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時を可視化するための試み

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Academic year: 2021

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時を可視化するための試み 53  今回取り上げる一連の作品では時を可視化するというこ

とをテーマにしている。時を可視化する装置としては時計 やストップウォッチまたタイマー等がある。しかし、これ らは時刻、経過時間を表示しており時その物を可視化して いるわけではない。時はその経過により様々な物理現象を 引き起こす。全ての事象は時間の関数 f(t)によって表さ れる。機械式時計でもクオーツ式の時計でもその時間経過 により引き起こされる現象を通して時刻を可視化してお り、時そのものを可視化している訳ではない。そもそも時 を可視化することが可能なのかどうかは定かでは無い。本 シリーズでは作品のテーマを「時の可視化」としているが 時の流れを感じるためのデバイスとして考えて頂きたい。

可視化を試みるために「流れ」と「刻む」という2つのキー ワードからアプローチを行った。

「時の流れ」

 時の流れを砂時計状のデザインを使い表す(写真1)。

通常の砂時計では砂鉄等を用いるが本作品では直径 0.8㎜

のステンレス球を使っている。このステンレス球を高さ 0.8

㎜の空間に閉じ込め全ての球が平面状に並ぶようにしてい る(図1)。この事により通常は見る事の出来ない砂時計 の中の粒子の粉流体としての振る舞いを観察する事が出来 る(写真2)。球の重なりによって模様を描き出すが、こ の模様は意図して作成した物ではない。球を順番に積み重 ねた場合には均一な模様になる。しかし実際には装置内で

時を可視化するための試み

真壁 友

MAKABE Tomo

キーワード: デバイスアート、キネティックアート、視覚化、

粉流体、切削加工、脱進機

図 1:作品断面図 図 2:球の重なりより発生する模様(模式図)

写真 2:球の重なりより発生する模様 写真1:時の流れ

    作品サイズ : 幅 160 ×高さ 170 ×奥行 50cm(最大)

    素材:ガラス、ステンレス球、アクリル、木、電気回路

複数箇所から球が積み重なり、ズレが生じる。そのズレに より直線状の模様が発生する(図2)。

球の直径と同じ隙間

ガラス 導光板 このズレから模様が生じる

(2)

54 時を可視化するための試み

制作過程について

 このシリーズの制作は CNC フライス盤を用い、大部分 の部品を素材板から切り出している。3D CAD ソフトの Rhinoceros を使い設計を行い RhinoCAM で CNC 制御の ための G コードを生成。その後、CNC フライス盤により 切削を行っている。制作加工の手順については以下の動画 を参照されたい。

作品の動画

 以下の URL で本シリーズの作品動画を公開している。

実際の動きについてはそれらをご覧頂きたい。

時の流れシリーズ:

 http://youtu.be/BDBrR6GHgwY 流れ

  http://youtu.be/ATaAQxY6Uvc 宇宙世紀へのカウン トダウン

時の可視化シリーズ:

 http://youtu.be/MhfTSDR1ja4 時の可視化  http://youtu.be/7ppa69DJuJ0 Tourbillon  http://youtu.be/_52Ikv7cgDM 時の流れ 2012  http://youtu.be/E8KPeW-7eYM 時の可視化 2013 切削工程について:

 http://youtu.be/pjmAOubh9sw CNC 操作手順   http://youtu.be/pJootzSbYQQ CNC フライス盤による

小パーツの切削 参考文献

  砂時計の七不思議―粉粒体の動力学(中公新書) 田口 善弘(著)

 基礎時計読本 ラ・テール出版局 小林敏夫著

 Watchmaking George Daniels著 Philip Wilson Pub Ltd

「時の可視化」

 時を刻むことにより、時の流れを表すデザイン。脱進機 を使い時を刻む作品(写真3、写真4)。時の流れを機械 の動きと音により感じてもらう事を目的としている。腕 時計のムーブメントとして使われるクラブツース脱進機

(club tooth lever escapement)を使用している(図3)。

通常、腕時計用のムーブメントは直径 40㎜の中に収まる ように設計するが、本シリーズの作品では脱進機の仕組み を見せ、その動きを楽しんで貰うという事も目的なので全 体を大きく設計してある。腕時計のムーブメントでは規則 的な周期を作り出すためにヒゲゼンマイと呼ばれる渦巻き 状のバネを使っている。本作品ではヒゲゼンマイを使用し た物と、周期を作り出すために振り子を使った物がある。

図 3:クラブツース脱進機

写真 3:時の可視化

    作品サイズ : 幅 11 ×高さ 20 ×奥行 8cm     素材:ジェラルミン、真鍮、木、ゼンマイ

写真4:時の可視化

    作品サイズ : 幅 10 ×高さ 14.8 ×奥行 3cm     素材:ジェラルミン、鉄、真鍮、ゼンマイ

参照

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