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学校放送聴取効果について

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Academic year: 2021

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(1)

学校放送聴取効果について

―視聴覚教育研究Ⅱ―

    吉 村 喜 好

 研 究 目 的

 現代社会に於ける意志伝達のコミニュヶーショγはラジオ,映画,テレビの出現によって革 命的な変革を遂げようとしてきている。此れに伴い学校教育も,従来の教科書一偏判の学習型 態から,放送聴取といった耕しい形の学習方法が行われてきた。しかし乍ら,聴取効果の評価 ということになると,野卑による教育のように,明確に,量的に此れを把握することが困難で ある。然し効果が確認されない所に,教育技術の進歩は望み得ないわけであるから,困難では あるが,此れを確認し,実証する必要が生じて来ている。

 研 究 方 法

 そこで教室で聴取された学校放送がどの様な教育効果をもたらしたかをつかむため,次の様 な方法を用うることにした。前年度に於いて調査した, 「長崎市内小中学校放送教育実施情 況」にもとずいて,学校放送聴取の型態を,継続聴取,随時聴取,不聴取の三つのグループに 分け,此の分類によって長崎市内小学校を分け,その中の継続聴取校に入ったものの中から過 去3ヶ年以上継続聴取をしている学校群と,不聴取校群を各々四丁取り出し,その中の各々四 年置一組,五年生一組を夫々実験群,対照群として取り上げた。(実験校,対照校と夫々四校 に限定した理由は,三年間継続聴取をしている学校は四校しか現存しなかったからである。)

そして,此の両群に,特別の製作した学校放送ドラマ(新しい道)15分を聴取させ,その後,

ドラマの内容から作った質問紙によるテストを行い,これによって両群の特点の差異を怪い出 す事により,学校放送聴取訓練の効果を確認しようとするものである。

(1)調 査対象

 実験群(聴取校)A,B, C, D小学校の各4年5年1組つつ  対照群(非聴取校)E,F, G, H小学校,各々4年5年1組づっ  調査児童総数計 861名

 同じく調査クラスの教師 16名

(2)調 査期 日

 昭和33年6月上旬より10月に至る間

(3)調査手順

調査の為に長崎県NHK:共催による昭和32年度録音教材応募作品「新しい道」 (15分テー  プ)を被験者に聴取させ後,直ちに質問紙法によるテストを実施。

一67一

(2)

同時に一一方では実施クラスの知能偏差値の表を作製と,担任教官の経験年数を研べる  質問紙の作製に当っては

1.話し手が何といったか(記憶的なもの)

2.話し手が何を意味しているか(意味的なもの)

3.話し手と自分と,どういう関係になるか。

という・ヂールの「聴くことの訓練」の3っの問題を基準にして次の様な問題を作製した。

(デールの視聴覚教育P。130)

1.

2.

3.

4.

5.

6.

7.

8.

       質    問    組        学校名        学年       なまえ

このドラマに出てきた人々に○印をつけて下さい。

(1) となりのおじいさん (2)良太君 (3)良平君のお父さん (4)校長先生

(5)お医者さん (6)敬太君のお姉さん (7)近所のおじさん (8)敬太君の 兄弟 (9)敬太君の両親 (10)道路のこう夫さん

敬太君が朝お母さんにおこされて「僕学校を休もうかなあ」といいましたがそれはなぜ でせう。

(1)学校の勉強がきらいだから (2)学校への道が遠いから

(3)朝起きるのがおそくなったから (4)宿題をしていないから おじいさんは何の用事で敬太君の家にこられたのですか。

(1) バスの開通式を知らせに来た (2)バスに乗って浜の町までいってもらうため

(3)お祝のことばを敬太君によんでもらうため

(4)開通式に市長さんがくるのを知らせにきた

敬太君が病気で病院につれられた日の天気はどうでしたか

(1)ひどい雨だった (2)小雨だった (3)ひどい雨と風が吹いていた

(41)曇っていた

敬太君が病気になったのはいつのことでしたか

(1)開通式の前の晩だった (2)一年生の時だった

(3) 四,五日前のことだった (4)三年生の時だった 敬太君はどうして病気にかかったのですか

(1)学校が遠くてその途中雨にぬれたので (2)学校が遠くてつかれたから

(3)ねびえしたから (4)学校の帰りに山道で雨にぬれたので 敬太君が病気の時病院には誰がつれていったのでせう

(])両親でつれていった (2)両親とおじいさんがつれていった

(3)両親と近所の人々がつれていった (4) お父さんと近所の人でつれていった ふるい木場の道ができたのはいつ頃だったでせう

一68一

(3)

9.

(1)昭和の初めであった (2)終戦直後であった

(3)明治の頃であった (4)江戸時代であった 敬太君がすんでいる木場部落は

(1)昔から今の所にあった (2)昔は今の:水源池の水の底にあった

(3)昔は今の水源池の東の方にあった (4)昔は今の水源池の西の方にあった 10.敬太君の家は上長崎の学校から

  (1)三キPはなれた所にある (2)すぐ近くにある   (3) 五キPはなれた所にある (4) 町の中にある

11.バスが開通したとき敬太君は

  (1)六年生だった (2)二年生だった   (3) 五年生だった (4)三年生だった

12.このお話は私達に何をおしえようとしているのでしょう   (1)木場にバスがくるようになったことを知らせたもの

  (2)敬太君が病気で乗物がなくて困ったのでバスの開通がうれしかったこと   (3)道は私達にとって大切なものであるからコンクリFトできれいにしたり,じゃり      をしきつめたりしておかなければならない

  (4)道や交通機関は私達の日常生活にとってかくことのできない大切なものであるこ      と

13.このお話の中でおじいさんが敬太君に「木場にバスがくるようになったのは長崎のみん   なの入浜が税金を出してそのお金で市長さんが野作りのことを心配して下さった」と話   していますがこのことは私達に何を知らせようとしているのでせう

  (1)道はこう夫さんが作るのではなくて市長さんが作っているのだということ   (2)道は長崎全市民の協力と努力によってできるものであるということ   (3)税金はあっても市長さんの許しがなければ道はできないということ   (4) バスも我々の税金のおかげで走っているのであるということ 14.このお話の中に敬太君が病気した当時のことを入れたのはなぜでせう   (1) 病気が非常に:重かったのにお医者さんがいなかったので   (2)木場の人達が仲のよいことを知らせるため

  (3)バスの道路がないために病院が遠くて困ったから

  4. 人が病気をしているとき,近所の人々は協力しあわなければならないということ 15.このお話全体を通じての感想またはあなたが毎日通っている道についての感想のどちら   かについてかんたんに書いて下さい

 以上の質問紙の内1〜11項目は,前述法デールの「聴くことの訓練」の三項目中第一の問題 に当り,第二の問題は12〜14項目,第三の問題は15項目が此れに当る。尚15項目の採点方法 は,被聴者が単なる感想をかくか。それとも,直接自分の通っている道について感想を書くか のどちらを選択するかによって,具体的な自分の問題として此の問題を考えたがどうかを知ろ

一69一

(4)

うとするものである.

1 表 5年生の各問の解答率(%)

問題 学校

1

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

ユ3

14

A B C (1

76.24 86.60 83.03 83.03 86.60 83.03 66.07 48.21 92.85 60.71

61.60 60.71 31.25

70.00 83.92 83.03 85.71

82.]一4

94.64 46.42 67.85 71.42 52.00

55.35 71.42 17.85

76.ユ8

70.90 71.81 78.18 78.18 80.00 53.58 60.00 78.18 36.23

49.09 63.63 34.54

53.40 67.00 62.00 78.00 66.OO 64.QO 25.45 42.00 61.00 60.00

54.eo 81.00 34.QO

72.70 77.41 75.34 81.33 78。57 80.87 47.92 54。83 76.26 51.61

55.06 68.89 29.26

非  聴  取  校

E F Gl且

75.00 71.42 67.85 68.75 62.50 77.67 26.78 25.00 73.21 33.92

39.28 67.85 32.14

74.04 80.85 76.59 89.35 65.95 78.72 36.17 51.06 67.85 44.68

55.31 70.21 29.78

74.54 75.45 81.81 67.27 72.72 82.72 フ9.09

60.00 85.45 36.36

54.54 65.45 18.18

79.38 83.67 83.67 65.30 85.71 85.71 48.97 85.7ユ

79.59 40.81

50.00 54.08 19.38

75.73 77.83 77.29 72.22 71.49 80.14 48.74 54.58 79.71 38.64

49.51 64.50 24.87

皿国…8・169・64i65・45【64・Q・162・44116・・83[6・・6・レ・・2716・…154・・8

65.工7 62.62

5表 聴取校,非聴取校の教師の経験年数及び生徒の知能偏差値の比較

学 年

4 年

5 年

聴取二

世聴取校

聴取校

非聴取校

知能偏差値平均

48.4 48.6

52.4 50.1

教師経験年数平均

ユ6.25年 4

9 6.25

_70一

(5)

2 表 4年生の各問の解答率(%)

問 題

1

1

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

12

13

14

15

A

81.18

58.工8

76.36

89.09

72。72

76.36

56.36

40.00

85.44

54.54

74.27

36.36

40.00

70.00

B

73.85

62.28

78.94

70.17

77.:L9

85.96

43.85

35.08

70.17

35.08

56.14

61.40

29.82

68.42

C

74.46

67.85

6〕,.60

77.67

60.71

75.89

40.17

50.89

58.03

6工.60

34.82

41.96

29.46

47.32

D

75.09

68.62

65.38

76.47

72.57

86.27

49.O1

52.94

84.31

74.50

43.13

43ユ3

35.27

50.00

75.89

64.44

71.00

78.3!

70.77

8:L.05

47.26

44.53

74.20

55.93

45.17

46.12

33.5フ

57.43

60.405

E

72.:L4

69.64

67.85

78。57

62,50

76.78

28.57

32.14

62.50

30,35

30.35

46.42

2ユ.窪2

41.07

F

70.70

56.:L4

62.28

64,03

56.03

75.49

34.21

44.73

60.52

38.59

34.21

39.47

30.70

64.03

G

71.48

76.85

72.22

64.81

66.66

74.07

22.22

42.59

B7.40

38.88

43.51

4工.66

40.74

46.07

H

74.l1

76.47

76.47

73.52

72.54

82.35

35.29

38.23

86.27

56.86

37.25

45.09

20.58

52.94

71.83

69.49

69.49

70.18

64.15

75.00

30.04

39.45

66.28

41.10

36.24

43.−

28.46

5乙.09

54.065

両群問題別計の比率は全頻数の比率であって各校の比率の平均ではない。

一71一繭

(6)

3表 5年X2検定表

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

12

13

14

]一5

実験群

]一50.5

56.5 ユ68.0

49.0 163.5 53.5 176.5 40.5 ユ70.5

46.5 175.5 4工.5

104.0 113.0 119.0 98.0 165.5 51.5 112.0 105.0 工19.5

97.5 149.5 67.5 63.5 153.5 135.5 81.5

対照群

156.7 50.2 ユ60.5

46.5 160.0 47.0 149.5 57.5 ユ48.0

59.0 168.0 39.0 99.5 107.5 113. Q

94.0 165.0 42.0 80。0 ユ27.0

工02.5

104.5 133.5 73.5 51。5 155.5 128.○

フ9,0

騰率砒較国値

.7270<.7573

.7741<.7753

.7534<.7729

.8133>.7222

.7857>.フ149

.8087>.8014

.4722<.4874

.5483>.5458

.7626<.フ97].

.5ユ61>.3864

.5506>.4951

.6889>.6450

.2926>.2487

.6244>.6183

0.4970

0.0829

0。2225

4.952

2.836

0.0055

0.0084

0.0026

0.0730

7.]一87

ユ.309

0.9527

1.029

.166

信頼度

P>.05

P>.05

:P>.05

P<.05

P>.05

P>.05

P>.05

P>.05

P>.05

P<.05

P>.05

P>.05

P>.05

P>.05

一72一

(7)

4 表 4 年 X2検 定 表

陰験剖騨副辮の比較国副信顧

2

3

4

5

6

7

8

9

10

工2

13

ユ4

].5

ユ66.2

52.8 140.5 78.5 155.5 63.5 17ユ.5

47.5 155.○

64.0 1フフ.5

4]一.5

ユ03.5

115.5 97.5 121.5 ユ62.5

56,5

⊥22。5

96.5 99。5 1工9.5 工00.5 工L8.5

73.5 145.5

]一29.5

89.5

工57.1

61.6

15]一.5

66.5 151.5 66.5 153.0 65.0

].40.5

77.5 163.5 54.5 65.5 工52.5

86.0 132.0 144.5 73.5 89.0 129.0 フ9.0

139.0 94.0 ユ24.0

62.0 156.0 11O 108

.7589>.7ユ89

.6444<二.6948

.7100>,6491

.783:L>.70:L8

 .7077>。6415

 .8105>.7500

 .4726>.3004

 .4453>.3945

 .フ420>.6628

 .5523>.41]一〇

 .4517=〉.3624

 .46:L2>.43工1

 .3357>.2846

.5743>.5209

0.8496

0.2313

0.]一196

3.7746

1.9972

2.3329

13.6503

]一.1533

3.2761

9.987

3.8213

3.3967

1.3395

1.256

P>.05

P>.05

P>.Q5

.1>P>.05

P.〉.05

P>.05

P<.001

P>.05

.1>P=〉・05

P<.001

.1>P>・05

.1>P>・05

P>.05

P>.05

73一

(8)

(4) テストの実施方法

 実験者は被験者に対して先づ「新しい道」の録音テープを聴取させ,終ると直ちに質問紙を  配布し一問毎にこれを読み上げ,観答の為筆記をさせる。

 結 果 の 集 計

 4,5年忌各問題群の解答率(表1,2)

 4,5年の各問題群に於ける両群得点とX2検定表(表3,4)

 両群の生徒の知能偏差値の平均及び教師の経験年数(表5)

 結 果 の 考 察

1.全般的に言って,此の両群の得点に著しい差異は見当らないようである。但し僅差ではあ  るが,得点平均は,聴取校に於いて高いということ,特に4年に於ける7番と10番,5年に  於ける4番と10番の問題においては,5%以下の危険率に於いて,聴取校の方が非聴取校よ

り勝れていることが判明した。

2・問題の信頼性については,4年と5年の解答率が夫々4年は60.45(聴取校)54.C6(非聴  取校)であるのに対し, 5年は65.17(聴取校)62.62(非聴取校) と上昇を示しているの で,問題に対する信頼性はるあ様に思われる。

3. 5表によると,知能偏差値の平均は4年に於いては殆んど差はないが(聴取校48.4に対し  非聴取校48。6),5年生は多少あるようである(聴取校52.4に対し非聴取校50.1)。

 教師の経験年数は何れも聴取校の方が高い。此の結果は,聴取校に於ける得点の僅少の優位  というものが,或いは,知能程度や教師の経験年数の優位といった点から生じているかも知  れないという危惧を抱かせるに充分である。此の点今少し条件を斉一にすることが行われな  ければならなかったように感じる。

4. 4年,5年の得点を比較してみると,4年の方が5年よりも,聴取,非聴取の両群の差異  が比較的に明瞭に出ている。この事は学校放送という,感性的経験の強い教育の効果が低学  年子あるということを示しているものではないだろうか。

5.問題11を集計ではぶいたのは,此の問題の選択肢が,6年,2年,5年,3年の四つを上  げていたが,被験者の学年は5年と4年であり,5年は自分の学年が選択肢にあるので此れ  に○印をつけるものが多く4年は自分の学年が選択肢にないので正解に○印をつけたものが  多くあった。そこでこれは問題が不適当だと認め削除した。

○調査に当り,協力していた父いた長崎市内の小学校及び「新しい道」の録音テープを提供し  ていた玉きました上長崎小学校丸本先生に御礼を申し上げます。

 一 V4一

参照

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