一 559 一
東医大誌 51(6):559,1993
大学体育と健康
早稲田大学教授体育局長 全国大学体育連合理事長
伊 藤 順 藏
文部省は,大学審議会の答申を受けて,大学設置基準の大綱化・自由化をはかり,行政の規制を 大幅に緩和して,各大学が個性的な教育・研究を発展させる方針を打ちだした.
そこで必修科目であった保健体育は,必修科目・選択科目および自由科目として設置することが 自由となったわけである.
大学体育は,大学教育の理想・目的との調和を見すえて,人間教育の一翼を担うものとして,心 身ともにバランスのとれた学生生活の確立に資するために,身体運動を実践し,その成果を生涯学 習へと発展することを期待している.
ところが保健体育の実践に大いに取りいれられているスポーツ学習に関連して,スポーツと健康 について,問題提起が一部からなされている.
「スポーツは体への負担を増す行為であるから,基本的には体に悪いものであり,生体をいた め,ストレスを増やし,結果的には寿命を縮めるものである.スポーツの効用であるとする成人病 の予防と運動療法などは逆効果である」との極端な主張がなされているわけである.
大学体育の機能としては,
①スポーツ活動の経験は,その後の生涯学習と結びつき,人生の質を高める.
②コミュニケーションの手段であり,互いに協力することによって友人を得,好ましい人聞関 係を築いて社会的に健康な生活を確立する.
③運動不足を解消し,身体的能力を高めるとともに,健康の保持・増進に貢献する.
④スポーツを楽しむとともに,効率的な生活行動を築く基礎となる.
⑤ 人類が築きあげてきたスポーツ文化的遺産を受け継ぎ,さらに発展させる.
ことなどであろう.
大学体育の在り方や,スポーツの功罪について,東京医科大学の皆さんに,啓蒙的な発言と教示 を,お願いする次第である.
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