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に関する一考察松村 守 佐伯重幸 吉本 修

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(1)

107

児童生徒にみられる肥満の発現

に関する一考察

松村 守 佐伯重幸 吉本 修

1 序

 申年肥りという事で代表されていた,肥満の傾向が発育期の児童生徒にみられだし,一一 般の人達にも関心が持たれるようになって,相当の日数を経ている。今日まで,この肥満 に関する研究は数多くなされているものの,いまだに相当の問題を残している。申には,

肥満教室と銘うって,実際の指導処法を行っている人達もいる。しかしながら今尚,実際 に肥満の指導のためのプログラムには相当の問題を残していることも事実である。何故な

ら,それらの実際の指導では,既に超肥満となった者を対象としていることが多く,我々 体育を専攻する者にとっては,予防医学としての立場から,第1に肥満にならないような 方策を研究すべきであるし,第2に実際の処法においては,肥満のなり方の違い,あるい は,環境,年令,性別等の違いにより,当然処法の違いが生じてしかるべきなのに現実に は余り,それらの事の考慮はなされていないようである。そのためにも,それらの現われ 方の時期及び傾向を更に深く究明する必要があると思われる。

皿 被験者およば調査方法

 被験者としては,長崎大学教育学部附属小,中学校児童生徒のうちから,昭和35年生れ 昭和34年生れの男女で,小学1年より中学3年まで附属学校に在籍した328名(男220名,

女108名)である。

 資料としては,附属学校の定期健康診断をもとにして,身長,体重,胸囲,座高を9年 間にわたり,個人について,縦断的に求め,それらの資料から,比体重,比胸囲,比座 高,ローレル指数を求めて,それを統計的に処理した。

 皿 調査結果

 Fig 1〜Fig 4は,身長,体重,胸囲,座高における全体の学年別変化のグラフであり,

表1はそれの実数値平均および標準偏差である。

 次に肥満の傾向を知るために,図1で,ローレル指数の学年別分布状態についてしらべ た。Fig 9,10,11は合計及び男女別に,それをグラフ化したものである。 ここにおい て,我々はローレル指数140以上の者を一応肥満の傾向ある者として(一般に石河等は160 以上のものを肥満としているが),注目し,最初に分類を行った小学1年時におけるロー

レル指数の分布から,それらの者が,学年が増すにつれて,いかなる変化をしていく傾向 にあるか知るために,Fig12〜Fig14のグラフを描いてみた。

 次に中学3年時のローレル指数が,140以上の者が男女25名(男子10名,女15名)いる ことから,男女共同人数の者を,いわゆる普通値のローレル指数129〜125の者と,やせ型

(2)

108 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

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Fig 2

6 2    5

の同指数が1て5以下の者を男子10名,女子15名無作為に選びだし,その身長,体重,胸 囲,座高,比体重,比胸囲,ローレル指数,及びそれらの速度カーブの平均を求めFig15

〜Fig62に示した。

 坪 結果および考察

   、 Fig 1からFig 8は別の論文「本学付属児童生徒にみられる身体発達の特性について」

のところで一応の考察を行ったので,ここでは省略する。図3において学年別ローレル指 数の分布を男女別に示してあり,Fig 9〜11でそれらをグラフ化して示してあるが,それ

(3)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本) 109

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80

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2    3    4    5    6

     Fig 4

2    3

らをみると,1年時にローレル指数140↑の者が85導いたものが2年時に40名,以下21名,

15名と減少し,小学5年において,23名と又増加し,以下中学3年まで循環的に17名,27 名,18名,25名と多くなったり,少なくなったりしている傾向があるが,このグラフで は,一応小学5年生が肥満を発現の時期として着目する必要があるであろうし,この傾向 は,これまでに報告された論文と余り変わりない時期といえる。そして,この事は,男女 共同様の傾向を示していると言えるが,中学2年時より男子に比較して,女子の140以上

となる者の増加が目立つことは,体格の発育曲線と比較して,女子の場合の,発育が,男 子に比べて,早いという事から,この時期に至るまでに,何らかの対策をたてる必要があ

(4)

ユユ0 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

33年生全

身長(cm)

体重(kg)

胸囲(㎝)

座高(cm)

M

σ

M

σ

M

6

M

σ

1

U4.0 6.945

19.6 2.120

56.2 2.541

63.9 2.ワ52

112.0 4.096

ユ9ユ 1.811

54.5 2.420

63.2 2.250

2

119.1 4.825

21.9 2.55ワ

5ワ.6

2.50ワ

66.ワ

2.641

11ワ.5 5.844

21.2 2.104

55.9 2.220

66.5 2.060

5

124.7 4.9ワ4

24.3 2.6ワ9

60.0 2.493

68.8 2.659

125.6 4.022

25.8 2.295

58.5 2.552

68.ワ

2.264

4

150.1 5.144

2ワ.1

5.06ワ

61.6 2.ワ肌

ワ1.5

2.ワワ0

129.4 4.682

2ワ.0

2.820

60.3 2.845

71.6 2.559

34年生全

身長(㎝)

体重(kg)

胸囲(cm)

座高(cm)

M

σ

M

σ

M

M

σ

1

114.5 4.469

19.5 2.585

56.2 2.42ワ

65.8 3.198

112.0 3.ワ59

18.9 1.612

54.0 1.686

65.1 2.690

2

120.0 4.8ワワ

25.8 1.950

58.3 3.195

66.ワ

2.794

11ワ.6 4.562

20.ワ

L956

55.6

L809

65.6 2.508

3

125.5 4.962

24.5 3.258

59.9 3.318

69.4 2.825

123,5 4.555

25.0 2.3!2

5ワ.4

2.055

68,2 2.599

4

150.9 5.558

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4.08

61.6 6.44ワ

ワ1.6

2.984

129.ユ 4.955

26.1 2.94ワ

59.ワ

2.501

ワ0.8

2.942

(5)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本) 111

平  均

5

135.0 5.ワ68

50.4 3.626

65.8 2.924

ワ3.5

2.993

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62.ワ

5.499

ワ4.1

2.986

6

141.2 6.655

35.9 4.8ワ1

66.5 5.568

ワ5.ワ

3.521

142.6 6.15ワ

56.1 4.ワワ9

6ワ.1

4.615

ワワ.5

3.509

1

148,3 ワ.45ワ

59.5 6.080

ワ0.5

4.610

ワ9.4

4.586

148.4 5.ワ25

40.ワ

5.518

ワ0.4

4,429

80.ワ

5.489

2

156.8 6.986

45.8 ワ.0ワ5

ワ6.5

4.850

85.1 4.043

155。0 5.200

45.3 5.006

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5.%8

82.5 2.230

5

165,1 5.896

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6.6、55

80.5 4,324

85.5 5.52ワ

155.5 5.062

48.4 6.655

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4.4ワ5

82.4 3.190

平  均

5

156.2 5.ワ83

50.6 4.845

64.4 4.020

75.ワ

5.205

155.4 6.051

29.0 4.085

62.2 5.280

ワ5.6

5.564

6

141.ワ 6.285

54.2 5.5ワ9

66.9 4.944

76.0 5.252

142.5 6.ワ50

54.3 5.5ワG

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ワ6.9

3.9ワ3

1

148.8 ワ.522

39.ワ

7.164

72,1 5.445

ワ9.ワ

4.331

148.4 6.308

59.2 6,091

ワ1.1

4.809

79.9 4.525

2

15ワ.1

ワ.870

45,ワ

7.806

ワ4.6

5.684

82.ワ

4.4ワ9

152.5 5.621

43。2 5.815

ワ2.8

4.071

81.8 5.456

5

165.ワ 6.812

51.ワ

ワ.582

80.5 5,252

86.1 4.058

154.6 5.0ワ4

46.7 6.0ろ1

ワ6.5

4.6ワ5

82.9 5.576

(6)

U2 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

DISTRIBUTION OF ROHRER INDEX 図1罪麗

ROHRER

 INDEX  140↑

GRADE BOY

1 2 5 4 5 6 1 2 3

TOTAL

54 26 11 9 16 11 18

10

162

GIRL

3!

14 10 6

6 9 11 15

109

159−150

B

82 69 46 40 56 25 21 17

543

G

4ワ

24 16 19 16 16 15 22 20

193

129−125

B

44 59 46 45 55

2ワ

24 25 56

517

G

10 53 22

1ワ

13 15 14 16 22

160

124−120

B

27

4ワ

45

4ワ

44 48 56 55 59

566

G

16 18 26 28 51 18 21

3

18

189

119−105

B

15 59

ワ1

75 81 9ワ

11ろ

126 118

ワ33

G

4 19 55 55 34 45 44 45 52

289

104−100

B

0 0 5 6 8 10 6 10 6

49

G

0 0 1 4 6 9 6 1 1

28 99↓

B

0 0 0 0

0 2 2 2 4

10

G

0

0 0 1 1 1

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4

ると思われる。

 :Fig12および13,14には中学1年時に,ローレル指数が140以上であった者に対しての 経過のグラフで,合計及び男女別にそれらを示してあるが,このグラフによると,全体的 には,Fig 9と変ってない。しかしながら,男子と女子には,少し差がみられる。小学5 年時の多少の増加がみとめられるが,あとは,中学1年時を除き減少していく傾向にあ

る。すなわちFig10にみられた隔年毎の増加は小学1年時に140以上であった:者以外の下 の段階からの流入であると言える。一方女子の場合は,その傾向は,Fig11と比べて,

Fig14は,ほとんど差はない。すなわち,男子に比較して,女子の場合の方が,肥満とい うものに対する策を早めに講ずる必要性がある。これらの原因をさぐると,いわゆる,小 学校入学以前から,男子に比べて,女子の活動が,いわゆる女性という事で,減少してい

る事もあるのではなかろうか。

 そこで,更にそれらのことを深く究明するために,途中から140以上になる者の人i数を 調べてみた。

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2

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5 2

6

6

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1

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2

5 6

5

5 6

 上の表から見ても,明らかのように,男女共小学2年時は,小学1年頃のわずかの値で 下の位置にいた者で,これらは,ローレル指数の減少の段階であるのに対し,再び増加し

(7)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本)115

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ユ14長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

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児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本)115

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(10)

ユユ6 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

て来るきぎしがでてくるのは,男女共,小学4年時である。しかし,男女の総人数に差が あるので,人数の差は,あまり問題とは言えない。しかしながら,ローレル指数が139以 下の者より,途中140以上になる者は,そのほとんどが男女共135以上〜139の者たちで

ある。以上のことから,我々が今後肥満についての処法を行う場合,一応,今回の我々が 140以上を肥満の傾向のあるものとして,対象にした者以外に,135以上の者を,要注意者 として,処法していく事がよいように思われる。もちろん,具体的な処法となると,それ らの活動状態,経済状態,心理状態等の種々の事を考える必要があることは,当然であ

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150

140

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(11)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本) 11ワ

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 次に,その発現のタイプを更に究めるためにFig15〜Fig62のグラフを表わした。すな わち,ローレル指i数が中学3年時に,140以上の者10名,普通型の129〜125の者10名,や せ型の115以下の者10名を無作為に選びだし,それぞれの項目についての平均グラフ,小 学1年次を1とした場合の指数的変化のグラフ,更に,それらの発育量を示す速度カーブ

を求めた。以下それらの項目毎に考察をする。

 (身長)Fig15〜Fig20に示す。

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Fig18

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(12)

1]8 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

14

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Fig19

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Fig20

 実数値グラフにおいては,やせ型が優位を示しているが,指数化した場合には,やや 140以上の者が逆に優位を示す。特に女子に,その傾向が強い。一方,速度カーブになる

と,140以上の者が,男女共,そのピークが早く表われており,男子の場合には,小学6 年時,女子の場合は,小学4,5年時にある。更に,特に目立つ事は,男子の速度カーブ において140以上の者が他の二者より低いのに比べて,同じ女子の場合は,逆に高いとい

う事である。

(13)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本) 119

 (体重)Fig21〜Fig26にその結果を示す。

 これらのグラフから,一見して解るように,140以上の者の体重の多さが目立つ。 そし て,その事は,速度カーブでみられるように,小学1年時にすでに,他の二者と比較し て,高い値を示しているという事からも,明らかである。速度カーブで,更にみられるこ とは,そのピークが男子は中学1年時であり,他の二者より早く,同様に女子の場合は,

小学5年時に,そのピークを示し,他二者より,2年程早くそれがあらわれている。

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(14)

120 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第!8号

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(15)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本) i2i

3

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Fig26

(16)

ユ22 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

 (胸囲)結果をFig27〜Fig32に示す。

 実i数グラフにおいては,140以上の者が男女共2者を上回っているが,特に,指数化し た場合,その差が出てくる時期がはっきりしてくる。すなわち,男子の場合は,小学4年 時であり,女子の場合は,小学2年忌たりから,その差が顕著である。更に速度カーブ で,そのピークをみた場合,男子は小学6年,女子の場合は小学5,6年時である。

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(17)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本)

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ト3    2−4    3,5    4−6

 長崎大学教育学部教育科学研究報告 第18号

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Fig32

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6・2 x

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I93

(19)

児童生徒にみられる肥満の発現に関する一考察(松村・佐伯・吉本) 125

 (座高)その結果をFig33〜Fig38に示す。

 だいたいにおいて,身長の場合と,その値は変わらないが,速度カーブにみられる,発 育量のピークは,男子は6年時で,やせ型と同じ時期を示し,普通型の人より,1年位早

い。一方,女子の場合は,そのピークが4年時より表われ,5年時に最大を示している。

又普通型も,大体同時期であるが,やせ型の人は,小学6年から,中学1年にかけてピー クがみられ,140以上の人達が2,3年早い傾向を示している。

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1.4

1.3

1.2

1.1

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        Fig34

2    3

参照

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