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土木工学専攻

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Academic year: 2021

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(1)

砂質土の液状化強度に及ぼす初期せん断応力の影響についての三軸試験 Triaxial tests on the effect of initial static shear stress for liquefaction of sand

土木工学専攻

13

号 加藤 亮

Ryo Kato

1.はじめに

現在,地盤の液状化の評価の一つとして非排水三軸試 験によって液状化強度曲線を求める方法が用いられてい るが,多くは水平地盤を想定したものである.しかし,

原地盤では地震波による繰返しせん断応力を受ける前に 構造物近傍や斜面のような場所においては,地盤の重力 による一方向への継続的力,つまり静的なせん断応力を 受けており,これらの場所での地震被害は多く発生して いる.この静的なせん断応力(初期せん断応力)は地震 による繰返し荷重が加わる時に地盤の挙動に大きな影響 を及ぼすため,初期せん断応力を考慮した地盤の液状化 の研究は重要であると考えられる

1)

本研究では,三軸試験機を用いて初期せん断応力が加 わった状態での砂の非排水繰返しせん断試験を相対密度

Dr

,初期せん断応力比α,細粒分含有率

Fc

をパラメータ に行い,初期せん断応力が液状化強度に及ぼす影響につ いて検討した.また,実験結果から試料の損失エネルギ ーを算出しエネルギーの観点から初期せん断応力が液状 化に与える影響についても検討した.

2.試験試料と試験方法

試料は細粒分含有率

Fc=0%

の千葉県富津砂に石粉細粒 分を

Fc=0

5

10

20

30%

になるように粒度調整したも のである. 図

-1

に粒径加積曲線, 表-1 に物理特性を示す.

また図

-2

に試料の最小・最大間隙比の関係を示す.最小 間隙比

emin

Fc

20

30%

であり,理論限界細粒分含有 率

CFC

を算出すると

27

28%

emin

と対応している.

試験機は小型三軸試験機を用い,供試体は直径

50mm

, 高さ

100mm

であり, 圧密後相対密度

Dr

がほぼ

30%

50%

70%

になるよう,試料を

5

層に分けて締固めるドライタン ピング法により作成した.炭酸ガス通気後,脱気水を通水 しバックプレッシャー

196kPa

加え供試体を飽和させる.

その後,有効拘束圧を

98kPa

で等方圧密し,軸圧

σ1

なら びに側圧

σ3

σ1 σ3

に調整し,平均有効主応力

σm’=(σ1’+2σ3)/3

98kPa

で一定に保ちながら初期せん断

図-1 試料の粒径加積曲線 表-1 試料の物理特性

0 2.741 1.632 1.316 1.083 0.680

5 2.739 1.717 1.323 1.070 0.595

10 2.742 1.777 1.302 1.106 0.543

20 2.739 1.886 1.261 1.172 0.452

30 2.729 1.902 1.171 1.330 0.435

60 2.688 1.735 0.986 1.726 0.549

100 2.712 1.583 0.911 1.977 0.713

emin Fc

(%)

ρ

(g/cm3

ρdma x

(g/cm3

ρdmin

(g/cm3) ema x

0 2.741 1.632 1.316 1.083 0.680

5 2.739 1.717 1.323 1.070 0.595

10 2.742 1.777 1.302 1.106 0.543

20 2.739 1.886 1.261 1.172 0.452

30 2.729 1.902 1.171 1.330 0.435

60 2.688 1.735 0.986 1.726 0.549

100 2.712 1.583 0.911 1.977 0.713

emin Fc

(%)

ρ

(g/cm3

ρdma x

(g/cm3

ρdmin

(g/cm3) ema x

図-2 最小・最大間隙比 表

-2

試験条件

0 0,0.075,0.15,0.3 30,50,70 98

0,5,10,20,30 0,0.075,0.15,0.3 30 98 細粒分含有率

Fc(%)

初期せん断応力比 α

相対密度 Dr(%)

有効拘束圧 σ'c(kPa)

(2)

応力

τs=(σ1’-σ3’)/2

を加えた.なお,初期せん断応力の大き さは初期せん断応力比

α=(σ1’-σ3’)/(σ1’+σ3’)

で定義するもの とする.本研究では,α

=0

0.075

0.15

0.3

4

種類の ケースで実験を行った.圧密終了後,応力振幅

σd

,周波 数

f=0.05Hz

で非排水繰返し載荷を行い,両振幅軸ひずみ

εDA

10%

以上,または,軸ひずみのピーク値

εp

10%

以 上に達した所で試験を終了した.表-2 に試験条件の一覧 を示す.

3.試験結果

3.1.液状化強度曲線

-3

に両振幅軸ひずみ

εDA

5%

に達した時の繰返し 載荷回数

Nc

と繰返し応力比

RLσd/2σm

の関係を相対密 度別に示す.液状化強度曲線はいずれの

Dr

εDAp)で

もαの増加とともに上方に位置し,

Dr

が大きいほど同じ αでの液状化強度が大きくなっていることがわかる.し かし

Dr

30%

での緩詰め砂では,α

=0

0.15

の範囲では あまり強度に差がなく,α

=0.075

とα

=0.15

では強度が 逆転しα

=0.15

の方が小さくなった.

Dr

70%

ではαの増 加にともない勾配が急になっており,特に

Nc

が小さい範 囲での傾きの立ち上がりが顕著である.これはサイクリ ックモビリティーによる有効応力の回復により強度が増 加したためと考えられる.

また図-4 に

Dr

30%

における

Nc

RL

の関係を細粒分 含有率別に示す.液状化強度曲線は

Fc=0

5%

において はαの増加とともに上方に位置しているが,

Fc=10%

では α

=0

0.15

の範囲で強度の差がなくなっている.

Fc

をさ らに増加させた

Fc=20

30%

においては,αの増加とと もに液状化曲線が下方に位置し,これまでの傾向と大き く異なるものとなった.

-5

に図-4 の液状化強度曲線の

Nc=10

での繰返し応 力比を読み取った

RL10

と初期せん断応力比αの関係を細 粒分含有率別に,また両振幅軸ひずみ別に示す.

Fc=0

5%

においてはαの増加とともに

RL10

が増加しているこ とがわかる.特にα

=0.3

での増加は顕著である.これは 応力反転が起きていないためだと考えられる.応力反転 とは,繰返しせん断応力の片振幅が初期せん断応力より 小さいため,繰返しせん断応力が圧縮側から伸張側に反 転しないことである.しかしながら,

Fc=20%

においては,

α

=0.3

の応力反転が起きていないにも関わらず,

RL10

は 増加していない.むしろ減少している.つまり緩い砂の

Fc=20%

以上の収縮性が大きい試料では,細粒分の影響が 液状化強度に大きな影響を与えていると考えられる.ま た,

Fc=20%

より

Fc=30%

の方がわずかに

RL10

は大きい.

RL10

Fc

の増加とともに減少していくが理論限界細粒分 含有率

CFC

を境に

Fc=30%

のように強度が再び増加した.

これは図

-2

の最小・最大間隙比の関係と,

CFC

から推測 できる.細粒分を増加させることにより,砂粒子骨格間 に細粒分が入り込む.

CFC

では砂粒子骨格間が全て細粒 分で埋め尽くされ,砂粒子の接点間力がなくなり,強度 は細粒分に支配される.その後,さらに細粒分を増加さ せることにより,細粒分の密度が大きくなり,

Fc=30%

で は強度が増加すると考えられる

2)

図-6 は図-5 のα

=0

0.15

の範囲を取りだし,既往の 研究結果

(Vaid)

と比較したものである.既往の研究は試料 が異なるものの,緩い砂で

Fc=0%

である.図よりαが

0.1

付近で

RL10

はピークを迎えていることがわかる.特に両

図-3 液状化強度曲線(相対密度別)

-4

液状化強度曲線(細粒分含有率別)

(3)

振幅軸ひずみ

εDA

1

2%

の小さなひずみの範囲で顕著 である.本研究においても

εDA

5%

では減少傾向が見ら れなかったが

1

2%

においては同様の減少傾向を得られ た.

Fc=20%

以上では,

RL10

のピークはなくαの増加とと もに減少していった.また

Fc=0%

と比較して,液状化す ると急激に軸ひずみが大きく発生するため

εDA

の違いに よる

RL10

の差はほとんどなかった.

3.2.累積基準化損失エネルギー

現在,三軸試験による液状化評価は一般的であるが,

本来液状化しないと考えられている粘土や礫にも実験可 能であり,大きな荷重を与えた時に液状化するという結 果を与えてしまい,せん断強度の喪失という液状化現象 の本質を適切に表わしていないという課題がある.そこ で,粘土から礫まで統一的に解釈できる強度指標として エネルギーが挙げられる

3)

. 図-7 は本実験で得られた結 果の一例である.非排水繰返し三軸試験における応力

-

ひずみ関係は,繰返し載荷回数の増加に伴い供試体の剛 性が軟化してくる.この過程で土の要素に蓄えられる累 積損失エネルギー

ΔW

は,履歴ループが描く面積の累積 値で計算される.本実験では,

εDA

10%

以上に至り,液 状化試験終了までの累積損失エネルギーを算出し,整理 を行った.

図-8(a),(b),(c)に累積損失エネルギーを拘束圧

98kPa

で基準化した

ΣΔW/σc

を横軸に,過剰間隙水圧 を基準化したもの,軸ひずみを縦軸に相対密度別,細粒 分含有率別の一例を示す.

相対密度の違いについて検討する.

Dr

30%

の緩い砂 は

Dr

70%

の密な砂と比較すると,液状化に至ると急激 に軸ひずみが発生しており,またα

=0.3

では過剰間隙水 圧が液状化の理論値である拘束圧

1.0

まで上昇せず,完 全液状化しないで軸ひずみが

10%

以上まで発生している ことがわかる.またα

=0

0.075

では軸ひずみが両振幅 に発生するが,αを増加させると軸ひずみは一方向の圧 縮側に発生する傾向がある.これは初期せん断応力と繰 返し応力により軸ひずみが一方向にサイクリックモビリ ティーにより徐々に増大したためだと考えられる.また

εDA=10%

に達するまでの累積基準化損失エネルギーは小 さい.

Dr

70%

ではαの違いに関わらず軸ひずみ,過剰 間隙水圧の挙動はほぼ同じ傾向を示す.またαの増加と ともに

εDA=10%

までに必要なエネルギーが増加していく

ことが明瞭に表れている.つまり

Dr

,αが大きいほど液 状化に至るまでの累積基準化損失エネルギーは大きく,

これは

Dr

,αが大きいほど

RL10

が大きいという液状化強 度曲線と同様の傾向となった.

次に細粒分含有率

Fc

による違いについて検討する.急 激な軸ひずみの発生や,α

=0.3

では完全液状化していな いなど,液状化に対する軸ひずみ,過剰間隙水圧の挙動 はほぼ同じであり,

Fc

の影響は見られない.しかし累積

-5

液状化強度と初期せん断応力の関係

-6

液状化強度と初期せん断応力の関係

(既往の研究との比較)

-7

累積損失エネルギーの求め方

(4)

基準化損失エネルギーに着目すると,

Fc=20%

の方が全 体的に小さい.

Fc=0%

ではαの増加とともに累積基準 化損失エネルギーは大きくなったが,

Fc=20%

ではαの 増加とともに小さくなっている.特にα

=0.3

では顕著 に表れている.液状化に至るまでの累積基準化損失エ ネルギーが小さいということは,小さな地震エネルギ ーで液状化するということなので強度は小さいと考え られる.これは図-4 の液状化曲線と同様の傾向を表し ている.

以上より,累積基準化損失エネルギーが小さいと液 状化強度曲線が小さいというように,エネルギーと液 状化強度曲線が同様の傾向を示すことから,累積基準 化損失エネルギーの観点からも液状化評価が推定でき ると考えられる.

4.まとめ

・ 細粒分を含まない砂質土の液状化強度は, 初期せん 断応力の増加とともに相対密度に関わらず増加す る傾向がある.

・ しかし,

Dr

30%

の緩い砂については,両振幅軸ひ ずみ

1

2%

の小さなひずみに対応した液状化強度 はαの増加とともにある値をピークに減少する.

・ 緩い砂の細粒分含有率

10%

までは,初期せん断応 力の増加とともに液状化強度も増加するが,細粒 分含有率

20%

以上では細粒分の収縮性の影響が大 きく,初期せん断応力を増加させても液状化強度 は増加せず,減少する.

・ 初期せん断応力の大きさに関わらず,緩い砂にお ける液状化強度は細粒分含有率が

20%

までは減少 するが,理論限界細粒分含有率を越えた

30%

では 再び強度が増加する.

・ 累積基準化損失エネルギーに着目すると,相対密度 が大きく,初期せん断応力が大きいほど液状化し軸 ひずみが

10%

に至るまでのエネルギーは大きい. また,

緩い砂に関しては細粒分含有率が大きくなるほど,

液状化し軸ひずみが

10%

に至るまでのエネルギーは 小さい.これは液状化強度曲線と同様の傾向を示すこ とから,エネルギーの観点からの液状化評価が推定で きると考えられる.

【参考文献】

1) Y.P.Vaid and S.Sivathayalan:Static and cyclic liquefaction potential of Fraser Delta sand in simple shear and triaxial tests,Can.Geotech.J.33:281-289(1996)

2) Anthi Papadopoulou and Theodora Tika ,The effect of fines on critical state and liquefaction resistance characteristics of non-plastic silty sands,Soil and foundations vol.48,No.5,713-725,Oct.2008 3) 風間基樹,累積損失エネルギーに基づく新たな液状化強度指

標の提案,第32回地盤工学研究発表会,pp723-724,1997

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

0 5 10 15 20 25

Normalized excess PP. ∆u/σ' c Axial strain ε DA (%)

Accumulated normalized dissipated energy Σ∆W/σc'

Ax.Stn. α 0 0.075 0.15 0.30 Exess PP. α

0 0.075 0.15 0.30

Dr=30%,Fc=0%

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.0

0.5 1.0 1.5

0 5 10 15

Axial strain ε DA (%)

Accumulated normalized dissipated energy Σ∆W/σc' Normalized excess PP. ∆u/σ'c

Dr=70%,Fc=0%

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.0

0.5 1.0 1.5

0 5 10 15

Axial strain ε DA (%)

Accumulated normalized dissipated energy Σ∆W/σc' Normalized excess PP. ∆u/σ'c

Dr=70%,Fc=0%

0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 5 10 15 20 25 30 35

Axial strain εDA (%) Normalized excess PP. ∆u/σ'c

Accumulated normalized dissipated energy Σ∆W/σc'

Dr=30%,Fc=20%

0.00 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 5 10 15 20 25 30 35

Axial strain εDA (%) Normalized excess PP. ∆u/σ'c

Accumulated normalized dissipated energy Σ∆W/σc'

Dr=30%,Fc=20%

図-8(a),

(b),(c)

累積基準化損失エネルギーと 過剰間隙水圧,軸ひずみの関係

(a)

(b)

(c)

参照

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