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〈論 説 〉
労 働 者 派 遣 の 法 理
高 橋 保
目 次 は じめ に
1労 働者 派 遣 法 の成 立 と展 開 過程 2労 働者 派 遣 法 の基 本 的 性 格 3労 働者 派 遣 の 三者 関係 の 法 理 4労 働者 派 遣 契約 の 法的 性 質 5派 遣 労働 契 約 の 法 的性 質 6指 揮 命令 権 の根 拠 と範 囲 7派 遣先 の派 遣 労働 者 に対 す る責 任 結 び に か え て 一 今 後 の課 題
は じめ に
本 稿 は、 労 働 者 派 遣 の 法 理 に つ いて 考 察 した も の で あ る。
労 働 者 派 遣 の 基 本 法 は 、 「労 働 者 派 遣 事 業 の 適 正 な運 営 の 確 保 及 び 派 遣 労 働 者 の就 業 条 件 の 整 備 等 に 関 す る法 律 」(以 下 、 「派 遣 法 」 とい う。)で あ る。 この 派 遣 法 に よ る と、 労 働 者 派 遣 は、 派 遣 元 事 業 主(以 下 、 「派 遣 元 」 とい う。)と 派 遣 労 働 者 お よ び 派 遣 先 事 業 主(以 下 、 「派 遣 先 」 とい うofの 三 者 関 係 か ら成 り 立 っ て い る。 そ こで 、 この 三 者 関 係 を め ぐ り、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 、 派 遣 元 と 派 遣 先 、 派 遣 先 と派 遣 労 働 者 等 そ れ ぞ れ の 法 的 関 係 は 、 どの よ うに な っ て い る のか に つ い て 問題 に な る。 しか し、 この 三 者 関 係 の そ れ ぞ れ の 法 的 関 係 に つ い て は 、 多 様 的 か つ 複 雑 な 問題 が あ り、 立 法 措 置 は も と よ りい ま だ学 説 ・判 例 に
お い て も解 決 さ れ て い る とは い え な い 。
そ の た め 、 今 日、 派 遣 労 働 者 問 題 が 多 発 し、 大 き な社 会 問 題 に な って い る。
た とえ ば 、 「派 遣 切 れ 」 され た元 派 遣 労 働 者 た ち は 、 職 な し ・住 な しの状 態 で 、
「派 遣 村 」 に 集 合 し、生活へ の戦 い を してい る。 この よ うな派遣労働 者問題 は、
不 況 の長 期 化 とい う経 済 的 事 情 もあ るが 、 派 遣 法 に お け る派 遣 労 働 者 の 保 護 体 制 の 立 法 的 不 備 に 因 る と こ ろが 多 い 。
本 稿 は 、 この よ う な現 状 認 識 に 立 って 、 派 遣 法 の 原 点 に 立 ち戻 り、 労 働 者 派 遣 の 法 理 の 解 明 を 試 み た もの で あ る。 紙 面 の制 約 も あ り、 労 働 者 派 遣 の 法 理 の 解 明 の 手 法 と して 、 三 者 関 係 の法 理 、 労 働 者 派 遣 契 約 お よ び派 遣 労 働 契 約 、 指 揮 命 令 、 派遣 先 の 派 遣 労 働 者 に 対 す る責 任 等 の 基 本 的 な 問題 の み を対 象 と した 。
1労 働 者 派 権 法 の 成 立 と展 開過 程
派 遣 法 は、1985年7月 に 制 定 さ れ、 翌 年 の7月 に施 行 さ れ た 。 そ の後 、 派 遣 法 は 、 い くつ か の 改 正 を経 て きた 。 なか で も、1999年 と2003年 の改 正 は 、 労 働 者 派 遣 に重 要 な影 響 を及 ぼ した。
派 遣 法 が 成 立 して くる背 景 は な に か 。 これ に つ い て は 、 以 下 の よ うに整 理 し て お きた い。
① 経 済 の サ ー ビ ス化 、 減 量 経 営 、 女 性 労働 者 の増 加 等 に よ り、 い わ ゆ る人 材 派 遣 事 業 が 生 成 し、 拡 大 す る に した が っ て 、 経 済 的 社 会 的 に重 要 な 役 割
を果 た す よ う に な っ た 。
② 経 済 産 業 分 野 に お い て 、 技 術 革 新 が 進 行 し、 専 門 的 な知 識 、 技 術 、 経 験 を必 要 とす る業 務 が 拡 大 して きた 。
③ 労 働 者 が 、 自分 の 都 合 に合 わ せ て働 く とか 、 あ る い は 自分 の 職 業 能 力 を 生 か して働 く とい う よ うに 、 労 働 観 の 変化 が 出 て きた 。
この よ うな状 況 の下 で 、 派 遣 法 が 成 立 して くる直接 の発 端 は 、職 業 安 定 法(以 下 、 「職 安 法 」 とい う。)の 労働 者供 給 事 業 の 禁 止 の 下 で(第44条)、 労 使 双 方 の 需 給 の 合 致 に よ る派 遣 事 業 の 拡 大 と い う実 態 形 成 が あ った 。
この よ うな 経 済 的 社 会 的 変 動 の下 で 、1978年7月 、 早 くも当 時 の 行 政 官 理 庁 (現総 務 庁)は 、 労働 省 に 「民 営 職 業 紹 介 事 業 等 の 指 導 監 督 に 関 す る行 政 監 査 結 果 に 基 づ く勧 告」 を 発 して い る。 この 勧 告 は 、① 人 材 派 遣 事 業 は 、 労 働 者 供 給 事 業 か 、 請 負 事 業 か 、 そ の 区分 の 明 確 化 、 ② 人 材 派 遣 事 業 の 規 制 の 必 要 性 に つ い て、③ 規 制 を加 え る場 合 、職 安 法 上 の整 理 の必 要 性 等 を内 容 とす る もの で あ っ
労働者派遣の法理
SI
た。
労 働省 は、 こ の 勧 告 を 受 けて 、1978年10月 に学 識 経験 者 か らな る 「労 働 力 需 給 シ ス テ ム研 究 会 」 を発 足 させ 、1980年4月 に 「今 後 の 労 働 力 の 需 給 シ ス テ ム の在 り方 に つ い て の 提 言 」 を受 け 、 さ ら に 同 年5月 「労 働 者 派 遣 事 業 問 題 調 査 会 」 に か け、 そ の 結 果 、1984年2月 、 同 調 査 会 か ら、 労 働 者 保 護 の 観 点 か ら必 要 な規 制 を加 えた 上 で 、 労 働 者 派遣 事 業 を許 容 して い く旨 の報 告 轡 が 出 さ れ た。
この 報 告 善 は 、 「中 央 職 業 安 定 審 議 会 」 の 審 議 を経 て、 同年ll月 に 、 労 働 者 派 遣 事 業 の立 法 化 構 想 の報 告 書 が ま とめ られ 、 労 働 省 は 、 これ を受 け て1985年1月
に、 「労 働 者 派 遣 蛮 業 の制 度 化 に 関 す る法 的措 置 に つ い て の 考 え方 」 を 中 央職 業 安 定 審 議 会 に提 出 し、 立 法 化 の 方 向 が 固 ま っ た。 そ の結 果 、1985年3月 、 「労 働 者 派 遣 事 業 の適 正 な 運 営 の 確 保 及 び 派 遣 労 働 者 の 就 業 条 件 の 整 備 等 に関 す る法 律 案 」 と して 国 会 に上 程 され 、 一 部 修 正 を経 て 成 立 した。
こ う して 派 遣 法 が 成 立 した の で あ るが 、 そ こに は、 職 安 法 の 労 働 者 供 給 事 業 の 禁 止 下 で あ りな が ら、 労働 力 の需 要 、 供 給 双 方 の 側 か ら、 人 材 派 遣 事 業 を 「労 働 力 需 給 調 整 シ ス テ ムの 一 つ と して制 度 化 して い く要 請 が あ っ た と指 摘 さ れ て
い る。り
派 遣 法 の 成 立 過 程 に お い て は、 国 ・労 ・使 と もす で に既 成 事 実 と して 爽 態 形 成 され て い る人 材 派 遣 業 を容 認 して い くこ とを 前 提 に、 労 働 者 保 護 の 観 点 か ら 一 定 の規 制 を加 え る こ とが 必 要 で あ る とい う認 識 で 一 致 して い た
。 問題 は、 職 安 法 第44条 の 労 働 者 供 給 衷 業 の禁 止 と労 働 者 派 遣 衷 業 とを いか に整 合 して い く か に あ っ た 。 これ に つ い て、 派 遣 法 の成 立 当 初 に お い て は 、 「労 働 者 派 遣 」 は 、 職 安 法 第4条 第6項 の 「労 働 者 供 給 」 と同 一 で あ る こ とを前 提 に しな が ら も、
労 働 者 派 遣 を 例 外 的 に 許 容 し、 その 際 派 遣 労 働 者 保 護 の 立 場 か ら、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 の 間 で 雇 用 契 約 ・労 働 契 約 を締 結 させ る こ と に よ り、 派 遣 元 に 使 用 者 責 任 ・雇 用 責 任 を課 す こ とに し、 これ に よ り職 安 法 上 の 労 働 者 供 給 と区 別 す る 措 置 が な され た 。 これ に つ い て は 、 「「労 働 者 派 遣 」 を例 外 的 に 許 容 す るが た め に 、 両 者 を と もか く区 別 しよ う とす る技 術 的 取 扱 い で あ っ た」 と指 摘 さ れ て い
'L)
る。
派 遣 法 は、1999年 に重 要 な 改 正 が な され た。 そ れ まで 派 遣 法 は、 労 働 者 派 遣 を 「例 外 的 」 に許 容 して い た もの を 、 「原 則 的 」 に 自由 化 へ と改 正 した。 す な わ
ち 、 改 正 前 の 派 遣 法 は 、 大 臣 の 許 可 ・届 出 制 の 下 で 、 派 遣 対 象 業 務 を 、 専 門 的 知 識 ・技 術;経 験 を必 要 とす る業 務(13業 務)に 限 定 して いた もの を、 改 正 後 は 原 則 自 由化 に拡 大 す る に至 っ た 。 この 背 景 に は 、 労 働 者 派 遣 事 業 拡 大 へ の 強 い 国 内的 要 請 が あ っ た 。 す な わ ち 、 日本 は 、 石 油 危 機 以 来 、 産 業 構 造 や 労 働 市 場 が 変 化 し、 労 働 力 の 需 給 と供 給 の ミス マ ッチ が 拡 大 し、 民 間 で の 職 業 紹 介 事
3)
業 や 人 材 派 遣 業 の ニ ュー ズ が 高 ま って き た の で あ る。 他 方 、 海 外 で も、1997年 には 、労 働 者 派 遣 事 業 な ど を承認 す るILOl81号 条 約(仲 介事 業 所 に 関 す る条 約) が 採 択 され た こ と に よ り、 日本 で も職 業 紹 介 事 業 や 労 働 者 派 遣 事 業 に対 す る規 制 緩 和 が 強 く求 め られ る よ う に な っ て きた こ とが あ げ られ る。
さ らに 、 派 遣 法 は、2003年 に規 制 緩 和 措 置 を拡 大 す るた め に 改 正 さ れ 、 製 造 業 へ の 派 遣 禁 止 を解 禁 し、 医 療 機 関 へ の 派 遣 解 禁 、 同 一 ポ ス ト派 遣 受 け 入 れ 期 間 の1年 か ら3年 延 長 、 紹 介 予 定 派 遣 の 事 前 面 接 な どを許 容 す る こ とに な った 。
こ う して派 遣 法 は、 成 立 後 、 経 済 的 社 会 的 状 況 や 国 際 的 状 況 の 変 化 に よ り、
多 様 的 に に展 開 して き た。 しか し、 その 展 開 過 程 で 、 派 遣 労 働 者 問 題 が 多 発 し、
い ま なお 解 決 の 兆 しが 見 え な い の で あ る。 この よ うな 状 況 の下 で 、 派 遣 法 の抜 本 的 見 直 しが 必 要 と され て い る。
2労 働 者 派遣 法 の基 本 的性 格
今 日、 派 遣 法 を め ぐ り多様 的 な派 遣 労 働 者 問題 が 発 生 して い る。 その 理 由 は な に か。 これ に っ い て 、 派遣 法 の 目的 とそ の基 本 的 性 格 か ら検 討 して み る。
派 遺 法 は 、 その 目的 につ い て 、 次 の よ う に規 定 して い る。 「この 法律 は 、 職 業 安 定 法 と相 ま っ て 労 働 力 の 需 給 の適 正 な調 整 を図 る た め 労 働 者 派 遣 事 業 の 適 正 な運 営 の 確 保 に 関 す る措 置 を講 ず る と と もに 、 派 遣 労 働 者 の就 業 に 関 す る条 件 の整 備 等 を 図 り、 も っ て 派 遣 労 働 者 の 雇 用 の 安 定 そ の 他 福 祉 の 増 進 に 資 す る こ とを 目的 とす る。」(第1条)。 これ に よ る と、 派 遣 法 は 、次 の2点 を 目的 と して い る。
① 職 業 安 定 法 と相 ま っ て 労 働 力 の需 給 の 適 正 な 調 整 を 図 る た め 労 働 者 派 遣 事 業 の適 正 な運 営 の 確 保 に 関 す る措 置 を講 ず る こ と。
② 派 遺 労 働 者 の 就 業 に 関 す る条 件 の 整 備 等 を 図 り、 も って 派 遣 労 働 者 の 雇
労働者派遣の法理 53 用 の 安 定 そ の他 福 祉 の増 進 に資 す る こ と。
前 記 ① は 、 派 遣 法 は、 労 働 力 の 需 給 調 整 に 関 す る法 律 と して 、 労 働 者 派 遣 嘉 業 の 適 正 な 運 営 を確 保 す る措 置 を講 ず る と して い る。 労 働 力 の 需 給 調 整 に 関 す る法 律 は、 す で に1947年 制 定 の職 業安 定 法 が あ る。 同 法 は、 「職 業 紹 介 事 業 等 が 労 働 力 の 需 要 と供 給 の 適 正 か つ 円滑 な 調 整 に果 た す べ き役 割 にか ん が み そ の適 正 な運 営 を 確 保 す る こ と」 を 目的 と して い る(第1条)。 派 遣 法 が 、 「職 業 安 定 法 と相 まっ て 」 と規 定 して い るの は 、 同 じ労 働 力 の 需 給 調 整 に関 す る職 安 法 と 力 を合 わ せ なが ら労 働 者 派 遣 事 業 の適 正 な 運 営 を確 保 す る措 置 を講 ず る と した 趣 旨 で あ る。
とこ ろ で 、 派 遣 法 が 、 労 働 力 の 需 給 調 整 に関 す る法 律 と して 、 労 働 者 派 遣 皐 業 の 適 正 な 運 営 を確 保 す る措 置 を講 ず る と明 記 した こ とは 、 派 遣 法 が 、 労 働 者 派 遣 を業 と して 行 う 「事 業 法 」 で あ る こ とを明 らか に した もの で あ る。 こ の こ と は、 派 遺 法 が 、 労 働 力 需 給 調 整 の シ ス テ ム の 法 制 化 の 必 要 性 か ら出 発 して い る こ とか ら も理 解 さ れ る。 派 遣 法 が 、 労 働 者 派 遣 を業 と して行 う 「事 業 法 」 で あ る と して い る の は 、 派遣 法 に よ り、 「労 働 力 流 動 化 を促 す 労働 市場 政 策 」 と し
4)
て機 能 させ る狙 い が あ る とい え る。 この よ う に、 派遣 法 は 、 第1に 労 働 者 派 遣 事業 法 と して の 性 格 を 有 す る 。
派 遣 法 は 、 こ の基 本 的 性 格 を 具 体 化 す るた め に 、 同 法 の 第2章 に お い て 「労 働 者 派 遣 事 業 の 適 正 な運 営 の確 保 に関 す る措 置 」 を規 定 し、 「業 務 の 範 囲 」(第
4条)、 「事 業 の 許 可 等 」(第5条 以 下)な どに つ いて 規 定 して い る。 業 務 の 範 囲 に つ いて は 、 労 働 者 派 遣 事 業 の原 則 自 由化 の 立 場 か ら、 限 定 した 労 働 者 派 遣 蘂 業 の 禁 止 規 定 の み を規 定 して い る(第4条)。
前 記② は 、 派 遣 労 働 者 の 就 業 に 関 す る条 件 の 整 備 等 を図 る こ と に よ っ て 、 派 遣 労 働 者 の雇 用 の 安 定 等 派 遣 労 働 者 の 保 護 を 図 る こ と を明 記 した も の で あ る。
この こ とは 、 派 遣 法 が 、 派 遣 労 働 者 保 護 法 で あ る こ とを 明 らか に した もの で あ る。 この 派 遣 労 働 者 保 護 法 は、 派 遣 法 の 第2の 基 本 的性 格 で あ る。
派 遣 法 は、 この 基 本 的 性 格 を具 体 化 す る もの と して 、 同 法 第3章 に 「派遣 労 働 者 の就 業 条 件 の 整 備 等 に関 す る措 置 」 に つ い て規 定 し、 「労働 者 派遣 契約 」(第 26条)、 「派 遣 元 事 業 主 の講 ず べ き措 置 」(第30条 以 下)、 「派 遣 先 の 講 ず べ き措 置 等 」(第39条 以下)、 「労 働基 準 法 等 の適 用 に 関 す る特 例 等 」(第44条 以下)な ど
につ い て 規 定 して い る。
派 遣 法 が 派 遣 労 働 者 保 護 法 で あ る こ とに 関 して 、 同 法 の 「定 義 」 規 定 が 重 要 な 意 義 を も っ て い る。
派 遣 法 は、 「労働 者 派 遣 事 業 」 とは、 「労働 者 派 遣 を業 と して行 う」 事 業 で(第 2条3号)、 こ の場 合 の 労 働 者 派 遣 とは 、 「自己 の 雇 用 す る労 働 者 を、 当 該 雇 用 関 係 の 下 に、 か つ 、 他 人 の 指 揮 命 令 を受 け て 、 当 該 他 人 の た め に 労 働 に従 事 さ せ る こ と」 を い う と規 定 して い る(第2条1号)。 これ は、 派 遣 法 が 対 象 と して い る 「労 働 者 派 遣 事 業 」 につ い て 明確 に した もの で あ る と同時 に、 派 遣 元 と遣 労 働 者 との間 に雇 用 関 係 が な けれ ば な ら な い と して、 派 遣 労 働 者 の 雇 用 の 安 定
と使 用 者 責 任 に つ い て 明確 に した もの で あ る。
ま た 、 派 遣 法 は、 「派 遣 労 働 者 」 とは 「事 業 主 が 雇 用 す る労 働 者 で あ って 、 労 働 者 派 遣 の 対 象 とな る者 」 と定 義 して い る(第2条2号)。 この定 義 も、 上 記 の 趣 旨 と同 様 で あ る。
な お 、派 遣 法 は、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 に 、雇 用 関係 を認 め る こ とに よ っ て、 職 安 上 の 労 働 者 供 給 事 業 と異 な らせ て い る こ とは 、 す で に 指 摘 して きた 。 次 に、 派 遣 法 は、 派 遣 労 働 者 に っ い て、 常 用 雇 用 労 働 者 の み を派 遣 す る 「特 定 労 働 者 派 遣 事 業 」 とそ れ 以 外 の 登 録 派 遣 労 働 者 を 中 心 とす る 「一 般 蛍 働 者 派 遣 事 業 」 とに分 け、前 者 を届 出 制 、後 者 を許 可 制 に して い る(第16条 、 第5条)。
この よ うな業 務 規 制 も、 派 遣 労 働 者 の 就 業 条 件 や 雇 用 の 安 定 と関 連 して い る。
また 、 派 遣 法 は、 適 正 な労 働 者 派 遣 を行 うた め に 、 派 遣 元 と派 遣 先 に 労 働 者 派遣 契 約 を締 結 す る もの と して 、 そ の契 約 内 容 に 関 し、 法 定 事 項 を規 定 して い る(第26条)。 これ も、 派 遣 労 働 者 保 護 の具 体 化 と理 解 で き る。
そ の他 、派 遣 法 は、派 遣 元 の 派 遣 勇働 者 に対 す る 「就 業条 件 等 の 明示 」(34条)、
派遣 先 の 「適 正 な派 遣 就 業 の確 保 等 」(40条)、 「労 働 基 準 法 等 の 適 用 に関 す る特 例 等 」(44条 以 下)も 派 遣 労 働 者 保 護 の 具 体 化 で もあ る。
以 上 、 派 遣 法 にっ い て 、 労 働 者 派 遣 事 業 法 と派 遣 労 働 者 保 護 法 の 二 っ の 性 格 につ い て 指摘 して きた 。 派 遣 法 は、 この 二 つ の性 格 を混 在 させ なが ら機 能 しよ う と して い るの で あ る。
しか し、 そ も そ も派 遣 法 が 内 蔵 して い る労 働 者 派 遣 事 業 法 と派 遣 労働 者 保 護 法 は 、 理 念 上 や 法 的機 能 か ら捉 え て も、相 互 矛 盾 は避 け られ な い。 事 業 法 と し
労働者派遣の法理
SS
て の 派 遣 法 は 、 必 然 的 に 利 益 優 先 主 義 を理 念 と して 実 際 の 運 用 過 程 で 機 能 して い く。 これ に 対 し、 労 働 者 保 護 法 と して の 派 遣 法 は、 「生 存 の 原 理 」 を理 念 と し て機 能 して い く。 こ こに 、 同 じ派 遣 法 の胎 内 で 、 両 者 は 互 い に 矛 盾 し対 立 す る こ と に な る。 派 遣 労 働 者 問 題 は 、 この よ うな 派 遣 法 の基 礎 的 な性 格 か ら発 生 し て い る。こ う した両 者 の 矛 盾 や 対 立 を コ ン トロー ル して い くの が 、 派 遣 法 第1条 が 明 記 す る 「調 整 」 で あ る。 この 調 整 は、 「適 正 な 運 営 の 確 保 」 を 旨 と して 、 派 遣 事 業 主 お よ び 派 遣 労 働者 双 方 に と って 公 平 で な け れ ば な らな い。 しか し、 これ ま で の 派 遣 法 の 運 用 過 程 で は 、 派 遣 元 お よび 派 遣 先 の 法 的 責 任 が 不 明 確 で あ る こ とか ら、 派 遣 労 働 者 に不 利 益 を も た ら して き た。 た とえ ば 、 派 遣 先 は 、 派 遣 労 働 者 か ら団 体 交 渉 を 申 し込 まれ て も、雇 用 関 係 が な い こ とを 理 由 に 、 これ を拒 否 して き た ケ ー ス が 多 い。 こ の よ うな実 態 か ら、 「事 業 法 」 と して 出 発 した労 働
の
者 派 遣 法 を、 労 働 者 の 権 利 法 と して 抜 本 的 見 直 し を求 め る主 張 が あ る。
さ らに 、 派 遣 労 働 者 保 護 の 立 場 か ら、 派 遣 法 の 調 整 機 能 を さ らに 具 体 化 す る こ と も必 要 で あ る。 も と も と派 遣 法 は 、 労 働 力 の 需 給 シ ス テ ム を調 整 す る た め に立 法 化 され た もの で あ る。 しか し、 その 調 整 は 、 法 形 式 上 の 技 術 的 調 整 にil.:
まっ て は な らな い 。 派 遣 労 働 関 係 と い う特 殊 な 三 者 関 係 の も とで 、 な に よ りも 不 利 益 を被 っ て い る の は 、 派 遣 労 働 者 で あ る。 したが っ て 、 派 遣 労 働 者 の 実 質
的救 済 の た め に 、 実 態 に 即 した具 体 的 な調 整 機 能 が 必 要 で あ る。
3労 働 者 派 遣 の三 者 関 係 の 法 理
派 遣 法 は 、 労働 者 派遣 とは 、 「自己 の雇 用 す る労 働 者 を、 当 該 雇 用 関 係 の 下 に 、 か っ 、 他 人 の 指 揮 命 令 を受 け て 、 当該 他 人 の た め に 労 働 に従 事 させ る こ と を い い 、 当該 他 人 に対 し当 該 労 働 者 を 当該 他 人 に 雇 用 させ る こ とを 約 して す る もの を含 ま な い もの とす る。」 と定 義 して い る(第2条1号)。 この 定 義 は 、 理 解 し に くい表 現 を して い るが 、 以 下 の2点 が基 本 的 要 素 とな っ て い る。 ① 労 働 者 派 遣 とは 、 「自己 の 雇 用 す る労 働 者 を 、 当 該 雇 用 関 係 の 下 に 」 「他 人 の た め に労 働 に従 事 させ る こ と」 を い う と して い る。 つ ま り、 労 働 者 派 遣 に お い て は 、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 に 、雇 用 関 係 が 存 在 し、 そ の 雇 用 関 係 の 下 で他 人 の た め
に労 働 に従 事 させ る こ とを い う と して い る。 ② 労 働 者 派 遣 とは、 「他 人 の 指 揮 命 令 を 受 け て」、 「他 人 の た め に 労 働 に従 事 させ る こ と」 を い う と して い る。 つ ま り、 派 遣 先 と派 遣 労 働 者 との 問 で は、 雇 用 関 係 を 必 要 とせ ず 、 単 に 派 遣 先 が 派 遣 労 働 者 に 対 し指 揮 命 令 して 労働 に従 事 させ る の み 、 い い か えれ ば 使 用 関 係 の み で あ る と して い る。 な お 、 労 働 者 派 遣 に お い て は 、 「他 人 に 労 働 者 を雇 用 させ る こ と を約 して す る もの を含 まな い」 と して い る。 つ ま り、 労 働 者 派 遣 に お い て は 、 派 遣 元 が 派 遣 先 に 派 遣 労 働 者 を雇 用 させ る こ と を約 束 させ る もの を含 ま な い と して い る。 こ れ は 、 労 働 者 派 遣 の範 囲 を限 定 した もの で あ る。
以 上 の 定 義 を 根 拠 と して 、 労 働 者 派 遣 を め ぐる法 構 造 を分 析 して み る。
ま ず 、 労 働 者 派 遣 の 法 主 体 は 、 派 遣 元 、 派 遣 労 働 者 、 派 遣 先 の 三 者 で あ る。
労 働 者 派 遣 は 、 この 三 者 関 係 か ら構 成 され て い る。
で は 、 こ の三 者 の 法 的相 互 関 係 は 、 ど うか 。 まず 、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 で は 、 雇 用 関係 の 存 在 が 必 要 と され て い る 。 雇 用 関 係 を成 立 させ る法 的 基 礎 は、 労 働 契 約 で あ るか ら、 労 働 契約 の締 結 が 必 要 で あ る。 この 労 働 契 約 は 、 「派 遣 労 働 契 約 」 とい わ れ て い る。 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 で 、 派遺 労 働 契 約 が 締 結 され る と、雇 用 関 係 が 成 立 し、 派遣 元 に 賃 金 支 払 義 務 等 雇 用 責 任 が 発 生 し、
派 遣 労 働 者 に は労 務 提 供 義 務 が 発 生 す る。
派 遣 先 元 と派 遣 先 との 関 係 で は、 派 遣 先 は派 遣 労 働 者 に 対 し、指 揮 命 令 し労 働 に 従 事 させ る こ とに な る か ら、 これ に 関 す る法 的 基 礎 を 有 す る契 約 の 締 結 が 必 要 で あ る。 こ の契 約 につ い て は、 派 遺 法 が 、 派 遣 元 と派 遣 先 双 方 に 「労 働 者 派遣 契 約 」 の 締 結 を 義 務 づ け 、 そ の契 約 内 容 に定 め るべ き法 的 事 項 を規 定 して い る(第26条)。
次 に、 派 遣 先 と派 遣 労 働 者 との 関 係 で は 、 派 遣 労 働 者 は 、 派 遺 元 との 派 遣 労 働 契 約 に基 づ き、 派 遣 先 に対 し労 務 提 供 義 務 を負 う。 これ に 対 し、 派 遣 先 は 、 派 遣 元 との労 働 者 派 遣 契 約 に基 づ き、 指 挿 命 令 を す る。
以 上 、 労 働 者 派 遣 を め ぐる法 構 造 につ い て 、 三 者 関 係 お よび 三 者 関係 に お け る法 的 相 互 関 係 につ い て み て きた 。 次 に、 この よ うな 労 働 者 派 遣 に お け る派 遣 労 働 契 約 関 係 は 、 い わ ゆ る通 常 の 労 働 契 約 関 係 と比 べ て ど こが 異 な っ て い る の か に つ い て検 討 して み る。
労 働 者 派 遣 に お い て は 、 派 遣 労 働 契 約 と労 働 者 派 遣 契 約 の2形 態 の契 約 形 態
労働者派遣の法理
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が 相 乗 的 に存 在 して い る。 派 遣 労 働 契 約 は、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 の 労 働 契 約 関 係(雇 用 関 係)の 法 基 礎 とな って お り、 派 遣 元 と派 遣 先 で締 結 さ れ る労 働 者 派 遣 契 約 は 、 派 遣 先 に お け る指 揮 命 令 の 基 礎 を な す もの で あ る。
労 働 者 派 遣 は、 この両 者 の契 約 か ら成 り立 って い る こ とに よ り、 「雇 用 」 と 「使 用 」 が分 離 さ れ て い る。 と こ ろが 、通 常 の 労 働 契 約 関 係 で は、 双 務 契 約 と して 雇 用 と使 用 が 一 体 とな って お り、 「直 接 雇 用 直 接 使用 」 が 契約 原 理 とさ れ て い る。
派 遣 労 働 契 約 関 係 に お い て は、 「直 接 雇 用 間 接 使 用 」 に な っ て い る。
この よ うに 、 労 働 者 派 遣 に お け る雇 用 と使 用 の 分 離 は 、 派 遣 法 の 立 法 化 の 準
fi)
備 過 程 で 早 くか ら明 確 に され て い た と指 摘 さ れ て い る が 、 そ こ に は 、 そ れ な り の メ リ ッ トが あ った か らで あ る。 す な わ ち 、 派 遣 先 の側 か らは 、雇 用 関 係 が な い の で あ る か ら、 派 遣 労 働 者 に対 し雇 用 責 任 ・使 用 者 責 任 は な く、 単 に使 用 関 係 の み で あ るの で 、 利 益 採 算 上 メ リ ッ トが あ るの で あ る。 も と も と労 働 者 派 遣 制 度 が 急 速 に 発 展 して きた の は 、 この 点 に こ そ あ る。
労 働 契 約 論 か らい っ て 、 こ の よ う な派 遣 労 働 契 約 関 係 につ い て は、 果 た して 労働 契 約 とい え るか 否 か の 論 議 が あ るが 、 これ につ い て は後 述 す る こ とに した い。 こ こ で は 、 派 遣 労働 契 約 関係 は、 通 常 の 雇 用 形 態 と く らべ 、 特 殊 な雇 用 形 態 で あ る こ との み 指 摘 して お く。
周 知 の とお り、 今 日、 派 遣 労働 者 問 題 が 大 き な社 会 間 題 に な って い る。 な か で も、 「派 遣 切 れ 」 とい う言 葉 に代 表 され る よ う に、 派 遣 労 働 者 の解 雇 、 雇 い止 め 、 契 約 の 中 途 解 除 、 退 職 勧 奨 な ど、 派 遣 労 働 者 の雇 用 不 安 定 が 指 摘 され て い る。 も と も と労 働 者 派 遣 とい うシ ス テ ム は 、 オ フ ィ ス ・オ ー トメ ー シ ョ ンが 進 ん だ ア メ リ カ 先 進 国 な ど で 成 長 した 「テ ン ポ ラ リ ー ・ワ ー ク ・サ ー ビ ス 」 (TemporaryWorkService)で あ り、 正 社 員 の突 然 の退 職 、病 欠 、 一 時 的 業 務 量 の 増 加 な ど の場 合 、 業 務 経 験 の あ る ス タ ッフ を 派 遣 して業 務 を処 理 す る シ
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ス テ ム で あ った とい わ れ て い る。 派 遣 労 働 者 は、 テ ン ポ ラ リー ワー カ ー(一 時 的 労 働 者)な の で あ る。 一 時 的 労 働 者 で あ るか り、雇 用 の 不 安 定 性 は、 避 け る こ とが で きな い 。 しか し、 日本 の 現 状 を み る と、 専 門 的 知 識 、 技 術 、 経 験 を有 す る専 門 的 業 務 の 労働 者 とい う派 遣 法 当初 の意 図 は 拡大 し、 専 門 性 よ り も 「人 」 その も の 、 臨 時 的 とい う よ り も、 正 社 員 に 類 似 した長 期 的 雇 用 者 と して 定 着 し て きて い る。 と くに 、 常用 型 派 遣 労 働 者 の 場 合 、 「派 遣 労 働 者 」 で あ る とい う身
分 を 除 く と、 正 社 員 と雇 用 上 の遜 色 が な い。 派 遣 労 働 者 の 雇 用 不 安 定 が と くに 問 題 に な るの は、 登 録 型 派 遣 労 働 者 の場 合 で あ る。 登 録 型 派 遣 労 働 者 の場 合 は 、 登 録 後 、 派 遣 先 が み つ か り、 そ の都 度 派 遣 労働 契 約 を締 結 し、 雇 用 関 係 が 成 立
し、 派 遣 され 、 派 遣 期 間 が 満 了 す る と、 雇 用 関 係 が 終 了 す る。 そ の 後 は 、 ま っ た くフ リー とな るか ら、 きわ め て不 安 定 雇 用 者 で あ る。
さ ら に、 派 遣 元 との派 遣 労 働 契 約 で 派 遣 先 に 派 遣 さ れ て も、 派遣 先 の経 済 壌 情 で 、 派 遣 の 中 途 解 除 が 行 な われ る こ とが あ る。 派 遣 先 と派 遣 労 働 者 との 間 で は、 雇 用 関 係 が な い こ とか ら、 容 易 に 中途 解 除 は お こな わ れ る し、 派 遣 元 も そ れ を甘 受 せ ざ る を得 な い場 合 が 多 い 。 この よ うに 、 派 遣 労 働 者 は 、 き わ め て 雇 用 関 係 に つ い て 、 不 安 定 な 状 態 に置 か れ て い る。
派 遣 労 働 者 の雇 用 不 安 は 、 究 極 的 に は、 三 者 関 係 の 法 的 規 制 の脆 弱 性 に起 因 して い る。 ま ず 、 派 遣 元 で あ るが 、 派 遣f働 契 約 の 契 約 当=1xと して 、 使 用 者 責 任 は 明 確 で あ るが 、 雇 用 関 係 の底 辺 で 直 接 雇 用 直 接 使 用 の 関 係 に 立 っ て い な い。 この よ うな 関 係 で は 、 派 遣 元 に雇 用 責 任 者 と して の意 識 が 希 薄 化 さ れ る こ とに な る。 派 遣 元 の 重 大 な 関 心 事 は 、 派 遣 労 働 者 よ り も派 遣 料 に あ る。 派 遣 料 のた め に 、 派遣 労 働 者 を軽 視 し、派 遣先 と妥 協 す る例 が 多 く見 られ る。 加 え て 、
「派 遣 元 事 業 主 が 講 ず べ き措 置 に 関 す 指 針 」 は 、派遣 労働者のた めの具体 的な救 済 措 置 に 欠 け て い る。
私 見 と して は 、 派 遣 元 に 、 派 遣 労働 者 保 護 の 立 場 か ら、 労 働 契 約 原 理 に基 づ き、 雇 用 上 の 責 任 は も と よ り、 指 揮 命 令 権 に つ い て も留保 して お き、 こ れ を 有 効 に行 使 で き る 立 法 措 置 を講 ず べ き と思 う。 さ ら に、 派 遣 労 働 者 保 護 の 立 場 か ら、 派 遣 法 に お い て 、 派 遣 労 働 者 の権 利 につ い て 具 体 的 に 立 法 化 して い くべ き もの と考 え る。
次 に 、 派 遣 先 に つ い て は 、 雇 用 上 の 使 用 者 責 任 を課 す る こ とに は 、 派 遣 労 働 の三 者 関 係 とい う法 的 な基 本 構 造 か ら い っ て 、 無 理 が あ る と考 え る。 しか し、
これ に代 わ る もの と して 、 指 揮 命 令 上 の 使 用 従 属 関 係 をTs視 し、 派 遣 労 働 者 保 護 に 立 っ て 、 立 法 上 具 体 的 な 規 制 と責 任 を課 す こ とは考 え られ て よ い。
こ う して 、 派遣 労 働 者 保 護 の 立 場 か ら、 派 遣 元 と派 遣 先 の 双 方 か ら な る 「共 同責 任 体 制 」 を確 立 して い く こ とが 必要 で あ る。 た とえ ば 、 同一')1働 同一 待 遇 、 賃 金 保 護 措 置 、 労 災 防 止 と補 償 な ど、 派 遣 元 と派 遣 先 の 共 同責 任 体 制 の下 で 、
労働者派遣の法理
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法 的 措 置 を講 じて い くべ きで あ る。
4労 働 者 派 遣 契約 の 法 的 性 質
労 働 者 派遣 は、 派 遣 元 が 雇 用 す る労 働 者 を 、 雇 用 関 係 の 下 で 、 派 遣 先 の 指 揮 命令 の 下 で 労 働 に従 衷 させ る こ とを い う(派 遣 法第2条1号)。 この よ うな 労 働 者 派 遣 は 、 いわ ゆ る 「出 向」 と類 似 した概 念 で あ る。 しか し、 派 遣 と出 向 は、
実 質 的 に は異 な る。 派 遣 も出 向 も第 三 者(派 遣 先 ・出 向 先)に 指 揮 命 令 を 与 え 、 その 下 で 労務 提 供 を 期 限 付 き、 解 除 条 件 付 きで 認 め る こ とに お いて 類 似 して い る。 しか し、 出 向 の う ち、 在 籍 出 向 の場 合 、 出 向元 と出 向労 働 者 との 間 に 労 働 契 約 が 締 結 され 、労 働 契 約 関 係 が 成 立 して お り、 他 方 、 出 向先 と出 向 労 働 者 と の 間 にお い て も、 労働 契約 関係 が存 在 して い る。 いわ ば、 「二 重 の 労 働 契 約 関 係 」 が 存 在 して い る。 派 遣 に お い て は、 派 遣 先 と派 遣 労働 者 との 間 に お い て 、 労 働 契 約 関 係 が 存 在 して い な い。 また 、 派 遣 先 は、 派 遣 労 働 者 を雇 用 す る こ とが 許 され て い な い(第2条1号)。
さ らに 、 出 向 は 、 一 時 的 、 臨 時 的 な 労務 提 供 で あ るが 、 派 遣 は、 「業 と して 」 行 わ れ る もの で あ る(同 条 第3号)。 「業 と して」 とは 、 一 定 の 目的 を も っ て 同
H)
種 の 行 為 を 反 復 継 続 的 に遂 行 す る こ とを い う。
とこ ろ で 、 労働 者 派 遣 を行 うた め に は 、派 遣 元 と派 遣 先 との間 で 、 「労 働 者 派 遣 契 約 」 を締 結 す る こ とに な って い る(第26条)。 労 働 者 派 遣 契 約 とは 、 「当廓 者 の 一 方 が相 手 方 に対 し労 働 者 派 遣 をす る こ とを約 す る契 約 」 を い う(第26条)。
この 場 合 、 派 遣 元 が 、 派 遣 の 対 象 とす る労 働 者 は 、 「自 己 の雇 用 す る労 働 者 」 で な けれ ば な らな い(第2条1号)。 す な わ ち、 労 働 者 派 遣 を行 うた め に は、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 に、 雇 用 関 係 が 成 立 して い な けれ ば な ら い。 そ の た め に は、 両 者 の 間 で 、 「派 遺 労 働 契 約 」 を締 結 しな けれ ば な らな い。
こ の よ う に、 労 働 者 派 遣 に お い て は 、 労 働 者 派 遣 契 約 と派 遺 労 働 契 約 の2形 態 の 契 約 が 介 在 して い る。 そ の た め両 契約 の 法 的相 互 関 係 と それ ぞ れ の 契 約 の 法 的 性 質 が 問 題 とな る。 そ こで 、 労 働 者 派 遣 契 約 と派 遣 労 働 契 約 の 法 的 相 互 関 係 につ い て概 観 し、 それ ぞ れ の 契 約 の 法 的 性 質 に つ い て 検 討 す る こ とに す る。
た だ し、 派 遺 労 働 契 約 につ い て は、 次 項 で 検 討 す る こ とに す る。
労 働 者 派 遣 に お け る労 働 者 派 遣 契 約 と派 遣 労 働 契 約 とは、 相 互 密 接 な 関 係 を 有 しな が ら、 と も に相 乗 的 に派 遣 労 働 関 係 の 法 的 基 礎 を な して い る。 しか し、
両 者 は 、 法 的 に は 別 個 独 立 の 契 約 で あ る。 労働 者 派 遣 契 約 は 、 派 遣 元 と派 遣 先 との 派 遣 に係 わ る取 引 契 約 で あ る。 これ に 対 し、 派 遣 労 働 契 約 は、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 で 締 結 され 、 派 遣 労 働 者 と して雇 用 す る こ との 労 働 契 約 で あ る。
しか し、 両 者 は と もに派 遣 に係 わ る契 約 で あ る こ とか ら、 問 題 が 惹 起 して くる。
た と えば 、 労 働 者 派 遣 契 約 と派 遣 労 働 契 約 との 間 で 、 派 遣 期 間 に差 異 が あ っ た 場 合 、 派 遣 労 働 契 約 の 派 遣 期 間 が 切 れ て も、 労 働 者 派 遺 契 約 の 派 遣 期 間 が 存 続 して い る こ と も あ る。 この よ うな 場 合 、 派 遣 労 働 者 は、 労 働 者 派 遣 契 約 を根 拠 に 、 派 遣 労 働 契 約 の更 新 を 請 求 し得 るか とい う問題 が 生 ず る。 これ に つ い て は、
9)
両 者 が 別 個 独 立 の 契約 で あ る こ とを理 由 に 、 否 定 的 に考 え られ て い る。
次 に、 労働 者 派 遣 契 約 の 法 的 性 質 に つ い て 検 討 して み よ う。
第1に 、 労 働 者 派 遣 契 約 は 、 労 働 者 供 給 契 約 で あ る。 労働 者 派 遣 契 約 が 、 こ の よ うな性 質 を有 す る こ とか ら、 職 安 法 第44条 の 「労 働 者 供 給 事 業 の 禁 止 」 と の 関 係 で 問 題 と され た 。 職 安 法 に よ る と、 「「労 働 者 供 給 」 とは、 供 給 契 約 に 基 づ い て労 働 者 を他 人 の 指 揮 命 令 を受 け て 労 働 に 従 事 させ る こ と」 と定 義 して い る(第4条6号)。 派 遣 法 は 、 労 働 者 派 遣 につ い て 、 「自 己 の雇 用 す る労 働 者 を 、 当 該 雇 用 関 係 の下 に、 か つ 、 他 人 の 指 揮 命 令 を 受 け て 、 当 該 他 人 の た め に 労 働 に従 事 させ る こ と」 と定 義 して い る(第2条1号)。 職 安 法 の 労 働 者 供 給 で は 、
「自己 の 雇 用 す る労働 者 を 、 当 該 雇 用 関 係 の下 に 」 とい う文 言 は み られ な い。 し か し、 労 働 者 を 他 人 の 指 揮 命 令 を 受 けて 労 働 に 従 事 させ る こ と にお い て は、 共 通 して い る。 した が っ て 、 労 働 者 派 遣 契 約 は 、 実 質 的 に労 働 者 供 給 契 約 で あ る
と解 す る こ とが で き る。
と こ ろで 、 職安 法 第44条 で は、 「労 働 者 供 給 専 業 を行 い、 又 は そ の労 働 者 供 給 事 業 を行 う者 か ら供 給 され る労 働 者 を 自 らの 指 揮 命 令 の 下 に 労 働 させ て は な ら な い 。」 と規 定 して い る。 労 働 者 派 遣 は 、 労働 者 供 給 契 約 に基 づ いて 、 業 と して 行 な う労 働 者 供 給 事 業 で あ る。 した が っ て 、職 安 法 第44条 に違 反 す る こ とに な るの で は な い か 。 これ につ い て は 、 派 遣 法 の 制 定 当 初 か ら問題 に さ れ て き た 。 しか し、 制 定 当 時 は、 労 働 者 派 遣 を職 安 法 第44条 違 反 と して否 定 で き る状 況 で は な か っ た。 労 働 者 派 遣 は、 企 業 と労 働 者 側 の ニ ュー ズ に 合 致 して 、 い わ ゆ る
労働者派遣の法理 6i
「人 材 会 社 」 が 増 加 し、 派 遣 労 働 者 が 急 速 に 企 業 に流 入 して い っ た 。 そ の 結 果 、 派 遣 労働 者 に よ る常 用 労 働 者 の 代 替 の 増 加 、 これ に よ る常 用 労 働 者 の 雇 用 不 安 定 が 生 じて き た。
こ の よ う な背 景 も下 で 、 労 働 者 派 遣 を 許 容 して い くのが 大 勢 とな り、派遣 法 が 制 定 され て き た。 その 際 、 労 働 者 派 遣 を、 専 門 的 知 識 、 技 術 、 経 験 を必 要 と す る業 務 に 限 定 し、 さ ら に派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 に雇 用 関 係 の存 在 を前 提 に して い くこ とが 考 え られ た 。 これ に よ り、 職 安 法 第4条6号 に お い て 、 労 働 者 派 遣 を 労働 者 供 給 契約 の 例 外 的 措 置 と して 明 文 化 され 、 また 、 派 遣 法 に お い て 、 「自己 の 雇用 す る労働 者 で 、 当該 雇 用 関 係 の下 で 」 とい う法 文 が規 定 され た 。
しか し、 そ れ に よ り、 労 働 者 派 遣 契 約 の 有 す る労 働 者 供 給 契 約 と う性 質 を否 定 され た わ け で は な く、 例 外 的 に 「違 法 阻却 事 由 」 と して 立 法 化 され た に す ぎ
な い 。
第2に 、 労 働 者 派 遣 契 約 の 法 的性 質 をめ ぐって 、 「自 己の 雇 用 す る労 働 者 の 労 働 力 の第 三 者 へ の 賃 貸 借 契 約 」(無 名 契 約)で あ る とす る有 力 見 解 が あ る。 民 法 第601条 は 、 「賃 貸 借 は、 当事 者 の 一 方 が あ る物 の 使用 及 び収 益 を相 手 方 に させ る こ とを 約 し、 相 手 方 が これ に対 しそ の 賃 料 を 支 払 う こ とを 約 す る こ とに よ っ て 、 そ の効 力 を生 ず る。」 と規 定 して い る。 そ こで 、 「あ る物 」 を 「雇 用 す る労 働者 の 労 働 力 」 に 置 き換 え 、 「雇 用 主 が 自己 の 雇 用 す る労 働 者 の 労 働 力 の 使 用 及 び 収 益 を相 手 方 に させ る こ とを約 し、 相 手 方 が こ れ に 対 して そ の 賃 料 を 支 払 う
こ と を約 す る こ とに よっ て そ の効 力 を生 ず る」 とす る と、 正 に 賃 貸 借 契 約 とな
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る と して い る。 しか し、 この 見 解 に組 す るに して も、 「あ る物 」 につ い て の 契約 、 っ ま り要 物 契 約 とされ て い る こ と、 ま た、 民 法 上 、 雇 用 契 約 に基 づ く労 働 力 の 賃 貸 に つ い て の規 定 が な い な どが 気 に な る。
第3に 、 労 働 者 派 遣 契 約 を、 商 法 上 の 労 務 請 負 契 約 の 一 種 で あ る とす る見 解 もあ る。 す な わ ち 、 所 定 の 労 働 者 の 派 遣 とい う仕 事 の完 成 と、 これ に対 す る報 酬 を定 め る労 務 請 負 契 約(商 法502条5号)の 一 種 で あ る と して い る。 しか し、
請 負 の場 合 は、 請 負 人 が 、 請 負 契 約 に基 づ き、 注 文 者 か ら仕 嚢 を請 け 負 い、 そ の 仕 事 の完 成 は、 請 負 人 の責 任 に お い て行 な わ れ る。 請 負 人 が その 仕 事 の 完 成 の た め に労 働 者 を雇 っ た 場 合 は 、 請 負 人 自身 が そ の 労 働 者 を 指 揮 命 令 し、注文
ゆ
者 が 直 接 労 働 者 を指 揮 命 令 す る こ とは な い 。
労 働 者 派 遣 契 約 は、 そ の 性 質 上 労 働 者 供 給 契 約 で あ る。 労 働 者 供 給 契 約 は、
民 法 上 、 雇 用(第623条)。 請 負(第632条)、 委 任(643条)な どに 見 られ るが 、 労 働 者 派 遣 の労 働 者 供 給 契 約 は 、 そ の よ うな 民 法 上 の 労 働 者 供 給 契 約 と区別 さ れ るべ き労 働 上 の 労 働 契 約 で あ る。 した が って 、 労 働 者 派 遣 契 約 は、 労 働 契 約 の概 念 に包 含 さ れ るべ き契 約 形 態 と して 、 「生 存 の 原 理 」 の視 点 か ら、 派 遣 労 働 者 保 護 を 図 っ て い くべ き もの と考 え る。
5派 遣 労 働 契 約 の 法 的性 質
派 遣 法 は 、 派 遣 元 が 派 遣 先 に 労働 者 派 遣 を行 う場 合 に は 、 「自 己 の雇 用 す る労 働 者 」で 、 「当該 雇 用 関 係 の 下 で 」行 な われ な けれ ばな らな い と規 定 して い る(第
2条1号)。 これ に よ り、 労 働 者 派 遣 に お い て は、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 との 間 に 、 雇 用 関 係 が成 立 して い な けれ ば な ら な い。 その た め に は、 両 者 の 間 で 、 労 働 契 約 を 締 結 しな けれ ば な ら な い。 雇 用 関 係 は 、 労 働 契 約 に よ っ て 成 立 す るか らで あ る。 しか し、 雇 用 関 係 は 、 必 ず し も労働 契 約 を 前 提 と して 成 立 す る とは 限 ら な い 。 これ に つ い て 、 「労 働 関係 は 、 労 働 契 約 を前 提 と して 成 立 す る とい わ れ る が 、 必 ず し もそ うで は な い。 個 別 的 労使 関係 は、 労 働 契 約 に よっ て 成 立 す るが 、 労 働 条 件 は、 労働 契 約 の 内 容 の み で は な く、 労 働 協 約 、 就 業 規 則 、 労 働 者 保 護 法 等 い わ ゆ る契 約 外 的 要 素 が 実 質 上 労 働 条 件 の 大 部 分 を 決 定 して い る の が 実 態
13)
で あ る」 との 指 摘 が あ る。
と こ ろで 、 労働 契 約 法 は 、 「労働 契約 は 、労 働 者 が 使 用 者 に使 用 され て労 働 し、
使 用 者 が これ につ い て 賃 金 を 支 払 う こ とに つ い て 、 労 働 者 及 び 使 用 者 が 合 意 す る こ とに よ っ て成 立 す る」 と規 定 して い る(第6条)。 本 条 は、 労 働 契 約 の成 立 につ いて 規 定 した もの で あ る。 これ と関連 して 、 民 法 は、 「雇 用 は、 当事 者 の 一 方 が 相 手 方 に対 して 労 働 に 従 事 す る こ とを約 し、 相 手 方 が これ に 対 して そ の 報 酬 を与 え る こ と を約 す る こ とに よ って その 効 力 を生 ず る。」 と規 定 して い る(第 623条)。 この 民 法 の 規 定 と労 働 契 約 法 の 規 定 は 、 同 旨 で あ る。 そ の 点 で 、 民 法
w)
上 の 雇 用 契 約 と労 働 契約 法 上 の 労 働 契 約 は 同 一 類 型 の 契 約 とい え る。 因 み に、
労 働 契 約 上 の 労 働 契 約 と労 動 基 準 法 上 の 労 働 契 約 も、 基 本 的 に は 同一 概 念 で あ
15)
る と さ れ て い る 。
労働者派遣の法理
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上 記 の 規 定 か ら、 民 法 及 び労 働 契 約 法 に よ り、労 働 契 約 とは 、① 労 働 者 が 使 用 者 に使 用 され て 労 働 し、 ② 使 用 者 が これ に対 して 賃 金 を支 払 う こ との 、労 働 者 と使 用 者 の 合 意 で あ る とい う こ とに な る。 ① は 、 直 接 雇 用 直 接 使 用 を意 味 し て い る。② は 、 労 働 対 賃 金 の 契 約 関 係 を意 味 して い る。
派 遣 労 働 契 約 で は、 労 働 者 が 、 派 遣 労 働 契 約 に よ っ て 派 遣 元 に雇 用 され 、 派 遣 元 に よ っ て 賃 金 が 支 払 わ れ る こ とに な っ て い るが 、 派 遣 先 の指 揮 命令 の 下 で 、 労 働 に従 事 す る こ と に な っ て い る。 派 遣 元 が 、 派 遣 労 働 者 と、 こ の よ う な派 遣 労 働 契 約 を締 結 す る際 に は、 派 遣 労 働 者 で あ る こ との 明示(第32条)、 す で に雇 用 して い る労 働 者 を派 遣 の 対 象 とす る と き は、 そ の 同 意 を得 る こ とが義 務 付 け られ て い る(同 条2項)。
こ の派 遣 労 働 契 約 に お い て は 、 最 初 か ら労 務 提 供 先 は、 第 三 者 で あ る派 遣 先 にな っ て い る。 これ を、 労 働 契 約 と比 較 す る と、 労 働 契 約 の 原 理 と もい うべ き 直 接 雇 用 直 接 使 用 の基 本 的 要 素 を欠 い て い る。 そ こで 、 こ の よ う な派 遣 労 働 契 約 は 、 労 働 契 約 で あ るか 否 か を め ぐっ て 、 その 法 的性 質 が 争 わ れ て い る。 これ
に つ い て は 、 学 説 上 い ま な お見 解 が 一 致 して い な い 。
派 遣 労 働 契 約 は 、労 働 契 約 で は な い とす る見 解 が あ る。 この 立 場 は、 「派 遣 労 働 者 が 、 そ の 雇 主 に対 し労 務 を 提 供 す る こ とは は じめ か ら予 定 され ず 、 相 手 方 で あ る雇 主 も その 労 務 を受 領 す る意 思 や 条 件 を備 え て い な い よ うな 契 約 は 、 そ
IG)
の ぞ も労 働 契 約 とよぶ に 値 しな い の で あ る。」 と して い る。 これ と同 じ立 場 に 、
「自 己の た め で は な く、他 人のた めに労務 を提供 せ しめ、 その対価 を支 払 うとい う場 合 、 労 働 契 約 の 内容 と して の 「労務 提 供 」 「賃 金 支 払 い 」 とは い え ず 、 した
しの
が っ て 派 遣 元 企 業 との 労 働 契 約 は成 立 せ ず 」 と い う見 解 が あ る。
これ に対 して 、 民 法625条1項 が使 用 者 か ら第三 者 へ の労 務 給 付請 求権 の譲 渡 を予 定 して い る こ とを 論 拠 に、 「民 法623条 の雇 用 は、 労 働 者 が 第 三 者 の 指 揮 命 令 下 で の 労 務 給 付 義 務 を使 用 者 に対 して 負 う場 合 を も包 摂 す る概 念 で あ る」 と
し ラ
して 、 派 遣 労 働 契 約 は 、雇 用 契 約(労 働 契 約)で あ る とす る見 解 が あ る。
ま た 、 民 法 第623条 の 「相 手 方 に 二 対 シ テ 」 は、 「労 務 に服 ス ル コ ト」 で は な く 「約 シ」(注 、 改 正 前)に か か っ て い る こ と、 雇 用 契約 は 、 労 務 提 供 と報 酬 の 対 価 関 係 が 成 立 して い れ ば 足 り、 「その 対 価 関 係 の形 成 が 、 第 三 者 の た め に第 三 者 へ の 提 供 を媒 介 と して な され るか ど うか は 問 う とこ ろで は な い。」 と して 、 派
ゆ
遣 労 働 契 約 も典 型 的契 約 と して の 雇 用 契 約 に含 ま れ る とす る見 解 もあ る。
さ らに 、 派 遣 労 働 関 係 は 、 「第 三 者 の た め の 契 約 」 で あ り、 これ を支 持 す る見
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解 も あ る。
典 型 的 な労 働 契 約 は 、 労 働 契 約 法 が規 定 す る よ う に、 「労 働 者 が 使 用 者 に使 用 され て 、 労 働 し」、 「使 用 者 が これ に対 して 賃 金 を 支 払 う こ とにつ い て 」、 「合 意 す る こ と に よ っ て 成 立 す る」(第6条)。 これ に よ る と、 直 接 雇 用 直 接 使 用 が 労 働 契 約 成 立 の 不 可 欠 の 要 素 に な っ て い る。 こ こで 、 直 接 使 用 とは 、 労 働 者 が 、 使 用 者 に 労 務 提 供 す る こ との 意 味 で あ る。 この 場 合 、 労 働 者 が 、 直 接 雇 用 主 で あ る使 用 者 に 労務 提 供 を す る こ とに 関 し、 労働 者 と使 用 者 との 間 で 、 第 三 者 へ の労 務 提 供 に つ いて 特 約 と して の 合 意 が あ れ ば 、 そ の 限 りに お い て 労 働 契 約 の 成 立 を是 認 して い くべ きで あ る。 労 働 者 の 労務 提 供 を 、 労 働 契 約 の 一 方 当 事 者 に 限 定 す る こ とは、 合 理 性 が な く、 派 遣 労 働 の 現 状 と合 致 しな い。 派 遣 労 働 契 約 は 、 現 状 認 識 に立 っ て 、 勇 働 契 約 概 念 に 包 摂 し、 生 存 の 原 理 の 視 点 か ら派 遣
労働 者 を保 護 して い くべ き と考 え る。
6指 揮 命 令権 の根 拠 と範 囲
派 遣 法 に よ る と、 労 働 者 派 遣 は 、 派 遣 元 が 、 自 己の 雇 用 す る 労働 者 を 、 その 雇 用 関係 の 下 で 、 派 遣 先 の 指 揮 命 令 を受 け て 労働 に従 事 に させ る こ とを い う と
して い る(第2条1号)。 労 働 者 派 遣 に お い て は 、 この よ うに雇 用 と使 用 が 分 離 さ れ 、 その 使 用 過 程 で 、 派 遣 先 が 指 揮 命 令 権 を有 し、 これ に対 して 派 遣 労 働 者 は 、 労 働 義 務 を 負 う こ と に な っ て い る。
この よ うな 労 働 者 派遣 に お い て 、 派 遣 労 働 者 に とっ て 重 要 な こ とは 、 派 遣 先 の 指 揮 命 令 権 と労 働 義務 の 関 係 で あ る。 そ こで 、 こ こで は 、 指 揮 命 令 権 とは な に か 、 そ の 性 格 、 根 拠 、 範 囲 に つ い て検 討 す る こ と に す る。
指 揮 命 令 権 とは な にか 。 一 般 に、 指 揮 命 令 権 とい う場 合 に は、 労 務 指 揮 命 令 権 、 就 労請 求 権 、業 務 命 令 権 、 指 揮 監 督 権 な どを 総 称 して い われ る。 労 働 者 派 遣 で 問 題 に な る指 揮 命 令 権 は、 派 遣 先 の 労務 指 揮 命 令 権 で あ る。 派 遣 法 は、 「他 人 の指 揮 命 令 を 受 け て 一 労 働 に従 事 させ る」 と規 定 して い る。 これ に よ り、
派 遣 先 が 労 務 指 揮 命 令 権 を 有 す る こ とが 明 白 で あ る。
労働者派遣の法理 6S 労 務 指 揮 命 令 権 の 意 味 や性 格 に つ い て は 、 い ろ い ろ な見 解 が あ る。 労 働 義 務 の具 体 的 内容(労 働 の客 体 ・時 間 ・場 所 ・態 様)を 一 方 的 に決 定 し変 更 す る こ
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との で き る形 成 権 とす る見 解 、 使 用 者 が 、 労 働 契 約 に も とづ き買 い 入 れ た従 業 員 の 労 働 力 を 自己 の 経 営 内 に配 置 し、 それ を 指 揮 ・支 配 す る権 限 で あ り、 これ に は 労務 配 置 の権 限(人 事権 な い し就 労 命 令 そ の 他 の業 務 命 令 の権 限)と 就 労
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従 業 員 に 対 す る労 務 指 揮 ・監 督 の権 限 の 二 つ が あ る とす る見 解 、労 働 契 約 に1,
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つ く労 働 力 の 包 括 的 処 分 権 で あ る とす る見 解 が あ る。 また 、 労 働 義 務 の 内容 を 特 定 し、 特 定 され た 労 働 義 務(労 働 契 約)内 容 を変 更 す る機 能 を 有 す る形 成 権
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とす る見 解 な どが あ る。 私 見 に お い て も、 労 務 指 揮 命 令 権 とは 、 労 働 契 約 で 合 意 さ れ た 労 働 義務 内 容 を 具 体 化 す る形 成 権 で あ る と解 して い る。 この 場 合 、 労 働 義 務 内 容 に は、 業 務 内容 、就 業場 所 、 労 働 時 間 な どの 労働 条 件 等 が 含 ま れ る。
上 記 の 意 味 や 性 格 を有 す る労 務 指 揮 命 令 権 の 根 拠 に つ い て は 、 これ を 労働 契 約 に 求 め るの が 通 説 見 解 で あ る。 た とえば 、 「労務 指 揮 権 は、 労 働 者 が 労 働 契 約 に よ っ て 労 働 力 の 処 分 権 を使 用 者 に 委 ね た こ とに よ っ て 使 用 者 が取 得 す る基 本
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的 な権 限 で あ る」 とさ れ て い る。 最 高 裁 の判 例 も、 業 務 命 令 権 に 関 して 、 そ の 法 的根 拠 を 「労 働 者 が そ の 労 働 力 の 処 分 を使 用 者 に委 ね る こ とを約 す る 労 働 契
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約 」 に 求 め て い る。 要 す る に、 使 用 者 の 労 務 指 揮 命 令 権 の 根 拠 は 、 使 用 者 と労 働 者 が 合 意 した 労 働 契 約 で あ る とい う こ とに な る。
以 上 の よ うな 労 務 指 揮 命 令 権 に つ い て の基 本 的 な考 え 方 に立 っ て 、 派 遣 労 働 契 約 につ い て検 討 して み よ う。 派遣 元 と派 遣 労 働 者 は、 労 働 者 派 遣 に 当 た っ て 、 派 遣 労 働 契 約 を締 結 す る。 派 遣 労 働 契 約 の 締 結 の 際 に は 、 派 遣 元 は 、 派 遣 労 働 者 に対 して派 遣 で あ る こ とを 明 示 す る義務 を 負 っ て い る(派 遣 法32条)。 この よ うな 派遣 労 働 契約 が 合 意 に よ り成 立 す る と、 派 遺 元 に指 揮 命 令 権 が 発 生 す る。
派 遣 元 の 指 揮 命 令 権 の主 た る 内容 は 、 派 遣 命 令 権 、 派 遣 先 決 定 ・変 更 権 、 派 遣 業 務 の決 定 ・変 更 権 な どで あ る。 い ず れ に せ よ、 派 遣 元 の指 揮 命 令権 の 根 拠 は 、 派 遣 労 働 契 約 で あ る。
派 遣 労 働 契 約 の 当 事 者 は 、 派 遣 元 と派 遣 労 働 者 で あ る。 した が っ て 、 派 遣 労 働 契 約 に よ り、 派 遣 労 働 者 に 対 す る労 務 指 揮 命 令 権 を取 得 す る の は 、 派 遣 元 で あ る。 と こ ろ が 、 労 働 者 派遣 に お い て は、 派 遣 先 も労 務 指 揮 命 令 権 を有 す る。
この 場 合 、 派 遣 先 は 、 衷 実 上 の 指 揮 命 令 を有 す る に過 ぎ な い とす るの は 、派 遣
先 の 指 揮 命 令 の下 で 労 働 に 従 事 させ る労 働 者 派 遣 制 度 の 趣 旨 と合 致 しな い。 派 遣 先 に も、 労 務 指 揮 命 令 権 を取 得 させ て こそ 、 労 働 者 派 遣 制 度 の 趣 旨 に沿 う も の で あ る。 そ うす る と、 契 約 当 事者 外 の派 遣 先 が 、 労 務 指 揮 命 令 権 を 取 得 す る 根 拠 は な に か とい う こ とが 問 題 に な る。
これ に つ いて は 、学 説 上 、 委 任 説 、 と譲 渡 説 が 対 立 して い る。 委 任 説 は 、 「派 遣 元 と労 働 者 の 契 約 に よ り派 遣 元 が 、 派 遣 先 の 指 揮 命 令 下 で 労 務 給 付 す る よ う に 労 働 者 に請 求 す る権 利 を取 得 す る。 そ して 、 労 働 者 派 遣 契 約 に お い て は、 派 遣 元 か ら派 遣 先 に、 労 働 契 約 に お け る労 務 給 付 請 求 権 の 不 可 欠 な随 伴 物 で あ る
指 揮 命 令 権 の 行 使 が委 任 され るの で あ る。」 と して い る。 委 任 説 は、 受 任 者 で あ る派 遣 先 が 、 委 任 者 で あ る派 遣 元 の 利 益 の た め に 労 務 指 揮 命 令 を行 使 し、 そ の 効 果 は派 遣 元 に及 ぶ とい う理 論 構 成 を す る こ とに な る。 しか し、 この 理 論 構 成 は 、 労 働 者 派 遣 の実 態 と整 合 しな い の で は な い か と い う懸念 が あ る。 これ に 対 して 、 譲 渡 説 は、 「派 遣 元 と派 遣 労 働 者 間 の 雇 用 契 約 に お け る、 労 働 者 派 遣 契 約 を介 して 派 遣 元 の 指 揮 命 令 権 を派 遣 先 に譲 渡 す る 旨 の合 意 を基 礎 と して 、 派 遣 先 と派 遣 元 間 の労 働 者 派 遣 契 約 に よっ て 派 遣 元 の 指 揮 命 令 権 が 派 遣 先 へ 移 行,
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帰 属 す る こ とに な る も の と解 す る。」 とす る見 解 で あ る。
派 遣 先 の 指 揮 命 令 権 は 、 直 接 派 遣 労 働 者 に行 使 され る もの で あ る こ とを考 え れ ば 、 派 遣 労 働 者 の 意 思 を無 視 す べ きで は な い。 派 遣 労 働 契 約 は、 派 遣 元 に よ っ て 、 派 遣 労 働 者 で あ る こ とが 明 示 され た 上 で 、 派 遣 労 働 者 と して 派 遣 先 で 労 働 に従 事 す る こ との 合 意 契 約 で あ り、 そ の 合 意 に よ り、 当 然 派 遣 先 の 指 揮 命 令 を 受 け て労 働 す る こ とが 契 約 内容 とな って い る。 派 遣 元 は 、 そ の 契 約 内容 に よ り、
派 遣 に 関 す る 指 揮 命 令 権 を 取 得 し、 その 指 揮 命 令 権 を 具 体 化 した も の が 労 働 者 派 遣 契 約 を介 した 派 遣 先 の 指 揮 命 令 権 で あ る。 そ の場 合 の 派 遣 先 の 指 揮 命 令 権 は、 最初 か ら派 遣 労 働 契 約 の 内容 と して合 意 され て お り、 そ こ に根 拠 が あ る と 考 え る。
派 遣 先 の指 揮 命 令 権 の範 囲 に つ いて も、 上 記 の考 え 方 に立 っ て 、 派 遣 労 働 契 約 で 合 意 さ れ た 範 囲 内 に 止 ま る と解 して い くべ き で あ る。
以 上 、 派 遣 先 の 指 揮 命 令 に つ い て 検 討 して き た が 、 こ の 間題 につ い て も、 労 働 者 派 遣 にお い て は、 「生 存 の原 理 」 に根 ざ した派 遣 労 働 者 の保 護 こ そ重 要 で あ
る こ とを銘 記 す べ き で あ る。