茨城大学教育学部教育研究所紀要第25号(1993)89・一・96 89
茨城県内中学校における木材加工教育に関する実態調査*
一新学習指導要領による実践について一 佐藤英雄**
はじめに
中学校の学習指導要領が改訂され,平成5年度から完全実施される。技術・家庭科は木材加工,電 気,家庭生活,食物の4領域については,すべての生徒に共通に履修させるようになり,その他の領 域は生徒の興味・関心に応じて履修させるようになった。木材加工は,従来,「木材加工1」では木工 具を使用した加工学習を,さらに「木材加工2」では木工機械を取り入れた加工学習を行なってきた が,改訂では両者が一本化され,履修学年が第1学年で35単位時間を標準とし,男女共学の形態で 行なうことになった。これを受けて,平成3年度から第1学年の移行処置が実施されており,木材加 工は既に新学習指導要領に基づいて実施されている。しかし,その実践については各学校でいろい ろと工夫されてはいるものの,一本化された内容の指導計画や展開について試行錯誤をしているの が現状である。
そこで本研究では,茨城県内の中学校の技術・家庭科教師を対象として,新学習指導要領による木 材加工教育の実践状況についてアンケート調査を行い,これからの木材加工教育のあり方を検討す
るための基礎資料を得ようとした。
1.調査方法と内容
茨:城県内の中学校232校の中から100校を無作為抽出し,平成3年IO月にアンケート調査用紙を各 中学校に1部郵送した。回収は郵送によって行ない,回収率は78%(回収校は78校)であった。
調査項目は,①履修学年と授業時間数②製作する題材(数決定方法,配当時間),③材料,④ 製図,⑤木工具の準備および使用状況⑥のこぎりおよびかんなの指導内容,⑦かんなの研磨⑧ 木工機械の設備と使用状況,⑨接合方法などである。
2。調査結果および考察
(1)履修学年と授業時間数
新学習指導要領では前述したように,木材加工の履修学年と授業時数は「第1学年で35単位時
*本報告の一部は,第35回日本産業技術教育学会全国大会(1992年8月三重)において発表した。
艸茨城大学教育学部
② 製作する題材の数
1人の生徒が授業のなかで製作する題材の数(図1)は,1つが最も 多く55.1%で過半数を占め,次いで2つが33.3%,3つが115%であ つた。技術・家庭科の改訂の要点の一つに「実践的・体験的な学習 の一層の充実を図り,仕事の楽しさや完成の喜びを体験させるよう
内容を構成する」とあり,また,木材加工の内容の取り扱いのなか □1) 園2つ 翻3つ では,「木工具については,のこぎりとかんなを重点的に取り上げ 図竃製作する題材の数 るものとする」と説明されているD。のこぎりやかんなは技能を伴
うものであり繰り返し使用させる場の設定が必要と思われる。茨城%
県では約45%の学校が2一一3の複数題材を製作している。複数の題材 6G は,内容の系統的指導が可能であり,興味・関心,意欲などに持続 5G 性を持たせることが期待できる。ただし,複数の題材を扱うに当って 40 は各題材毎の綿密な指導内容の検討と指導計画の立案が必要である。
3B なお,以下の項においては「題材が3つの場合」における調査結 20
間を標準とする」とされているが,敢えてこの項目について調査したのは,「木材加工」や「家庭生 活」を二学年にまたがって指導するような指導計画も考えられるとの情報があったためである。し かし,得られた結果は,全ての学校で第1学年で35時間扱いで行なつ
果は,実施している学校が少ないため省略する。
(3)題材名
題材が1っの場合(図2)は「本立て」が53%と最も多く,次いで 「マルチボックス」および「カセットラック」,「マガジンラック」等 何れも板材を用いた賦物である。角材使用の題材は数%であった。
題材が2っの場合(表1),第1題材は「ペンスタンド」(23校)が 最も多く,次いで「コースター」(9校),「レターラック」(5校)等 で,後述する材料の項によると何れも問伐材を使用した題材が多い。
第2題材は「本立て」(14校),「カセッ トラック」(13校),「マガジンラック」
(11校)等である。第1題材と第2題材 の組合せでは,第1題材に「ペンスタ ンド」を製作し,その時の第2題材に は「本立て」が最も多く,次いで「マ ガジンラック」,「カセットラック」,
「マルチボックス」等である。一方,学 校によっては第1題材に「本立て」や
「マルチボックス」を製作しているとこ ろもあった。
0 1
その他なべしき
折たたみ腰掛け
補助テーブル
サービス盆
マガジンラック
カッセトラック
マルチボックス
本立て
図2 題材が1つの場合 における題材名
工1製作題材が2っの場合における題材名とその組合せ 数字は校数
第 2 題 材
本立て マルチ
{ックス カセット 堰@ッ ク
マガジン 堰@ッ ク
サービス
@盆
補 助 eーブル
折りたた
ン腰掛 その他
ペ ン
Xタンド 7 3 4 5 1 3
コースター 3 2 2 2
鍵かけ 1 1 1
カセット
堰@ッ ク 1 1 1
第 一 題 材
レター堰@ッ ク 2 2 1
サービス盆 1 1 正
1
本立て 互 1 1
マルチ{ックス 1 2
その他 2 1 1
佐藤:茨城県内中学校における木材加工教育に関する実態調査 91
重する決定方法をとっている学校が多い。
(5>題材への配当時間
製作題材が複数の場合における各題材 の配当時間について,題材が2つの場合 (図4)は,第1題材への配当時間は少なく (平均IO時間),導入題材的な位置付けを しており,第2題材に多くの時問を配し,重 点を置いた展開をしている(平均20時間)。
⑥ 使用している材料の種類と樹種
(4)題材の決定方法(図3)
題材が1っの場合は50%以上が「決められた材料,
条件の中から自由に決定」という方法で行なってお り,生徒の主体性を尊重した決定方法をとっている。
しかし,「全員同一題材」という相反する方法をとつ ている学校も約35%あった。
題材が2つの場合における第一一一一mp材は,生徒が主 体的に決定しているのは合わせて58%あり,残り 42%は全員同一題材であった。第2題材では「全員同 一題材」は僅か4%で大多数(96%)が生徒に主体性を 持たせた決定方法で行なっている。製作する題材の 決定方法は,全体的には生徒の主体性を尊
日数 16
0 20 40
ヨロ モ
題材が1つの場合
loe %
第1題材 第2題材
題材が2つの場合
0決められた材料、条件の中から自由に決定 懸いくつかの題材の中から選択
圓生徒が自由に決定 圏全員同一題材
図3 題材の決定方法
f1
20 4自 60 80 106
耐耐
π ¶ 『 一 需 肝 ノ
[1]第1題材
O第2題材
1/s fi I一
一T wl[] lr5 n 20 21.?5 v3Cj 一 Ci.?5
時閻 図4 題材が2つの場合の配当時間
使用している材料の種類を図5に,樹種を図6に示す。題材が1つの場合は,大部分である959・(43校中 41校)が板材を
使用しており,そ の樹種の主なも のはアガチスが
最も多く(53%),
次いでカツラ
(28%)である。
題材が2つの 場合は,第1題 材では間伐材ま
論︒器翻器墾唱 kgg:甜::ii10
第重題材 第1題材 第2題材
題材が!っの場合 題材が2つの場合
臼 こコ 綱 匿コ 板材 角材 閻伐材 合板
図5 使用している材料
⑪OBBOG簿$ 00000%65召321
第1題材 題材が1つの場合 男ゴチス、吊。ξ聾黒
一
■ 一 π 唖 一 学 一 一 一
辱 x 一
旧 π
第1題材 第2題材
題材が2つの場合
囮 劉 ff] 園 セン ツガ ラワン その他
たは板材を使用し,樹種はスギが54%と群を抜いた使用率である。第2題材はカツラ,
スギ等の板材である。
材料は全体的には板材中心で比較的加工が容易な樹種を使用し,ラワンの使用はほとんどない。
また,角材の使用は非常に少なく,新指導要領になって加工内容が後退していることを示している。
間伐材は複数の題材を製作している35校のうち23校(全体の29。5%)が使用しており,前回(平 成元年1月)の調査2>ではほとんど使用されてなかった間伐材が教材として有効であることが認識 されてきたことの表れと思われる。
図6 使用している樹種 アガチス,
(7)材料の入手方法(図7)
題材が1つの場合は大部分(86%)が教材店 より購入しており,その内21%はキットであ る。キット教材は,生徒の創意工夫の場が少な く,また学習内容が少ないなどの指摘があり,
その使用に当たっては十分検討する必要があ るだろう。
複数の題材を製作する場合,後で製作する 題材は「教材店より素材で購入」という率が高 かった。
材料の入手は全体的に,
⑧製図について
e 2fi dO 6C so vae%
第1題材 第2単材 e
題材が1つの場合
2e 4S 60 8g ..lg8%
〜〜〜こごこr−s一
題材が2つの場合
〔1教材店より素材で購入 圧} 教材店よりキットで購入 田 材木店より素材で購入 國 その他
図7 材料の入手方法
「教材店から素材で購入」という学校が多くを占めている。
製図に当てる時間の平均(表2)は,題材が1っの場合は5時間,
材の数に関係なく約5時闇の計画で行なわれている。
製図の図法(図8)はキャビネット図が最も多く(78%),次いで等角 図が72%,第三角法を行なっている学校は半数以下(44%)である。こ の結果は・製作図として第三 表2 製図に当てる時闘
角法で表す必要性のない単純 な題材が多くなっていること を示すものであろう。
⑨木工具(図9)
木工具の中でほぼ全員の生 徒が使用しているのは,「のこ
2っの場合は5.1時間であり,題
題材が一つの場合
平均時間 5 .0
0%旭
80
題材が2つの場合
第1題材 第2題材
1 .4 3 .7
60 40 20
ぎり」「かんな」「げんのう」「さしがね」「四つ目錐」の5種類でる。図8
「直角定規」は55%と少い使用率であるが,直角の計測には「さしがね」が代用されているものと 思われる。「のみ」類は題材に角材を使用する学校が少ないため使用率が低くなっているものと思 われる。生徒に準備㌔
させている木工具の 主なものは,「のこ ぎり」が70%と最高 で,次いで「かんな」
(6L5%),「げんの
う」(52.6%),「四つ
目錐」(50%),「さし
がね」(47.4%)の5 種類である。この結
臼臼OOO臼臼606987654321
g
等 ネキ 第 角 ツヤ 三 図 トビ 角 図 法
製図で行っている図法
﹇Hトu一 ﹇1︑.:1
果は使用率の高い工具とほぼ同じであり,
ているという傾向がある。その他の工具は個人持ちの割合が少なかった。
木材加工が一本化され,時問数の削減や男女共学になり,木工具の個人持ちが,以前より減少し
のこぎり かんな げんのう さしがね 四つ自錐直角定規 けびき 追入のみ 向待のみ くぎぬき [コ [コ
生徒使用生徒準備
図9 生徒が使用する工具および準備する工具
「くぎぬき」以外の使用率の高い工具は個人所有にさせ
佐藤:茨城県内中学校における木材加工教育に関する実態調査 93
ているように思われるが,学校の工具を使用させる場合には,特に刃物類などは,使用頻度の増加 に伴い,摩耗や刃先の欠損などが生じやすくなるので教師側で手入れを十分に行なっておく必要が ある。切れ味の悪い工具では,本来の木材加工教育ができないばかりでなく生徒の学習意欲にも直 接影響し,怪我もしゃすくなる。
(10)のこぎりの指導内容(図IO)
ほぼ全校で指導している内容は,のこぎりびきの実践に関わる事項,および構造に関する事項で,
主として切削原理に関わる内容である。一方,指導実施率の低い内容は,「のこ漏話」「のこ身幅」
「のこぎりの種類」などである。「のこ 身厚」「のこ身幅」などは合理的な切削㌔
灘とそのしくみにおいて重要な事項91 であり,触れる必要がある内容であろ 7il 66 う。 s9
(11)かんなの指導内容(図ll) 器 かんなは指導してない学校が3校あll つたた:め,のこぎりのように指導実施率 o が100%という項目はない。
主として,かんな削りの実践に関わ る内容は高い実施率である。しかし,
「裏金」や「裏金の働き」は指導するが %
「裏金の調節」や「灘の引込劉につ1
I:
いては指導しない学校がある。これは 8E ?a 「平面削り」と「裏金の引き込み量」が 6g ほぼ同率であることから,平面削りを sa 4臼 行なっていない学校では裏金の調節や 30 引き仏語を指導していないと翻珪でll
きる。
「かんな台の下端」は,かんな削りに おいて重要な役割を果たしているにも かかわらず他の項目に比べ低い値
田 n
︸材の固定
引き一角
引き終り
引き始め爾手びき
片手びき
筆入れ方目の位置
持ち方姿勢
縦横刃便のこ種類
のこ身幅
のこ身厚構びき刃
縦びき刃あさり
一
図10のこぎりの指導内容
魯削り木□削り
こば削り平面遡り
穐
刃の出量
刃出し入裏金調節
裏金込量
裏金役割逆引削り
順目削り
鉋の種類
台の下端
裏金かんな身
嚢
図11 かんなの指導内容
(53%)であった。「角材削り」は10%以下であり,角材を扱う学校が少ないことを示している。
⑫ かんなの研磨実習
木材加工の授業の中で,かんなの研磨実習を行なっているのは,3.8%(3校)と極めて少ない結果 (図12)であった。しかし,行なうと回答した学校でも指導計画のなかに位置付けてはなく,必要 に応じて行なっていると付け加えられてあったことから,ほとんど行なわれていないようである。
o 2g ae 6a se lgg %かんなの研磨実習に関する最近の調査とし
て,福岡県(6.1%)3)と広島県(10%)4)の報告が
あるが,この調査は移行期間前(平成2年1月
)とはいえ,最近の中学校の実態を示す結果 と言えよう。
□ 團 行なう 行なわず
図12 かんなの研磨実習
かんなの研磨実習を行なわない理由(図13)は,「時間がない」が88%と圧倒的に多く,「必要性 ない」が11%と低いことから,教師は研磨実習の必要性は認めているものの時問が足りなくて行 っていないようで
ある。刃物は使用 すれば必ず摩耗す るものであり,指 導書には「刃物は,
よく切れることが 効果的な加工をす る前提条件である から,刃物の手入れ や調整をすること の大切さを理解さ せる」5)と指摘され
%日o
sg
6a 4g 2g
%60
4g
20
時 必 危 そ
禦鐘撃電
奮盗ill
図13かんなの研:磨実習を 行なわない理由
その他そのまま
生徒が研ぐ
業者に依頼
先生が研ぐ なれ合切場がたなつんなかく
韓
図 %9fi
80
7fi
68 sg 4e 30 2910
c 荒砥石 中砥石 仕上砥石
図15 砥石の設置状況
ており,木材加工の指導計画のなかに位置付けることを望むものである。
かんなが切れなくなった場合(図14)は,「先生が研ぐ」(59%)または「業者に依頼」(44%)して おり,「そのまま使用」という学校も2.69・(2校)存在した。
砥石の設置状況(図16)は,荒砥,中砥,仕上げ砥のいずれの砥石においても80%以上の学校が 設置しており,設置数はそれぞれ平均で3個であった。しかし,砥石は全く設置していないという 学校が9%(7校)あった。
⑬木工機械の設置状況と生徒の使用状況
主要な木工機械(自動二二丸鋸盤i,角のみ盤糸鋸盤,ボール盤)の設置率は90%以上である (図16)。これは広島県6)や福岡県7)の調査結果とほぼ同じであった。文部省の通達8)により生徒の 使用が禁止されている「手押鉋盤」は,最も少なく29%であった。レかし,手押鉋盤の用途を考 えると,教師側からは設置を望む機械であろう。
生徒の使用状況を見ると,移 行措置が実施されてから大幅に10Br 減少したのは「角のみ盤」であ9C る。これは,角材の使用が減少80 70 したたあであろう。一方,糸鋸 6G 盤とボール盤の使用率は以前と 59 ほとんど変りはなかった。丸鋸4e 盤は危険度が高いためか,移行30 措置の前から低い使用率であ29 る。木工機械を全く使用しない ID
と答えた学校も14校あった。 O藤髄盤 丸の撚 齢み盤 糸のこ盤 熊ノレ盤 刃物研盤 手押耀
(14)接合方法 □ [コ 魍 投備 現在侵i用 荊使用 接合方法(図17)は,「平打ち
付けi接ぎ」が962%(75校)と圧 図16木工機i械の設備状況と生徒の使用状況
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一■一
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佐藤:茨城県内中学校における木材加工教育に関する実態調査 95
倒的に多く,
角材接合に用いられる「ほぞ接ぎ」や「相欠き接ぎ」な どは,従来は「木材加工2」のなかで,ほどんどの学校で行 なっていたが,移行措置後は行なっている学校が非常に少 なくなっている。
平打ち付け接ぎは最も単純な接合方法であり,小学校の 図工の既習内容や,さらに中学生が行なう接合方法である ことを考えると,平打ち付け接ぎよりやや高度な接合方法 をもっと積極的に取り入れるべきであろう。
⑮教師の意見
アンケートに協力していただいた先生方から多くの意見 が寄せられた。その主なものを次に示す。
問題点
その他の接合方法を行なっている学校は非常に少なかった。
00BOOOOOGO糠
%098?654321 口
栢欠き接ほぞ接ぎ補強金其3枚組接2枚組接触打付接図17 接合方法 ・時間が少ないため角材加工が行なえず,従来の「木材加工1」程度しか実践できなくて物足り ない生徒が見られる。
・木工具を学校で揃えるようにしたが,多くの生徒が使用するので,のこぎりとかんなの傷みが 激しくて困っている。
工夫点
・複数題材にして,実践的・体験的な学習の充実を計り,製作意欲を持続させたいと考えた。
・導入題材で間伐材を用いて自由に製作させ,生徒の興味・関心を引き付けるようにしている。
・木工具を個人持ちにしているが,木材加工の35時問だけでなく,電気や機械領域の製作の中 でも使用できるように,他領域の題材を工夫している。
その他
・女子は男子以上に興味を持って取り組んでおり,丁寧に仕上げるので立派な作品ができる。
・角材加工を題材に取り入れられるよう,板材との融合題材を検討している。
まとめ
新学習指導要領に基づいた木材加工教育の実践について,移行措置初年度である平成3年10月に,
茨城県内中学校の技術・家庭科担当教師を対象として,アンケート調査を実施し,次のような結果が 得られた。
1)木材加工は何れの学校においても,指導要領の「標準」通り第1学年で35時間の計画で行なわ れていた。
2)製作する題材の数は1つが55.1%と最も多く,2つが33.3%,3つが115%であった。
3)製作する題材は,1つの場合「本立て」が最も多く,次いで「マルチボックス」,「カセットラ ック」,「マガジンラック」等であり,2っの場合は第1題材に「ペンスタンド」で第2題材に「本 立て」の組合せが多かった。
4)題材の決定方法は「決められた材料,条件の中から自由に決定」するが多くを占め,生徒の自 主性主体性を尊重した決定方法をとっている学校が多かった。
5)複数の題材を製作している場合の配当時間は,最初に製作する題材より後で製作する題材に対 して多くの時間をかけている学校が多かった。
6)使用材料は板材が圧倒的に多く,樹種は「アガチス」や「カツラ」など加工しやすいものが多 かった。複数題材の場合における第1題材は「スギ」や「ヒノキ」の間伐材の使用が多かった。
7)製図に当てる時闇は約5時間で,図法は「キャビネット図」または「等角図」が多かった。
8)木工具のなかでほぼ全員が使用しているのは「のこぎり」「かんな」「げんのう」「さしがね」「四 っ目錐」の5種類であった。また,これらの工具は生徒の個人持ちが多く,その所持率は50〜70%
であった。
9)「のこぎり」および「かんな」に関する指導内容の実施率は,主として使用の実際に関する事項 が高かった。
10)かんなの研磨実習は指導計画のなかにほとんど位置付けられてなく,その理由として「時間が ない」を上げている。切れなくなった場合は「先生が研ぐ」(59%),または「業者に頼む」(44%)
であり,「生徒が研ぐ」は120/・であった。
11)砥石は80%以上の学校で荒・中・仕上げ砥石を設置しており,平均で各々3個ずつ備えていた。
12)木工機械の「自動鉋盤」「丸鋸盤」「角のみ盤」「糸鋸盤」「ボール盤」の設置率は90%以上あり,
角のみ盤の生徒の使用率は従来より著しく後退しているが,糸鋸盤やボール盤はほとんど変わり がなかった。
13)接合法は最も単純な接合法である「平打ち付け接ぎ」が大部分(96%)であった。
謝 辞
本研究を行なうにあたり,アンケート調査に協力して頂いた茨城県内の技術・家庭科の先生方に対し 感謝申し上げます。また,本研究に対し協力された砂押誕生君に厚くお礼を申し上げます。
文 献
1)文部省『中学校指導書技術・家庭編』比感堂(1989)
2)佐藤英雄他「間伐材使用による中学校の木材加工教育における題材と教材性について」『茨城大 学教育学部教育研究所紀要』第23号,pp.113 一123(1991)
3)井上裕之他「福岡県下中学校における木材加工実習に関する実態調査」『福岡教育大学紀要』第 40号,第4分冊,pp.359 一 367(1991)
4)番匠谷薫他「広島県内中学校における木材加工実習に関する実態調査」『広島大学学校教育学部 紀要』第1部,第14巻,pp.111−121(1992)
5)前掲書1)pp.18
6)番匠谷薫他「広島県内中学校技術科教師の木材の機械加工学習に対する意識調査」『広島大学教 育実践研究指導センター紀要』第4号,pp.131−139(1992)
7)井上裕之他「福岡県内中学校における木材の機械加工学習に対する教師の意識調査」『福岡教育 大学紀要』第41号,第4分冊,pp.425−432(1992)
8)文部省通達「中学校技術e家庭科における工作機械の使用による事故防止について」(1968)