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欺雨とパーソナリテイ特性が視線量に及ぼす影響

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欺雨とパーソナリテイ特性が視線量に及ぼす影響

飯塚  雄一

本実験では,欺肺者の方が非欺肺者 よりも相手 に対す る直視量が少 ないであろ うとい う仮説 を検討 した。実験計画は,発言内容 (欺,非I前),パー ソナ リテイ 特性 (外向性,.内向性)を独立変数 とする2要因被験者間計画であった。女子学 130名MPI質問紙調査 を実施 し,外向群20名,内向群20名 を選出 した。女子学 2名 が,面接者 として質問を行 った。欺I前群 に対 して実験者 は,全ての質問に

自分の態度 とは異 なる立場か ら回答す るように予め要請 した。非欺肺群 に対 して ,全ての質問に自分の思ったままの回答 をするように要請 した。測定 した直視 量 を分散分析 した結果,直視量 について発言内容の主効果が有意 とな り,直視量は 非欺肺群 よ りも欺肺群の方が少 な く,仮説が支持 された。

キーワー ド:直視量,欺,パー ソナ リテ

本実験 では,欺肺場面で不安 感情が誘発 さ れ る状 況 にお け る視 線行動 を検 討 す る。欺 llM(又は嘘)と ,他者 を意 図的 に欺 こうと す る行 為 を い う (DePaulo,Lindsey,Malone, Muhlenbruck,Chariton,&Cooper,2003)。  肺 の手 がか りとな る行動 につ い て の諸研 究 の メ タ分析 か ら次 の こ とが 見 い だ され て い る。

欺 肺 者 は会 話 中 に 身 が 入 らず,詳 し く話 さ ,間接 的 で,不快 で,緊張 し,愛想 が よ く

な く,不安 で あ る (Mehrabian,1971,DePaulo

et al"2003)。 また,本当の こ とを言 う時 の行 動 と比 較す る と,罪悪 感 情 や不 安 感 情 が 喚起 され,不愉 快 な神 経 質 反応 (ど もる,そわそ

わす るな ど),非親和 反応 (相互視 の減少,長

い沈黙,会話量 の減 少 な ど)な どの行 動 が み

ら れ る (Zuckerman,DePaulo,&Rosenthal,

1981)。 そ して欺 肺者 の視 線 行 動 につ い て は, 少 な ヤヽ(Knapp,Hart,&Dennis,1974),  ま た

は逆 に多 い (Bond,Kahler,&Padicelli,1985), 有意差 はない (Zuckerman et al.,1981,大 坊 ・ 本研究は,広島大学大学院教育学研究科 に提出 した2005年度博士論文の一部を加筆,修正 した

ものである。

イ特性

瀧本,1992)と す る諸研究がある。 したがって,

嘘つ きは相手の 目を見ることは少ないといった ステレオタイプや俗信は,明確 な支持 を得てい ない とい えよう。 これ まで,欺肺時の非言語

行動 に関 しては多数の研究がある (DePaulo et al,2003)。

本枡究の主 な 目的は,欺肺 に よって喚起 され た不安感情が視線行動 に及 ぼす影響 を検討す る ことにある。そ して視線 の対人感情包括 的「接 近一 回避モデル」(飯,2005)で,人は嘘

をつ いて,罪悪感や不安 を感ず る時 に視線 を 回避す るよう動機づ け られ る と予測 している (Argyle&Cook,1970)。 」uriCh&Jurich(19741

, 1名の男子大学生に40名の女子学生を 婚 前性交渉"な どについての話題で面接 させた。

その結果,話題 によって喚起 された不安感情 と 面接 者 との相互視量 に有意 な負 の相 関を見 い だ した。 これは相 関研究であるが,モデルの 予測 を支持す る方口 にある。Word,Zanna,&

Cooper(19741は,白人の面接者 (被験者)は,

白人の被面接者 (実験協力者)に比ベアフリカ 系米国人の被面接者に対する直接性 (他者 との 密接性 と非言語相互作用 を高める程度)が低下 す ることを見いだ した。 これは,言い間違い,

どもり,無意味な音声 などの増加に示 される不 安感情が高 まったため と解釈 している。 しか

(2)

,直接性 の一部 である直視量 な どの減少 はみ られ て ヽなヤヽ またHobsOn,Strongman,Bulと,

&Craig(1973)は ,男女大学生 (被験者)と 験協力者 に2分間ずつ会話 させ た。会話 の途 中 ,実験者が会話 の まず さを指摘す る群 (不 )と会話 の うまさをほめる群 (肯定群)の 線量 を比較 したが,有意 な差 は見いだ されてい ない。 この よ うに,不安感情が視線行動 に及 ぼ す結果 は一貫 していない。 そ して否定的 な対 人 感情 (回避力)が視線行動 に及ぼす影響 を検討 した研 究― 特 に不安感情 と視線行動 の関連―

,肯定的 な対 人感情 (接近力)を取 り上 げた 研 究 に比べ 欧米 で も数が少 な く日本では見 あた らない。そ こで 日本 において,不安感情 と視線 行動 の関連性 を取 り上 げた本研究の意義 は大 き セヽ

Exline et al.(1970)は マ キ アベ リア ニ ズ ム (MaChaveallianism)傾 向 と視線行動の関係 を検 討 した。 この傾 向の高い者 (高マ ック者)は,

目的達成 の為 には他人 に嘘 をつ くことも辞 さな い者である。実験者が被験者 にごまか しを指摘 している間の視 線量 を調べ た ところごまか し を否定 してい る間,高マ ック者は低マ ック者 よ り実験者 の方へ 視線 を多 く向けていた とい う。

つ ま り欺肺時 に,マキアベ リアニズム傾 向が大 きい者 は相手 に多 く視線 を向けることを見 いだ ,パーソナ リテ イ要因は欺肺中の視線行動の 違 いの一 因に なることを示唆 した。Mehrabian (1971)も ,不安 や外 向性・内向性 と欺肺 の間に 相互作用があ り,この両要因の兼ね合 いに よ り,

どの ような非言語的行動が示 されるかが決まる としている。そ して,外向性 ―内向性が欺肺時 の非言語行動 と関連をもつことを指摘 した。つ ま り,欺I前時 には内向者は羞恥心や罪悪感か ら 直接性 を低め ようとする傾向が強い一方,外 者ではむ しろ相手 を統制す ることに積極的であ ,顔面表情 などの身体動作は活発になるとい う。Riggio&Friedman(1983)も ,欺肺 の過程 では非言語行動 と同時にパ ーソナリテイ特性 も 考慮することの重要性 を指摘 している。彼 らの 実験 は,被験者が写真 を見 てそれにつ いて,ビ

デオカメラの前で嘘の報告をするという状況で あった。結果 は,嘘を言っている時に直視量が 多 くなっていた。 しか しカメラに対す る直視 を

取 り上げているので,実際の相互作用場面では な く,人工的で不 自然である。そこで,本研究 では実際の面接 という湘 互作用場面で,欺肺時 における視線行動 と外向性 ―内向性の関連につ いて,視線の対人感情包括的接近一 回避モデル 及 びMehrabian(1971)の 示唆 に基づ き,次

仮説 を検討する。

仮説1.欺肺者 は非欺肺者 よ りも直視量,相

互視量が少ないであろう。

仮説2.内向者の直視量は非欺醐時 より欺醐 時に少ないが,外向者では両条件 に直視量の差 はないであろう。

(1)被験者 と面接者

心 理学 の講義時 間に,女子 短大 生130名

MPI質問紙 を実施 した。被験者の回答 をMPI総 得点の高い順 に並べ,総得点の高い者 を最高得 点者か ら順 に20名選び出 し外向群 とし,総得点 の低 い者を最低得点者か ら順に20名選び出 し内 向群 とした。

面接者は女子短大生 2名 である。面接者には 仮説 は知 らせていない。各面接者は各条件 を半 数ずつ分担 した。面接者 と被験者には面識はな い。2名の面接者は,同 じような服装 をした。

アクセサ リーなど目を引 くようなものは,一 身につけないようにした。

飯塚 雄一

子φ:

実験】大況

(3)

]面 接 に使 った質問項 目

1.マス コミなどでは今の青年は礼儀を知 らないといわれていますが,あなたは,そう思いますか。

2,あなたは,試験でカンニングしようと思いますか。

3,あなたは,授業中に私語 をしてよい と思いますか。

4.あ なたは,小さいゴミな ら廊下 などへ捨てて もよい と思いますか。

5。 あなたは,出なかった講義のノー トを試験前 にコピーさせてもらいますか。

6.親の意見には従いますか。

7,あなたは,電車などで老人が前へ来た ら座席 を譲 りますか。

8.あなたは,出席 をとらない授業 は時々さぼって もよいと思いますか。

9.あなたは,見つか らなければ万引 してみようと思いますか。    ,

10.あなたは,学校の備品を壊 した ら届 け出ますか。

11,あなたは,相手にわか らなければ二人の彼氏 とつ きあってもよいと思いますか。

12.あなたは,太って きた時にはダイエ ットを始めようと思いますか。

(2)実験 計画

発 言 内容 (欺,非欺肺)とパー ソナ リテイ

特性 (外向性,内向性)を独立変数 とす る2要 因被験者 間計画であった。

(3)面接状況

被 験 者 と面接 者 は向か い合 って椅 子 に座 っ た。2人の 間の距離 は約1.2mであ る。 面接 者 と被験者 の間に置いた机 の裏側 にマ イクを隠 し ておいた。また,2台の隠 しビデオ カメラによっ て被験者 の全 身像 と上半身を撮 った (図 1)。

(4)手続 き

1)質問項 目の選定

青年 の学生生活 な どに関す る意見項 目を44名 の女子学生 に提示 し各項 目について賛成,反

及 び各項 目の重要度について評定 を求めた。例 えば, 男女の間で友情 は成 り立つ。1.そ 思 う, 2.そう思わない"などの項 目である。

そ して重要度が高 く評定され,賛成 ・反対の態

度がで きるだけ明確 に分かれるような12項目を 選定 して,質問項 目とした (表1)。

2)欺肺の操作

会話 開始前 に質問 (表 1)に回答 させ,意 の方向を確認 してお く。欺肺者群 に実験者 は,

「 自分の態度 とは反対の立場に立って意見 を述 べ てみて くだ さい」 と言って,全ての質問に対 し自分の態度を逆転 して回答するように予め要 請 した。非欺肺群 には,「自分 の態度で意見 を

述べて ください」 と言 って,何の操作 もせず全

ての質問に対 し自分の思っているままの回答を するように要請 した。

3)面

被験者が椅子に座 ると,面接者 は質問を始め る。実際の質問の前 に次のような説明をす る。

「今 日ここに来ていただいたのは,福短生の生 活意識 についての意見 をお聞 きし,学生指導の 参考資料 にするためです。皆 さんの回答内容 に ついては秘密を厳守 し,一切 ご迷惑 をおかけす ることはあ りませんので,安心 して回答にご協 力 くだ さい。」面接 中,面接者 は,表,態 を一定に保った。質問をする時には,手に持っ た質問用紙を見て,被験者が回答 している時に ,被験者の顔 (目の周辺あた り)へ常時,視

線 を向けているようにした。

倫理的配慮 として,被験者 に口頭で実験の説 明を行い,回答は無記名であ り,データは研究 以外の目的では使用 しないことを説明 した。

(5)面接後質問紙

1)面接 の質問内容の難易度,恥ずか しさ, 重要度及 び視線 について :難 易度 に関 しては,

「質問に答 えるのは難 しかったですか,やさし

かったですか」 という内容に「非常に難 しかっ (7)一非常 にや さしか った (1)」 で回容す 7点尺度であった。恥ずか しさに関 しては,

「質問に答えるのは恥ずか しかったですか,恥 か しくなかったですか」 という内容に「非常に

(4)

恥ずか しかった (7)一全 く恥ずか しくなかっ (1)」 で回答する7点尺度であった。重要度 に関 しては,「あなたにとって質問内容 は重要 で したか」 という内容 に「非常 に重要 (7)一 全 く重要でない(1)」で回答する7点尺度であっ た。視線 に関 しては,「相手の 目を見 て話せ ま したか」 とい う内容に「非常によく見て話せた (7)一全 く見て話せ なかった (1)」 で回答する 7点尺度であった。

2)面接者 に対す る印象評定 :SD形式の尺 度で, 友好的な", 愉快 な",  暖かい", 切 な"の 4項目か らな り,「)F常に感 じがする

(7)一全 く感 じが しない(1)」 7点尺度であっ た。

3)面接時の被験者 の気持 :「リラックス し ている (1)一緊張 している (7)」 ,「冷静で ある (1)一当惑 してい る (7)」 ,「否定的で ある (7)一肯定的である (1)」 ,「不安 であ (7)一落 ち着いている (1)」 ,「愉快 であ

(1)一不愉快 である (7)」 5項目の 7

点尺度であった。

(6)従 属変数の測定

ハーフ・ ミラーの後方か ら観察者が被験者の 視線量を測定する。 また,発言量 (質問に対す る被面接者の言語的応答の時間総量)と初発時 (面接者の質問が終了 して被面接者が答 え始 めるまでの時間),有声休止,無声休止,頭

動 きなどの非言語行動 も測定す る。

(1)信頼性の検討

測定の一致率 を信頼性 として算 出 した。 同一 対 象 を2名の測 定者 が 同時 に測 定 し,一致 率 を算 出 した。 この結 果,一致 率 は,視線 量 が 88.70/0,発言量が94,8%と なった。

(2)実験操作 の有効性

1)内向性―外 向性 の操作 :MPIによる得′ ,外向群 の平均得 点 は41.55(SD=3.09),内 向群 は18.50(SD=6.02)と な っ た。 外 向群 の 方が内向群 に比べ て得点が有意 に高か った (ヶ

(38)=15,23,p<.001)。

2)欺肺の操作 :2名の面接者 に対す る印 象 をt検定 によ り比較 した ところ有意 な差 は み られなかった (ヶo8)=.83,ηd;面接者Aiν

=11.86,SD=3.82,「 面接者B:″ 10,53,SD=

6.11)。 したが って, 2名の面接者の印象評定

値 をこみにして分散分析 を行 った。その結果, 欺肺群 =9.2,SD=487)カ F欺肺群

=14,3,SD=432)よ り面接 者 に対 して否定 的な対人印象 (感)を もっていた (F(1,3o

=12.01,p<.01)。 質問に答 えるのは難 しかっ たか どうかについて,発言内容の主効果が有意 であった (F(1,36)=5.00,P<.002)。 つ まり非 欺肺群 =5.40,SD=1.05)よ り欺肺群

=6.45,SD=0,89)が より難 しいと感 じていた。

質問に答 えるのは恥ずか しかったか どうかに ついて,発言内容の主効果が有意であった (F

(1,36)=5.00,p<.03)。 つ まり非欺llM群 = 4.3,SD=1.69)よ り欺肺群=5,3,SD=1.34) が より恥ずか しいと感 じていた。また,非llM =3.90,SD=1.71)よ り欺肺群 =2.60,

SD=1.57)があ ま り目を見て話せ なかった と 答 えていた (F(1,36)=5,99,P<,01)。 面接時 の気持ちに関する5項目の相互相関係数がすべ て正であ り,因子分析 (主因子法)で 1因 子 (不

安・緊張因子)が得 られたので,合計得点を分 散分析 した。その結果,非欺醐群 =22.65, SD=4.36)よ り欺肺群 =27.25,SD=4.27) が緊張 し,不安で,当惑 し,不愉快であると感

じていた (F(1,36)=11.62,p<.002)。 以上の ように,欺肺群 は緊張 し,不安 を感 じてお り, 欺肺の操作の有効性 は確認 された。

(3)仮説の検討

3つ の視線測度について各条件毎に平均値 と 標準偏差 を示 したのが表2である。相互視量の 3つ の測度について発言内容の主効果が有意 と なった (回 :F(1,36)=4.19,p<.Oa総:F

(1,36)=8.28,P<.01,平 均時間 (1,3① =7.81, p<.01)。 いずれの測度について も欺嚇者群が 有意に少なかった。次に,直視量の 3つ の測度 について発言内容の主効果が有意 となり(回: F(1,36)=492,P<.0&平均時間:F(1,36)=4.66,

P<,Oa総量:F(1,3o=e・21,p<.01),いずれ の測度についても非欺肺者 より欺llM者の方が直

飯塚 雄一

(5)

相互視量,直視量の平均値 と標準偏差 発言 内容

内向群

直視 回数    6.90 1.88

直視総量/。)   6.4020,61

直視平均時 間  3.00 1.30

相互視 回数   6.63 2.27

相互視総量/。) 22.1213.31

相互祝平均時間 1.85 0.81

外向群

直視 回数    7.26 1.96

直視総量(%)  4.5815.61

直視平均時 間  1,95 0。91 相互視 回数   5,85 1,87

相互視総量(%) 17.0414.43

相互視平均 時間 1.56 0,75

6.20  2.32 17.17  9,07 1.60  0.70 5,30  2.53 10,70  7.44 1.14  0,45

4.96  2.35 16.96 11,30 2,01   0,91 4.13  2.68 8.45  6.52 1.18  0.32

視量 が少 なか った (図 2)。 したが って仮説1 は支持 された。

また直視平均 時 間で は,交互作用 (F(1,36)

=5.53,P<,02)も 有意 となった。つ ま り,内

者 は,非欺肺条件 よ り欺 肺条件で平均 時間が少 ないが,外向者 で は この差 はみ られ なか った。

したが って,仮2が直視平均時間について支 持 された。

(4)面接中の視線以外 の非言語行動

発言量 (回,総,平均時間)について有 意な差 はみ られなか った。

初発 時間の平均 時間につ いて,発言 内容 の主 効果が有意 となった (F(1,361=443,p<.04)。

非欺llM群 (ν =1.70,SD=0.53)よ り欺I前

=2.13,SD=0.75)が長か った。 また頭 の動 き の平均時間について,パー ソナ リテ イ特性の主 効果が有意 な傾 向 となった (F(1,36)=3.61,p

<,06)。 外 向群 =2.91,SD=1.95)よ り内 向群 =ユ.96,ざD=0,99)が長 い傾 向がみ られた。その他 の非言語行動 については有意 な 差 はみ られなか った。

欺肺群の実験後質問紙 によると,被験者の多

非欺晰群       欺廟群

直視総量の平均値

数が実際に嘘 をついた気持ちになったと回答 し ている。 自分の思っていないことを回答 したた めに,実際に嘘 をついた気分にな り,緊張 して ドキ ドキ した り,困った りとまどった り,恥

ずか しく,不安で,当惑 し,不愉快 に感 じていた。

これは,実験中に役害J演技 として表出された肯 定的 (否定的)感情で も実際に肯定的 (否定的)

感情 を経験す るとい うIzard(1991)の 指摘 とも 一致する。 またZuckerman et al.(1981)も 指摘

しているように,欺肺には過去経験か ら不快 な 感情 (経)が関連 していると考えるなら,実

験室における必然性のない文脈で も嘘 をつ くこ とは否定的な感情 を喚起すると考えられる。実 際に,実験後質問紙 に示 されているように,欺

醐者は相手 に否定的な対人印象 (感)をもつ ことが確認 されている。そしてこの否定的な感 情 は嘘をついている時の欺肺者の行動 にいろい

ろな影響 を及ぼすことが知 られている。

本研究の結果では,直視量,相互視量につい て発言内容 (欺,非欺肺)の主効果が有意 と な り,欺I前者が非欺I前者 より直視量が少ないこ とが確認 され,仮lが支持された。 この結果 ,欺醐時に視線量が減少するという先行研究 結果 と一致 している。相手に嘘をつ くという状 況は,不,当,不快感情を惹起す る (こ は実験後質問紙により確認されている)。 視線 の対人感情包括的「接近一回避モデル」による と, この対人感情によって相手に対する回避力 が相対的に強 くな り,直視量,相互視量が減少 したと解釈 される。人に嘘を言 う時,恥じた り

当惑 した時に,なぜ視線 を外すのかについて,

Exline et al。 (1970)は,別の解釈 を提示 してい

柳一﹇ ν

(6)

る。つ ま り嘘を言 う時,視線 を外すのは,相

視が生起す るとお互いの関与度が高 くなるので 欺肺行動がむずか しくなる。相互視 によって親 密 さが高 まるようなことは避けた方が欺肺行動 をとりやすいために,嘘を言 う時,祝線 を相手 に向けないのであろうと述べている。高マキア ベ リアニズム者や精神病者は別 として多 くの人 は欺肺状況で相互視を保持するのは非常に難 し ,時には不可能であろう。人の視線回避力は 主観的に非常に強いものである。これについて

Argyle&Cook(19761は,次2つの説明 を

提示 している。 1つ は,人,相手の表情 に表 れる拒否 などの印を見るのを避けるために視線 を外す。2つ目は,正直で自然な会話中に相互 視が よ く生起する。従って,欺肺時の相互視 は

不釣 り合 いである。 この 2つ の説明 とも,対 場面か らの回避欲求を予測 している。つ ま り視 線量の減少 を社会的回避 の一部 と考 えている,

と述べている。

視線以外の非言語行動の初発時間(平均時間)

について,発言内容の主効果が有意 とな り,非

欺隔群 よ り欺I前群が長 くなっていた。実験後質 問紙で非欺隔群 より欺llM群が質問に答えるのが 難 しく,恥ずか しい と感 じていたことか らもわ かるように, 自分の態度 とは反対の立場に立っ て意見 を述べ る"こ との認知的,感情的な困難

さのために非欺肺群 より回答が遅 くなった と考 え られ る。Zuckerman et al.(1981)イこよると,

初発 時 間 は準備 されていない欺肺 (low level of planning)の 場合は長めにな り, よく準備 さ れた欺肺 (highly planned)の 場合 は短かめに なると述べている。 これによると本研究は,質

問への立場表明の後す ぐに「 自分の態度 とは反 対 の立場 に立 って,… 」 とい う教示が なされて いたので,す ぐその場で考えなが ら回答せ ざる を得ない状況,即,「準備 されていない欺I前 に相当す ると考えられる。

さて,直視 の平均 時間についてパ ー ソナ リ ティ要因 (内向性,外向性)との交互作用が有 意 となった。つ ま り内向者 は,欺肺条件 よ り非 H前条件 で直視平均時間が多 くなったが,外 者 は欺肺条件 と非欺肺条件 における差はなかっ た。すなわちMehrabian(1971)の 指摘 している ように,欺肺時の視線行動 に内向性,外向性要

因が媒介 していることが確 認 された。Kashy&

DePaulo(1996)に よる と,外向者 は内向者 よ り 嘘 をついた回数 を多 く報告 していた とい う。 そ

して嘘 をつ くことに慣 れて,習慣 的 になってい る と述べ ている。 この ことか ら,本研 究で外 向 者 は欺I繭条件で嘘 をついて も動揺 しな くなって いるので,視線量 の減少 として表 れなか ったの か もしれない。 また,日常生活での小 さな嘘 は,

重大 な結果 を生 じるわけではないので,表情 に

まで変化が起 こらない。本実験 では,単に実験 の一部 として嘘 をつ くように教示 した。 このた め, うまく嘘をつこうという動機づけはあまり 高 くない状況といえる。こういう,嘘をつ く動

機が低い状況では,表情を上手に統制できるの ,外向者は視線量を統制して欺肺時に反映 し なかったのかもしれない。

引 用 文 献

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(8)

飯塚 雄一

The E」Mects of Deception and PeFSOnality on Gaze

Yuichi IIzuKA

Abstract

This study cxaHlined the effects of decepdon and personahty on gazG The participants WeFe One nundred―thirty female college students,This study manipulated message content(deceptiVe and honest)and porsonality trait (eXtraveFt and introvert)in a 2 X 2 factoriral de.sign,The participants were required tO be hOnest in onc inttrview,frattkly describinl宮 their Opinions about a colege life, and to be deceptive in another inteFVieW.The paricipanぜ s gaze was lncasured thFOugh a oneと vay■lirFOr and ЛFTR.The result showed that he paFiCipants who e4gaged in deception gazea toNttrds the interviewer less than the participantt who were reqtlired to be honest.

Key WoFds and PhFaSe,: gaze,deception,persOnality trait

表 2  相互視量 ,直 視量の平均値 と標準偏差 発言 内容 内向群 直視 回数     6.90 1.88 直視総量 (° /。 )   6.4020,61 直視平均時 間   3.00 1.30 相互視 回数    6.63 2.27 相互視総量 (° /。 ) 22.1213.31 相互祝平均時間  1.85 0.81 外向群 直視 回数     7.26 1.96 直視総量 (%)  4.5815.61 直視平均時 間   1,95 0。 91 相互視 回数    5,85 1,87 相互視総量

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