SPICEに よるインバー タ駆動誘導機の シ ミュ レー シ ョン
松 坂 知 行
*・
佐々木 一 人キキSirnulation of an invertor driven induction mOtor using SPICE
Tomoyuki lvIATSUZAKA・
and Kazuhito SASAKIキ*
Abstract
Spice is widely used as a versatile simulation tool for electronic circuit analysis and seems to be useful for pOwer electrOnic circuits However,it is dittcult to apply SPICE straightway
tO po郡ァ er electrOnic circuit including electrical rnachines because the elements of circuit models to describe machine characteristics are not included in SPICE Hence,it is necessary to state machine characteristics using circuit models included in SPICE This paper presents the method to express machine characteristics using circuit elements in SPICE
1。 ま え が き イ ンバ ー タで駆 動 され た誘 導 機 の シ ミュレー シ ョン方法 につ いて述べ る。
本稿 はパ ワー回路で駆動 され る誘導 機 の シ ミュレーシ ョンについて述べている。パ ワー回 路はパ ワー トランジスタ,サイ リスタな どのス
イ ッチ素子を含んでいるため連続系 と異 な リシ ミュレーシ ョンが面到である。一方回路 シ ミュ レータ としてSPICEが広 く用 い られ て い る。
そ こでSPICEを用 いてパ ワー回路で駆動 され る誘導機のシ ミュレーシ ョンを行 う方法を研究 した。 しか しSPICEは電子 回路解析用 として 設計 されているため,パワー駆動回路のシ ミュ レーシ ョンは可能 で あ るが,誘導 機 の シ ミュ レーシ ョンには特別 な工夫が必要である。すな わち誘導機 を等価 な電子回路で表現す る必要が ある。誘導機を等価電子回路で表現で きればパ ワー駆 動 回路 と誘 導 機 を合 め た 全 体 の 系 が
SPICEでシ ミュレーシ ョンで きるので
,非
常に 便利である。本稿ではまず,誘導機 を等価電子 回路に置換す る方法を提案す る。つ ぎにPWM2.誘導機の動特
:1上
方程式1)
(1)
(2)
誘 導機 の動特性 は一般 にd―
q軸変換 に よ り 以下のよ うに表 され る。図1に d―
q軸変換によ る等価回路を示す。図1を
参照す ることによ り 以下の式が導かれ る。(a)電
気的方程式 υl,=Rlケ lα +少
φl, υ19=Rlケ 19+つ
φ19 υ2ど
=R2+♪φ2,+こ
υφ29 υ2?=■2ケ 29+沙
φ29 ω φ2
こ こ で
φ lど =Lil,1』 十″ J2ど
φ 17=Lilゲ l?十 〃ど
2?φ
2,=″ケ 1ど 十二
22ケ2ど
φ
2?=〃ぢ l?十 L22ゲ
2?(b) トルク
T=φ2'2ど φ 2】 ケ
27平成 4年 12月 15日 受理
率 情報 システムエ学研究所教授
中事電気工学科助教授 (3)
ブ
'と
「 φ
2e
尺1 "L ll― 几r L 22 ルr 兄2
加α=クェど半 φュど十¥んど
少ぬ?=劣
?半
ぬ?十 署 先?"が娩―等 んじ十¥ぬ√ωφ2?
崩=物 拳φ
29+¥φ l?+ωんど
少
tυ =(T―
Tとア)/ノ(8)
した が って (8)式 の状態方程式 を求 め る こ とに よ り
(6),(7)式
よ リ ゲlど
,ケl?,ゲ2ど
,ゲ2?が 求め ら れ,実際 の電流 ゲ,α,ゲら,ゲcが以下 の よ うに して 得 られ る2ちφ
19
(a)q座標軸等価回路
十
+ ω φ
2,
ω φ
2J
(4)
(5)
(6)
(7) 寅l Lll― れr
21,=
ι
17=
22ど=
夕2?=
L22 ルr 尺2
│
夕ぅ
,c │ │ │ │
=汚 ‑1/2 7g/21 0
‑1/2‑7g/2
41ど ι19
(b)d座標軸等価回路 図1 '― ?軸等価 回路
(c)電
力
P=ωT
(d)機
械的運動方程式
T三ノィ
)てυ
+Tどこ こ で
つ三場彿Tと′は負荷トルク
よって (2)式 よ り
また この逆変換 は以下 の よ うになる。
(9)
│夕封=涯li 21 1
│
‑1/2
ャ/g/2‑1/2
‑7写/
ια ワぅ 夕c
(1)式
に(6),(7)式
を代 入 し(5)式
を組 み 合 わ せ る と φュど,φl?,φ2ど
,φ2?,ω を状態 変数 とす る 以下 の状態方程式 が得 られ る。(10)
3, SPICEに よるシミュレーション 図2は (8)式 に よ り導 かれたd軸,q軸回路 を表わす等価電子 回路 であ る。図中d tt q車由電 圧 υェど,%lTは (10)式 を参 照 し図3の回路 で求 め られ る。 また図4は トル ク と回転速度 を表す 等価 電 子 回路 で,(3),(6),(7)式か ら導 かれ る。
図5は固定子d軸電流,q軸電 流 を求 め る等価 電子 回路 で,(6),(7)式か ら導 かれ る。また図6 はa相の電流 を求 め る回路
,図
7は等価 電子 回 路 に出て くる記 号 を示 す。 また 図中DはD=Lllと22 〃2 (11)
を示す。
以上 の等価電子 回路 で誘導機 の動作 を各種条 件 で シ ミュ レーシ ョン した ところ,文献
(2)の
︱
︱
︱
︱
‑12‑
んr φ2J
Vュ d
Vlq
ネ
SPICEに
よるインバ ータ駆動誘導機 のシ ュ ミレーシ ョン
d軸 回路
q軸 回路 図 2 SPICE向 き等価回路
Mφ?」
φ
ttq固定子 d軸 電圧
▲ T I I I I
ム T I I I I 鉗
▲ T I I I I
磋 ミ
狛
︱
︱
︱
︱
小
︱
︱ I T I I I I
D
A T I I I I V
V I I I I I I
固定子 q軸 電圧 図
3琥 ?軸 電圧
トル ク
1回転速 度 図 4 トルク ,回 転角速度
‑13‑
│ D
R2Lュ ェ
D
R2Lll
│ RI吻
DD一咆
Mφ1002(ュ D
Mφ7̀!
D
lΩ
▲ T
︲
︲
︲
︲ ニュ︒
︲
︲
︲
︲
︲
︲
h2 h2
D
ホ I I I I
・ I ュ q
I
︲
︲
︲
︲
D
L2,φ
ldL2?φ
Ⅵ電圧制御 非線系電圧 電流源 制御電流源
固定子
d軸
電流固定子q軸電流
図5 固定子 琥?軸電流
a相
電流 図6 ,相電流図
8
インバ ータ回路08 12 1.6
TIME時 間 (s)
20 24+101 Vc
理
TR頓斗
︶ ぱ 揺
︺ 翻
一 一 一 一
▲ T I I I I r l a t l i l l l
く︵
︶ ド 腿 雫
椰H 0̲0 0 4
1)一 V(32
2)一 V(lo
3)一 V(5)
図
9
シ ミュレーシ ョン結果図7 電源 シ ンボル
結果 と一致す ることが確認 された。
つ ぎに図
8はパ ワー トランジスタを用いたイ ンノ ミ
̲夕で
,各スイ ッチは
PWM信号で駆動 さ れ る。出力電圧 は図
3の回路で
d軸,q軸電圧 に 変換 され る。
図
9はSPICEに よる
PWM駆動誘導電動機 の起動 トル ク ,回 転数
,起動電流のシ ミュレー
シ ョン結果 で あ る。等価 な正弦波駆動電動機 の 実験結果 と比較 した ところ妥 当 な結果 であ る こ
とが確認 で きた。
4。
ま と め以上
SPICEに
適 用 で きる よ うに誘 導機 を等 価 電子 回路 で表現す る方法 につ いて述べた。 シ ミュ レーシ ョンの結果, この変換法 は正 しい こ とが確認 で きた。つ ぎにPWM波 イ ンバ ▼ 夕で 駆 動 され る誘 導 機 の シ ミュレーシ ョンを行 い,等価 正 弦波 に よる実験結果 と比較 した ところ妥 当 な こ とが確 認 で きた。
本
SPICEは
富 士 通 に よ り機 能 拡 張 された も ので, ワークステ ーシ ョンの ウイン ドウ上 で回電圧制御 電圧源
‑14‑
+ 一
Va Vb
キ 一
SPICEに
よるインバータ駆動誘導機のシュミレーシ ョン
路 要 素 を マ ウス で接 続 す るだ け で シ ミュ レー シ ョンが実 行 で き るの で
,極め て シ ミュレー
シ ョンの効率 が よい こ とが分か った。
5.参 考 文 献
1)松
坂 ,佐 々木 :誘 導機 の起動 電流 シ ミュレー シ ョン ,第 10回 シ ミュレーシ ョン テ ク ノ ロ ジー コンファレンス
,p1652)秦
泉寺
,内藤 訳 :パ ワーエ レク トロエクス
&ACド