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「おむつ」内のむれに関する研究(第1報)
「おむつ」内における大腸菌の消長について
井上栄・馬場輝子
Studies on Stuffiness in the Interior of Diaper Covers: Increase of Colitis Germs (E.Coli) in the Interior of Diaper Covers
(Sakae Inoue・Teruko Baba)
緒言
「おむつ」は,大腸菌その他の細菌によって汚染されることが多い。即ち,排便があっキ時は 勿論,これらの処理後に於いても,その大多数は便の払拭が不完全のようであるoそれた排尿 が加わり,通気性の極めて乏しい密着した「おむつ」カバ‑によって蔽われているために湿 磨(1)が上昇し,体温と共に所謂むれて,一層細菌薬種に至適の状態に近くなるのではないか と考えられるが,現在までにはこれに関する研究業績を見ない。そこで「おむつ」交換時間の 延長と,大腸菌の繁殖推移との関係,及びカノヾ‑を通気性のあるものにした場合と,通気性の 無いものにした場合との差異を見るためこの実験を行い,被服衛生上から見た「おむつ」交換 の略々適当な時間と, 「おむつ」カバーとして適当な地質について知る事ができたので,本報 で報告する次第である.檎, 「おむつ」交換時間と「おむつ」の布地の強度との関係について
は第2報で報告したい。
i^H^i^Bci^Bis I試料
(1) 「おむつ」 :晒木綿をタカジアスク‑ゼ3%を添加した湯に浸して,沃慶反応が無くな るまで糊抜き後水洗,乾燥しオ‑トクV‑プ(2気圧15ポンド)にて20分間高圧滅菌した。
(2) 「おむつ」カバー
(a)モソサン再ヒ成ベビーフイルム(ど‑‑ル)を70%了ルコ‑ルで消毒し,紐につるし て自席乾燥後使用した。 (以後ビ‑‑ルの略称を用いる。 )
一(b)木綿ギンガムをオ←下クL,‑プ(2気圧15ポンド)にて20分間高圧滅菌したO
J第本論文の要旨は,昭和33年5月11日九州家政学会で発表した。
22= 長崎大学学芸学部自然科学研究報告 第8号(1958)
(a)は市販のrおむつ」カバー中,ビニール・ナイ・γ・ゴム等の通気能0のもの玉代麦 とし・(b)は平松氏の文献(2・)により選びゲrおむつ」とギγガムとの間に(a)のア ィノレムを敷いて吸水を防いだ。
尚,試料の厚さ・糸密度・大きさについては第1表に示した如くである。
第1表試料の厚さ・糸密度・面積
試 料
晒 木 綿 モンサント化成 ベピ戸フイルム
{木綿ギンガム同 上
厚さ(mm)
0.36
0.13 同上 0.32
糸密度(本/cm)
経
19『
30
緯
ユ8
26
面積(cm2)
5.5又16 10×10 6×6 10×10
(3)大腸菌(Escherichia Coli O2.)
0・・は病原性大腸菌で,健康者には排出されないが,生菌入手の都合で,長大医学部よむ 分譲を受けたものを用いた。非病原性のものも,大腸以外の部位に侵入した場合発病の原因『
となり,大腸菌による膀胱炎の臨床例の多い事は周知の事である。
E・Coli(以下大腸薄をE・Coliで表わす)は20〜24時間培養したものをその都度使用し・
た。
(4)被検尿:5才健康男児のものを滅菌した三角コルベγに採った。乳児のものが至適でみ るが,実験の都度,必要量を得ることが困難であるのと,両者共pH5.0〜7.0平均pH6.0で・
大差がないので幼児のものを使用した、,
(5)培養基:普通寒天培地
∬ 方 法
対照として,尿中に一定量のE・Coliを混和しておき,その後の推移を見るのであるが,
菌数計算に適当な稀釈度を得るために,数回の予備実験を行い,次の稀釈法を用いた。但し・
尿以外はすべて生理的食塩水稀釈である。
E.coli2mgllOOc.c.→・0.1×10c。c.…(菌液)
次にこの菌液1に対し,尿4の容積割合に混和した(尿・菌液)を用意しておく。
滅菌時計皿にシヤーレの蓋をしておき,消毒缶中から,その都度米熔滅菌したピンセソト で,布を手早く取り出し,時計皿中に折り入れ,滅菌ピペットで,尿・菌液2c.c.を布に注『
ぎ,十分に滲透させた。それを八ツ折(一部十六折)にし,それぞれのカバーで包んだ。但し ピニーノレは厳重に折りた玉んで密封し,ギγガムは,上方に開口した。これらを37。Cの恒温 器中につり下げ1それぞれ30分,1時間,2時間,3時間経過毎にとり出し,20c。c.の生理的・
食塩水に浮游させ,20回振盈後,その都度とりかえた滅菌ピペットで,布を強く30回突き出一
井上,∫馬場i 丁おむつ」内のむれ1と関する研究・(第・1.報) 23
し,その0.1c記♂1を繊菌シヤ1一レに移した。
それに予め40。C内外に溶鯉した普通寒天を注加して,菌液及び寒天液を均等に混和し平板 に凝固せしめた。
これを37。Cで20〜24時間培養し,楽落数を計算した。なお別にControlとして,布の代り に試験管内で同様の実験を行った。
実験結果
菌数計算によって得た数を,冷液を100とした場合の指数に換算し,その平均数(,4回)を ナラフに示すと第璽表のよう.1となる。
第1表 試験瞥内に於ける尿中の大腸菌の繁殖 第1表 rおむつ」内に於ける尿中の大腸菌の繁殖 ビニールカバー,ギンガムカバーの比較
曇50
蜘
130 120
UO
旬0
90 801
70 60 50 指数
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、う乞
びケ
〃
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150
140 130
120 110
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70 60 50
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時間 』一・ 1酊備考 △_ム ピニ_,レ・
X一一→ 2回 24時間は多数で計数不能 , .L」。 ギンガム ムr−rα 平均 1 働
涛一り( Controπ試験管内ン ・ ピ」■ル1賄
次にSampleについて・時間毎の平均値の比較検定をすると・30分では5多φ危険率で有意 の差が有り,1時間では有意の差が無く,2時間では,5%の危険率で有意の差が有り,3時 問では有意の差が無かった。
叉,ピニールの30分と1時間値の間,及びピニールの3時間に於ける,8っ折と16折との間 にも有意の差が無かった。
考 察
・Contro1に於いては,比較的正確に菌数推計が出来るはずであるが,3時間値ではばらつき
怨 .長崎大学学芸学部自然科学研究報告 第8号(1958)
が大きい。斯ういう点は,生菌から来る当然の誤差としてやむを得ない事であろうが,この腫 の実験に於いては,処理及び,結果の解釈に慎重を期さねばならない。・
更に,Sampleの値に於いては,布から全部の菌を抽出することが困難であって,布に残 る(3)事も考えられる。予備実験に於て,振邊後突き出して抽出したものと,更にその後,同 様にしたものを試みたが,後者に菌が絶無という結果は得られなかったので,試験管内操作で 許される最善の方法をとったのである。
これは一方,洗濯操作上の間題に連るものであるので後述するが,一応あらわれた数値によ り傾向は推定出来るので,考察ををす玉めてみると,rおむつ」内の大腸菌は,排尿後30分で は,菌の死滅と,何等かの繁殖阻止のためか減少するが,その後主として湿度の上昇が主な原 因と見られる環境の変化により,漸次繁殖が盛んになり, 3時聞後には20%内外の増加を示
す。
rおむつ」交換の時間は排尿回数(4)と考え合わせて,2時間を越えない事が望ましい。
rおむつ」カバーの通気性の良否が,菌繁殖に影響を与えるもの鼠如く,2時間では明らかに 差を見出す事が出来るので,「おむつ」カバーほ,通気性のあるものを,出来るだけ密着をさ けて着用させた方が良いと思われる。実際には,月令が進むと運動が激しくなり,rおむっ」
カバーの開口部や,布の間隙による空気の流通や,水分の蒸散が行われるので,上記のような 通気性の効果は更に多いものと推定されるので,今後,恒温器内で振動させる実験をしてみた い。尚,時間経過及び,通気性の差による乾燥度も測定して後報で報告したい。
rおむつ」の洗濯は,多量の水で十分に洗い,更に熱湯で仕上げをし,十分に目光で乾燥さ せ,特に梅雨期には,アイ・γに依る熱処理もした方がよい。
要 約
(1)菌の増殖は,最初の30分で一旦低下し,その後漸次上昇,3時問後には何れも対照よ1 り増加を示す。
(2)rおむつ」カバーの通気性の差による有意性は,5%の危険率で,30分と2時間にあ
らわれている。
(3)ピニーノレカバーでは,2時間後対照より増加する。
(4)布の折り方(rおむつ」を重ねる枚数)による差異は認められない。
本研究に当り,御懇切な御指導と御便宜を賜わった,長大医学部小児科部長和泉博士及び,
松永博士,御助言をいた父いた福岡女子大平松先生,又種々御助言と御鞭捷をいた父いた当攣.
部家政科教室一瀬教授外諸教官に深く感謝の意を表します。
文 献
(1)平松 園江:家政学雑誌 第6巻(1956)87,
pJ:, ; : r:i r J ICD S U C : F ! ( I 1 ) 25 (2) I : I C : = : 8 (1957) 93.
( 3 ) Jll ・ {LLI : : i i; ' i (].950) 24,0, 242.
( 4 ) I : l* C : Z { ‑・‑‑"* I (1951) 30.
Summary
l . Colitis germs decrease in the first 30 minutes ; then they increase gradually.
After 3 hours they go over the control.
2. The difference of diaper covers in ventilation corres out significant as d.iffe‑
rence in the activities of the germs in thenT, in a reliability of 95 , at the points of 30minutes and 2 hours from the start.
3. In vinyl diaper covers the germs increase over the control after 2 hours.
4. The folding of cloths (the number of folded cloths) makes no difference.