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企業・環境システムの組織化について

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(1)

企業・環境システムの組織化について

その他のタイトル Organizational design of

enterprise‑environment system

著者 広田 俊郎

雑誌名 關西大學商學論集

22

3‑4

ページ 318‑338

発行年 1977‑10‑25

URL http://hdl.handle.net/10112/00021006

(2)

企業・環境システムの組織化について"

I

企業が,非排除性を有する共通資源を,他企業と競合的に使用したり,必 要としたりするような環境に直面して,企業はどのように環境に適応的に行 動すればよいのか,また各企業からなるシステムはどのように組織化されな ければならないか,が問題となってきている。

たとえば,環境汚染をめぐる公害の問題の場合,各企業が,大気や水とい う共通資源を競合的に使用していながらも,個々の企業が共通資源の費用を 適切に内部費用化せざるを得ないような,共通資源についての使用制限や割 当のメカニズムが作られていなかったことが,問題を深刻化させてきた。ま た,低成長下で,供給のはけ口を輸出に求めようとする各企業が,欧米各国

*2 

から設定された輸入枠の中で,競合的に輸出しようとする場合も,輸出競争

*1

本稿は,第5

1

回日本経営学会全国大会

( 5 2

1 0

月於愛知学院大学)における報告 をもとに作成したものである。学会における有益なコメントに謝意を表します。

*2

われわれは,輸入割当などを共通資源に含めて考えようとする。このような立場 に立つことによって分権的資源配分モデルのより包括的な適用が可能になると思 われる。

(3)

企業・環境システムの組織化について(広田俊)

をどう組織化するかについてのメカニズムが確立されていないことが,問題 を緊急化させているのである。

このような状況を取り扱うフレーム・ワークを与えるモデルとして,経済 システムの分権モデルとして取り扱われてきたものを考えることができる。

D a n t z i g ,   &  Wolfe  ( 6 J ,   Baumol  &  F a b i a n   ( 3 J ,   C h a r n e s ,   C l o w e r   & 

K o r t a n e k  ( 5 J ,   Kydland ( 1 3 ]

, など,しばしば企業の分権モデルとして理 解されてきたものに,より一般的な適用範囲を与えようというわけである。

I T   D a n t z i g  & Wolfe

の分解原理

n

個の部門が存在するものとし,

j

部門について, その生産物の 量 を 功

( n i

次元列ベクトル), 産出物

1

単位を作るのに必要な係数行列を

B; (m;Xn;

行列), 投入の制約を

b ;( m ;

次元列ベクトル)で表わす。 らに第

j

部門の生産物

1

単位を作るのに必要な共通資源の投入係数行列を

A; (moXn;

行列)で表わし,共通資源の制約を

b

(m

。次元列ベクトル)

で表わす。そして第

j

部門の生産物

1

単位当たりの利益を

C; ( n ;

次元行ベ クトル)で表わす。そのとき,

n

部門とセンターからなるトータル・システ ムの最適化の問題は次のように表わされる。この問題を

CM]

で示すものと しよう。

〔 M 〕 maximize

c

j=l 

s u b j e c t  t o  

~ A必 ~b。

 

j l 

B

b i ( i   =  1 ,  ・  •… •,n)

Xj

0 (j = 1, … ··•,n)

( 1 )  

( 2 )  

( 3 )  

( 4 )  

(4)

1 4 2 ( 3 2 0 )  

[ B r n o  

この問題の D a n t z i g & Wolfe プロセスによる解法の特色は, 与えられ た問題 CM) を,各部門についての問題 e P i ] に分解し, ( P j ] で得られた 結果を,センクーが共通資源の制約を満たすように調整するということであ

る。まず各部門の問題として

 

( P j max1m1ze  c 1

s u b j e c t  t o   B

b i

功~o

( 5 )   ( 6 )   ( 7 )   が得られる。このとき,第 j部門の部門問題 ( P j ) の実行可能解集合の端

点を ~;,(k=l,•• … •,h) とする。

これらの端点は第 j部門の諸技術を表わ したものと解せる。この問題を解いて,約 1, ……が発生させられる。各部門 は発生させられた知をセンクーに報告し, センターはそれを記憶してお く。また各技術がの, その部門内で占める比率を入

jk

とする。 このよう な比率を設定するのは,複数の技術の採用を考察するためである。ここで注 意すべきは, 伍が決められると,その部門の生産量が決定されるというこ

とである。

ここで,各技術(端点),およびその採用比率の用語を用いて,問題 CM)

(5)

企業・環境システムの組織化について(広田俊)

*1 

を書き換えることにする。ただし,

cjk=C

k , pjk=A

心 と お く 。 こ れ ら の記号を用いて得られた問題を

C M 〕

も求めることにする。

で表わし,同時にその双対問題〔

D 〕 '

C M 〕

〔 D ' J

. .   li 

max1m1ze  ~ ~c”入jk

j 1 k=1 

1j 

s u b j e c t  

to 区区 P瓜jk~b。

j‑1 k‑1 

. . .  

mm1m1ze 

s u b j e c t  t o  

l i  

四入

;k=l (i=l,2,···•,n)

k‑1 

心 o (k= 1 ,  

2 ,・・・・・・・・•,

l i   j  =  1 ,  2

・•,

n )  

袖。+区

μj 

j l 

l i  

約+区冗 P j k

C i k (j=  1, … •••,n)

k=n 

冗,邸三 o  :  9 ( }',...•... ・  • ・  • ・  • ・  • ・  •..'9[ )

( 8 )   ( 9 )   ( 1 0 )  

( 1 1 )   ( 1 2 )  

( 1 3 )   ( 1 4 )  

センクーは,問題

CD

勺を解くことにより,共通資源のシャドー・プライ ス冗

(mo 次元列ベクトル)

を得る。 そしてセンターと部門との間の最終的 な情報のやり取りに到るまでは,このシャドー・プライスがセンクーから各 部門に指示される。

すると各部門の問題は次のように修正される。

[ P j 勺 .. 

max1m1ze 

( C j

ー 冗

A 泣 j s u b j e c t  t o   B

b i

Xj

0

( 1 5 )  

(16) 

( 1 7 )  

各部門は,固有の制約のもとに,共通資源の価格を考態に入れることによ

*1  C μ

は各技術(端点)の利益額,

p

ハは各技術(端点)の共通資源使用盈を示す。

(6)

企業・環境システムの組織化について(広田俊)

り得られた解と,どの技術(端点)を用いたかを, またセンターに報告す る。センターは,各部門からの情報を受け取り,今まで受け取ってきた情報 を考慮して新たなシャドー・プライスを指示するのである。このようなプロ セスを

P

回繰り返した後に,センクーにおいて,全体として最適が達成さ れたため,目的関数がそれ以上増加しないとき,センターは,最終的に各部 門が決定を行うことのでさるよう,各技術の採用比率を示すのである。

目 的 関 数 が こ れ 以上増加しないとき

ビ—---l

¥  l  シャドー P ライス 各技術の

)採]

区戸]←―――‑̲,.

図ー

2

このように

D a n t z i g& Wolfe

プロセスは, センターが, 各部門の技術 係数などの報告に基づきながら,共通資源のシャドー・プライスを指示する ことによって共通資源の使用状況を調整していき,最終的に最適な状態に調 整が完了したと思われた時に,各部門の技術の採用比を各部門に指示するこ

とによって,各部門の生産費水準を決定するというやり方をとる。

その意味で,

D a n t z i g &  Wolfe

のプロセスは,情報的に分権化されてい ても,権限的には分権化されていないシステムの運営の基本原理を示すもの

と言えよう。

*1 

*  1 H u r w i c z ,   L . .   ( 1 0 ]

,福田亘〔9〕,参照,後者によると,「計画プロセスを二つの 局面,すなわち環境を判断・認識する情報交換の局面とそれを基にして現境に働 きかける実行局面との二つに分けた場合,前者の局面における分権が情報に関す る分権に,後者の局面における分権が権限に関する分権に対応していると考える とより分かりやすいかもしれない」とされている。

(7)

企業・環境システムの組織化について(広田俊) ( 3 2 3 ) 1 4 5   i l l   D a n t z i g  &

. 

Wolfe

の分解原理の問題点

D a n t z i g   &  Wolfe プロセスの問題点は,最終的な部門の活動水準の決定 がセンクーに委ねられることである。各部門が自部門の技術情報をセンクー に報告し,センターがそれらの情報をもとに共通資源のシャドー・プライス を指示してい<,というプロセスによって最適解が分権的に見出されていく わけであるが,最終的な段階で,センクーの指令によって各部門の活動水準 が決められるのであり,各部門の自律的な決定によって決められるのではな いのである。

この点は,われわれのように部門システムを企業とし,いくつかの企業の 調整をするセンクーがその上にあるという適用例を考えている場合には,特 に重大な欠点である。なぜならば,このようなシステムにおいて,部門シス テムたる企業は相当自律的な行動を行うものと考えられるのであり,そのモ デルも部門システムの自律性を認めるようなものが,望ましいからである。

そのような考慮をふまえつつ, Baumal  &  F a b i a n ⑬)  と Chames,  Clower  &  K o r t a n e k   C  4 ) とが数値例を用いて示した D a n t z i g &  Wolfe プ

ロセスの欠陥を検討してみよう。

まず Baumol &  F a b i a n ⑬)による数値例をとりあげよう。 そこでは次 のような数値例が考えられている。

maximize  x 1

X2+2y

s u b j e c t  t o  

ふ十“2+2y叶Y2~40

x 1 + 3 x 2   ~30

1

X 2 ~20 Y 1   ~10

1 0

Y1 十Y2~15

( 1 8 )  

( 1 9 )  

( 2 0 )  

( 2 1 )  

( 2 2 )  

( 2 3 )  

( 2 4 )  

(8)

1 4 6 ( 3 2 4 )   企業・環境システムの組織化について(広田俊)

ここでは, X 部門(変数 X 1 , 心 と Y 部門(変数 Y i , Y 2 ) の二部門が想定 されており,(1 9 ) 式によってトークル・システムに関する共通資源の制約式 が明示されている。

彼らは,この問題を分解原理を用いて,四回目のイテレーションで次のよ うな解を得る。すなわち,センターは X 部門の端点として,ふ=( 1 i ) , X, 

=  (

t)

をとりあげ,それらを, 入 x3 =  i , ; ̲ ,   Ax4 =互

1 2 ' 1 2   の比率で採用する。 また 1 0  

Y 部門については, Y 部門の端点として Y~=

)をとりあげ,い= 1

する。そのとき, X= ( x i ,   x 2 ) =(誓,閃), y=  ( y 1 ,   y 2 )   =  ( 1 0 ,   5 ) となり,

共通資源のシャドー・プライスは 1  ーとなる。 3 

ところで,これらの解は,新たな端点を考慮に入れても,センクーの問題 の目的関数の値をこれ以上増加させないので,最適解をなしているわけであ る。しかし分権的意思決定様式を貫くことを期待して,上で得られたシャド ー・プライスを各部門に指示し,各部門がそれをもとにして,各部門が分権 的に最適解を探索できるかどうかを検討しよう。

センタ 1 

ーがーという共通資源のシャドー・

Y 部門は次のような部門問題を作る。

X 部門問題 maximize 

2 3 

ふ 十 一

3 1  X 2   s u b j e c t  t o  

ふ+紅2~30

1

十ズ

2 三2 0 Y 部門問題 maximize  否 4 Y l す 2Y 2  

s u b j e c t  t o   Y 1  

1 0 y2~l0 Y1+  Y2~15

プライスを指示すると, X,

( 2 5 )  

( 2 6 )  

( 2 7 )  

( 2 8 )  

( 2 9 )  

( 3 0 )  

( 3 1 )  

(9)

企業・環境システムの組織化について(広田俊) ( 3 2 5 ) 1 4 7   このような部門問題について, Y 部門の部門問題に関しては,( Y i , y 2 )   = 

( 1 0 ,   5 ) の端点を得るが, X 部門の部門問題に関しては, 最適解は, 端点

( l g ) ,  

(~)を結ぶ直線上に無数存在してしまうという,いわゆる退化 (de­

g e n e r a c y ) した状況になって, 一意的に求めることができなくなってしま う 。

1

‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑‑¥(繁、誓)

¥ X 2  

端点 1

図ー 3

X 部門において, このような退化現象が生ずるので, 各部門による,分 権的で自律的な最適資源配分の達成ができなくなる。そのため情報のイテレ

ーションの最終ステップにおいて, センターからの各部門の端点の採用比率 の指示が必要となる。 このように D a n t z i g& Wolfe プロセスは, われわ れが,分権モデルの要件として期待した各部門の自律性を究極的には欠いて いるという欠点を持つことが明らかである。

D a n t z i g  & Wolfe プロセスの欠点としては, その他に, C h a r n e s ,Clower 

& Kortanek の示した数値例のような場合もある。

すなわち 2企業, 2財から成っているシステムを考える。そして各企は技 術係数が, a i=  ( 2 ,   1 ) ,   ai= ( 2,3) で与えられ, またその利益が C 1 = 3 , C2=4で示されるような活動を行っているものとする。 そして利用可能な資

そのとき問題は次のように定

源は S 1 = 3 , S2=4で与えられるものとする。

(10)

式化される。

. .  

maximize  3

広十

4 冗

2

s u b j e c t  t o   x 1   ~1 X2~l

2x1+2ズ2~3 X1 十紐2~4

“1 ,ズ2~0

( 3 2 )   ( 3 3 )   ( 3 4 )   ( 3 5 )   ( 3 6 )   ( 3 7 )  

ここで最適な操業度は,

t=‑ 2 '   xt=1

均衡価格ペクトルは,

P'= 

) o

である。これらの価格を指示することによって,各企業についての サプ・プロプレムを決定する。

Firm 1  max1 . m1 .  z e   s u b j e c t  t o  

すなわち

max1 . m1 .  z e   s u b j e c t  t o   Firm 

m a x 1 . m 1 .  z e   s u b j e c t  t o  

すなわち

[3-(-½, o )  

(f)

広~1

• X 1   X1Sl 

[4-(½, )   o r n )

2

2

1

( 3 8 )   ( 3 9 )  

( 3 8 ) '   ( 3 9 ) '  

( 4 0 )  

(41) 

(11)

max1m1ze  1  • x 2   s u b j e c t  t o   x2~l

( 4 0 ) '   ( 4 1 ) '   したがって第 2 企業はこのサプ・プロプレムによって最適解に導かれる が,第 1 企業は与えられたサブ・プロプレムから有意味な指示を受け取るこ とはできない。なぜならば目的開数の係数が

0

であるからである。つまり第 1 企業は次式で示される,第 2 企業あるいはセンターの暗黙の指示にしたが ってしか自己の最適操業度を決定できないのである。

その式とは次のようなものである。

冗'(b 。ー ~A和)= 0

j=l  ( 4 2 )  

この二つの数値例で示されたように, D a n t z i g  & Wolfe プロセスのよう に,センターからの価格の指示による分権は,最終段階でセンターからの指示 を必要とし,各部門の自律性を完全には満たさないことが明らかとなった。こ のように,価格のみの指示による場合,各部門の部門決定が行ないえなくな るという退化の問題,したがって部門決定の自律性を犯してセンターからの 指令がなされなければならないという問題の二つを克服するために,次に述 べる C h a r n e s , C l o w e r .  & Kortanek のモデル,およぴ Kydland のモデル が考えられる。

N  C h a r n e s ,  Clower  &  Kortanek の PreemptiveGoal

モ デ ル

C h a r n e s ,   Clower & Kortanek は P r e e m p t i v eG o a l (優先目標)とい

う概念を導入する。彼らはセンターが各部門の消費するであろう共通資源に

ついて,全体最適計画における共通資源の制約と斉合性を持つように目標を

定め,各部門は与えられた目標を実現するように自律的に決定を行う,とい

うようなプロセスを考えた。すなわち全体問題が次のように表わされている

とする。またその双対問題も同時に考える。

(12)

. 1 5 0 ( 3 2 8 )   企業・環境システムの組織化について(広田俊)

(M

〕 max1 . m1 .  z e   C j  

( 4 3 )   j a l  

 

s u b j e c t  t o  

エ Aj功~b。

( 4 4 )   j ‑ 1  

Bj

功 三

bi(j=1,2, ……, ) ( 4 5 )  

功~O (j=l,2, ・・・・・ •,n)

( 4 6 )  

〔 D ) m m . 1 . m 1 .  z e  

o 十工 Y i   b i ( 4 7 )   i  ‑ 1 

s u b j e c t  t o   yiBj +冗 A 溢 C ; (j=l,2, …… , n )   ( 4 8 )  

冗, Y;~O

(j=l,2, ……, n )   ( 4 9 )  

これらの問題の最適解を,それぞれ {xf, ……, xt} と {yf,•• …·,

Yt , 冗 }

 

とする。そのとき,区 C j 叶=区 y r b j 十冗 b o が成立しなければならない。そ i ‑ 1  

・1

1

の最適解がを用いて, af=Aixf とする。この式の右辺は,全体問題が最 適なときの各部門の共通資源消費量を示し,その量に等しい水準に各部門の 共通資源消費目標吋を定めるものとする。

センクーは,共通資源のシャドー・プライスと以上のようにして得られた 消費目標吋を,各部門に指示する。そのとき各部門は次のような問題を解

くことになる。

〔 P;J maximize  ( c ; ー冗 A 泣 ;‑Mlla1'‑A 叫 s u b j e c t  t o   B 必 手 b i

功こ〇

( 5 0 )  

( 5 1 )  

( 5 2 )  

ここで I I I I は各要素の絶対値の総和を示すものとする。そして M は十

分大きな正数であるとする。

(13)

彼らの議論のスクイルは,全休問題の最適解が与えられたとして,そのと きの指示にしたがった部門問題の解が,全体問題の最適解に一致することを 証明することにより, 分権化の有効性を論証しようとする形をとる。ただ し,彼らの議論においては,センターと部門の間における情報の交換のイテ レーションによる最適解への収束のプロセスが明示されていないのである。

ともあれ,彼らの全休問題の最適解と部門問題の最適解の一致を示す定理 とその証明を述べよう。

その前に,価格のみの指令による分権化を行ったときの部門問題を〔 P f 〕 で表わし,その双対問題を〔 D f 〕で表わそう。

〔 P 〕 『 maximize ( c

亡 冗

A)x ( 5 3 )   s u b j e c t  t o  

B;功~b;

( 5 4 )  

功 三

0 ( 5 5 )  

CD 『 J m i n i m i z e   b

( 5 6 )   s u b j e c t  t o   B

か ニ

c j

ー 冗

Aj ( 5 7 )  

Y i

0 ( 5 8 )  

これらの問題の最適解を { x f } { y f } とする。ただしこれらは CMJCD] の 最適解でもある。

定理 1 {ふ}を C P ; J 問題の最適解の集合とする。そのとき{ふ}は全体 の CM] 問題の最適解 { x f } と一致する。

証明; {ふ}が C P i ] 問題の最適解であるとする。 CM 〕問題の最適解{叶}

を用いて,

(c; ー冗A1) ふ -Mllat-A必 II~ (c; —弘) xf-MI|年 -A吋 11

( 5 9 )  

吋 は 〔 P ; J の実行可能解である。そして叶を適当に選んで, Aj

吋=

a r

(14)

企業・躁境システムの組織化について(広田俊)

とすることができる。

したがって

(ci 一冗A屈ー Mllaf-A和 l~(C; —叫)吋

( 6 0 )  

しかしながら,叶は

ePB

について最適であり,ふは

C P

ら に つ い て 実 行可能だから,

( C ;

一 冗

A,)x ↑ 三 ( C i

一 冗

A 況

故に

1

つの不等式

( 5 9 ) , ( 6 0 )

を用いて

(Ci 一冗A泣1-Mllaf-A必 II 三 (Ci —弘) xf~(C; —叫)ふ

( 1 6 )  

このことは

1│a:‑A

西

1 1 = 0

( c 戸 冗 Aj)xf= ( c i

,A)

i

したがって

を意味する。

c

ふーエ元

j

A

戸区

C 吋ーこ匹  

j~l j~l j • l ‑ j•l

n  n 

=~.

C;吋ー社。= ~yfb

J  ‑1  j

1

( 6 2 )  

こ こ で 外 は 〔

D

〕問題の最適解の要素である。

区 A,云i= 区 a,~b。

 

i•l iml 

( 6 3 )  

故 に ふ は (

M

〕問題について実行可能である。 実行可能でありつつ,

( 6 2 )

が成り立つから,ふは

CM

〕の最適解をなすことが言える。

Q.E.D. 

C h a r n e s ,   Clower & Korstanek

は以上のような議論によって, 価格に 加えて共通資源の消費目標水準を指示することによって, 自律性をもった分 権化が行なわれるとしたのである。すなわち,

D a n t z i g  & Wolfe

プ ロ セ ス

(15)

企業・環境システムの組織化について(広田俊)

において生じた,各部門問題における退化の硯象,それゆえにセンクーが最 終段階において技術の採用比率を決めることによって自律的な分権的決定と いう要請を満たしえないという欠点を克服することができるというわけであ る 。

しかしながら,彼の議論の問題点は,共通資源の消費目標水準をある値に 初期値として設定して,それから均衡水準へと収束するかどうかの議論を行 なっていないことと,ペナルティーを意味する M をどのような水準に決め ればよいかの議論がなされていないことである。そこで,目標として共通資 源の消費水準を指示するのではなく,制約式として付加してやろうというア プ.ローチが考えられる。次に述べる K y d l a n d の議論がその種のクイプの議 論となっている。

V  Kydland の H i e r a r c h i c a ld e c o m p o s i t i o n  

K y d l a n d   ( 1 3 )は C h a r n e s , C l o w e r   &  K o r t a n e k   C  4 〕の明らかにし た,「価格のみの指令による分権化はうまく機能しないので, 共通資源の消 費目標水準という付加的な情報指令が必要とされる」という命題の線に沿っ て,議論を展開する。そして K y d l a n d は C h a r n e s , C l o w e r  & K o r t a n e k   の議論における共通資源(複数)め消費目標の設定の数が必要最小限の数を 上回っているのではないか,共通資源の消費目標を目的関数に組み入れるの ではなしに制約式として付加すればよいのではないか,という二つの点を考 慮においた上で,共通資源の使用のされ方が,比較的少数の部門によってし か使われない場合から,すべての部門によって使われている場合まで多岐に わたっているような状況でのモデルを提出している。すなわち問題は次のよ

うに表わされる。

( M 〕 maximize f

i

j‑1 

s u b j e c t  t o  

:

E 

A

心 盆

O J ( j ; , , 2 , … … , n )  

k‑1 

( 6 4 )  

( 6 5 )  

(16)

企業・環境システムの組織化について(広田俊)

B必~b;

(j=I,···•,n)

功~o

U = I , ・ . . . .   •,n) ここでの問題構造を図示すれば次のようになる。

(:了〗戸‘|

区五コ

│  A 3 1  │  A 3 2 1   1 

‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑

│ A m 1 1   │ A m n │  

一 ` 

` ` 

` 

` 

  ` `

` 

図ー

4

( 6 6 )   ( 6 7 )  

ここで想定されているシステムは,共通資源にランクづけを見出し,共通 性の薄いものから順番に並べたところに特色がある。この問匿の双対問題は 右のように表わされる。

直〕 minimize ̲ : E   y

 

あ + 凸 研

Oj

j‑1  j‑1  ( 6 8 )  

. .   ‑ ‑ "  

s u b j e c t  t o   y 丸 + と ' 1 1 : k A

c i (j=  1 , …… , n )   ( 6 9 )  

k  max{2,j) 

 

Y i

, 冗j

0 ( 7 0 )   CD] の最適解を ( y f , …… , Y t , 吋,……,吋)とする。すなわち Kyd‑

l a n d は,価格に加えて, 各部門がどのレベルの共通資源を使用しているの

かに基づいて与えた順序づけを示すことによって分権化が行なわれるとして

(17)

企業・環境システムの組織化について(広田俊)

( 3 3 3 ) 1 5 5  

いるのである。そしてこのような部門問題の定式化によって,

Dantzig & 

Wolfe

プロセスにおける問題点としての退化の問題と, センターからの最 終段階における指示による各部門の自律性の欠如とが克服され, しかも

C h a r n e s ,   Clower & Kortanek

のモデルよりも付加情報が少なくて済むと いうわけである。そのような特性を持った部門問題は次のように表わされ

部門

l

( P 1 J   maximize  ( c 1

ー エ 吋 

An) 功 ( 7 1 )   i~2

s u b j e c t  t o   B1X1~b1 ( 7 2 )  

冗1~0

( 7 3 )  

〔 D1J minimize  y 1 b 1   ( 7 4 )   s u b j e c t  t o  

y1B1~C1 ー i区

-1

t A i l ( 7 5 )  

( P 1 ]

( D 1 J

の 最 適 解 を ふ と

§ 1

で表わす。 すると部門

k(l<k<n)

の問題は次のように示される。

部門

k

〔 P k J maximize  ( C k

ーエ冗「

A

X k ( 7 6 )   i =  

s u b j e c t  t o  

Bふ~bk

( 7 7 )   k ‑ 1  

A心= b。k ー jIJ~l

A

( 7 8 )  

Ak~O ( 7 9 )  

k ‑ 1  

CDO  m 1 . m . m 1 .  z e   y ふ+ m ( b

k

j

= lA

心)

( 8 0 )  

(18)

)  

企業・痕境システムの組織化について(広田俊)

 

s u b j e c t  t o  

ykB叶 {3;Au~c. ー区吋 Au

( 8 1 )  

i‑k+I 

y.~o

CPOCDOの最適解をふ,

§K

とする。すると部門

n

の問題は次のよ うに表わされる。

部門

n

CP"

〕 r n : i x i m i z e c . x .   ( 8 2 )   n ‑ 1  

s u b j e c t  t o  

ふふ= b。n ーj区~l

A ふ ( 8 3 )  

B ぷここ b n ( 8 4 )  

ふ~o

( 8 5 )  

― 1 

〔 Dn 〕 面nimize

yふ+冗•(b。•ーjエ-1

A

( 8 6 )   s u b j e c t  t o   y "

比+冗

nA 全 c . ( 8 7 )  

y算~o

( 8 8 )  

このように各部門の階層性を〔P1],…〔Pa,…〔Pn]という形で表わすこ とを,階層順序づけを与えるという。これらの問題を次のような手順で解い ていく。

部門

1

が,まず共通資源の価格の合計区冗

j A i 1

を考慮して解を示す。部

i ‑ 2 

K

は,部門

1

と同様,共通資甑の価格の合計工冗

i A i k

を考慮して問題を

i‑k+2 

解く。部門

K

i = l ,

……,

K

までの共通資源は消費しないのである。部

1

と異なる点は,制約条件として

K

番目の共通資源については,

k‑l

目の部門までに消費した量の残額を使用することとされていることである。

ここが

Dantzig &  Wolfe

プロセスと異なるところであり, 共通資源の 価格は部門

K

については,

k+1,

……, までの共通資源についてしか考慮

(19)

されない。 また C h a r n e s , Clower & Kortanek のように, 共通資源の消 費目標が目的関数に付加されたのとは異なって,共通資源の消費水準が制約 として付加された点が特色である。

そして部門 については,共通資源の価格を全く考慮することなく,ただ 番目の共通資源についての制約を考慮して部門別の最適解を発見すればよ いのである。

共通資源の価格とともに,このような部門毎の目的関数を各部門に示して 全体部門を分割することを,階層的分割 ( H i e r a r c h i c a ld e c o m p o s i t i o n ) と いう。このような階層的分割によって,各部門の自律性を確保した形で,全 体問題が解かれる,と Kydland は言うわけである。

VI 結 び

以上の議論は,自然資源や輸入割り当て,などの非排除性を有する「共通 資源」を競合的に使用するような状況で,できるだけ分権的に資源配分を行 ないえるような,企業・環境からなる一種の組織化が可能ではないかという 問題意識をもって,その基本的フレーム・ワークを与えるモデルを検討しよ

うという意図のもとに行なわれた。

しかしながら,そもそも,そのような組織形成の必要性はどこから出てく るのか,という疑問が生ずるかも知れない。その点については,広田〔 9 ) ,

〔 10) で議論されているように,何らの組織化も行なわない状況はゲーム論 的状況を生じさせ, トークル・システムの状態が最悪の場合を招きかねない し,特に,場合によっては,種々な形での政策による克服が有効でない場合 があるからであった。その意味で企業・環境システムの組織化の必要性が自 覚されてきた状況になってきた硯在において,どのような形の組織形成が望 ましいかという議論を行なおうとしたのである。

ところで最初に,企業・環境システムの組織化という問題意識を設定した

ものの,以後の議論の展開については,各々の分権計画モデルを当該問題意

(20)

識に密接に関連させて検討するということを行なわなかった。つまり,我々 は,センクーと部門という形で問題構造を抽象的にとらえた。したがって,

我々の問題意識のもとにある経済主体に特徴的な行動様式と,種々の分権モ デルにおける特徴的行動の間にギャップがないかどうか,の検討が明示的に は行なわれなかった。すなわち, 我々の問題意識ー自然資源, 輸入割り当 て,などの共通資源を調整するシステムーを基本的モデルのフレーム・ワー クにあてはめてみたときに,センクーとして想定されるものは何か,部門と して想定されるものは何か,等の議論が明示的にば示されなかった。この点 をめぐって,センクーの機能を果すような存在がいるという想定が現実的か どうか,また部門がそのようなセンクーとのコミュニケーションを実行する ような状況が考えられるのか,等の疑問も提出されよう。

しかし,我々は,この点について,種々の二次的組織ー公正取引委員会,

自然環境問題を統制する地方自治休,企業集団など組織からなる組織ーが現 実に,種々の資源配分メカニズムにおいて重要な存在となりつつあると考え ており,これらの二次的組織の運営の問題を解きたいという我々の問題意識 の第一次接近として分権的モデルを用いて展開することを妥当だと考えてい る 。

また我々は,問題の様々なパラメークーがどのような制度的・経済的・社 会的条件をふまえて形成されるかについての検討を一切行なわなかった。た とえば,各部門の目的関数の係数である C; の決定が,各部門独自の事情で 定められるのか,あるいはトークル・システムの事情で定められるのか,っ まり,市場構造として寡占的なものを想定するのか,完全競争的なものを想 定するのか,ということの議論は無視されていた。

また次には,各部門に課せられる制約 b;の決定が, 各部門独自の事情で 定められるのか, トークル・システムの事情で定められるのか,という議論 も省略されていた。各部門独自の事情で決められるというケースとしては,

純技術的条件により規定されるという場合が考えられ, トークル・システム

の事情で決められるケースとしては,各部門システムのパーゲニング等のプ

(21)

企業・環境システムの組織化について(広田俊)

ロセスを経て決められる場合などが考えられる。後者のような議論を内生化 して考えるならば,分権化による最適計画が達成されるといっても,その最 適性の吟味については,パラメークーを決定するような社会的・経済的与件 の検討が必要になるであろう。

また投入係数行列についても,純技術的なものと考えるか,社会的・経済 的に形成されるものと見るかによって,最適性の含意が異なってこよう。こ れらの諸点についての検討は次の機会に譲りたい。

以上要するに,数学的モデルによる階層システムの資源配分プロセスの記 述の検討は,その数学的モデルの内的論理の硯実妥当性だけでなしに,その 仮定の現実妥当性をめぐってなされなければならない,ということであろう が,後者についての議論をまきおこすのは前者についての議論が自覚された ときであるという観点からは, 本稿のような議論も意義を持ち得るであろ う 。 ( 1 9 7 7 . 1 0 . 1 5 )

【参考文献]

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3 0

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8

月 ・

9]

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1 1

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1 4 J M a i t i ,   P .   and S e n g u p t a ,   R. "A Note on t h e   P o s s i b i l i t y   o f   D e c e n t r a l i ‑ z a t i o n  i n   a  Model  o f   A l l o c a t i o n   o f   R e s o u r c e s " ,   Management S c i e n c e ,   V o l . 1 9 ,   N o . 1 2 ,   A u g u s t ,   1 9 7 3  

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1 6

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1 9 7 6

1

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巻,第

1• 2

合併号,

1 9 7 6

年1

2

参照

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