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量子論的化学反応理論

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Academic year: 2021

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理論化学・情報化学・計算化学

大項目 1. 理論化学 中項目 1-3. 化学反応 小項目 1-3-1. 化学反応理論

概要(200字以内)

化学反応についての基礎理論とその応用は、ある 程度の水準までは既に完成の域にあるが、現在の 高精度な実験データや時間依存の物性の解析には、

全く不充分である。従って今後は、量子論に基づ く新しい基礎理論の完成とその応用が不可欠と考 えられる。このような方向性の研究を進める事に、

より将来的には生体分子等の複雑な分子の化学反 応を、時間依存の量子論の枠組みの中で解明する 事が可能になると予測する。

現状と最前線

化学反応は、化学全体の中でも重要な研究主題の一つであり、理論化学においても様々な方 向から研究がなされてきた。化学反応についての代表的な基礎理論は、熱力学を応用した反応 速度論、更にはこれに統計力学的な概念を加味した遷移状態理論や RRKM 理論等が挙げられる。

これらの古典的な方法論は、すでに実用レベルで完成の域に達しており、理論化学のみならず 色々な分野の実験化学の解析手段としても広く使われている。理論化学においても、これらの 方法論を応用し様々な系の反応性を解析する研究が行なわれてきた。特にこれらの方法論で は、“生成系/反応系/遷移状態”或いはその途中における反応経路上の“分子構造とエネル ギー”が解析に必要充分な物性のため、高度な分子軌道計算を用い「如何にしてこれらの物性 を精度良く求めるか」と言う事に労力の多くが割かれてきた。

旧来の化学反応理 論 量子力学

半古典論 散乱理論 時間依存  : 反応速度論

遷移状態理論   :

生体系の化学反応への応用

確率論的解釈, 反応の多次元性 時間依存の物性, 量子ダイナミックス トンネル効果 ...

量子論的化学反応理論

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このよう努力は既に報われつつあり、現在では簡単な気相分子のみならず生体分子のように大 きく複雑な分子の関与する化学反応についても解析が可能になってきている。

しかしながらこれらの方法論は、あくまでも粗い近似の一つであり、また時間平均された統 計量のみで化学反応を記述しているに過ぎない。これは現在の高精度な実験データと対応させ たり、レーザー化学に代表されるような時間依存の物性の解析には、全く不充分な方法論であ る。このような問題に対応できる現代的な化学反応理論の構築の可能性は、約 30 年程前に W. H.

Miller 等により提案されている。これは半古典論的量子力学や量子散乱理論等の力を借りて、

上述の古典的な方法論を量子論的に再定式化する試みである。このような考え方は発表当時か ら現在まで、時期早々或いは現実的に応用できる問題が限られていると言う理由で化学全体の 中ではあまり注目を浴びなかったが、このような方向性の考え方を発展させその理論を完成さ せる事が、今後の理論化学の目指すべき重要な方向性の一つと考える。

将来予測と方向性

・ 5年後までに解決・実現が望まれる課題

「量子論に基づく新しい化学反応基礎理論の確立」

・10年後までに解決・実現が望まれる課題

「生体関連分子等の電子励起状態が関与した複雑な化学反応の理論解析」

キーワード

化学反応 ・ 基礎理論 ・ 量子力学 ・ 生体分子

(執筆者: 志田 典弘 )

参照

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