光触媒マイクロリアクター開発のための 反応機構の解明
研究代表者 片山 建二 研究員
理工学研究所 共同研究第1類
緒言
直接反応 目的
二次反応
①TiO2にUV照射
②TiO2中に光励起電子・ホールが生成
③光励起電子・ホールに吸着分子が反応
④分子が分解
①TiO2にUV照射
②TiO2表面上に活性ラジカル種
(OH・,O2・-,・CH2OH)が生成
③活性ラジカル種によって分子が分解 O2・- OH・
・CH2OH
①UV
② ③
TiO2
UV
h+ e‐ TiO2
①
②
③
④
実験方法
結論 実験
A
光触媒反応の反応速度は溶媒混合率に依存 反応速度 ∝ (溶媒粘度)-1
実験
B
<Rh6Gの分解反応>
<分解反応速度>
① 強い酸化作用 ・・・ 空気中などの汚染物質の分解に利用
② 超親水作用 ・・・ セルフクリーニング効果への応用
光励起電子・ホールによる吸着分子の直接反応
ラジカル等による溶液内の二次反応 多段階反応 反応解析が困難
酸化チタン光触媒
光触媒反応
マイクロ流路を使って直接反応と二次反応を区別して観測し、光触媒反応を明らかにする UV照射領域
光励起電子・ホールによる吸着分子の直接反応 ラジカル等による溶液内の二次反応 UV非照射領域
ラジカル等による溶液内の二次反応
実験条件
酸化チタン :CZL-523 (常温乾燥型) キャピラリー : 内径= 530 mm
外径= 660 mm 試料 :Rhodamine6G (Rh6G) 50 mM 溶媒 : 純水, EtOH, EtOH/H2Oの混合溶媒 流量 :2 mL/min (9 mm/min) 紫外光 :UV-LED
(365 nm, 3200 mW/cm2) 励起光 :Nd:YAGレーザー
(532 nm, 15 mW) 検出光 :He-Neレーザー
(633 nm, 2 mW) TiO2キャピラリー
ロックインアンプ Rev. Sci. Instrum. 78, 093101 (2007)
フィルター 検出器 回折格子
チョッパー
UV-LED NF-HDG測定 マイクロ流路内の溶液濃度を測定
励起光
検出光 シリンドリカルレンズ
シリンジポンプ Rh6G
O N+Et
COOEt EtHN
C
H3 CH3
+
実験 A
UV
O2・- OH・
・CH2OH
TiO2 キャピラリー
濃度計測
直接反応 + 二次反応 h+ e- O2
H2O
O2 H2O
実験 B
UV
O2・- OH・
濃度計測
直接反応 + 二次反応 h+ e-
O2・- OH・
・CH2OH ・CH2OH 0 ~ 20 mm
二次反応
0 0.01 0.02 0.03
0 20 40 60 80 100
EtOHの混合率 [%]
反応速度 [-]
0 1 2 3 4 5 6
0 50 100 150 200 250 300
UV照射時間 [s]
信号強度 [任意単位]
10%
20%
30%
50%
100%
溶媒 :EtOH/H2O
<Rh6Gの分解反応>
UV非照射領域でもRh6Gの濃度減少を観測
0 1 2 3 4 5 6
0 5 10 15 20
UV照射位置からの測定距離 [mm]
信号強度 [任意単位]
UV非照射領域の濃度減少 UV照射領域内の濃度減少
分解前のRh6G(50 mM)
溶媒 :EtOH
マイクロ流路を使い、UV照射領域と非照射領域における光触媒反応の直接反応と 二次反応による色素濃度減少を選択的に計測することに成功した。
UV照射領域では反応速度が溶媒物性に複雑に依存することを見出した 励起電子・ホールによる吸着分子の分解とOH・, O2・‐, ・C2H4OHの 活性ラジカル種による分解が同時に起こる
UV非照射領域は活性ラジカル種による分解反応を観測した
・C2H4OH(寿命 約60s)が光触媒反応に寄与している
EtOH < 20% 寿命(約10 s)のラジカル種による分解 (OH・, O2・‐) EtOH > 20% 寿命(約60 s)のラジカル種による分解 (・C2H4OH )
<溶媒による分解反応の違い>
0 5 10 15 20
UV照射位置からの測定距離 [mm]
信号強度(規格化) [任意単位]
EtOH 3%
EtOH 10%
EtOH 50%
EtOH 100%
Rh6G(50 mM) 溶媒 :EtOH/H2O
拡散律速反応