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第3回学都松本フォーラム実施報告書

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Academic year: 2018

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全文

(1)

第3回

学都松本フォーラム

――――――――――――――――――――――――――――

(2)
(3)

フォーラム開催要項

・・・・・・

全体会

・・・・・・

講演会など

・・・・・・

26

食育講演会

・・・・・・

27

スポーツシンポジウム

・・・・・・

45

催事・展示

・・・・・・

64

同時開催イベント含む

資料編

チラシ

・・・・・・

78

参加者集計

・・・・・・

80

アンケート集計

・・・・・・

81

会議等検討経過

・・・・・・

89

学びの9月参加者集計

・・・・・・

93

(4)
(5)
(6)

第3回学都松本フォーラム

開催要項

テーマ「日々の学びへの気づき」

1 趣旨

松本市教育委員会では、市制施行100周年を機に、先人たちが築いてきた思いや財 産を大切に次代に引き継ぐため、新たな世紀の目標として、「学都松本」の実現を掲げ、 平成23年度に松本市教育振興基本計画「学都松本をめざして」を策定しました。ここ では、「学び続けるまち」「共に学ぶまち」「次代に引き継ぐまち」をめざすまちの姿と掲 げ、現在様々な学都松本推進事業を展開しています。

学都松本フォーラムは、学都松本をPRするメイン事業として、毎年9月に開催し、 今回で3回目を迎えます。

今回のフォーラムでは、「日々の学びへの気づき」をメインテーマとしました。日々暮 らしの中で、学ぶことの楽しさや大切さを改めて感じていただきたいと考えています。 日常生活の中で感じた事を率直に話せる場です。

2 事業形態

⑴ 主催 松本市教育委員会 ⑵ 主管 学都松本推進協議会

3 期日

平成26年9月6日(土)~7日(日)

4 会場

あがたの森文化会館 講堂 ほか

5 内容

⑴ 全体会

ア 日時 平成26年9月7日(日)午後1時15分~4時10分 イ 会場 あがたの森文化会館 講堂ホール

ウ 発表及び話題提供 松商学園放送部 「人間活動~学校と社会をみつめる」 今年度作品「想いは時空(とき)をこえて」等の上映と話題提供後、「日々の学び への気づき」についてトークセッション

⑵ 催事・展示

市民活動団体などが企画する情報発信、体験コーナー、トークイベントなど、日々 の学びを感じる内容が盛りだくさん。

(7)

イ 会場 あがたの森文化会館 各教室及び野外

ウ 内容 食育講演会、秋の気分爽快ウォーク、科学工作教室「紙コップでロケット& ヘリコプター」、プラ板ペンダントづくり、はぐまつ(ミシンカフェの紹介など)、家 に帰ったら手を洗おう、年代別学校給食レシピ展示、エッグドロップコンテスト、子 どものフォト展、ものづくり伝承塾体験コーナー など

⑶ 同時開催イベント

ア 第6回子どもプレイパーク イ サタデーコンサート145例回

6 日程

9月6日(土)

9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 講堂

食育講演会 サタデーコンサート準備 サタデーコンサート

教室

催事・展示 通路

芝生

子どもプレイパーク

ほか 秋の爽快ウォーキング

9月7日(日)

9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 講堂

スポーツシンポジウム 全体会 教室

催事・展示 通路

ご連絡・お問合せ先

松本市教育委員会 教育政策課 電 話 0263-33-3980 FAX 0263-33-3934

E-Mail [email protected]

「学都松本」

一人ひと りが、 あたり まえの ことを こ つこつと 続けて 、かけ がえの ないい の ち生きい きとか がやく ように …

●わたし は こころ をみが き、か ら だを使お う

●あなた に あいさ つをし よう

(8)
(9)
(10)

全体会

プログラム

司会

伊藤 麻理(学都松本推進協議会)

瀬古 千絵(松商学園高校放送部)

◇ オープニングセレモニー

フラダンスの上演

カパフラオカウアエの皆さん

◇ 開会式

会長あいさつ

西村 忠彦 (学都松本推進協議会 会長)

教育委員長 講話

斉藤 金司 (松本市教育委員会 委員長)

◇ 第1部 発表 松商学園高等学校放送部

「人間活動∼学校や社会をみつめる∼」

1 松商放送部について

2 ドキュメント作品上映

3 発表のまとめ

◇ 休憩

◇ 第2部 コーディネータ 豊嶋 さおり(学都松本推進協議会)

トークセッション「日々の学びへの気づき」

1 協議会委員との意見交換

2 全体でトークセッション

(11)

全体会

開会式

会長あいさつ

西村

忠彦

(学都松本推進協議会 会長)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

♪ 雄々しき連峰 四表に聳え

瑠璃なす清流 平野に通ふ ♪ (松商学園高校 校歌より)

皆さん、学都松本フォーラムにようこそお越しくださいました。そして、この山高き、水

清き、風薫る松本を、学びの気風みなぎる松本に、との思いで今日ここにお集まりいただき

ましたことを感謝申し上げたいと思います。

ただいま声を張り上げて、ごあいさつの想いを込めて、歌わせていただいたのは、旧松本

商業学校、松商学園高等学校の校歌の歌いだしの一節でございます。私は、松商の卒業生で

はありませんが、松本の古い学校一つであり、時代時代で市民に愛されてきた学校 松商学

園高等学校の雄渾な校歌が若いころから大好きで、良く口ずさみました。

さて、この市民運動 学都松本推進運動が立ち上がって、今年3年目でございます。その

フォーラム、今年は松商学園に登場していただくことになりました。松本の若者たちの学び

の姿を、私たちが見つめさせていただいて、老いも若きも、学びというものをどう受け止め

ていったらいいのか、もう一度考える契機となればと願ってのことであります。この願いに

立って、私たち学都松本推進協議会関係者一同、懸命に準備をして参りました。

(12)

全体会

開会式

教育委員長

講話「学都松本について」

斉藤

金司

(松本市教育委員会 委員長)

はじめに

教育委員会の斉藤です。先ず冒頭ですが今朝の市

民タイムスをとてもうれしく読ませていただきま

した。学都松本フォーラムの記事が載っていました。

その見出しが、「学都に満ちる研鑽の心」。すごくき

れいな見出しですね。こういう松本市にしたいなと

願っているところであります。

3つのガクト

駅前の時計塔に3つのガクトの文字が彫られて

いますが、ご存知でしょうか。小澤征爾さんが書か

れた「音楽の楽都」、田部井淳子さんが書かれた「山

岳の岳都」、そして菅谷市長による「学問の学都」

です。サイトウキネンが昨日で終わりました。松本

は紛れもなく音楽の楽都です。そして信州山の日が

制定されました。アルプスに囲まれる松本は紛れも

なく山岳の岳都です。では、学問の学都ですが、松

本は紛れもなく学問の学都と言えるでしょうか。首

を傾げる方もいらっしゃるかと思いますが、私は、

松本は紛れもなく学問の学都だと思っています。旧

開智学校があります。この旧制松本高校の校舎があ

ります。そして何よりそういう学校を支えてきた市

民の気風があります。例えば昭和15年に松本市は

松本市歌を制定しましたが、その市歌の中では、一

番に松本市は観光都市だと書いてあります、2番に

商工都市だと書いてあります。3番にはこうありま

す。「伸びよ松本、栄えよ吾が市、宜しく学都とい

うべき此処に」。すでに1940年の松本市では、

ここは学都だよと声高らかに歌っているのです。

今もなお、学都

いま、松本が学都と言われる所以を旧開智学校、

旧制松本高校、そして市民の気風の3つだけあげま

した。これらはこの地の人々が教育を何よりも大事

にして、そして文化を貴ぶ向学の気風を示している

(13)

現在も松本は学都であります。世間の中でも学都と

しての松本を評価しています。平成23年10月に

皇太子殿下が旧開智学校を訪れました。そして昨年

の平成24年10月には、天皇皇后両陛下がサイト

ウキネンに合わせてですが、旧開智学校を行幸啓さ

れました。すごく光栄なことです。

平成19年の市制施行100周年記念式典の時

に、当時の日銀松本支店長さんが、松本の印象を3

点挙げて、「自然が素晴らしい、まちがきれいだ、

3つ目は文化をとても大事にしている。」とおっし

ゃっています。また、5∼6年前に、NHK文化セ

ンター松本支社長さんが、「この規模の地方都市で、

実生活では役にも立たない教養文化の講座がこん

なに数多く成り立っているのは、めずらしい。松本

の人って、勉強好きですね。」と褒めてくださいま

した。まだまだありますが、とにかく松本ってこう

いう気風が感じられる。松本市民にとって、とても

嬉しいことです。

確かにこの24万の都市にですね、36の公民館、

475の町内公民館、そして12の図書館、15の

博物館と博物館関連施設があります。それぞれがそ

れぞれの独自性を保ちながら、住民のもっとも身近

にある学習施設、生涯学習、地域づくりの拠点とし

て、非常に活発で多様な活動をしています。まさに

学都だと言えます。

松本の教育理念は、

一人ひとりに教育を保障する事

そして、さらに嬉しいことは、その学都が、教育

における平等、機会均等を教育の最も重要な理念の

一つとして現在も脈々として継承されていること

です。松本の教育は、すべての子どもに教育をした

いという願いのもと、日本の先駆けとして、様々な

取組みを実践してきました。ちょっとふれてみます

と、日本で一番最初に作られた落第生学級(明治2

3年)。当時の開智学校では、この落第生学級に一

番優秀な先生をおきました。そして、子守奉公に出

されて、学校に行けない子供たちのために開設され

た子守教育所(明治32年)。全国で最初ではあり

ませんが、この教育所には岐阜県や富山県など近隣

の県からも通った人がいます。また、芸者の修行で

来ていた子女のために作られた裏町特別学級(大正

5年)。10時から正午までの授業で、忙しい毎日

の中、勉強に励むとともに友達と一緒になれること

がとても嬉しかったそうです。現在もそうです。松

本少年刑務所の中には、旭町中学校桐分校が昭和3

0年に開校され現在に至っています。義務教育を修

了していない受刑者が勉強できる全国でたった一

つの中学校です。日本一勉強する中学校と言われて

いますが、ここでの厳しい勉強をやり通して卒業し

た人は開校以来703人います。最高74歳。そし

て松本は、学校給食についてはアレルギー対応食を

提供している先進自治体です。現在約200食近く

のアレルギー対応食が細心の注意で作られていま

す。今年の4月にNHKのEテレで、アレルギー対

応食についての番組が放映されました。その中で、

松本市の取組みが紹介され、コメンテータが「大変

すごいですね。」と言ってくれました。

こうやって見ただけでも松本は学都です。そして、

松本の教育はどの子にも教育を保障しようという

強い願いの下に、子どもたちに手厚い教育を提供し

てきました。これは誇るべきことですし、うんと嬉

しいことでもあります。

生きいきと学都を示しているか

しかし、松本は本当に生きいきとした学都の姿を

示しているか。そうではないところもあると思いま

す。例えば、松本の車の運転はいかがでしょうか。

県外の方から見たら、松本の車の運転はとんでもな

く乱暴だということで有名だそうです。自分もある

人から聞いて、とてもショックを受けました。その

典型として、松本右折というものがあるそうです。

また横断する人が待っているのに、なかなか止まら

ない車があります。こういうことが松本の日常の光

景のようでうんと切なくなります。そして、こんな

(14)

上高地線で松本駅に来た時のことです。松本駅の改

札口には、出入口兼用のところが一カ所あります。

そこに白い杖を持った人が改札口から入ろうとし

て立っていました。ところが出る人がなかなか途切

れずに、その方は入ることができませんでした。や

っと駅員さんが気づいて、その方を通してやりまし

た。今の時代にこんなことがあるんだな、こんな風

に会社員や学生の一日が始まると思うとなんだか

悲しくなりました。そんなことを思って駅を出たこ

とがありました。

よく学ぶことは、よく生きること

本当の意味での学都とはどういうことでしょう

か。よく学ぶことはよく生きることです。学ぶこと

がよく生きることにつながらないような学びは全

く意味がないと思います。愛媛県の西予市に開明学

校という学校があります。四国で一番古い学校で、

重要文化財です。旧開智学校と同じような学校とい

うということで、姉妹間提携をしています。自分も

一度訪れました。町を歩いていると、向こうから歩

いてくるおばあさんがものすごく温かい、やさしい

あいさつをしてくれました。その温かさが、しみじ

みと心までしみこんでくる そういうあいさつで

した。どうしてあのようなやさしいあいさつができ

るかなと思って、まちの人に聞きました。「え、そ

うですか」っていうだけなんですね。で、自分たち

の結論は、四国にはお遍路さんの歴史があり、それ

であのようなおもてなしの心があって、あのような

優しいあいさつができるのかなということでした。

で、このようなあいさつができるっていうことが、

学ぶということだといってもいいと思います。

みんなで学都やりましょう

松本市の教育委員会では、松本の市制施行100

周年を契機に学都松本の実現を目標に掲げました。

市民一人ひとりが人生の充実に向けて、生涯にわた

って学び続けていくまち、学都であるということが

市民一人ひとりの暮らしの中に息づいているまち、

これを第2の世紀を迎えた松本の教育の大目標と

して100年やろうとしています。考えますと、学

都松本ということは、いのちや暮らしを大切に考え、

誰もが生きいきと暮らしていくという、健康寿命延

伸都市・松本の創造を根底から支えるものであり、

同時にその成果を図る指標でもあるという風に思

っています。

自分たち一人ひとりがほんとにささやかな学び

の営みをこつこつと実践していく中で、松本の人っ

て本が好きだよねとか、松本の人ってやさしい人が

多いまちだよねとか、松本のまちはうんとキレイと

か、松本ってなんだか住みたくなるまちだよね、そ

んな言葉が聞かれるようなまちにしていきたいと

思います。そんな松本になることを夢見て、みんな

(15)

全体会

第1部

松商学園放送部

発表

「人間活動部∼学校や社会をみつめて」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1 放送部の活動内容

みなさん、こんにちは。松商学園放送部です。

私たち放送部は、「部室を飛び出し、学校や社会

を見つめよう」を合言葉に毎日楽しく活動をし

ています。

2 モットーについて

まず初めに、私たち放送部が日々の活動で大

切にしているモットーについて発表します。そ

れは、「先輩を超えよう!!」ということです。

先輩を超えるということは、大会成績だけでな

く、活動の質、人間性で先輩を超えることを目

指すという思いを込めています。

どんな活動にも、最後の最後まで諦めず、全

力で取り組むことの大切さをかみしめ、何事に

も最後まで詰めをできる人間になることを大切

にしています。

3 近年の活動

次に、そのモットーを大切にして、近年力を

入れている活動は、福祉ボランティア活動や各

種キャンペーン活動にも積極的に参加すること

です。福祉ボランティア活動では、毎年、本校

周辺に住む65歳以上の高齢者を本校に招き、

1日を過ごす「高齢者との交流会」を行ってい

ます。高齢者との交流会では、年齢問わず楽し

み、私たちがおもてなしをしますが、高齢者の

方が持っている知識や教養を学んでいます。

キャンペーン活動では、一昨年に長野県で開

催された、第50回技能五輪全国大会でのPR

活動や、当日の競技内容を案内する学生コンシ

ェルジュを務めました。学生コンシェルジュを

務めるにあたり、競技出場者の職場に赴き、イ

ンタビューを行い、作業の様子を学び、当日の

案内に活用しました。

(16)

動に日々参加しています。

4 普段の活動、番組制作について

番組制作は、4つ部門に分かれています。映

像を使用した、テレビドキュメント部門・テレ

ビドラマ部門。音声のみで番組を制作する、ラ

ジオドキュメント部門・ラジオドラマ部門の4

つです。

そして、本校放送部の作品制作は次の4つの

柱を大切に行われています。

⑴高校生活を通して見つけた気づき

⑵学校への気づき

⑶社会問題への気づき

⑷人間成長への気づき

という4つの視点です。毎年7月に行われるN

HK杯全国高校放送コンテストでは、5年連続

を含む過去8回の全国優勝を成し遂げ、全国最

多入賞校となっています。

今年制作したNHK杯全国高校放送コンテス

ト創作テレビドラマ部門で全国第6位・制作奨

励賞を受賞した「∼HERO∼明日に架ける橋」

は“ 存在感” をキーワードとして制作しました。

存在感がなくても、必死に努力している少女と

存在感があるからゆえに悩みを持つ少年。この

2つの別々の存在感とそれぞれの想いを通して

毎日を懸命に生きることを伝えようとしたドラ

マ作品です。

そ れ で は 、「 ∼ H E R O ∼ 明 日 に 架 け る 橋 」

をご覧ください。

「∼HERO∼明日に架ける橋」上映

ただいま上映したドラマ作品を含む私たちの

作品は、高校生活を通して見つけた新たな人間

成長への「気づき」です。

2つ目は、学校への気づきから番組をご覧い

ただきます。

全国優勝を果たした「先生ってなんだ!」で

す。1999年、本校に6人の新任教員が赴任

し、それをきっかけに、生徒が何かと理由を作

っては職員室に集まるようになりました。それ

に対して冷たい視線を向けたのがベテラン教師

です。そんな職員室の様子から、先生とは生徒

にとってどんな存在なのかを追求した番組です。

3つ目は、社会問題への気づきです。

1997年に制作された「未来への誓い」は、

本校放送部が「人間活動部」として現在の形に

なったきっかけです。この番組は、ベラルーシ

共和国に本校放送部員が訪れ、原発から300

km圏内に位置し、強制退去命令を受けた無人

の町「セブロビッチ」の撮影を行い、強制退去

後も町に戻ることを願う高齢者の方から話を聞

いたり、現地の病院「ゴメリ州立病院」で白血

病と診断され、病名の宣告や命の宣告を受けた

子どもたちを取材したことをまとめ、実際に現

地を旅した高校生の「人間がこれだけ恐ろしい

ことが出来ると分かって欲しい」「現地のことを

知ることだけでも支援になる」などの多くのメ

ッセージを番組に込めて制作されました。この

思いは現在も受け継がれ、JCFとの活動は続

いていて、福島の原発事故問題を考えるきっか

けを現在の部員たちに与えています。また、3

年前から本校放送部が中心になり福島県原町高

校との交流会を実施し、本校に招き共に時間を

過ごす中で、交流を深めるだけでなく、東日本

大震災における、東京電力福島第一原子力発電

所の事故問題、被災地支援の問題、復興に関す

(17)

触れ合うことで、ニュースやネットでは決して

知ることのできない現実や思いを本校放送部員

は感じ取っています。

4つ目は、人間成長への気づきです。

過去の放送部の番組で「心の壁」という作品

があります。この作品は松本市内で福祉ボラン

ティアグループとして活動している「竹とんぼ」

の代表者、降旗和男さんと出会い、制作した番

組です。降旗さんは生まれつき脳性麻痺という

重い障害を持っています。その降旗さんが「僕

は学生ボランティアが嫌いなんだよね。一回来

てくれたっきりで、あとは待てど暮らせど何年

たっても来ない。」とおっしゃいました。その言

葉がきっかけで障害者が持っている「心の壁」

に気づき、この言葉が本校放送部のボランティ

ア活動の原点になりました。それが形を変えて、

現在では高齢者との交流会、障害者スポーツ大

会の補助員との活動、スペシャルオリンピック

の選手団との交流であったりと、数多くの福祉

ボランティア活動につながっています。

私たちはこの4つの気づきによって人間成長

を成し遂げ、現在、さらにその取組みは拡大し、

広まりを見せています。そして、これからも私

たちはさらなる人間成長を目指して活動してい

ます。

私たち放送部は、番組制作のかたわら福祉ボ

ランティア活動やキャンペーン活動などに積極

的に取り組んでいます。近年では東日本大震災

を見つめた様々な活動に力を入れています。

その一つに2011年9月から行っている福

島県立原町高校との交流会があります。原町高

校は福島第一原発からおよそ25キロ離れた南

相馬市にあり、震災直後からおよそ半年間、原

町高校周辺の地域は原発事故の影響で緊急時避

難準備区域に指定されていました。原町高校と

私たちは、両校の元教員の呼びかけで交流がは

じまりました。1回目の交流会では、放射能の

影響により外で自由に遊ぶことができない原町

高校の生徒を、自然豊かな信州に招きました。

2012年9月に行われた2回目の交流会では、

1回目とは異なりパネルディスカッションを中

心に意見交換会を行ったり、原町高校の生徒の

震災に関する話や福島県の現状を聞いたりしま

した。

そもそも私たちがこのテーマに取り組むよう

になったのは、先ほどの説明にもあったとおり、

私たちの先輩が18年前にチェルノブイリ原発

事故を取り上げた「未来への誓い」を制作した

ことがきっかけでした。これは、部活動という

学校生活のなかからの気づきにより形になった

番組です。

それではここで、今から18年前に制作され

たテレビドキュメント作品「未来への誓い」を

ご覧ください。

「未来への誓い」上映

いかがでしたでしょうか。この作品は、第4

4回NHK杯全国高校放送コンテストで全国優

勝しました。その後、全国の大学や高校で教材

として活用され、大きな反響を呼びました。

そして、先輩たちがチェルノブイリと向き合

ってから16年後の2013年5月に放送部員

9人が福島県を訪れました。そのきっかけにな

ったのが、2回目の原町高校との交流会です。

交流会のパネルディスカッションの中で、震災

後の現地の状況を聞いたり、震災を経験した生

徒たちの生の声を聞いたりしました。真剣な眼

差しをしてそれぞれの震災の体験を話す原町高

校の生徒たちは、同じ高校生ながらも、とても

たくましく見えたのを鮮明に覚えています。そ

して、「福島の今を見て、知って欲しい。」とい

う原町高校の生徒の思いを受けた私たちは、カ

メラを手に福島県を訪れたのです。この訪問が、

(18)

なりました。

現地では南相馬市の浦尻地区を訪れ、津波に

よる被害を目の当たりにしました。海岸近くに

あるこの地区は、12メートルもの津波によっ

ておよそ60の住宅があった集落が一瞬にして

飲み込まれました。津波は、そこにあった人々

の笑顔や笑い声、心さえもすべて流してしまっ

たと感じました。私たちはこの時、本当に復興

は進んでいるのか。もしかしたら復興は進んで

いないのではないか。と感じたのです。実はこ

の地区は、原発から20キロ圏内に位置し、私

たちが訪れたおよそ1ヶ月前に立ち入り制限区

域から解除されたばかりでした。原発、放射能、

復興が進まない理由がそこにあるのではないか

と思い始めました。そこで、私たちは原発から

38キロ離れた飯舘村を訪れました。原発事故

以来、高濃度の放射線が検出され全村避難が続

いています。昼間は人が立ち入ることが許され

ていますが、車は多いものの、外を歩く人は見

られませんでした。人々の笑顔はありませんで

した。私たちは放射能の恐ろしさを突きつけら

れ、それぞれが震災の被害に対しての思いを抱

えたまま、松本へ帰りました。

松本に帰った私たちは、テレビや新聞だけで

は伝えきれていない福島の現状、原町高校の生

徒の思い、そして私たちの思いをたくさんの人

に知ってもらおうと、テレビドキュメント作品

「未来(あす)をつむぐ絆」を制作しました。

8分間にまとめたこの作品は、昨年7月に行わ

れた第60回NHK杯全国高校放送コンテスト

に出品し全国第5位入選を果たしました。

それではここで、テレビドキュメント作品「未

来(あす)をつむぐ絆」をご覧ください。

「未来(あす)をつむぐ絆」上映

いかがでしたでしょうか。私たちは、震災か

ら3年を迎えた、今年3月8日、本校で「福島

と共に歩む会」を開きました。ここには、原町

高校の生徒をはじめ、地域の方も招きました。

これが私たちと原町高校生徒との4回目の交流

会となり、意見交換会などを行いました。

この交流会で原町高校の生徒は「もう普通に

生活しています。」と発言していました。確かに、

原町高校周辺の地域は警戒区域からも解除され

ており、普通に学校にも通えていると聞きます。

しかし、校庭の隅に放射能測定器が設置されて

いたり、学校の近くに仮設住宅があったりと、

本当はまだ生活に不安を感じているのではない

か、とも思いました。それでも原町高校の生徒

は真剣な眼差しで自らの将来や未来について語

ってくれました。その姿は「震災を絶対に忘れ

て欲しくない」と強く訴えているように見えま

した。

このように私たちは、学校で行っている交流

会から気づいた震災についての問題や現状につ

いて関心を持ち、現地を訪れ、そして考え、そ

れを地域の方々やたくさんの人に伝える活動を

しています。

今年度、1年生の時から震災に向き合ってき

た私たち3年生は、最後まで東日本大震災を伝

えたいと思い、企画探しを始めました。

私たち放送部の作品のほとんどは、部員たち

が提出する企画書から生まれます。企画書は、

部長が提出期限を決め、その期限までに一人2

枚から3枚書いて提出します。企画の探し方は

様々です。一つ目は、テレビや新聞、インター

ネットで気になった話題を集める。二つ目は、

学校生活において気づいた事、普段生活してい

る中で気づいた事を集める。三つ目は、身近な

人や地域の人から情報を集める。そんな小さな

出来事を通して、それにはどんな問題があるの

(19)

な問題だけではなく、現代社会の中でも問題と

されているのか、というように、小さな出来事

を様々な角度から私たち高校生の視点で考えて

いきます。企画書を書く上で大切なことは、テ

ーマです。どんな企画であっても、テーマがな

ければ作品にすることは出来ません。部員たち

は、「∼を通して、∼を伝える番組」というよう

に、何を通してどのようなことを伝えるのか、

という部分をしっかりと考えて、企画書を書き

ます。

提出した企画書は、ミーティングの時間に部

員や顧問が一枚一枚、目を通します。今年制作

したテレビドキュメント作品「想いは時空(と

き)をこえて」も、こうした企画ミーティング

を重ねていく中で見つけた一枚の企画書から生

まれました。企画を持ってきたのは、3年生の

米窪麻衣さんです。塩尻市に住んでいる彼女は、

塩尻中学校の出身で、自分が卒業した中学校や

地元塩尻の広報を読んで調べていくうちに、こ

の企画にたどり着きました。米窪さんの企画に

ドキュメント班の全員が賛成し、今年はこの企

画で作品制作を進めていくことになりました。

私たちは、この作品を制作するにあたって、

今年5月に岩手県陸前高田市を訪れました。陸

前高田市は、昨年行った福島県とは違い、まち

の復興が進んでいると感じました。しかし、こ

れで復興完了!と言い切ってしまっていいの

か?本当の復興は他にあるのではないか、と感

じた私たちはあるテーマに気づきました。それ

は「心の復興」です。これこそが、本当の復興

だということです。震災で大切なものを失って

しまった方々に、新しい思い出を作って欲しい

という強い思い。そういった心と心の交流、繋

がりをテーマとしました。

繋がりってなんだろう?出会いってなんだろ

う?パソコンや携帯電話が人との関わりの場と

して主流になっている現代で、もう一度、人と

の繋がり、心の繋がりについて考えながら、「想

いは時空(とき)をこえて」をご覧ください。

「想いは時空(とき)をこえて」上映

この作品は、今年7月に行われた第61回N

HK杯全国高校放送コンテストにおいて全国第

5位に入選しました。現在は、この8分間に収

められなかったエピソードを盛り込んだ長編ド

キュメントを再編集しています。

ここで、この作品の編集責任者である稲場毅

人君から作品制作にあたっての思い、取材や陸

前高田市を訪れて感じたことを発表してもらい

ます。稲場君お願いします。

・・・・・

みなさんこんにちは。

ただ今見ていただいた「想いは時空(とき)

を超えて」の編集責任者をしていました、稲場

毅人です。

みなさんは3年前震災が起こったとき自分は

何をしていたか覚えていますか?僕はまだ中学

生で最上階の教室の黒板を拭いていました。な

にをしていたか覚えていない方、もしかしたら

震災のことも同じように忘れているかもしれま

せん。これは僕が番組制作をしているときにふ

と思ったことです。偉そうなことを言っている

僕ですが高校入学までは震災に関心なんてなく、

他人事でした。ですが放送部に入って見方が変

わりました。先輩方がチェルノブイリに行った

ことや、原町高校との交流、取材で同年代の声

をたくさん聞きました。僕は先輩方から震災に

ついて伝えていかなければならないことを教わ

りました。そして、僕自身もこのままでいいの

かと何度も思いました。昨年福島の原町高校を

訪れた時にこんなことを言われました。「知らせ、

(20)

嬉しい支援です」と。ここで僕は気付きました。

番組で伝えることも支援なんだと。この言葉に

僕は奮い立たされ一生懸命やってきました。今

年の番組を見ていただいてわかるように奇跡の

物語だったんです。企画を見たとき僕はこんな

物語のような話があるんだと、驚くと同時に悩

みました。長年失われていた繋がり、絆をどう

わかりやすく見せるか。1つ1つの映像に意味

を持たせるように意識して制作しました。この

番組を見て何かを感じていただけていればうれ

しいです。最後にみなさん。被災地に行ったこ

とのない方。ぜひ足を運んでみてください。訪

れるだけで復興になりますし、画面上ではわか

らないことも知ることができると思います。

以上です。

・・・・・

続いて、この作品の企画を見つけた米窪麻衣

さんお願いします。

・・・・・

今回、私もこの話を見つけるのにとても苦労

しました。

今日はその話を少しさせて頂きます。

ドキュメントもドラマももちろんそうなので

すが、最初に番組の題材を決めることは正直と

ても長く辛い期間です。私は 1 年生の始めと今

回しかドキュメントというものをやったことな

く、ずっとドラマ班からドキュメント班のこと

を見ていたので、もちろんドラマ班もドキュメ

ント班もどちらの企画書も出すのですが、最終

的にどういった仕組みで題材が決まるのかって

いうのは分かりませんでした。だから私の中で

ドキュメントの題材というものは誰かが持って

きてくれるものでした。しかし今回ドキュメン

ト班になって、その題材が決まらず自分たちも

納得できるものがなく、ドキュメント班一同と

ても苦労しました。私も題材が一体どこにある

のかと誰かに聞きたいほどでした。しかし時間

は待ってくれず部員も焦ってきました。

私はまず地域に注目してみました。最初は家

族からでしたが、おばあちゃんにこのことを話

すと、いろんなことを教えてくれました。近所

のおばあちゃんのことや、私の通学路で 40 年間

ずっと落ち葉の季節になると落ち葉を拾い続け

る老夫婦のこと。地域の事なのに知らなかった

と私自身も気づかされることが多かったです。

そこで思い浮かんだのが自分の中学でした。そ

ういえば私も中学の時、自分の委員会で企画し

たことがあったなぁなんて思って、調べてみた

ところ今回の話が見つかりました。自分でも最

初自分のいた中学でこんなことがあったのかと

とても戸惑いました。身近なものに気付かなか

ったことをもったいなく思いました。

そして、多くの苦難を乗り越えこうして番組

にすることが出来ました。

自分がもしこの企画を持ってこなければ、吉

田さんや白木さんと出会うことはなかったんだ

と考えると、題材探しに力を入れて本当に良か

ったなと思っています。

・・・・・

私たちの活動や番組制作での企画は、普段の

生活で起きている小さな気づきが原点です。私

たち放送部は、「部室を飛び出し、学校や社会を

見つめよう。そして部室に戻ってじっくり考え

よう」をモットーに『人間活動部』を目指して

います。

私たちはこれからも、様々な角度から社会を

見つめ、そこから学んだことを生かし、人間と

して成長できるような活動を続けていきたいと

思います。

(21)

全体会

第2部

トークセッション「日々の学びへの気づき」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トークセッション登壇者など(敬称略)

コーディネータ

豊嶋 さおり

トークセッション登壇者

松商学園放送部顧問 百瀬 秀俊

松商学園放送部OB 柳沢 正悟

松商学園放送部部員 丸田 修平、秋山 織深、深尾 周平

稲場 毅人、米窪 麻衣、瀬古 千絵、山本 穂

(22)

心にズシッと重いもの

■ コーディネータ(豊嶋、以下コーディネータ)

まずは、学都松本推進協議会の数名から今日の

感想などを発言してもらいます。

■ 西村_

私自身、これまで松商学園放送部の作品を何度

か見る機会がありました。今日は、きちっと市民

の皆さんに見てもらうようにアレンジしてあり、

改めて見て、本当に感動しました。一つの作品を

見終わるたびに、拍手をしたいけど、心の中にズ

シっと重いものを感じました。拍手をするのがむ

しろはばかられるという不思議な感じを噛みしめ

ながら発表を見ました。

■ 村上_

本日の発表については、言葉では言い尽くせな

いものを見せてもらい、聞かせてもらいました。

また、フォーラムのテーマでもある「日々の学び

への気づき」ということを皆さんに教えてもらっ

た気がします。ありがとうございました。

放送部の歴史の重み

■ 渡辺_

松商学園放送部といえば、さまざまな大会で優

秀な成績を収めていることを、テレビや新聞など

を通じて、知っていましたが、実際作品を見る機

会は今日が初めてです。しかも今日は4本も見る

ことができ、感謝しています。限られた時間の中

で、分かりやすく、しかも感動させてくれる素晴

らしい作品に出会えたと思っています。放送部の

活動の歴史の重みをつくづく感じました。

■ コーディネータ

渡辺さんの意見に、「放送部の歴史の重み」とい

うことが出されました。そこで、OBの柳澤さん

にお聞きしたいと思います。聞くところによると、

柳澤さんは2008年度の卒業生で、希少種の地

域のさくらである「カタオカザクラ」を題材にし

たテレビドキュメントを制作したそうです。また、

今年度ドキュメント作品「想いは時空を超えて」

でも、陸前高田に同行し、生徒さんのサポートし

たそうですが、そのあたりも含めて、今日の感想

などを聞きたいと思います。

■ 柳澤_

2008年度卒業生の柳澤です。陸前高田に行

くことになったきっかけというのが、大学を出て、

地元の塩尻のほうに戻ってきて、顧問の百瀬先生

からちょっと手伝ってもらえないかというお話が

あり、手伝うことになりました。生徒にとって、

すごい経験になったんだろうと思います。実際現

場の空気を感じとったのか、生徒の目つきがすご

く真剣で、カメラの取り方一つにしても、生徒か

ら聞きに来てくれました。それがすごく嬉しかっ

たですし、生徒の姿勢から気づかせてもらった部

分も大きかったと思います。

しっかり人に伝えたい

■ コーディネータ

では、生徒さんの声も聞いてみたいと思います。

まずは部長の丸田さん。今日発表をしてみての率

直な感想などありますか?

■ 丸田_

学都松本フォーラムに出ることが決まった時か

ら、発表する原稿とか、流す番組なんかを考えて

きました。そんな中で、震災について風化させて

はいけないということを、しっかり多くの人に伝

えたいって思っていました。そして、今日はこう

いう場があってすごく嬉しく思います。

■ コーディネータ

では、今日司会をした瀬古さん、いかがでした

か。今日は、会場に若い人から高齢者までいろん

(23)

■ 瀬古_

ステージに立って、今日は幅広い年代の方がい

るなと思いました。すごく緊張しました。でも、

私の震災に関して学んだことなどを、皆さんにし

っかり伝えたいっていう気持ちを持って司会をし

ました。

■ コーディネータ

ありがとうございます。先ほどもとても聞きや

すいアナウンスだったと思います。

では、顧問の百瀬先生にお聞きしたいと思いま

す。今日に至る過程や今日の発表も含めて感想な

どを一言お願いします。

■ 百瀬_

ここにいる生徒はみんな三年生で、三年間とい

う時間は、長いようでいて短かったと思います。

これまでの中で感じたこと、目に触れた人などを、

これから出ていく社会に活かしていってもらえれ

ばいいなと思います。私だけが、残されるようで

一抹の寂しい思いはありますけれども。

・ ・ 制 作 に 携 わ っ て

各々の思い 企画を考える

ミーティング主義 フォルムメイキング

3年間の経験

各々の思い

■ コーディネータ

あ り が とう ご ざい ま す。さ き ほ ど生 徒 さん に 、

「今日が最後だな」って声掛けをされていました

ね。

では、これからは具体的な質問をしたいと思い

ます。協議会の委員のほうから質問をお聞きしま

す。

■ 西村_

今日の発表はもちろんのこと、事前の打合わせ

やセッティングなどの過程で、生徒さんの真剣な

姿に私は感服をいたしました。今日の発表では、

稲葉君が、放送部に入らなかったら、こういった

社会に向き合ったりすることはなかったんだろう

と語っていました。また米窪さんは、ドキュメン

ト作品の企画を考える過程で、しみじみ自分の身

の周りには様々な人生の物語があるんだなってい

うことに気づいて感動したと語っていました。こ

のような思いは、他の放送部の皆さんにもきっと

あると思いますので、聞かせてもらいたいと思い

ます。

■ コーディネータ

では、山本さんいかがでしょうか。山本さんは、

ラジオ番組の制作が主であったと思います。その

点も含め、思いを話してください。

■ 山本_

私は、ラジオドキュメントを制作していました。

松商学園の卒業生の中に、性同一性障害を持って

いる方がいて、その方を取材する中で、接し方や

話しかけ方など工夫しながら取材をしました。

また、ラジオ作品は、映像がなくて、音声しか

ないので、聞く方に、言葉だけでどう伝えていく

かということを試行錯誤しながらやっています。

企画を考える→ミーティング主義

■ コーディネータ

ありがとうございました。では、協議会の村上

さんから質問お願いします。

■ 村上_

作品制作にあたって、生徒さんから膨大な企画

書をみんなで持ち寄っているなど大変な苦労話が

あったと思いますが、指導者である先生はどのよ

うに接しているのですか。また、生徒さん一人ひ

とりの個性が違う中で、彼らの力をどのように引

き出していくかということに難しさとかあると思

(24)

■ 百瀬_

一言でいうと、うちはミーティング主義です。

企画書をみんなで持ち寄って、それをもとに喧々

諤々、車座になって生徒・顧問が一緒になって話

をしていきます。そして、話していくと、それぞ

れの個性があぶりだされていくものですから、そ

れに顧問が乗っかりながら、うまくアドバイスな

どをしています。

高校3年間の経験

■ コーディネータ

ありがとうございました。では、協議会の渡辺

さんから質問お願いします。

■ 渡辺_

生徒さんが入学されたとき、どんな思いで入部

されたのか、そしてこの3年間で、どんなことが

変わってきたのか、今どんな思いがあるのかを聞

きたいです。

■ コーディネータ

では、女性部長の秋山さんいかがでしょうか。

■ 秋山_

入部した時は、放送部の先輩たちの成績の優秀

さを見て、素晴らしいなと思い、自分たちもそれ

を崩しちゃいけないなと思いました。私はドラマ

を3年間撮り続けました。ドラマも何もないとこ

ろから始まって、一人ひとりのシナリオがほんと

に大切だし、それをみんなで力を出し合って、一

つのドラマに仕上げていくのが大変でした。3年

生になって、その過程があったからこそ、全国の

大会に出場することができてほんとによかったな

と思います。

■ コーディネータ

ありがとうございます。では、続けて深尾君に

も聞いてみましょうか。深尾君はテレビドラマの

主演もしておられますが、いかがでしょうか。

■ 深尾_

自分も秋山と同じで、1回ドキュメントを挟ん

だんですけど、ずっとドラマをやってきました。

自分は秋山とは違って、企画は何もいいものは持

って来れなかったけど、3年間ドラマの演技をさ

せてもらって、登場人物がどんな気持ちでいるの

かということを考えるようになってきました。

■ コーディネータ

ありがとうございました。ドラマを撮るのも、

書くのも部員の皆さんがやっているのは分かって

いたんですが、主演も含めアクターもみんな放送

部員であるということは、ちょっと驚いたんです

ね。やはり伝いたい思いがあるからこそ、演じる

側も放送部員であるのかなと思ったりしたんです

が。いかがですか、先生。

■ 百瀬_

簡単に言うと、コンテストの規定でそうなっち

ゃっているんですよね。ただ、ミーティングを重

ねる中で、生徒一人ひとりの個性が出てきて、面

白いなと感じています。例えば、深尾なんかは普

段あんまり目立たないんですが、もしかしたら心

に影があるのかなと思って、演じさせてみたら見

事に化けてくれたかなというところです。そうい

う個性をどうやって導き出していくのかが面白い

ところです。

■ コーディネータ

そうですね。今日の作品でも、深尾君が声を張

り上げているところなんかは非常に迫ってくるも

のがありました。

■ 百瀬_

普段はこんな感じなんですが、ひとたび演じる

となると、あんなこともやってくれるもんですか

ら。

企画を練る/ミーティング主義

(25)

先ほど、企画書の話が出されました。私も今回

のコーディネートを引き受けるにあたって、その

企画書の山を見せてもらいました。これだけの企

画書を皆さんが書き、一つの作品が生まれるのだ

なとということがわかりました。そこで、質問で

すが、すごく思いを入れてきたのに没になった企

画の話をきかせてくれませんか。

■ 百瀬_

企画で苦労してきたのは、稲葉かな

■ 稲葉_

企画は、多い時は3日で5枚とか書いたりして、

夜も眠らずに調べたりします。1班10人くらい

なので、50の企画書が出てきます。ミーティン

グを何回も繰り返して、一か月くらいで、やっと

1枚いいのが出てくるんです。僕も企画では苦労

をしましたが、それでもいい作品になるのならと

いう思いでやっています。

■ コーディネータ

ありがとうございます。では、次に米窪さんに

お聞します。自分の企画が通った時の喜びについ

て、お話をしてもらってもいいですか。

■ 米窪_

今回のドキュメント作品「想いは時空を超えて」

の企画等を通じて、吉田さんと仲良くなれて、白

木さんも私のお父さんの友人であったり、そうい

うたくさんのつながりが作れてほんとによかった

なと思っています。

・ ・ 日 々 の 学 び へ の 気 づ き

ボランティア活動 人との交流

人生の糧

人とのかかわりから得るもの

■ コーディネータ

ありがとうございました。

では、ここからはフォーラムのテーマ「日々の

学びへの気づき」に合わせて、学びだとか気づき

だとかということを中心に議論を深めたいと思い

ます。

松商学園放送部の活動を拝見していて、強く感

じることは、今の自分たちの活動だけに熱心にな

るのではなくて、先輩の積み重ねられてきた歴史

を良く学んでいることです。今も継続されている

ボランティア活動は、脈々と受け継がれているこ

との一つだと思います。そこで、OBの柳澤さん

にお聞きします。生徒さんが、社会とのかかわり

で大切にしてほしいことは何ですか。

■ 柳澤_

松商学園放送部というのは、校内放送をするだ

けでなくて、いろんな人との交流があるのが特徴

的だと思います。例えば取材を通じて、学校の生

活では、通常接点のない方たちとの出会いがあり

ますし、そのことが学びとか気づきにつながって

いくことだと思います。またその番組が終わった

後も、その関係が続いていくことがあり、今は高

校生ですが、社会人になってそういった時の糧と

なっているものだとも思っています。だから、私

はこういった放送部での経験を一人一人が大切に

していってほしいと思います。

■ コーディネータ

ありがとうございます。では、今の先輩の話を

踏まえて、生徒さんたちにお聞きします。3年間

の部活動を通して、自分自身が学んだこと、ある

いは一番成長したと思うこと何ですか。部長から

稲葉さんあたりまでのお願いします。

■ 丸田_

自分たちは番組制作だけじゃなくて、人間活動

部として高齢者の交流会などに参加しています。

高齢者との交流会では、高齢者の方と一緒にサン

バを踊るのですが、踊りながら、世間話や自分た

ちの紹介なんかもして、交流が深まったし、自分

たちもいい経験になったと思います。

■ コーディネータ

(26)

ろうというのではなくて、そこから教養や知識を

学んでいるという捉え方がとても印象的でした。

では、副部長の秋山さんいかがですか。

■ 秋山_

私はドラマ班で、ドキュメントの人たちとは違

って、いろんな人たちとの交流する機会は少なか

ったんですが、放送部でボランティアなどの機会

に恵まれて、いろいろな人と関わって、その人か

らいろんな情報を得る中で、自分もこういう人に

なりたいなとか、あの人みたいに元気な人であり

たいなとか、個性あふれる人だけどいい人だなと

かを思うことがあったので、自分が得ることが多

く、成長したことはあったと思います。

■ 深尾_

自分で言うのもなんですが、自分は中学のころ

から、暗い性格で、あまり人と関わってこなかっ

た人間ですし、それほどまでに人と関わりたいと

は思っていませんでした。放送部の活動の中で、

高齢者との交流のほか、障害者や技能五輪などの

経験から、みんな一人ひとりが個性があって、そ

こに触れていくうちに自分ももっと人と関われた

らいいなという気持ちになりましたし、人のいい

ところを見つけられるようになってみたいなと思

いました。

■ コーディネータ

「人のいいところを見つけられるように」とは、

とてもいい言葉ですね。ありがとうございます。

稲葉君も、学んだこと成長したことについて何か

思う事はありますか。

■ 稲葉_

先ほど壇上では、放送部に入ってよかったとい

いましたが、初めは放送部になんか入る気はさら

さらなくて、自分は小学校のころからサッカーを

やっていたので、ほんとはサッカーをやりたかっ

たんです。でも松商学園のサッカー部はとても強

いので、何をやろうかなと思っていたときに、先

輩が放送部だったので、とりあえず放送部に入っ

てみようという感じでした。そこで最初のミーテ

ィングで先生から、まず放送部は人間活動部だか

らって言われたときに、なんだろ人間活動部って

と思ったんですが、障害者のスポーツ大会とか、

高齢者との交流とかやっていくうちに、いろんな

知識とかを吸収できたので、これからの成長して

いく糧になるのかなと思います。

部活動で嬉しかった/辛かったこと

■ コーディネータ

ありがとうございます。では、続く女性3人に

は、ちょっと質問を変えて、一番嬉しかったこと、

一番辛かったことを聞きたいと思います。

■ 米窪_

一番嬉しかったことは、番組ができて、達成感

を味わって、放送部の仲間ができたことと、吉田

さんや白木さんと知り合いになれたことです。そ

して自分がすごく強くなれたことです。一番辛か

ったことは、1年生の時に、番組制作で頑張った

けど、先輩からは認めてもらえなかったりして、

なかなか報われなかったことです。

■ 瀬古_

一番良かったことは、高校3年間で、課題が見

つかったことが良かったことだと思います。先ほ

ど県大会ではいい成績を残せたといいましたが、

実は全国大会ではいい成績を残せませんでした。

でも、そこから学んだことや気づいたこと、課題

などがあって、卒業したら、大学とかでもそれを

糧として深めていきたいです。そして、将来は感

動を伝えられるようなアナウンスを目指したいで

す。

■ 山本_

ドキュメント班に入って、たくさんの方と触れ

合うことができて、人とのつながりが広がったこ

とです。また取材でいろいろな方と接することが

でき、知識を深めることもできました。私はもと

(27)

多少でも度胸がついたのかなと思います。

協議会委員:

今日で学んだこと/気づいたこと

高校生の心意気

まさに、学ぶことは生きること

高校生との出会い

■ コーディネータ

ありがとうございます。協議会の3名に、今日

学んだこと、気づいたことを言ってもらいたいと

思います。

■ 西村_

今日の発表の冒頭に出た言葉を、皆さんご記憶

になっていらっしゃいますか。先輩を超えたいと

いう言葉でした。それが、高校生の心意気だと思

います。今日の発表ばかりでなく、今日のステー

ジセット、そして今日に至る経過などは一朝一夕

にはできないことだと思いますし、まさに放送部

の築いてきた伝統だと思いました。

■ 村上_

生徒さんの発表では、たくさんの小さな気づき

を伺うことができました。そういう生徒さんだか

らこそ、人に訴えかけるような作品を作れるんじ

ゃないかと思いました。

斉藤教育委員長が「よく学ぶことは、よく生き

ること」と言っていました。高校生が人間活動部

として、高齢者や障害者との交流から生きる糧を

得ていることは、まさにそういう事だと思いまし

た。私はそんな姿から元気をもらいました。

■ 渡辺_

私の学びは、日々一生懸命に生きていくことに

重きを置いています。今日は高校生の皆さんから

多くを学び、大きなパワーをもらいました。放送

部の皆さんが番組を制作する中で、多くの出会い

があるということを知りました。私は今日の出会

いに感謝したいと思います。

会場からご意見1

作品を通じて主張したいこと

何のために学ぶのかを問う

■ コーディネータ

では、これから会場の皆さんからご意見や感想

などを出してもらいたいと思います。いかがでし

ょうか。一人1分くらいでお願いします。

■ 発言者1_

素晴らしい成績とそのために日々頑張られてき

たこと感銘をうけました。

松商学園の皆さんへの質問。皆さんが一番主張

したいことは何ですか。

■ 丸田_

先ほど見てもらったドラマで言うと、少年と少

女が出てくるわけですが、少年は努力をしても報

われない日々を送っている中で、少女が現れて、

直接的ではないですが、間接的に少年をサポート

するという感じで、その少年も努力をしていくう

ちに、いつかは報われる・・努力をしていれば、

必ずいつかは報われるという思いを込めました。

■ 発言者1_

ドキュメントで主張したかったことは何ですか。

■ 稲葉_

ドキュメントで主張したかったことは、昨年も

今年も、普段見ているメディアでは伝えられない

ような題材を、高校生の視点から見たことを伝え

たいなと考えて作っていました。

■ 発言者1_

ちゃんとした主張もあるし、制作にもだいぶ苦

労されている、また本日の発表も大変すばらしい

のに、松本市民がこれだけしか聞きに来ていない

のは残念ですね。

■ コーディネータ

おっしゃる通り、私たち大人がアンテナを高く

しないといけないですし、今日の発表は、これだ

(28)

だと思っています。

他の方、いかがでしょうか

■ 発言者2_

本日の発表は素晴らしい内容でした。今後、高

校生の皆さんは、学ぶことの繰り返しになると思

いますが、何のために学ぶのかをしっかりと自問

しながらこれからも臨んでいってほしいと思いま

す。また「何のために学ぶのか」を、フォーラム

のテーマにしてほしいと思います。

会場からご意見2

共同作業/出会い/作品は自分自身

他者に向き合う姿勢

■ コーディネータ

エールをいただいたと思います。

ではここで、松商学園放送部にゆかりのある方

にもお話を聞きたいと思います。松商学園の元校

長先生で金井先生ですが、ベラルーシでの取材に

生徒を同行していますが、感想などいかがですか。

■ 金井貞徳(松商学園元校長)

私は昭和21年から二十数年顧問をさせていた

だきました。本日もそのころの作品が一つ入って

いましたけれども、その中で私が思ったことを申

し上げます。

放送部は共同して作業することが大事だと思い

ます。放送部発足当時、機材も何にもないという

中、とにかく夢中でやってみました。最初入って

きた10名の中に何にもしない子が2人いました。

男の子と女の子が。でも、分かったんですが、何

にもしないんじゃなくて、男の子は毎日冗談を言

っていました。そうやってみんなを元気づける。

女の子はみんなを集めて、毎日机をふくんですね。

ところが、そういう2人がいない日は、元気が出

ない。そう考えると、共同作業っていうのはもの

すごくおもしろいなと感じました。

次に、出会いがものすごく大切だということで

す。放送部の制作などでも、いろいろな人にお世

話になるんですが、その中でも、ものすごく忙し

い人、仕事に追われているような人もいます。あ

る時そういう人から言われたことが印象的でした。

皆さんと一緒に仕事をするかしないかは、皆さん

をぱっと見た瞬間に決めるんだと。その頃はクラ

ブ活動でしたが、生徒の情熱なんかをちゃんと見

られているんだなと感じました。

最後に、作品は君ら自身だということです。作

品がどう見られて、拍手をもらえるかは、自分を

磨くしかないということです。ただし、どう磨く

かは、冷静に自分や作品を見つめ直すのが必要で

もあります。でも最後は情熱で作り上げるもので

す。ですから生徒には、完成はないものだと思っ

ていました。

■ コーディネータ

ありがとうございました。では、もう一人、チ

ェルノブイリ連帯基金の神谷さんにお聞きします。

ベラルーシへの同行以来、一連の作品作りに関わ

られたと聞いていますが。

■ 神谷さだ子(チェルノブイリ連帯基金)

作品そのものは、ものすごく言葉が凝縮されて

いて、ほんとに感動しました。それ以上に、松商

学園放送部の皆さんが、フィルムメイキングの話

をしてくださったことはとても面白かったです。

私は福島の取材に同行したんですが、絆診療所

の前の家も流されてしまったおばあちゃんにイン

タビュ−した時に、故郷に帰りたいですかって放

送部員が聞いたんですね。そしたら、おばあちゃ

んは、ふっとものすごく寂しげな顔をして、何も

しゃべらなくなったんですね。相手に対するその

皆さんの姿勢、何か引き出すものがやはりあった

んじゃないかと思いました。みんながドキュメン

トをつくる時、ドラマをつくる時、自分がいなが

ら、自分を離れた他者に静かに向かい合っている

姿勢に、心をうたれました。

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