英語科の主張
著者 長田 敬司, 小池 智美, 植木 さつき
雑誌名 研究紀要 : 共に創りあげる授業
巻 20
ページ 116‑116
発行年 2020‑03
出版者 静岡大学教育学部附属静岡中学校
URL http://doi.org/10.14945/00027163
静岡大学教育学部附属静岡中学校 研究紀要(第20号)
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英語科の主張
長田敬司 小池智美 植木さつき
1 教科で育みたい人間像
日本にいながら世界中の情報を簡単に手に入れられるだけでなく,さまざまな国の人々とやりとりがで きる現在,異言語・異文化をもつ人々とかかわる機会も増えてきていると言えます。
異言語・異文化間の対話を可能にする言語の中で英語は特に汎用性が高く,英語を使用することで,英 語を母語として話す人々とだけでなく,公用語または準公用語として話す人々,そして英語を外国語とし て話す人々とのコミュニケーションが広がります。このことは,様々な言語や文化を背景とした,多様な 思いや考えをもちながら生きる世界中の人々と自分とをつなぐ力になり得ることを意味します。
世界の人々に自分の思いや考えを発信したり,相手の思いや考えを受信したりすることは,人々の思い や考え,文化などを知ることにつながります。さらに,考え方や文化の類似点・相違点を実感すれば,自 分の価値観や文化を再認識することもできるでしょう。
このようなことをふまえ,英語科で育みたい人間像を「世界の人々とつながる人」としました。子ども たちが,英語を用いて自分の思いや考えを発信したり,異言語・異文化をもつ人々の思いや考えを受信し たりすることができる人になることを願っています。
2 教科ならではの文化
「英語科ならではの文化」とは,自分の思いや考えを伝え合うような英語でのやりとりを通して,「伝わった」と いう達成感や充実感を味わい,さらに,積極的にコミュニケーションを図ろうとすることと考えます。また,その積 み重ねにおいて,知識(knowledge)・態度(attitude)・技能(skill)を有機的に結びつけながら,言語的にも情意的にも 豊かなコミュニケーションを楽しんでいくことができるだろうと考えられます。
技能が優れていても,自他の言語や文化に対する知識がなければ,真意が伝わらず,相手に誤解を与えることもあ ります。また,知識や技能があっても,異言語・異文化をもつ相手とコミュニケーションを図りたいという態度がな ければ,世界の人々とつながることは難しいでしょう。私たちは異言語や異文化に対する多面的な知識,積極的にコ ミュニケーションを図ろうとする態度,聞く・読む・話す・書くなどの技能(英語運用力)を総動員しながら,思い や考えを英語で表現しながら伝え合うことで,多様な語彙使用を促し,英語表現を主体的に学んでいきます。
そして,母語ではない英語を用いて思いや考えを表現していく際には,異言語・異文化をもつ人々に思いを馳せ,
そのような人々とのかかわりについても考えが及んでいくでしょう。
3 授業づくりで大切にしていること
感情を揺さぶり,伝えたい・知りたいという,子どもたちのコミュニケーション意欲をかき立てるような題材を選 定すると共に,目的をもって思いや考えを伝え合う場面を題材構想の中に設定していきたいと思います。このことに より,子どもたちは,目的を果たすために言葉を主体的に選択しながら思いを伝え,相手の真意を推し測り,伝わっ たり伝わらなかったりした経験を積み重ねます。その際,言葉を学びつつ,新しい思いや考えに出会います。反復や 単純な情報の授受だけではなく,自分の価値観や生活経験を基にした思いや考えを,相手の立場や状況,思いや考え に照らして伝え合うことにより,英語の表現が多様になったり幅広くなったりすると当時に,コミュニケーションの 本質を体感していきます。そのような体験的なやりとりから言葉を主体的に学んでいくことや,異言語・異文化をも つ人々とのかかわりについて深く考えることが,子どもたちを育む一歩となることを願っています。