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信号処理とフーリエ変換第 4 回

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Academic year: 2021

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(1)

信号処理とフーリエ変換 第 4 回

最短距離 垂直, Fourier級数の部分和は直交射影かつ最良近似

かつらだ

桂田 祐史ま さ し

2020年10月14日

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 1 / 21

(2)

目次

1 本日の内容・連絡事項

2 Fourier級数

Fourier級数の部分和は直交射影かつ最良近似

垂線の足(直交射影)は最も近い点 Besselの不等式

完全系, Parsevalの等式,内積空間の収束 演習

3 課題1について

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 2 / 21

(3)

本日の内容・連絡事項

講義ノート[1]の§1.4の部分(最短距離垂直)の内容を講義し ます。

次回 (11月21日) にレポート課題1を出します(締め切りは11月11

日15:20 の予定)。課題1のうち今回の授業範囲である部分について

は、101415:20 に公開します (動画 part 7)。また課題文は

http://nalab.mind.meiji.ac.jp/~mk/lecture/fourier-2020/kadai1.pdf におくようにします。

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 3 / 21

(4)

1.4 Fourier級数の部分和は直交射影かつ最良近似 復習と予告

(復習)§1.3で、周期の区分的C1級関数の全体X に内積 (f,g) :=

Z π

π

f(x)g(x)dx

を導入し、Fourier級数に用いる関数系(cosmx sinnx,einx)の直交性を表した。

例えば

(m,nZ0)m̸=n(cosmx,cosnx) = 0, (m,nN)m̸=n(sinmx,sinnx) = 0, mZ0nN(cosmx,sinnx) = 0.

また一般の内積空間X で、直交系n}による展開の係数を表す公式を得た。

f =X

n

cnφn cn= (f, φn) n, φn). (今日の予告)次のことが成り立つことを示す。

Fourier級数の部分和は直交射影と呼ばれるものになっている。

(一般の内積空間で)直交射影は、ノルムφ=p

(φ, φ)で測って最良近似である。

(2つの結果) Fourier級数の部分和は最良近似である。

また、有名なBesselの不等式を示し、ノルムφ=p

(φ, φ)についての収束と完全

系の概念を定義する。かつらだ

桂 田 まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 4 / 21

(5)

1.4.1 垂線の足 ( 直交射影 ) は最も近い点

直線=V とその上にない点F. 上の動点G. 平面π=V とその上にない点F. π 上の動点G.

1:V =

2:V =π

V 上の点G をなるべくF に近くしたい。FG が最短距離となる G (それを H と書く)を求められるか?

F からV に引いた垂線とV との交点H

FからV に下ろした垂線の足H」あるいは「FV への直交射影」という。

論理をかつらだ(短く)言い切ると「最短垂直」

桂 田 まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 5 / 21

(6)

1.4.1 直交射影 ( 垂線の足 ) は最も近い点

定理にする

定理

4.1 (

垂直

最短

)

K上の内積空間 X の部分空間Vf X,hV 対して hfV への直交射影hが最もf に近い

つまり次の2つが成り立つ。ただし∥ ∥は内積から定まるノルムである。

(1) f hV となる hV があれば、f h= inf

gVf g.

(2) f h= inf

gVf gとなるh(最短距離を達成するh)があれば f hV.

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 6 / 21

(7)

1.4.1 直交射影 ( 垂線の足 ) は最も近い点

定理の証明

(1)の証明 (直角三角形FGHの図を描く) g V に対して

f h2+gh2=f g2 (ピタゴラスの定理) であるからf h∥ ≤ ∥f g.

(2)の証明 v:=g hとおく。関数

f(t) :=f (h+tv)2 (t K).

t= 0 で最小値を与える。これから実は(f h,v) = 0が導かれる。

ここではK=Rの場合のみ紹介する。

f(t) = ((f h)tv,(f h)tv)

=f h22(f h,v)t+t2v2

t= 0 のとき最小値をとるので、1次の項の係数2(f h,v)0である。

(K=Cの場合の証明は講義ノートを見よ。)

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 7 / 21

(8)

1.4.1 直交射影 ( 垂線の足 ) は最も近い点

直交射影の式

4.2 (

直交射影を表す式

)

K上の内積空間X の部分空間V が直交系{φn}Nn=1 で張られている、つまり

V =spanφ1, φ2,· · ·, φNdef.= ( N

X

n=1

cnφn

c1,· · ·,cNK )

であれば、任意のf X に対して、f に最も近いhV(一意的に存在して)

(1) h=

XN n=1

(f, φn) n, φn)φn.

これはfV への直交射影でもある。

V の範疇で、f を近似するものを選ぶ、と考えると、(1)hは、誤差f h を最小にするので、「最良近似」と呼ぶのにふさわしい。

(Fourier級数の部分和 sN(1)hの形をしている。すなわち、Fourier級数 の部分和は(V の範囲内で)最もf に近い。)

かつらだ 桂 田

まさし

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(9)

1.4.1 直交射影 ( 垂線の足 ) は最も近い点

直交射影の式

証明 hV であるから、あるc1,· · · ,cN が存在して

h= XN n=1

cnφn.

上で述べたことから、f hV と直交するので (f h, φn) = 0 (n= 1,2,· · · ,N).

ゆえに

(f, φn) = (h, φn) =

XN

j=1

cjφj, φn

= XN

j=1

cjj, φn) =cnn, φn).

(4つめの等号は前回説明済み) ゆえに

cn= (f, φn) n, φn).

かつらだ 桂 田

まさし

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(10)

1.4.1 直交射影 ( 垂線の足 ) は最も近い点

Fourier級数

4.3 (Fourier

級数の部分和は直交射影かつ最良近似)

(三角関数を用いた) Fourier級数の部分和

sN =a0

2 + XN n=1

(ancosnx+bnsinnx)

は、f のV :=span1,cosx,sinx,cos 2x,sin 2x,· · ·,cosNx,sinNxへの直交射 影であり、f のV における最良近似でもある(f sNが最も短いという意味)。

(複素指数関数を用いた) Fourier級数の部分和

sN= XN n=N

cneinx

は、f のV :=spaneiNx,· · · ,eix,ei0x,eix,· · ·,eiNxへの直交射影であり、f のV における最良近似でもある(やはりf sNが最も短いという意味)。

かつらだ 桂 田

まさし

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(11)

1.4.2 Bessel の不等式

有名な Besselの不等式を紹介する。

命題

4.4 (Bessel

の不等式)

内積空間X の直交系{φn}Nn=1 と任意のf X に対して

(2)

XN n=1

|(f, φn)|2

φn2 ≤ ∥f2 が成り立つ。無限個の場合は(極限を取って)

(3)

X n=1

|(f, φn)|2

φn2 ≤ ∥f2 (Besselの不等式).

特に{ψn}が正規直交系の場合は

(4)

XN n=1

|(f, ψn)|2≤ ∥f2, X n=1

|(f, ψn)|2≤ ∥f2.

かつらだ 桂 田

まさし

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(12)

1.4.2 Bessel の不等式

証明 0,h,f を頂点とする直角三角形の図を描く。ピタゴラスの定理から

h2+f h2=f2. ゆえに

h2≤ ∥f2. 左辺はやはりピタゴラスの定理より

h2=

XN n=1

(f, φn) n, φn)φn

2

= XN n=1

(f, φn) n, φn)φn

2

= XN n=1

(f, φn) n, φn)

2φn2= XN n=1

|(f, φn)|2

φn2 . ゆえに

XN n=1

|(f, φn)|2

φn2 ≤ ∥f2.

かつらだ 桂 田

まさし

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(13)

1.4.3 完全系 , Parseval の等式 , 内積空間の収束

実は、任意のf X に対してBesselの不等式の不等号が等式となるような、つまり

(5) (∀f X)

X n=1

|(f, φn)|2

∥φn2 =∥f2

が成り立つような直交系{φn}n∈Nが存在するとき、{φn}n∈N は完全系(完全直交系) あるという。

またこの等式(5)Parsevalパ ー セ バ ルの等式と呼ぶ(「完全直交系に対してParsevalの等式が成 り立つ」)

N項までの部分和 XN n=1

(f, φn)

n, φn)φn sN と表すことにする。

X n=1

|(f, φn)|

∥φn2 =∥f2 lim

N→∞∥sN2=∥f2

lim

N→∞f sN= 0.

であるから(sN2+f sN2=f2を思い出す) (6) {φn}n∈N が完全系(f X) lim

N→∞f sN= 0.

かつらだ 桂 田

まさし

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(14)

1.4.3 完全系 , Parseval の等式 , 内積空間の収束

内積空間X の点列{xn}n∈N に対して

(7) {xn}n∈Nf に収束する def. lim

n→∞f xn= 0 と定義すると

{φn}n∈Nが完全系任意のf に対して{sN}N∈Nf に収束する。

すなわち、{φn}n∈NX の完全系のとき、任意のf X に対して f =

X n=1

(f, φn) n, φn)φn

が成り立つことになる。

かつらだ 桂 田

まさし

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(15)

1.4.3 完全系 , Parseval の等式 , 内積空間の収束 例

4.5 (普通のFourier

級数の場合)

X (f,g) :=

Z π

−π

f(x)g(x)dx という内積を与えた内積空間において、

einx n∈Z {cosmx}m∈Z≥0∪ {sinnx}n∈Nは共に完全直交系である。

証明は手間がかかるので省略する(「数学とメディア」でやってある?) これは

N→∞lim f a0

2 + XN n=1

(ancosnx+bnsinnx)

!= 0

を意味する。ただし∥·∥は内積から定まるノルムである:

φ:=p (φ, φ) =

Z π

−π|φ(x)|2dx 1/2

.

∥·∥についての収束は、L2収束ということもある(既に紹介ずみ) この場合にParsevalの等式を書きなさい(解答はこのPDFの末尾)

かつらだ 桂 田

まさし

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(16)

1.4 Fourier 級数の部分和は直交射影かつ最良近似 結び

今回の話は、実はFourier級数のL2理論のさわりである1

普通は、Lebesgue積分を学んでから、L2(π, π)という完備な内積空間(Hilbert 空間)を定義して、そこで議論を展開するが、内積空間(X)に完備性がなくて も、この程度はやれる、ということである。

機会があれば、Lebesgue積分、Hilbert空間を学んで、フルバージョンを学ぶこ とを勧めたい。

積分は面積・体積レベルの話だと定義が曖昧なままでもなんとかなるが、

Fourier級数をきちんと取り扱おうとすると突き詰めて考える必要が生じる。

RiemannRiemann積分, LebesgueがLebesgue積分を考え出したきっかけは、

ともにFourier級数であった、ということである。

1「さわり」は、辞書によると、義太夫節や浄瑠璃で一曲のうち一番よい聴かせどころ。かつらだ

桂 田 まさし

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(17)

1.4.4 演習

普通のFourier級数に対するParsevalの等式 普通のFourier級数の場合にParsevsal の等式を書きなさい。

素朴な解答 もちろん、一般のParsevalの等式(5)を書いて、それに当てはめれば解け

るはず。Parsevalの等式を再現するところからやってみよう。

n}が完全直交系であれば

(8) f =

X n=1

(f, φn) n, φn)φn

が成り立つ(覚えるべき式)。直交系であることから、ピタゴラスの定理が適用できて

f2=

X n=1

(f, φn) n, φn)φn

2

= X n=1

(f, φn) n, φn)

2φn2= X n=1

|(f, φn)|2

φn2 . ゆえに

(9) ∥f2=

X n=1

|(f, φn)|2

∥φn2 (Parsevalの等式).

普通のFourier級数の場合、n}{cosmx}m∈Z≥0∪ {sinnx}n∈Nであるから

(10)

Zπ

π

|f(x)|2dx=f2= |(f,1)|2

12 + X n=1

|(f,cosnx)|2

cosnx2 +|(f,sinnx)|2

sinnx2

.

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 17 / 21

(18)

1.4.4 演習

普通のFourier級数に対するParsevalの等式 準備としてnNのとき、

cosnx2= Z π

π

|cosnx|2dx= Z π

π

1 + cos 2nx 2 dx=π,

sinnx2= Z π

π

|sinnx|2dx= Z π

π

1cos 2nx 2 dx=π,

12= Zπ

π

|1|2dx= 2π.

an= (f,cosnx) (cosnx,cosnx) より

|(f,cosnx)|2

∥cosnx∥2 =|an|2∥cosnx∥2=π|an|2. 同様に |(f,sinnx)|2

sinnx2 =π|bn|2. a0

2 =(f,1) (1,1) より

a0

2

2=|(f,1)|2

14 であるから

|(f,1)|2

12 =a0

2212=π2|a0|2. これらを (10)に代入して

(11)

Zπ

π

|f(x)|2dx= π

2|a0|2+π X n=1

|an|2+|bn|2 .

(素朴な解答終わり)

かつらだ 桂 田

まさし

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(19)

1.4.4 演習

普通のFourier級数に対するParsevalの等式 実は簡単な別解がある。

(別解)

f(x) = a0

2 + X n=1

(ancosnx+bnsinnx)

は直交系による展開なので、直接ピタゴラスの定理を適用して

f2=a0 2

2+ X n=1

ancosnx2+bnsinnx2

=a0

2

212+ X n=1

|an|2cosnx2+|bn|2sinnx2

= |a0|2 4 ·+

X n=1

|an|2π+|bn|2π

= π

2|a0|2+π X n=1

|an|2+|bn|2 .

かつらだ 桂 田

まさし

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(20)

課題 1 について

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 20 / 21

(21)

参考文献

[1] 桂田祐史:「信号処理とフーリエ変換」講義ノート, http://nalab.mind.

meiji.ac.jp/~mk/fourier/fourier-lecture-notes.pdf,以前は「画像 処理とフーリエ変換」というタイトルだったのを直した。(2014〜).

かつらだ 桂 田

まさし

祐 史 信号処理とフーリエ変換 第4 20201014 21 / 21

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