斜面市街地整備計画策定へ向けた住民参加手法 の適用 一長崎市立 山地 区を対象 として ‑
杉 山 和一 ㌦ 北川 圭介 日、棚橋 由彦 *日、松尾 天 日日、全 柄徳
*= **ApplicationofCitizenParticlpationTechniqueinMakingthePlan forImprovementofaHillsideDistrict
‑CaseStudy ofTateyamaDistrictinNagasakiCity
‑
KazuichiSUGIYAMA' , Keisuke KITAGAWA",Yoshihiko TANABASHI"', TakashiMATSUO‥ 日 ,andByungdugJUN*‥**
Abstract
Wehavesomanydenselybuilt‑upareaswhicharecomposedofnarrow andsteeproadswithmany stepsinhillsidedistrictsofNagasakiCity.Insuchdistricts,wehavemanyproblemssuchasnarrow and steep community roadswith many stepsand thelack ofopen spaces.These problems cause difficultiesnotonly in thedaily lifeof the inhabitants but also in evacuation activities when disastersoccur.Generally,rightsaresocomplicatedinthesedistrictsthatcitizenparticlpationisan absolutenecessltylnmakingaplanforimprovement.First,wechosetheTateyamadistrictforacase studyandinvestigatedtheconditionsofthedistrict.Second,weanalyzedthequestionnairesto the inhabitantsandgraspedtheconditionsofthisdistrict.Third,Weexaminedtheitemsandcontentsfor improvement.Finally,WefoundtheitemsandcontentsneedingImprovementWhich theinhabitants demandbyapplyingAnalyticHierachyProcess.
1.
は じめに
長崎市 の市街地 は、長崎港か ら北方向及 び北東方 向‑伸 びる狭 い低地沿 いに形成 され、その市街地 を 囲むよ うに標高
200‑400m級の低山地が連 な って い る。 その平坦地 も事業所や公共施設等 にかな り広 い 部分 を占め られ、 さらに地価 も高 いため
、1960年代 か ら
70年代 にかけての高度経済成長期 を中心 に、周 辺 の斜面地が居住 の場 として開発 され るよ うにな っ た。 その開発が比較的短期間の内に急 ピッチで行わ れたため、現在のような都市基盤が未整備 な斜面市 街地が形成 された。 しか しなが ら
、1980年代以降の 急激なモータ リゼーションの進展に対応できず、徐々
キーワー ド :意識調査分析、市民参加、市街地整備
*工博 長崎大学助教授 環境科学部
(〒852‑8521長崎市文教町1‑14 TEL&FAX 095‑843‑6384)
**工修 日本鋪道㈱本社工務部
***工博 長崎大学教授 工学部社会開発工学科
**** ㈱ ペ ック技術部
*****工博 長崎大学助教授 教育学部 受領年月 日 2001(平成13)年9月14日 受理年月 日 2001(平成13)年11月2日
に時代 の流れに取 り残 され ることとな った。 その結 果、若年層を中心 とした人 口が郊外‑流出 し、人 口 の減少及 び高齢化の進展が顕在化 している
1)。斜面市街地 には、狭 く急 な階段道路 を挟んで住居 が密集 している地区が多 く、生活道路 を始 め とす る 都市基盤 に多 くの課題 を残 している
。これ らの都市 基盤整備の遅れは、住民 の 日常生活 に支障を きたす ばか りでな く、災害発生時 における避難活動や救急 医療活動 などに対 して も大 きな障害 とな ってお り、
斜面市街地 の整備が急務 とな っている
。高密な斜面市街地が形成 されている地区では、概 し て土地や家屋の権利関係が複雑に絡み合 っている場合 が多 く、市街地整備計画 を策定するにあたり、 住民 参加が不可欠である。本研究では、 長崎市立 山地 区 を対象に設定 し、まず地区の現状を調査 した。次 に、
長崎市都市整備部 まちづ くり課が実施 した住民 を対
象 としたアンケ‑ ト調査の内容を分析 し、地区の居住
環境に対する住民の意識を把握 した。 さらに、現状調
査 とアンケー ト調査の結果から個々の整備項 目とその
内 容 につ い て 検 討 した 後 、 階 層 分 析 法
AHP(AnalyticHierarchyProcess)
を適 用 し、 住民が 要望する地 区の整備項 目とその内容を明 らかにした。
2000
1500
芸1000 赦
500
0
4000
3500
3000台 2500
2000 1
9 6 5
19 7 01 9 7 51 9 8 01 9 8 51 9 9 01 9
951999年
図
‑1立山地区の世帯数および人 口の推移
日日日日目︻日TTTTT12345
立 山全体
0% 20% 40㌔ 60% 80% 100%
図
‑ 2立 山地区の年齢階膚別の人口構成
(1995年)
表
‑ 1立 山地 区の歩道 の状況
延長
(∩)割合 ( %)
幅
W鼻
1.0m≦W<2.W<1.0m0m 4′255686 74.6.35 W≧2.0m 1.145 19.2勾 l 配
J<5.l≧5.0%0% 2′657050 43.10.11階段区間
2.794 46.8等高線 角 との 度
0 0 ‑30 0( 横断)
1.434 24.0 30 0 ‑600( 中間)
1.140 19.1 60 0 ‑900( 縦道)
3′395 56.92.
対象地区の現状
立 山地区 は中心市街地 に近接 した長崎市中央東部 に位置 し、
1丁 目
〜 5丁 目に分かれている。地区内 で は大部分 の土地が住宅地 と して利用 されてお り、
主 に平屋 や二階建 ての一戸建 て住宅が等高線 に沿 っ て建 ち並 んでいる。
図
‑1に立山地区の世帯数 および人 口の推移 を示 す
。1985年 までは世帯数、人 口 ともに増加 している が、 その後世帯数 は横 ばい状態、人 口は減少傾向に あ る
。また、図
‑2に地区の年齢階層別 の人 口構成 を示す。立 山地区全体 の高齢者人 口比率 は
17.5%と 長崎市平均
15.6%を
2%程度上回 っているに過 ぎな いが、 これ は最 も人 口の多 い
5丁 目の
9.1%とい う 低 い値 に影響 されていることによるものである
。 1、
2
丁 目で は
20%を超え る高 い高齢者人 口比率 を示 し ている。
次 に、地区の生活道路 の状況 につ いて述べ る
。地 区内 には
28本の市道が配置 されているが、全市道延 長 の
59.6%の区間が自動車が進入できない状況 となっ ている。特 に、
1‑ 4丁 目でその傾向が著 しい。里 道 も含 めた歩道 の状況 を表 ‑
1に示す。幅員 につ い てみ ると
2.0m未満 の歩道 が圧倒 的 に多 く、 全般 に 狭陰 であ ることが明 らかであ る。勾配 につ いてみれ ば、高齢者等 にとって も比 較 的楽 に歩 け る
5.0%未 満 の勾配 の歩道 は全歩道 の総延長 の
10.1%にすぎず、
ほとん どの歩道 が階段道 路
(46.8%)も しくは
5.0%以上 の勾配が急 な道路
(43.1%)とな って いる。
立 山地区内にお いて人 口の高齢化が急速 に進行 し ている状況 につ いて前述 した。 このよ うな状況下 で は、同 じ歩道で も比較的勾配が緩 い歩道 と階段 を多 く含 む勾配が急 な歩道 とでは、地区内の徒歩 による 移動 とい う観点か ら大 きな違 いがあ る。 そ こで本研 究 で は、地区内の歩道 を比較的勾配が緩 い 「 横道」、
階段区間を多 く含 む勾配が急 な 「縦道 」、 及 びそれ らの中間の性質 を もっ 「中間」 に分類 した。 すなわ ち、「 横道」 を等高線 とのなす角度 が
0 0 ‑30 0、
「中間」 を
30 0 ‑600、「縦道」 を
60 0 ‑90 0と設定 した。以上述べた設定 に基づ き、地区内の歩道 を分 類 した結果、「 縦道」 の割 合 が
56.9%と半 分以上 の 比 率 を 占め た。 これ に対 して、 「横道」 はわ ず か
24.0%であ り、比較的徒歩 による移動が容易 な 「横 道」 のネ ッ トワークが未整備 であ る状況が明 らかで ある。従 って、水平方向への徒歩 による移動が困難 であ り、特 に高齢者や身障者 に とって大 きな負担 と な っている状況が、歩道 の分類結果か らも読 み取 る ことがで きる。
‑ 20
‑
また、 2丁 目か ら4丁 目にか けての標高 の低 い区 域 で は、一応消火栓が設置 されてい るものの、 それ が基準 に適合 していないため、消火活動 が困難 な区 域 にな っている。 この区域 は幅
130m、長 さ
400mの
約5.2haに も及んでお り、火災 が発生 した場 合 非常 に危険 な状況 にな っている。
3.
ア ンケー ト調査 による地区の問題点の抽出
1999年
7月、長崎市都市整備部 まちづ くり課 は、
立 山地区の住環境 の実態や今後 の まちづ くりに対す る住民 の意識 を把握す るために、 「立 山地 区 まちづ くりア ンケー ト」 を立 山
5自治会 の住民 を対象 に実 施 した
2)。調査票 の配布数 は
983、回収数 は
679、 回 収率 は
72.8%とな っている
。「まちづ くりで取 り組 むべ きこと」 とい う設問 に 対 し、要望 の多 い項 目は、多 い順 に 「車 の入 る道路 をつ くること」、「階段 を歩 きやす くす ること」、「人 の通 れ る横道 をっないで、便利 にす ること」 とな っ てお り、次 いで 「 駐車場 ・駐輪場 をっ くる こと」、
「 斜行 エ レベー タ等 を設置す ること」、 「空 家 ・空地 を市が買収 し、 まちづ くりに活用す ること」 な どの 項 目が挙 げ られている
。上位 か ら
'5番 目まで は、 い ずれ も生活道路 の整備や交通手段 に関連す ることが
らとな っている
。「 生活施設 の便利 さや周辺 の環境」 の設問項 目の うち、「 買 い物 の便利 さ」、「医院 や病 院 の便 利 さ」
に対す る回答 は、「普通」、「悪 い」、 「大変 悪 い」 の 順 であ った。 また、「通勤 や交通 の便利 さ」、 「学 校 や公民館 につ いて」、「 公園や憩 いの場 につ いて」、
「 生活 の しやす さ」、「防犯 ・防災 の安 全性 」 とい う 項 目に対す る回答 は、 いずれ も 「 普通」 が約半数 を 占め、次 いで 「悪 い」、「 良 い」 の順 にな っている
。学校 や公民館、公園が比較的近 くに位 置 しているに もかかわ らず、 このよ うな結果 にな ってお り、地区 の交通環境 の悪 さを表 している
。一 方 、 「眺望 ・風 通 し ・日当た りにつ いて」 に対す る回答 は 「良 い」、
「 普通」、「 大変良 い」 の順 であ り、 斜面 地 区が有 す る住宅地 と しての利点 をよ く表 している
。「防災 に対す る認識」に関す る設問のうち、「 火災」
につ いての認識 は 「 危険」、「 大変危険」、「不明」 の 順であ った。「台風」 につ いて は 「危険」、「 不明」、
「 大変危険」 の順 で、「 地震」 に対 して は 「不 明」、
「 危険」、「 大変危険」 の順 であ り、 いず れ も危 険 な 状態であることがかな り強 く認識 されている
。それ に対 し、「 水害 ( 浸水、土石流、崖 くずれ)」 につ い て は 「危険」、 「 不明」、「 安全」 の順 にな ってお り、
やや危険性 に対す る認識が薄 いという結果であった。
「 現在 の住宅 に今後 も住 み続 けるか」 に対 す る回 答 は、 「 可能 な限 りすむ」 が
58%、「わか らない」 が
19%、「いずれ
(3‑ 9年以内 に) 住 替 え」 が
11%とな って いる
。住 み続 ける理 由 と して 「日当た りが 良 い
」16%、「 暮 らしやす い
」13%、「 生 まれ育 った 所
」13%、「 他 に行 くところがない
」12%、「 風通 し が よい 」
11%、「眺望が よ い」
11%の順 で あ った
。一方、住替 え る理 由 と して 「 車が入 らない
」21%、
「階段 が多 い
」20%、「狭 い
」12%、「買 い物が不便」
10%
の順 にな っていた。以上 の結果か ら、立 山地区 は住宅地 と しての好 ま しい条件 を備 え る一方 で、道 路 を始 め とす る社会基盤 の整備が立 ち遅 れている実 態が明 らかである
。4.
地 区の整備項 目 ・整備 内容の設定
本研究で は立 山地区の居住環境 を整備す るための 基本 的な コ ンセプ トをまず設定す る
。次 に、地区の 社会資本整備 の項 目を設定 し、先 に設定 した基本 コ
表 ‑2 整備項 目及び整備方法 整備項 目 整備 内容 整備方法
車道
l道路形態
1.歩車分離
2.
歩車共存 車道 l l 通過交遺 1.排除す る
2. 排除 しない 車道 ‖ 幅鼻
2. 4m1. 4m未満 以上
6m未満
3. 6m
以上
8m未満 車道
lV配置間隔 1.標高差
40m2.
標高差
60m車道
∨一方通行
1.実施す る
2.
実施 しない 横道
l道路形態
」.歩行者専用
2. バイク通行可 横道
ll幅員
1. 2m未満
2. 2m
以上
4m未満 横道 ‖ 配置間隔 1.車道間 に 1本
2.
車道間 に
2本
懸垂型
昇 降機設置位置
2.1.地区内中央部 の縦道 約
200m間隔の縦道
3.設置 しない
駐車場
l設置位置 1.地区内
2. 地 区内の縁辺部 駐車場 l l
規模1.大型駐車場
2.
小型駐車場 を分散 公園
規模1 .まとめて 1 つ
2.
分散す る
移転住宅 移転補価 2. 1.地区内代替地 の提供 地区内共 同住宅
ンセプ トを評価基準 に して、各整備項 目の整備方法 の重要度 を決定す る。
地区の居住環境整備方策 を検討す るに際 し、地区 の現状調査や住民 に対す るア ンケー ト調査 の結果か ら、 ここではまちづ くりの指針 となる基本 コンセプ
トと して、以下 に掲 げる
4項 目を設定 した。
(彰
災害 に対 して安全 なまちづ くり ( 防災)
② 利便性の向上 を目指 したまちづ くり ( 利便性)
③ 環境 に配慮 したまちづ くり ( 環境)
④ 地域住民 のつ なが りを大切 にす るまちづ くり ( っなが り)
また、地区の現状調査及 びア ンケー ト調査の結果 を総合的に考慮 し、「車道整備」、「横道 整備」、 「懸 垂型昇降機 の設置」、「 駐車場整備」、 「公園整備」、
「イ ンフラ整備 に伴 う移転住宅」 か らな る合計1
3の 整備項 目とその具体的な整備方法のオプションを設 定 した。 その結果 を表
‑2に示 す。 なお、 ここで
「懸垂型昇降機」 と呼んでいる設備 は、 狭 い階段道 路 に も設置す ることが可能 な小規模 な懸垂式 のモノ レールである
。 1人か
2人乗 りの簡便な設備であり、
幅1.
2mのスペースが あれ ば設 置 で き、 車椅子 を直接乗せ るタイプもすでに開発 されている
。また、省 スペースであることに加え、設置費用 も非常 に安価 であることか ら、長崎市内の斜面市街地 において現 在導入す ることが検討 されている
。図 ‑ 3 車道 lの階層構造
5.AHP を適用 した整備計画案の検討
本研究では、前述 した
4つの基本 コンセプ トを評 価基準 に用 い、表 ‑2 に示す整備計画案 に対 して A HP
3)・4)を適用 し、 それぞれの整備項 目にお ける整 備方法の検討 を行 った。設定 した階層構造 の一例 を
図‑3 に示す。 なお、本研究 は地区の整備計画 に対 す る住民の意向を引 き出す ことを目的 としているこ とか ら、月 治会 の代表
15名か ら、各基本 コンセプ ト の重要度の一対比較及 び各整備方法 の内容の重要度 の一対比較 に関す る意向を取得 し、 その結果 を解析
した 。(1)
基本 コンセプ トの重要度の検討
基本 コンセプ トの‑対比較 の結果算出 した重要度 を表 ‑3 に示す。解析結果か ら ( 防災) の重要度が 他 に比べて著 しく大 きくなっている。 これ は立山地 区が抱 える災害 に弱 いという特性 を強 く意識 した結 果が反映 されていることを示 している
。 2番 目に高
表‑3
基本 コンセプ トの一対比結果 と重要度 環 境 防 災 利便性 つながり 重要度 環 境 1
1/5 1/21
0.121防 災
5 1 2 3 0.500利便性
2 1/2 1 1 0.215?なかり
1 1/3 1 1 0.164 C.I.‑0.02い重要度 を示 したのは、 ( 利便性) で あ り、 反対 に ( 環境) につ いては重要度が最 も低 い結果 とな った。
なお、評価結果の首尾一貫性 の尺度 を示す値 とし て コ ンシステ ンシー指数
(consistency index)が 提案 されている。完全 な整合性 を持っ場合 はこの値
図 ‑4 各基本 コンセプ トが及ぼす影響
義 ‑ 4 基本 コンセプ トの‑対比較結果 と強度( 1 ) 環 境 つ な が り 強 度
環 境
1 7 0.875C.I.‑0.00
義‑5
基本 コンセプ トの一対比較結果 と強度
(2)環 境 つなが り 強 度 強 度 防 災
1 7 9 ,0.785利 便 性
1/7 1 3 0.149C.I.‑0.08
が
0とな り、不整合性 の度合 いが高 くなるはどこの 値 は大 きくなる。 この値が
0.15以下であれば合格 で
‑ 22‑
あ るとい うことが経験則 よ り示 されている。今回の 解析で は
0.02とこの数値 を十分満 た してお り、 結 果 の整合性 は保証 されて いる
。(2)
基本 コンセプ トの独立性 の検討
4
つの基本 コ ンセプ ト「 環境」、「防災」 、「 利便性」 、
W*‑M ・W5780
0 0
0 50
780 0
0 901410
0 5612060 1
00「っなが り」につ いて、 それぞれの独立性 につ いて検 討 した
5)。図
‑4に各 コ ンセプ トが他 の コ ンセ プ ト に及 ぼす影響 を示す。
次 に、図
‑4に基づ き、他 の コンセプ トか ら影響 を受 ける 「 環境」 と 「防災」 につ いてその影響 の大 きさの一対比較 を実施 し、 その強度 を算 出 した。一 対比較結果 と得 られた強度 を表
‑4及 び表
‑5に示 表
‑6す。 なお、 この解析 において も
C.Ⅰ.≦0.15の条 件 を 満足 してお り、結果の整合性 は保証 されている
。以上 の解析結果か ら、前節 で求 めた各基本 コ ンセ プ トの重要度Wを以下 の式 を用 いて補正す る。
その結果、補正後 の重要度W'は、 次 の よ うに算 出 された。
W'T‑ [0.134 0.463 0.229 0.174]
(3)
整備項 目と整備 内容の検討
今回実施 したすべての整備項 目につ いての解析結 果 を表
‑6にまとめて示す。また、以下に 「 車道 Ⅰ 」 、
「横道 Ⅱ 」、「懸垂型昇降機」 の整備項 目の解 析結 果 につ いて説明を加 え る
。「 車道 Ⅰ」 につ いては、 ( 防災) とい う観 点 か ら は 「 歩車分離」、 ( つなが り) とい う観点 か らは 「 歩 車共存」 の方が高 い評価値 とな っている。 これ は、
両評価基準 の特性 を良 く反映 した結果であ ると考 え られ る
。しか し、 ( 環境)、 ( 利便性 ) の観点 か らの 評価結果 は、同 じ評価値 とな っている
。総合評価 に 総合評価結果
整備項 目 整備 内容 整備方法 環
0.13境
4防
0.463災 利便 性
0.229つながり
0.174総 評価 値 合 総 評 合 価 車道
l道路形態 歩車分稚
0.500 0.667 0.500 0.250 0.534○
歩車共存
0.500 0.333 0.500 0.750 0,466車道 l t 通過交遺 排除す る 排除 しない
0.0.636733 0.0.363367 0.0.257500 0.0.366337 0.0.356419.○
車道 ‖ 幅員
4m未満
0.105 0.094 0.117 0.200 0.119○
4m以上
6m未満 0.258 0.280 0.268 0.400 0.295 6m以上
8m未満 0.637 0.627 0.614 0.400 0.586車道 l V 配置間隔 標高差40m
0.500 0.667 0.750 0.667 0.664○
標高差
60m 0.500 0.333 0.250 0.333 0.336車道
V一方通行 規
則実施す る 実施 しない
0.0.550000 0.0.550000 0.0.275500 0.0.550000 0.0.443557○ 横道 l 道路形態 歩行者専用 バイク通行可
0.0.550000 0.0.550000 0.0.257500 0.0.550000 0.0.455437○ 横道 l l 幅員
2m2m未満 以上
4m未満
0.0.363367 0.0.280000 0.0.280000 0.0.257500 0.0.227773○ 横道 ‖ 配置間隔 車道間 に 車道間 に
21本 本
0.0.550000 0.0.336637 0.0.336637 0.0.336637 0.0.356455○
懸垂型
昇降機 設置位置 地区内中央部の縦道 約2
00m間隔の縦道 0.0.472444 0.0.355197 0.0.296413 0.0.354882 0.0.355477○ 設置 しない
0.084 0.124 0.067 0.069 0.096駐車場
l設置位置 地区内
0.667 0.500 0.750 0.667 0.609○
地区内の縁辺部
0.333 0.500 0.250 0.333 0.391駐車場 l l 規模 大型駐車場 小型駐車場 を分散
0.0.275500 0.0.257500 0.0.831673 0.0.183637 0.0.217873○
公 園 設置位置 分散す る まとめて
1つ
0.0.363367 0.0.336637 0.0.336637 0.0.550000 0.0.366328○
移転住宅 移転補俳 地区内代替地 の提供 地区内共 同住宅
0.0.621308 0.0.402000 0.0.333333 0.0.493131 0.0.402804○
ついては、「歩車分離」が 「歩車共存」 をやや上 回 る結果 となった。 これは、評価基準 ( 防災)の重要 度が他の評価基準 の重要度 よりかな り高 いことによ
る。
「 横道
Ⅱ」の評価項 目については、すべての評価 基準 について 「2m 以上 4m 未満」の方が高 い評価 値を得 た。従 って、総合評価 につ いて も同様の結果
とな った。
「懸垂型昇降機」 の評価項 目については、すべて の評価基準 に対 して、「 設置 しない」 は低 い評価 と な っている 。 「 地区内中央部」 と 「 2 0 0 m 間隔」 に対 する各評価基準 に対す る評価 は表
一6に示す通 りで あるが、総合評価 についてみ ると 「 2 0 0 m 間隔」 と いう地区内に多 く設置す る計画が高い評価 となった。
なお、 すべての整備項 目の検討 にお い てC.
Ⅰ.≦0 . 1 5 であ り、整合性 の条件を十分満た している。
6.
まとめ
長崎市の斜面市街地では、人 口の空洞化や高齢化、
災害 に対す る脆弱性、 日常生活 における障害 などの 様 々な都市問題が発生 している
。この最大の要因は、
道路 を始 めとす る都市基盤整備の遅れによるもの と 考え られ、その整備が急務 とな っている
。しか しな が ら、 このような整備事業 については、市民 の権利 や財産 にか らむ場合が多 く、遅 々 として進 まないの が現状である。 このよ うな現状 を打開す るため、計 画段階か ら住民が積極的に参加で きるよ うな手法の 開発が強 く求 め られている
。本研究では、長崎市立山地区を研究 の対象 に設定 し、 この地区における都市基盤整備計画 における住 民参加手法 と して階層分析法
AHPを適 用 す る こと により、整備計画の検討 を行 った。すなわち、地区 の整備計画 に関す る住民 の意向を、基本 コンセプ ト を評価基準 に して、各整備項 目の内容を導 き出す形 で明 らかにす ることがで きた。 このような一連 の解 析によ り、住民 の意向を反映 した計画案 の策定が十 分可能であるとの結論 に至 った。住民独 自で具体的 な計画案 を策定す ることは困難であるか もしれない が、 い くつかの選択肢か らその地区に適 した計画を 選択す る本手法 は初期 の計画段階か ら住民参加を図 る上で非常 に有効であ り、事業の推進 に大 き く寄与 す ることが可能であると考 える。
本研究 を進 めるにあた り、長崎市都市整備部 まち づ くり課 の関係各位 には様 々な資料 を提供 していた だいた。厚 くお礼 を申 し上 げる次第である。
参考文献
1
)杉山和一 :長崎市内斜面市街地 の居住環境改善 策 の提案 , 土木計画学研究 ・講演集 , N o . 2 2( 2 ) ,
p. 4 3 1 ,1 9 9 9 . 1 0
2)長崎市都市整備部 まちづ くり課 :立山地区 まち
づ くりア ンケー ト ,1 9 9 9.7
3
) 刀根薫 :ゲ ーム感覚意思 決 定 法 , 日科 技 連 ,
1 9 8 6 .3 .
4)木下栄蔵 :わか りやす い意思決定論入門,近代
科学社 ,p p. 5 5‑9 3,1 9 9 6.2
5)木下栄蔵 :マネジメン トサイエ ンス入門,近代