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ビーム波伝送に関する一考察 田 中 和 雅* 安 浦 亀之助**

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(1)

ビーム波伝送に関する一考察

田 中 和 雅* 安 浦 亀之助**

AStudy on the Beam Wave Transmission

by

Kazumasa Tanaka

(Electrical Engineering)

       Kamenosuke Yasuura

(Faculty of Engineering, Kyusyu UniversitY, Fukuoka)

  The wa∀e guide using dielectric lenses as phaSe shifter is one of the fundamental methods of beam wave transmission. The main Iosses in this system are reflection, diffraction and dielectric ones. Among them, the first is most dominant. But, as for reflection, we know the existence of Brewster angle for plane wave incidence upon plane boundary surface. We may, therefore,

expect that the reflection loss will be considerably diminished if lenses are set at Brewster angle with the direction of propagation of the beam wave. To discuss this problem quantitatively we deal, in this paper, with the case when lenses of a kind are set at an arbitrary but constant angle. The beam modes of this system are obtained solving an integral equation. From this the reflection loss is easily calculated if surfaces of lenses are approximated with plane. The results show as expected that the loss is almost neglected. Diffraction Ioss can also be obtained.

 1.はじめに

 レーザあるいはメーザの出力として得られるビーム 波は伝播軸のまわりにガウス分布した振幅と球面で近 似される波面をもっている1).このビーム波の伝送路 の一つとして誘電体レンズを周期的に配置した,いわ ゆるくり返し型レンズ導波路があるが,レンズ表面で の反射による損失が大きく特殊な加工を施さなければ ならない.しかしこの反射損はレンズをビーム波の伝 播方向に対してブリュスタ角になるように設置すれば かなり減少するものと思われる2).

 ここでは一般に同一のレンズが等間隔に,かつ伝送 方向に対して任意の一定角度でおかれたときのビーム 波のモード関数を積分方程式を解いて求めた.またこ のようにして送られたビーム波がそれまでとは異った レンズを通った場合の界を求めた.これからレンズ表 面を平面で近似したときの反射波およびそれによる損 失がただちに計算出来る.さらにこの伝送路の損失と してもう一一つの大切な要素であるレンズ開口の有限性 による回折損も求まる.

*電気工学科

** 繽B大学工学部 福岡市箱崎町

 2.ビーム波のモード関数

 ビーム波の伝送方向はXZ面内にあり,かつZ軸

と角θをなすものとして座標軸を図1のようにとる.

レンズはz軸に垂直に,等間隔におかれているとして その一区問を考える.

X

o

C ¶  の  一  曽  曽  一  一  一  鱒  一  薗  鱒  } 槽  胴  一  一  

@      ●

1

       l       o

@      「θ       

o 0

一b, b

o

卿  一 一  曹  璽  一  一  璽  一  一  璽  一  一 〇  ●  一  一  冒

一C

1

Fig。1Geometry of the problem

Z

 いま任意の界φ(X,y, Z)を次式のように平面波 の重ね合わせとして表わしておく.

      

  φ(・,・,・)一∫f(ξ・・)・xp(一iξ・一i・y−i・・)dξd・

        一。。      (1)

(2)

 ここでξ,ηおよびζはそれぞれ波数ベクトルの

X,yおよびZ成分で

  ξ2十η2十ζ2==ko2, ko:波数:

       ド       

である(∫∫dξd・などの鍾積分は∫dξ・・と略記

     一◎o      −oo

する.以下同様).

 (1)より任意のz=一定の面でのφが与えられれ ば入ベクトル関数f(ξ,η)がわかり, さらにこれか

らφ(X,y, Z)が求まる.したがって次式が成り立

つ.

      

  φ(・…b)一(21),∫φ(・ ・・ ,一b)・xp

      一〇〇

  {一iξ (x−xノ) 一iη(y−yノ)一2iζb}dξdηdx dyノ

      (2)

 φ(X,y, Z)がZ軸と角θをなす方向へ伝播する・

ビーム波を表わすためにf(ξ,η)は次のような性質 をもっているとする.すなわち』

  ξo=ko sinθ, ζo=ko cosθ  とおいて

  ξ=ξo十δξ,  η=δη「

 としたときf(ξ,η)はf(ξo,O)を中心に

  ト勢k<・・1一割<<1

 の範囲で大きな値をもち,それ以外では急速に減少 するものとする.このときζは

ζ一ζ・一(・an・)・ξ一2k鍔s3θ一死1篭i、θ

 で近似され(2)のξ,ηに関する積分をδξ,δη についての積分におきかえて計算すれば次式を得る.

  φ(・…b)一(21),π ko浮os2θ・xp(一2i・・b)

∫象x1・・ ・一b)・xp卜iξ・(・一・ )一 k・駕s3θ

一co

{2・一(・一・ )}2一 ko4§osθ(・一・ )・]dxld・

      (3)

 いまz=bにあるレンズによる移相量を

  iβ1 (x−c)2十iβ2y2十i¢・0

 としてこの移相をうけた界がz漏一bにあるレンズ で移相をうけた界と同じ分布になるという条件   φ(x,y, b)exp{iβ1(x−c)2+iβ2 y2+i留。}

  =exp(iψ)φ (x−2c, y,一b) 、

 (ψは任意の実定数)から次の積分方程式をうる.

  φ(x−2c, y,一b)exp{一iβ1(x−c)2−iβ2 y2       1   πiko cos2θ

  一i(ψ0一ψ)}=

         (2冗)2  4b

         

・xp(一2iζ・b)∫φ(・ ・・ ・一b)・xp

      −oo

[一iξ・(・一・ )一 k・4騨{2・一(・一・ )}2

koS書osθ(・一y1)・]d・ d・・ (4)

  φ(x,y,一b)=φ1(x,一b)φ2(y,一b)とし てこれを解けば

  φnm(x, y,一b)=ψ1n(x,一b)φ2m(y,一b)

一郭去{(・一4K・2)青(ko発s3θ)一iβ・}

(・+・)・一文{(1−4K塁)去(ko鍔sθ)一iβ・}

・・一iξ・(・+・)+2i・(ξ・一2β・・)]H・「ゾ互(・一

4蝋ko鍔s3θ)去(・+・)]Hmレ7(ユー4餅

  (ko考sθ)麦・]   (5)

 をうる.ただし

・・一

求BβP暴,θ…一k藷,θ,Ki一・i一去(i一・,

  2)

 でHn(x)はHermiteの多項式である.

 (5)で表わされる界が発散することなく,ビーム波 として安定に伝送されるためには

  1−4K字>0  (O<γi<1)

     1

 でなければならない.以下の議論ではこの条件はつ ねに満足されているものとする.

 (5)よりφnmに対するスペクトル関数fnmが求 まり次式をうる.』

f・m(ξ・η)一21i/β、k。b。。s3θ}㌔k。b葡}を

・xp[一iξ・一iζb+i(・+去)(号+・・ガ・r・)

  +i(   1m十一   2)(音+・・ガ・r・)一続{(1−4K呈)青

  ( 12β1)+ik。皇。、、θ}(ξ一ξ・)・一去{(1−4K菱)青

(_L2β2)+ik。睾。、θ}η・]H・[育(・一4K呈)去

  (_L2β1)青(ξ一ξ・)]Hm[ゾ互(1−4K舞)去(歳)青η]

       (6)

 ただし

   ri一/、讐,i

 (1),(6)より任意の点でのビーム波のモード関数 φnm(x, y, z)が求まり次式のようになる.

(3)

田中和雅、安浦亀之助

φ・m(・,・,・)一{ユー・・(・孝)}¶・一

γ・(・一帯一霞・x・「一iξ・(・+・)一iζ・(・+

b)+i(   ln+一7)(・an一・r・+・・ガ・午)+i(m+

去)(〔…一…+・・n一・「者z)確諜,

瞬畔

(劉一[∴}ナ]⑦

 つぎにスポットサイズについて考える.普通スポッ トサイズは伝播方向に垂直な面内で界の大きさが中心 軸上の値の1/eになる点の,軸からの距離で定義さ れるが,今の場合(7)式からわかるように伝播軸に 垂直な面内では界はガウス分布していない.従ってこ こではz軸に垂直な面内で,界が伝播軸上の大きさの 1/eになる点までの距離で定義する.このときx方向,

y方向のスポットサイズWx(z), Wy(z)はそれぞれ

      ゾ7{・一・・(   Z21「弄)}壱

      (8)

  Wx(z)=

るWx(z)/γQ,(γo=4礪)のグラフを示した.

w・(・)/為

5.0

(・一4Kわを(ko舞号s3θ)麦

ゾ万1・一・・(   Z21「顕)}雪

(9)

γ一壱

@〆一二γ一÷

γ一門

ち一l・

γ」吉

@γ一告

@γ一入

チ一藷

一1.0 Q

5,0

_____r」L.. 1.O

    b

Fig.2 Spot size

3.反射ビーム波

 ここではレ、ンズの表面を平面で近似する.レンズの 屈折率をnとして角度iで入射する平面波に対する

反射係数Rは

R=

Wy(z)=(・一4K萎)去(kも音osθ)ナ

 で与えられる. とくにz=b(レンズ上)における スポットサイズWx(b), Wy(b)をそれぞれW1,

W2とすれば

         ゾ互   W1=

    (・一4K釜)を(ko鍔s3θ)南

         ゾ互

  W2=

    (・一4K舞)を(ko2昏sθ)青

 となる.これよりW1, W2が最小になるように するには.K1=K2=Q とすればよいがこのためには cylindrical lensつまりx:方向とy方向とで曲率半 径の異なったレンズを使用しなけれぽならない.通常 のレンズではβ1=β2でありこのときは常にW1≧、

W2が成り立つことが証明出来る.したがって実際は W1が最小になるようにすれば十分である.このとき       sin2θ

  K1=0, ・K2=一        2

 となる.図2にθ=60。のときのγ1の各値に対す

n2coS i一へ/n2−Sin2 i   n2cos i十へ/n2−sin2 i で与えられる.これをかきかえれば

R=・2ζ一〜/露k・2一(ξ2+η2)

  n2ζ十《/n2ko2一(ξ2十つ92)

となりこれは近似的に

一。,恭+k(A+Bδξ+Cδξ・+Cδη・)・

となる.ただし

k調》(n2−1)ko2+ζ02  A=n2ζo−k

B一N装(・・t・b・+智)一(・・t・nθ一智)

       十  C=  n2ζo十k

         2k。nl。、,θ一nl餐暮2)一 n2ζo『k i2k。癌s3θ+nも菱92)

(・・t・nθ+智)2一(

(・・tan・θ「纏)

D一

燉{( )一(

(10)

(11)

(12)

n2ζo−k

(n2ζo十k)2    1

n2ζo十k

        2k3…。、θ+症2k。nl。、θ一髪)

 である.θがtanθ=nをみたすとき(ブリュスタ 角),A=0 となる. この反射係数を用いればz=b にあるレンズによる反射ビーム波は

       

  φ藍m(・,・,・)イf・m(ξ・η)R(ξ・η)・xp{一

         酬一co   iξx−iηy十iζ (z−2b)} dξdη

 となり,これに(6),(12)を代入すれば次式を得る.

(4)

X

0

φ。温(・,・,・)一{・一・・(・躍)}一去{・一・・

(  Z121−   b2)}一十・xp[一iξ・(・+・)+iζ・¢・一b)

+i(   ln+百)(・・n一・r・一・an一・「セ1)+i(m+去)

囲鋼㍗)撃課)α

一斗繰ゾ}]{一

[畑鼠Hm[高1弩)}壱]

+B・Hm〔・・I 1!㈲(1)脚{一i(・

一2P)(二+taガ・「…2     b)}H。+、一2P〔…・〕+C・Hm

し・ ご!!㈲(三一i(2−2P)(晋

+・an一・h1)}H。+2−2P〔…x〕+D・H・〔…・〕

畿(m♂繍邑・{一i(2−2P)(吾+一・

㌣1)}Hm+2−2P〔…y〕  (13)

ここで  z1=z−2b

B・一B》瓦(・一4K呈)一を  Cノ=Cβ1(1−4Kわ一青  D1・=Dβ2(1−4K舞)一一を

 Aノ=A十Cノ十D1

 である.これより反射ビーム波は(0,0,2b)にビ ームウェストをもち,x+(z−2b)tanθ=0の方向に 伝播するビーム波の集まりから成り立っていることが わかる(図3).

 4.入射および反射ビーム波のエネルギー  ここでは簡単のため入射ビーム波は(0,0)モー

ドとする.このときz=一定の任意、の平面を通る単位 時間当りの入射ビーム波のエネルギーEiおよび反射

ビーム波のエネルギーErはそれぞれ次式で与えられ

る.

Ei一郭。 k。ζ£蕊,θ(・一4K呈)一去(・一4K菱)一を

      (14)

E・r嵩k。號,θ(1−4K呈)一下(・一4耳1)一去

  (A/2十B 2十2C 2十2D/2)         (15)

 したがってエネルギー反射率REは次のようになる.

  R・一書一A ・+珍・2+2C・2+2D・2 (・6)

RE

(%)

5.0

n「厄

こ・、

\\  \よ\こ\

  \ぶ♪、

     ・獣・、

     \\\

       球ぴ、

       \\・、

     ib   ・㌔\ z

Fig.3Reflected beam wave

 0

     10   20   30   40   50   60   70 θ。

   Fig.4 Energy reflection coefficient

 図4にn=,〆百としたときの角度θに対するRE の変化のようすを示す.ブリュスタ角(θ=60。)のと きはRE窪工O『8程度となりθ=OQのときより106程 小さくなる.従ってこのときの反射損は殆んど無視出

来る.

 5.回 折損

 レンズ開口の有限性による回折損を考慮するときモ ード関数はさきに求めたものをそのまま適用する.こ こではx方向についての有限性のみを考えると,入 射エネルギーに対する回折損の割合Edは

Ed〒・≠∫拳も(一・・)d・・A・一》詐・

      (17)

(5)

田中和雅、安浦亀之助

 となる.ただし2a1はx方向のレンズ開口の大き さを表わす.図5にα1=a1/w1に対するEdを示し

た.

Ed

1.0 0.8 0.6 0.4 0.2

 0

  a1

   コへ1   W1

 2al:x方向のレンズ開ロの大きさ  嚇:レンズ上でのx方向のスポット    サイズ

3 α1

Viω一1一・i[・一4(・一li )(・一γi )一

雫(    γill一 .    γ1)(・一2・i・)一一韻・一4・i (・一

輪)}]

 でγiノはγiの中のβiをβi で置きかえたもの で定義される.

 (18)はZo≧一bなる任意の点について成立つ.

 前に論じた反射損失,回折損などは(18)に対して も同じように計算出来る.

 1        2 Fig.5 Diffraction Ioss

6.異種のレンズに入射したビーム波

 上で行なった議論は同一のレンズを使って送られた ビーム波についてであったが,実際にビ・一ム波を使用 する場合このようにして送られたビーム波を目的に応 じて絞ったり拡げたりして用いる.したがってこれま で伝送用に使われたものとは異なったレンズに入射し たビーム波を知る必要がある,

 z=一bまでは前に求めたビーム波が伝送されてい るとして,これがz=一bにおかれたレンズ(その移 相量をiβ1ノ(x+c)2+iβ21y2+iψoノとする)に入射 した場合を考えれば,Kirchhoff−Huygensの原理 を使って次式を得る.

       よ      エ          ¢ノnm(xo, yo, zo)・=y1(zo) V2(zo) exp   {i(・・ 一・・)一iξ・(・・+・)一iζ・(・・+b)+i

  (  1n+7)・・ガ・ β1

(m+去)taガヤ、[β,一2β,讐,,信ll+b)]

2V並。)[魯一{β・一2β・・+k呈。響θ〔ユーV・

¢・)〕}](xO−Zo tanθ)・一2Vま葡[二一i{β・

一2β・・+號θ〔・一V・¢・)〕}]・1}H・

[/2告・〆V1(Zo)一司弔烈

       (18)

ただし

       十i r・[β・一2β・ +藷+b)]

      β2

7.検 討

 一般に光軸とある角度をなしておかれたレンズは 非点収差により縦,横の焦点距離がかわってくる.

これを考慮してこのレンズを等価的に軸に垂直な cylindrical lensにおきかえて,縦横別々にガウス型 のビーム波を仮定しその波面の曲率半径とスポットサ イズとを複素表示して議論する方法が行なわれてい る3).この手法は厳密には正しくない.すなわちスポ ットサイズの所でのべたように伝播軸に垂直な面内で は界の分布はガウス的ではない.この誤差は伝送ビー ム波の回折損が少なくなるようにレンズのパラメータ をえらべば十分小さくなる.

 ここでの計算によって斜入射ビーム波のモード関数 がわかり,レンズを軸に対してブリュスタ角に設置す れば実際上無視出来る程度まで反射波を少なくしうる ことがわかった.このブリュスタ角に設置するのに要 する正確度は反射損という点のみに着目すればあまり 厳密なものではないことも確かめられる.

 誘電体損あるいはレンズの曲面をも考慮に入れたと きの反射損などは今後の問題となる.

1) G.Goubau and F. Schwering: On the guided  propagation of electromagnetic wave beams  IRE Trans.,AP−9, p.248(May 1961)

  G.D. Boyd and J. P. Gordon : Confocal  multimode resonator for mi11imeter through  optical wave length masersu, Bell Syst. tech.

  J.,40,P.489(March 1961)

2)藤井、白石他:昭和43年電気四学会連合大会 3)藤井: 光ビームの等価回路 、量子エレクトロニクス   研資(昭43−02)

参照

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