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看護の専門職的自律性の測定に関する一研究

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Academic year: 2021

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(1)

著者 菊池 昭江, 原田 唯司

雑誌名 静岡大学教育学部研究報告. 人文・社会科学篇

巻 47

ページ 241‑254

発行年 1997‑03‑24

出版者 静岡大学教育学部

URL http://doi.org/10.14945/00008224

(2)

静岡大学教育学部研究報告 (人 文・ 社会科学篇 )第 47号 (1997.3)241〜 254 241

看護の専門職的自律性の測定 に関する一研究

^A' Study on the measurement of professional autonomy in nursing

菊 池 昭 江・ 原 田 唯 司 Akie KIKUCHI and Tadashi HARADA

(平 成 8年 10月 7日 受理 )

Abstract

The purpose of this study was to develop the scale for professional autonOmy in nursing which has been assumed to represent the three― process model of nursing,

situational cognition",  judgment" and  performance". Three‐ hundred and Seventy professional nurses in the public hospital were adlninistered questionnaires cOncerning professional autOnomy in nursing, mOtivation, self‐ confidence and aptitude toward nurslng.

The results of factor analysis of the scale for prOfessional autonOmy in nursing revealed  five  orthogonal  factOrs  named  "cognition",  "performance",  ''concrete judgment", "abstract judgment" and "independent judgment" respectively. Results also showed that each of the subscale scores of professiOnal autonomy in nursing significantly and positively correlated with mOtivation, self̲confidence and aptitude toward nursing.

According to the results of the One― way analysis of variance on the mean scores of each subscale with the groups of the years Of experience, it was indicated that the years of experience associated with increasing the subscale scores of professional autonomy in nursing。  ]Particularly significant mean differences were observed between the three to five years Of experience group and the two or less years group, as well as the groups between the eleven to twenty years of experience and the six to ten years.

問       目   的

看護 の職業 と しての確立 は大正 4年 の看護婦規則の制定を もって始 まるとされているが ,そ

の発端か らすでに 日進月歩 の医療のための医療介助者 "(沢 ,1992)と しての性 格 が強 く与 え られていた .そ の後昭和 23年 には保健婦助産婦看護婦法 (保 助看法 )の 制定 によ り ,保 健婦

,

助産婦 ,看 護婦 それぞれがなすべ き業務内容 が明確 に定め られ ,看 護職 の業務 は「 療 養上 の世 話又 は診療 の補助」 とい う形で具体的に明示 された

.

以後 ,看 護 は医療機関 における臨床看護か ら保健機関 における健康者 の看護へ と発展 し ,現

代 で は企業 や在宅 など広 く地域社会 に根 ざ した ,包 括的な看護 を展開す るに至 って いる .し か

(3)

しなが ら ,看 護需要 の高 ま りに比べてその職業的価値 は低 いままにとどめ られ ,未 だ昭和23年 制定 の保助看法 に規定 されているところの 医療介助者 "と い うイメー ジがつ きまとっている

.

す なわち ,看 護活動 の範囲や内容 がかつてないほどに拡大 している状況 にあ りなが らも ,一

般 の看護職 に対す る理解 はほとん どが「 診療 の補助」的役割 のみに限定 されて いるのが現状 で あろ う .こ の ことは ,看 護独 自の機能 の重要性 が十分 に社会的 に認 め られて いるとは言 い難 い ことを意味す る

.

それで は看護独 自の機能 とは ,ど のよ うな場面 で発揮 され るのだ ろうか .看 護業務 とされ る

「 療養上 の世話」は看護職独 自の判断 に委ね られているが ,「 診療の補助」につ いて は ,法 的 に 医師の指示 の もとで看護職 が実施す ると定 め られて いるために ,医 師の権限が絶対的であ り

,

看護職 はあ くまで も医師に対 して従属的な役割 しか与え られていない .こ のよ うな看護業務 の 特徴 は ,一 方 では専門家 として 自律的な行動 が求 め られ る領域 があると同時 に ,他 方 で は補 助

的・ 従属的な形 で必ず しも自律的 とはいえない行動 を とらなければな らない領域 とが混在 して いるとい う ,専 門職 と しての自律性 の確立が不十分である現状 を生 み出 して いる

.

ところで ,草 刈 (1995)は 看護 の専門職性を ,① 理論・ 技術が高度で ,代 替不能 性 が高 い こ と .② 職業機能 の緊急性 ,不 可欠性か ら要請 され る理論 0技 術 の必要性 .③ 理論・ 技術 の利 用 性 .④ 理論・ 技術 の応用 に際 しての創造性。の 4指 標 に照 らして分析 して いる .こ の枠組 か ら は ,看 護職 は理論・ 技術 の利用性が低 く ,ま ,カ ンや コツの部分 が多 いために知識 の創造 と い うよ りは伝達 の側面 が強 いとい うことがで きる .し か しなが ら ,近 年 の医療 の高度化 や慢性 疾患 の増加 に伴 い ,看 護実践 における看護 の判断の技術や対応 (治 療 )の 技術 など専 門 的 な能 力 がよ りいっそ う求 め られている .看 護 に関す る理論 や技術 について も ,看 護教育 の大学・ 大 学院化 による研究者 の養成や学問的研究活動 の推進 など ,看 護学 も次第 に体系化 され るよ うに な って きて いる (鈴 木 ,1991;杉 森 ,1991).実 際 ,看 護 の専門職化 は急速 に高 ま りつつあ り

,

平成 8年 5月 には特定 の専門看護分野 の知識 ,技 術を深 めた専門看護師が初 めて誕生 した。 日 本看護協会で は ,複 雑 で解決困難 な看護問題を持つ個人・ 家族 や集団に対 し ,水 準 の高 い看護 ケアを効率 よ く提供す るための専門看護師を社会に送 り出 し ,保 健医療福祉 の発展 に貢献 す る とともに ,看 護学 の向上 0発 展 を図 ることを 目指 そ うとしている (岡 谷 ,1996a).特 定 の専 門 看護分野 において実践 ,教 育 ,相 談 ,調 整 ,研 究の役割 を果 た してい くことが今後 の看護職従 事者 に期待 されているといえよ う .こ のよ うに ,特 定の専門分野 において卓越 した看護 実践能 力 を有す る専門職 の出現 は ,看 護 の職能成長 や社会的地位 の向上 に寄与す るもの とな るに違 い

ない

.

専門職 の要件 として は ,草 刈 (1995)の 指摘 した内容 の他 に ,職 務上 の 自律性 や職 業独 自の 倫理綱領 を持つ ことが挙 げ られ る (伊 藤 ,1994;志 自岐,1995な ど ).専 門職意識 は ,制 度 や組

織 に対す る要求 や期待 などの「 外 に対す る構 え」 と職業上 の広義 の倫理 や信念 などの「 内 に対 す る構 え」 とに大別 され ,前 者 はさらに直接業務を遂行す る際の 自律性 と専門職団体 の 自律性 に分 け られ る (伊 藤 ,1994).専 門職 の自律性 といった場合 に は ,職 務上 の 自由 な行 動 を基礎 づ ける主体性 や責任性 ,さ らには高度 の専門性が要求 され る。つ ま り ,看 護職 が専門職 の特性 であ る高度 の職業技術や職業機能 の緊急性・ 不可欠性 といった要件を満 た し ,職 業的 な自律 性

を高 め るためには ,自 主的・ 主体的な看護上 の判断や実践 を通 して看護 の専門性 を発揮 して い

くことが必要 と考 え る。そのためには ,看 護職一人 ひとりが専門的な知識・ 技術 に裏づ け られ

た意志決定 を 自 ら可能 に し ,そ の上 で的確 な看護実践 に取 り組 む能力を持つ ことが必要である

.

(4)

看護の専門職的 自律性測定尺度の開発

看護職 が これ らの能力 を身 に付 けなが ら専門職 と しての 自律性を高 めてい くことは ,看 護 の専 門職化 を さ らに促進す る もの となるであろ う

.

このよ うに ,看 護 の専門職的 自律性を看護職が主体的に職務 を遂行す ることであ ると考 え る な らば ,看 護上 の意志決定過程 や看護を実践す る際の行動 を手がか りと して ,看 護職 の専 門職 的 自律性 の構造 を明 らかにす ることがで きるであろ う .看 護職 の専門職的 自律性 に関 して は

,

これまでに幾つかの研究が行われて きた .志 自岐 (1995)は ,看 護職 の自律的 な行動 に は ,状

況 の文脈 における看護職 としての役割認知が深 く関与 していることか ら ,役 割理論 に基づ き看 護職 の専門職的 自律性 (役 割行動 )を PNQ(Pankratz Nursing QuestiOnnaire)の 日本語

訳 (香 春 ,1984)を 用 いて調査 している .経 験年数 ,自 尊感情 ,内 的統制 志 向 ,教 育 背景 ,仕

事 の満足度 ,臨 床領域 との関連 を探 った結果 ,自 尊 感情 が高 く ,ま た は内的統制志 向 が強 い (行 動 の動機 づ けが内在的である )看 護職 の方が ,専 門職的 自律性 は高 い ことが示 唆 され た

.

看護 の意志決定過程 につ いて は , Tschikota(1993)が 意志決定要素 を基 に して 8つ のパ ター

ンによる意志決定過程を定義 し ,初 心者 であ る看護学生 は仮説 ではな く事実 の情報 に基づ いて 判断す るとい う特徴 を見 いだ して いる .Luker&Kenrick(1992)は ,意 志 決定 へ の影響 要 因 と して過去 の経験 ,状 況要因 ,仲 間 とのデ ィスカ ッションを挙 げ ,意 志決定 には科学 的知識 よ りも経験的知識 の果 たす役割 の方が大 きいことを報告 している .さ らに , Hamers et als.

(1994)は ,課 題 の性質 ,経 験 ,知 識 ,個 人の特質 とい った情報処理 システ ムや専 門領域 な ど の要因が意志決定 に影響 を及ぼ していることを紹介 している

.

看護活動 は ,患 者 およびその周辺 に関す る情報 の収集 と分析 に始 ま り ,さ まざまな情報 を統 合 して看護診断を下 し ,そ れに基づ いて具体的な看護実践 を行 い ,さ らにその実践 の結 果 を患 者 の心身 の変化 の具合か ら総合的 に評価す るまでの一連 の流 れを持 ったプ ロセスであると考 え られ る .そ のプ ロセスをそれぞれの段階 ごとの意志決定の連鎖であると考え るな らば ,看 護活 動 は大別 して看護場面 における状況 の①認知 ,② 判断 ,さ らには③実践 とい う 3つ の レベ ルに 分 けて とらえ ることが可能であろ う .こ こでい う①認知 とは ,看 護 の対象 となる患者 の生 理 的 お よび心理的変化を理解 し ,看 護 の必要性を認識す ることである .具 体的 には ,現 在 の患者 の 状況 を どのよ うに知覚 し ,理 解す るのか とい うことを意味 して ヽ て ヽる .② 判断 とは ,患 者 が必要 とす る適切 な看護 の方法 を ,状 況 に応 じて選択 し自 ら決断す る態度 である .す なわ ち ,適 切 な 看護 を どのよ うに選択 し ,あ るいは決断す るのかに関わ っている .ま た ,③ 実践 とは ,判 断 し た看護方法 を主体的 に実行 し ,的 確 に成 し遂 げる行動 を表 している

.

認知 ,判 断 ,実 践 の 3つ の レベルは , beginnerか ら ,学 習や経験 の蓄積 によ って相 手 の内 面 的な感情 や状況 を正確 に認知 し ,適 切 な判断 と的確 な実践を主体的 に行 う expertへ と発展 す る ,看 護職 の専門職的 自律性 の形成 のプロセスを構造化 して とらえ るのに適切であると考え

,

図 1に 示 したよ うに初心か ら熟達 までの 3段 階 モデルを作成 した .こ のモデルの特徴 は ,看 護 活動 における状況 の認知・ 判断・ 実践 それぞれの局面で初心か ら熟達 までの レベルを想定 して いることである .す なわち ,観 察可能 な生理的および心理的変化を認知 で きること ,適 切 な看 護方法 を選択 0決 断で きること ,さ らに看護実践 を他者 の力を借 りなが ら行 うことがで きる こ

とを初歩的 な レベルと した .そ して ,潜 在す る生理 的および心理 的変化を認知 で きること ,変

化 に対応す る看護方法を選択・ 決断で きること ,さ らに看護実践 を 自主的・ 主体的 に行 うこと が可 能 な第 2の 中 間 的 な レベ ルヘ と進 み ,最 終 的 に は ,心 身 の変 化 につ いて 時 間 的 な perspectiveを 持て ること ,理 論や仮説 に基づ く看護方法を 自立的 に選択・ 決 断 で きる こと

,

243

(5)

さ らに正確 で安定性 のあ る看護 を遂行す ることを可能 にす る高度 な レベルまで到達す ると考 え た .

正 確 な 状 況 認 知 適 切 な 判 断 的 確 な 実 践

熟   酬       嗅 初 ′ ︲

達   脚 者   r t

生 理 的 0心

理 的 変 化 へ の

騨 →

︱ 山 耐

perspectiYe

潜 在 す る 生 理 的 心 理 的 変 化 の

認 知

実 在 す る 生 理 的

・ 心 理 的 変 化 の 認 知

曖 味 な 状 況 認 知 不 確 か な 判 断 的 外 れ な 実 践

図 1  看護の専門職的自律性モデル

本研究 で は ,こ のモデルに基づ いて看護 の専門職的 自律性を測定す る尺度 を開発す ることを 目的 とす る .看 護 の専門職的 自律性 に関連す る概念を取 り扱 った研究 はこれまでの ところそれ ほど多 くはな く ,わ が国で はわずか に志 自岐 (1995)が 看護職 としての役割認知 とい う観点 か らアプ ローチ しているに過 ぎない .ま た ,専 門職的 自律性 の概念 の構造 や内容 を明 らか に しよ うとした り ,そ れを測定す る妥当かつ信頼性 のある尺度を作成 しよ うと した研究 も見 当た らな い .そ こで本研究 では ,図 1に 示 したよ うな看護 の専門職的 自律性 のモデルを考案 し ,  さ らに 適切 な測定尺度 を作成す ることを通 して ,看 護 の専門職的 自律性 とい う概念 の意味内容 や構造 につ いて一定 の知見 を得 ることと したい .そ のためには ,実 際 に臨床場面 で看護活動 に 日々従 事 して いる看護職専門家を対象 と してデータを収集 0分 析す ることが必要 となろう .本 研究 は

,

看護職従事者 を対象 として ,専 門職的 自律性 を測定す る尺度を開発 し ,合 わせてその構 造 が い かなる特徴 を示 して いるかにつ いて実証的に明 らか に してい くことを 目的 とす る

.

ところで ,こ れまで看護 の専門職的 自律性 に関連す る要因 と して は自己概念 ,自 尊感情 ,仕

事 の満足度 や看護方式 などが確認 されているが (志 自岐 ,1995),今 回 は専 門職 的 自律性 は職 務 の遂行過程 の中に表現 され ると考 えて ,意 志決定や行動 のあ り方 に影響 を与え る要因を取 り 上 げることに した .行 動を導 くものには意欲 があ り ,課 題 の達成 は自信 とも結 びつ いて い る こ とが指摘 されて いる (梶 田,1988;戸 田,1995;田 島 ,1995).そ こで ,適 切 な看護 がで きる とい う自信 や仕事への意欲 ,個 人の特質 である看護職への適性 につ いて も測定 し ,そ れ らと専 門職 的 自律性 との間の関連性 につ いて も調 べ ることに した .こ の ことによって ,専 門職 的 自律性 の 測定尺度 の妥当性を検討す ることがで きるであろ う

.

1.測 定尺度項 目の収集 と整理

(1)看 護 の専門職 的自律性測定尺度

看護 の専門職的 自律性 を構成す る状況の認知 ,判 断および実践 の 3つ の側面 を測定す る項 目

方 法

(6)

看護の専門職的 自律性測定尺度の開発

を選 び出す ために ,基 礎看護教育 における看護技能の到達 目標 につ いて取 り上 げてあ る書 籍 や 指導 の手 引 きを参考 に ,そ れぞれの側面 に関す る看護職の専門的資質を表す項 目を収集 した

.

その際 に ,意 志決定過程 での特徴を示す項 目を加 えなが ら進 めて い った (「 患者 に将 来起 こる であろ う危機 を予測で きる」 「 症状や検査結果 を総合 して適切 な看護方法 を選択 で きる」 「 緊急 時 に も落 ち着 いて看護がで きる」など ).さ らに ,看 護学生 が臨床実習 にお いて看護 活動 を展 開す る際 に ,自 律的な行動 を左右す ると思われ る行動 の特徴を加 えて (「 患者 の言動 と感情 の 不一致 を理解 で きる」 「 患者 の言動 に惑 わ されて適切 な看護 を選択 で きない」 「 事前 に充 分 な患 者 の情報 がないと看護がで きない」など ),状 況認知 20項 目 ,判 断21項 目 ,実 践20項 目の計 61 項 目に整理 した .各 項 目に対 して かな りそ う思 う "  少 しはそ う思 う "  どち らとも言 え な い "  あま りそ う思 わない "  全 くそ う思わない "ま での 5段 階評定 を求 め ,順 5〜 1点 を 与 えて得点化 した .黙 従反応 の影響 を除去す るために ,で きるだけ否定的 な意味を持つ項 目 も 含 めた .そ れ らにつ いて は集計時 に得点 を反転 させた .得 点 が高 いほど状況認知 ,判 断 お よび 実践 の各側面で 自律性が高 い ことを示 している

.

に )仕 事への意欲 ,適 切な看護ができるという自信および看護職への適性 の測定

仕事への意欲 につ いて は ,意 志決定要素の影響要因 (Luker,1992;Hamers,1994)に も挙 げ られた知識 の希求 (「 最新 の看護知識 を得 るために雑誌 や本 を読 んでいる」 「 機会があれ ば研修 や学会 に参加 したい」 「 機会があれば知識 を深 めるためにさ らに進学 した い」 ),専 門性 の追究

(「 看護技術を創意工夫す るよ う心 がけて いる」 )に ,患 者への奉仕 (「 患者 が満足 す るよ うな看 護 を したい」 )を 加 えて 5項 目とした。 自信 は ,自 己の能力 や 自尊感情 に関す る 5項 目 (「 私 の 看護 の判断 は適切である」 「 自分 に自信が持て る」 「 私 は患者 の変化 に対応す る能力 が あ る」 な ど )と し ,適 性 は看護職 に適 した性質 (「 私 は看護婦 に向 いて い る」「 看護 す る ことが好 き」

「 人 と接す ることが好 き」 「 看護す ることが楽 しい」など )を 表す と思われ る 5項 目の尺度 を作 成 した .こ れ らの項 目に対 して かな りそ う思 う "  少 しはそう思 うどちらとも言えない "

あま りそ う思わない "  全 くそ う思 わない "ま での 5段 階評定 を求 め ,順 5〜 1点 を与えて得点化 した

.

2.調 査 の手続 き

調査 に使用 した質問紙 は ,看 護 の専門職的 自律性測 定尺度 ,仕 事への意欲 ,適 切 な看護がで きるとい う自 信 および看護職への適性 を測定す る項 目 ,お よび被験 者 の背景を知 るための性別 や年齢 ,教 育課程 や経験年 数 などを尋 ね る質問群か ら成 り立 って いる。

公立 の総合病院 に勤務す る看護職 370名 を対象 と し て ,1996年 7月 30日 〜 8月 6日 の期間 に ,各 所属部所

ごとに質問紙 による配表調査を行 った (回 収率93.4%).

対象者 の背景 を表 1に 示す と ,性 別 は男性 3名 ,女 性 366名 であ った .年 齢 は 20歳 代 が 177名 (47.8%)と 多 く ,次 いで 40歳 代 91名 (24.6%),∞ 歳代 %名 (20.5%), 50歳 代 23名 (6.2%)で あ った .経 験年数 は准看護婦 と 看護婦 の経験 を合わせて , 3年 未満 が 87名 (23.5%),

3〜 5年 74名 (20。 0%), 6〜 10年 51名 (13.8%),11〜

1。 対象者の背景

人 数 (%)

性月 1    男性

n=370   NA 女性 21〜 29歳 30〜 39歳 40〜 49歳 50〜 59歳

NA

177 ( 47.8 76 ( 20.5 91( 24。 6 23 (  6.2

3( 0.8

経験年数  3年 未満 3〜 5年 6〜 10年

H〜 20年 21年 以上

n=370   NA

87 ( 23.5 74 ( 20.0

51(13.8

69 ( 18.6 84 ( 22.7

5( 1.4

*教 育課 程 高校 衛生看護科   35(26。 1) n=134  准看護学校     99(73.9)

専 門学校 2年 課程  68(88.3) n=77   看護短大 2年 課程   9(H.7)

専 門学校 3年 課程  200(87.7)

看 護短大 3年 課程  27(H。 8) n3228  看 護大学 1( 0.4)

*重 複 回 答

(7)

20年 69名 (18.6%),21年 以上 84名 (22。 7%)と な った .卒 業 した看護学 校 の種類 で は ,全 体 の 約 8割 (84.3%)が 看護婦免許取得 のための教育課程を修了 していた

.

1.看 護 の専門職的自律性測定尺度の構造

得 られた回答結果 に基づいて因子分析 (主 因子法 ,バ リマ ックス回転 )を 行 った と ころ , 5 因子が抽出 され ,因 子負荷量が 0.4以 上 であ った項 目を手 がか りと して各 因子 の解釈 と命名 を行 った .表 2は 因子分析 の結果を示 している .第 1因 子 は,「 私 は治療 が患者 に及 ぼす心理 的影響 を予測す ることがで きる」 「私 は患者 に将来起 こるであろ う危機 を予測す る ことがで き る」 「 私 は患者 が内心抱 いている不安 を状況か ら推測で きる」 な ど正確 な状況認知 を示 す項 目 で構成 されて いるので ,  認知能力 "因 子 と命名 した .第 2因 子 は,「 私 は緊急 時 に も落 ち着 いて看護 を行 うことがで きる」 「 私 は患者 の急激 な生理的変化 (吐 血 ,意 識喪失 な ど )に 対 応 す ることがで きる」 「私 は他職種 (栄 養士 ,理 学療法士 など )と 連携 を上手 に取 る ことがで き

る」など的確 な看護実践を導 く具体的な行動 を表す項 目の負荷量が高か ったので ,  実践能力 "

因子 と命名 した .第 3因 子か ら第 5因 子 までは ,適 切 な判断力を示す項 目で構成 されて い る

.

第 3因 子 は ,「 私 は患者 の多 くの情報 か ら必要 な看護を選択す ることがで きる」 「 私 は患者 の心 理 的変化 (不 安 ,怒 ,焦 りなど )に 応 じて看護方法を変更 す る ことがで きる」 「 私 は患者 の 生理的変化 (血 圧低下 ,悪 寒 など )に 応 じて看護方法 を変更す ることがで きる」な ど具体 的 な 手 がか りを基 に判断内容 を示す項 目か ら構成 されて いたので ,  具体的判断能力 "因 子 とした

.

また ,第 4因 子 は「 私 は看護 モデルを用 いて看護方法を決定す る ことが で きる」 「 私 は患者 の 変化 (結 果 )を 予想 して看護を選択す ることがで きる」 「 私 は看護 研究 の結 果 な ど最 新 の情報 を活用 し看護 を決定 で きる」など ,看 護のモデルや仮説 に基づ いて判断を行 う項 目が含 まれ て いたので ,  抽象的判断能力 "因 子 と命名 した .一 方 ,第 5因 子 は,「 私 は患者 の言 動 に惑 わ されて適切 な看護方法 を選択 で きない」 「 私 は他者 の助言を受 けな けれ ば看護 方法 を選択 す る ことがで きない」など ,他 者依存的な看護活動 を行 うことを意味す る項 目に負の負荷量が高か っ た .こ の因子 に含 まれ る項 目はいずれ も負の負荷量が高か ったので ,他 の因子 と同 じよ うな方 向で看護 の専門職的 自律性 の内容 を表現 させ るために得点を反転 させ ることと し ,  自立 的判 断能力 "因 子 と名づ けた .な お ,こ れ らの因子 の累積寄与率 は47.0%で あ った

.

1つ の因子 に最大 で。 400以 上 の負荷量を持つ ことをめやす と して最終的 な項 目の決定を行 い

,

第 1因 子 (認 知能力因子 )14項 目 ,第 2因 子 (実 践能力因子 )14項 目 ,第 3因 子 (具 体 的判 断 能力因子 )7項 目 ,第 4因 子 (抽 象的判断能力因子 )7項 ,第 5因 子 (自 立的判断能力因子 )

5項 目の合計 47項 目を看護 の専門職 的 自律性 を測定す る項 目と して採用す ることに した

.

次 に ,平 均年齢 (32.91歳 )に よ って被験者 を 2つ の グループに分 けて別 々に因子分析 (主 因 子法 ,バ リマ ックス回転 )を 行 った ところ ,と もに 5因 子解が最適 であることが示唆 され ,抽

出 された因子間 に程良 い対応を認 めることがで きた。両群 とも第 1因 子 に 認知能力 "因 子 が 抽 出されたが ,平 均年齢以上の群 で は ,第 2因 子 :  具体的判断能力 ",第 3因 子 :  抽象 的 判断能力 ",第 4因 子 :  自立的判断能力 ",第 5因 :  実践能力 "の 順 に因子 が抽 出 され たのに対 して ,平 均年齢未満の群 で は ,第 2因 子 :  実践能力 ",第 3因 子 :  具体 的判断能 力 ",第 4因 子 :  抽象的判断能力 ",第 5因 子 :  自立的判断能力 "と い う順番 であ った点

(8)

看護の専門職的自律性測定尺度の開発

2。 看護 の専門職的 自律性の因子分析結果

247

が やや異 な って い る

.

項 lF 2F 3F 4F 5F

第 1因 :認 知 能 力

私 は治療が患者 に及ぼす心理的影響を予測す ることができる。

私は患者に将来起こるであろう危機を予測することができる。

私は治療が患者に及ぼす身体的影響を予測することができる。

私 は患者が内心均いている不安を状況か ら推測することができる。

私 は患者の価値観 を十分に理解す ることができる。

私 は患者の言動か ら性格や牛活習慣を読みとることができる。

私は患者の心理 的問題 を患者か ら直接聞き出す ことができる。

私 は これまでの経過か ら患者の今後の行動 を予測す ることができる。

私 は患者のニーズに直 ぐに気づ くことができる。

私 は患者の言動 と感情の不一致を理解す ることができる。

私 は患者の言動 に共感的理解 を示す ことができる。

私は患者の意識 レベルの変化 を正確 に把握す ることができる。

私 は患者の検査結 果 と症状 との関連 を理解す ることができる。

私は看護に必要 な情報を直 ぐに集 めることができる。

第 2因 子 :実 践 能 力

私 は緊急時に も落 ち着 いて看護を行 うことができる。

私 は患者の急激な生理的変化 (吐 血、意識喪失など )に 対応す ることができる。

私は手際 よ く看護ができる。

私は患者が落 ち着 いて看護を受け られるよ う常に配慮ができる。・

私は患者の突然の求めに も躊躇せずに応 じることができる。

私は患者の社会生活に配慮 した看護ができる。

私は他職種 (栄 養 士、理学療法士など )と 連携を上手に取 ることができる。   

私 は看護の優先順位を立てて計画的に 1日 を過 ごす ことができる。

私 は患者の個別性 を考慮 した看護を実施す ることができる。

私 は看護の際に必要物 品を過不足な く準備できる。

私 は患者の情動の変化 (怒 り、悲 しみな ど )に 対処す ることができる

私 は患者の医療 に対す る不信感や不安を充分な説明を行 うことによ り和 らげ られる。

私 は看護を常に創意工夫す ることができる。

私 は患者の社会的適応を促進す るための指導ができる。

第 3因 子 :具 体 的 判 断 能 力

私 は患者の多 くの情報か ら必要な看護を選択す ることができる。

私 は患者の心理 的変化 (不 安、怒 り、焦 りなど )に 応 して看護方法を変更できる。

私は患者のニーズに一致 した看護を選択す ることができる。

私は突然の患者の生理 的変化 (血 圧低下、悪寒 など )に 応 して看護方法を変更できる。

私 は患者の多 くの問題の 中か ら最 も優先すべ き問題 を選択できる。

私 は看護方法を 自分一人で選択できる。

私はカ ンフ ァレンスで患者の問題を主体的に提供す ることができる。

第 4因 子 :抽 象 的 判 断 能 力

私は看護モデル を用いて看護方法を決定す ることができる。

私 は看護研究の結 果など最新の情報を活用 し看護を決定できる。

私は将来起 こるであろ う問題 に向けて看護方法を選択できる。

私は患者の変化 (結 果 )を 予想して看護を選択することができる。

私は充分な情報がな くて も現在の状況か ら適切な看護を推測できる。

私 は立案 した看護計画はいつ もスタ ッフの承認が得 られる。

私は患者の症状や検査結果を総合 して適切な看護方法を選択できる。

第 5因 子 :自 立 的 判 断 能 力

私は患者が心情 を表現 してこないと精神的援助を計画できない。

私 は患者の言動 に惑わ されて適切な看護方法を選択できない。

私は他者の助言を受けなければ看護方法を選択す ることができない。

私 は患者の意志 を尊重せずに看護方法を選択 して しま う。

私は患者の訴えがない と何を看護すべ きかわか らない。

︲・729 ︲ 一 一

︲・685 ︲ 一

︲︒667 ︲

︲︒652 ︲ 一

︲︒632 ︲ 一

︲・623 ︲

︲・620 ︲ 一

︲︒6︲8 ︲ 一

︲・574 ︲

︲・539 ︲ 一

︲・509 ︲ 一鵬

︲︒456 ︲ 一

︲・449 ︲ 一

。 379    。 188 .372   .196 .387   .258 .272   ,463 .340   .298 .235   .386 .306   .329

.280  .133 .276  .136 .413  .100

。 153  .216 .123  .136 .056  .200 .055  .195

。 144  .197 .120   。 177 .042  .120

。 202  .078 .216   。 154

。174   。 211 .163  .250

。 141 .072

.H9

。 153 .129 .094

。 191

.060

。 164 .122 .137 .091 .049 .067

。119   。 110 .151  .346 .241  .114 .116   。 174

。161  .119

。195   。 134

。 278  .047 .244  .121 .227  .207 .200   。 143 .159   。213 .246  .076 .366  .158 .262  .132 i---l

i. ssr i. zss .zlz

i. 532 i. 0S8 . 169

i. srn j. ros .zss

j. sro j. ozz . 128

i.461 i.goz .lll

i.459 i.2s7 .086

i._arr__i.zeo .o?s

.085 i.ezs i.ozz .051 i.604 i. 096

.213 i.550 i. l0l

. zbe i. slt j. zrs . 194 i.488 i. 0?0 . s66 i.4s4 i. roo

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.oss -.rrsi-.zrsi

. 132 -. 133 i-.629 i .066 -.rrri-.saoi

. l5l . oso i-. sze i

.t32 -.027i-.443i

L________l

.078 .157 .165

。 195

。233 .268 .299

。315

。306 .229

。 181 .391 .400 .255

。225

193 .214 .314 .327 .331 .292 .272 .383

。 178 .359 .336 .326 ,352

。199    。 178 .210   .309

。 427   .247 .311   .353 .297   .305 .274   .178 .298    。328

‑。

161  ‑.083 ‑

―。 150  ‑。 126 ‑ .012 ‑。 317‑

―。 159  ‑。 065 ‑

.334  ‑。 116 ‑

n=370 因子負荷量の二乗和

寄与率 (%)

22。 04  2.36  1.96  1.19  1.09

86.1   3.9   3.2   2。 0   1.8

(9)

2.信 頼性の検討

看護 の専門職的 自律性測定尺度 の信頼性 を検討す るため , Cronbachの α係数 を求 めた と こ ろ ,第 1因 子 か ら順 に 0。 93,0.93,0.88,0.87,0.79と な り ,い ず れ もほぼ満足 で きる高 い値 が 得 られた .さ らに ,各 因子 の総得点 と項 目得点 との相関係数 を求 めた .各 因子 の総得点 の算 出 に際 して は ,欠 損値 に平均値を当てて処理 した .そ の結果 ,い ずれの項 目に関 して も 0.7以 上 の値が得 られ ,い ずれ も 0.1%水 準 で有意であ った .以 上 か ら ,看 護 の専 門職 的 自律性 尺度 は 高 い信頼性 を備 えて いるとい うことがで きる

.

3.看 護 の専門職 的自律性 と意欲 ,自 信 ,適 性の検討

専門職的 自律性 に影響を及 ぼす要因 としてあげた意欲 5項 ,自 信 5項 目 ,適 性 5項 目それ ぞれにつ いて合計値 と項 目得点 の間の相関を求 めた結果 を表 3に 示す .す べての組み合わせ に お いて 1%水 準 で有意 な値が得 られたが ,  意欲 "の うちで「 機会があれば知識 を深 め るため に進学 したい」 とい う項 目につ いて は他 の項 目に比べて相関の値が きわめて低か ったので , 

の項 目は削除す ることに した。なお ,意 欲 ,自 信 および適性 の間には ,高 い正 の相 関 (意 欲 と 自信 .47,意 欲 と適性 .52,自 信 と適性 .53,い ずれ も 0.1%水 準 で有意 であ った )が 得 られ た

.

ところで ,専 門職的 自律性 は臨床経験 の多 さとの間 に正 の相関を持つ ことが容易 に推測 で き る .志 自岐 (1995)も 専門職的 自律性 と経験年数 との間に正 の相関を見 いだ して い る .本 研究 において も専門職的 自律性 の各因子 ごとの合計値 と経験年数 との間の相関 を算 出 した ところ

,

0.20か ら

0。

45の 値が得 られ ,い ずれ も 0。 1%水 準 で有意であ った

.

3。 意欲 ,自 信 ,適 性の下位項 目得点の平均 と標準偏差 ,項 目合計値間の相関 SD  相 関

患者 が満足す るよ うな看護を したい

最新の看護知識 を得 るために雑 誌や本 を読 み たい 意欲   看護技術 を創意工夫す るよ う心 がけて いる

機 会が あれば研 修や学会 に参加 したい

機 会が あれば知識 を深 め るため さらに進学 したい 合計 値

4.70   .54 4.23   .70 3.28   .92 3.78   .89 2.87  1.24

15。 99  2.25 .55

。 71 .67 ,89

。33

私 の看 護の判断 は適切 であ る 患者 は私 の看 護 に満足 してい る 自信   私 は患者の問題 を一 番把握 している

自分 に 自信が持 て る

私 は患者の変化 に対応す る能力 があ る 合 計値

3.10   .77    .32 3.07   .70     。 77 2.83   .75    .78 2.72   .91     。 82 3.04   .84    .85 14.77  3.34 私 は看 護婦 に向 いてい る

私 は看 護す ることが好 きだ 適性   私 は人 と接す る ことが好 きだ

看護婦 は 自分 を生かせ る職業 であ る 私 は看 護す ることが楽 しいと感 じる

合 計値

3.12   .92    .78 3.89    。78    .85

3。

76   .93    .75 3.67   .92     。 34 3.60    。87    .83 17.97  3.59 n=370

そ こで ,経 験年数 の影響 を コン トロール した上 で ,専 門職的 自律性 の各下位尺度得点 と意欲

,

自信 ,適 性 のそれぞれの合計値 との間で偏相関係数を求 めた .表 4は その結果 を示 した もので

あ る .全 ての項 目で 0。 1%水 準 で正 の有意 な値が得 られ ,と くに認知能力 ,実 践能力 ,具 体的判

断能力 および抽象的判断能力 は ,自 信 との間で 0.56か ら 0.67と い う高 い相 関 を示 した。 看護 に

対 す る自信 が高 いほど ,自 分の置かれた状況を正 しく理解 し ,具 体的な情報や理論・ 法則 に基

づ き適切 な看護 を選択 ,実 施で きて いるとい うよ うに ,職 務遂行 に自信が大 き く関 わ って い る

(10)

看護の専門職的自律性測定尺度の開発

ことがわか る .一 方 ,自 立的判断能力 と自信 ,意 欲および適性 との間で は相対的 にやや相 関 の 値 が低か った

.

4。 看護 の専門職的 自律性 と意欲 ,自 信 ,適 性 の偏相関 (経 験年数 を制御 )

認知能力   実践能力   具体的    抽象的    自立 的 判断能力   判断能力   判断能力 意欲

自信 適 性

.40 ***   .36 ***   .38 ***   .26 ***   .26 ***

.65 ***   .67 ***   .58 ***   .56 ***    。37 ***

.41*** .37*** .36*** :25***  23*森

***Pく

0。

001

4.専 門職的 自律性の経験年数 による変化

専門職的 自律性 の認知能力 ,実 践能力 ,具 体的判断能力 ,抽 象的判断能力 ,自 立 的判 断能力 それぞれにつ いて ,経 験年数 による相違 を比較す るために 1要 因分散分析を行 った結果 を表 5 に示す。なお ,経 験年数 は , 3年 未満 , 3〜 5年 , 6〜 10年 ,11年 〜20年 ,21年 以上 の 5つ の グループに分 けることに した .下 位尺度 間で年齢群 ごとの得点 の変化や大 きさを比較 で きるよ うにす るために ,そ れぞれの尺度得点を項 目数で割 った値を算 出 して分析を行 った .ま た ,有

意差 が認 め られた場合 には Duncanの 多範囲検定 を行 って どの年齢群 の間 に差 がみ られ るか を検討 した

.

5。 看護の専門職的自律性の経験年数間の変動

第 1因 子 :認 知能力 第 2園 子 :実 践能力 第 3因 子 :具 体 的判断能力 第 4因 子 :抽 象的判断能力 第 5因 子 :自 立 的判断能力

3.04(.50)  ↑*

2.79(。 48)  ↑ * 2.99(.49)  ↑*

2.72(.48)  ↑*

3.96(。 49)  ↑*

3.33(。 47)  ↓ * 3.14(.46)  ↓ 3.43(.45)  ↓ 3.04(.50)  ↓ 4.20(。 52)  →

3.14(.54)  ↑*

3.02(.50)  ↑ * 3.26(.52)  ↑*

2.95(.51)  ↑*

4.20(.63)  ↑

3.41(.45)↑

3.37(。 39)  ↑ 3.61(.47)  ↑ 3.17(.47)  ↓ 4.28(.55)  ↑

3.50(.50) 3.47(.47) 3.64(.59) 3.11(.59) 4.30(.67)

11.74 27.51 22.80 9.57 4.74 項 目総得点の平均値 と ( )内 は標準偏差

.

矢 印は ,経 験年数 間の上昇 ,下 降を表す 。

*Pく0。

05

その結果 ,そ れぞれの専門職的 自律性得点すべてにおいて経験年数 の効果 が有意であ り ,お

およそ経験年数 が多 いほどそれぞれの得点が高 くなる傾向が見 られた .Duncanの 多範 囲検 定 の結果を見 ると ,  認知能力 "得 点 において は ,経 験 3年 未満 と 3〜 5年 ,お よ び 6〜 10年 と 11年 以上 との間でそれぞれ 5%水 準 で有意 な差が認 め られ ,い ずれ も経験年数 が多 い グルー プの方 が得点 が高か ったが ,一 方 , 3〜 5年 と 6〜 10年 の グループの間では逆 に前者 の方 が有 意 に高 い得点 を示 した .し たが って ,  認知能力 "得 点 は経験年数 の増大 とともに得点 が単 調 に上昇す るので はな くて ,中 間的地位 に当たる経験年数 6か ら 10年 のあた りで一時的に下 降す る時期 があ ることが示唆 された .次 に ,  実践能力 "と 具体的判断能力 "お よび 抽 象 的判

断能力 "得 点 に関 して は ,経 験年数 が 3年 未満 と 3年 以上 の グループの間および経験年数 6〜

10年 と 11年 以上 の グループとの間 に 5%水 準 で有意 な差が示 された .看 護 を的確 に実践 す る能

力 や具体的 な情報を手がか りに判断す る能力 ,さ らには看護 モデルや仮説 に基づ いて判断す る

(11)

能力 の伸 びは ,看 護職 として就業後 3年 を境 に急速 に高 ま り ,そ の後 しば らくはあま り変化 し ないが ,10年 が経過す ると再 び大 き く上昇 し ,そ れ以降 もほぼ同 じ水準 を維持 して い くことが わか った .さ らに ,  自立的判断能力 "得 点 において は ,経 験年数 3年 未満 と 3年 以上のグルー

プ との間 に 5%水 準 で有意差が見 られただけであ り ,そ の後 は経験年数 による得点 の変化 は見 られなか った

.

以上か ら ,看 護 の専門職的 自律性 の各能力 と経験年数 との関係 は ,一 次関数的 に単調増 大 す るので はな く ,就 業後 3年 目を境 として急激 に上昇 し ,そ の後 6年 か ら 10年 の間で一 時 的 に下 降 もしくは安定す る時期を経過 した後 に ,経 験年数が 10年 を越 え ると再 び上昇 を繰 り返 して い

くとい うよ うに ,必 ず しも直線的 とはいえない様相 を示 していた

.

なお ,意 ,自 信 および適性の平均値 につ いて上述の 5つ の年齢群間の分散分析 を行 った結 果 ,意 欲 につ いて はいずれの年齢群 に も有意 な差 は認 め られなか った .自 信 について は専 門職 的 自律性 の 認知能力 "得 点 と同様 に ,経 験年数 3年 未満群 と 3〜 5年 群 および 6〜 10年 群 と 10〜 20年 群 の間 に 5%水 準で有意差が見 られ ,と もに後者 の方 が得点が高か った .ま た ,適 性 に関 して は , 6〜 10年 群 と 10〜 20年 群 の間に 5%水 準で有意差が認 め られ ,10〜 20年 群 の方 が

得点が高か った

.

1.看 護の専門職的自律性の構造

看護の専門職的自律性を 認知 ",  判断 "お よび 実践 "と いう段階を進む一連の流 れを 持 ったプロセスと捉え ,各 局面を代表す る項 目への評定を求めて因子分析 したところ ,  認知 能力 "  実践能力 "  具体的判断能力 "  抽象的判断能力 "お よび 自立的判断能力 "と い う

5つ の因子が抽出された .第 1因 子 認知能力 "の 寄与率 は36.1%で あり ,第 2因 子以下 の寄

与率に比べて顕著に高かったことは ,現 在の患者の状況を正 しく知覚・ 理解す る認知 に関わ る 能力が ,そ の後の判断や実践を的確に遂行す る能力を基礎づけるという意味で ,看 護の専門職 的 自律性の基本的能力を構成することを示唆 している

.

岩井 (1986)は ,看 護活動の展開 は看護の目的を成 し遂げるための計画的な一連 の行為 (プ ロセス )で あることか ら ,看 護過程の構成要素 は① アセスメント (情 報の収集と問題の明確化 ),

②計画立案 ,③ 実施 ,④ 評価の 4段 階 もしくは① アセスメント ,② 看護診断 ,③ 計画立案 ,④

実施 ,④ 評価の 5段 階か らなり ,各 段階は連続性 と循環性を持つ ものであるとしている。 その 中で もアセスメントは看護過程の最初の段階であり ,引 き続 き展開される計画立案 ,実 施 ,評

価 に影響を及ぼす ことを指摘 している .こ の連続 したプロセスでは ,看 護問題の把握 とその解 決を目的 とす るため ,状 況を正 しく理解 しなければ問題を発見できず ,適 切な看護介入 を導 き 出す ことも困難になることが推測できる .こ のことは ,状 況の正確な理解がその後の適切 な看 護活動の展開のための土台あるいは基礎を提供するという点で ,決 定的に重要であることを意 味 している .本 研究の因子分析の結果が示唆するところでは ,状 況認知が判断および実践を基 礎づける能力 となっていると解釈できることか ら ,岩 井 (1986)の いう問題解決理論 に基づ く

アセスメン ト過程の重要性を実証的に確認す るものであるといえよう

.

判断 "と いう局面に関 しては ,因 子分析の結果 判断 "が さらに 3つ の因子 として区別 で きることが示 され ,適 切な看護を選択 し決断する能力が複雑な構造を もつ ことが示唆 された

.

考 察

(12)

看護の専門職的自律性測定尺度の開発

本研究 の結果 によれば ,適 切 な看護 を判断す る能力 は ,具 体的な手がか りを基 に看護方法 を決 定す る初歩的 レベルか ら ,看 護 モデルとい う科学的概念や法則 を活用 したよ り高度 な レベ ルヘ と専門性 の熟達度 によ り少 な くとも 2つ の レベルに分かれている .さ らにそれ らに加 えて ,他

者 に依存せず 自 ら看護方法を決定す るとい う自立的判断 に関わ る内容 も専門職的 自律性 の構成 要素 とな っていた .す なわち ,看 護 の専門職的 自律性 における判断能力 は ,具 体 的な手 がか り に基づ く具体的判断 ,看 護 モデルや仮説 に基づ く抽象的判断および自ら適切 な看護方法 を他者 に頼 ることな く選択す るとい う自立的判断 とに分 けることが可能であることが示 された .適 切 な看護 を判断す るといったときには ,こ れ ら具体的 0抽 象的・ 自立的 とい う 3種 類 の判断 が関 わ って いることが明 らかにされた といえよ う

.

また ,平 均年齢 ・ (32.91歳 )に よって別 々に因子分析 を行 った場合 ,因 子 が抽 出 され る順序 こ そ 2つ の グループの間で異 なって はいたが ,得 られた因子 の数 および各因子 の名称 は両 グルー プで同一 であるとい う結果が得 られた .こ の ことは ,年 齢 とは関わ りな く看護 の専門職 的 自律 性 を構成す る要素が共通 であることを示 している。 さらに ,各 下位尺度 の α係数 の値 もほぼ満 足 で きる高 い値 が得 られてお り ,各 下位尺度 の合計値 と項 目得点 との間 に もそれぞれ正 の有意 な高 い相関が認 め られて いる。以上 よ り ,看 護 の専門職的 自律性 を構成す る因子 と して抽 出 さ れた 認知能力 "  実践能力具体的判断能力抽象的判断能力自立的半 J断 能力 "は

,

それぞれ測定尺度 と して信頼性のある尺度であることが確認 された

.

2.専 門職 的自律性 と意欲 ,自 信 ,適 性 との関係

看護 の専門職 的 自律性 の各下位尺度得点 と意欲 ,自 信および適性 との間の関係 を調 べた と こ ろ ,す べての組み合わせにおいて有意 な正の相関が得 られた .し たが って ,看 護 の専 門職 的 自 律性 を構成す る各要素 の得点 が高 いことと ,看 護職 に対す る意欲 ,自 信 や適性 の程度が高 い こ ととが相互 に結 びつ いて いることがわか る .中 で も自信 は ,意 欲 や適性 に比べて看護 の専 門職 的 自律性 の下位尺度得点 との相関の値 が全体的 に高 い傾向が見 られた .看 護 に対す る自信 の高 さと ,専 門職的 自律性 を構成す る認知 ,実 践 ,判 断の各能力得点 とがすべて正の高 い相関を持 っ て いた ことは ,看 護 の専門職的 自律性 と看護 の職務遂行 における自信 とが互 いに大 き く関 わ っ て いることを示 して いる。すなわち ,看 護 に対す る自信 の高 い看護職 は ,看 護場面 で状 況 を正 しく認知 し ,具 体的事実および科学 的概念 に基づ き看護を判断 し ,的 確 に看護 を実践 で きる と 考 え られ る

.

ところで ,課 題達成 (成 績 )を 目標 とす る場合 ,日 標 に到達 で きたか否か とい うこと以外に

,

課題 の達成 によ って人か らよ くで きると認 めて もらいたい ,で きないと言 われた くないとい っ

た ,他 者か らの評価 も動機づ けを構成す る重要 な要因 となる .し たが って ,課 題 を成功 的 に達

成す る自信 があ る時 には同時 に他者か らの高 い評価 も期待 で きるために ,課 題 の達成 に向 けて

意欲的に挑戦す るが ,そ うした自信 がない場合 には自分 に対す る否定的評価 を発生 させて しま

うおそれを感ず るために ,あ えて課題 に挑戦す るのを回避 した り ,別 途言 い訳 を用意す る こと

で 自分 に対す る自信 の低下を防 ごうとす る .そ の結果 ,自 信 があ る場合 には課題への意 欲 的 な

取 り組 みが生 じ ,逆 に自信を欠 いて いる場合 には意欲 の低下を引 き起 こす .こ の ことは ,看 護

の職務 を的確 に遂行で きるという自信を持つ ことが ,新 たな看護問題 やよ り高度 な尊門知識 を

獲得す ることへの関心 を高 めると同時 に ,意 欲的 に挑戦 しよ うとす る姿勢を生 み出す ことを意

味 して いる .す なわち ,適 切 な看護 がで きるとい う自信 は ,す でに獲得 した専門性 を基礎 と し

て新 たな課題 を求 めて能力 の向上 に努 めよ うとす る態度すなわち意欲的な看護 に対す る態度 を

(13)

形成 させ ることに結 びつ いてい く .こ のよ うに ,看 護職 が仕事 に対す る意欲的な姿勢 を持 つ こ とは ,よ り高度 な職業技術 の獲得を可能 に し ,看 護 の専門職的 自律性 を高 めて い くもの とな る であろ う。

また ,看 護職 に対す る意欲 ,自 信や適性 の程度 はそれぞれ高 い正 の相関を示 して いた ことか ら ,看 護活動 を意欲的 に取 り組んで行 こうとす る態度を持つ ほど ,適 切 な看護 がで きる とい う 自信 も高 く ,自 分が看護職 としての適性 を持つ と認知 して いることがわか る .か りに ,意 欲

,

自信 および適性 の 3つ の側面 がすべてそろって高 い水準 であ ることが専門的職業 の従事者 に期 待 され る条件であると考 え られ るな らば ,こ れ らが看護 の専門職的 自律性 との間 に高 い正 の相 関を示 した ことは ,こ の条件を十分満 た して いるとい う間接的証拠 を提供 しているよ うに思 わ れ る

.

3.専 門職的 自律性の経験年数 による変化

看護 の専門職的 自律性 を示す 認知能力 "  実践能力 "  具体的判断能力 "  抽象的判断能 力 "  自立的判断能力 "の 各能力 は ,臨 床経験 3年 を境 に大 き く高 ま り ,そ の後一時低下 あ る いは安定す るが 10年 を越 え るとさらに上昇す ることか ら ,看 護職 としての専門性が充分 に発揮 され るには ,少 な くとも 10年 の臨床経験が必要であ ることが示 された .ま た ,こ れ まで看護 の 専門職 と しての職務遂行能力 は ,経 験年数が増加す るに従 って単純 に高 くな るもの と考 え られ て きたが ,看 護 の専門職的 自律性 とい う観点か ら眺めてみた ときにはその発達 の過程 は決 して 一様で はな く ,と くに経験年数 3年 の時点 と 10年 を越えた時点 のあた りで専門職的 自律性 の発 達上 の ピークが認 め られ るよ うである .し たが って ,看 護 の専門職的 自律性 の形成 には ,  これ

ら 2つ の時期的特徴が何 らかの影響を与えていると考え られ る

.

一般 に看護 を職業 とす るには ,各 教育機関 において必要 な科 目を履修 し ,看 護活動 の基礎 と な る専門知識 を習得 した後 に国家試験 を経て資格が与え られ る .し か し ,就 業 したばか りの看 護職 で は ,経 験的知識 が乏 しいため不安 と緊張か ら看護 の専門知識・ 技術 を十分 に発揮す る こ とが困難 な状況 にあ るだろ う。また ,看 護基礎教育 における基本的知識・ 技術 だけで は対応 で きない ,多 様 な症状を示す患者 を相手 に しなければな らない。そのよ うな中で新人達 は ,病 院 における新人教育 プ ログラムに沿 った指導 の もとで上司や先輩 の看護職をモデルと して ,徐

に患者への接 し方や看護 に対す る考 え方 ,さ らには手際のよい看護方法 などを体験的 に学 ん で い くこととなる .職 場 の同僚や上司 あるいは患者 との対人関係 に慣 れ ,職 務 の基本的遂 行 が可 能 にな るの はほぼ 2年 間を経過 してか らの ことであると考 え られ る .す なわち就業後 3年 目ま でに新人の看護職 は ,看 護 の仕事 に対す る理解を深 めなが ら看護の 自律性 を大 き く高 めて い く

ことになるので はないか と推測 され る

.

一方 ,新 人 の段階を過 ぎ職務遂行 に必要 なある程度 の自律的な行動がで きるよ うにな ると

,

定期 的 な職 場 の配 置転換 に伴 って循環器 や脳神経 な ど様 々な診療科 を経験 した り , ICU

(intensive care unit)や CCU(corOnary care unit)な ど緊急性 を要 す る領域 を経験 す る ことになる .看 護職 はおおよそ 10年 間かけて広 く看護 の専門領域 を経験 して ,さ まざまな症状 を持つ患者 を受 け持 った り ,状 況 に応 じた適切 な看護 を実践 しなが ら ,高 度 な専門技術 を身 に つ けて い くことが求 め られている .今 回の調査 において ,臨 床経験 10年 以上 の看護職 は ,10年

に達 しない看護職 に比べて具体的判断能力や 自立的判断能力 のみな らず抽象的判断能力 に も優

れ ,認 知能力や実践能力 も高 いとい う結果が示 された ことは ,職 業上 の主体性 や 自立性 を高 め

て い くためには看護職 として 10年 以上 の臨床経験が必要であることを示唆 している

.

(14)

看護の専門職的自律性測定尺度の開発

臨床経験 6年 か ら 10年 の看護職では , 3年 か ら 5年 の看護職 に比べて看護 の専門職的 自律性 を示す認知 ,実 践 ,判 断 ともにほとん ど変化 しない もしくは 認知能力 "で は低下す る傾 向が

認 め られた ことついて は ,被 験者 の年齢 や社会的背景 が影響 して いるので はないか と思われる

.

看護学校卒業時 の年齢 は教育課程 によ り異 な り ,准 看護婦 では 18歳 か ら 20歳 (高 校衛生看護科

,

准看護婦養成所 を卒業 した場合 ),看 護婦 は 20歳 か ら 22歳 (看 護婦 養成所 2年 課程 ,看 護大学 卒業 の場合 )と な る .臨 床経験 6年 か ら 10年 を経過 した看護職 では年齢 が 24歳 か ら 32歳 となり

,

女性 が結婚 して ,家 事 や育児 とい う役割 を担 うことが社会的に期待 されている年代である .し

たが って ,こ の時期 にある看護職 は ,家 事や育児 とい う役割負担 が重 くの しかか ることに よ っ て ,充 分 に専門性 を発揮 し自律性を高 め るための条件を作 ることが非常 に厳 しい状況 に置 か れ やす い とい う事情 が関係 して いるよ うに思われ る

.

あるいは ,就 業後 その職能を次第 に成長 させ続 けて きた看護職 は ,経 験年数 が 6年 を過 ぎた 頃 には患者 の求 めに応 じて適切 な看護 を主体的に行 え るよ うになるなど ,自 立 した職務遂 行 が 可能 となるのが一般的である .こ れまで は看護 の職務 を遂行で きるよ うに専門知識 や技術 の獲 得 に向 けて同僚や上司の指導 を受 けて きたが ,こ の段階では自らが指導者 とな り後輩 の指導 に あた る立場 にな っている .看 護 の仕事 に対す る意欲 は経験年数 の長 さにかかわ らず一定であり

,

看護職 として就業後 にほとん ど変化がないとい う結果を考え合わせ ると ,就 業後 6年 を経過 し た看護職 は専門性 を高 めていきたいとい う意志 を持 って はいるが ,後 輩 の指導的役割 や病 棟 で の責任 のある役割の増大 などか ら ,自 分 自身の看護 の能力 向上 に努力す る物理的および心理 的 なゆ とりがないよ うに も思え る .い ずれに して も ,臨 床経験 6年 か ら 10年 における自律性 の停 滞 につ いて は ,さ らに社会的背景 や職場 の人間関係 など環境要因 との関連 を検討 して い く必要 があろ う

.

今回の調査 は一つの病院の看護職 を対象 としてお り ,横 断的研究法で得 られたデータで あ る ため一般化す ることは難 しい .今 後 は ,複 数 の病院を対象 と し環境要因の異 な る標本を確保 す ること ,さ らに縦断的研究法 によって変化を追 いなが ら結果の一般性 を確認 して い くことが課 題 であ る .ま た ,看 護 の専門職的 自律性 は ,看 護職 と して就業後 に経験 とともに上昇 して い く が ,経 験年数 6年 か ら 10年 の間で は変化がなか った ことか ら ,経 験 のあ る看護職 に対 して職務 上 の責任や権限が どこまで委譲 されて いるのかなど職務内容 との関連 を検討す ること ,さ らに は ,職 場 での対人関係 など自主的・ 主体的な行動 に影響を及 ぼす他者 の存在 などにつ いて も検 討 が必要 であ る

.

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参照

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