り51
原 著 :秋田大学 医短紀要 6( 2):1 45‑1 5 2,1 9 98.
小児看護学実習 における保育園実習の効果 一 時期 による学生 の学 びの比較 ‑
平 元 泉* 野 村 誠 子 * 石 井 範 子 *
TheEf f ec t sofNur s er y Pr ac t i c eon Chi l d Nur s i ng Educat i on
I zumiHI RAMOTO*sei ko NoMURA*Nor i ko l s HI I *
Ⅰ. は じめに
小児看護学 では,「 小児 の成長発達 を理解 し, あ らゆる健康 レベルの個 々の健康上の問題 を解 決 し,成長発達 を促すための,小児 とその家族
‑援助する能力 を養 う」 ことを教授 目標 に して いる。子 どもの健康 に関す るすべての問題への 対応が含 まれてお り,健康 に障害がある子 ども だけではな く,健康 な子 どもに対す る健康の保 持増進の働 きかけが必要である。 したが って, 小児看護学実習 において,病棟 のみではな く, 外来や保育園 ・幼稚 園など多様 な場での実習が 行 われている。特 に保育園実習は
, 9割の学校
で取 り入れていると報告 されている1 ) 。 一方,小児人口の減少や入院期 間の短縮化 な どにより,実習施設の不足が問題 となっている 傾向にある。秋田大学医療技術短期大学部 ( 以 下,本学) において も,小児科病棟 での学生が 集中 しない ような配慮が必要 となっている。そ のため
, 3週間の実習期間の うち
, 1週 目と
3週 目に分散 させて,保育園実習 を行 っている
。保育園実習は,病院実習 に先立 って行われるこ とが望 ま しい とされている
2)が,病 院実習後の 保育園実習 について も,学びの差異 はない とい
う報告 もある3 ) 0
そこで,本調査 において,保育園実習の時期 による学生の学 びに違いがあるかを明 らかに し, 効果的な実習方法 について検討す ることを目的
とする。
Ⅱ. 調査方法
1)対象 :秋 田大学医療技術短期大学部看護 学科 3 年生82 名 ( 女子7 8 名,男子 4 名) の うち,平成 9 年度小児看護学実習で, 1 週 目と3 週 目に保育園実習 を行 った7 0 名 ( 女子66 名,男子 4 名)。
2
)方法 :小児看護学実習最終 日に,質問紙 により 「 子 どもに対す る見方の変化の有 無」 について調査 した。 また,「 保育園
秋 田大学医療技術短期大学部
*看護学科
Ke yWo r ds: 小児看護学実習、保育園実習
(16)
小児看護学実習における保育園実習の効果
実習 で役立 ったこと」 について 自由記載 させ た。学生 の背景 との関連 を把握す る ため記名式 とした。
3) 分析方法 :子 どもに対す る見方の変化 の 有無 について, 1週 目に実習 を行 った学 生 ( 以下 ,A 群) , 3 週 目に実習 を行 っ た学 生 ( 以 下
,B群) の
2群 につ い て
x 2
検 定 を用 い て比較 した。 また, 自由 記述 については,文章 または段落 を対象 に類似す る内容 を分類 した。その中で共 通 した内容 の もの をまとめて項 目名 を付 けた。次 いで,各項 目毎 の記述件数 につ い て
,A・B群 で
x2 検 定 を用 いて比較
した。
Ⅲ.
保育園実習の概要
1.臨床実習 にお ける小児看護学実習の位置 づけ
本学の臨床実習 は
, 1年次 に基礎看護 Ⅰ実習
45時間
, 2年次 に基礎看護 Ⅱ実習
90時間があ り,
3
年次 に成 人 ・老 人看護学実習
630時 間,母性 看護学実習 1 35 時間,小児看護学実習 1 35 時間が 行 われる 。 7 カ所 のブロ ックで,それぞれ 3 週 間の実習が 4 月か ら11月 までの期 間に組 まれて いる。その他 に地域保健実習 と老人施設実習各
45時間 を夏季休暇前 に行 っている。
2. 小児看護学実習 と保育園実習 との関連 実習病棟 は秋 田大学医学部附属病院の小児科 病棟 1 ヶ所 のみである 。 1 回の実習学生数 は 1 1
‑12
名 である
。 3週 間の実習 の うち
1週 間は保 育園実習 と外来実習 とし,病棟 での実習 は
2週 間である。病棟 での実習が 2 週 間継続 で きるよ うに,保育園実習 と外 来実習 は 1 週 目と 3 週 目 に組 み入 れている。 ただ し,保育園の都合で
2週 目に行 う場合 もある。学生 は
5‑6名の
2グ ループに分かれて実習 している。
3. 保育園実習の 目的 ・目標 お よび方法 1) 目的 :乳幼児 とのかかわ りを通 して,
健康 な乳幼児 を理解す る。
(2
)成長発達 に応 じた保育の実際 を学 ぶ 。
3 )方法 :
(1)実習期 間
:2日間
(2
)実習時間 :8 時
30分
‑16時
30分 (3 )実習施設 :秋 田市 内保育園 ( 3 カ
所 の うちのいずれか 1 施設 に予 め 学生 を配置)
(4 )実習方法 :
(
丑0歳 〜 5歳児 までのいずれかの クラ ス を受 け持 ち,担 当保母 の指導 を受 けなが ら保育 に参加す る。
②受 け持 ち以外 のクラスの保育状況お よび児 の観察 は見学 によって補 う。
( 参2 日目にカンファレンス を行 う。
( む所 定 の保 育 園実 習記 録 用 紙 (B 5 版) に記録 し,教員 に提 出す る
。Ⅳ.
結 果
回答者 数 は
70名 ( 有効 回答率
100%)であ っ た。
1.学生 の背景
1年次の小児看護学 の講義開始前 に,同胞 の 有無,子 どもとの接触経験 の有無 ( 「 今 まで子 どもと親 しい関わ りを持 った経験 があるか
」),子 どもに対す る気持 ち ( 好 き,嫌い, どち らで もない) について,質問紙 による調査 を実施 し た。その結果,同胞 の有無 については表 1の通
りであった。一人 っ子 は 2 名 (3 %) と少 な く,
A・B
群 に有意 な差 はみ られなかった。
子 どもとの接触経験 で は,経験が ない と答 え た者 は 5 名 (7 %)のみで, ほ とん どの学生 は なん らかの接触経験 を持 ってお り,有意 な差 は なか った ( 表 2)0
子 どもに対す る気持 ちについては,表 3の通 りであ った。 どち らで もないお よび嫌い と答 え た者 は全体 では
13名
(19%)であった。両群 に 有意 な差 はなかった ( 表
3 ) 0病 院実習 における学生 の受 け持 ち患児 につい
平 元 泉 ・野 村 誠 子 ・石 井 範 子
表
1学生の背景 ( 同胞の有無)
単 位 :人 兄 姉 弟 妹 兄 姉 弟 妹 同 胞 な し 計
A 群
3 12 19 0 34B
群
4 8 22 2 36計
7 20 41 2 70( ) 全 体 の %
表
2子 どもとの接触経験の有無
単 位 :人
有 り 無 し 無 回 答 計
A
群
32 2 0 34B 群
31 3 2 36計
63 5 2 70( ) 全 体 の %
表
3子 どもに対 する気持 ち
単 位 :人 好 き どちらでもない 嫌 い 無 回 答 計
A
群
28 3 3 0 34B 群
28 5 21
36計
56 8 5 1 70( ) 全 体 の %
表
4病院実習 における受 け持 ち患児 単 位 :人
乳 児 幼 児 学 童 計
A
群
6 17ll
34B 群
13 14 9 36計
19 31 20 70( ) 全 体 の %
(17)
(18)
小児看護学実習 にお ける保育 園実習の効果
表
5実習後の子 どもに対 する見方の変化 単 位 :人 変 化 あ り どちらでもない 変 化 な し 計
A 群
20 5 9 34B 群
25 6 5 36計
45ll
14 70( ) 全 体 の %
表
6自由記述の項 目と記述数
項 目 記 述 数
1)乳 幼 児 の̲ 成 長 発 達 の 特 徴 の 理 解
(3363)2)
成 長 発 達 に 応 じ た 保 育 の 理 解
(4329)3
)保 育 園 の 意 義 に 対 す る 理 解
(8)84)
病 児 と の 関 わ り 方
(2220)2.
小児看護学実習後の子 どもに対す る見方 について ( 表
5)3 週間の実習 を終了 した時点で,子 どもに対 す る見方が実習前 と比較 して変化 した者 は45 名
(64%) で あ っ た 。 どち らで もな い が 11名
(160/o
),変化 しないが1
4名
(20%)で あった。
両群 に有意 な差 はなか った。
3. 保育園実習が役 だった ことについて ( 表 6
・7)記述件数 は
,A群57 件, B群51 件 ,合計1
08件 であった。
記述内容 を分析 した結果, 1)乳幼児の成長 発達の理解 , 2) 成長発達 に応 じた保育 の理解,
3 )保育園の意義 に対す る理解 , 4) 病児 との
( )%
青の理解42 (
39%),乳幼児の成長発達の理解
36 (33%),病児 との関わ り方 に対す る理解22
(20%)
, 保 育 園 の 意 義 の理 解 につ い て
8(8%) の順 であった。
各項 目毎 に
A・B群 の記 述 内容 を比較 した 結果,以下の通 りであった。
1 )乳幼児の成長発達の理解
記述 内容 は (1)各年齢 に応 じた成長発達 の理解 , (2) 子 ども本 来 の姿 の理解 , (3) 個 人差 の理解 , (4) 遊 び と子 ども , (5) け んか と子 ども, な どであ った。項 目全体 の記 述件数 は
,A群1
8 (32%),B群1
8 (35%)で 有意 な差 はなか った。
2 )成長発達 に応 じた保育の理解
記述件数は
A群25 (
44%), B群17 (33%)平 元 泉 ・ 野 村 誠 子 ・石 井 範 子
表
7保 育 園 実 習 が役 だ っ た こ と
記
述 件数
記述項 目 / 記 述 内宍 E
A 群l B群 1 )乳 幼 児の成長発蓬の特徴の理 解
( 1) 各 年 齢に応 じた成長発達の理 解
121 0
( 2) 子 と も本来の安の理解
13
( 3) 個 人 差の理解
01
( 4) 遊 び と子 どもの理解
52
( 5) け ん か と子 ども
001
1( 6) そ の 他
・ 現 代の子 どもの考え方
計 18 18
' 2)成長発意 に応 じた保育の理解 ( 1) 成長発達 に応 じた しつけの しかた
6 5( 2) 遊びの援助
1306 09
3・保母か ら教 えて も らった折 り紙や廃材利用のお もちやが役だった
・年齢に応 じた遊ばせ方の活用
・集団遊びへの活用
(3)子 どもとの接 し方 .姿勢
・乳幼児への接 し方の理解
・積極的に話 しかけることがで きるようになった
・子 どもへの免疫がついた
・人見知 りの子 どもベの接 し方
・子 どもの 目線で見た り考えた りすること
・あや し方
・子 どもの言 うこ とをゆっ くり聞いてあげること ができるようになった
( 4) 健康な子 どもに対する看護の必要性の理解
・健康 な子 どもに対する成長発達 を促 す援助の必 要性の理解
・すべての子 どもに成 長発達に 応 じた 世話が必 計 25 要 17
3)保育園の意義 に対 する理解
43 01(1) 保母 と子 ども
・保母の関わ り方 ( 2 ) 集団保育の特徴
・基本的生活習慣の確立が早い
・集団で生捕す ることや奄流の重要性
計 7■ 1
4) 病児 との関わ り万 に対す る理欝
007 366(1) 看護婦の関わ り方
・母親 と協力 しあ うことの重要性
・個々の子 どもの性格や個人差 を考えて接するあ たたかさが保母よ り不足
・子 どもとの信頼関係が保母 よ り不足
(2)病児 との接 し方
・健康な子 どもとの共通点を探 り対処法を考える こと
・健康な子 どもの発達 を基 に病児 を観察すること
・病児の本来いるはずの環境 を念頭に近づける努 力をすること
・病児 も健康であればこうだろうと考えなが ら行 動で きた
・病児の発達 を促すための援助
・回復への援助が具体的にイメージで きた
・健康な子 どもと同様に厳 しくする必要がある事
(3) 病児への思い
・恵児への看護の影響の大 きさ実感 した
・患児ががんばっている姿に感動 し、接する気持 ちが変 わっ た
計 7 15 ★
(19)
(20)
小児看護学実習における保育園実習の効果
援助
, (3)子 どもとの接 し方 ・姿勢
, (4)健 康 な子 どもに対す る看護の必要性の理解の
4つ であった。記述内容毎 にみ る と,「 遊びへの援 助」 について記述 したのは
A群のみ
13で
,B群 には見 られなか った。 また,「 健康 な子 どもに 対す る看護の必要性の理解」 についての記述が み られたのは
B群のみ
3であった。項 目全体の 記述件数では差 は認め られなかったが,学びの 内容 には違いが認め られた。
3)保育園の意義 に対する理解
記 述 件 数 は
, A群 が
7 (12%)で
B群
1(2 %) よ りも有意 に多かった
(p<. 05 ) 。記 述内容は, (1)保母の関わ り方
, (2)集団保 育の特徴 ,であった。「 保母 は子 どもが心 を開 くような接 し方 を してい る と思 った」 な ど,
「 保母の関わ り方」 について記述が見 られたの は
A群のみ
4であった。
4)
病児 との関わ り方
記 述 件 数 は
, A群
7 (12%), B群 が
15( 3 0%) で
,B群 の記述数が有意 に多 か った
(p<. 05 ) 。記述 内容 は, (1)看護婦 の関わ り方
, (2)病児 との接 し方
, (3)病児への思 い,であった。「 看護婦 の関わ り方」 について, 記述が見 られたのは
B群のみ
3であった。 また,
「 患児が,がんばっている姿 に感動 し,接する 気持 ちが変わった」 など 「 病児‑の思い」 につ いて記述が見 られたの もB 群のみ 6 であった。
Ⅴ.
考 察
1.学生の学 びに関連する要因について 本調査 は,保育園実習の時期が,学生の学習 効果 に影響 を及ぼすかを明 らかに しようとする ものである。 したがって,学生の学習効果 と関 連があるとみなされる他の要因 として,学生の 背景 ( 同胞 の有無,子 どもとの接触経験)や子 どもに対する気持 ち,小児看護学実習 における 受け持 ち患児 について も調査 を行 った。以下,
これ らの要因について分析する。
1 )学生の背景
る
4)。一方,木村
5)は子 どもとの接触経験 の有 無 とは関連 しない と報告 している。本調査では 同胞数は調査 しなかったが,いわゆる一人っ子 は
2名のみ と少 なかった。約
7割の学生 は弟妹 がいることか ら, 自分 より年下の者 との接触経 験があると推測 される。子 どもとの接触経験の 有無では経験がない者が 5 名のみで,前述の木 村の調査 よりもその割合が少 なかった
。2 )子 どもに対する気持 ち
看護学生の子 どもに対す る情動反応 について, 木村 の調査 では,「 子 どもが嫌い」 とい う者の 割合 は1 6%6 ) , 田淵 らの調査 で は, 「どち らと もいえない ・嫌 い」 の割合 は約2 0%7 ) とい う結 果が報告 されている。本調査 において も, どち
らで もない ・嫌い とい う学生の割合 は約2 0%で, ほぼ同様の結果であった。 この結果 を多い と見 るかは意見の分かれるところで もあるが,子 ど もを主な対象 とする小児看護学の教授 において, この ような学生が存在す ることを念頭 に置いた 指導が必要であると考 えられる。
3
)小児看護学実習 における受 け持 ち患児 について
小児看護学実習では,実習期 間中に原則 とし て 1 名の患児 を受け持 ち,看護過程 を展 開す る。
対象 となる小児 は,主 に乳児 ・幼児 ・学童であ る。 どの発達段階の患児 を受け持つかによって, 学習内容が異 なるのは当然であろう。小児の特 徴 を有効 に学ぶためには,乳幼児期が望 ましい と言 われている8 ) 。 しか し,小児各期 の特徴 を 学ぶためには,乳幼児期 に限定す るのは十分 と は言 えない。 また,実習病棟 の入院患児数か ら も選定 に苦慮するところである。 したが って, 本学 において も,実習 グループ内に必ず小児各 期 の子 どもが受 け持 ちになる ように し, カ ン ファレンスなどでお互いのケースか ら学べ るよ うに配慮 している。 したがって
, 2群 に受 け持 ち患児の偏 りはなかった。
以上の結果か ら, 1)学生の背景
, 2)子 ど
もに対す る気持 ち, 3)小児看護学実習 におけ
平 元 泉 ・野 村 誠 子 ・石 井 範 子
とに した。
2.
保育園実習の時期 による学びの比較 学習効果 を評価する指標 として,今回は小児 看護学実習前後の子 どもに対する見方の変化の 有無 と,保育園実習が役だったことについての 自由記述内容の分析 を行 った。以下, この 2 点 について述べ ることにす る。
1)小児看護学実習前後の子 どもに対する 見方の変化
小児看護学実習前後の子 どものイメージの変 化 については多 くの報告がある。「 子 どもに接 する機会が少 ないまま学習す るとい う現状 に加 え,行動がイメージに依存する, イメージが知 覚 ・記憶 ・思考 に密接 な関係 を持 ち,看護の対 象 に対す るイメージが看護行為 を規定するとい う前提 に立脚 している。 しか し,イメージの測 定用具が異 なるため,類似 した変数 との関係 を 分析 して も,結果が異 なる」 と指摘 されてい る
9)。 この指摘 の通 り, イメージ調査 として子 ども観 をあ らわす
50項 目について
SD法 による 因子分析1 0 ) や子 どもについてイメージが変わっ たか否か とい う設問の調査1 1 ) など多様 である。
本調査 では,「 学習 によって,対象認知のあ り 方 に質的な変化が生 じる」 とい う報告1 2 ) を基 に,
「 子 どもの見方の変化の有無」 を設問 とした。
その結果,実習後 に変化 した者 は,全体 で約 60% であった。「 変化 しない」
,「どちらで もな い」 の内容 を分析 す る必要 が あ り, 「変化 し た」 ことを学習効果 とみなす ことは十分 とはい えないが,本調査の 目的である保育園実習の時 期の効果 を比較する指標 として用いると両群 に 差 はな く,学習効果に差 はない と言 えよう。
2 )保育園実習が役だったこと
保育園実習 に よって,「 乳幼児 の成長発達の 特徴 の理解」 や 「成長発達 に応 じた保育 の理 解」が深 まる と報告 されている1 3 ) 。保育園実習 の位置づけは,学校 によって異 なってお り,小 児看護への導入 として 2 年次 に実施 していると い う報告 もある1 4 ) 。実習 目的 によって実習方法 や教員の関わ り方 も異 なるのは当然であろう。
本学では, 3 年次の小児看護学実習の中に位置 づ け,健康 な小児の理解 を深めることや健康 な
( 2 1 )
小児 に対する保育 を学ぶ ように意識づけている。
保育園実習後 に提 出 される レポー トにはこれ ら の視点 について書かれてお り,両群の差 につい て明 らか にで きない ことも予測 された。 した が って,今回は時期 による差の有無 を知 るため, 保育園実習の レポー トとは別 に,「 役 だったこ
と」 とい う自由記述 を分析対象 とした。 この結 莱,若干の差が認め られ,時期 による学 びの内 容 にそれぞれ特徴が認め られた。
共通 してい る項 目は,「 乳幼児 の成長発達の 理解」 と 「 成長発達 に応 じた保育の理解」であ り,先行研究
15)と同様であった。 しか し,具体 的な記述内容では,「 遊 びの援助」 は
A群,「 健 康 な子 どもに対する看護の必要性の理解」 は
B秤, と片方のみに偏 った ものがあった。保育園 実習 を行 ってか ら,病院実習 を行 った
A群は, 受 け持 ち患者 に対 して,保 育園で学 んだ 「 遊 び」 について活用で きた とす る学生が多かった と言 える。病院実習の後 に保育園実習 を行 った
B群は,看護 とい う視点での子 どもの見方が深 まった と考 えられる。
次 に,異 なった項 目についてみ る と,「 保育 園の意義 に対する理解」 は
A群が多かった。特 に,保母 と子 どもの関わ り方 についての記述が 多かった。一方, B群 は 「 病児 との関わ り方」
についての項 目が多かった。記述内容 を見ると,
「 看護婦の関わ り方」 として,保母の関わ り方 を通 して,看護婦のあるべ き姿勢 について記述 している とい う特徴が認め られた。 これは前項 目の 「 保母の関わ り方」 と同 じ内容 とみなす こ ともで きる。保母の子 どもとの接 し方について 両群 とも学 んでいるが
,B群は病院実習で看護 婦の関わ り方の実際 を見ているため,看護婦 に 不足 している部分 としてよ り印象づ けられた と 推察 される。 また, 「 母親 との信頼 関係 の重要 性
」「 病児へ の思い」 について も病 院実習が先 行 した ことか ら, 自分の経験 に立脚 して,「 看 護」への視点で学 んでいると言 える。
以上の ことか ら,実習後の子 どもの見方の変
化 に大 きな影響 はないので,必ず しも病院実習
前 に保育園実習 を組み込 まな くて も良い と考え
られ る。 しか し, 「保 育 園実習 が役 だ った こ
( 22) 小児看護学実習における保育園実習の効果
と」 についてみると花野
'6)の報告 とは異 な り, 保育園実習の時期 によって,学生の学びの視点 が異 なる項 目があることが明 らかになった。 し たがって,それぞれの違いを念頭 にカンファレ ンスなどによって,補足 してい くような関わ り をしてい く必要があるとい う示唆が得 られた。
Ⅵ.
結 論
本学では, 3 週間の小児看護学実習 において 保育園実習 を, 1 週 目と3 週 目に 5‑ 6 名ずつ 分散 して行 っている。保育園実習の時期 によっ て,学生の学びに違いがあるか調査 した。その 結果,以下のことが明 らかになった。
1.小児看護学実習後の 「 子 どもの見方」 に ついて,変化 した と答 えた学生 は全体の 63%で,保育園実習の時期 による差 はな かった。
2.「 保育 園実習が役 だった こと」 について, 自由記述 の内容 を比較 した結果,「 乳幼 児 の成長発達 の理解」 「 成長発達 に応 じ た保育の理解」 の項 目に差 はなか った。
「 保育園の意義 に対する理解」 は 1 週 目 の学生,「 病児 との関わ り方」 について は 3 週 目の学生の記述が多い ことが明 ら かになった。
したが って,保育園実習の時期 によって,学 生の学 びの視点に若干の差があることを念頭 に 指導す る必要があることが示唆 された。
Ⅶ.
あわ りに
子 どもの入院期 間が短縮 され,本学の実習病 院において も , 2 週間継続 して受け持つケース は少 な くなっている。 したが って, 3 週 日では な く
2週 目の中間に保育園実習 を組み入れるこ とも検討 している。今回, 2 週 目すなわち中間 で保育園実習 を行 った学生 については分析 しな かったが,今後中間で保育園実習 を行 った学生 の学 びについて も調査 したい と考 えている
。引用文献
護学 における臨床実習の実態‑ その 1‑実 習施設の状況 と学習課題 を中心 に, 日本看 護学教育学会誌 4 (2)72‑ 7 3,1 99 4.
2)吉武香代子 :看護基礎教育 における小児看 護学,平成
5 ・6 ・7年度文部省科学研究 費補 助 金 ( 一 般研 究 C) 成 果 報 告 書 , 1 6‑ 23,1 996.
3 )花野典子 :小児看護学 における保育所実習 の 意 義 , 帝 京 平 成 短 期 大 学 紀 要
, 5: 6 7‑ 7 0,1 995.
4)鈴木敦子,山中久美子,藤井真理子 :家族 変動お よび教育課程の違いか らみた本学学 生の子 どもに対す る接触経験 と認識の状況, 大阪府立看護短大紀要 5 (1) :79‑ 87 , 1 9 83.
5
)木村留美子 :子 ども観の研究 (1
)‑ SD法 による短期大学生の子 どものイメージに ついて‑ , 日本看護科 学会誌1 2 (1) 5 0‑ 5 6,1 99 2.
6
)前掲
5)7
)田淵和子,山本捷子 :看護学生の子 どもに 対する認識や態度 に変化 を及ぼす実習の影 響, 日赤 中央女子短期大学紀要 5,47‑ 55 , 1 98 4.
8 )演中喜代 :受持患者の選択基準一受持患者 決定 までの プロセス
, Quality Nursingl (6) :1 2‑ 1 5,1 995.
9