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大学専門教育課程における英語教育のあり方

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(1)

経営 と経済 第87巻 第2 20079 i53

大学専門教育課程における英語教育のあり方

成 田 康 郎

Abstract

ltisoftheutmostimportanceforuniversitystudentsmaJorlnglneC0 momicstobeabletoreadandwriteEnglishsentencesoneconomy,as wellastoorallycommunicatewithproperpronunciationandintonation.

MainlybasedonmyownexperienceofteachingEnglishtouniversity students,Iwouldliketoproposesomemethodstohelpthem achieve suchgoals.Forexample,universitystudentsdonotseemtohavemuch difficultyinmemorlZlnganumberoftechnicaltermsinEnglish,provid‑

edthattheyareadvisednottobetoonervousaboutspellingmistakes. Writingcanberemarkablyimprovedbyweeklysubmissionofshortes saysinEnglishtobecorrectedwithsomeunlquemethods.

Keywords:English,technicalterms,writingskills,readingskills, unlquemethods,shortessays,oralcommunication,intonation, pronunciation

1.は じめに

学校 における英語教育の在 り方ほ ど,様 々な意見の もとに種 々の改善が試 み られている教育 テーマはめず らしい と言 えよう。ただ し,その多 くは高等 学校 までを対象 としてお り,大学での英語教育 について論 じた書籍等は多 く はない。その主因 としては,多種多様 な専 門学部 に分 かれてい るこ と,「高 校入試 や大学入試 におけ る英語」の ように,卒業時に英語の関門が待 ってい

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54 経 営 と 経 済

るわけではない1こと, といった点が考えられる。

しかしなが ら,経済 ・社会のグローバル化,年功序列か ら能力主義への移 行,情報化社会での英語の使用頻度の高ま り, といった観点か らして,大学 における英語教育の重要性は,頗著に高まってきていることは否定 し得ない と考 えられる。た とえば,本年 6月に,当長崎大学経済学部では 「知の創造 と発信」 とい うテーマで企業の トップ級の方 々の講演をいただいたが,今井 彰デルフ イス社長 (元 トヨタ ・マーケティング ・ヨーロッパ社長),佐藤俊 一電通顧問 (元ベルギー大使),永田宏早稲 田大学院客員教授 (元三井物産 副社長)が,いずれ も英語力を大学時代に磨 くことの重要性を特に強調 され ていた。

ひとくちに英語力 といっても,英語検定試験のような総合的な英語力,外 人 と意思疎通をはかれるだけの会話力,さらには様 々なレベルの語糞力など, 多 くの側面があ り,いずれ も重要であることは言 うまで もない。本稿では, 筆者の経済学部での英語授業での経験 をベースにしつつ,専門科 目,つま り 経済に関連する英語力の向上 という切 り口か ら考察 してみたい。 もっとも, その経済関連の英語力の充実が,総合的な英語力の向上 と表裏一体であるこ とは論を待たない。また,授業にあたっての学生 との双方向性が重要な柱 と なるが,筆者の経験では,150人程度までであれば双方向性を十分に確保す ることは可能である。

2.

経済学部生に求め られる英語

一般に,経済学部生に求め られる英語力 とはどのような ものであろうか。

まず 「読み」 と 「書 き」については,以下の 2つが考え られる。

1 無論,就職活動な どを意識 してTOEICを受験す る学生 も多い。 ただ し,高校入試や大 学 入試 におけ る英語 ほ どまでに必要性 が高 いわけではない とい うのが一般的な見方 であ

る。

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大学専門教育課程における英語教育のあ り方 :55

(1)専攻 した学問に関連することを,ある程度英語で書けること。 これに は,①単語を英語で表現で きること,②文章を英語化で きること,の

2ステ ップがある。

(2)専攻 した学問に関連する新聞 ・雑誌記事を読めること。

次に,話す」 と 「聞 く」 については,以下の3点が考 えられる。

(3)発音をネイテ ィブの ものに近づけること。それには,① イン トネーシ ョン (抑揚),②個 々の母音や子音の発音,の 2種頬がある。

(4)専攻 した学問に関連する英語放送が理解で きるこ とが望 ましい。

(5)専攻 した学問に関連することを英語で会話 ・討論で きることが望ま し

い。

本稿では,上記の うち,比較的個人差の生 じに くい(1)〜 (3)のそれぞれに ついて,有効策を検討 してみたい。

3.W riting

一般 に,専攻 した学問に関連することを英語で書ける大学生は非常に少な い。その要因 としては,①そもそもの英語 力の欠如,② そもそ もの英語に対 する熱意の欠如,のほか,仮 に一般的な英語力や熱意を十分 に備 えている学 生の場合であって も,③専門用語を覚え られるはずがなかろう, というあ る 種の諦念,④ もともと日本語 における専門用語 自体であ って も内容の理解 に 不十分 さが伴 っていること, といった点が考 え られる。

しか しなが ら,実際には,③の諦念は不要であ り,④ については,英語で 専門用語を教 える際に改めて確認で きるように工夫すれば よい。そ して,専 門用語 を覚え られれば,②の熱意は 自然に沸いて くるし,さ らに文章を書け

るようになれば,①の英語力 自体 も改善 して くることになる。

(4)

56 経 営 と 経 済

(1)専門用語

経済学部生が英訳で きることが望ましい専門用語 としては,た とえば以下 の ような ものが挙げ られる。

理論 ・景気関係 :経済成長,好景気,不況,世界恐慌,景気の波,底 打ち,上昇局面,下降局面,横ばい状態,需要,供給,限界費用,独 占

貿易関係 :貿易収支,貿易黒字,貿易赤字,貿易不均衡 ,貿易摩擦, 関税, 自由貿易協定

(参 金融関係 :中央銀行,金融機関,証券会社,直接金融,間接金融,秩 式, (株価の)全面高,債券,国債,円建外債,投資信託,証券取引所, 上場,口座,預金の預入れ と引出 し,要求払い預金,定期預金, 自動現 金受払い機,融資,住宅金融,小切手,決済,投資,投機

会社関係 :社長 ・理事な どの役職名,人事部 ・研究開発部などの部署 名,本店 と支店,子会社,合併,買収

営業 ・物流関係 :製造業者,卸売業者,小売業者,倉庫,在庫,出荷

環境関係 :地球温暖化,温室効果,二酸化炭素,排 出,京都議定書, 大気汚染,光化学スモ ッグ,水質汚濁,砂漠化,森林減少,オゾン層破 壊,絶滅のおそれのある種

その他 :外貨準備,二国間 と多国間,持続力のある成長,円高 と円安, 時事用語 (少子化,郵政民営化な ど)

そ して,授業でこれ らを教 えた うえで,試験 を行 った ところ,多数の学生 がほ とん ど全てを英訳できるとい う結果を得た。それ らの学生の中には,莱 語の初級者や,必ず しも英語 に対する熱意が高 くない者 も含まれていた と推 察 される。すなわち,一般 に,専門用語を英語で言 えるようになること自体 は,さほ ど難 しくはないことが実証的に言えることとなる。その際,工夫 し た点を敢 えて挙げれば,以下の 2点である。

(∋ 図解を多用す ることによ り,英語の専門用語のみによる思考回路 も作 れるようにすること。た とえば,二酸化炭素‑排出‑温室効果‑地球温

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大学専門教育課程 における英語教育のあ り方 57

暖化‑京都議定書をそれぞれ英訳 した ものを 「‑」な どで結びつけるこ とにより,それが可能 となる。つま り,各 自の頭のなかで,英語での メ デ ィア的回路が リレー式 にで きあがることとなる。

試験の際には,スペル ・ミスを大 き く減点はしないこと,そ してそれ を予め学生側に周知 してお くこと。上記の諸単熟語 を含めて数百の用語 を一度 に試験す るのであるか ら,そ もそ も学生の負担は少なか らぬ もの がある。そ して,‑箇所で もスペル ・ミスがあると得点を与えないので は,学生のプ レッシャー と準備時間は格段 に増加 して しまう。そ して, 上記の ように予告 した結果,スペル ・ミスは実はかな り少なかった。そ の最大要因 としては,プレッシ ャーか ら解放 された ことにより,かえっ て気楽にスペルまで正確 に覚えることがで きたことが考 えられ る。また,

日本では,高校 までに習 う基本単語 ・中級単語でスペルを重視 している ので,学生の頭の中には

,

「個 々の音 に対応するスペルのパ ターン」が しっか りと刻 まれていることも重要な要因であろう。つま り,そ うした 基本訓練 に立脚すれば,大学で上級単語,実用単語 を教 える際 にも,育 を重視 して教 えることによ り,スペル もかな り正確 に覚えることがで き る, とい う点が指摘 で きよう。 (これは,英語が表音言語であ ることの 帰結で もある。)

(2)文章の作成

経済関係の英語 を作成で きるようになる という目標 に直接到達す ることは 困難であ り,以下の ように4ステ ップを経 ることが現実的かつ有効 と思われ る。無論,しっか りとした構文力を既 に有 している学生の場合な ど,ケース ・ バ イ ・ケースで 2番 目以降のステ ップか ら入 ることは可能である。

構文力をある程度完壁なレベルにする。

まず,各学生が書 きたい と思 う内容を, 自由に英訳 させ る。すなわち, 自

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;58 経 営 と 経 済

由英作文 を書かせ ることとなるが,そのテーマは経済に関係す るものでな く て も構わない こととする。普段書 くことに慣れていない学生の場合には,多 数の文法 ミス もすることになるが,文法 ミスについては 2通 りの対応を とる。

品詞の間違い,語順の ミス,動詞の活用形の選択 ミスに代表 されるように, 構文力に直接関わるミスq)場合には,なぜ間違いであるかを徹底的に記 して 説 明 し,次回以降は常 に注意 、・改善す るよう指導す る2。 他方で,前置詞 の ミスや冠詞の ミスな どは,構文上大 きな影響を与えることは少ないので,無 論指摘はするものの,注意喚起は弱めにとどめる。

単語 については,頼 り過 ぎない範囲で辞書の使用 を認め,それで もどうし て も英訳 で きない箇所 は, 日本語のまま置 いてお くことを認 める3。 適当で ない単語が使われていた ときには指摘することは無論であるが,仮に間違 い でな くとも, より自然な単語 がある場合には,その旨指摘する。 また,参考

となる表現な どもで きるだけ多 く記す ようにする。

添削の際に留意すべ きは, ミスを指摘するよりも,上手な表現や,多少間 違 っていても難 しめの表現 に トライした事実な どを積極的に評価 ・賞賛す る ことの大切 さである。そ して,上記の ように, ミスに対 しては,種類や程度 によって,指摘 などの仕方を区分け してい くことが肝要である。

この ようにして 自由英作文の添削を反復す ることを通 じて,構文に最大限 注意 しなが ら, 自らが考 える文章 をかな りの程度英訳で きるようになれば, 1ステ ップは完了である。なお,1点付言すると,単語力の欠如によって 英訳できないことは,構文 を完壁 にす る上では大 きな支障 とはな らない。つ ま り,正確に言 えば,必ず しも単語を正確 に訳せるわけではない とい う留保 つ きで, 自由に構文力4を発揮で きるようになることが 目標である。

2 そ して,次回以降,当該 ミスが是正 されていた ら,それを大いに賞賛 することが肝要 である。

3 この よ うな,言わば 「混文」は,英作文 のア レルギーを除去す るために効果は大 きい と考 えられる。

4 品詞別 に言 えば,例 えば,動詞は構文 力に関係す る度合 いが比較的高 く,名詞は比較 的低い。

(7)

大学専門教育課程 における英語教育のあ り方 ;jtLl

長い英文を書 くことがで きるようにす る

基本的な構文力が身についた ら,次のステ ップは,長めの文章 を作成で き るようにすることである。そのためには,to不定詞やthat,as,though どの接続詞 を正確 に使用で きるようにす る とともに,関係代名詞や分詞構 5を使 いこなせ るようになることが必要であ るが,逆 にいえば,それで十 分 とも言える。接続詞や関係代名詞は,数は多 くない し,文法上の留意点 も さほ ど難度は高 くない。 とくに,関係代名詞 は,ひ とたび使 えるようになる と,多用 してみ よう,また,省略で きる ところは省略 してみ ようとい う学生 が多い といえる。要は,積極的な トライ ・チ ャレンジの推奨が有効 と言 えよ う。

さらに,inlightof,withrespectto,aswellasな どの句を使 えるように 指導することにより,一段 と複雑な文章 を書 くことが可能 となる。

副詞 と形容詞 を効果的に使用で きるようにする

英語 に限 った ことではないが,文章 には論理展開のわか りやすさが求め ら れる。そのためには,まず,接続詞のはかに,文頭での副詞や副詞句が有効 である。た とえば,furthermore,ontheotherhand,inthisrespectといっ た基本的な ものか ら,やや高度なincidentally,alternatively,eventually, inanutshellといったものまで相当数あるが,慣れればさほ ど難 しいわけで はないので,積極的に トライしてい くことを推奨すべ きである。

また,同じ く相手方の理解を促進するもの として,度合い ・程度 を明示す ることがある。そのために形容詞や副詞が有効であることは言 うまで もない が,一般に学生の書 く英文 には形容詞や副詞が少ない。そこで,で きるだけ 多 く使 うことを推奨する。た とえば形容詞 の場合であれば,文脈上,opin‑

ionにはstrongを付 してstrongopinionにする,needurgentneedにす る,

5 分詞構文 は,文章 が必要 以上 に固 くな る場合 も少 な くないため,指導 には注意 を要 す る。

(8)

60 経 営 と 経 済

rolecriticalroleにする, といった ことが とくに問題ない場合には,使用 を奨励す る。 (レベルが高い学生 には,更にpivotalroleの ような もの も指摘 す る。)無論,そ うした形容詞や副詞 を過度 に使 うべ きではないが,常 に意 識する ということ自体が上達の教養的近道である と考 える。

経済に関する文章を書けるようにする

(参まで到達で きれば,事実上最終ステップ,すなわち経済 に関する文章 を 書 くこ とは難 し くはない。 とい うの も, (1)で記 した とお り,専門用語 自 体 を覚えることは実は難 し くはないか らであ る。 (厳密 に言 えば,専門用語

とまではいかないが,経済 に不可欠な用語,た とえば競争力,海外拠点 とい った語句や,launch,diversifyな どの頻 出動詞 も習得 してお くべ きことに なる。)

実際に,授業では,金融機関の合併,国際機関の機能,環境問題 と開発 と いったテーマでの英文 をかな り上手に作成で きるレベルまで到達できた学生 も少な くなかった。

ところで,以上の4ステ ップ と平行 して,多 くの英文 を覚えるとい う作業 も奨励 したい。 自由に英作文を書ける, とい うアウ トプ ッ トのためには,で きるだけ多 くの 自然な英文のインプ ッ トが極めて有効 となる。英作文は,そ うした多 くの英文それぞれが持つピースを組み合わせてい くことが上達の早 道である と考 える。 いわば,英作文は 「英借文」である といえよう。ちなみ に,大学受験のために500は どの英文を記憶する高校生 もいるとい うこと か らして も,大学生 に とって,英文の記憶は難作業 と決めてかかるほ どの も のではあ り得ない。もっとも,記憶の得手 ・不得手 には個人差がある。また,

「受身的な記憶」 よ りも 「能動的な記憶」の方が効果 も高い。 したがって, 授業においては, 自らが作成 した文章 を添削後 に記憶す ることを奨励 し,後 述の とお り,それを試験にも取 り入れた ところである。

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大学専門教育課程における英語教育のあ り方 61

4.

Reading

ここでは,新聞や雑誌の経済記事を読めるようになることを念頭に書 く。

そのためには以下の 2ステ ップが考 え られる。

(1)新聞 ・雑誌記事 に慣れる

多 くの学生 に とって,英字新聞 ・雑誌 を読む ことにはかな りの抵抗がある。

その要因 として挙げ られるのは,① もともと日本語の新聞 もあま り読 まない,

② どうせ難 し くて理解できない とい う諦念,③頑張 って読み始めて も,知 ら ない単語が出た段階でgiveupして しまう, といった点であろう。

こうした諸点に鑑みれば,第 1ステ ップ としては,関心の沸 くような新聞 記事か ら親 しんでい くことが有効である。つま り,経済 とはおよそ無縁なテー マか ら始めることで も構わない こととする。

日本の一般紙 と比 して,英字新聞では,スポーツ面が格段 に多かった り, 音楽や芸能関連の特集が組 まれていた りする。 これは,大学生 に とって, こ の うえな く好都合である と言 える。

では,そうした もののなかか らピックア ップ した関心のある記事を実際 に 読 めるようになるためには どうすれば よいか。い くら関心があるといって も, 単語の壁は多かれ少なかれあるし,文章の構成がわか らない場合 もある。

した が って , ま ず は構 文 力 を完 成 させ る必 要 があ り, そ のた め には

Writing」で記 した とお り,多 くの 自由英作文 を書いて,添削を受ける, とい うプロセスを繰 り返す ことが肝要 とな る。つま りは,WritingRead‑

ingを並行 して上達 させ る とい うことで もあ る。 (Readingは, と くに指導 者がいる状況では音読が望ましい。 ヒア リング能力を飛躍的 に向上 させるた めにも,音読 は不可欠である。)

一方,単語 については,なるべ く前後か ら想像することを推奨すべ きであ るが,知 らない単語が多すぎる場合にはそれにも抵抗感があ る場合 もある。

(10)

62 経 営 と 経 済

そ こで有効なのは,英単語混 じりの 日本文で訳 してみる,とい う方法である。

た とえば,○ becamethechampionforthreeconsecutiveyears,andfive timesinadecade.という文章 があ り,ある学生はconsecutivedecade 訳せない とす る と,「○○は3consecutive年,そ してadecadeの中で5 優勝 した」 と訳す。そ うすればオ リジナルの英語の時 よ りも意味を想像 しや す くなるし,結果的に,当該単語を記憶することも自然なプロセスの一部 に なると考 える6

この ようにすれば,関心のある新聞記事は読め るようになってい くもの と 考 える7

(2)経済関連記事 を読む

次のステ ップは,経済記事 を読む ことである。 これについては, (1) 新聞記事一般への抵抗感が薄まれば,さほ どハー ドルは高い ものではない。

ただ し,その前提 として,「Writing」で記 したように専門用語 を習得 してい ることが必要である。 もっとも,それで も自分の知 らない専門用語に出会 う こ ともある。その場合には, (1)と同様 に して意味を想像す ることが有効 である。 また,全体 を何 とか訳せて も,内容 自体が理解の限度 を越 えて しま う場合 もあろ う。そ うい う場合 には,指導者 のhelpが多かれ少なかれ必要 である。 さらにいえば, 日本語 に訳 したレベルで当該学生が内容 も把握で き るような記事 を選ぶ役割 自体 も,少な くとも初期段階では指導者が担 うこと が望ましい。

こうした作業を続けていけば,経済記事 も徐 々にではあるが読めるように なると考 える。なお,経済記事 といっても,一般英文紙の経済記事 と,経済

6 こうした 「混文」 に過度 に依存す ることは避 け るべ きだが,本文中に記 した とお り構 文力が しっか りしていれば,依存度が過度 になることはない と考 えられる。

7 新聞には特有の表現 も見 られる。 た とえば,onSundayonを省略 した りする。そ う した点については,指導者の側で も留意すべ き点 と言える。

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大学専 門教育課程 におけ る英語教 育 のあ り方 63

専門英文紙の経済記事 とでは難易度 に相当な差がある。 したがって,経済専 門紙の記事を題材にするのは,英語力,経済関連の実力 ともに相当程度有す る学生 に限るべ きであろう。

5.1ntonationandPronunciation

一般 に,英文 を美 しく音読で きるとい うことは,英語力向上の うえで必須 条件 と把 えられてはいない ようである。 しか しなが ら,大学の授業で これ ら

を教 えることは望ま しい と考 える。なぜな ら,後述の とお り, とくにイン ト ネーシ ョンを修得す ることが,英文を覚えるうえで不可欠 となるか らであ る。

以下では,イン トネーシ ョン と,個 々の発音の向上策 について考察 してみ る。

(1) イン トネーシ ョン

英語 を母国語 とす る人々の場合,それぞれ イン トネーシ ョンのパ ターンを もっていることが多い。そ うした もののなかか ら,一つのパ ターンを軸 とし て授業では解説 ・実践 した8。 それは,文章 (とくに,長めの文章)の途 中 の切れ 目9では語尾 を上 にあげて,最後 ,つま りピ リオ ドの箇所では語尾 を

① いったん上 に上げつつ最終部分のみ下げ る,あ るいは(参下 に下げ る, とい うパ ターンである。

このパ ターンを基本例文で解説 ・実践 したのちに,個別の学生ご とに試験 の一環 として当該例文を音読 して もらった ところ,多数の学生が実践で きる

とい う結果を得た。 (ただ し,別の年度 において,添削後の 自由英作文 を暗

8 無論 ,イン トネーシ ョンのパ ターンを一つのみに固定化する意図はな く,あ くまで も 当初ステ ップ として当該パ ターンを推奨するものである。

9 切れ 目は,練習の初期段階では多めに設定することが有効であ る。実際のネイテ ィブ ・ スピー カーはそれ よ りは少 な く設定 しているが,練習効果を高め るためには多めに設定 することが有効であ る。

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64 経 営 と 経 済

記 した うえで個別に暗諦す るという試験を実施 した ところ,上記の ようなイ ン トネーシ ョンを実践できた学生の数は減少 した。その理 由 としては,暗記 した英作文を復元す るとい う慣れない作業に神経 が集中するあま り,イン ト ネーシ ョンがややおろそかになって しまった ことが考 え られる。 この点は反 省 し,今後の要改善事項 と認識 している。)

(2)個 々の発音

個 々の発音の うち,以下では,特 に重要 と思われるものを例示する。

rの発音

個 々の発音の うち,まず, 日本人の間に苦手感の強い rについては, 授業で下記の ように教 えている。

ア) 日本語 の 「ア行 (つま りアイウエオ)」,「力行」,・‑ 「ラ行」を各 自 に発 して もらう。

イ)上記のなかで,舌を上の歯の付け根 に接 しない と発音で きない ものを 挙げて もらう。その結果,各 自,「タ行」,「ナ行」,「ラ行」を挙げる。

ウ)当該3行 を,舌を上の歯の付け根に接 しない ようにして無理に発音 し て もらう。その結果,「タ行」 と 「ナ行」は何を発 しているか不 明 と な る。 しか し,「ラ行は不明瞭なが ら無理 に発す るこ とがで きる。

これ こそが,英語の rの発音である。

エ)以上を理解 ・実践 した うえで,まずはrで始 まる英単語で練習する。

オ)エ)がで きるようになった段階で,途 中や最後 に rが出て くる英 単語を練習する。

特に,エ)やオ)において rと 「1」の明確な区別のために有用 な単語ペアは,以下q)ように数多 く存在する。

right,light rent,lent ray,lay rock,lock rate,late row,low wrong,long road,load rap,lap raln,lain rye,lie rake,lake

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大学専門教育課程 における英語教育のあ り方 65

rack,lack rice,lice read,lead reader,leader rocket,locket rlp,lip rid,lid ramp,lamp Rhine,line revel,level ray,lay fright,flight frame,flame fry,fly free,flea correct,collect grass,glass pray,play

f,,thの発音

次に,英語特有の発音であるf,,thについては,発音 自体が難 しい と い うよりも,文中に頻出するあま り,わかっていてもついついおろそかにし て しまう, という学生が多い。 これに対する有効策 としては,普段の 日本語 会話のなかで,f,,thを使用する英単語 が 日本語化 した ものを使用す る 際に,英語式に発音することを奨励することであろう。た とえば,語頭に来 るものだけで も,フ ォーク,フルーツ,フランス,ボーカル,サンキ ューな ど,相当数にわたる。 (そ もそ も日本語の 日常会話に使用 される英単語は, 想像 もできないほどの数にのぼっている。)

以下の③か ら⑥では,そもそ も英語特有の音 とは認識 していない学生が多 いために,正確に発音できていない場合が極めて多いものを取 り上げる。

口を縦 に開ける a」の発音

た とえばhardheardでは,前者では後者 よりも口を縦 に開ける とい う 意味で,発音は全 く異なる。 これは専 ら認識できているかどうかの問題であ

り,意識できていれば,容易に発音できる10ものである。

そして,学生に効率的に意識 してもらうためには,音の表記を工夫するこ とが有効である。授業では,英単語の読み方の うち難 しめの ものはカタカナ で紹介することが多いが,hard a」の ような場合にはひ らがなの 「あ」

10 引用例の場合 にはrが入 ってい るので,① でrの発音 がで きるようにな って い るこ と が前提 となる。

(14)

66 経 営 と 経 済

を用いることによって注意 を喚起す る とい う方法 を とっている。

二重母音

英語 で は二 重 母音 の単 語 が極 めて多 い。 かな り短 い もの に限 って も, eight,out,over,mailな ど,枚挙 にい とまがない。そ して, 日本語 では, eigh toutは文字通 り二重母音式 に発音 す るの が通常 であ るが,over mailの場合には 「オーバー」

,

「メール」 とい う発音が通例であ る。

これについて も,(参と同様 に,認識 し,意識 していれば対応 で きるもので あ り,そのために,それぞれ 「オ ゥ」

,

「エ イ」の ように表記 して注意喚起す ることが有効である。

二重母音の練習にあたっては,同 じ二重母音 を使用す る三個の単語 を連続 して発声 することが有用である。例 えば以下の とお り。

eightmailAsia icerisefly boyvoicetoy out→town→cow hopeoverknow

pbな どの発音

子音の発音 の重要性 は看過 されやすいが,た とえばpbの発音 は極 め て大切である。すなわち,唇 を横 に閉 じてか ら息を強 く吹 きかけるこ とが必 要 となる。

その練習法 としては,1枚 の紙 を 口の前 に置 き,pencilbasketとい っ た語 を発 し,紙が揺 れ るようにす る11とい うものが有効である。

11 ネイティブ ・スピーカーは弱めに発音することもあるが,あくまでも初期段階の練習 では強めに発音することが有効である。

(15)

大学専門教育課程 における英語教育のあ り方 67

W の発音

W で始まる単語 については,when,why,where,why,well,waterな ど, 頻 出す る基本単語が多い こともあ り,唇を 「ウ」 より更に小 さ くす るように

して発音練習することが重要である。

6.

結 語

以上,授業の実例 をもとに,経済学部 における英語教育のあ り方の一例 を 提示 した次第である。無論, これ以外にも様 々な有効な手法があろうし,今 後の授業で も新たな方法 を模索 してい く所存である。以下,全体に絡む点に ついて,若干の補足 を加 えたい。

(1) イン トネーシ ョン と英文暗記 ・暗諭の相乗効果

既述の とお り,授業ではイン トネーシ ョンの重要性 と英文暗記 ・暗詞の重 要性を強調 しているが, これ らは相乗効果をもた らす と考 える。英文を暗記 する場合,通常は口で音声化 しなが ら行 うことになるが,その際 しっか りと

したイン トネーシ ョンがで きていれば,暗記は格段に容易 となる。 (なお, この点 について,学生に対 しては,「カラオケでラップが得意な人は歌詞 を 自然 に覚えて しまっている場合が多いであろう。では,仮にラップに上下の リズムがなかった とした ら覚 えることがで きたであろうか。」 とい う問いか けをす ると,即 「納得」の ようである。)

(2)英英辞典使用の奨励

英語の上級者は,英語で話す ときに 日本語 を頭の中でいちいち英語に翻訳 しているわけではな く,英語のみの回路が完成 しているものである。学生 に とって,英英辞典 を普段か ら使 う習慣 をつければ,上級者への近道 になるこ とは疑 いない ところであろう。最近の電子辞書は,英和辞典を使用 したあ と

(16)

6Lq 経 営 と 経 済

にワンタッチで英英辞典に切 り替 えることができるので,効率的に英英辞典 に親 しむ ことが可能である。中級 レベルの実力があれば,当初に多少の違和 感を覚えることはあっても,英英辞書を使用する習慣を身につけることは可 能 と考える。

(3)文系他学部における応用の可能性

本稿は経済学部生のケースを念頭に進めて きたが,法学部,国際関係学部 な ど,他の文系学部 にも該当する箇所が多い と推察する。例えば,法学の場 合であっても,英語の専門用語を覚えることが経済学 よりも困難であるとは 考 えに くい12。いずれにしても,文系諸学部 における英語教育のあ り方が様 々な形で議論 され,結果的に学生たちの英語力が向上することを切に望む次 第である。 (また,理系の学生 について も,研究成果を国際的にシェアする 必要性が高まっている今 日,英語で論文を書いた り国際会議で発表 した りで

きるだけの英語力を持つことを望む次第である。)

12 強いていえば,英語の法律条文 を読み こなせ るようにな るためには,かな り複雑な構 文 を正確 に理解することが必要 になる。ただ し,結局は基本的な構文の応用形にすぎず, 慣れれば読解は可能 と考 える。

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