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産業と文化の経営人類学的研究

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Academic year: 2021

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産業と文化の経営人類学的研究

著者 中牧 弘允

発行年 2009‑01‑01

その他のタイトル Anthropology of Administration on Industry and Culture

URL http://hdl.handle.net/10502/4504

(2)

産業と文化の経営人類学的研 究

Anthropology of Administration

on Industry and Culture

中 牧 弘 允(編) 国立民族学博物館

Hirochika Nakamaki (ed.) National Museum of Ethnology

2009

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目    次

研究組織

は しがき      中牧弘允  1

第一部  環黄海経済圏の産業 と都市における文化創造 ・文化交流

中牧弘允    環黄海における産業 と文化の交流一「つなぎとめるもの」を とお して一    5

澤木聖子      「朝鮮通信使」の 行列再現行事にみる環黄海の地域間交流           一下関 ・馬関まっ りを中心に一      17

曹  斗隻    環黄海経済圏における漕 変都市の競争力に関する研究      25

陳  天璽    チャイナタウンを通 してみ る環黄海経済圏の産業と文化      45

具  知瑛    中国青島のコリアンタウンー移動するモノや人を結ぶ空間一      55

澤野雅彦    姉妹都市 と東アジアのスポーツ交流一大連の野球 を中心として一        67

    晃    大連の日本人社会           一ソーシャル ・キャピタル投資活動 と現地社会への影響一        87

金子  毅    色彩なき環境か らの文化創造           一北九州における公害闘争 と城山小学校のメッセージー      107

第二部  世界遺産 をめぐる産業振興 と文化復興 中牧弘允    世界遺産 としての熊野とサンティアゴ ・デ ・コンポステラ           ー地域と宗教のイノベーシ ョンー      137

住原則也    奈良吉野と世界遺産一「世 界遺産化」現 象の一事例 として一      147

中牧弘允    中国における儒教復興の諸相 一北京 と曲阜を中心に一        153

住原則也    泰山調査の報告      167

第三部  文化活動を機軸 とす る産業 と都市の協働関係 三井  泉    都市経営の「ビ ジネスモデル」と しての祭 り           一青森 ・五所川原 ・弘前の「ね ぶた」調 査を中心 として一        173

竹内惠行    祭 りの経済効果一競争 と協調一      185

出 口竜也    企業 と祭 り一阿波お どりと高知 よさこい祭 りを事例に一      195

岩井  洋    異文化理解の経営人類学一韓国 ・仁川市の事例一      213

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研究組織

研究代表者      中牧  弘允    国立民族学博物館 ・民族文化研究部 ・教授

共同研究者      陳    天璽    国立民族学博物館 ・先端人類科学研究部 ・准教授

連携研究者      岩井    洋    関西国際大学 ・人間学部 ・教授         澤木  聖子    滋賀大学 ・経済学部 ・教授         澤野  雅彦    北海学園大学 ・経営学部 ・教授         住原  則也    天理大学 ・国際文化学部 ・教授

        竹内  恵行    大阪大学 ・大学院経済学研究科 ・准教授

        曹    斗墨    横浜国立大学 ・大学院国際社会科学研究科 ・教授       出口  竜也    和歌山大学 ・観光学部 ・教授

        農      晃    神 田外語大学 ・異文化コミニケーショ研究所 ・准教授       日置弘一郎    京都大学 ・経済学部 ・教授

        廣山  謙介    甲南大学 ・経営学部 ・教授         三井    泉    日本大学 ・経済学部 ・教授 研究協力者      金子    毅    東京基督教大学 ・神学部 ・助手         小谷  幸子    国立民族学博物館 ・外来研究員         京都外国語大学 ・非常勤講師         具    知瑛    神戸学院大学地域研究センターPD

海外共同研究者  金    鳳徳    東北財経大学 ・教授         李    元範    東西大学 ・教授

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        は しがき

研究 の 目的

  産業 と文化 の相乗効果 は近年ます ます意識 的 に追求 され るよ うにな ってい る。行政 が主 導す る場 合 もあれ ば、産業界が牽引す る場 合もあ り、 また文化団体が率先 して働 きか ける 場合 もある。 いずれ に しろ、 ば らば らな動 きを統合す る機能(政 治 ・経営)が その成否 の 鍵 を握 っている といって も過言ではない。本研 究で はマネ ジメン ト(経 営)に 焦点 を当て

なが ら、産業 と文化 の相 関関係 を実証的 に究明す るこ とをめ ざした。

  産業活動 と都 市行政 の関係 は近年 、経済優先 ・文化軽視 か ら産業 と文化の融合 す る街 づ く りへ とパ ラダイ ムシ フ トをお こ しつつ ある。文化産業 の振興 による活1生化 を旗 印 とす る 都市 も増加 の一途 をた どっている。本研究 は、産業 と都市 の新 しい協働 関係(パ ー トナー シ ップ)に 着 目 し、人類学的手法に よる国内外 の事例研究 を とお して、企業文化 と都 市経 営の実態 を分析 し、モデル化す ることを 目的 としてい る。

  産業 と都市 の新 しい協働 関係 の特徴は従来型 の税金納付 や行政指導 にあるのではな く、

文化創造や 環境整 備による都市空間の活性化 を共通 目標 と して、たがい に連携 をはか る と ころにある。産業 と都 市はそれぞれ文化 の創造的 な担 い手 であ ると同時 に、連携 す るパー

トナーで もあ る。 そのため企業文化 を企業 自体 の経営手法や文化活動 を とお して分析す る だ けでは不 充分で あ り、都市 の文化政策 との協働 関係 のなかで位置づ けるこ とが必要 とな る。

  産業文化 の 自覚的形成 について、また文化創造 にお ける産業 と都市 の協働 に関 しては、

近年 さま ざまな取 り組みがな され てお り、「企 業 の社会 的責任(CSR)」「創 造都 市」「創 造 産業」「文 化産業」な どが経営学 、経済学 、都 市計画等の分野で脚 光 を浴 び るよ うになって い る。本研 究は経営人類 学の立場 か ら、文化 を 自覚 的に意識 した企業活動や都市経営 につ いて、と りわけ経営 手法や協働関係 におけ る価値 観・世 界観 の解 明 をめ ざ して実施 され た。

領域1  環 黄海経 済 圏の産業 と都市 にお ける文化創造 ・文化交流

  近年 にお け る環黄海経済圏 の経済的発 展は刮 目すべ き ものが あ り、中国の東北三省 の玄 関 口大連 には 日本企 業が大企 業か ら中小企業 にいた るまで製 造業 を 中心 に約2500社 が進 出 してい る。 日本企業 の多 くは立地優位 性と歴 史的親和 性を進 出動機 として い る。他 方、

大連 は「経 済技術開発 区」に 早 くか ら指定 され 、外 資企 業 の誘致 を積極的 にお こない、「北 の香 港」を め ざ して きた。最 近 は重 厚 長 大 産 業 か ら ソ フ トウェ ア産 業 に転 換 し、 ソフ トウ ェア会社 が大学 を設 立す るまでにな り、日本 に も卒業 生が多数就職 す る よ うになってい る。

他 方、北九州学術研 究都 市には早稲 田大学 大学院1青報生産 システム研 究科、IT高度化 セ ン ター等 が あ り、 ソフ トウェア工学 を専攻す る中国か らの留学 生 も多 い。

  従来 、環黄海経 済圏につ いては経済発展 に資す る研究 が盛 んにお こなわれて きたが、本

1

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研究 では文化 創造 ・文化 交流 の観 点か ら、産業 と都 市の関係 を再措定 しよ うとす る。 まず 日系企業 におけ る「経 営の現地化」が どの よ うにな されてい るかを分析 す る。 とくに企 業 文化 の形成 に地域社会 ・地 域文化がお よぼす影 響 に焦点 を当て る。また 日系企業 が個別 に、

あるいはJETRO大 連事務所の よ うな組 織 を通 じて都市建設 ・都市経営 にいかな る役割 をは た してい るか を調査 した。

  あわせ て釜 山では文化都 市政策 で脚光 を浴 びてい る創造 性イ ンデ ックスに もとづく ク リ エイ テ ィブ ・クラス(R・ フ ロ リダのい うアーテ ィス トや プ ロフェ ッシ ョナル な ど文化創 造的職 種に従事す る階級)の 調査 を実施 した。

領域2  世 界遺 産 をめ ぐる産業振興 と文化復興

  ユネ ス コの世界遺 産登録 は近年 の産業振興 と文化復興(自 然保護)の 相乗効果 をね らっ た典型例 といえ る。伝統文化 の振興 が現代 の産業 と連動 し、新 しい文化創造 がな され 、未 来文明へ の活路 を開 くとすれ ば、世界遺産は経 営人類学的研 究に値す る。世界遺産 は従 来、

もっぱ ら観 光 ・資源 の面で注 目をあつ めて きたが、産業 と文化のマネ ジメン トとい う観 点 か ら検討す る余地 を残 している。なぜ な ら、皿 関連産業 の発達や創造産業 の興隆 との相互 作用 がみ られ るか らであ る。 そ こでは伝統文化 が文化創造 を刺激 し、先端産業 が文化遺産 の価値 を高め ることに貢献す る とい うよ うな関係 が構築 されつつ ある。

  研究対象 は「紀 伊 山地 の霊場 と参詣道」、 中国の「泰 山」、「曲 阜 の孔廟、孔林、孔府」、

な らび にスペイ ンの巡礼地サ ンチ ャ ゴ ・デ ・コンポステ ラであ る。「紀伊 山地 の霊場 と参 詣 道」は 吉野 ・熊野 ・高野 山の霊場 とそれ をむすぶ参詣道 であるが、山岳イ剖印 ・神道 ・陰陽 道 ・密教 が習合 した独 特の宗教文化 を歴史的 に形成 してきた。 中国の「泰 山」は 山東省泰 安市 にあ る道教 の一 大聖地 であ り、五岳 のひ とつ に数 え られ てい る。「曲 阜の孔廟、孔林、

孔府」も 山東省 にあ り、それ ぞれ 中国最大 の孔子廟 、孔子 とその一族 の墓地 、孔子 の子孫 の居住 地 であ り、儒教 の聖地 として最高峰 に位置 してい る。最初の3つ の世界遺産 は東 ア ジアの代表 的宗教 の聖地 である ところに共通 性があ り、宗教 と産業の経営的諸側面 を実証 的 に比較研 究す る格好 の対象 で もある。また、「紀伊 山地 の霊場 と参詣道」は 奈 良 ・和歌 山 ・ 三重 の三 県にまたが った登録 であ り、サ ンチ ャ ゴ ・デ ・コンポステ ラに次 ぐ巡礼道 と して の世界遺産 であ る。

領域3  文化 活動 を機 軸 とす る産業 と都 市 の協 働関係

  文 化 活 動 を 基軸 に据 え、 産業 と都 市 の協働 関係 を深 化 ・発 展 させ る こ こ ろみ は世 界 各 地 でみ られ る。 イ タ リアのボ ローニャや金沢 はその典型 だが、スペイ ンの ビルバ オ、横 浜な ど枚挙 に暇 がない。本領域で は文化活動 と しての祭 りに焦点 を しぼ り、青森 、徳 島、高知、

東京 を中心に調査 した。 青森 市ではねぶ た、徳 島市では阿波踊 り、高知市では よさこい祭 りの調査 をお こない、都 市祭礼 にお け る産業 と都 市の関係 に着 目した。 青森市 においてね

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ぶた は観 光資源 と して地 域文化 を担 ってお り、企業 も競 って参加 ・協力す る。 阿波踊 りで は徳 島新聞社 の支援体制 は絶大 で、踊 りの集 団(連)に は企業連 も多数 参加す る。 よさこ い祭 りは商工会議所 が中心 となって発足 、阿波踊 りを参考 に よさこい鳴子踊 りを考案 した 経緯 がある。 その よさこい と北海道 の ソー ラン節 を合体 させ ては じま った「よ さこい ソー ラン」は 国内のみな らず サ ンパ ウロにまで伝 播 し、札幌会場 を頂 点 とす る勝 ち抜 きシステ ムは ビジネスを意識 して成立 している。

  これ らの新 しい祭 礼は産業 と都 市の協働 関係 を分析す る新 しい枠組 み を要求 してい る。

都市連携型祭 礼(東 北三大祭 のひ とつ としてのねぶ た)、 マス コ ミ系(阿 波踊 り)、ネ ッ ト ワー ク系(よ さこい ソー ラン)の よ うな分類枠組 の提示 に とどま らず、経済 と経 営 を基礎 に文化活動の現代 的意 義をあき らかにす る。換言す ると、現代 の文化 創造において明示 的 に戦田割 ヒ・戦術化 され る経済 的マネジメン トの実態 を把握す るこ とが課題であ る。

  一方 、環黄海経済圏 には姉妹 ・友好都市 関係 にも とつ くネ ッ トワー クが形成 されつ つあ る。1991年 に設 立 され た東 アジア(環 黄海)都 市会議 には現在10都 市(北 九州、下関、

大連 、青島、仁川 、釜 山、天津 、福 岡)が 参加 し、2004年 には東 ア ジア経済交流推進機構1 の創設 をみ てい る。前者 では市長 会議 、経済人会議 、文化 交流 、スポー ツ交流 な どが試行 され 、中国 ・韓国の経済的発展 に刺激 され後者 の発足 につなが った。 とりわ け注 目に値 す るのは「も のづ くり」に 特化 した都 市イメー ジをもつ北九州 市が「北 九州市ルネ ッサ ンス 構想」を かかげ\「も のづ く りのま ち」を 牽引す る文化政策 を産 ・学 ・官 ・民が協働 して推 進 してい ることで ある。また 、仁川市において も中東文化院の開館 ・閉鎖 ・再開が市長の掲 げる都 市政策 と密接 に関連 してい る し、韓 国移民史博物館 の開館 も韓 国移民の発 祥地 とし ての仁 川市の地政学的位置づ け と連動 しなが ら、それ らが都 市経営 に動員 され ている。

本書の構成

  第一部は領域1「環 黄海 経済圏の産業 と都市 にお ける文化創造 ・文化交流」に 対応 し、

8っ の報告が収 め られ ている。第二部 は領 域2「世 界遺産 をめ ぐる産業振興 と文化復興」

に関す る報告が4つ 収録 され てい る。第三部 には領域3「文 化活動 を機軸 とす る産業 と都 市 の協働 関係」に ついて4つ の報告 がある。

        中  牧         国立民族 学博物館

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参照

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