために権利を取得し,義務を負 担し,そして,規約または集会の決議により,原告または被告となることが許 されている。
(2)区分所有者の財産権の帰属
これに対して,「建物並びにその敷地及び附属施設」に関する財産権を有す るのは各区分所有者である。このうち,専有部分については区分所有者に区分 所有権が帰属しているので,区分所有者は区分所有権に基づく権利行使や訴訟 追行をすることができる。他方,共用部分や敷地については区分所有者に共有 持分権ないし準共有持分権が帰属しているので,各区分所有者は,保存行為(法 18 条 1 項ただし書)をすることができるほか,自己の持分について,次のよう な権利行使や訴訟追行をすることができると解することができる。
すなわち,①共用部分や敷地について第三者による不法占拠,不当利得ある いは不法行為があった場合,各区分所有者は,第三者に対し,所有権等に基づ
く妨害排除請求権,不当利得による返還金の請求権(民法 703 条)あるいは不 法行為に基づく損害賠償請求権を行使することができる。このうち,所有権等 に基づく妨害排除請求権は保存行為として各区分所有者が単独で行使すること ができるものであり,不当利得による返還金の請求権や不法行為に基づく損害 賠償請求権は分割債権として各区分所有者が自己の持分について各自行使する ことができるものである。また,②共用部分に対する損害保険契約に基づき損 害保険金請求権が生じた場合,損害保険金請求権は分割債権として各区分所有 者が自己の持分について各自行使することができる。そして,③購入した共用 部分や敷地について隠れた瑕疵があったり,不完全な給付がなされたりした場 合,各区分所有者は,売主に対し,瑕疵担保責任として契約解除権または損害 賠償請求権(民法 570 条)を行使したり,債務不履行責任として完全履行請求権,
損害賠償請求権(民法 415 条),契約解除権(民法 541 条・543 条)を行使したり することができる。このうち,完全履行請求権は性質上不可分債権であると解 することができるので,各区分所有者は単独ですべての区分所有者のために行 使することができるものであり(民法 428 条),損害賠償請求権は分割債権とし て各区分所有者が自己の持分について各自行使できるものである(なお,契約 解除権については,各区分所有者が単独で行使できるものであるが,それによってその 区分所有者は区分所有関係から離脱するので,多数当事者関係とはならない)。さらに,
④修繕工事が行われた共用部分や敷地に瑕疵があったり,不完全な給付がなさ れたりした場合,各区分所有者は,請負人に対し,瑕疵担保責任として瑕疵修 補請求権や損害賠償請求権(民法 634 条)を行使したり,債務不履行責任とし て完全履行請求権,損害賠償請求権(民法 415 条),契約解除権(民法 541 条・
543 条)を行使したりすることができる。このうち,瑕疵修補請求権や完全履 行請求権は性質上不可分債権であり,損害賠償請求権は分割債権であるので,
③と同様となる。
このように,所有権等に基づく妨害排除請求権,完全履行請求権および瑕疵
修補請求権は各区分所有者が単独ですべての区分所有者のために行使すること ができ,損害保険金請求権,不当利得による返還金の請求権および損害賠償請 求権は各区分所有者が自己の持分について各自行使することができることにな る。しかし,このような権利行使方法は,前者の場合,1 人の区分所有者が他 の区分所有者との協議なしに勝手に権利行使することにより,他の区分所有者 の検討の機会が奪われる危険性が生ずるし,また,後者の場合,権利行使の相 手方は各区分所有者に個別に金銭を支払わなければならないという不都合が生 ずることになる(15)。もっとも,前者の各請求権は,保存行為としての性質を 有しており,管理者の職務の範囲内の行為ということができるので(16),管理 者が区分所有者を代理して保存行為として行使することが可能であるし(法 26 条 1 項,2 項前段),また,後者の各請求権も,管理者が区分所有者を代理して 行使することが可能である(法 26 条 2 項後段)。そして,いずれの場合も,管理 者は,規約または集会の決議により,区分所有者のために,原告または被告と なることができるとされている(法 26 条 4 項)。なお,この区分所有法上の管 理者は,ほとんどのマンションで管理組合の理事長がなるものとされており(17), 標準管理規約でも,管理組合の理事長が管理者に位置づけられている(規約 38 条 2 条)。
以上のように,各区分所有者に帰属する財産については,各区分所有者が自 ら権利行使し,訴訟追行することができるし,また,管理者(管理組合の理事長)
が区分所有者を代理して権利行使し,規約または集会の決議により,区分所有 者のために,原告または被告となることができるとされている(18)。
(3)管理組合の管理権限の帰属
管理組合は,「建物並びにその敷地及び附属施設」に関しては何らの財産権 も有していないが,それらの「管理を行うための団体」であることから(法 3 条), 規約で定められている事項や集会で決議された事項について,管理行為をする
ことが許されると解されている(19)。実際に,標準管理規約において,原則と して「敷地及び共用部分等の管理については,管理組合がその責任と負担にお いてこれを行うものとする」と定められており(規約 21 条 1 項本文),管理組合 の業務内容についても具体的に列挙されている(規約 32 条)。そして,標準管 理規約の中には,管理組合が区分所有者に対して管理権限を行使し,訴訟追行 をすることができるとされている事項も個別に定められている。
以上のように,管理組合の固有財産とならない「建物並びにその敷地及び附 属施設」に対しても,管理組合は,規約または集会の決議により,管理行為の 対象とされた事項について,管理組合の名において,管理権限を行使し,そし て,規約または集会の決議により,原告または被告となることが許されている。
(4)小括
以上,①管理組合の固有財産に対する管理組合による権利行使と訴訟追行の あり方,②各区分所有者に帰属する財産に対する区分所有者あるいは管理者に よる権利行使と訴訟追行のあり方,そして,③管理組合の固有財産とならない
「建物並びにその敷地及び附属施設」に対する管理組合による管理権限行使と 訴訟追行のあり方についてそれぞれ整理してきた。
本件事案では,管理組合の固有財産とならない「建物並びにその敷地及び附 属施設」に対する区分所有者の規約上の義務違反が問題とされているので,直 接的にはこのうちの③の問題ということになる。この場合,規約において,管 理組合に一定の事項について管理権限が付与され,区分所有者に一定の事項に ついて義務が課せられることになることから,管理組合と区分所有者との間に
「契約類似の債権債務関係」があると評価することもできなくはない。しかし ながら,規約において区分所有者が遵守されるべきとされる義務については,
法的拘束力の強いものから単なる心得(紳士約束)程度のものまで様々なもの があり,一概にそのような関係があるということはできない。
それでは,本件義務はどのような性質の義務であり,そして本件義務違反に 対してどのような措置を講ずることができるであろうか。そこで,この論点を 検討するための前提として,まず標準管理規約において区分所有者に課せられ ている各種の義務について整理し,これにより区分所有者は規約上どのような 性質の義務を負っているのかを確認することとしたい。
3.標準管理規
上の区分所有者の義務と義務違反に対する措置(1)標準管理規約における区分所有者の義務の分類
規約は,「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分 所有者相互間の事項」について定めるものであり(法 30 条 1 項),標準管理規 約によれば,総則(1 条〜6 条),専有部分等の範囲(7 条〜8 条),敷地および共 用部分等の共有(9 条〜11 条),用法(12 条〜19 条),管理(20 条〜29 条),管理 組合(30 条〜55 条),会計(56 条〜65 条),雑則(66 条〜72 条)が定められている。
このうち,区分所有者が遵守すべきとされている義務については,その性質ご とに次のように分類することができる。
(a)訓示的義務ないし一般的義務
①規約および総会の決議を誠実に履行する義務(規約 3 条 1 項)
②規約および総会の決議を同居者に履行させる義務(規約 3 条 2 項)
③敷地,建物および附属施設の適正維持管理について努力義務(規約 20 条)
④市または近隣住民と締結した協定の遵守義務(規約 69 条)
(b)
給付義務
① 専用庭や駐車場の専用使用料の管理組合への納入義務(規約 14 条 2 項,15 条 2 項)
②管理費や修繕積立金の管理組合への納入義務(規約 25 条 1 項)
(c)
作為義務・不作為義務
①専有部分の住居用途以外の禁止(規約 12 条)
② 敷地および共用部分等の通常の用法に従った使用の義務(専用庭,バルコニー 等,駐車場,自転車置場,集会室などの用法についての使用細則による定め)(規 約 13 条)
③ 専有部分の修繕等についての理事長への申請等の義務および理事長による 立入り・調査受忍義務(規約 17 条)
④ 敷地,建物および附属施設の使用の規制(動物の飼育,ピアノ等の演奏など についての使用細則の定め)(規約 18 条)
⑤ 賃借人に対して規約等を遵守させ,誓約書を管理組合に提出させる義務(規 約 19 条)
⑥通常の使用に伴うバルコニー等の管理義務(規約 21 条 1 項ただし書)
⑦ 各住戸に附属する窓枠,窓ガラス,玄関扉その他の開口部に係る改良工事 の実施義務(規約 22 条 2 項)
⑧ 専有部分等への管理を行うための立入り請求に対する受忍義務(規約 23 条 2 項)
⑨共用部分等の付保承認義務(規約 24 条 1 項)
⑩組合員の資格取得または喪失についての管理組合への届出義務(規約 31 条)
⑪ 同居人または賃借人等に対して共同生活の秩序違反行為に対して必要な措 置を講ずる義務(規約 67 条 2 項)
(2)規約上の区分所有者の義務の法的拘束力
規約において区分所有者が遵守すべきとされている義務については,差し当 たり以上のように分類することができるだろう。このうち,(a)の訓示的規定 ないし一般的義務について,①②は,その義務違反によって直ちに特別な効果 を生ずるわけではなく,その意味では訓示的な意義を有するものでしかな
く(20),③は,マンション管理についての区分所有者の一般的な責務を明らか にしたものでしかなく(21),また,④は,総会の決議を経て締結された協定に ついて,決議に反対した組合員や占有者もこれを遵守しなければならないこと の確認のためのものでしかない(22)と解されている。したがって,これらの義 務については,管理組合と区分所有者との間に法的拘束力を生じさせるような
「契約類似の債権債務関係」があるといえないのは明らかである。
他方,(b)の給付義務については,管理組合と区分所有者との間に「契約類 似の債権債務関係」があるといっても差し支えないであろう。というのも,す でに検討したように,規約に基づいて区分所有者によって管理組合に納入され る管理費等は管理組合の固有財産(区分所有者に総有的に帰属する財産)となるの で,管理組合は区分所有者に管理費等の支払いを求める権利を有し,区分所有 者は管理組合にその支払いをする義務を負うことになるからであり,そして,
その義務違反に対しては,規約により,管理組合の理事長は,管理組合の名に おいて,滞納区分所有者に対し,債務不履行責任の追及(未払金額,遅延損害金 および違約金の請求)をすることができ,訴訟その他法的措置を追行することが できるとされているからである(規約 60 条)。
これらに対して,(c)の作為義務・不作為義務については,⑤や⑩のように それほど強い法的拘束力があるとはいえない手続的な義務も存するが,いずれ も区分所有者の共同の利益を増進し,良好な住環境を確保する上で不可欠な義 務であるといえる。この場合,管理組合はこれらの義務を区分所有者に遵守さ せるために管理権限を行使し,区分所有者はその義務を負うことになることか ら,管理組合と区分所有者との間に「契約類似の債権債務関係」があるといえ なくもない。ただし,この管理権限は,管理組合固有の財産権に基づくもので はなく,規約または集会の決議に基づいて認められるものにすぎないので,管 理組合の管理権限行使や訴訟追行は,規約または集会の決議で認められた範囲 に限られると解される。
(3)作為義務・不作為義務違反に対する管理組合による措置
それでは,区分所有者が規約上の作為義務・不作為義務に違反した場合,管 理組合は,義務違反者に対し,規約上どのような措置を講ずることができると 規定されているだろうか。標準管理規約によれば,区分所有者もしくはその同 居人または専有部分の貸与を受けた者もしくはその同居人がこの規約もしくは 使用細則等に違反したとき,または区分所有者等もしくは区分所有者以外の第 三者が敷地および共用部分等において不法行為を行ったときは,理事長は,理 事会の決議を経て,①「行為の差止め,排除又は原状回復のための必要な措置 の請求に関し,管理組合を代表して,訴訟その他法的措置を追行すること」,
②「敷地及び共用部分等について生じた損害賠償金又は不当利得による返還金 の請求又は受領に関し,区分所有者のために,訴訟において原告又は被告とな ること,その他法的措置をとること」ができると規定されている(規約 67 条 3 項)。 ①の規定は,管理組合の理事長が,管理組合を代表して,管理組合の名で,
当事者として訴訟追行することを認めるというものであるのに対し,②の規定 は,敷地および共用部分等について生じた損害賠償金または不当利得による返 還金は,区分所有者全員に団体的に帰属せず,各区分所有者に分割債権として それぞれ帰属するということを前提に,管理組合の理事長は,区分所有者のた めに,区分所有者を代理して訴訟追行することを認めるというものである。規 約もしくは使用細則等に定められている作為義務・不作為義務に区分所有者が 違反したとき,管理組合の理事長は,①②のうちいずれの措置をとることも可 能であるが,もし管理組合の理事長が,管理組合を代表して,管理組合の名で,
当事者として訴訟追行しようとするならば、標準管理規約では①の措置しかと ることができないことになるので,管理組合の理事長は,義務違反者に対して,
行為の差止め,排除または原状回復のための必要な措置しか請求することがで きないことになる。したがって,規約上の個別の規定または集会の決議におい て管理組合が損害賠償請求をすることを認めている場合を除き(23),管理組合の
理事長が,管理組合を代表して,管理組合の名で,義務違反者に対し,損害賠 償を請求することは,管理行為の範囲外となり,できないと解される。
4.本判決の評価
以上の検討を踏えて,本判決について考察を行うこととする。
本判決は,管理組合と区分所有者との間の規約上の権利義務関係を「契約類 似の債権債務関係」とみて,管理組合が,本件義務違反を理由に,区分所有者 に対し民法 415 条に基づく損害賠償を請求することができるとした上で,区分 所有者は賃借人の同居人(履行補助者)の故意過失に基づく同義務違反によっ て生じた損害を賠償する責任を負うとしたものである。
まず,一般論として,管理組合と区分所有者との間の規約上の権利義務関係 を「契約類似の債権債務関係」とみることができるであろうか。確かに,規約 上の義務は,区分所有者という地位に基づいて特別多数決議によって設定され るものであるし(法 31 条 1 項),その効力も規約設定時の区分所有者だけでなく,
区分所有者の特定承継人や占有者にも及ぼすことができるものであるので(法 46 条),契約上の効力とは異なるものである。しかし,規約または集会の決議 により,管理組合に「建物並びにその敷地及び附属施設」について管理行為を 行う権限が認められ,区分所有者にその義務が課せられるという構造が認めら れる以上,「契約類似の債権債務関係」があるとみても必ずしも不合理である とはいえないであろう。
それでは,次に,本件義務を法的拘束力のある義務としてこの一般論の中に 位置づけることができるであろうか。本件義務の内容は,区分所有法6条1項 の区分所有者による共同利益背反行為の禁止の規定を確認的に定めたものであ るので,本来であれば,区分所有法 57 条に基づく行為の差止請求などに関わ るものである(規約 66 条)。本件事案は,このような違反を理由に民法 415 条 に基づく損害賠償を請求するものであるが,その前に,区分所有法 57 条に基
づく差止請求と規約上の義務違反を理由とする差止請求を選択的にすることが できるのかどうかについて確認をしておきたい。この点について,立法担当者 は,基本的には可能であるとしつつも規約上の義務違反を理由に訴訟提起が許 されるのは,規約上区分所有者の義務が法的拘束力を持つものとして具体的に 規定されている場合に限られると解すべきであって,例えば,「共同の秩序に 反する行為をしてはならない。」というような抽象的な規定では足りないとい うべきであると述べている(24)。このような立法担当者の見解に従うならば,
本件義務のような抽象的な規定では法的拘束力を持つものと評価することがで きないので,管理組合と区分所有者との間に「契約類似の債権債務関係」があ ると評価することもできないといえよう。したがって,管理組合は,本件義務 違反を理由とするとき,差止めを請求することも,また民法 415 条に基づく損 害賠償を請求することもできないと解される(25)。
これに対して,本件事案は,区分所有者からその所有部分を賃借した者の同 居人による盗電行為によって共用部分に損害を被らせたという事案であり,行 為の態様を個別具体的に検討するならば「共同の利益に反する行為」であるこ とは明らかであることから,そのような行為に対してまで,管理組合が本件義 務違反を理由に差止めを請求することも,また損害賠償を請求することもでき ないと解するのは妥当ではないといえる。このように考えるならば,立法担当 者の見解とは異なり,本件義務は法的拘束力のある不作為義務を定めたもので あると解するのがより適切であると思われる(ただし、どのような行為をもって「共 同の利益に反する行為」に該当するかという問題は残されることになるが,この点は区 分所有法6条1項の解釈に準拠することになろう)。
しかし,本件事案の場合はそれでもやはり,本件義務違反を理由に共用部分 から生じた損害の賠償を請求することはできないものと考える。そもそも,管 理組合による管理権限行使や訴訟追行は,規約または集会の決議があって初め て認められるものである。本件事案では,本件義務違反に対して管理組合が損
害賠償を請求することができるとする規定は規約上存在していないと考えられ るし,またそのような内容の集会の決議もなされていない以上,管理組合は,
管理行為の範囲外として,損害賠償請求をすることはできないものと解される。
そして,仮にそのような内容の規約または集会の決議が存在しこの点が問題に ならなかったとしても,すでに検討したように,共用部分から生じた損害賠償 請求権は各区分所有者に分割債権として帰属するものであるので,共用部分か ら生じた損害を管理組合の損害に含めることはできないといわなければならな い。この場合にもし管理組合に認容される損害額があるとすれば,それはせい ぜいのところ本件義務違反行為の差止め等にかかった諸費用相当額に限られる であろう。
以上の理由から,管理組合が本件義務違反を理由に共用部分から生じた損害 の賠償を請求できると解することはできないものと考える。
注
( 1 ) 本判決について訴訟法の観点から検討するものとして,上田竹志「マンション 管理組合の原告適格」法セミ 704 号 114 頁,青木哲「判批」私法判例リマークス 48 号 102 105 頁,佐藤元「判批」マンション学 48 号 68 75 頁があるが,本稿では,
管理組合と区分所有者との間の実体法上の権利義務はどのような法的性質のもの であるかという観点から検討を行う。
( 2 ) 東京地方裁判所プラクティス委員会第一小委員会「マンションの管理に関する 訴訟をめぐる諸問題
(1)
」判タ 1383 号 30 頁。( 3 ) 濱崎恭生『建物区分所有法の改正』
(法曹会,1989 年)
220 頁。( 4 ) 伊藤栄寿「マンションにおける区分所有者の権利の独立性とその限界」法時 85 巻 9 号 48 頁。
( 5 ) 佐藤・前掲判批
(注 1)
72 73 頁。( 6 ) 濱崎・前掲書
(注 3)
109 頁。( 7 ) 同上,113 頁。
( 8 ) 新田敏「マンションの共用部分から生ずる金銭債権の性質」杏林社会科学研究 18 巻 2 号 20 頁。
( 9 ) 平野裕之「マンション共用部分の瑕疵と区分所有者の交替」ジュリ 1402 号 18 頁。
(10) 管理組合が第三者との契約により区分所有者に総有的に帰属することになる債 権ないし法的地位の具体例として,①管理組合が,各区分所有者が管理費として 管理組合に対して支払った金銭を銀行に預金として預け入れをした場合における 預金契約にかかる預金債権,②区分所有建物の共用部分について,損害保険会社 との間で損害保険契約をし,①の預金から保険料を支払った場合における損害保 険契約にかかる保険契約者の地位,③区分所有建物の共用部分について修繕工事 を行うため,建設会社との間で,修繕工事請負契約をし,①の預金から請負代金 を支払った場合における修繕工事請負契約にかかる注文者の地位などがある。た だし,②について,損害保険契約にかかる被保険者は,区分所有者であって,そ の地位は各区分所有者に分割して帰属するので,その損害保険金請求権は区分所 有者全員に総有的にではなく帰属する。また,③について,共用部分は,区分所 有者の共有であるので,共用部分に対して行われた修繕工事の経済的な効用も,
区分所有者全員に総有的にではなく帰属するとされている
(山田誠一「区分所有建 物の管理組合の法的性格」 『石川正先生古稀記念論文集/経済社会と法の役割』 (商事法務,
2013 年)690 693 頁)
。すなわち,損害保険金請求権は分割債権であるから,各区 分所有者に共有持分割合に従って分割して帰属することになる。また,修繕工事 が行われた共用部分に瑕疵があった場合,瑕疵修補請求権は性質上の不可分債権 として各区分所有者に帰属することになり,損害賠償請求権は分割債権であるか ら,各区分所有者に共有持分の割合に従って分割して帰属することになる(拙稿「区 分所有者団体の法的性質と対外的効力」明治学院大学法科大学院ローレビュー11 号 1 頁)
。 したがって,共用部分に対する損害保険金請求権や共用部分から生じた損害賠償 請求権・瑕疵修補請求権は管理組合の固有財産には含まれない。(11) 標準管理規約によれば,「理事長は,管理組合を代表し,その業務を統括する」
ものとされている
(規約 38 条 1 項柱書)
。(12) 山田・前掲論文
(注 10)
689 頁。(13) 稲本洋之助=鎌野邦樹編著『コンメンタール/マンション標準管理規約』
(日本 評論社,2012 年)
211 頁〔飯田雄二〕。(14) 同上,212 頁〔飯田雄二〕。
(15) このような問題について検討するものとして,新田・前掲論文
(注 8)
1 40 頁,大野・前掲論文
(注 10)
1 13 頁,藤巻梓「区分所有建物の共用部分の瑕疵をめぐ る権利関係―ドイツにおける瑕疵責任の内容とその追及―」丸山英氣先生古稀記 念論文集『マンション学の構築と都市法の新展開』(プログレス,2009 年)
157 182 頁,平野・前掲論文
(注 9)
15 27 頁がある。(16) 2002 年の区分所有法改正時の法務省立法担当者の解説書によれば,瑕疵修補請 求は,本来共用部分が備えるべき機能を回復するための行為であるから,保存行
為としての性質を有しており,管理者の職務の範囲内の行為ということができる ので,管理者は,区分所有者のために,瑕疵修補請求訴訟を提起し,追行するこ とができるとされている
(吉田徹編『一問一答/改正マンション法』 (商事法務,2002 年)
33 頁。
(17) 管理者の選任状況については,89%が区分所有者の理事長であるとの調査結果 がある。それ以外の管理者の内訳は,理事長以外の区分所有者 0.4%,マンショ ン管理業者 4.8%,分譲業者 0.1%,マンション管理士 0.1%,その他 0.1%,管理 者を選任していない 1.1%,不明 4.4%となっている
(国土交通省住宅局市街地建築課 マンション政策室『平成 20 年度マンション総合調査結果報告書』 (平成 21 年 4 月)47 頁)
。(18) これまでの検討内容から明らかなように,管理組合の理事長は,管理組合の固 有財産について,管理組合の代表者として,管理組合の名において訴訟を追行す ることができると同時に,各区分所有者に帰属する財産について,管理者として 区分所有者を代理して,理事長の名において訴訟を追行することができる。この ように,管理組合の理事長は,管理組合の代表者としての地位と区分所有法上の 管理者としての地位を二重に有している。
(19) 伊藤・前掲論文
(注 4)
46 47 頁。(20) 稲本=鎌野・前掲書
(注 13)
23 頁〔鎌野邦樹〕。(21) 同上,74 75 頁〔篠原みち子〕。
(22) 同上,256 頁〔飯田雄二〕。
(23) 専有部分等への管理を行うための立入り請求に対する受忍義務
(規約 23 条 2 項)
については,規約で損害賠償の規定があるので
(同 3 項)
,管理組合は,規約上の 要件に従い,義務違反者に対し損害賠償を請求することができるとされている。(24) 濱崎・前掲書
(注 3)
342 343 頁。(25) この他に,本件義務のような行為を禁止する規定は,契約上の義務を定めたも のではなく,構成員に法規範上の義務