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柔道 の練習 における課題 に関す る研究

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(1)

秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門

56 pp.25‑31 2001

柔道 の練習 における課題 に関す る研究

一秋田大学柔道部の事例‑

戸 範 之

ASt udyonTa s ksi nJ udoPr a c t i c e : TheCa s eofAki t aUni v. J udoTe a m

NoriyukiSANNOHE

Abstra(:I

Thepurposeofthisstudywastoclarifywhichtaskswereeffectiveforalow‑skilledgrouptoim‑

provetheirjudoskill.Ⅰnthisstudy,thecaseofAkitaUniv.JudoTeam wasinvestigatedandaques tionnaireofthejudoskillwaspreparedtoassesachievementofthetasksontheteam.Eachmember oftheteam completedthequestionnairebyselfevaluation.Thedifferencesinachievementofthe tasksbetweenthehigh‑skilledgroupandthelow‑skilledonewereanalyzed,andthehigh‑Skilledgroup evaluatedthefollowing5itemssignificantlyhigherthanthelow‑Skilledone:(1)Thevarietyof nagewaza‑‑'rotationandstandingwithbothlegs:'non‑rotationandstandingwithbothlegs:and 'sutemiwaza'(2)Throwingdirectionofnagewaza

一'backward'and'tsuritedirection'(3)Thetech‑

niqueofaspecialtyinnagewaza‑‑'hikite(sleevedhand),‥taisabaki(bodyshifting),

'

and'kake(appli cation)'(4)Thetacticsinthrowing

一'henkawaza'(countertechnique)

,

‥movingthrow'and'throwon catching'(5)Thewayofdefense‑controllingofopponent'srearcollargrip.From thisresult,these itemscanberegardedasmoreimportanttasksthantheotherforthelow‑Skilledgrouptoimprovetheir skill.

は じめに

スポーツの練習における課題 について は, 「完成 され るべ き具 体 的 な運 動 」 とい う概 念 規 定 が み られ る (Kent,M.,1994)。様々なスポーツにおいて技能を向上 させ るうえで,練習において適切な課題を設定すること は重要 であると考え られる。竹内 (1979)が,柔道の攻 防において,「い くつかの技を身 につ け,連絡変化 のあ る攻めがで きるようにす る」 ことの重要性を指摘 してい るよ うに,柔道技能を向上 させ るために,技 は練習にお ける重要な課題 として位置づけられると考え られる。そ して投技の習得 に関 しては,技の掛 け方 (技術) につい て,投技を効果的に用いるための戦術についてなど,多 くの課題を設定す ることがで きる同様 に,固技の習得 に関 して も,様々な課題を設定す ることができる。 この ように柔道 の練習においては,多 くの課題設定の可能性 があるなかで,効果的な指導や練習を行 い技能を向上 さ

せ るためには,重要性が高 い課題を選択 して用いる必要 があると考える

これまでの研究では,競技内容について分析す ること により,課題 の選択 に関 して考察 した ものがみ られ る (野瀬 はか,1988;三戸,1985;辻原 はか,1988)。 しか しなが ら,練習における課題 について習熟度を分析す る ことにより,課題の選択 について考察 した ものはみ られ

な い 。

ところで秋田大学柔道部 は, い くつかの課題を設定 し た練習に取 り組んでお り,表1に示す とお り,近年 の各 種大会では優れた成績を残 している。表2は,平成12 度秋田大学柔道部員の,大学入学後の東北学生柔道体重 別選手権大会 における成績の推移である。表2によると, 学年が進むに従い,競技成績が向上 している傾向があり, 大学入学後に柔道技能が向上 している様子 を うかが うこ

とがで きる。 しか しなが ら, このよ うななかで も,競技 成績が高い者 (技能上位群) と高 くない者 (技能下位群)

(2)

秋田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 第

56

に分 ける ことがで き,両者 には,練習 にお ける課題 の習 熟度 に,差 が あ ると考 え ることがで きる

o

技能上位群 が 下位群 に比 べ,高 い習熟度 を示す課題 は・技能下位群 が 技能 を向上 させ るために,重要性 が高 い と考 え られ る

0

本研究 の 目的 は,秋 田大学柔道部 の事例 を と りあげ, 技能上位群 と下位群 につ いて課題 における習熟度 の差 を 分析 す ることによ り,技能下位群 が柔道技能 を向上 させ るために重要 とな る,練習 にお ける課題 を明 らか にす る ことで あ る

本研究 で は,秋 田大学柔道部 の練習 にお け る課題 を もとに,柔道技能 に関す る調査票 を作成 し, こ の調査票 を用 いた 自己評価 か ら,練習 における課題 の習 熟度 を推定 す ることとす る。

1

近年 の秋 田大学柔道部競技成績

平 ・東北学生柔道優勝大会 出場)

4

位 ( 全日本学生柔道優勝大会 成 ・東北学生柔道体重別団体優勝大会3 位 ( 全日本学生柔

ll

道体重別団体優勝大会出場)

年 ・東北学生柔道体重別選手権大会

2

名優勝 ( 全日本学生 皮 柔道体重別選手権大会

3

名出場)

・全国国立大学柔道優勝大会

3

辛 ・東北学生柔道優勝大会 出場)

2

位 ( 全日本学生柔道優勝大会 成 ・東北学生柔道体重別団体優勝大会 1位 ( 全日本学生柔

12

道体重別団体優勝大会

2

回戦進出)

年 ・東北学生柔道体重別選手権大会

5

名優勝 ( 全日本学生 皮 柔道体重別選手権大会

6

名出場)

2

秋 田大学柔道部員の東北学生柔道 体重別選手権大会 での成績 の推移

1

2

3

4

1 4

1

回戦

3

2 4

3

位 ベス ト

8 3 4

3

2

4 3

1

回戦

2

回戦

5 3

2

回戦 1回戦

6 3

年 ベス ト

8

優勝

7 3

年 出場せず

3

8 3

年 ベス ト

8

1回戦

9 2

2

回戦

3

10 2

3

位 優勝

11 2

年 ベス ト

8

ベス ト

8 12 2

年 1回戦 ベス ト

8 13 2

2

位 出場せず

14 1

1

回戦

15 1

3

16 1

1

回戦

勝 勝 勝 優 優 優

8

勝 位 位

位 位 勝 位 優

23

32

3

方法

1

調査対象

秋 田大学 柔道部員

16

名。 この うち,平成12 年度全 日本 学生 柔道体重別選手権大会 に出場 した

6

名を技能上位群,

その他 を技能下位群 とす る。

2

調査期 日 平成

12

1117

3

調査方 法

調査票 を用 いて,課題 の習熟度 につ いて 自己評価 させ る。 回答 は,

5

段階 の評定尺度 とす る 。

4 調査項 目

秋 田大学 柔道部 の練習 において設定 されている,投技, 固技, お よび戦術等 につ いての課題 か ら調査項 目を選択 す る。

( 1 ) 投技

( 丑投技 の種類 ( 技 の グループか ら)

a

回転 ・両足支持

b

回転 ・片足支持

C

非 回転 ・両足 支持

d

非 回転 ・片足支持

e

捨身技

②投技 の種類 ( 投 げ る方 向)

a

b後 ろ C

引 き手

d

釣 り手

③得意技 の技術

a

引 き手 の技術 ( 方 向, タイ ミング, 強 さ)

b

釣 り手 の技術 ( 方 向, タイ ミング,強 さ) C体 さばきの技術 : 足 の運 びか た ( 方 向, タイ ミング,速 さ)

d

掛 けの技 術 ( 方 向, タイ ミング,強 さ)

(2)

投技 の戦 術

( 丑連絡技 ②変化技 ③移動 しなが らの投技 ④ フェイ ン トか らの投技 ⑤組 際 の投技

( 3) 投技 にお ける防御技術

①技 の受 け方 ( 腰 を出 し,腹 で相手 の技 を受 ける)

② 引 き手 を絞 られた ときの対処 ( 絞 られた引 き手 を切 り 放 す。 また は これを利用 して技 を掛 ける)

③奥襟 を握 られた ときの対処 ( 奥襟 を握 られ た とき,相 手 の釣 り手 を切 り放 す。 または,十分 な間合 いを とる) ( 4) 投技 にお ける基本動作

①継 ぎ足 ② す り足 ③相 四つでの組 み方 ④ 喧嘩 四つ での組 み方 ⑤姿勢

( 5) 固技

①抑込技 ② 関節技 ③絞技 ( 6) 国技 の攻撃技術

① 引 き込 んだ とき ② 引 き込 まれ た とき ③相手 が四つ んばいの とき ④相手 が腹這 いの とき ⑤足 の抜 き方 ( 7) 固技 にお ける防御技術 ( 仰 向 けに返 され ない)

5

調査 の客観性

日常指導 を行 って いる指導者 が柔道技能 に関す る調査

票 を用 いて,対象者 につ いて課題 にお け る習熟度 の評価

を行 い, この得点 と対象者の自己評価得点 との比較 を行 っ

た。各項 目における両者 の評価得点 の平均 につ いて対応

(3)

三戸 :柔道の練習における課題に関する研究

のあるデータとしてT検定を行 った結果,平均の差 は, 35項 目中4項 目が5%水準で有意であった。1項 目が10

%水準で有意傾向があ った。残 りの30項 目では,平均の 差 は有意ではな く,両者の評価 は一致 しているとす るこ とがで きる.柔道技能調査票の両評価の一致度 は,85.7

%である本研究 における柔道技能調査票の客観性 は高 いと考え られ ることか ら, 自己評価得点の値を,課題 に おける習熟度 とみな し分析,および考察を行いたい。

結果 と考察

1投技の習得 (1)投技の種類

三戸 ら (1999)による運動構造を視点 とした投技の分 類 による立技の4つのグループと 「捨身技」,合計5 の投技のグループか ら,それぞれ最 も得意な投技 につい て習熟度を評価 した。運動構造 を視点 とした立技の4つ のグループは,「回転 ・両足支持」系の技 が, 体落, 育 負落,背負投,一本背負投,大腰,釣込腰,柚釣込腰, 釣腰,腰車, および浮腰,「回転 ・片足支持」系の技が, 足車,大草,払腰,跳腰,山嵐,および内股,非回転 ・ 両足支持」系の技が,浮落,隅落,掬投,双手刈,帯落, 朽木倒,鍾返,肩車,および後腰

,

非回転 ・片足支持」

系 の技が,膝車,支釣込足,大外刈,大内刈,小内刈, 中外刈,大外車,大外落,出足払,送足払,払釣込足, および中外掛である

捨身技」 は, 講道館 によ り定 め られた,跳巻込,払巻込,大外巻込,外巻込,内巻込, 内股巻込,川津掛,引込返,隅返,俵返,巴投,裏投, 抱分,谷落,浮技,横掛,横車,槙落,積分,および蟹 挟 とした。

評価 は,「5非常 に得意 (乱取 りや試合でよく掛かる),

「4得意 (乱取 りや試合 で ときどき掛 か る)」,「3普通

(掛 けるが,乱取 りや試合ではあまり掛か らない)」,「2

あまり得意ではない (練習 は しているが,乱取 りや試合 ではほとん ど掛 けることがで きない)」,「1練習 してい

ない」の5段階による。

1は,投技の5つのグループにおいて,それぞれ最 も得意 な投技の習熟度 について,技能上位群 と技能下位 群 の評価得点の平均を示 した ものである

。 t

検定の結果, 両群 の平均の差が有意であ ったのは,「回転 ・両足支持」

(t(9)‑2.40,P<.05),「非 回転 ・両足支持」 系 (t (14)‑3.05,P<.01),および 「捨身技」 (t(14)‑2.95, P<.01)である。 したが って,図 1によると 「回転 ・両 足支持」系の投技,「非回転 ・両足支持」 系 の投技, お よび 「捨身技」 についての習熟度 は,技能上位群が下位 群 に比べ高 いと言える。投技の種類で は, 「回転 ・両足 支持」系の投技,「非回転 ・両足支持」 系 の投技, およ

び 「捨身技」 は,技能下位群 にとって,練習における重 要 な課題になると考え られ る。

次 に,取 り (技を掛 ける者)を基準 と

し,

「前」,「後 ろ」,「引 き手」方向,および 「釣 り手」方向 と投 げる4 つの方向を設定 した。それぞれの方向に投げる投技のな かで,最 も得意 な投技 について習熟度を評価 した。評価 は,「5非常 に得意 (乱取 りや試合でよ く掛か る)」,「4 得意 (乱取 りや試合でときどき掛かる)」,「3普通 ( けるが,乱取 りや試合ではあまり掛か らない)」,「2 まり得意ではない (練習 はしているが,乱取 りや試合で はほとんど掛 けることができない),「1練習 して いな い」の5段階による

2は,投げる方向 ごとに最 も得意 な投技の習熟度に ついて,技能上位群 と下位群の評価得点の平均を示 した ものである t検定の結果,両群の平均の差が有意であっ たのは,「後 ろ」(t(14)‑2.05,P<.05),および 「釣 り 手」方向 (t(14)‑4.02,P<.01)である。 したが って, 2によると 「後ろ」,および 「釣 り手」 方 向 に投 げ る 投技 についての習熟度 は,技能上位群が下位群 に比べ高 いと言える投技の方向では,後 ろ」,および 「釣 り手」

方向に投 げる投技 は,技能下位群 にとって,練習 におけ る重要な課題 になると考え られ る。

1,および図2によると,技能上位群が下位群 に比 べ, より多 くの種類の投技や,多 くの方向に投 げる投技 について習熟度が高いと言える。和田 (1989)は,柔道 などのオープンスキルに要求 され ることと して, 「予測 的行為」をあげている また,Schmidt(1988)は, 刺 激 一反応時間の選択肢の増加 に伴い反応が遅延す ること を示す 「ヒックの法則」が, スポーツの技能 に適用で き ることを指摘 している。種類の異なる投技を用いて攻撃 したり,異 なる方向の技を用いて攻撃す ることは,防御 のための技の予測を困難に し,防御動作の反応時間を遅

★ ★ ★

4

535

2 5 1 5 0

3.2.

1 . 0 . 噸

7

′ \

L

㌔へ 〜‑ I / \

\ ‑

/

/ \ ヽ

空 桝 叫 艦 ・ 脳 回 虻 州 叫 吐 ・ 脳 回 空 似 叫 僅 ・ 姫 回 嵩 せ 3E 叫

・ 蛸 回 嵩

★ ★p<. 01,★ p<. 05

1 投技の習得 (技のグループか ら)

一 ■ 一 上 位

‑ I ‑ 下 位

(4)

秋 田大学教育文化学部研究紀要 教育科学部門 第

56

54535

2

5150432105.

**

●.

\ /

\ 二 ‑一 、 ●

ー上 位 ー下 位

前 後 ろ 引き手 釣 り手

★★p<.01.★pく.05

2 投技の習得 (技方向) 延 させ る効果があると考え られる

( 2)

得意技 の技術

三戸 ら (1999)は, マイネルの局面構造の概念を柔道 投技 に適用 し,準備局面 は 「崩 し」および 「作 り」の局 面,主要局面 は 「掛 け」の局面 として とらえることがで きることを明 らかに した。準備局面 における 「崩 し」の 技術 として

,

「引 き手」および 「釣 り手」の技術

,

作 り」

の技術 として 「体 さばき :足の運 び方」の技術をとりあ げ,評価対象 とした。最 も得意 な投技 にお ける, 「引 き 手」

,

釣 り手」,「体 さばき :足の運 び方」, および 「掛

け」の技術 について,習熟度を評価 した。 評価 は,「5

方向, タイ ミング,強 さ (速 さ)が十分」,「4方向, タ イ ミング,強 さ (速 さ)の うち2つが十分」,「3方向, タイ ミング,強 さ (速 さ)の うち 1つは十分」,「2方向, タイ ミング,強 さ (速 さ) とも十分ではない」,「1方法 について理解 していない」の5段階による。

3は,最 も得意 な投技の技術 における習熟度につい て,技能上位群 と下位群の評価得点の平均を示 したもの である。t検定の結果,両群の平均の差が有意であった のは,「引 き手

」 ( t

(14)‑2.28,P<.05), 「体 さば き : 足の運 び方

」 ( t

(14)‑2.57,P<.05), および 「掛 け」

( t

(14)‑3.03,P<.01)である したが って,図3によ ると 「引 き手」

,

髄 さばき ・.足の運び方」, および 「 け」 の技術についての習熟度 は,技能上位群が下位群 に 比べ高 いと言え る得意技 における 「引 き手」,「体 さば き :足の運 び方」,および 「掛 け」の技術 は, 技能下位 群 にとって,練習における重要 な課題 になると考え られ

る。

( 3)

投技を用いた戦術

三戸 ら (1999)は,柔道 における投技を用いた戦術に は,「連絡技」,「変化技」,「様々な動作 (押 す, 引 く, 回す,横へ移動,静止,組みなが ら,など)か らの投技」, および 「フェイ ン トか らの投技」があることを明 らかに

している。「連絡技」

,

変化技」,「移動 (前, 後 ろ, 引

き手方向, または釣 り手方向)か らの投技」,「フェイ ン トか らの投技」,および 「組際の投技」 につ いて, 最 も 得意 な方法の習熟度を評価 した。評価 は,「5非常 に得 意 (乱取 りや試合でよ く掛か る)」,「4得意 (乱取 りや 試合で ときどき掛かる)」,「3普通 (掛 け るが, 乱取 り や試合ではあまり掛か らない)」,「2あ ま り得意 で はな い (練習 はしているが,乱取 りや試合ではほとん ど掛 け ることができない)」,「1練習 していない」 の5段階 に よる。

★ ★

4

Ln35

2

515

0

320.5

.

★ ★

+ / . / ー 、 、 ‑ 1 ト ー ‑ . ▼ ̲ 〟‑ ●

引き手 釣 り手 体さばき 掛 け

★★pく.01,p<.05

3 投技の技術

4

は,投技を用いた戦術の習熟度 について,技能上 位群 と下位群の評価得点 の平均 を示 した ものであ る。

変化技

」 ( t

(14)‑2.68,P<.05), 「移動 か らの投技」

( t

(14)‑2.41,P<.05),および 「組際の投技

」( t

(14)‑

2.50,P<.05)である したが って,図4によると 「変 化技」

,

移動か らの投技」,および 「組 際の投技」 につ いての習熟度 は,技能上位群が下位群 に比べ高 いと言え 投技を用いた戦術では,「変化技」, 「移動 か らの投 技」, および 「組際の投技

は,技能下位群 に とって, 練習における重要な課題 になると考え られ る

変化技」 は,相手の投技か ら自分の技 に変化す るも ので,「返 し技」 も含 まれる

変化技」 を施す ことは, 防御か ら攻撃 に移行することにより,攻撃 の機会 をよ り

4.5

4

3.5 3 2.5 2 1.5 1 0.5

0

◆ ★

ノ■‑

連格技 変化技 移動か ら フ ェイ ン ト 粗鯨

p<.05

4 投技を用いた戦術

ー上 位

ー下 位

(5)

三戸 :柔道の練習における課題 に関する研究

多 くす る効果があると考え られる

変化技」 は, 相手 の投技 を利用す ることか ら,相手が投技を掛 けに くくな

るとい う心理的効果 もあると考え られる。

移動か らの投技」を施す ことは,移動 によってより 効果的に崩 しを行 う効果 が あ ると考 え られ る また,

組際の投技」を施す ことは,相手 の防御動作 を行 いに くくさせ る効果があると考え られ る。

(4)防御技術

投技の防御技術のなかで

,

技の受 け方」, 「引 き手 を 絞 られたときの対処」,および 「奥襟 を取 られた ときの 対処」 をとりあげ,習熟度を評価 した。 「技 の受 け方」

は,腰を出 し,腹で相手の技を受 けること, 「引 き手 を 絞 られたときの対処」 は,絞 られた引き手を切 り放すか,

またはこれを利用 して技を掛 けること, 「奥襟 を握 られ たときの対処」 は,奥襟を握 られたとき,相手の釣 り手 を切 り放すか, または,十分 な間合いをとることとした。

評価 は,「5方向, タイ ミング,強 さ (速 さ)が十分」,

「4方向, タイ ミング,強 さ (速 さ)のうち2つが十分」,

「3方向, タイ ミング,強 さ (速 さ)のうち1つは十分」,

「2方向, タイ ミング,強 さ (速 さ) とも十分ではない」,

「1方法 について理解 していない5段階による

5は,投技の防御技術の習熟度 について,技能上位 群 と下位群の評価得点の平均を示 した ものである。

t

定の結果,両群の平均の差が有意であ ったの は, 「奥襟 を取 られたときの対処

」 ( t

(14)‑3.15,P<.05)である。

したが って,図5によると 「奥襟を取 られたときの対処」

につ いての習熟度 は,技能上位群が下位群 に比べ高 いと 言 え る投技の防御技術では,「奥襟 を取 られた ときの 対処

は,技能下位群 にとって,練習における重要な課 題 になると考え られる

奥襟を取 られたときの対処」の技術 は,相手の釣 り

4

535

2

515

0

320

i

.̲̲̲‑.,

?

lJ W 心 堪 %

?lJW

g 岸 畑

ii

★pく.01

5 投技防御技術

手を切 り離 して相手の攻撃の機会を減 らし,十分な間合 いをとり自分が攻撃 しやすい体勢をつ くる効果があると 考え られる。

( 5)

基本動作

投技 における基本動作のなかで

,

体 さば き」, 「組 み 方」,および 「姿勢」 について習熟度を評価 した。「体 さ ばき」 は具体的な動作 として 「継 ぎ足」および 「す り足」,

組み方」 は具体的な方法 として 「相 四つでの組 み方」

および 「喧嘩四つでの組み方」を評価対象とした。なお,

相四つでの組み方」 とは,両者 とも右組 み, また は左 組みでの組み方を,「喧嘩四つでの組み方」 とは, 一方 が石組み,他方が左組 みでの組 み方 を示す。 評価 は,

「5いっで も動作がで きる」,「4動作 はで きるが, 相手 により動作が不 自然になる」,「3動作が不 自然 にな りが ちだが,考えなが ら行 うと動作がで きることがあ る」,

「2方法 は理解 しているが,動作がで きない」,「1方法 について理解 していない」の5段階による。

6は,投技の基本動作の習熟度 について,技能上位 群 と下位群の評価得点の平均を示 した ものであ。

t

検定 の結果,両群の平均の差が有意傾向で あ ったの は, 「相 四つでの組 み方

」 ( t(

ll.51)1.91,P<.10)であ る。

したが って,図6によると 「相四つでの組み方」 は,技 能下位群 にとって,練習における重要 な課題 にな りうる

と考え られる。 また,技能上位群が組み方の習熟度が高 い傾向を示す ことは,三戸 (1994)が競技成績の低 い者 は,組み方が安定 しないことを指摘 していること一致す

5

4

535

2

51504320.

I

(C ・巴 守

)火

希 望 (C ・Ea 曹 轡

)欠

格 専

Ip<.10

6 投技における基本動作

ー上 位 ー下 位

2国技の習得 (1)固技

固技 における,「抑込技」,「関節技」,および 「絞技」

のなかで,それぞれ最 も得意な技 について習熟度を評価

(6)

秋 田大学教育 文 化学部 研究紀要 教 育科学部 門 第

56

した。評価 は,「5非常 に得意 (乱取 りや試合 で よ く決 まる)」,「4得意 (乱取 りや試合でときどき決 まる)」,

「3普通 (掛 けるが,乱取 りや試合 で はあま り決 ま らな い)」,「2あまり得意ではない (練習 は してい るが,乱 取 りや試合ではほとんど掛 けることがで きない)」,「1 練習 していない」の5段階による

7は,国技の習熟度について,技能上位群 と下位群 の評価得点の平均を示 した ものである。t検定の結果, 両群の平均の差が有意であった ものはなか った。次 に, 2要因分散分析を行 った結果,技の要因の主効果が有意 であ った (F(2,28)‑6.46,P<.01)。多重比較の結果,

「抑込技」 と 「関節技

の差 が有意 で あ った (Mse‑

0.77,5%水準)。 したが って,図7によると技能上位, および下位の両群 とも,抑込技 についての習熟度 は,他 の国技 に比べ高 いと言える。

技能上位, および下位の両群 とも,「抑込技」 の習熟 度が他の技 より高 いことは,国技の練習 において, 「抑 込技」がより重視 されていると考え られ る

シ ドニ ー五

輪 における決 まり技 をみると,合わせ技を除 き,48試合 で固技が決 まり技 となってお り,その内訳 は 「抑込技」

が34試合

,

関節技」が8試合

,

絞技」が6試合である (小山ほか,2000)。 このように試合においては,固技の なかで,「抑込技」の効果が高い傾向がみ られ る した が って,固技の練習において,「抑込技

を重視 す るこ とは,柔道技能向上のために適切であると考え られる

4

53525150320.

、、●\

\1

㌔ ‑ ‑ ●

ー上 位 ー下 位

抑込技 的節技 絞技

7 国技の習得

( 2)

攻撃技術

固技 の攻撃技術 について,「引 き込んだ とき」, 「引 き 込 まれ た とき」, 「相手 が四つん這 いの とき」, および

相手が腹這 いのとき」の4つの状況 における攻撃技術 と 「足の抜 き方」 について,習熟度を評価 した。評価は,

「5非常 に得意 (乱取 りや試合でよ く決 まる)」,「4得意 (乱取 りや試合で ときどき決 まる)」,「3普通 (掛けるが, 乱取 りや試合ではあまり決 まらない)」,「2あま り得意 ではない (練習 はしているが,乱取 りや試合ではほとん ど掛 けることがで きない)」,「1練習 して いない」 の5 段階による。

8は,国技の攻撃技術の習熟度 について,技能上位 群 と下位群の評価得点の平均を示 した ものである t 定の結果,両群 の平均 の差 が有意傾向で あ ったの は,

相手が四つん這 いのとき」の攻撃技術

( t

(14)1.78, P<.10)である。 したが って,図8によると 「相手が四 つん這 いのとき」の攻撃技術 についての習熟度 は,技能 上位群が下位群 に比べ高 い傾向であると言える。国技の 攻撃技術では,「相手が四つん這 いの とき」 の攻撃技術 は,技能下位群 にとって,練習における重要 な課題 にな りうると考え られる

試合では,「寝技 において,明 らかな進展がないとき」

は 「待て」が適用 される (全 日本柔道連盟,2000)。 そ のため寝技で不利 になった場合,四つん這 いや腹這 いの 体勢か ら,「待て」を待つ場合が多 くあ ると考 え る。 たが って,四つん這 いや腹這 いに対す る攻撃技術 につい て習熟することは,試合において多 くの攻撃 の機会を得 ることがで きると考える

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8 国技の攻撃方法

ー 上

+ 一 下

( 3)

防御技術

国技の防衛技術のなかで,四つん這 い, もしくは腹這 いの体勢で,相手 に攻撃 されたとき,仰向けに返 されな いよ うにす る動作について,習熟度を評価 した。評価は,

「5防御を固めると, ほとんど返 らない」,「4防御 を固

めて も, ときには返 ることがある」,「3防衛動作 はで き るが, ほとんど返 る」,「2方法 は理解 しているが,防御 動作ができない」,「1方法について理解 していない

5段階による。図9は,国技 における防御技術の習熟度 について,技能上位群 と下位群の評価得点の平均 を示 し たものである t検定の結果,両群の平均の差 は有意傾

( t

(14)1.78,P<.10)で あ った。 したが って, 図 9によると四つん這 い, もしくは腹這 いか ら,仰向けに 返 されないようにす る動作 は,技能下位群 にとって,練 習における重要な課題 にな りうると考えることができる

四つん這 いや腹這 いの体勢か ら,仰向けに返 されない ようにすることは,相手の抑込技を防 ぐことがで きる。

(7)

三戸 :柔道の練習における課題に関す る研究

しか しなが ら,四つん這 いや腹這 いの体勢 は,相手 に背 を向けることか ら,攻撃 には適 さないことが指摘できる。

相手 に背後か ら攻撃 された場合で も,防御か ら攻撃 に変 化す るためには,相手 と向かい合 い,引 き込みの体勢 と なる動作があ り, これについて も練習 における課題 とす ることがで きると考え る

上位

9 国技防御技術

下位

p<.10

おわ リに

本研究では,秋 田大学柔道学部 の事例を とりあげ,課 題 における習熟度 について分析を行 うことにより,技能 下位群 が柔道技能を向上 させ るために重要 となる,練習 における課題を明 らかに した。課題 における習熟度 は, 柔道技能 に関す る調査票を用いて調査 した。

技能上位群 と下位群 において,習熟度 に有意 な差がみ られた課題 は,投技 の種類では

,

回転 ・両足支持」系,

非回転 ・両足支持」系, および 「捨身技」,投 げる方向 で は,「後 ろ」, および 「釣 り手」方向への投技,得意技 の技術では,「引 き手」,「体 さば き」, および 「掛 け」の 技術,投技 の戦術で は,「変化技」,「移動か らの投技」, および 「組際の投技」,投技 の防御技術では

,

奥襟を取 られた ときの対処」である これ らの課題 は,技能下位 群が技能 を向上 させ るために,重要であると考え られる。

また,習熟度 の差 に有意 な傾向がみ られたのは,基本動

作では

,

相四つで の組 み方」, 固技 の攻撃技 術 で は,

相手が四つん這 いのとき

の攻撃技 術, お よび固技 の 防御技術である。 これ らの課題 は,技能下位群が技能を 向上 させ るために,重要 にな りうると考 え られ る。固技 においては,技能上位, および下位 の両群 と も, 「抑込 技」 の習熟度が 「関節技」や 「絞技」 より高 いとい う知 見が得 られた。試合では,固技 のなかで 「抑込技」が決 まり技 となる傾向が高 い ことか ら

,

「抑込技」 を重視 し た練習 は適切であると指摘で きる。

本研究では,技能下位群が柔道技能を向上 させ るため に重要 となる,練習 における課題 について明 らかにした。

技能上位群が さらに柔道技能 を向上 させ るための,練習 における課題 について明 らかにす ることは,今後 の研究 の課題であると考える。

文献

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シ ドニーオ リンピック柔道競技, 柔道

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(1994)

大学における柔道部の指導 一秋田大学の場合 一, 柔道

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辻原謙太郎 ・井浦吉彦 ・野瀬清書 ・竹 内善徳

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竹 内善徳

(1979)

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全 日本柔道連盟

(2000)

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参照

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