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鶏胚におけろ内胚葉性器官発生の 組織化学的研究
金沢大学医学部病理学教室(指導 石川太刀雄教授)
若 野 三 朗
8α6曜δ レ7α乃㈲o
緒 胚の初期発生過程にお・ける組織化学的研究
は,さきに,民野が鶏胚について,井上が両棲
類 (Triton, HyDobius, Rhacophorus)にっV・
て,夫々内,中,外の各胚葉分化の過程を組織 化学的に検索し,その相互関係を明らかにし
た.
ヒの胚葉分化に連続して,胚体内における場 の決定に従続し,多岐にわたる器官が分化して 来る.余は,それらの内,内胚葉並びにとれに 由来する器官に主体をおいて,その分化のナ伏態 を組織化学的に研究して,器官分化の決定基
(物質)及び器官に特有な作用基(物質)を知ろ
うと試みた.
鶏胚の内胚葉は,胞胚期に到達した胚盤の後 縁から前方に陥入した一隅の細胞暦を起源とす る.ヒの内胚葉は凹凹,中腸,凹型の腸粘膜層 を形成し,とれに申胚葉要素が加わり,やがて 一貫した消化管となり,分泌腺その他の附属器 官を分化する.
艀卵第72時聞迄の〜これら内胚葉の組織化学的 所見は,民野によれば,
Basfc Alnino Acids, Hfstidfne, ArgfDine,
Tryptophane, Tyrosine, Cyto1_Substance, Gly−
cOgeD,:Fat, Ca, P,等の基質的生化学物質を,
言
かなり多量に含有したまま,余り変化が認めら れない,この内Glycogenが多い〜二とは,他の 胚葉と異なる点であり,Pho3phatase(アルカリ 性及び酸性),リボ核酸は中等度に存在するに
過ぎない.
以上の初期発生に引き続き,本論文において は,器官発生における次の諸問題について検索
・した.
1)前,中,後腸形成から,食道,暖嚢,前 胃,砂嚢,腸と等化管完成迄の組織化学的解
析.
2)22体憎憎に,前僧門附近の前腸腹壁から 膨出しはじめる肝原基と肝形成過程の組織化学
的解析.
3)肝と前後して,腸管から押出分離し,腺 畔織を形成する膵発生の組織化学的解析.
4)22体節期から,前腸咽頭腹側正暦部の膨 出として原基を生する弔歌腺発生の組織化学的
解折.
5>第一鮒嚢が膨出拡張して形成される中耳 腔と,ヒれに関蓮して外胚葉由来の内耳諸組織 及び嗅器及びヒれらに附随する骨及び紳経節発 生の組織化学的解析.
実験材料拉びに実験方法
実験材料は,艀化鶏卵24時間,48時閥,60時間,3
日,4日,5日,6日,7日,8日,9日,10日,12
日,ユ4日,ユ6日,ユ8日,20日経過したものを,艀卵器
から取り出し,直ちに卵殻を破り,鶏胚を分離して,
夫々の組織化学的証明判所定の固定法を実施した.標 本は期胚各期を通じ,夫々全長にわたり,水李及び垂
【263】
直切断連続切片とし,通常厚さ7〜10μとして観察し た.卿卵第14日以後は夫々の臓器を個々に取り出し,
免官組織化学的検:索を行い,成績を三熱確認した.
組織化学的検:索はi欠の諸方法を実施した.
1)Tyrosine当教室の大原・倉田が創案した:Feig1 のα一nitroso一β一naphtllolによる七色反応を利用した 組織化学的証明法による.(交点1,2)
2)Tryptophane・Ehrhchの方法.(三献3)
3)Cystine−Cysteine三門室大原・倉田による硫化 鉛反応を応用した一一新法による.(:交献4)
4):Basic amino acids Chapmann2 Greenberg,
Schmidtが発表したTropeolin−0による染色を利用
した大原法による.(丈献5,6)
5)Cytol Substance(糖蛋白)Mc・Mausが1946年
に発表し,Hotschkissが改良した所と独立して,大原が創案した所謂Cytol反応による.即ち生体内糖 蛋白質が酸化によって生じた一CHO基をFuchsin亜 硫酸により補促する一新法である.(文献7,8,9)
6)リボ核酸(R・N.A.):BraclltのMethy1−grtin−
Pyronin染色法による.(:文献10.11)
7)デスオキシリボ核酸(D.N・A)Feulgen原法の
申,塩酸による加水分解を大原・倉田が改良した変法 による.(文献12)
8)Alkaline Phosphatase高松の方法.(:文献13)
9)Acid Phosphatase Gomoriの方法により,基質 液浸漬は37。C 10時下とし,最終過程は硫化鉛によ
る.(交献14).
10)CO2』Anhydrase倉田が考案した証明法の申の
Mn法による.(:交献15,16)
11):Lipase・倉田・細の方法による.(:文献17)
第1章鶏胚清化管発生の組織化学的研究 1鶏胚消化管発生の形態学的所見
鶏胚前中及び後腸発生と,その後の清化管分 化を食道及び声嚢,前納,砂嚢,腸の4部に分・
つて観察した.
1)食道及び喋嚢の発生
鶏胚初期発生におV・ては,頭壁の発生によ り,扁不な胚体が立体化すると共に,内胚葉が 胚体の頭部に入りとんで脚病を形成する.ヒの 前腸前端は,外胚葉に接して膜状となり,咽頭 膜を形成するが,卵孚卵第48時間では,第一鰐弓 の発達につれて,咽頭膜は陥凹して,口演を形 成し,やがてその底部が前町に連続するように なる.卵孚卵第3日,ヒ.の咽頭に続く前腸は,扁 挙な断面から漸次円形勢州断面となり,卵孚即興 4日にはその腹側が膨出して瓢箪形断面を呈 し,卵孚卵第5日にはこの新生膨出は前腸壁から 分離して咽頭気管の原基となり,やがて更に左 右に二:分する.咽頭気管原基を分離した回腸は 食道を構i成する.艀卵第6日から,との内胚葉 性の前腸上皮細胞暦を囲んで中胚葉性の筋及び 結締織が発生して,食道が構成される.卿卵第 8日,食道の一部が膨大し来り,第9日には嚢 歌を呈す.これが嘆嚢であり,第12日以降,そ の上皮細胞暦は強く縦組壁を呈し,第16日には
上皮細胞層から分化した分泌腺細胞集団を僅か に諸所に点在せしめて即下の形態が構成する.
2)前胃の発生
食道に続く前座の一部は,卵孚卵第5日に至る と嚢状に膨大する.この膨大部は第7日には更 に二分する.前方(口側)膨大部は前胃の原基 であり,後方(尾側)膨大部は砂嚢原基である.
この前開たるべき膨大部の内胚葉性の上皮細胞 層の周囲に,中胚葉の結締織と僅かではあるが 輪歌の筋暦が,卿卵第8日,第9日と経過する に味い発生してくる.叉粘膜下結締織層へ上皮 細胞贋が陥入し,分離,分岐,伸展して,卵孚卵
第12,第14,:第16日と経過するに:件い,濃:密な
複胞状管欺腺を形成する.この腺の間に,僅か ではあるが,結締織,筋,血管の発生が認めら れる,卿卵第16日では厚い前胃壁の大部を占め るものは分泌腺であり,腺間結締織及び筋層は極めて少ない.
3)砂嚢の発生
卵孚面心7日,前腸膨大部の後方(尾側)に位 置する砂嚢原基は,艀卵日時の経過と共に,内 胚葉性の上皮細胞暦の周囲に中胚葉性の結締織 及び筋層が発生分化してくる.第14日に至れ ば,この筋暦は著しく増大して砂嚢壁の大部分
鶏胚における内脛葉性器官発生の組織化学的研究 265
を占むるに至る.砂嚢内面の上皮細胞暦は卵孚卵 第14日頃より次第に僅かに陥凹して,第18日に
は浅い軍出盛管歌腺を 形成し,その内面には薄 い角化暦の卒滑な一層が形成される.成鳥にお・
いては,との角化暦は厚さ拉びに固さを増大 し,砂嚢内腔には固形物を認めるのである,卵孚 卵第20日迄の鶏胚においては,無論固形物を認
めなV・.
4)腸管の発生
初期発生において二二及び後腸闇の卵黄の上 に露出開放している中腸は,卵孚卵日時の経過に
伴い漸次閉鎖され,卵孚卵第3日には内胚葉性の 上皮細胞暦が,中胚葉性の結締織に囲まれた腸 管となり,前腸及び後腸闇に介在してヒれを蓮 結する.卵孚卵第3,第4日にはヒの中腸から,
肝原基及び膵原基たるべき這出を生するのであ るが,中腸自体は漸次その長軸:方向に発生延長
して,腸間膜に連なつ:たまま,廻転と腕りを生 じてくる.第9日には上皮細胞暦を囲んで結締 織と筋暦が発生分化してくるが,腸管内面は未 だ『二二である.第12日に至るとこの内面の上皮 細胞暦は漸次内腔に突出を生じ,或いは外:方粘
鶏胚浩化管発生過程における組織化学検索成績
36前二上皮細胞 時中後腸上皮細胞
Tyrosine
十 十
Trypto−
phane
十
十Cystine−
Cysteine
十 十
:B.A.A
」±.
Cyto1
十 十
R.N.A D.N.A
十十
Alk.
1〕hos_
ase
Acid
:Phos−
ase
十二
CO2−
Anhy−
ase
昌離州細+ ÷ 1+ i什1+ 朴 睡 1朴 1柵 1一
6食上皮細胞
道粘膜下結締織
7
8
9
10
12
14
16
前1上皮細胞 胃【襟下結総
砂 嚢
1康
嚢
腸
前
脚前
胃
上皮細胞
粘膜下結締織
上皮細胞
腺 細 胞 粘膜下結締織 筋 層
上皮細胞
粘膜下結締織
上皮細胞
粘膜下結締織
腺 細 胞一間結締織
筋 層
血管壁(血球)砂腺 細 胞 筋 層
嚢
i角 化 層18
二毛構成細胞
腸輝膜下結締織
協 層
1腹 .膜
+.i+
〒1 ∴
十
十
十 十
十 十
十
十
十
十
+ i+
÷1 一
十 十
十 十
十
十十
十 十
十 十 十
十 十 十
十
十
→二
+(+)
十 十
十
十ド
十
十
十 十
十
十 十
十十 十
十F●
十 十 十
十F 十
十ド
十
十
十F
十
十 十十 →二
十 十
十十 ・什
十
十ド
十十
十 十 十
十ド
十
十 十
十
什
十
十
什
十 十
十 十
十 十
十
十 十 十
十十
→二
十 十
十
十 十 十
十 十 十
十 十
十
十 十 十
十
十ギ●
十
十
十
結(20日
【265】
膜下結締織暦に陥入して無数の雛壁を生じ,や がて内腔に向い絨毛を形成するに至る.第16日 に至ればとの陥入上皮細胞胞層は大幣の分泌腺 となり,その外側に筋暦の発生と,最:外側に腹 膜の形成が認められる.
II鶏胚浩化管発生の組織化学的所見 鶏胚消化管発生過程における諸種の組織化学
的検索成績は上表の通りである.
111総括拉びに考按
鶏胚滑化管の発生,即ち前腸及び中腸から食 道,瞳嚢、前胃,砂嚢,腸の発生過程における
Tyrosine, Tryptopha1]e, Cystine−Cysteine, Basic Amino Acids, R.N.A, D.N.A, Cytol Sub−
stance, Acid及びAlkaline Phosphatasc CO2−
Anhydrase,の組織化学的証明法を試み,その 濃度,分布,尊長を検討した.
Tyrosine及びTryptophaneは,共に,溝化 管発生初期の粘膜上皮細胞暦に門渡に所在し,
その後の発生過程においてもその濃度に変化な く,上皮細胞層から発生する分泌腺細胞にも,
同様軽度に分布する.何れも中胚葉由来の周囲 諸組織が極めて軽i度或いは痕跡的であるの こ比 較して,一段と濃い所在を示す.
:Basic Amino Acids(Arginine, Histidine及び
:Lysine)と,含硫黄アミノ酸であるCystine−
Cysteineは,共に,発生初期の融化管粘膜上皮 細胞層に中等度に所在し,その後の発生に件 い,僅かに減弱するが,なお相当の濃度を保持
し,中胚葉由来の周囲結締織及び筋の軽度なる 所在に比較して一段と濃い存在を示す.
〜これ,ら Tyrosine, Tryptophan, Cystine−
Cysteine, Basic Amino Acidsの分布及び浩長 は,浩化管の発生分化に際して特種の機能或V・
は意義を有するものとは考えられす,器官構成 の基質的物質の一部であるととを示すものと考
えられる.
R.N.A及びD. N. A.,各pHにおける PhOSphatase}よ,発生初期の浩化管粘膜上皮細 胞層に中等留置所在し,前腸から気管を分離す る時,或いは前町及び砂嚢の活濃な腺形成過程
の時に著しく増大し,特に:Phosphataseは中胚 葉性の周囲結締織及び筋層にもとれに劣らぬ濃 厚な所在が認められる.その後の発生過程にお いても夫々僅かに減弱する変化はあるが,な お相当の濃度を保つ.これらめR・N・A及び Phosphataseは,以下内胚葉性諸器官発生に際
して何れも等しく濃厚な所在を示す所であり,
組織分化のための旺盛な細胞増殖に際して:重要 な意義をもつものであるヒとを示す.即ち前腸 から気管を分離するに際してその上皮細胞暦及 び周囲結締織,叉前沼上皮細胞暦が粘膜下層に 陥入分岐するに際してその上皮細胞の核及び原 形質に著明に現われるR.N. A.と,〜これに準 行するPhosphataseの増量は,細胞増殖に当っ て不可欠の要素と思われる.前胃分泌腺形態概 成の頃その野間結締織に:最:も彊いPhosphatase の分布を認めるのは,この時期に活濃な腺側圧 筋の発生を示すものと考えられる.
Cytol Substance(糖i蛋白)は,消化管発生の 初期には微弱な所在であり,中胚葉性周囲諸組 織にも極めて微弱であるが,分泌腺形態構成の 頃から上皮細胞暦に著しくその濃度を増す.
特に瞭嚢分泌腺細胞及び前年及び砂嚢分泌腺 細胞の諸所に濃1厚顯粒1伏分布を示し,Cytol SubstaDceの豊富な所在を示すが,これは腺細 胞中の壁細胞と考えられ,消化管分泌腺の
Mlcin分泌 機構を示すものと考える.
なお前胃分泌腺からの塩酸分泌に件い,
Dave叩or亡が犬についてその胃腺に発見した如 く,CO2−Anhydraseの所在が予想される所で あるが,前胃浩化腺発生過程においては,鰐卵 第20日迄,途にその痕跡をも認め得なかった,
ヒれは,鶏胚においては貯卵第20日迄には未だ 上州液として塩酸分泌機能が出現しない〜二とを 示すものであろう.そうであるならば,腸絨毛 部に卿卵第18日以降,叉砂嚢輩胞歌切歌腺腺頸 部附近細胞におけるCO2−Anhydraseの出現は 如何なる意義を:有するものであろうか.この点 に関しては更に該部のCO2−Allhydraseの定:量 的検索の結果をまって結論せんとするものであ
鶏胚における内脛葉性器官発生の組織化学的研究 267
り,今は,その所在を報告するにとどめるが,
少なくともこの時期から夫々の部位の何らかの 機能の出現を意味するものであろう.
砂嚢角化層はTyrosine及びCystine−Cyste1ne が僅かに微弱に反応し,:Basic Amino Acids及
びCytol Substanceは中等度に所在し, Trypto
phane, R. N.A, D. N.A, Phosphatase及び
CO2−A1〕hydエaseは:全く所在しなV・ヒとは,そ の組織構成の一部を示すものであると考えられる.
第2章鶏胚肝発生の組織化学的研究 1干菜肝発生の形態学的所見
肝原基の発生は,尾持昌次によれば,艀卵第 2日の回り頃,前腸が回腸門に開く部分の腹側 壁から膀腸聞膜静脈の前後に2箇の斗出として 現われるというが,余の作製した標本におV・て
も,卵孚卵第3日の始め,膀腸間膜静脈の前後
(首側と尾側)に腸管から突出して,腸管と同様 に箪暦細胞に囲まれた環歌の;横断面を呈して出 現するのが認められる.ヒの膨出は漸次延長し て,卵孚卵第4日以降,腹側胃隔膜を形成する所 の中胚葉性の内側枝の中へ侵入し,増殖し,次 第に二二に分岐し,やがて細分する.との肝原 基の網の目の中へ,腹側胃隔膜の中胚葉性結締 織及び血管が入り込み,三々徹細複雑となり,
毛細血管の分布も叉濃密となり血球に富み,か くて,内胚葉性の肝原基と中胚葉性の結締言及
び血管は相寄って,艀卵第9乃至第10日には肝 実質を形成し,.形態は略ζ構成する.発生初期 の前打からの管状突出はそのまま初期胆管とな り腸へ開口する.贈一十10日以降,肝はその形 態急蓮に増大し,鶏胚腹腔臓器中癸生分化最も 早く,1その容積は他の臓器に比して著しく大き い・卵孚卵第14日に至れば,中心静脈の周囲に網 歌の肝細胞が放射線歌に配列して肝小葉の形成 が完成する.叉この頃には,クッペノし氏細胞の 発生分化も認められる.小葉間結締織には,阻 管,小葉聞翻脈,肝動脈枝の分化が認められ,
形態は略ζ完成する.
肝原基が腸管と蓮話した部分は,発生日時の 経過と共に分化して,艀卵第14日以降では,夫 々胆嚢,胆嚢管,輸胆管を形成し,艀卵第16日 には,既に胆汁が分泌され,胆嚢壁に附着して
鶏胚浩化管発生過程における組織化学検索成績
3日 4 5 6
.豊
§
ζ
百ε雛7 8
9
1012 14 16
肝原基細胞陸
初期肝細胞!十
肝 細 胞 十 肝 細 胞 十 初 期 胆 二 丁
肝 結 血 肝 肝 肝 肝
細 細 締 細 細 細 細 細 締
胞 胞 織 胞 二 三 胞 胞 織
十 十
十 十 十 十 十
十
1十 [
十
÷1 ÷ 1÷
十
1十 1十
四韻
四i乳
りQ
魂 雪
Cytol
降
什 1+
十
十+1+
一十十十
÷i
l什十+ 1++
十 十 十 十 十・
十十
旧 田匝
1+
十 1−F
、十 十
i+
十 十
十 十 十
樗 F・t 同
什
十十
什
什 朴
十‡
十干
十 十
被 肩
∩
驚
く角層 隔
十十 十十 十十 十十 十十 十十 十 十十 十十 十十 十十 十ド
十 十 十
十子
十ぞ
塁調
霞
暮
一
命。1
8劉Li嘩
十 十 十 十
【267】
V・るのが認められる.
II鶏胚肝発生の組織化学的研究
幽幽肝発生過程における諸物質の組織化学的 検索成績は上表の通りである.
III総括拉びに考按
鶏胚肝発生過程におけるTyrosine, Trypto−
phane, Cystiue_Cystei1ユe, Basic Ami1〕o Acids,
CytoレSubstallce,脂肪酸R・N.A.,D・N.A , Acid Phosphatase, Alkとしlhle Phosphatase CO2_
Allhydrase,:Lipaseの組織化学的証明法を試み その濃度,分布,消長を検索した.
肝臓が発生分化して,その機能発現に至る機 構は,周知の如く,極めて複雑多岐であって,
前記の如き若干の組織化学的検索威績のみをも って:とれを律し論断するととの不可能であるこ とは論をまたない所であるが,前記組織化学的 検索の結果に現われた諸物質の意義に関して,
従来既知の幾多業跡を参照して,少なくとも次 のようなζとはいい得るものであろう.
即ち,R・N.A及び各pHにおけるPhos−
phataseは肝原基細胞に著しく濃厚に所在し,
苗田第;4日乃至第7日の初期肝細胞には矛傑減 弱して中等度となるが,第8日以降,R.N. A は再び肝細胞の核にも原形質にも増量して,以 後終始濃厚な動画歌分布を示し,ヒれに件V・
rhosphataseも増量し,以後中等度の顯粒状分 布を示す.との最初のR.N.Aの増量ととれに 件うPhosphataseの増加は共に肝の初期発生分 化に重要なものであり,旺盛な細胞分裂,組織 増殖に不可欠の要素であると考えられる,次い で,卵工廠第8日以降,再び味細胞にR.N.Aと 1)hosphataseが増量して,発生後期において,
早くも成鳥の肝細胞におけるR.N.A及び Phosphataseの水準に達し濃厚な吻血歌分布を
示すのは,肝細胞のとの時期における旺盛な Syntheseに重要な役割を演じてN(るものと考
えられる.
Basic A mino Acids, Cystine−Cysteine,脂肪
酸は夫々発生初期に中等度に所在し,Tyrosine,・Tryptophane, Cytol−Substanceは夫々軽度に所 在するが,その後の癸生過程においては,終始 同じ水準の濃度で所在するか,或いは,僅かに 減弱して所在する.とれらの物質は肝発生分化 に特種な意義をもつものではなく,組織構成の 基質的要素の一部を示すものであると考えられ
る。
これに反して卵孚譜第;8日以降肝細胞原形質中 に穎粒歌に濃厚乃至中等度に認められるR.N.
A。, Cyto】一Substance, Cystine−Cysteine, Phos−
phatase及び1・ipaseは,その形が犬及び分布位 置から判断して,肝細胞のM{tochondriaに一 致する所在を示すものと推定される.即ちこれ らの酵素乃至物質は,肝細胞Mitochondria構 成基質の一部であり,肝細胞機能発揮に意i義あ る作用基(物質)であると考えられる、なおヒ.
れらの物質乃至酵素が肝細胞MltochOndria中 に含有されているととは,Hogeboonが鼠の肝 細胞を破壊して,異速遠心して,Mitochon d ia を分離して,生化学的に検索した成績にも一致 する所である.これらの物質が,卿卵第8日と いう幼若にして,細胞機能発揮直前の細胞原形 質中に,穎粒状に現出してくるヒとは,ヒれら の物質が細胞老廃物ではなく,それを基質的構 成の一部として薪生されるものであることを示 す.即ち肝発生の形態的構成に俘い,漸く機能 が発揮されんとするのを示すものと解釈され
る.
第3章 鶏胚膵発生の組織化学的研究 1鶏胚膵発生の形態学的所見
鶏娘組原基の発生は,Bradley M. Patten及び 尾持昌次のV・う如く,余の作製した水不切断,
凶悪切片においても,鰐卵第4日の始めに至
り,中腸の肝原基留出部が初期胆管を形成する 部位の左右,若しくは反対側に,中腸上皮細胞 診の移出として認められる.とれらの膨出は,
夫々中腸に開口接続して,その尖端には既に若
鶏胚における内脛葉性器官発生の組織化学的研究 269
干の初期膵細胞群が分化している像を呈してい る.発生日時の経過と共に,ヒの膵原基は漸次 伸展し,分岐し,画塾管1伏となり,その周囲に 膵細胞群が葡萄歌に発生して,典型的な町鳶歌 聖を形成する.鰐卵第5,第6,第7日には,
との複:艶歌腺は更に細く分岐しつつ漸次腸管背 側の中胚葉性組織即ち十二指腸闇膜の中へ侵入 伸展していく。購i卵第8日前後から,との内胚 葉性の膵薄様組織の中へ,網ナ伏に,中胚葉性の 結締織が入り込み,やがて血管が分化発生して くる.艀卵第12日には,導管が形成されるのが 認められ,膵組織が略ミ構成される.との時
ランゲルハンス氏の膵小島はなお未分化であ
り,これを認めないが,艀卵嚢14日には,導管 上皮細胞腫に特殊な細胞,即ちヘマトキシリン
エオジン染色で導管の暗い円形上皮細胞中に散 在性に明るい三角形の細胞を認め,ヒれが嶋細 胞であり,膵小島起原と考えられる.との細胞 はやがて導管上皮細胞層から沈下して,多角形 の細胞腫として,膵腺様組織中に葬歌に散在す る.膵小島の所在は膵の部位によりその濃淡の 差あり,余は艀節線18日及び第20日に至り,そ の尖端部位に近い部にこれを認めた.
II鶏胚膵発生の組織化学的所見
鶏胚膵発生過程における組織化学的検索成績
は次表の如し.
。鶏胚膵発生過程における組織化学検索成績
3冠
4 5 6
78 9 10
12 14 16 20
膵原基細胞 初期膵細胞
膵
結 胞
膵 細
〃
〃
〃
〃
〃
締 心 細
管 腺 細 〃 〃 〃
胞
織 胞 壁 胞
Tyrosine
十 十 十 十
十
十
十 十十
十
Trypto。
phane
十
十
十 十十
Cystine Cysteine
十 十 十 十 十 十
十 十 十 十
:B.A.A
十十
十十
十
十一十
十 十
十 十 十
Cytol
十
十 十 十 十
十 十 十 十
R.N.A
十ギ
柵
柵
十干
十干
十
十ギ
D.N.A
十デ
十F
什
十
五
十十 十 十 十
十 十
Alk.
Phos_
ase
十什
耕
十十
十一十十
什 Acid
I)hos..
ase
冊
十
十 十 十
十 十 十 十
十 十 十
CO2
Anhy−
ase
(20日)十
十
III総括蚊びに考按
鶏胚膵発生過程におけるTyrosine, Trypto−
phan, Basic Amlllo Aclds, R.N.A.,D.:N.A,
Cystille−Cysteine, Alkali及びAcid PhosPhatase,
Cytol−Substance, CO2−Anhydraseの組織化学的 証明法を行い,ヒれら物質乃至酵素の濃度,分 布,脚長を検索した.膵発生過程のうち,ラ氏 膵小島細胞群の形態的分布発生に関する検索 は,余の実験においては,なお不充分であり,
従って膵機能発現のうち,内分泌機構に関して
は,以上の組織化学的検索成績をもつ℃して は,とれが解明の緒を見出し得す,今後の研究 にまつものであるが,膵原基から膵腺細胞及び 胞心細胞,導管の発生分化過程における前記組 織化学的検索成績をもつて外分泌機構の一端を 解釈しようと考えた.
RN,A及びPhosphataseは膵原基発生の幽 霊から最も濃厚に出現する,特に中胚葉性の十 二指腸間膜中へ膵腺細胞群が伸展発生するに際
して:,最:も濃厚にR.N.A(附図15)及びPhos一
〔269】
phatase(附図16)の増量を認める.ヒれは共に 旺盛な細胞分裂を件う初期分化に重要な役割を 演ずるものであることを知る.
Tyros{ne, Tryptophane, Cytol Substance(附
図17)は終始軽度乃至痕跡的であり,極く僅か の濃度変化を示すに過ぎす.叉Basic Amino Acidsは申等度に所在するが,膵形態概成の時 期にその濃度と変化を認めな》・.叉如れもその 分布に特異な点を認めない.これらの物質は同 様に,膵腺細胞構成基質の一分子であり,特別 な意義或いは機能を:有するものではないと考え られる.とれに反して,R.N.Aは初期分化の 時期に濃厚に所在するのみならす発生全期間を 通じて,その濃度を持続し,腺細胞原形質中に 核を囲んで穎粒歌に分布する.又Phosphatase は初期分化の時期に濃厚に所在し,発生日時の 経過と共に減量するが,なお腺細胞原形質に中 等度(附図18)乃至軽度に顯粒撒に分布する.Cystine−Cystehユe及びCO2−Anhydraseは発生 初期には微:弱:或いは全く認められないが,腺形 態概成に無い,外分泌機能の癸揮されんとする や,漸次増:量或いは:出現して,腺細胞原形質中 に核を囲んで穎粒状に所在する.ヒれらの諸物 質及び酵素は,発生後期の形態概成し外分泌機 能の漸く発揮されんとする時期に,何れも同 様穎粒状分布を示し,その顯粒分布の位置及 び形1伏から考えて,膵腺細胞の所謂分泌中延
(SeCYetory Granula)に相当し,その構成物質の 一部を示すものであると考えられる.この分泌 穎粒は,成鳥膵の組織化学的検査に見る如く,
更に発生日時が経過すれば,腺細胞の脳胞に偏 在するようになり,所謂Zymogen GraDu】aと なるものであると考える.即ち膵腺細胞Zy−
mogen願粒の前階程物質として,膵発生過程 中における分泌穎粒の組成の一部及び発現の時 期を知り得るものと思う.との分泌穎粒は,
Claudeが1943年に,膵細胞を破干して異蓮遠 心分離して検討した所謂Large Granulaに相 当するものであり,1946年に更に同氏が,これ はMitochondriaとSecretofy Granulaの混合
したものであると主張し,その組成を生化学 的に研究した結果と一致する所である.更に Bracht s. Jeenerが1944年に成熱した膵細胞 を破晒して異蓮田心分離した分泌穎粒から,
Trypsinの所在を観察していることと,〜これら の諸物質の発生過程における出現を結びつけて 考察する興味深いものがある.
上記の如く分泌顯粒の構成物質中で最も濃厚 なR.N.A及び奮闘度に所在するBasic Amino Acids等のため,塩基性が甚だ云いと思われる 腺細胞環境から,アルカリ性の外分泌を営む階 程の細胞内pH調節の酵素的役割を演ずるもの として,発生後期に出現するCO2−A口hydrase
(附図19)の所在が意義づけられるものである.
第4章鶏胚甲欺腺発生の組織化学的研究 1鶏胚甲歌腺発生の形:態学的所見
卵孚卵第;2日の絡り乃至第3日に,鶏胚第;二鰐 嚢部の中心,即ち咽頭腔iの腹側正中部の内胚葉 性上皮細胞暦が,腹方に向って肥厚し始めるの が認められる.とれが甲撒腺原基であり,この 肥厚部は,胚の発育につれて,次第に腹方に向 って膨出し来り,咽頭壁上皮細胞層に索1伏に連 絡した内腔のある球1伏物となって(附図20)存 在する。醇卵第4日には,この膨出球}伏体は,
咽頭上皮細胞暦からの蓮繋を維ち,細胞増殖の 結果内鼠を充実した嚢1伏体となる.(附図21)購i
卵第5日から第6日にかけて,嚢歌体は次第に その容積を増大し,左右に延長し,中央が細く なり,やがて二分し,各々気管前面に浩って後 方(尾側)に転位する.第7日には左右頸動脈 の内側で,気管の両外側に位置する.(附図22)
ヒの間嚢状体は盛んに細胞増殖して,腺歌に発 達しつつその容積を増大する.第10日にはこの 腺様細胞群は盛んに分岐し,多数の小臆測を形 成する.と同時にその聞隙に申胚葉由来の結締 織を生じ来り,毛細血管(極めて血球に富む)
も亦この結締織中に癸生してくる.この頃第四
鶏胚における内脛葉性器官発生の組織化学的研究 271
鰐嚢の後方の咽頭上皮細胞層の陥凹から生じた 鰐導体(副甲歌声)が,甲1伏腺外側に接近して,
類似の構造をもつて出現して来るのが認められ る.叉A・TyreoideaがA. Carotisから分岐 して甲状腺に入っている像を認める.第12日で は,小腺胞は無数の濾胞を形成して,漸次,そ の数及び容積を増大して,第16日には,濾胞上
皮細胞に囲まれた濾胞腔が概成され,(附図23)
濾胞腔には膠様質が分泌されてくるのが認めら れる.第18日では甲歌選各組織が完成された像
を呈す.
II鶏胚甲状腺発生の組織化学的所見 鶏胚弔歌腺発生と過程における組織化学的検 索成績は次表10の如し.
鶏胚甲駄腺発生過程における組織化学反応成績
3目
4 5 6
78
9
10 12 14
16
20
甲朕腺原基
腺 細 胞
〃
〃
〃
〃
〃
結 締 織 E:P.Col
.〃 〃
〃 〃
〃 〃
結 締 織
:E:P.Co1TyrosinC
十 十 十 十 十
十十
十
十十 十 十十 十 十十 十 十十 十
十十 十
Trypto−
phane
十 ÷ 十 ÷ 十 ÷ 十 十
Cystine Cysteine
十 十 十 十 十 十 十
十 十 十 十
十 十}
十 十十
+州+暑
B.A.A
十 十十 一 十十 十 十十 十 十十 十 十 十十 十
Cytoエ
十 十 十 十 十 十 十
十 十十 一 十十 十十
十十 十←
十十 耕 十 十十 柵
R.N.A
粁尖端
柵
什
十 十十 一 十十 十 十} 十 十十 十 十 十十 十D.N.A騰
ase
Acid
I〕hos_
ase
十 十
十 一 十 一 十 一 十 一
十 一
粁 i+
解二二二
十二
十ギ
柵 暮=一
〒ザザ〒
ザ〒〒 十F
ギ 柵
十十 柵
十十
柵 柵 一
十F÷ザ÷マ 十F 十 十F 十 一ド 柵
CO2
Anhy−
ase
十 一
十十 一
EP一濾胞上皮細胞 IH 総括拉びに考按
鶏胚甲歌腺癸生過程におけるTyrosine, Try−
ptophane, Cystine−Cysteine,:Basic Amino Acids,
Cyto1−Substance, R.N.A, D.N.A, Alkallne及
びAcid Phosphatase, CO2−Allhydraseの組織 化学的証明法を試み,その濃度,分布消長を検索した.
甲歌磯原基質細胞とその発生母体である咽頭 上皮細胞暦における上記諸物質の濃度は,著し い差異を認めな\(が,R.N.AとPhosphatase は後者に比し前者には著しい濃い所在を示す.
とれは甲ナ伏腺原基が未だその機能を発揮してお
Col=濾胞腔膠質
らす,主として形態的分化増殖の時期であると とから考え,他の諸器官発生当初と同檬に,細 胞の分化増殖に重要な基礎的役割を演ずるも のと考えられる.発生中期及び後期1こおける R.N.A及びPhosphataseの濃厚な所在は:,甲 状腺の形態的完成に件V・,機能的な細胞活動の 熱源的要素となり,甲歌腺のThyrogrobline形 成に関与しているのであろう.
発生後期の濾胞細胞のPhOSphataseの所在 は,部位により濃淡存否相牛ばし,その成績は 一致しない.Dempsey及びSiDgerは,鼠の甲 状腺を用い,Gomoriの方法で検索した結果,
【271】
室温に保つた動物と低盗に曝した動物と,周辺 部非活動性濾胞細胞と,中央:部活性濾胞細胞に つき,その濃淡存否を区別しているが,鶏胚甲 1伏腺発生過程では,その原因を明らかにし得な い.更に,甲歌腺活性非活性の区別に血管内皮 の:Phosphatase分布の有無を指摘しているが,
鶏胚甲唄腺発生の過程では,血管内皮におけ るPhosphataseの所在を検出し得ない.唯,
Ph・sphataseが濾胞細胞に分布する場合,濾胞 細胞の末端部に多く,基端部に向うにつれて少 なくなる点は,Dempsey及びSingerが指摘し た所に一致する.
甲ナ伏腺は血行中からIodineをうけ,酵素的酸 化作用によって Iodotyroslne となり,更に
Thyroxine, Thyrogrobuline となる〜二とは1周知
の通りであるが,このThyroxine分泌に関蓮するのがTyrosine,及びTryptophaneである.
Tyroshle及びTryptophaneは,発生初期,甲 唄腺原基には,内胚葉性の上皮細胞暦と同様 に,軽度乃至痕跡的に所在し細胞構成物質の一 部であることを示すに過ぎないが,発生後期,
弾歌腺の形態完成に件い漸く機能発揮されんと するに当り,Tyrosine及びTrアptophaneが増量 して中等度乃至軽度となるのは:,Thyroxi1〕eの 分泌或いは逆吸牧に関与するものであるヒとを 示し,Tyrosineが濾胞上皮細胞に多く濾胞腔 に少量であり,Tryptophaneが濾胞腔に多く濾 胞上皮細胞に少ないととは,ヒの闇の浩息を示
しているものであると考えられる.
Cyto1−Substanceは,発生初期には極めて微 弱であるが,癸生中期以後,特に発生後期に 著しく濃厚に濾胞腔に所在する.このCytoレ Substanceは:Glykoprotd11の所在を示すもので あり,ThyroxiDeからThyroglobulineの合成及 びThyrogrobulineの分泌を示すものと考えら れる.Cyto1顯粒が濾胞上皮細胞の末端部(濾 胞腔に近い部)により濃厚な配列を示すととは,
基端部(濾胞腔の反対測)に出現した分泌穎粒 が濾胞腔へ分泌されんとする過程を示す像であ
ると解釈される.叉,Williams, R, G等の》、
う如く,濾胞上皮細胞ゴルヂ氏装置がこの部分 に存在し,ヒと.でColloid形成に与かるとい
う従来の組織学の知見に一致する.或いは,
Collofd中のThyrogrobulineは上皮細胞の末端
;部で吸尽され,i基端部に至り血管に入るとV・う 細胞内通過説も亦考えられる所であり,更に,
濾胞上皮細胞闇隙の頼情歌の分布はThyrogro−
b1111Deの逆吸牧の一過程を示すものと考えられ る.ヒれらの諸点に関しては,將聴罪に種々の 角度からの検討を要する所であるが,少なくと
も従来の甲歌碑機能に関する組織学的判断,即 ち上皮細胞暦の高低,Colloid分泌の多寡等に 基づく制定に代り,ヒのCytol穎粒の濃淡分 布により確実に判定し得るものであり,とれが 発生後期に明らかに認められるのは興味ある所
である.
Cystine−Cysteine等の含硫黄アミノ酸は,発 生初期甲歌腺原基には,内胚葉性咽頭上皮細胞 層と同様に,中等度に所在するが,発生日時の 経過と共に減弱して軽度となり,発生後期には 急速に増量して中等度乃至張度となる.発生初 期及び申期の軽度のCystine−CysteiDeは糸田野 冊成基質物の一部と考えられるが,癸生後期の 濃厚な所在は,甲歌腺機能発現のための酸化還 元電位調節者として極めて有意義であると思わ れる.甲歌腺内酸化還元電位(Redox−Potent{al)
は,文献に見る如く,通常の場合,大凡+0.05 ボルトであり,爾他の臓器に比較して著しく高 位にある.ヒのことがIodiDe−Thyroxine過程の 酵素的酸化作用を好都合ならしめているのであ るが,当教室の井上が調べた所によれば,成鳥 の甲1伏腺のCystine−Cysteine三韓硫黄アミノ酸 は『二均150m9%で,その大部:分はCystineで あり両者の比は200:1である.ヒの比率を Cystine−Cysteine系のRedox−Potential曲線上 に求めると,大体上郷の電位に位置づけるヒと ができる.かくて,発生末期に著しく増:解する Cystine−CystefDeは,職犬腺の高V・酸化還元電 位を決定するに当って重大なる因子をなすもの と考えられる.一方叉,成鳥甲1伏腺にかなり多
鶏魅における内腔葉性器官発生の組織化学的研究 273
量に存在するCystine−Cysteineの演:する生化 学的役割に配しては,生体内既存常在の抗甲1伏、
腺物質(何れもSH基を有す)を不活性化せし めるという見地に立脚して,当教室の渡辺がな お検討している所であるが,世外甲胃腺発生末 期に,Cystlne−Cystelneが増量するととが組織 化学的に認めることはかかる意義においても重 要性を認め得よう.
Tropeolin−0 によく結合するBasic Alnino Acldsは,発生全期間を通じて濃厚に所在し発 生末期に梢ζ減評して中等度となるが,ヒの
:Basic Arnino Acids は Paperchromatograph
成績,Arginine輩独証明法 (大原,倉田法)Histidine曙町証明法(Brunokik方法の大原変 法)成績に徴しても,主としてHistidine.次い でArginine及びLysineが考えられ,〜腫れらは
何れも組織細胞を構成する基質物質の一つであ ると考えられる.とのHfstldiDeはその作用な お不明の点少しとしないが,成鳥甲歌聖に=豊富
に所在するHfstidineは,容易に, Thiohistid五ne
になり,とのTbiohistidineは抗甲歌学物質で あるErgothionelneに類似の構造にあり,との 意味においてHistid{neとErgothionelneとの 間に一種の不衝ナ伏態を保つという可能性も考え られる所であり,かかるHistidineを主とする 13asic Amillo Acidsが発生後期の甲歌腺に組織 化学的にかなりの量に胎いて認められることは 興味あるととである.更に,上述の如く塩基性の高いと思われる甲 歌腺組織内の寧ろ不衝を調節するものが,発生 末期に濾胞上皮細胞に出現するCO2−Anhydrase であると考えられる.
第5章鶏胚聴器鼓びに嗅器発生の組織化学的研究 本章においては,第一鰐嚢が導出して発生す
る内胚葉性申耳鼓室の組織化学的検索に関連し て,外胚葉由来の内耳及び嗅器,更にこれに附 随する中胚葉由来の骨発生及び外胚葉由来の祠1 経節発生の組織化学的検索を併せ行った.聴器 標本作製に当り,鶏胚におや・ては化骨未だ充分 でなく,門口卵第18日迄,影干その他の処置を必 要とせす,組織化学証明法を実施し得た.
1鶏胚聴器封:びに嗅器発生の形態学的所見 1)聴器の発生
鶏胚聴器の発生に関しては,特に迷路発生に ついて既に新井信儀が詳細に研究発表している 所である.余の実験所見も以下大体憎憎の経過
を示している。
卵孚卵第2日,後脳原基の外側で第一中胚葉原 節の直前において,外胚葉の一部が左右相対的 に各1ヵ所の肥厚を生じてくるのが認められ る.これが聴板であり内耳膜性迷路の原基であ る.この聴板は直ちに多少表面より陥凹して聴 窩(附図26)となる.雀卵第3日,この陥凹は その度を深め,やがて外界との交通を失い盲嚢 となり耳胞(附図27)を形成する.贈日貸4日,
耳門と脳原基との閥に内淋巴管なる一小管を認
(附図27)める.艀卵第5日では,膨大した耳胞 は,上下の二三に分れ,上部は楕円嚢,下部は 球嚢となる(附図29).卵孚卵第6日には,〜二の 楕円嚢から3個の膨出が出るが,余の作製した 水平切断標本では,2個の膨出が認められ,と れは後考規管原基と,外牟規管原基であり,梢 ζ発生日時が早れて,1上牟規管は,その両脚の 切断面が思歌(輪ナ伏)に2個宛認められる.球 嚢も発生日時の経過と共に腹側が膨出して,や がては上皮性膜壁となり,その長軸に滑って延 長し,軽度に轡曲した蝸牛殼管となる.蝸牛殻 管は高等哺乳動物のそれの如く螺旋歌を呈する
ヒとなく標本では円形の切断面1個を認める.
一方,中耳は外胚葉と関係なく,艀世智4日 には,第一誉詞が閉鎖すると,内胚葉性の第一 雪下が野方に向って伸展して,その尖端は外胚 葉と耳胞の聞へ到達して,ことで拡張する.こ の部分が鼓室原基であり,第一鰐嚢即ち咽頭と の連絡が下期管となり,鶏胚では左右欧肝管が 途申で合して1本となり,咽頭上皮細胞層に蓮 結する.贈i轡型8日には,第一隅隅の腹側の外
【273】
胚葉が陥凹して,との鼓室原基に接してくる が,鼓膜及び耳脚柱の形成は未だ認められな
v・.
艀卵第10日,楕円嚢,球嚢,牟規管,蝸牛殻 平等内耳諸組織の発生分化が進展して,第12日 では,各牛規管の頸部が膨大して,膜性膨大を 形成し,特配iの上皮細胞は著しく細長隆起し て,膨大櫛(Crista Ampullaris)の形成が認めら れ,上帯の有毛細胞も既に分化配列して,その 上にクプラの所在が認められる(附図30).(新 井はクプラ形成を卿卵第8日に認めたが,余の
標本では卵孚卵第10日から認められπ.)
蝸牛殻管は,胚の発育に伴い,長軸に滑って 梢ζ伸展し,僅かに轡即するだけであって,螺 施歌を呈することはない。卵孚卵第14日では,蝸 牛殼管内世上下に淋巴腔が形成され,外淋巴 腔,前庭階及び鼓室階を形成し,その聞を区切 って,両脚の間に,脈絡蓋及び基礎膜の形成が 認められる.後脚に接続して基礎膜には,なお 未分化ながら,覆膜,基底膜,基底乳頭細胞の 区分が認められる(附図32)。
卵孚卵第16日には,脈絡膜構成細胞暦はその凹 凸の度を増し,基礎膜を構成する各細胞,覆 膜,基底膜,基底乳頭細胞は充分に分化して複:
雑の度を増し,蝸牛殻管は概成する.
これより早く,難i祠1経節は卵生卵第4日肺胞の 膨大に暗いその内側に出現し,更に卵孚卵第5日 には二分して前庭祠i経節及び蝸牛殻示聖経節に分 れ,胚の発育に伴い,これらの瀞経節から中枢 に向って前庭祠{経及び蝸牛殻祠軽繊維の走行を 認め,末梢に向って楕円嚢及び淋嚢斑の膨大靴 下に分布し,蝸牛殻管内基礎膜下,後脚部へ走 行分布するのが認められる.
膜性迷路を包む中胚葉性の胎生期結締織は胚 休の発育と共に漸次分化して,艀卵第8日頃よ
り膜性内耳に;接して内側に膠質の組織(外淋巴 膠様組織)(附図31)を生じ,その外側に軟骨組 織が形成されてくる.鮮卵第10日から第16日に 至れば,ヒの膠様組織の両側即ち膜性内耳に接 する部分と,軟骨組織に接する部分に,繊維に
富む結締織層を作り.艀卵第16日以降内耳に接 する部分が液化して,外淋巴腔を形成し外淋巴 液を容れ,膜性内耳の内野には内淋巴液を含 む,卵孚卵第16日以降,軟骨組織は漸次骨化し来
り,かくて骨性迷路が形成される.
卵孚卵第14日以降では,既に外胚葉からの外耳 道及び鼓膜が形成され,内胚葉由来の鼓室に連 り,鼓室中に中胚葉由来の1個の耳小柱が形成 され,その一端は内耳に連繋する(附図33).
2)嗅器の発生
艀卵第2日の興りに,眼原基の前方に,左右 1個宛の外胚葉性の肥厚が生する.〜これが嗅板 であり,嗅器の原基である.ヒれは直ちに陥凹 して嗅窩となり,胚の発育に伴い凹みは釜々深 く細長くなり上皮細胞層に覆われる.
内鼻突起,外回突起及び上鼻突起が発生癒合 し,口腔に通じていた鼻溝の大部が閉鎖する と,嗅窩は母型となり,贈押型7日では,その 側壁に,上下2個の甲介様雛壁を形成するのが 認められる,卵孚卵第一8日には,鼻中隔の中胚葉 性結締織中に,軟骨細胞の出現拡大を認め,累 卵第10日では鼻腔外側方の結締織中にも,鼻腔 を囲んで軟骨組織の発生を認め漸次化骨する.
一方,とれより早く嗅祠1経節及び嗅祠1経の走行 が認められるが,上皮細胞暦における嗅感覚細 胞の分化は発見し得ない.
H 鶏胚聴器及び嗅器発生の組織化学的所見 鶏胚聴器及び隠球発生過程における組織化学
的反応成績は次表12の如し.
IH 総括封:びに考按
鶏胚聴器及び嗅器,ヒれに件う骨組織及び 分布祠1経組織発生過程における Tyrosine,
Tryptophane, Cystine−Cysteine,:Basic Amfno Acids, Cytol−Substance, R.N.A, D.N.A,
Alka1111e及びAdd Phosphatase,CO2−ADhydrase,
:Lipaseの組織化学的証明法を試み,各期にお けるその濃度及び選一を検索した.
聴器及び嗅器の発生過程における前記諸物質 乃至酵素の組織化学的検索域績は,他の諸器官 癸生時におけるそれと全く同様の成績を示し,