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建設複合材料研究 指導教員 伊代田 岳史

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Academic year: 2021

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(1)

炭酸化した高炉セメント硬化体の空隙構造変化が物質移動抵抗性に与える影響

建設工学専攻

ME17099 水野

み ず の

ひろ

建設複合材料研究 指導教員 伊代田 岳史

1. はじめに

RC

構造物の劣化現象の一つである炭酸化はコンクリ ート中のアルカリ性が低下することによって鋼材の不 動態被膜を破壊し,鋼材腐食を引き起こす。炭酸化は水 和生成物である水酸化カルシウムや

C-S-H

(ケイ酸カル シウム水和物)が二酸化炭素と反応することによって進 行する。水酸化カルシウムの炭酸化は緻密な細孔構造を 形成する一方で

C-S-H

の炭酸化は細孔構造を粗大化さ せるとの報告

1)

もある。近年の実構造物における炭酸化 の調査によると,コンクリートの炭酸化が鋼材近傍まで 進行していたとしても,雨掛かりのない乾燥した環境な どでは鋼材腐食の進展が見られない,あるいは進展が遅 く,乾湿繰り返しが生じる環境で鋼材腐食が進みやすい ことが明らかになってきている。これは腐食の発生には 水分が必要なためだと考えられる。このことから炭酸化 と水の浸透の両者から鋼材腐食について検討を行う必 要がある。すなわちコンクリートの炭酸化進行速度のみ ならず水分の浸透速度について考慮しなければならな い。そこで本研究では,高炉スラグ微粉末(GGBFS)を使 用したコンクリートを作製し,炭酸化する水和物が変化 したとき,コンクリートの炭酸化の有無が水分浸透性に 与える影響について検討を行うこととした。

2. 実験概要

2.1. 使用材料及び試験体諸元

表-1 に計画配合を示す。炭酸化の進行を早めるため に

W/C60%一定とし,GGBFS

0,50%,70%置換した

コンクリートを作製した。 試験体寸法は

Φ100×50mm

の 円柱試験体を作製した。

2.2. 透水試験

実験フローを図-1 に示す。作製したコンクリートは

図-1 実験フロー図

翌日脱型(S1)と,封かん養生を

7

日(S7)施したもの を用意した。供試体は材齢

28

日まで恒温恒湿室(20℃,

RH60%)にて静置し,材齢28

日を迎えた時点で

60cm

の水頭をたて,水頭圧による透水試験を実施した。その 後,試験体を促進中性化装置(20℃,RH60%,CO

2

濃度

5%)に静置し,供試体の炭酸化が完了した時点で透水試

験を実施した。

3. 実験結果

図-2 に

S1

の炭酸化前後での透水試験の結果を示す。

なお結果は

48

時間まで供試体に透水した水量を表して いる。

OPC

は炭酸化前後での透水量の変化は小さい。一 方で

B50

B70

は炭酸化後の透水量が大きくなる結果 となった。

図-3 に

S7

の結果を示す。S1 に比べ透水量が減少し ているものの

GGBFS

を置換したものは炭酸化後の透水 量が大きくなる結果となった。

ここで物質移動抵抗性の低下原因の検討を行うため に空隙構造に着目し,透水試験を行った試験体を

5mm

角程度に粉砕し,水銀圧入法により空隙構造を計測した。

水銀圧入法は水銀が大きな空隙径から小さな空隙径へ と連続的に侵入すると仮定して細孔径を算出している。

しかしながらインクボトル空隙のような大きな空隙

1 3 7 28

養生終了 透水試験

炭酸化 終了

恒温恒湿室 温度

20℃

湿

60%

促進炭酸化 CO

2

濃度 5%

S1

S7 封緘 養生 材齢

(日)

W OPC GGBFS S G

OPC 0 275 - 847 1025

B50 50 138 138 843 1019

B70 70 83 193 841 1017

配合名 W/B(%) GGBFS置換率

(%)

空気量 (%)

s/a (%)

単位量(kg/m

3

)

60 4.5 46 165

表-1 コンクリートの計画配合

(2)

図-2 透水試験結果(S1)

が介在した場合,大径空隙を小径空隙と評価してしまう。

そこで図-4 に示すように水銀の加圧と減圧の過程で生 じるヒステリシスの関係からインクボトル空隙の量と 空隙の連続性を評価することとした。

図-5 に

S1

の未炭酸化の結果を示す。凡例中の数字は インクボトル空隙量を表している。総細孔量は

OPC

が 最も少ない結果となった。一方,B50 と

B70

OPC

に 比べ,総細孔量は多いものの小径空隙の細孔量が多い結 果となった。また,インクボトル空隙を示す加圧段階と 減圧段階の差も

GGBFS

の置換に伴って大きくなってい ることが分かる。つまり高炉スラグ微粉末を置換した場 合,小径空隙が多く存在し,複雑な空隙構造を有してい ることが示された。 図-6 に

S1

の炭酸化後の水銀圧入の 結果を示す。

OPC

の総細孔量が最も少なくなっており,

B50

B70

は炭酸化によって大径空隙の細孔量が増加 している。また,未炭酸化のものと比べ,加圧段階と減 圧段階の差も小さくなっている。このことから,高炉セ メント硬化体が炭酸化するとインクボトル空隙を有す るような複雑な空隙構造のものから連続性のある空隙 となっていることが示された。

4. 結論

炭酸化前後を比較して本研究で得られた結果を以下 に示す。

(1) OPC

は炭酸化によって水分が浸透しにくい結果と なった。一方で高炉セメント硬化体が炭酸化すると 水分浸透抵抗性が低下し,養生日数が少ないものほ どその傾向は顕著であった。

(2)

高炉セメント硬化体は炭酸化によって粗大な空隙 構造になる結果となった。高炉スラグを置換するこ とによって

C-S-H

の炭酸化が卓越することが考え

られ,

C-S-H

の分解は空隙構造を粗大化させ物質移

動抵抗性が低下することが考えられる。

図-3 透水試験(S7)

図-4 水銀圧入法の概要

図-5 水銀圧入試験結果(未炭酸化)

図-6 水銀圧入試験結果(炭酸化後) 参考文献

1)

原沢蓉子,本多和博,伊代田岳史:異なる炭酸化環 境が空隙特性および炭酸化進行に与える影響,コン クリート工学年次論文集,Vol.36,No.1,2014

0 10 20 30 40 50 60 70 80

OPC B50 B70

透 水量 (m l )

未炭酸化 炭酸化後

0 10 20 30 40 50 60

OPC B50 B70

透 水量 (m l )

未炭酸化 炭酸化後

細孔直径(nm)

細孔量 (cc/g)

加圧 減圧 排出

インクボトル 空隙

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12

1 10 100 1000 10000 100000

細孔量 (cc/g)

細孔直径(nm)

S1-OPC (0.0285)

S1-B50 (0.0549) S1-B70 (0.0673)

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12

1 10 100 1000 10000 100000

細孔量 (cc/g)

細孔直径(nm) S1-C-OPC

(0.0451)

S1-C-B50 (0.0490)

S1-C-B70 (0.0217)

参照

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