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Academic year: 2021

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(1)

21

「おむつ」内のむれに関する研究(第1報)

「おむつ」内における大腸菌の消長について

井上栄・馬場輝子

Studies on Stuffiness in the Interior of Diaper Covers: Increase of Colitis Germs (E.Coli) in the Interior of Diaper Covers

(Sakae Inoue・Teruko Baba)

緒言

「おむつ」は,大腸菌その他の細菌によって汚染されることが多い。即ち,排便があっキ時は 勿論,これらの処理後に於いても,その大多数は便の払拭が不完全のようであるoそれた排尿 が加わり,通気性の極めて乏しい密着した「おむつ」カバ‑によって蔽われているために湿 磨(1)が上昇し,体温と共に所謂むれて,一層細菌薬種に至適の状態に近くなるのではないか と考えられるが,現在までにはこれに関する研究業績を見ない。そこで「おむつ」交換時間の 延長と,大腸菌の繁殖推移との関係,及びカノヾ‑を通気性のあるものにした場合と,通気性の 無いものにした場合との差異を見るためこの実験を行い,被服衛生上から見た「おむつ」交換 の略々適当な時間と, 「おむつ」カバーとして適当な地質について知る事ができたので,本報 で報告する次第である.檎, 「おむつ」交換時間と「おむつ」の布地の強度との関係について

は第2報で報告したい。

i^H^i^Bci^Bis I試料

(1) 「おむつ」 :晒木綿をタカジアスク‑ゼ3%を添加した湯に浸して,沃慶反応が無くな るまで糊抜き後水洗,乾燥しオ‑トクV‑プ(2気圧15ポンド)にて20分間高圧滅菌した。

(2) 「おむつ」カバー

(a)モソサン再ヒ成ベビーフイルム(ど‑‑ル)を70%了ルコ‑ルで消毒し,紐につるし て自席乾燥後使用した。 (以後ビ‑‑ルの略称を用いる。 )

一(b)木綿ギンガムをオ←下クL,‑プ(2気圧15ポンド)にて20分間高圧滅菌したO

J第本論文の要旨は,昭和33年5月11日九州家政学会で発表した。

(2)

22= 長崎大学学芸学部自然科学研究報告 第8号(1958)

(a)は市販のrおむつ」カバー中,ビニール・ナイ・γ・ゴム等の通気能0のもの玉代麦 とし・(b)は平松氏の文献(2・)により選びゲrおむつ」とギγガムとの間に(a)のア ィノレムを敷いて吸水を防いだ。

 尚,試料の厚さ・糸密度・大きさについては第1表に示した如くである。

       第1表試料の厚さ・糸密度・面積

晒  木  綿 モンサント化成 ベピ戸フイルム

木綿ギンガム同     上

厚さ(mm)

0.36

0.13 同上 0.32

糸密度(本/cm)

19『

30

ユ8

26

面積(cm2)

5.5又16 10×10 6×6 10×10

(3)大腸菌(Escherichia Coli O2.)

  0・・は病原性大腸菌で,健康者には排出されないが,生菌入手の都合で,長大医学部よむ  分譲を受けたものを用いた。非病原性のものも,大腸以外の部位に侵入した場合発病の原因『

 となり,大腸菌による膀胱炎の臨床例の多い事は周知の事である。

  E・Coli(以下大腸薄をE・Coliで表わす)は20〜24時間培養したものをその都度使用し・

 た。

(4)被検尿:5才健康男児のものを滅菌した三角コルベγに採った。乳児のものが至適でみ  るが,実験の都度,必要量を得ることが困難であるのと,両者共pH5.0〜7.0平均pH6.0で・

 大差がないので幼児のものを使用した、,

(5)培養基:普通寒天培地

∬ 方  法

  対照として,尿中に一定量のE・Coliを混和しておき,その後の推移を見るのであるが,

 菌数計算に適当な稀釈度を得るために,数回の予備実験を行い,次の稀釈法を用いた。但し・

 尿以外はすべて生理的食塩水稀釈である。

   E.coli2mgllOOc.c.→・0.1×10c。c.…(菌液)

  次にこの菌液1に対し,尿4の容積割合に混和した(尿・菌液)を用意しておく。

 滅菌時計皿にシヤーレの蓋をしておき,消毒缶中から,その都度米熔滅菌したピンセソト で,布を手早く取り出し,時計皿中に折り入れ,滅菌ピペットで,尿・菌液2c.c.を布に注『

ぎ,十分に滲透させた。それを八ツ折(一部十六折)にし,それぞれのカバーで包んだ。但し ピニーノレは厳重に折りた玉んで密封し,ギγガムは,上方に開口した。これらを37。Cの恒温 器中につり下げ1それぞれ30分,1時間,2時間,3時間経過毎にとり出し,20c。c.の生理的・

食塩水に浮游させ,20回振盈後,その都度とりかえた滅菌ピペットで,布を強く30回突き出一

(3)

         井上,∫馬場i 丁おむつ」内のむれ1と関する研究・(第・1.報)         23

し,その0.1c記♂1を繊菌シヤ1一レに移した。

 それに予め40。C内外に溶鯉した普通寒天を注加して,菌液及び寒天液を均等に混和し平板 に凝固せしめた。

 これを37。Cで20〜24時間培養し,楽落数を計算した。なお別にControlとして,布の代り に試験管内で同様の実験を行った。

       実験結果

 菌数計算によって得た数を,冷液を100とした場合の指数に換算し,その平均数(,4回)を ナラフに示すと第璽表のよう.1となる。

 第1表 試験瞥内に於ける尿中の大腸菌の繁殖  第1表 rおむつ」内に於ける尿中の大腸菌の繁殖       ビニールカバー,ギンガムカバーの比較

 曇50

130 120

UO

旬0

90 801

70 60 50 指数

 .シ

、う乞

びケ

ρ・7 ノ己

        ×

、嬉\

150

140 130

120 110

100 90

80

70 60 50

寮、

\/

㌧        。,一

}レ

臼ノ■

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0

   9 .一ヌ x

1 ノr

      指

    ・.5 1   2   3 時聞 0・5 置   2   3

 時間    』一・ 1酊備考       △_ム  ピニ_,レ・

    X一一→   2回  24時間は多数で計数不能   , .L」。   ギンガム     ムr−rα  平均       1 働

      涛一り(   Controπ試験管内ン        ・   ピ」■ル1賄

 次にSampleについて・時間毎の平均値の比較検定をすると・30分では5多φ危険率で有意 の差が有り,1時間では有意の差が無く,2時間では,5%の危険率で有意の差が有り,3時 問では有意の差が無かった。

 叉,ピニールの30分と1時間値の間,及びピニールの3時間に於ける,8っ折と16折との間 にも有意の差が無かった。

       考    察

・Contro1に於いては,比較的正確に菌数推計が出来るはずであるが,3時間値ではばらつき

(4)

.長崎大学学芸学部自然科学研究報告 第8号(1958)

が大きい。斯ういう点は,生菌から来る当然の誤差としてやむを得ない事であろうが,この腫 の実験に於いては,処理及び,結果の解釈に慎重を期さねばならない。・

 更に,Sampleの値に於いては,布から全部の菌を抽出することが困難であって,布に残 る(3)事も考えられる。予備実験に於て,振邊後突き出して抽出したものと,更にその後,同 様にしたものを試みたが,後者に菌が絶無という結果は得られなかったので,試験管内操作で 許される最善の方法をとったのである。

 これは一方,洗濯操作上の間題に連るものであるので後述するが,一応あらわれた数値によ り傾向は推定出来るので,考察ををす玉めてみると,rおむつ」内の大腸菌は,排尿後30分で は,菌の死滅と,何等かの繁殖阻止のためか減少するが,その後主として湿度の上昇が主な原 因と見られる環境の変化により,漸次繁殖が盛んになり, 3時聞後には20%内外の増加を示

す。

rおむつ」交換の時間は排尿回数(4)と考え合わせて,2時間を越えない事が望ましい。

rおむつ」カバーの通気性の良否が,菌繁殖に影響を与えるもの鼠如く,2時間では明らかに 差を見出す事が出来るので,「おむつ」カバーほ,通気性のあるものを,出来るだけ密着をさ けて着用させた方が良いと思われる。実際には,月令が進むと運動が激しくなり,rおむっ」

カバーの開口部や,布の間隙による空気の流通や,水分の蒸散が行われるので,上記のような 通気性の効果は更に多いものと推定されるので,今後,恒温器内で振動させる実験をしてみた い。尚,時間経過及び,通気性の差による乾燥度も測定して後報で報告したい。

rおむつ」の洗濯は,多量の水で十分に洗い,更に熱湯で仕上げをし,十分に目光で乾燥さ せ,特に梅雨期には,アイ・γに依る熱処理もした方がよい。

 (1)菌の増殖は,最初の30分で一旦低下し,その後漸次上昇,3時問後には何れも対照よ1 り増加を示す。

 (2)rおむつ」カバーの通気性の差による有意性は,5%の危険率で,30分と2時間にあ

らわれている。

 (3)ピニーノレカバーでは,2時間後対照より増加する。

 (4)布の折り方(rおむつ」を重ねる枚数)による差異は認められない。

 本研究に当り,御懇切な御指導と御便宜を賜わった,長大医学部小児科部長和泉博士及び,

松永博士,御助言をいた父いた福岡女子大平松先生,又種々御助言と御鞭捷をいた父いた当攣.

部家政科教室一瀬教授外諸教官に深く感謝の意を表します。

(1)平松 園江:家政学雑誌 第6巻(1956)87,

(5)

pJ:,  ;  : r:i r J  ICD S U C : F !  (  I  1 )  25  (2) I :  I C :  = :  8  (1957) 93. 

( 3 )  Jll ・  {LLI :  : i i; ' i  (].950) 24,0, 242. 

( 4 ) I :   l* C :  Z { ‑・‑‑"*   I   (1951) 30. 

Summary 

l . Colitis germs decrease in the first 30 minutes ; then they increase gradually. 

After 3 hours they go over the control. 

2. The difference of diaper covers in ventilation corres out significant as d.iffe‑

rence in the activities of the germs in thenT, in a reliability of 95 , at the  points of 30minutes and 2 hours from the start. 

3. In vinyl diaper covers the germs increase over the control after 2 hours. 

4. The folding of cloths (the number of folded cloths) makes no difference. 

参照

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