移住と生業戦略 : インドネシア,セラム島の農村 における生業活動と食物利用
著者 口蔵 幸雄, 野中 健一, 須田 一弘, 須田 和代
雑誌名 国立民族学博物館研究報告
巻 22
号 2
ページ 425‑459
発行年 1997‑12‑08
URL http://doi.org/10.15021/00004147
口蔵 ・野 中 ・須 田 ・須 田 移 住 と生業 戦 略
移 住 と生 業 戦 略
一インドネシア,セ ラム島の農村における生業活動 と食物利用一
口 蔵 幸 雄*,野 中 健 一**
須 田 一 弘***,須 田 和 代****
Subsistence Strategies of the Immigrant Households in a Coastal Village of Seram, Indonesia
Yukio KUCHIKURA, Kenichi NONAKA, Kazuhiro SUDA and Kazuyo SUDA
This paper examines the variation in subsistence pattern and food use among the households of a coastal community of Seram Island, In- donesia, which subsists mainly on shifting cultivation, exploitation of sago palms, fishing, and the collection and sale of such cash-crop trees as clove, coconut palm, and cacao.
The data was gathered from 50 households by the questionnaire method during a 2-month stay in 1996. With respect to subsistence ac- tivities, the questionnaire to each household enquired about: (1) kinds of subsistence activities the household engages in, (2) the approximate monthly income from each activity, (3) kinds of food crop and cash- crop trees, (4) ownership or usufruct of sago palms, (5) the number of sago palms exploited in a month, (6) methods and monthly frequen- cy of fishing.
The questionnaire for food use was conducted on seven successive days. The kinds of food consumed in the three meals of the day were recorded, separating staple food and side dishes. The monthly amount
岐阜大学地域科学部,国 立民族学博物館共同研究員 三重大学人文学部,国 立民族学博物館共 同研究員 北海学園大学人文学部,国 立民族学博物館共 同研究員 東京外 国語大学大学院
Key Words : Indonesia, Seram, sago, clove, subsistence activities, food use, inter- household variations. migration
キ ー ワ ー ド:インドネシア,セ ラ ム 島,サ ゴ ヤ シ,チ ョ ウ ジ,生 業 活 動,食 物 利 用, 世 帯 間 変 異,移 住
国立民族学博物館研究報告 22巻2号
of money expended on the purchase of food was also asked.
On the basis of subsistence patterns, which are defined as different combinations of the three subsistence activities (agriculture, including silviculture of cash-crop trees, exploitation of sago palms, and fishing) , the households are classified into four types: (A) engaging only in agriculture (22.0%) , (B) agriculture and exploitation of sago palms (18.0%) , (C) agriculture and fishing (26.0%) , (D) all the kinds of sub- sistence activity (34.0%) . The monthly income from agriculture, ex- ploitation of sago palms, and fishing averages 21,800 Rp (Rupiah), 42,900 Rp, and 15,400 Rp, respectively. There is a great variation in monthly income among the households, averaging 55,900 Rp. The average monthly income of the B-type households is the highest (80,900 Rp) among the four types of the households, and about four times as much as that of the A-type households.
In order to analyze the variation of subsistence pattern, the households are divided into three types: the "indigenous" households (I- type) whose heads belong to the nine patri-clans which are indigenous to the village territory, and the "immigrant" households whose heads (III- type) or forefathers (II-type) migrated from other areas of Indonesia.
The most conspicuous difference is found in the exploitation of sago palms. The I-type households engage in the activity with a four times higher percentage than III-type households (80% vs. 20%) . This is because only the I-type households have ownership or usufruct of naturally-growing sago palms. About 55% of the III-type households belong to the C-type subsistence pattern, which is not found in the I-type households. The average monthly income is the highest in the I-type households (64,400 Rp/month) , and the lowest in the III-type households (41,500 Rp/month) . The percentage of households owning clove trees is significantly higher in the "indigenous households" than in the "immigrant households", although there is no difference in the owner-
ship of cacao trees that have been recently introduced to the village.
From the data on 483 meals, the most important staple food is sago starch, accounting for 29.2% of the total number of instances. Other staple foods are ordered in importance: rice (23.2%) , banana (19.1%) , cassava (18.5%) , and others (10.0%) . Vegetables account for 49.5%
of the total instances of side dishes, and fish species are second in impor-
tance, accounting for 39.9%. Meat, beef, pork or chicken, and eggs oc-
cupy the remainder, together accounting for 10.6%. There is also a con-
siderable variation in food use among the types of subsistence pattern.
口蔵 ・野 中 ・須 田 ・須 田 移 住 と生業 戦 略
1 序
皿 調 査地,調 査 方 法,生 業 活 動 1.サ フ ラウ村
2.調 査 方 法 3.生 業 活動 農 業 家 畜 飼 育 サ ゴ澱 粉 作 り 漁 業
狩猟 お よび野 生 食 物 の利 用
皿 生業 パ タ ソ と現 金 収 入
1.生 業 パ タ ソと現金 収 入 の世 帯 間変 異 2.「 先 住 」 世 帯 と 「移 住 」 世 帯 間 の 生業 パ タ ンの 比較
N 食 物利 用
1.主 食 と副 食 の構 成 と頻 度
2.生 業 パ タ ソに よ る主 食 と副 食 の構 成 の変 異
3.食 費 V 討 論 と ま とめ
1.序
セ ラ ム 島 を 含 む イ ン ドネ シ ア の マ ル ク諸 島 の 伝 統 的 な 生 業 は,サ ゴ ヤ シ(Metrox‑
ylon sPP.)か ら 採 取 した 澱 粉 を 主 要 エ ネ ル ギ ー 源 と し,野 生 動 植 物 資 源 の 広 範 な 利 用 を と も な う も の で あ っ た 【Ellen l975]。 こ こ に,16世 紀 以 降,チ ョ ウ ジ(Syzgiu〃2 aromaticum)を 中 心 と す る 香 料 の 生 産 とそ の 国 際 的 交 易 が 急 速 に 発 達 し た 。 こ の 理
由 と して,サ ゴ澱 粉 依 存 の 食 物 利 用 が あ げ ら れ る 【ELLEN 1979】。 す な わ ち,食 糧 と し て 利 用 で き な い 換 金 作 物 の 生 産 拡 大 は,自 給 用 食 糧 作 物 の 生 産 を 圧 迫 し,世 界 各 地 で さ ま ざ ま 否 定 的 結 果 を 生 み だ し て い る が 【FLEURET and FLEURET 1980;MESSER 1984】,サ ゴ ヤ シ の 生 育 地 は 湿 地 で あ る た め,自 給 用 食 物 生 産 と換 金 作 物 と の 間 で 土 地 を め ぐ る 競 合 を さ け る こ と が で き た 。 そ の た め,換 金 作 物 の た め の 土 地 の 拡 大 が,
自給 作 物 用 の 耕 地 の 減 少 を も た ら し,こ れ が(食 糧 購 入 の た め に)換 金 作 物 へ の 依 存 を 増 大 さ せ,換 金 作 物 用 の 土 地 の 拡 大 が 必 要 と な る と い う,一 般 に み ら れ る 正 の フ ィ ー ドバ ッ ク の 循 環 速 度 を 鈍 らせ る こ とが で き た の で あ る 。 も し,畑 作 物 に 食 糧 の 自 給 を 依 存 し て い た な ら ば,急 速 な 耕 地 不 足 と 森 林 破 壊 を お こ し て い た で あ ろ う [ELLEN 1979]o
マ ル ク諸 島 に お け る チ ョ ウ ジ の 生 産 と交 易 は,歴 史 的 に ヨ ー ロ ッパ 諸 国 の 介 入 や オ ラン ダ に よ る 独 占 な ど に よ り,さ ま ざ ま な 変 遷 と消 長 を 繰 り返 して き た が,現 在 で も 換 金 作 物 と し て 重 要 な 位 置 を 占 め て い る 。 そ し て,マ ル ク 諸 島 の 大 部 分 の 農 村 は,サ
ゴ澱 粉 依 存 と香 料 を 含 む 換 金 作 物 の 栽 培 と い う基 本 的 な 生 業 形 態 を 維 持 し 続 け て い る 。
近 年 の イ ン ドネ シ ア の め ざ ま しい 経 済 的 発 展 に と も な い,古 くか ら 世 界 的 交 易 シ ス
国立民族学博物館研究報告 22巻2号 テ ムに組 み 込 まれ なが ら も,伝 統 的生 業 様 式 を保 持 して きた セ ラム島 の 諸 農村 に も, 交 通 網 の発 達,経 済 発 展 の も とで の 開発 とい う近 代 化 の波 が押 し よせ て い る。 他 方,
インドネシア の 人 口の稠 密 な 島 か ら希 薄 な 島 へ の移 住 政 策,セ ラム島 内 で の 内陸 部 か ら海岸 部 へ の 移住 に よ り,セ ラ ム島農 村 の人 口構 造 や 社 会 も変 容 しつ つ あ る。 生 業 の 点 で は,近 年 に お け る カ カ オな どの新 しい換 金作 物 の追 加 や食 糧 作 物 生産 の重 要 性 が 増 加 した こ とな どの変 化 がみ られ るIELEN 1988】。
一方,生 態 人 類 学 で は,自 然 環 境 お よび社 会 ・経 済的 変 化 に対 処 す る単 位 と して, 集 団 で は な く,個 人 あ るい は世 帯 を 重 視 し,集 団 内 で の多 様 性 とそれ を 生 み だ す 諸要 因,そ して 個 人 や 世 帯 の意 志 決 定(decision‑making)の プ ロセ ス に 焦 点 を あ て る と い う研 究 が 注 目 され て い る 【McCAY 1978;ORLOVE l980;VAYDA l986;VAYDA and McCAY 1975]。 具 体 的 に は,伝 統 的 な 自給 経 済 の も とに あ る集 団 が 自然 環 境 の 変 動 や 人 口増 加,よ り大 きな社 会 ・経 済 的 シス テ ムへ の包 含 に直 面 した時,そ の 対 応 策 と して と られ る土 地 利 用 や 資源 利 用 の 変更 や 組 替 え,食 糧 作 物,換 金 作 物 お よび 賃 労 働 の間 の選 択,そ して そ の結 果 と しての栄 養 や 健 康 へ の影 響,集 団 内 の社 会 的 ・経 済 的 格 差 の 助 長,社 会 構 造 の 変 化 な ど が 重 要 な テ ー マ と な っ て い る 【BA肌ETT
l980;CAsHDAN l990;CHIBINIK 1980;DEWEY l981;DEWALT l975;GRoss and UNDERWOOD 1971;RUTZ 1977]0
本論 文 は,チ ョウジ をは じめ とす る換 金 用樹 木 作 物 の 栽 培,焼 畑 に よ る 自給 用 食 糧 食 物 の生 産,サ ゴ澱 粉 作 り,そ して前 浜 での漁撈 を組 み 合 わ せ て生 計 を 営 む セ ラム 島 の サ フ ラ ウ(Sahulau)村 で,上 述 の生 態 人類 学 的観 点 か ら世 帯 を調 査 単 位 と し,世 帯 間 に み られ る生 業 パ タ ン と多 様 な食 物 資 源 の利 用 に焦 点 を あ て,そ の 実 態 とそれ を 生 み だ して い る諸 要 因 を 明 らか に す る こ とを 目的 と して い る。 さ らに,移 住者 と,も と も との住 民(先 住 ク ラ ンに属 す る人 々)と の 間 の資 源 利 用 と生 業 パ タ ソの違 い を検 討 す る。
調 査 は,平 成8年 度文 部 省 科 学 研 究補 助 金(国 際学 術 研 究),「 東南 ア ジ アの 海 域世 界 に お け る環 境 利 用 とそ の現 代 的 変 容 の研 究 」(研 究 代表 者 秋 道 智 彌)の 一 部 と して, 1996年8月 か ら9月 に か け て実 施 され た。
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Ⅱ.調 査 地,調 査 方 法,生 業 活 動
1.サ フ ラ ウ 村
調 査 地 の サ フ ラ ウ村 は,セ ラ ム 島 南 岸 の エ ル パ プ テ ィ ー(Elpaputih)湾 に 面 す る マ ル ク 州 中 部 マ ル ク 県 ア マ ・・イ(Amahai)郡 の1つ の 村(desa)で あ り,郡 の 中 心 地 マ ソ ヒ(Masohi)の 町 か ら 湾 を 一 周 し て,島 の 南 岸 に 沿 っ て 走 る 舗 装 道 路 を 通 っ て70kmの 位 置 に あ る(図1)。 マ ソ ヒ と 島 の 西 部 の 東 端 の 町 カ イ ラ ト ゥ(Kairatu) は,ア ン ボン と の 間 に フ ェ リ ー で 結 ば れ て い て,こ れ ら の 町 の 間 に 走 る バ ス を 利 用 し て,村 か ら町 に で る こ とが で き る。
村 の 住 宅 は,舗 装 道 路 の 両 側 に 沿 っ て 細 長 く広 が り,こ の 道 路 た 沿 っ て,公 共 施 設 と して 小 学 校,診 療 所(医 師1名,看 護 士 と看 護 婦 あ わ せ て 数 名),カ ト リ ッ ク と プ ロ テ ス タン トの 教 会 が そ れ ぞ れ1つ,イ ス ラ ム 寺 院 が1つ 建 て られ て い る 。 村 内 に は い くつ か の 小 商 店 が あ り,コ メ,パ ソ,菓 子 類 な ど の 食 料 品 や ジ ュ ー ス 類,石 鹸 な ど の 日用 雑 貨 な どが 売 ら れ て い る 。 村 の 商 店 や 隣 村 の リア ソ(Liang)に あ る,よ り大 き な 商 店,あ る い は マ ソ ヒの 町 の 市 場 や 商 店 で,村 民 は 生 活 物 資 を 購 入 す る 。 小 学 校 の 先 生,診 療 所 関 係 者,ゴ ム ノ キ(Hevea brasiliensis)や コ コ ヤ シ(Cocos nucifera)の 公 営 プ ラン テ ー シ ョン の 職 員 の 世 帯 を 除 く と,調 査 時 の 村 の 世 帯 数 は
102,人 口 は524人 で あ った 。 カ ト リ ッ ク,プ ロ テ ス タ ソ ト,イ ス ラ ム教 の 信 者 数 の 比 は,1:40:9と プ ロ テ ス タン トが 圧 倒 的 に 多 い 。 村 民 の 中 に は,こ の 土 地 に も っ と も 古 くか ら住 ん で い る9つ の 家 系(な い し は 父 系 ク ラ ンSOQ,同 じ名 字margaを 持 つ)
図1 セ ラム 島 と調 査 地
国立民族学博物館研究報告 22巻2号 に 属 す る 人 た ち が い て,村 の 社 会 ・政 治 の 中 心 的 役 割 を は た して い る。 た とえ ば,村 長 は 代 々 か れ ら の 中 か ら選 ば れ て い る 。 か れ ら の 祖 先 は,19世 紀 の 終 り頃 に 内 陸 部 か
ら移 住 し て き た と い わ れ て い る 。 世 帯 主(男)が こ れ ら の 家 系 に 属 す る 世 帯 は,全 世 帯 数 の32%を 占 め て い る 。 そ の 他 の 世 帯 は,比 較 的 新 し く移 住 して き た(世 帯 主 本 人 お よ び そ れ 以 上 の 世 代 が 移 住 し て き た 場 合 を 含 む)。 こ れ ら 新 しい 移 住 世 帯 の 出 身 地 が も っ と も 多 い の は,同 じセ ラ ム 島 の 他 村 か ら で あ り,全 移 住 世 帯 の34%(ア マ ハ イ 郡 か ら は17%),隣 接 す る サ パ ル ア(Saparua),・ ・ル ク(Haruku),ア ソ ボ ン(Am‑
bon)の 島 々 か ら あ わ せ て11%で あ る 。 ま た,マ ル ク州 の 他 地 域 か ら は8%,他 州 か ら は 残 りの47%で あ る 。 後 者 の うち,ジ ャ ワ 島 か ら の 移 住 世 帯 が19%,「 サ フ ラ ウ 王 国 」 の 建 設 者 の 出 身 地 で あ る と い う伝 説 の あ る ス ラ ウ ェ シ の ブ ト ソ(Buton)島 か ら が11%を,そ れ ぞ れ 占 め て い る こ と が 注 目 され る 。
土 地 の 言 語 は オ ー ス ト ロ ネ シ ア 語 族 に 属 す る ウ ェ マ レ(Wemale)語 で あ る が,村 で 日 常 的 に 話 さ れ て い る の は イ ン ドネ シ ア 語 で あ り,ウ ェ マ レ語 を 自 由 に 話 す こ とが で き る の は 数 人 の 老 人 に す ぎ な い 。
舗 装 道 路 に ほ ぼ 平 行 に は し る海 岸 線 か ら 内 陸 の 平 地 と,そ の 北 側 の 山 地 の 一 部 が 村 の 土 地 で あ る(図2)。 こ の 平 地 を 網 の 目 の よ うに 流 れ る 小 川(村 の 東 西 に 流 れ る2 つ の 大 き な 川 に 注 ぐ)に 沿 っ た 湿 地 に サ ゴ ヤ シ林 が 形 成 さ れ て い る。 サ ゴ ヤ シ 林 は ほ ぼ 純 林 と い っ て よ く,お そ ら く他 の 樹 木 を 伐 採 して サ ゴ ヤ シ の 生 育 環 境 を 整 備 した り, 移 植 した り し て 管 理 し て い る の で あ ろ う。 湿 地 以 外 の 平 地 は,宅 地 と砂 浜 を 除 き,樹 木 作 物 の 小 さ な 林 か 畑,あ る い は 休 閑 地 とな っ て い て,原 生 林 の よ うな 人 手 の 入 っ て い な い 土 地 は な い 。 宅 地 を 除 く村 の 土 地 の 面 積 は336haで あ り 【KANToR STATISTIK l989】,1世 帯 が 利 用 で き る 土 地 の 平 均 面 積 は3haほ ど で あ る 。
村 の 平 地 は,公 営 の プ ラ ン テ ー シ ョ ン に 囲 ま れ て い る。 こ の プ ラ ン テ ー シ ョ ソ の 東 側 と西 側 に は そ れ ぞ れ 別 の 村 の 土 地 が 広 が り,北 側 の 山 地 の 南 側 斜 面 は サ フ ラ フ村 民 の チ ョ ウ ジ 林 と な っ て い る 。 プ ラ ン テ ー シ ョ ンの 土 地 は サ フ ラ フ 村 民 か ら提 供 され た
も の で あ る 。
村 の お も な 生 業 は,農 業,サ ゴ澱 粉 作 り,漁 業,家 畜 飼 育 か ら な り,野 生 の 食 用 動 植 物 も利 用 さ れ る 。 農 作 物,サ ゴ 澱 粉,魚 類 と もに 自 給 用 と販 売 用 を か ね る が,換 金 用 樹 木 作 物 の 香 料(チ ョ ウ ジ)や カ カ オ は 村 で は 消 費 しな い し,家 畜(と くに,ウ シ や ブ タ)も 生 き た ま ま業 者 に 売 る こ と が 主 目的 で あ る 。
1990年 か ら5年 間 の ア マ ハ イ の 測 候 所 の 記 録 に よ れ ば,年 降 水 量 は 平 均1550mm で,3月 か ら6月 に か け て が 雨 季 で こ の4ヶ 月 に1年 の 降 水 量 の 約65%が 集 中 す る 。
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図2 サ フ ラ ウ村 の土 地 利 用
気 温 は 年 較 差 が 小 さ く,1日 の 平 均 気 温 は 最 低 と 最 高 の 月 で,そ れ ぞ れ24.0。Cと 27.7。Cで あ った 。 ま た,1年 中 湿 度 が 高 く,平 均85。6%で あ っ た 。
2.調 査 方 法
世 帯 を調 査 単 位 に,生 業 活 動 と食物 摂 取 に つ い て の ア ンケ ー ト用 紙 を 高学 年 の 小学 生 に配 付 し,親 に 聞 い て 自分 で記 入 す るか,親 に 記 入 して も ら うよ うに依 頼 した。 生
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業 活 動 に つ い ては,小 学 生 の い ない 世 帯 も追 加 した 。
生 業 活動 につ いて は,農 業,サ ゴ澱 粉作 り,漁 業,家 畜 飼 育,狩 猟 とそ の他 の 野生 食 物 資 源 の利 用 にわ け て 質 問 を設 定 した 。農 業 に関 して は,そ の世 帯 が 栽培 してい る 樹 木 作 物 や 畑 の作 物 の種 類 と月 あた りの 収 入 につ いて 質 問 した。 サ ゴ澱 粉作 りにつ い て は,こ の 活動 を行 う場 合,サ ゴヤ シ所 有 の 有無,粉 砕機 使 用 の有 無,1月 の処 理 本 数 と収 入 に つ い て質 問 した 。
漁 業 の質 問事 項 は,漁 船(カ ヌー)の 所 有 の有 無,従 事 す る漁 法 の種 類,1月 の出 漁 日数 と収 入 で あ る。 家 畜 飼 育 に つ い ては,そ の種 類,狩 猟 に つ い ては,猟 法 と狩 猟 対 象 の種 類,そ の他 食 物 と して利 用 す る植 物 と小動 物 の種 類 に つ い て問 うた 。本 論 文 で 分 析 の対 象 と した の は,農 業,サ ゴ澱 粉 作 り,漁 業 につ いて の 回答 であ る。 少数 の 世 帯 で は,店 か らの収 益,ヤ シ酒 や油 の製 造 と販 売 な どの収 入 もあ るが 調 査 の対 象 と しな か った。 また,日 雇 い労 働 に よる賃 金 収 入 や 家畜 販 売 に よ る収 入 は 不 定 期 で あ る た め,アンケート か ら除外 した 。アンケート の 回 答 を 回収 で きた50世 帯 を 分 析 の 対 象 と し,収 入 に関 して は,こ の うちの38世 帯 を 分 析 対 象 と した 。 小 学校 の先 生,診 療 所 関 係 者,公 営 プ ラ ンテ ー シ ョンの職 員 な ど給 与 所 得 の あ る世 帯 は,ア ンケ ー ト調 査 の 対 象 外 と した。
食 物 摂 取 のアンケート で は,朝,昼,晩 の1日3食 に つ き,主 食 と副食 に分 け て 食 卓 に 出現 した食 物 を1週 間 にわ た って 記 録 して も ら った 。 主食,副 食 と もに,あ らか じめ 質 問 表 に 種類 を記 入 して お き,食 卓 に 出 た ものを チ ェ ック して も ら った。 主 食 で は,コ メ,サ ゴ澱 粉,パ ソ,イ モ,バ ナナ,そ の他 で,イ モ とそ の他 で は そ の種 類 を 記 入 して も ら った。 副 食 で は,肉,魚,野 菜,卵,そ の他 に 分 け,そ れ ぞれ の種 類 を 記 入 して もら った。 また,1月 の食 費 とお もな購 入 食 物 に つ い て の質 問 も した。1週 間 のす べ ての 食 事 に 回答 が あ り,食費 に つ い て も回 答 の あ った23世 帯 を分 析 に 用 い た。
基礎 的 デ ー タの 収集 と して,各 生業 活 動 の 直 接観 察,畑 や 換 金 用樹 木 作物 の林 の観 察 と計測,お よび世 帯 構 成 や 出身 地 な どの人 口や 社 会 関 係 に 関す る聞 き込 み を 行 った。
3.生 業 活 動
農 業1
農 作物 は,自 給 的 作物 と換 金 用 作物 に分 け られゐ が,両 方 に利 用 され る もの もあ る。
前 者 に は,イ モ 類,バ ナ ナ,野 菜 類,ト ウ モ ロ コ シ,そ し て 果 樹 が 含 ま れ る。 当 地 も 含 め セ ラ ム 島 で は コ メ は 栽 培 さ れ て い な い 。 イ モ 類 の な か で も っ と も 生 産 量 が 多 い の は キ ャ ッ サ バ(Manihot esculenta)で,つ い で サ ツ マ イ モ(lpomoea batatas)が 重
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要 で あ る 。 タ ロ イ モ(Colocasia esculenta),タ ニ ア(Xanthoso〃to sagittifolium),ヤ ム イ モ(Dioscorea spp.)は,作 付 け 量 も 少 な く,食 事 に 変 化 を あ た え る 程 度 の 重 要 性 し か な い 。 バ ナ ナ(Musa spp.)は 数 多 く の 品 種 が 栽 培 さ れ て い る が,ほ と ん ど が 調 理 し て 食 さ れ る も の で,熟 し た も の を 生 食 す る も の は 少 な い 。 ト ウ モ ロ コ シ(Zea mの ・5)は,調 査 期 間 中 は 収 穫 期 を は ず れ て い た の で 正 確 に は わ か ら な い が,重 要 性 は そ れ ほ ど 高 く な い よ う だ 。
副 食 に 利 用 さ れ る 野 菜 に は ナ ス(Solanum rnelongena),サ サ ゲ(Vigna sinensis), タ マ ネ ギ(Allium cepa),ト マ ト(Lycopersicon esculentum),キ ャ ベ ツ(Brassica oleracea),カ ボ チ ャ(Curcubita pepo),ト ウ ガ ラ シ(Capcicum annuum),シ ョ ウ ガ
(Z'〃8竃ゴ∂εア6が(ゴ〃ale),ツ ル レ イ シ(Mo〃zordica charantia)な ど の よ う に 畑 に 栽 培 さ れ る も の の 他 に,栽 培 も さ れ る が 放 棄 さ れ た 畑 や 水 辺 に 自 生 し て い る ア マ ラ ソ ス (A〃taranthus spp.)と"カン クン'(kankung:Ipomoea aquatica)が あ り,重 要 な 副 食 の 材 料 と な っ て い る 。 後 述 す る よ う に,も っ と も 頻 繁 に 副 食 の 材 料 に な る の は,キ
ャ ッ サ バ の 若 葉 で あ り,パ パ イ ヤ(Carica///の 切 や 半 栽 培 状 態 の グ ネ ツ ム (Gnetum gnemon)の 若 葉 も 利 用 さ れ る 。 タ マ ネ ギ,ト マ ト,ト ウ ガ ラ シ,ニ ソ ニ ク, シ ョ ウ ガ は ほ と ん ど す べ て の 副 食 の 調 理 に 使 わ れ る サ ン バ ル(sambal)の 材 料 で あ る 。 キ ュ ウ リ(Cucumis sativus),ス イ カ(Citrullus vulgaris),サ ト ウ キ ビ(Sac‑
charu〃z edule)は お や つ 用 で あ る 。
果 樹 は,宅 地 内 に 植 え ら れ て い る こ と が 多 い 。 お も な 樹 種 と し て,ド リ ア ソ (Durio.zibeth in us),ラ ソ ブ タ ソ(1>ephelium lappaceum),マ ン ゴ(Mangifera spp.),
ラ ソ サ(Lansium domesticum),パ ン ノ キ(A rtocarpus incisa),パ ラ ミ ツ(A rtocar‑
pus heterophyllus),フ トモ モ(Eugen ia jambos),タ マ ゴ ノ キ(Spondias cytherea), オ レ ン ジ(Citrus sinensis),ラ イ ム(Citrus aurantifolia)な ど が あ る 。
換 金 作 物 の 代 表 は,チ ョ ウ ジ で あ る 。 畑 の 周 辺 の と こ ろ ど こ ろ に 小 さ な チ ョ ウ ジ 林 が あ る 。 ま た,前 述 の よ う に 北 側 の 丘 陵 地 が 最 大 の チ ョ ウ ジ 林 と な っ て い る 。 元 来 は 野 生 種 で あ る が,現 在 は ほ と ん ど が 植 樹 さ れ た も の で あ る 。 乾 燥 さ せ た も の で 出 荷 値 はlkgあ た り1,500Rp(調 査 時 で,約lRp=0.05円)で あ り,十 分 に 成 長 し た 木 か ら は,1シ ー ズ ン あ た り,10,000Rpほ ど の 収 穫 が あ る と い う。 コ コ ヤ シ も い た る と こ ろ に 植 え ら れ て い る 。 コ ブ ラ と し て 出 荷(1kgあ た り800 Rp)し た り,村 に あ る ヤ シ 油 製 造 所 に 売 る(生 で1kgあ た り100 Rp)。 も ち ろ ん,自 家 用 と し て コ コ ナ ツ ミ ル ク を 調 理 に 使 う 。 近 年,換 金 作 物 と し て チ ョ ウ ジ に と っ て か わ り つ つ あ る の が カ カ オ(Theobroma cocao)で あ る 。 チ ョ ウ ジ が 年h値 下 が り し て い る こ と に く わ え て,
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収 穫 作 業 が 格 段 に 容 易 で あ る こ と な ど が そ の 理 由 で あ ろ う。 チ ョ ウ ジ は 木 に 登 っ て, 枝 の 先 の 小 さ な 花 蕾 を 大 量 に 採 取 し な け れ ば な らず,作 業 に は 危 険 も と も な う。 カ カ オ は 比 較 的 低 木 で 大 き な 実 を 収 穫 す れ ぽ よ い 。 カ カ オ は 乾 燥 さ せ た も の でlkgあ た り2,000Rpで あ る。 ま だ,植 樹 され て か ら 年 数 が た っ て い な い の で,村 全 体 と し て 収 穫 量 は 多 くな い 。 ま た,2〜3年 前 か ら,村 民 に よ る ゴ ム ノ キ の 栽 培 が は じめ ら れ た が,樹 液 の 採 集 は ま だ 開 始 さ れ て い な い 。
サ ト ウ ヤ シ(Arenga prnnata)は,樹 液 を 採 集 し て 蒸 留 酒(sopi)を 作 る た め に 栽 培 さ れ て い る 。 村 に は 蒸 留 所 が 数 箇 所 あ る 。 コ コ ヤ シ に く ら べ れ ば ご くか ぎ ら れ た 本 数 しか 植 え ら れ て い な い が,蒸 留 元 は 立 木1本 を25,000Rpで 買 う。 蒸 留 酒 は500 cc ほ ど で2,000Rpで あ り,ほ と ん ど が 村 内 で 消 費 さ れ る 。 ナ ソ キ ソ マ メ(Arachis hypogaea)も 多 くは な い が 換 金 用 に 栽 培 さ れ て い る(750 Rp/kg)。 村 で 収 穫 さ れ た
自給 用 の 作 物 も 村 内 や 隣 村 の リ ア ソ で 販 売 さ れ て い る 。 村 内 で は 舗 装 道 路 に そ っ て4 箇 所 ほ ど に 備 え 付 け ら れ た ス タ ソ ドに,毎 朝 イ モ 類 や 野 菜 が つ ま れ,即 売 さ れ る 。 そ れ ら は,畑 を 持 た な い 学 校 の 先 生,ゴ ム公 社 の 職 員,診 療 所 関 係 者 の 世 帯,ま た 畑 を 持 つ 村 民 で も欲 しい 作 物 の 収 穫 が た ま た ま な い も の に よ っ て 購 入 さ れ る。 果 実 で 現 金 収 入 に な る の は,ド リ ア ン と パ ラ ミツ で あ る。 どの 村 で も生 産 し て い る の で,ほ とん
ど が 村 内 で 販 売 さ れ る 。 前 者 は 大 き い も の で1個,小 さ い も の が3個 で1,000Rpで あ る が,豊 作 で 多 くで まわ る と値 崩 れ す る 。 後 者 も1個1,000Rpで あ る 。 畑 は 焼 畑 の 方 法 で 作 ら れ る が,村 の 土 地 に は 新 し く開 く森 林 や 十 分 に 成 長 した2次 林 は 存 在 し な い 。 した が っ て,休 閑 期 は 短 くて,叢 林 の 状 態 で 新 た に 焼 畑 が 作 ら れ る 。 樹 木 作 物 は 種 類 ご と に ま と め て 植 え ら れ,そ れ ぞ れ 小 さ な 林 を 作 っ て い る 。畑 に は, バ ナ ナ や キ ャ ッサ バ の 単 作 の 畑 の あ る が,さ ま ざ ま な 作 物 が 種 類 ご と に 分 け られ て 植 え ら れ て い る の が 一 般 的 で あ る 。1つ の 畑 の 広 さ は,0.1haに 満 た な い も の か ら15 haほ ど の 大 き な 畑 ま で さ ま ざ ま な 規 模 の も の が あ る が,か な りの 面 積 の 自 給 作 物 用
の 畑 が,こ こ2〜3年 で カ カ オ 畑 に 転 換 さ れ た 。 後 に 詳 し く分 析 す る が,す べ て の 世 帯 が 自 給 作 物 用 の 畑 を も っ て い る の に た い し て,換 金 用 の 樹 木 作 物 に 関 し て は,す べ て の 世 帯 が す べ て の 樹 種 を 所 有 し て い る わ け で は か な ら ず し も な い 。 ア ン ケ ー トの 回 答 に よれ ば,チ ョ ウ ジ,コ コ ヤ シ,カ カ オ,ゴ ム ノ キ の 所 有 世 帯 の 割 合 は,そ れ ぞ れ 全 体 の52%,76%,70%,24%で あ っ た 。
家 畜 飼 育
ウ シ,ブ タ,ヤ ギ,イ ヌ,ニ ワ ト リ,ア ヒ ル の5種 類 が 飼 わ れ て い る 。1987年 の 統 計 資 料 で は こ の 他 に ウ マ が あ る が,現 在 で は 飼 わ れ て い な か っ た 。 ウ シ や ブ タ は 仔 を
口蔵 ・野 中 ・須 田 ・須 田 移住 と生 業 戦 略
業 者 か ら買 い,成 長 させ て か ら 売 る と い う肥 育 を 目 的 と し た 飼 育 で そ の 差 額 が 収 入 と な る 。 ウ シ の 場 合,仔 ウ シ を150,000〜200,000Rpで 買 入 れ,数 年 で 十 分 な 大 き さ の 成 畜 を750,000〜900,000Rpで 売 る。 ブ タ は,牡 牝 の 仔 ブ タ の ペ ア を150,000 Rpで 買 い,成 畜 を1頭200,000〜300,000Rpで 売 る 。 ブ タ の 場 合 は 繁 殖 も 目的 と して い る 。 ヤ ギ を 飼 育 し て い る世 帯 は き わ め て 少 な い が,1頭 の 値 段 は45,000Rpで あ る 。 ニ ワ
ト リや ア ヒ ル は,自 給 用 や 販 売 の た め の 卵 を 得 る こ と と 肉 用 に 売 る こ と の た めV'飼 育 さ れ る。 卵 は1個300Rp,成 鳥 は1羽10,000〜20,000 Rpで あ る 。 イ ヌ は 狩 猟 用 に も 使 わ れ る が,食 用 に も な る。 ウ シや ブ タ は も ち ろ ん,自 分 で 飼 っ て い る ニ ワ ト リや イ
ヌ も 自 家 用 の 日常 的 な 食 事 の た め に 供 す る こ と は な い 。 あ る と し て も 祝 事,行 事,祭 りの な ど 特 別 の 時 だ け で あ る。 普 段 の 食 事 に は,町 の 市 場 で 購 入 し た 肉 を 用 い る。
アンケート の 回 答 に よ れ ば,ウ シ,ブ タ,ニ ワ ト リ,ア ヒ ル を 飼 育 し て い る 世 帯 は, そ れ ぞ れ,34%,6%,84%,22%で あ る 。
サ ゴ 澱 粉 作 り
サ ゴ澱 粉 は,村 民 に と っ て 最 大 の 食 物 エ ネ ル ギ ー 源 で あ る と 同 時 に 収 入 源 で あ る。
切 倒 した サ ゴ ヤ シ の 幹 を 半 分 に 割 り,先 端 に 竹 を 取 り付 け た サ ゴ 打 ち 棒 で 髄 を,た た い て 繊 維 を ほ ぐす 。 こ の 繊 維 くず を 集 め て,川 辺 に 設 置 さ れ た 濾 過 場 で 澱 粉 を 洗 い だ す 。 吊 り下 げ ら れ た 布 製 の 袋 に 繊 維 くず を 入 れ,水 を か け な が ら 手 で 絞 る 。 澱 粉 を 含 ん だ 水 は 沈 殿 槽(木 の 幹 を く りぬ い て 作 っ た も の や 古 く な った カ ヌ ー を 利 用)に 蓄 え ら れ て,澱 粉 が 沈 殿 す る の を ま つ 。 沈 殿 した 澱 粉 は,サ ゴ の 葉 を 編 ん で 作 った 円 筒 形 の 容 器(to〃ian)に 詰 め られ,容 器 を 含 め た 重 さ が20 kgほ ど に な る 。1本 の サ ゴ の 木 か ら,こ の 容 器 に 入 れ た も の が5〜15個 得 ら れ る 。
サ ゴ澱 粉 作 りは 男 の 仕 事 で あ る 。 普 通2人 が ペ ア に な っ て,髄 を た た く 仕 事 と繊 維 くず を 絞 る 仕 事 を 分 担 し,分 け 前 は 半 々 で あ る 。販 売 を 目的 に 大 量 生 産 を す る た め に, サ ゴ の 髄 を 粉 砕 す る 機 械 も使 わ れ て い る。 発 動 機 で,表 面 に 鉄 の 突 起 が つ け られ た ド
ラ ム を 回 転 させ て 髄 を け ず る。 こ の 場 合,短 時 間 に 大 量 の 繊 維 くず が 生 産 さ れ る の で 4人 く ら い で チ ー ム を 作 り,複 数 の 濾 過 場 で 澱 粉 を 洗 い だ す 。 サ ゴ ヤ シ は 所 有 が 決 っ て い て(後 述),サ ゴ ヤ シ を 所 有 し て い な い 人 が サ ゴ澱 粉 作 りを す る場 合,所 有 者 か ら立 木 を 買 う(1本15,000〜20,000Rp)か,あ る い は 収 穫 量 の10〜20%を 所 有 者 に 収 め る の2通 りの 方 法 が あ る 。 容 器 入 りの サ ゴ 澱 粉1個 の 値 段 は4,000Rpで,作 ら れ た サ ゴ澱 粉 は 村 内 で 消 費 さ れ る と と も に,自 島 で の 需 要 を ま か な え な い 周 辺 の サ パ
ル ア 島 な ど に も 出 荷 さ れ る 。
ア ン ケ ー ト回 答 世 帯 の う ち,サ ゴ澱 粉 作 りを す る世 帯 は52%で あ る。 こ の う ち,サ
国立民族学博物館研究報告 22巻2号 ゴ ヤ シ を 所 有 して い る世 帯 は 約60%で あ る 。 ま た,粉 砕 機 を 使 う世 帯(チ ー ム で)は 35%で あ る 。1世 帯 あ た りの1月 の 処 理 本 数 は 平 均3.2本 で あ る 。
漁 業
村 の 前 浜 か ら 沖 合lkmく ら い ま で の 海 域 で,ダ ブ ル ・ア ウ ト リ ッ ガ ー 付 き の カ ヌ ー を 使 っ て 漁 を す る 。 カ ヌ ー は,大 木 を く りぬ い て 作 る丸 木 舟 で,長 さ が5〜6m, 幅40cmほ ど で あ る 。 木 製 の 擢 を 漕 い で 推 進 す る 。
釣 り漁 に は,手 釣 り,引 き な わ,竿 つ りが あ り,1度 の 出 漁 で こ れ ら3種 類 の 漁 が 行 わ れ る 。 手 釣 りで は,先 端 に 重 りを つ け,20〜30cm間 隔 に 小 さ な ニ ワ ト リ の 羽 の 擬 餌 針 を 取 り付 け た 長 い 釣 り糸 を 上 下 さ せ る 。 底 層 か ら 表 面 層 ま で の さ ま ざ ま な 魚 種 が 対 象 と な る 。 表 層 の ウ ル メ イ ワ シ(Etrumeus teres),中 層 の マ ル ソ ウ ダ(A uxis rochei)や ア ジ 類(Caranx spp., Alectis spp., Carangoides spp.),底 層 の フ エ ダ イ (Ludjanus spp.),フ エ フ キ ダ イ(Lethrinus spp.),ク ロ ダ イ(A canthopagrus sp.), マ ツ カ サ(Myripristis spp.),イ ッ ト ウ ダ イ(Fla〃zmeo spp.)な ど が 代 表 的 な 魚 種 で あ る。 手 釣 りを し な が ら 常 に 周 囲 に 気 を 配 っ て い る 。 カ ツ オ ド リの 群 を 発 見 す る と, 手 早 く 釣 り糸 を し ま い 込 み,全 力 で そ の 下 へ 向 う。 カ ツ オ(Euthynnus pela〃2紛 の
群 の 移 動 に 追 い 付 く と,4mほ ど の 長 さ の 竹 さ お の 先 に さ お と同 じ長 さ の 細 い 針 金 を 釣 り糸 に し て,そ の 先 に 取 り付 け られ た ニ ワ ト リの 羽 の 擬 餌 針 を 投 入 れ て カ ツ オ を 釣 る 。 しか し,そ の 場 所 に 着 い た 時 は カ ツ オ の 群 が 移 動 して し ま っ た 後 で あ る こ と の ほ うが 多 い 。 手 釣 りに く らべ る と か な り大 き な 釣 り針 を 使 う。 漁 場 へ の 移 動 時,す な わ ち,カ ヌ ー を 漕 い で い る 時 は 必 ず,木 の 浮 き を 付 け,先 に カ ツ オ の 竿 釣 りと 同 じ釣 り針 を つ け た も の を 曳 く。 カ ツ オ,ス マ(Euthynnus姫 〃〃3),イ ソ マ グ ロ((,y〃2‑
rtosarda unicolor),マ グ ロ類(Thunnus spp.)な ど が か か る こ とが あ る。 釣 り漁 で は, 以 上 の3セ ッ トの 漁 具 を 使 っ て,早 朝 か ら昼 す ぎ ま で 漁 を 続 け る 。
ナ イ ロ ン製 の 刺 網 は,比 較 的 海 岸 線 に 近 い と こ ろ に 夕 方 設 置 し,早 朝 網 を あ げ る 。 潮 汐 の 関 係 に も よ る が,夜 間 の 満 潮 時 に 岸 近 くに く る 魚 が 網 に か か る。 ア ジ 類,タ カ サ ゴ(Caesio spp.),ヒ メ ジ(Upeneus spp.),タ イ ワ ソ ダ ツ(Strongylura leiura), カ マ ス(Sphyraena spp.),ボ ラ(Crenimugil crenilabis)な ど が 対 象 と な る 。 突 刺 し 漁 は,海 岸 線 近 く の 浅 海 や 河 口附 近 で,潜 水 し て 岩 影 に か くれ た 魚 を 手 製 の 水 中 銃 で ね ら う。 針 金 の 先 を 尖 ら せ た 鈷 を ゴ ム 仕 掛 け で とば す 。
専 業 の 漁 家 は な く,自 家 消 費 を うわ ま わ る 漁 獲 物 は 村 内 の 他 世 帯 に 売 ら れ る 。1尾 が300〜5009の マ ル ソ ウ ダ,小 型 の ア ジ 類 や ヒ メ ジ な ど は350〜500Rp/kg,大 型 の
ヒ ラ ア ジ 類,カ ツ オ,キ ハ ダ な ど は1,000〜1,500Rp/kgで あ る。 ア ン ケ ー トの 回 答
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で は,漁 業 に 従 事 す る世 帯 は60%,漁 業 従 事 世 帯 の70%が カ ヌ ー を 所 有 し て い る 。 釣 り漁 だ け を 行 う世 帯,刺 網 漁 だ け を 行 う世 帯,そ の 両 方 を 行 う世 帯,突 刺 し漁 だ け を 行 う世 帯 の 比 率 は,そ れ ぞ れ65.4%,19.2%,3.9%,11.5%で あ る 。
狩 猟 お よ び 野 生 食 物 の 利 用
狩 猟 は,イ ノ シ シ(Sus Scrofa, Sus barbatus)と シ カ(Cervus timorensis)を 対 象 に,イ ヌ を 使 っ て 追 跡 させ 追 い つ め て 槍 で 突 き 刺 す 方 法 とハ ネ ワナ の2種 類 が あ る 。 しか し,村 の 周 辺 に は サ ゴ ヤ シ 林 か 樹 木 作 物 の 林 しか 残 され て い な い し,そ の 周 囲 は 広 大 な ゴ ム 園 に 囲 ま れ て い る 。 獲 物 の 生 息 す る 森 林 が 残 され て い る 山 は か な り離 れ て い る の で,狩 猟 は め っ た に 行 わ れ な い 。 泊 ま りが け で 行 く狩 猟 に 従 事 す る と答 え た 世 帯 は14%に す ぎ な い 。 朽 ち た サ ゴ ヤ シ の 幹 に 生 息 す る オ サ ゾ ウ ム シ(Rhynchophorus sp.)の 幼 虫 は ほ と ん ど の 世 帯 で 利 用 さ れ る(サ ゴ ヤ シ を 所 有 し な い 世 帯 で も 採 集 で
き る)。 ミ ツ バ チ(Apis cerana)の 幼 虫 や ハ チ ミ ツ も採 集 さ れ る。 砂 浜 の 深 い 穴 に 生 まれ た ツ カ ツ ク リ(Megapodius wallacei)の 卵 も採 集 さ れ る 。 そ の 他,陸 生 や 水 生 の 小 動 物 の カ ニ,貝 類,カ メ,ヘ ビ,ト カ ゲ な ど も 食 用 と され て い る 。
野 生 食 用 植 物 で 利 用 さ れ る も の は,前 述 の 半 栽 培 状 の 種 を 除 け ぽ シ ダ類,タ ケ ノ コ, キ ノ コ く ら い で あ る 。動 植 物 と も に 野 生 食 用 資 源 の 村 民 へ の 貢 献 は わ ず か に す ぎ な い 。
皿.生 業 パ タ ンと現金 収 入
1.生 業 パ タ ソ と現 金 収 入 の 世 帯 間 変 異
各 世 帯 の 生 業 は,基 本 的 に 農 業,サ ゴ澱 粉 作 り,漁 業 の3種 類 の 生 業 活 動 の 組 み 合 わ せ で 構 成 さ れ る 。 農 業 の み(Aタ イ プ),農 業 お よ び サ ゴ澱 粉 作 り(Bタ イ プ),農 業 お よ び 漁 業(Cタ イ プ),そ し て3種 類 す べ て に 従 事(Dタ イ プ),の4種 類 の 生 業
パ タ ン に 区 別 さ れ る(表1) 。
も っ と も 多 い の はDタ イ プ で,調 査 世 帯 の34.0%を 占 め,ぎ ゃ くに も っ と も 少 な い の はBタ イ プ の18.0%で あ る が,4種 類 の 生 業 パ タ ン の 頻 度 に は 極 端 な 差 は な い 。 ア ソ ケ ー トで 回 答 を 得 た50世 帯 の うち,38世 帯 で は 収 入 の 金 額 の 回 答 を 得 た 。 こ れ ら の 世 帯 あ た り の1月 の 農 業 収 入 は,最 高 で60,000Rp,平 均 で21,800 Rpで あ る 。 38世 帯 の 約8割 が30,000Rp以 下 で あ る(表2)。
前 述 の よ うに,チ ョ ウ ジ の 価 格 の 低 迷 に よ り換 金 用 樹 木 作 物 の 中 心 は,カ カ オ に 移 りつ つ あ る 。 調 査 年 で は チ ョ ウ ジ の 収 穫 の ピ ー ク で あ る7〜9月 で も,ほ と ん ど の 世
国立民族学博物館研究報告 22巻2号
表1 生 業 パ タ ンの分 類 と頻 度
生 業 パ タ ン 世 帯数 a
農 業(A)
農 業+サ ゴ澱 粉 作 り(B) 農 業+漁 業(C)
農業 十 サ ゴ澱 粉 作 り十漁 業(D)
11 9 13 17
zz.o l8.0 26.0 34.0
合計 50 ioa.o
表2 生業 活 動 別 収 入(38世 帯) 生業の種類 回答数 収入あ り 収入な し 総 計
(Rpx1000)
変異幅(/
月) 平均
(/月) 農業
サ ゴ澱 粉作 り 漁業
38 36 2 22 22 0 23 20 3
828 943 354
1 .1 10^‑100
0^‑40
21.8 42.9 15.4
帯 が 収 穫 を し て い な か っ た 。 一 方,カ カ オ は 植 え て か ら年 数 が 少 な く ま だ 収 穫 が 得 ら れ な い 世 帯 が 多 い 。 調 査 年 は チ ョ ウ ジ の 収 穫 の 放 棄 と カ カ オ の 本 格 的 な 収 穫 の 開 始 前
と い う,商 品 作 物 に よ る 収 入 が 低 下 して い る時 期 と み な す こ とが で き よ う。 こ の こ と が ア ン ケ ー トの 回 答 に反 映 し て お り,通 常 年 の 村 の 農 業 収 入 の レ ベ ル は ア ン ケ ー トで 得 られ た も の よ り も高 い 可 能 性 が あ る 。
サ ゴ澱 粉 作 りで は,粉 砕 機 を 使 う世 帯(7世 帯)と 使 わ な い(サ ゴ打 ち 棒 で 処 理) 世 帯(15世 帯)で,1ヶ 月 に 処 理 す る サ ゴ ヤ シ の 本 数 と 収 入 に 大 き な 差 が あ る。 前 者 で は,世 帯 あ た り平 均5.86本,77,100Rpで あ っ た の に 対 して,後 者 で は そ れ ぞ れ, 1.93本,26,ラ00Rpで あ っ た 。 処 理 本 数 と収 入 の 両 方 で,前 老 は 後 者 の 約3倍 で あ る 。 サ ゴ澱 粉 作 りの 世 帯 あ た りの 平 均 収 入 は,42,900Rp/月 と 農 業 収 入 の2倍 で あ る 。 漁 業 収 入 は3種 類 の 生 業 活 動 の な か で は,収 入 が も っ と も 低 く15,400Rp/世 帯/月 で あ った 。 漁 業 従 事 世 帯 の35%は,漁 業 収 入 が 月10,000Rp以 下 で あ っ た 。
生 業 パ タ ソ別 に 収 入 を 比 較 す る と,4つ の タ イ プ 間 で 平 均 値 の 差 が きわ め て 大 き か っ た(表3)。A, C, Dの3タ イ プ で は,生 業 活 動 の 数 が 増 え る ほ ど,収 入 が 約2 倍,3倍 と増 加 して い く。 し か し}も っ と も 収 入 の 多 い タ イ プ はBタ イ プ で あ り,A, C,Dの 生 業 タ イ プ の そ れ ぞ れ,3.8倍,1.9倍,1.2倍 で あ っ た 。 これ は,も っ と も 収 入 の 多 い,粉 砕 機 使 用 の サ ゴ澱 粉 作 り世 帯 がBタ イ プ に 集 中 す る か ら で あ る(Bタ
イ プ の8世 帯 中,5世 帯)。
各 生 業 タ イ プ に お け る 個 々 の 生 業 活 動 で 得 られ た 収 入 を 比 較 す る と,農 業 の 場 合,
口蔵 ・野 中 ・須 田 ・須 田 移住 と生業戦略
表3 生 業 タイ プ別 に み た世 帯 あ た りの 平均 月収 収 入(Rp×1000) 生 業 パ タ ン 世帯数
農業 サ ゴ澱 粉 作 り 漁業 合計
A 7 150
一 一
150(21.4) (21.4)
B 8 180 467
一
647(22.s> (58.4) (so.9>
C 9 175
一
216 391(19.4) (24.0) (43.4)
D 14 323 476 138 937
(23.1) (34.0) (9.8) (66.9)
全世帯 38 828 943 354 2125
【21.8】
[42.9] [15.4] (55.9)():世 帯 あ た りの平 均値 。 【1:従 事 世 帯 あ た りの平 均 値 。 表4 生 業 タイ プ別 出漁 日数
生 業 パ タ ン
出漁 日数/月
0〜
5^‑ 10^一
15^一C D
2 6
1 3 7 1
3 一
4つ の タ イ プ の 平 均 値 に ほ と ん ど 差 が な い 。 しか し,Bタ イ プ とDタ イ プ の サ ゴ澱 粉 作 り,Cタ イ プ とDタ イ プ の 漁 業 の 平 均 収 入 に は 大 き な 差 が あ る 。 サ ゴ 澱 粉 作 りの 場 合 は,前 述 の よ うに 粉 砕 機 使 用 の 世 帯 がBに 集 中 して い る た め で あ る。Bタ イ プ はDタ イ プ の 収 入 と処 理 本 数 で,そ れ ぞ れ1.7倍,1.9倍 で あ っ た 。
Cタ イ プ の 漁 業 収 入 は,Dタ イ プ の 約2.5倍 で あ っ た 。 ま た,両 タ イ プ の1ヶ 月 の 出 漁 日数 に は 有 意 な 差 が み られ,こ れ が 収 入 の 差 に 反 映 し て い る の で あ ろ う(表4;
X2=9.880, p〈0.025)。 Cタ イ プ の 漁 業 は 現 金 収 入 に 主 眼 を, Dタ イ プ の そ れ は 自給 に 重 点 を お い て い る とみ る こ と も で き よ う。
Bタ イ プ とCタ イ プ は,農 業 の 他,サ ゴ 澱 粉 作 りか,漁 業 か い ず れ か 一 方 に 集 中 し て 収 入 を 得 て い る が,Dタ イ プ は,両 者 に 努 力 を 分 散 し,そ の 合 計 で 収 入 を あ げ て い る 。Bタ イ プ とCタ イ プ の 平 均 収 入 の 大 き な 差 は,サ ゴ澱 粉 作 り と漁 業 の 生 産 性 の 差 で あ ろ う。
収 入 の 回 答 を 得 た 全 世 帯 で み る と,収 入 の も っ と も 多 い 生 業 活 動 は サ ゴ澱 粉 作 りで 総 収 入 の44.4%を 占 め る 。 農 業 収 入 は39.0%で,漁 業 収 入 が も っ と も 少 な く て16.6%
で あ る。
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2.「 先 住 」 世 帯 と 「移 住 」 世 帯 間 の 生 業 パ タ ンの 比較
あ る世 帯 が どの生 業 パ タ ンを と るか につ い て は,さ ま ざ まな要 因が 関 与 して い る と 考 え られ る。 こ こで は,こ の 土 地b'最 も古 くか ら住 んで い る9つ の家 系 に 属す る 「先 住 」世 帯 と比 較 的新 し く他 の地 域 か ら移 住 して きた 「移 住 」 世 帯 の 間 で比 較 し,そ れ ぞれ の世 帯 の村 で の生 活 史 と生 業 パ タ ソの関 連 を分 析 す る。 村 の世 帯 を,世 帯 主 が こ の9つ の家 系 に 属 す る世 帯(「 先住 世 帯 」 と よぶ,1タ イ プ),世 帯 主(男)の 親 あ る い は そ れ 以 上 の 世 代 が 移 住 して きた 世 帯(皿 タイ プ),世 帯 主 自身 が移 住 して きた世 帯(皿 タ イ プ)の3つ に分 類 す る。 先 住 と移 住 に 注 目 した 理 由は,そ れ ぞ れ の 世帯 に よって特 定 の重 要 な 資 源 の利 用 に違 い が あ るか らで あ る。 す な わ ち,1タ イ プ(先 住 世 帯)は,野(自)生 の サ ゴや チ ョウジ(そ して,生 育 に適 した 場 所)を 独 占的 に 保 有 して い る。基 本 的 には,村 の 土地 全 体 が,先 住 世 帯 が属 す る9つ の 家 系(ク ラ ン) に分 割 され,あ る家 系 に属 す る ものは そ の家 系 の土 地 や そ この資 源 を利 用 で き る。 移 住 者 は,こ れ ら先 住 家 系 か ら土 地 を借 りるか譲 り受 け て 土地 を入 手 す る。 またrこ の 村 で世 代 を 経 た移 住 世 帯 は す で に 土地 を 所 有 して お り,新 た な移 住 者 は この よ うな 古 い移 住 世 帯 か ら も土地 を入 手 で き る。 前 述 の よ うに,サ ゴヤ シを所 有 して い な い世 帯 は,立 木 を 購 入 す るか,サ ゴ澱 粉 の収 穫 の 一 部 を所 有 者 に収 め る こ とに よ り,サ ゴ ヤ
シを利 用 で き る。 そ の他 の有 用 樹 木 も立 木 の ま ま購入 で き る。
一 方,土 地 を 含 め た資 源 の使 用 権 に は この 地 域独 特 の慣 行 が あ る。 子 は,ふ つ う父 親 の家 系(ク ラ ソ)に 属 す るが,長 男 だけ は 母 親 の家 系 に属 す る。 そ して,長 男が 結 婚 して独 立 す る まで は,彼 を養 育 す る とい う名 目で そ の父 親 は 妻 の 父親(あ るい は ク
ラ ン)の 所 有 す る土 地 や 資源 を利 用 で きる。 した が って,移 住 して きた男 が,先 住 家 系 の女 と結 婚 して長 男 が産 れ る と,彼 女 の父 親(の 属 す る家 系)の 土 地 や サ ゴヤ シが 利 用可 能 に な るわ け で あ る。
まず,世 帯 タ イ プ別 に生 業 パ タ ンの頻 度 を 比 較 し よ う(表5)。 各 生 業 タイ プの 頻 度 分 布 を み る と全 体 で は 有 意 な 差 が み られ る(XZ=19.641, p〈0.005, n=6)。 先住 世 帯 と移 住世 帯 の 皿タ イ プの 間 で は,Cタ イ プに有 意 差 が あ る ものの,全 体 の頻 度分 布 に は有 意 な差 は な い(XZ=6.827, p>0.050, n=3)。 先 住世 帯 と移 住 世帯 の 皿 タイ プの 間 で は,Bタ イ プ とCタ イ プ に有 意 差 が あ り,全 体 の 頻 度 分布 に も有 意 な差 が あ る (X2=17.543, P〈0.005, n=3)。 ま た,先 住 世 帯 と移 住 世 帯 全 体(皿 と皿の 合 計)と の 間 に も有 意 差 が あ る(XZ=14.329, p〈0,005, n=3)。 移 住 世 帯 の 皿 タ イ プ と 皿タ イ プで は,統 計 的 に有 意 な差 は み られ な い(x2=5.666, p>0.100, n=3)。
ロ蔵 ・野 中 ・須 田 ・須 田 移 住 と生 業 戦 略
世 帯 タ イ プ 間 で 生 業 活 動 別 に 従 事 率 を 比 較 す る と,農 業 に は す べ て の 世 帯 が 従 事 す る の で も ち ろ ん 差 は な い が,サ ゴ澱 粉 作 りで は1タ イ プ とIIIタ イ プ の 間 に0.5%(x2
=11 .806)で,皿 タ イ プ と 皿 タ イ プ の 間 に は5%(x2=4.426)で 有 意 な 差 が み ら れ る。
ま た,粉 砕 機 を 使 用 す る サ ゴ澱 粉 作 りを 行 う世 帯 の 比 率 は,皿 タ イ プ(サ ゴ 澱 粉 作 り を す る9世 帯 の うち,6世 帯)の ほ うが1タ イ プ(14世 帯 の うち,3世 帯)よ り有 意 に 高 い(XZ=4.707, P〈0.05)。
表5 世 帯 タイ プ別 にみ た 生 業 パ タ ンの頻 度
世 帯 タイ プ 世帯数 生 計 パ タ
ソ
A B C D
1
∬
皿
18 (14)
16 (13)
lb (11)
4 (2)
3 (2}
4 (3)
7 (7)
2 (1}
0
0
4 (3)
9 (6)
7 (s)
7 (7)
3 (2)
合計 50
(38)
ii (7)
9 (8)
13 (9)
17 (14) 1:先 住 世 帯,∬:移 住2世 代 以上 の世 帯,皿:移 住1世 代 の 世 帯。
():収 入 の 回答 を得 た 世 帯数 。
表6 世 帯 タ イ プ別 の平 均 月収
世 帯 タ イ プ 農業 サ ゴ澱 粉 作 り 漁業 合計
1(n=14)
収 入(Rp×1000) 360 493 49 902
0 39.9 54.7 5.4 ioo.o
従事世帯 14 12 5 14
/従 事世帯 25.7 41.1 9.8
'1/
皿(n=13)
収 入(Rp×1000) 243 415 114 772
% 31.5 53.7 14.8 roo.o
従事世帯 13 8 10 13
/従 事世帯 18.7 51.9 11.4 59.4
1皿(n=11)
収 入(Rp×1000) 225 35 191 451
% 49.9 7.8 42.3 100.0
従事世帯 11 2 8 ii
/従 事世帯 22.7 18.3 18.9 41.5