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線形代数の

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Academic year: 2021

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(1)

システム工学 I 第 7 回

線形代数の

いくつかの定理

(2)

• 現代制御理論ではおもに状態方程式で表現さ れた線形時不変システムを取り扱う

• その主要な道具は線形代数

• 一般的な線形代数の入門コースより進んだ,

線形代数の知識が必要. これから 4 回の講義

では, それらを取り扱う.

(3)

• 現代制御理論では, 行列の方程式, 多項式や

べき級数で定まる行列の関数, 2 次形式 (安定

性との関係で), 行列のノルム, Jordan 標準形,

特異値分解, 一般化逆行列, 要素が多項式の

行列, 要素が有理式の行列などを取り扱う必

要があり, これらは必ずしも線形代数の入門

コースには含まれない.

(4)

• 制御工学は制御理論と制御応用に大別される.

• 制御理論の研究は数学の研究と同様に, 「定 理–証明」というスタイルを取り, 数学的に厳 密な証明が必要

• 制御応用における数学は「計算のための道具」

(5)

• 工学部の数学教育では「定理と厳密な証明は 重要ではなく, 計算技術に習熟すればよい」

という方針が取られることが多く, 工学のほ とんどの分野では (制御応用でも) これが適 切なのであるが, 制御理論では不適切である.

• この講義では, これ以降, 定理の証明をある

程度取り扱う

(6)

数などを

m × n

の配列にならべて括弧でくくっ たものを行列といい

, A = (a

ij

)

のような記号で あらわす

.

行列において

,

横方向の数など並びを行

,

縦方向 の数などの並びを列という

. A = (a

ij

)

の第一の 添字が行に

,

第二の添字が列に対応する

.

(7)

a11 a1n

am1 amn

a21 a2n

第1行 第2行 第m行

a11 a1n

am1 amn

a12

am2

1列 2

列 n 列

(8)

行列の要素は典型的には実数であるが

,

これ以外 に

,

自然数

,

整数

,

有理数

,

複素数

,

多項式

,

有理式 が要素となることがある

.

• m

n

列の実行列

(

要素が実数の行列

)

の全体を

R

m×n であらわす

.

要素が自然数

,

整数

,

有理数

,

複素数の

m

n

列 の行列の全体をそれぞれ

N

m×n

, Z

m×n

, Q

m×n

,

C

m×nであらわす

.

(9)

行列が意味を持つためには

,

その要素の足し算と 掛け算ができる必要がある

.

厳密な定義は述べな いが

,

足し算と掛け算ができる対象を環という

.

• N, Z, Q, R, C

はすべて環

.

その係数がある環に 含まれる多項式

,

有理式の全体も環である

.

要素が環

R

に含まれる

m

n

列の行列の全体を

R

m×nであらわす

.

(10)

• A = (a

ij

), B = (b

ij

), C = (c

ij

)

とする

.

• 2

個の行列

A

B

の和は

, A

B

の行および列の 大きさが同じ場合にのみ定義され

, A+B = (c

ij

), c

ij

= a

ij

+ b

ij である

.

• 2

個の行列

A

B

の積は

, A

の列と

B

の行の 大きさが同じ場合にのみ定義され

, AB = (c

ij

), c

ij

= P

k

a

ik

b

kjである

.

(11)

すべての要素が零の

m

n

列行列を零行列とい

.

零行列を

0 , 0

mnなどの記号であらわす

.

零 行列は加法に関する単位元である

.

行と列の大きさが同じ行列を正方行列という

.

右下がりの対角線上の要素のみ

1

,

それ以外の 要素が零の正方行列を単位行列といい

, I , I

nな どの記号であらわす

.

単位行列は行列の積に関す る単位元である

.

(12)

• A = (a

ij

)

に対し

,

(i, j)

要素が

a

ji である行 列を作ることができる

.

これを

A

の転置といい

, A

T などの記号であらわす

.

複素行列

A = (a

ij

)

に対し

,

(i, j)

要素が

a

jiの 共役である行列を

A

の共役転置といい

, A

であ らわす

.

(13)

• A = (a

ij

)

n

次正方行列とし

, Σ

{1, . . . , n}

上の置換の全体

, σ ∈ Σ, ε(σ)

σ

の符号とする

.

このとき

, P

σΣ

ε(σ)a

1σ(1)

· · · a

nσ(n) により定ま る数を

A

の行列式といい

, det A

であらわす

.

• n

次正方行列

A = (a

ij

)

の第

i

行と第

j

列を除い て作った行列の行列式に

(−1)

i+j を乗じたものを

,

この行列の第

(i, j)

余因子という

.

(14)

(i, j)

要素が行列

A

の第

(j, i)

余因子である行 列を

A

の余因子行列といい

, adjA

であらわす

.

• n

次正方行列

A

に対し

,

ある

n

次正方行列

B

が 存在し

, AB = BA = I

となるとき

, B

A

の 逆行列といい

, A

1であらわす

.

• A

1

= 1

det A adjA

であることが示せる

. det A =

0

のとき

, A

は逆行列を持たない

.

(15)

• n

次正方行列

A, B

に対し

, det AB = det A det B

となることが示せる

.

また

, det(A

T

) = det A

で あることも示せる

.

ベクトル空間の公理はこの講義では既知とする

.

• k

個のベクトル

{v

1

, . . . , v

k

}

が一次独立

(

線形独 立

)

であるとは

, c

1

v

1

+ · · · + c

k

v

k

= 0

であれば

∀i, c

i

= 0

となることをいう

.

一次独立でない

k

個 のベクトルは一次従属

(

線形従属

)

であるという

.

(16)

• A

を正方行列としたとき

, det(sI −A)

s

の多項 式である

.

また

, T

を正則行列とすると

, det(T

−1

(sI−

A)T ) = det(sI − A)

であるから

, det(sI − A)

は 相似変換

A → T

1

AT

に関する不変量である

.

• det(sI − A)

s

n−1の係数に

−1

をかけたものを

A

のトレースといい

, tr A

と書く

. tr A

, A

の 右下がりの対角線上の要素の和である

.

(17)

ベクトル空間

V

の無限集合

{v

λ

: λ ∈ Λ}

が一次 独立であるとは

, {v

λ

: λ ∈ Ω}

の任意の有限部分 集合が一次独立であることをいう

.

• m

n

列の行列

A

において

, 1

次独立な行をもっ とも多く選んだとき

,

その数を

A

の階数

(

ランク

)

といい

, rankA

であらわす

. 1

次独立な列をもっ

とも多く選んでも同じ値が得られることが示せ る

.

したがって

, rankA = rank(A

T

)

である

.

(18)

• m

n

列の行列

A

n

次のベクトル

x, m

次の ベクトル

b

に対し

, Ax = b

を連立一次方程式と いう

.

連立一次方程式が解を持つための必要十分条件は

rank(A b) = rankA

が成り立つことである

.

解が一意的であるための必要十分条件は

rankA =

n

であることである

.

(19)

ベクトル空間

V

の部分集合

B

が基底であるとは

, B

が一次独立で

,

かつ

∀x ∈ V , ∃N , ∃λ

1

, . . . , λ

N

,

∃{v

1

, . . . , v

N

} ⊂ B, x = λ

1

v

1

+ · · · + λ

N

v

N と なることをいう

.

ベクトル空間は基底を持つ

.

基底は一意的ではな いが

,

その要素数

(

あるいは集合の濃度

)

は一意 的である

.

それを次元といい

, dim V

であらわす

.

次元は有限のことも無限のこともある

.

(20)

先に述べた基底を代数的基底という

.

無限次元ベ クトル空間では他の基底を導入することがある

.

• n

次元

(n < ∞)

のベクトル空間を

n

次のベクト ル空間ともいう

.

• V , W

を体

K

上のベクトル空間とする

.

写像

L :

V → W

が線形写像であるとは

,

任意の

v

1

, v

2

V

と任意の

α

1

, α

2

∈ K

に対して

, L(α

1

v

1

2

v

2

) =

α

1

L(v

1

) + α

2

L(v

2

)

となることをいう

.

(21)

以下では

,

ベクトル空間

V (n

), W (m

)

,

線 形写像

L : V → W

が与えられているものとする

.

• V , W

の基底

V = {v

1

, . . . , v

n

}, W = {w

1

, . . . , w

m

}

を選ぶ

.

このとき

, ∀v

j

∈ V, ∃a

ij

∈ K (1 ≤ i ≤ m), L(v

i

) = P

j

a

ij

w

iである

(1 ≤ j ≤ n).

A = (a

ij

)

とし

(

これを線形写像

L

の表現行列と いう

),

これらをまとめて書くと

,

L(v

1

) · · · L(v

n

)

= w

1

· · · w

m

A

(22)

したがって

,

基底

V, W

を決めると

,

線形写像

L

に対応する行列

A

が定まる

.

図式的に言うと

,

線形写像

+

基底

行列

.

一方

, V

W

の基底

V, W

および

m

n

列の行 列

A = (a

ij

)

をひとつ選ぶと

, L(v

i

) = P

j

a

ij

w

i

(1 ≤ j ≤ n, 1 ≤ i ≤ n)

と定義することにより

,

線形写像

L

が定まる

.

図式的に言うと

,

行列

+

基底

線形写像

.

(23)

• V = {v

1

, . . . , v

n

}

V

= {v

1

, . . . , v

n

}

V

2

種類の基底とすると

,

ある正方行列

T

が存在し て

, (v

1

, . . . , v

n

) = (v

1

, . . . , v

n

)T

となる

.

• W = {w

1

, . . . , w

n

}

W

= {w

1

, . . . , w

n

}

W

2

種類の基底とすると

,

ある正方行列

U

が存在 して

, (w

1

, . . . , w

n

) = (w

1

, . . . , w

n

)U

となる

.

• (V, W)

に関する

L

の表現行列を

A, (V

, W

)

に 関する

L

の表現行列を

A

とする

.

(24)

表現行列

A

A

の関係を調べる

.

• (L(v

1

), . . . , L(v

n

))

L((v

1

, . . . , v

n

))

と書く

.

• L((v

1

, . . . , v

n

))T = L((v

1

, . . . , v

n

)T )

= L((v

1

, . . . , v

n

)) = (w

1

, . . . , w

n

)A

= (w

1

, . . . , w

n

)U A

したがって

, A

= U AT

1

.

これが

,

基底の変換 に伴う表現行列の変換を表す式である

.

(25)

• V , W

をベクトル空間

, L : V → W

を線形写像 とする

.

• L

1

( 0 ) = {x ∈ V : L(x) = 0}

V

の部分空間 である

.

これを

L

の核あるいは零空間と呼ぶ

.

• L(V )

W

の部分空間である

.

これを

L

の像と 呼ぶ

.

• V

が有限次元のとき

, dim V = dim L

1

( 0 ) +

dim L(V )

となる

(

次元定理

).

(26)

行列

A

, A =

A

11

· · · A

1n

.. . .. . A

m1

· · · A

mn

のように小 行列に区切って表現することがある

.

ただし

,

各 小行列

A

ij

,

その上下の小行列と列の大きさが 同じで

,

その左右の小行列と行の大きさが同じで なければならない

.

これをブロック行列といい

,

A = (A

ij

)

のように表す

.

(27)

• A = (A

ij

), B = (B

ij

)

をブロック行列とする

.

A

ij

B

ij の行および列の大きさが同じ場合 には

, A + B = (A

ij

+ B

ij

)

のように

,

行列の加 算をブロックごとに実行できる

.

• A = (A

ij

)

m × n

個のブロックから成り

, B = (B

jk

)

n × p

個のブロックから成るものとする

. A

ik

B

kjが任意の

i, j, k

に対して定義できるとき には

, AB = (C

ij

), C

ij

= P

A

ik

B

kjとなる

.

(28)

対角要素

(

右下がりの対角線上の要素

)

d

1

, . . . , d

n

,

他の要素が零の正方行列を対角行列といい

, diag(d

1

, . . . , d

n

)

であらわす

.

右下がりの対角線上にブロック

A

1

, . . . , A

nが並 び

,

他の要素が零の行列をブロック対角行列とい い

, diag(A

1

, . . . , A

n

)

であらわす

.

A

iは正方 行列とは限らない

.

(29)

• V

を実ベクトル空間とする

. V

における内積

(x, y)

とは

, V × V

で定義された次の性質を持つ実数値 関数である

:

⊲ ∀α, β ∈ R , ∀x, y, z ∈ V , (αx + βy, z) = α(x, z) + β(y, z)

⊲ ∀x, y ∈ V , (x, y) = (y, x)

⊲ ∀x ∈ V , (x, x) ≥ 0

, (x, x) = 0

なら

x = 0

(30)

• V

を複素ベクトル空間とする

. V

における内積

(x, y)

とは

, V × V

で定義された次の性質を持つ 複素数値関数である

(

ただし

z

z

の複素共役

)

⊲ ∀α, β ∈ C , ∀x, y, z ∈ V , (αx + βy, z) = α(x, z) + β(y, z)

⊲ ∀x, y ∈ V , (x, y) = (y, x).

⊲ ∀x ∈ V , (x, x) ≥ 0

, (x, x) = 0

なら

x = 0

(31)

以下では

V

は実あるいは複素ベクトル空間とする

.

• x ∈ V

y ∈ V

が直交するとは

, (x, y) = 0

とな ることをいう

.

• V

n

次元で

, V

の基底

V = {v

1

, . . . , v

n

}

, (i) ∀i, (v

i

, v

i

) = 1,

(ii) ∀i, j, i 6= j

なら

(v

i

, v

j

) = 0

2

条件を満たすとき

, V

を正規直交基底という

.

(32)

• U

T

U = I

を満たす実正方行列を直交行列という

.

• U

U = I

を満たす複素正方行列をユニタリ行列 という

.

ユニタリ行列および直交行列では

,

各列ベクトル が

R

nあるいは

C

nの正規直交基底をなす

.

(33)

• A

T

= A

を満たす実正方行列を対称行列という

.

• A

T

= −A

を満たす実正方行列を反対称行列

,

交 代行列あるいは歪対称行列という

.

• A

= A

を満たす複素正方行列を

Hermite

行列 という

.

• A

= −A

を満たす複素正方行列を歪

Hermite

行 列という

.

(34)

正方行列

A

に対し

, T

−1

AT = diag(d

1

, . . . , d

n

)

となる

{d

1

, . . . , d

n

}

と正則行列

T

を求めること を

, A

の対角化という

.

対角化はつねにできるとは限らないが・・・

対称行列は直交行列によって対角化できる

• Hermite

行列はユニタリ行列によって対角化で

きう

(35)

右下がりの対角線より下側の全要素が零の正方行 列を上三角行列という

.

正方行列

A

に対し

, T

1

AT

が上三角行列となる ような正則行列

T

,

対応する上三角行列を求め ることを

, A

の三角化という

.

実正方行列および複素正方行列は複素行列の範囲 ではつねに三角化できるが

,

実行列の範囲では三 角化できるとは限らない

.

(36)

• V

を実ベクトル空間とする

. f : V × V → R

∀x, y, z ∈ V , ∀α, β ∈ R, f (αx + βy, z) = αf (x, z)+ βf (y, z), f (z, αx+βy) = αf (z, x)+

βf (z, y)

という条件を満たすとき

,

これを双一次 形式あるいは双線形形式という

.

実ベクトル空間の内積は双一次形式の一種

.

• f (x, y)

が双一次形式であるとき

, f (x, x)

2

次 形式という

.

(37)

• V

を複素ベクトル空間とする

. f : V × V → C

∀x, y, z ∈ V , ∀α, β ∈ C, f (αx + βy, z) = αf (x, z)+ βf (y, z), f (z, αx+βy) = αf (z, x)+

βf (z, y)

という条件を満たすとき

,

これを複素双 線形形式という

.

複素ベクトル空間の内積は複素双線形形式の一種

.

• f (x, y)

が複素双線形形式であるとき

, f (x, x)

Hermite

形式という

.

(38)

• V

を内積が定められた実ベクトル空間

, f

V

上の双一次形式とする

.

すると

,

ある線形写像

L : V → V

が一意的に定まり

, ∀x, y, f (x, y) = (x, L(y))

となる

.

線形写像

L : V → V

∀x, y,

(x, L(y)) = (L(x), y)

となるとき対称という

線形写像

L : V → V

∀x, y,

(x, L(y)) = −(L(x), y)

となるとき反対称という

(39)

双一次形式

f

に対し

, f

1

(x, y) =

12

(f (x, y) + f (y, x)), f

2

(x, y) =

12

(f (x, y) − f (y, x))

と定 義すると

, f

1は対称

, f

2は反対称で

, f = f

1

+ f

2 である

.

すなわち

,

任意の双一次形式は対称双一 次形式と反対称双一次形式の和である

.

双一次形式から

2

次形式を作ると

,

上記の

f

2の 影響は消えるので

, 2

次形式は対称双一次形式に よって定まっていると考えてよい

.

(40)

• n

次の実ベクトル空間

V

に正規直交基底

V

を取 り

, V

に関するベクトル

x

の成分を

(x

1

, . . . , x

n

)

T

,

ベクトル

y

の成分を

(y

1

, . . . , y

n

)

T とすると

,

ある

n

次正方行列

A = (a

ij

)

が取れて

, ∀x, y,

f (x, y) = x

1

· · · x

n

a

11

· · · a

1n

.. . .. . a

n1

· · · a

n

 y

1

.. . y

n

(41)

とくに

,

対称双一次形式では

A

は対称行列に

,

反 対称双一次形式では

A

は反対称行列になる

.

• 2

次形式は対称双一次形式から定まるので

,

正規 直交基底を取ると

, 2

次形式は対称行列

A

を使っ て

,

次のように書ける

.

f (x, x) = x

1

· · · x

n

a

11

· · · a

1n

.. . .. . a

n1

· · · a

n

 x

1

.. . x

n

(42)

• A

が対称行列であれば

,

直交行列によって対角化 可能であり

,

その対角要素

d

iはすべて実数にな

. ∀i, d

i

> 0

のときこの

2

次形式は正値あるい は正定値

, ∀i, d

i

≥ 0

のとき半正定値

, ∀i, d

i

< 0

のとき負定値

, ∀i, d

i

≤ 0

のとき半負定値という

.

(43)

• A

1

,A

2

,A

3

,A

4は行列で

,

M

1

= (A

1

+ A

2

A

3

A

4

)

1および

M

2

= A

−11

−A

−11

A

2

A

4

A

−11

A

2

+ A

−13

−1

A

4

A

−11 が意味を持つように定義されているものとする

.

このとき

, M

1

= M

2

.

これを逆行列補題という

.

(44)

逆行列補題はフィードバックシステムの計算に使 われる道具である

.

繁雑だが便利で

,

証明は機械 的にできる

.

• A

5

= A

4

A

11

A

2

+ A

31とおく

.

• M

1

= M

2を示すには

, M

11

M

2

= I ,

すなわち

(A

1

+ A

2

A

3

A

4

)M

2

= I

を示せばよい

.

• M

2

= A

11

− A

11

A

2

A

51

A

4

A

11

,

A

4

A

11

A

2

= A

5

− A

31に注意する

.

(45)

= (A1+A2A3A4)(A11−A11A2A51A4A11)

=I−A2A51A4A11

+A2A3A4A11−A2A3A4A11A2A51A4A11

=I−A2A51A4A11

+A2A3A4A11−A2A3 A5−A31

A51A4A11

=I−A2A51A4A11

+A2A3A4A11−A2A3A4A11+A2A51A4A11

=I

(46)

A =

A

11

A

12

A

21

A

22

とし

, A

11

A

22は正方行列とする

.

• A

11が正則のとき

, X = A

22

− A

21

A

111

A

12

A

における

A

11

Schur complement

という

.

この とき

, det A = det A

11

det X

となる

.

(47)

• A

22が正則のとき

, Y = A

11

− A

12

A

221

A

21

A

における

A

22

Schur complement

という

.

この とき

, det A = det A

22

det Y

となる

.

これらの公式を

, Schur

の公式という

.

証明は

, det AB = det A det B

という正方行列 の公式を使えば

,

機械的にできる

.

(48)

という公式を使う. 右辺の行列の積を計算してからX =A22− A21A111A12を代入すると左辺の行列が得られる.

• A22が正則のときには, A11 A12

A21 A22

=

I A12A221

0 I

Y 0 0 A22

I 0 A221A21 I

という公式を使う.右辺の行列の積を計算してからY =A11− A12A221A21を代入すると左辺の行列が得られる.

これらの両辺の行列式を取るとSchurの公式が得られる.

(49)

• A

11

A

22がともに正則のとき

: A

11

0

A

21

A

22

1

=

A

111

0

−A

−122

A

21

A

−111

A

−122

A

11

A

12

0 A

22

1

=

A

111

−A

111

A

12

A

221

0 A

221

(

証明は機械的にできる

)

(50)

• A

11

X

がともに正則のとき

,

A1=

A111+A111A12X1A21A111 −A111A12X1

−X1A21A111 X1

• A

22

Y

がともに正則のとき

,

A1=

Y1 −Y1A12A221

−A221A21Y1 A221+A221A21Y1A12A221

これらの証明は文献で見付けにくいので,きちんと書いておく.

(51)

た,A= 11 12

A21 A22 3個の行列の積に分解する式を使い, らに先の三角行列の逆行列の公式を使うと,

A−1=

I 0 A21A−111 I

A11 0 0 X

I A111A12

0 I

1

=

I −A111A12

0 I

A111 0 0 X−1

I 0

−A21A−111 I

となり,この右辺を計算すると先に述べた形になる.

(52)

A1= I A12A22

0 I

Y 0 0 A22

I 0 A221A21 I

=

I 0

−A221A21 I

Y−1 0 0 A221

I −A12A−122

0 I

となり,この右辺を計算すると先に述べた形になる.

(53)

• 1

変数の

n

次多項式

p(x) = c

0

+ c

1

x + · · · + c

m

x

m を考える

(c

m

6= 0).

• x

に正方行列

A

を代入することを考える

. p(x)

の定数項には単位行列を対応させ

, x

kには

A

k 対応させると次のようになる

.

p(A) = c

0

I + c

1

A + · · · + c

m

A

m

(54)

先に定義した

p(A)

,

多項式

p(x)

の行列

A

に おける値という

.

このようにすると

,

変数が行列 である多項式

(

この場合は関数

)

が定義できる

.

次に

,

べき級数

(

無限級数

)

で定義された関数

f (x) = P

k=0

c

k

x

kを考える

.

(55)

変数

x

に行列

A

を代入し

f(A) = P

k=0

c

k

A

kと すれば

,

この和が意味を持つ限りにおいて

, f (x)

に対応する行列の関数を定義できる

.

行列の指数関数

(exp A, e

A

)

,

このようにして 定義された関数の代表格

.

指数関数の定義

e

x

= P

k=0 1

k!

x

kを使って・・・

(56)

• exp[A] = e

A

=

X

k=0

1 k! A

k

応用上よく出てくるのは

exp[At] = e

At

(

微分方 程式の解だから

)

指数関数のべき級数展開の収束半径は無限大なの で

,

行列の指数関数はつねに意味を持つ

.

(57)

行列の三角関数も同様に定義できるが

,

応用にあ らわれることは稀

.

一般的なべき級数を使って行列の関数を定義する ときには

,

収束半径に注意する必要がある

.

(58)

• A

n

次の正方行列とし

, p(x) = det(xI − A)

と する

. p(x)

はモニックな多項式である

.

• Hamilton-Cayley

の定理の主張はシンプルで

, p(A) = 0

となる

,

というものである

.

• p(x) = x

n

+ c

1

x

n−1

+ · · · + c

nとすると

p(A) = 0

より

A

n

= −c

1

A

n−1

− · · · − c

n

I.

(59)

可制御と可観測性という性質に関連して

,

(B, AB , . . . , A

n−1

B), (C, CA, . . . , CA

n−1

)

と いう形の行列があらわれる

.

• A

のべきが

n−1

までで済むことの根拠が

Hamilton- Cayley

の定理

.

• Hamilton-Cayley

の定理は通常は

Jordan

標準形

(

次回

)

を用いて証明されるが

,

ここでは直接証明 する

.

(60)

Ae1= j=1a1jejより, (Aa11I,−a12I,· · ·,−a1nI)eE=0であ る. e2以降についても同様に計算し,これらをまとめると,次式が得ら れる.

Aa11I −a12I · · · −a1nI

−a21I . ..

... . ..

−an1I · · · −ann1I AannI

ξ=0

上式の左辺の行列をΓとおく.

(61)

次の正方行列と解釈し,この解釈のもとで の余因子行列を作り,これ とおく. 詳しく書くと,Γ= (Aij) (1i, jn,Aijn次の 正方行列)その第(i, j)(ブロック)を除いて作った行列を(Akilj) (1i, jn1とし, Σn−1{1, . . . , n1}の置換としたとき, (j, i)要素jiとすると, ∆ji=P

σ∈Σn−1ε(σ)Ak1lσ(1)· · ·Akn−1lσ(n−1) である.

Γξ =0の両辺にを左から掛けると, DAe =0となる. さらに, DA= diag(D1, . . . ,Dn) (ブロック対角行列)で,すべてのiに対し,

Di=p(A)である. よって,∀i, p(A)ei=0であり,したがってp(A) =0

である.

(62)

伊理,線形代数汎論,朝倉書店, 2009

S. Skogestad and I. Postlethwaite, Multivariable Feedback Control, John Wiley & Sons, 1996

D. S. Bernstein, Matrix Mathematics, 2/e, Princeton University Press, 2009

川久保,線形代数学,日本評論社, 1999

斎藤,線形代数入門,東京大学出版会, 1966

兒玉,須田,システム制御のためのマトリクス理論,計測自動制御学会, 1978

須田,線形システム理論,朝倉書店, 1993

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