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2-1

外国旅行の現状と展望

2015 年のイタリア人の観光宿泊数は、計 3 億 3,989 万 8,000 泊を記録し、このうち 81.1%が国内旅行、 18.9%が外国旅行であった*1 。また国連世界観光機 関(UNWTO)の統計によると、イタリア人のアウ トバウンド数(1 泊以上の外国旅行者)は、2014 年 2,846 万人、2015 年 2,904 万人と、年々増加しており、 今後も外国旅行の増加が期待できる。 イタリア国家統計局(ISTAT)によるイタリア人 の外国旅行先調査結果をまとめたものが下表であ る。これによると、2015 年の休暇目的の外国旅行の 行き先は 81.9%を EU 諸国が占め、国別ではスペイ ン(12.3%)とフランス(22.6%)が一位、二位を占 め て い る。 ス ペ イ ン は 4 泊 以 上 の 長 期 旅 行 先 の 15.0%を占めフランスは 3 泊以下の短期旅行先では トップの 22.6%を占めている。商用旅行では、ドイ ツが 13.4%と最も多くなっている。EU 圏外では、モ ロッコと米国が休暇旅行先として人気が高く(それ ぞ れ 6.0% お よ び 3.2%)、 商 用 旅 行 で は ス イ ス (9.1%)、中国(4.6%)が多かった*2。 ■

2015

年 イタリア人の外国旅行先(単位:%)*3 訪問先の国名 個人的理由による旅行 商用 旅行 旅行 全体 休暇 全体 短期旅行 (1∼3泊) 長期旅行 (4泊以上) EU諸国 81.9 98.9 75.3 78.0 81.3 スペイン 12.3 - 15.0 10.7 12.1 フランス 11.5 22.6 7.2 8.6 11.1 クロアチア 8.6 13.4 6.8 - 7.6 ドイツ 6.0 9.1 4.8 13.4 7.0 オーストリア 5.9 13.0 - 6.0 5.9 アルバニア 5.7 - 6.9 - -英国 - 8.1 7.8 5.3 スロベニア - 7.6 - - -ルーマニア - - 6.5 - -EU以外の地域 18.1 1.1 24.7 22.0 18.7 モロッコ 6.0 - 8.4 - 5.2 米国 3.2 - 4.5 - 3.3 スイス - - - 9.1 中国 - - - 4.6 -イタリア人の外国旅行支出は、2015 年のユーロ 安・ドル高のため、米ドル表示の UNWTO 統計では 2014 年の 28,857 百万ドルから 2015 年は 24,720 百万ド ルに減少しているが、ユーロ表示のイタリア政府観 光局発表の資料では、2014 年よりも 1.4%増の 22,012 百万ユーロとなっている。は 2014 年以降伸び続けて おり、2015 年には前年比で 1.4%増加した。しかし 実質ベースでは経済危機前の値をまだ超えることが できていない。ユーロ表示では、イタリア人の主要 旅 行 先 で の 支 出 額(2015 年 ) は、 英 国( 前 年 比 11.2%増)、米国(同 7.4%増)、フランス(同 6.7%増)、 スペイン(同 6.6%増)、スロベニア(同 6.1%増)な どで増加した一方、ドイツ(同 3.8%減)、中国(同 3.1%減)、スイス(同 2.5%減)などの国では減少し ている*4 。 近年、観光分野における主要な問題は、旅行先の 安全性や信頼性である。世界各地で発生しているテ ロ攻撃や政情不安の影響をうけて、イタリア人旅行 者の旅行先に変化が見られるようになった。2015 年 は、特に長距離旅行先について、より安全で信頼性 が高い旅行先を選ぶために、旅行業者に旅行コンサ ルタントとしての役割が求められるようになってい る。安全性の問題は、オマーン、スリランカ、マレー シア、タイ、その他のアジア諸国への旅行需要に影 響を与えつつある。エジプトなどいくつかの旅行先 は、国の情勢により安全性が危惧され旅行者が減っ ているが、キューバのようにビーチリゾートがあり、 安全でエキゾチックな雰囲気がある旅行先では旅行 者が伸びているケースもある。例えば、2015 年にお けるキューバへのイタリア人旅行者数は、対前年比 で 10%増加している*5 。 イタリアはヨーロッパで 4 番目に訪日客が多い市 場であり、2015 年のイタリアからの訪日客数は 10 万 3,198 人と、前年比で 28.1%増加した。2016 年もイ タリアからの訪日客は順調に伸びており、11 万 9,300 人(前年比 15.6%増加)であった。 2011 年、東日本大震災、津波被害、福島第一原子 力発電所事故の問題により、イタリア人訪日客は前 年の約半分まで激減した。しかし、2012 年より徐々 に戻り、2013 年には震災前の数値を超えるまでに回 復した*6 。イタリアの主要ツアーオペレーターが、 遠距離旅行先の一つとして、自社カタログに訪日商 品を掲載するようになったのは 2014 年からであり、 それがイタリアの訪日客増加につながった。旅行先 としての日本人気の高まりは、アフリカ諸国が政

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第2章 外国旅行の動向 豪州 カナダ 米 国 ロシア ドイツ フランス 英 国 イタリア スペイン 治・社会的混乱やエボラ出血熱の流行などで人気が 落ちたこともあるが、南アメリカ諸国のようにユ ニークな長距離旅行先として日本が認識されたこと や、訪日旅行の主要なターゲット層として、ハネ ムーン旅行者、高収入で子どものいないカップル、 若者、50 歳から 60 歳の高齢旅行者などを取り込ん だことが要因となっている*7。2020 年の東京オリン ピック・パラリンピックを見据えて、ますますイタ リア人訪日客の増加が期待できる。

*1: 資料:イタリア国家統計局(ISTAT)、Viaggi e vacanze in Italia e all’estero Anno 2015、2016年2月10日

*2: 資料:イタリア国家統計局(ISTAT)、Viaggi e vacanze in Italia e all’estero Anno 2015、2016年2月10日

*3: 資料:イタリア国家統計局(ISTAT)、Viaggi e vacanze in Italia e all’estero Anno 2015「Graduatoria Delle Principali Destinazioni Per Tipologia Del Viaggio」、2016年2月10日

*4: 資 料:confcommercio.it、Istat: per il turismo 2015 anno stabilità dopo il “flop” degli anni precedenti、2016年4月22日 (http:// www.confcommercio.it/-/istat-turismo-2015/)

*5: 資 料:turistica.it、Come cambiano le preferenze. II rapporto sull’

outgoing in Italia、2016年2月18日(http://www.turistica.it/news/ article/come-cambiano-le-preferenze-ii-rapporto-sull-outgong-in-italia/)

*6: 資料:JNTO、訪日外客統計、2016年10月推計値

*7: 資 料:Openmind Tourism Marketingに よ る 現 地 旅 行 会 社 と ツ アーオペレーターへのヒアリング

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外国旅行の旅行形態別特色

欧州委員会による 2014 年の旅行についての調査で は、イタリア人回答者のうちパッケージツアー(交 通、宿泊、食事全てを含む)を選んだ人は 36%、一 部パッケージツアー(全てを含むわけではない)が 29%、旅行サービスを別途購入した人が 33%である *8 。すなわち、旅行全体で見ると、イタリア人がパッ ケージツアーを利用する頻度は低くはない。旅行の 一部をパッケージ商品で手配しても、航空券などそ の他の部分は個人で手配することを好む傾向があ る。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」(2015 年) によると、イタリア人訪日客では「個別手配」が 84.6%と最も多く、「団体ツアーに参加」が 9.3%、「個 人旅行向けパッケージ商品を利用」が 6.1%となって いる*9 。

*8: 欧 州 委 員 会(European Commission)、Preferences of Europeans Towards Tourism、2015年3月 *9: 資料:国土交通省、平成 27 年における訪日外国人の消費動 向

1.

個人旅行 イタリア人は FIT 旅行を好む傾向が高く、自らの 関心や情熱に従って計画する『成熟した旅行者』で ある。そして日本は、そのようなイタリア人にとっ て魅力ある旅行先として位置付けられている。彼ら は一般的にカスタマイズ可能な商品を好む傾向が高 いため、ツアーオペレーターの約 75%がオーダーメ イドの訪日旅行商品の販売を行っている。チケット など単体サービスの手配を行っているのは約 44%と 少ない*10。 イタリア人 FIT 旅行者がツアーオペレーターを通 じて手配する商品で多いものは、航空券(FIT 旅行 者 全 体 の 90.2 %。 以 下、 同 様。)、 ホ テ ル 宿 泊 (82.9%)、現地交通機関チケット(65.9%)である。 交通手段は公共交通機関を好む傾向が強く、レンタ カーはあまり利用しない(2.4%)。その他に彼らが 利用する商品としては、ガイド付きグループツアー (36.6%)と、ガイド付き個人旅行(34.2%)がある*11 。 イタリア人訪日客は、グループツアーには参加した がらないが、個人旅行であっても、プロフェッショ ナルなガイドをつけることへのニーズは高い*12 。 *10: 資料:TTG Italia、2014年調査 *11: 資料:TTG Italia、2014年調査

*12: 資料:Openmind Tourism Marketingによる現地旅行会社とツ アーオペレーターへのヒアリング。

2.

パッケージツアー 訪日パッケージツアーで人気なのは、8 日∼ 10 日 間(46.2%)、あるいは 11 日∼ 15 日間(32.7%)の ガイド付きツアー(イタリア語または多言語ガイド) である。最もよく売れているツアーは、ゴールデン ルートを中心に日本の主要な観光地を巡る、伝統的 で文化的な要素を多く含む旅程のものである。これ は、イタリア人旅行者のほとんどが初来日者である ためと考えられる。訪日ツアー商品には、日本と他 国と組み合わせたハネムーン向け商品も含まれ、タ イ、ニュージーランド、フランス領ポリネシアなど のビーチリゾートを有する地域や、ペルシャ湾岸諸 国の航空会社が格安航空運賃を提供しているモルジ ブなどのインド洋地域と日本を訪れる行程が組まれ ている*13。 *13: 資料:TTGItalia、2014年調査

2-3

観光関連政策

1.

外国旅行関連規制 イタリアはシェンゲン協定に加盟しており、シェ ンゲン域内のヨーロッパ 26 カ国の間を、パスポート

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イタリアにおける「旅行業」とは、「旅行者の代 わりに旅行素材の手配行為を行うこと。パック旅行 の販売を行うこと。その双方を行うことを業とする こと」となっている。旅行業に関連する規制は、私 法統一国際協会(UNIDROIT)が作成した旅行契約 に 関 す る 国 際 協 定「International Convention on Travel Contracts(CCV)」に準拠した規則とイタリ アの法律に従っている。CCV は 1970 年 4 月 23 日に ブリュッセルで署名され、イタリアの国内法もこの 協定を基準に整備されてきた。 2011 年 6 月 21 日には、旅行業に関する規則が修正 さ れ た「Decreto Legislativo 23 maggio 2011, n. 79 (2011 年 5 月 23 日第 79 号政令)」が発効された。これ は旅行契約に関する国際協定(CCV)において、イ タリア法 n. 1084/77 を承認している。 第 79 号政令では、観光促進および市場保護を目的 とし、地方自治体の制定する条例などと整合性があ るように法整備が行われた。この法令では、それま でに制定された様々な法令の要素が盛り込まれてい る。例えば 2011 年 13 号法令(「国内観光法改正」) について、旅行産業の定義(第 4 条)や観光のため の業務(第 6 条および 7 条)において、時代に合わ なくなった点など規定を見直し、更新している。同 政令第 3 章では、宿泊施設の運営について規定し、 また第 8 条から 15 条では、宿泊施設のクラス分けや 標準的な品質について規定している。第 16 条では、 旅行施設・サービス・宿泊施設の立ち上げには、「事 業開始許可(Scia - Segnalazione Certifi cata ddrtifi c attività)」が必要であると規定された。 旅行業を営む者は、各地域の旅行業に関する法に 基づき各県に申請し、旅行業資格の取得が必要と なっており、素材販売やパック旅行も旅行業の対象 となる。また、オペレーター業も旅行業という扱い となる。 第 79 号政令の特徴的な点は「旅行者の損害」への 賠償が含まれたことである。ツアーオペレーターと ブローカー(旅行業者)は顧客の怪我などの民事責 任のため、賠償責任保険の加入が義務付けられた。 「パッケージ」販売における「不適切な振る舞い」 の定義(第 43 条)、オーガナイザーや媒介者の保証 義務(第 50 条)、所有権分割に関する規制が修正さ れ、契約者/消費者の保護が強化された*14*15 。

2-4

日本の競合旅行地

1.

タイ ● 2015 年イタリア人旅行者数:23 万 5,000 人。 ①日本との競合部分 イタリア人のタイ訪問者数は年々増加し、人気が ある旅行先の一つである。バンコクなどの大都市で 見られる「伝統と現代のコントラスト」や、南北に 長い地理的条件から生まれる「多様な風景や歴史遺 産」、「スパや瞑想などのヘルシーなイメージ」「予算・ 内容共に幅広く選べる食文化」などが、日本との競 合要素として挙げられる。また、地元民の親しみや すさ、接客サービスの質の高さに「微笑みの国」と いう呼び名を与えて観光魅力に昇華している点も日 本の「おもてなしの文化」と共通している。 ②主な観光の魅力 豊かな自然、歴史的・文化的・エキゾチックな体 験、リラックスのためのアトラクションが充実し、 多様な観光資源が豊富にある。寺社仏閣などの歴史 的なスポット、美しいビーチ、風光明媚な田舎、フ レンドリーな現地の人々との交流、充実したナイト スポットなど、旅の楽しみがたくさんある。比較的 安価な宿泊施設や食事が楽しめる一方で、富裕層を ターゲットとした高級ホテル、レストランやクラブ、 ゴルフなどのスポーツセンターの設備も充実してい ることから、幅広いターゲット層のニーズに対応で きる設備が揃っている。一方、観光客が急増したこ とで自然資源と環境が損なわれる懸念から、タチャ イ島は無期限で観光客に対して閉鎖されるなど、弊 害も発生している*16 。 ③観光インフラについて ベトナム、カンボジアなどの近隣アジア諸国と比 較し、タイはインフラの質が高いというイメージが 浸透している。イタリアからタイへはタイ航空によ る直行便が運航しており、タイ航空以外にも他の航 空路線を利用した経由が可能なため、アクセスが容 易というイメージが強い。バンコク都市部の高架鉄 道(BTS)や主要観光地(バンコク、チェンマイ、 プーケット)の国際空港など既存の交通インフラの

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第2章 外国旅行の動向 豪州 カナダ 米 国 ロシア ドイツ フランス 英 国 イタリア スペイン 拡大に加えて、高速鉄道の建設計画が進行しており、 近い将来に旅客運輸能力の大幅な向上が期待されて いる。加えてホテルのコストパフォーマンスが高く、 広いスペース、ダブルベッド対応、アメニティや カップル優待プラン(ウェルカムドリンクやサービ スクーポンなど)のサービスも充実している*17 。 ④マイナス要素 近年、休暇先の条件として安全性を求める傾向が 強いイタリア人にとって、2014 年 5 月の軍事クーデ ターや、2015 年、2016 年の爆破テロ事件などの政情 不安は、不安要素となる可能性が高い。売春観光や 警察の低い信頼性、スリなどの犯罪が多い、情報通 信インフラの遅れといったマイナスイメージを持っ ている人も少なくない。 ⑤政府観光局による外客誘致活動 タイ国政府観光庁はイタリアで積極的にプロモー ションを実施し、『より優れたスピリチュアリティ (精神性)を追及できる場所』、『独自性の高い旅行 先』、そして『日常からの脱出』というイメージを 発信している。 2016 年は『アクセス可能なラグジュアリー』を テーマに、費用対効果の高い旅行先というイメージ をアピールしている。自然と直接ふれあい地域住民 と生活を共にする農村滞在型ツーリズム、LGBT 旅 行、スポーツ観光、ハネムーンなどに焦点をあてた 様々なプロモーションを実施している。例えば、ス ポーツ観光促進としては、イタリア国内でのマラソ ンやムエタイ(タイ式キックボクシング)大会など のスポーツイベントを通じて、タイをアピールして いる。また、旅行代理店やカタール航空などと連携 し、タイ旅行が当たるコンテストも実施している*18 。 ⑥旅行業界などによる外客誘致活動 タイはイタリア人にとって、アジアの中で費用対 効果の高い旅行先として認知されており、旅行代理 店も様々な観光地・価格設定の商品を揃え、多様な ターゲットへのニーズに応えている。旅行商品のバ リエーションについては、文化や考古学的な体験、 自然やビーチといった、幅広いアトラクションを揃 えた商品が多い。旅行会社が販売している商品は、 プーケットなどビーチリゾートを含む旅程や、寺 院・農村などイタリアにはない伝統・文化を体験す る行程を多く見かける。バンコクを拠点に北部また は南部へ移動し、都市と農村どちらも訪れることで、 タイの新しさ(発展)と昔ながら(伝統)の部分を 発見する旅である。カタログが旅の目的で分類され ている場合、日本と同じカテゴリである「伝統・文 化」に分類されている。

*16: 資 料:BCC、Thailand to close Koh Tachai island over tourism damage、2016年5月16日( http://www.bbc.com/news/world-asia-36309103)

*17: 資料:タイ国政府観光庁ホームページ(日本語)、タイ国内 の主な交通

*18: 資料:Vita da Turista、http://www.vitadaturista.it

2.

中国 ● 2015 年イタリア人旅行者数:24 万 6,100 人。 ①日本との競合部分 中国は、世界で 4 番目にインバウンド旅行者が多 い国で、その数は約 5,690 万人である(2015 年)。イ タリア人旅行者も約 24 万人が中国を訪問しており、 中国は世界中から旅行者が集まり注目されている人 気の市場である。 中国を旅行するためには、イタリア人はビザの取 得が必要となるが、「VISITO CHINA IRETTO」と いうサイトから簡単にビザ申請手続きができるよう になった。このサイトを通じて旅行代理店および個 人旅行者がパスポートのスキャンデータ、航空券、 ホテルの予約証書を提示し、手続料を支払うことで、 以前より短期間でビザが発行されるようになった。 そのため、イタリア人にとって中国はより観光しや すい場所となったと言える。上海、南海、杭州など は、ビザなしで 72 時間滞在できるようになり、中国 へ旅行しやすい環境がさらに整備されている。 ②主な観光の魅力 イタリア人の旅行目的として関心の高い、自然景 観、歴史・文化について豊富な観光資源を保有して いる。田園風景や山、湖、渓谷など歴史ある景色が 堪能できる場所、広い国土ゆえに地域で様々異なる 民族の多様性など、長い歴史の中で形成された、イ タリアにはない特有の文化が体感できる。 ③観光インフラ 2016 年 7 月には、アリタリア航空のローマ−北京 間の直行便が就航した。アリタリア航空の直行便の ほかに、中国東方航空、中国南方航空、海南航空な ど、イタリア−中国間は 6 つの中国の主要航空会社 が乗り入れており、北京、上海など 9 つの中国の都 市が連絡されている*19 。一方、国内旅行者および外 国旅行者の増加に対して、中国は観光インフラの急

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ぼる。全ての大都市および中程度の都市や、観光ス ポットには、国内旅行者および海外からの旅行者向 けに完全な設備とサービスを持つホテルがある。 ④マイナス要素 中国は広大なため、多くの観光スポットではイン フラの整備が貧弱で、アクセシビリティが低いとい うイメージがある。著しい経済成長の一方で、環境 汚染問題のニュースを目にすることから、環境への 配慮が乏しいというイメージもある。 ⑤政府観光局による外客誘致活動 中国国家観光局(CNTA)のイタリア語ウェブサ イトでは、中国の多様な山地・湖・渓谷・洞窟・滝、 棚田などの原風景と共に、自然、歴史・文化体験と いった旅の目的にあわせた情報を発信している。毎 年、CNTA は観光振興のためのテーマを設定してい る が、2016 年 は『 シ ル ク ロ ー ド、 美 し き 中 国 (Beautiful China, lungo la Via della Seta)』を掲げ、

西安、陝西、甘粛、寧夏回族自治区、青海省、新疆 などの、民族の多様性とその地域独自の文化がある 場所を選定した。これらの地域を訪中の新たなルー トとしてシルクロードに中心を置いた広域観光を積 極的に PR している。 また、旅行会社向けの E ラーニングやウェブセミ ナー(webinar)がイベントやフェアと連携して実 施されており、旅行業関係者向けの教育にも力をい れている。 ⑥旅行業界などによる外客誘致活動 旅行会社が販売している旅行商品は、歴史的建造 物、山・湖など地方の自然景観、民族の住む地域を 巡る行程が多く、上海のような都市文化を推してい ない。広大な中国で、地域ごとに異なる文化、昔な がらの中国を体験するという旅がイタリア人の訪中 旅行の中心である。 なお、イタリアのクルーズ会社 Costa Crociere 社 の「ネオ・ロマンティカ」号が 2017 年 4 月より中国 海路の運航を開始する。1,800 名を収容できる客船が 1 年を通して運航されることから、イタリアおよび 世界各地のクルーズ客が、海路から中国へ訪問する ことが期待される。

*19: 資 料: L’Agenzia di viaggi,Alitalia reloaded: si torna all'utile nel

● 2015 年イタリア人旅行者数:5 万 1,946 人。 ①日本との競合部分 2015 年、マレーシアを訪問したイタリア人旅行者 は約 5 万人で、日本と比較するとその数はまだ半数 である。しかし、マレーシアは世界で 14 番目に旅行 者を受け入れている(257 万 21,251 人)*20*21おり、 マレーシアにおいて観光産業は、石油・ガス・エネ ルギー、金融、卸・小売業、そしてパームオイル産 業に次ぐ重要産業となっている。イタリア人の旅行 目的として関心の高い、自然やビーチリゾートと いった観光資源があるため、今後も増加が見込まれ る。 ②主な観光の魅力 イタリア人に人気なビーチリゾートが数多く存在 する。安価な宿泊施設があり、滞在費がイタリアよ り高くないことから費用対効果が高いというイメー ジある。イタリアからの直行便はないが、経由地で のフライトの接続が良好であり、アクセスしやすい というイメージもある。ビザも不要なことから、旅 行先として選択しやすい。 ③観光インフラ イタリアとマレーシア間の直行便は運航していな いため、経由便を利用する必要がある。マレーシア 国内は、空路、鉄道、長距離バス、タクシーやレン タカーで各地へ移動できる。マレーシアは道路が整 備されており、長距離バスを利用すればシンガポー ルとタイまで移動可能である*22 。政府は、観光開発 インフラ基金を通じた企業家への援助や、コンベン ションビューローや教育観光、医療ツーリズム、観 光に関連する飲食店などを対象とした観光インフラ の開発に取り組んでいる*23 。 ④マイナス要素 マレーシアは自然が観光の魅力の一つであるが、 パームオイル・プランテーションによって熱帯雨林 伐採やオランウータン生息地破壊が行われていると いった、ネガティブなイメージが国際的にもたれて いる。 イタリア人観光客の多いタイと隣国であり、シン ガポールやインドネシアとも隣接することから、競 合国との差別化が課題となっている。

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第2章 外国旅行の動向 豪州 カナダ 米 国 ロシア ドイツ フランス 英 国 イタリア スペイン ⑤政府観光局による外客誘致活動 マレーシア政府観光局の活動は、『手ごろな価格 のラグジュアリー』『ネイチャーアドベンチャー』『家 族での楽しみ』『イベント・エンターテイメント』『商 用旅行』をテーマに、ターゲットを絞りプロモー ションを実施している。また、エティハド航空と提 携し、ラジオやインターネットでの広告キャンペー ンやフォトコンテストを行い、マレーシアの観光の 魅力をメディアから訴求している。旅行業界者向け には、旅行代理店向けのワークショップやオンライ ンセミナー、旅行関連専門学校を対象としたプロ モーション活動などが実施され、マレーシア観光の 知識を深めてもらうための教育に力を入れている。 ⑥旅行業界などによる外客誘致活動 旅行会社で販売されている商品には、熱帯雨林の 自然やビーチ、原風景を巡る行程が含まれている。 国内の観光だけでなく、マレーシアから隣国のシン ガポールやタイを含む旅程で、国ごとの文化の違い、 都市と田舎のコントラストなどを楽しむ周遊の旅を 提案している。 *20: 資料:JNTO、世界各国・地域への外国人訪問者数(2015年 上位40位)、訪日外客数の動向 *21: 資料:マレーシア政府観光局、Tourist Arrivals *22: 資料:マレーシア政府観光局ホームページ、交通事情 *23: 資料:マレーシア観光文化省(MOTAC)、Tourism Development

Infrastructure( http://www.motac.gov.my/en/programme/funds-incentives/tourism-development-infrastructure-fund/)

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訪日旅行の価格競争力

訪日旅行商品のツアーパッケージとしては、7 日 間程度のゴールデンルートを巡るベーシックな商品 や、10 日∼ 14 日間程度のゴールデンルートにプラ スアルファした商品を多くみかける。一方、競合の アジア市場の商品は、日本より価格が安く、旅行日 数の長いものが多い。なお、主要旅行会社から抽出 した、訪日旅行を含む競合各国の 2016 年秋の販売 価格は以下のとおりである。 地域 国名 日数 価格 (単位: ユーロ) 円換算した価格 (1ユーロ115 円換算) (単位:円) アジア 日本 6泊9日 2,050 23万5,750 タイ 7泊10日 1,790 20万5,850 中国 7泊9日 1,890 21万7,350 インド 8泊10日 1,780 20万4,700 ベトナム 7泊10日 2,150 24万7,250 イ ン ド ネ シア 8泊11日 1,780 20万4,700 マレーシア 8泊11日 2,070 23万8,050 フィリピン 12泊14日 2,500 28万7,500 カンボジア 7泊10日 1,790 20万5,850 北米 ア メ リ カ 合衆国 9泊11日 2,525 29万375 カナダ 12泊14日 1,760 20万2,400 南米 ブラジル 7泊9日 1,760 20万2,400 コロンビア 11泊13日 2,070 23万8,050 ペルー 9泊11日 2,320 26万6,800 ヨ ー ロ ッ パ・地中海 沿岸国 スペイン 12泊13日 1,680 19万3,200 フランス 11泊12日 1,620 18万6,330 ポルトガル 9泊10日 1,380 15万8,700 ギリシャ 7泊8日 1,350 15万5,250 トルコ 10泊11日 1,490 17万1,350 北アフリカ チュニジア 7泊8日 990 11万3,850 モロッコ 7泊8日 1,500 17万2,500 エジプト 12泊13日 900 10万3,500 オセアニア オ ー ス ト ラリア 9泊10日 1,820 20万9,300

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評価の高い日本の旅行地

イタリアで一般的によく知られている日本の都市 は、ゴールデンルートにある東京、京都、広島であ る。東京は、日本の首都であると共に、世界で最も 有名な都市の一つとして知られている。大都市の中 に過去と未来が隣り合わせにあるイメージを持たれ ており、歴史やハイテクを愛する人が、憧れる場所 である。京都は、東京同様、ベーシックなパッケー ジ商品に含まれている場所である。東京のイメージ とは異なり、寺社などの伝統文化や歴史、舞妓など のイメージが強い。奈良は、東大寺の大仏など、ユ ネスコ世界遺産である古都奈良の文化財がある場所 として知られ、奈良公園の鹿も人気がある。広島は 原爆についての歴史的背景が知られており、原爆 ドームは平和の象徴としてイタリア人が訪れたい場 所になっている。 富士山・箱根は、東京からの日帰り観光地として、 ゴールデンルートの旅行行程に含まれていることが 多い。富士山は日本の象徴として知られ、登山時期、 アクセスについて問い合わせを受けることもある。 箱根は温泉に入れ、富士山の景観が楽しめる場所と

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を好むため、ダイビングや釣りなどに関心がある。 また、ゴルフやスパが体験できることや、長寿の人 が多い地域であることでも知られている。

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訪日旅行の有望な旅行者層

イタリアで有望な旅行者層は、①個人旅行者、② ハネムーナーである。TTG Italia が行ったツアーオ ペレーターへのヒアリング調査(2014 年)によると、 夫婦やカップルでの訪日が最も多く、新婚旅行のた めに日本を訪れる割合も高い。 以下、TTG Italia 調査結果*24 と、ツアーオペレー ターおよび旅行会社へのヒアリング結果*25から、 イタリア市場の有望な旅行者層の特徴をまとめる。 ■カップル 属性 ・全訪日客の78.4%を占める*26 ・新婚旅行者は、全訪日客の60. 8%を占める*27 ・高収入。 ・子どもなし。 ・中∼高学歴。 旅行種類 ・FIT アピール ポイント ・費用対効果の高いサービス。 旅行時期・ 費用など ・繁忙期(8月、春、秋)。しかし、通年でも訪 日する可能性が高い。 ・予算は、1人当たり1,800∼2,500ユーロから スタート。 ・平均滞在日数:10日程度。 ・英語が少し話せる人が多いため、イタリア語 の話せるガイドは必須ではない。 選択の背景 ・文 化 的 な 関 心 度 が 高 い。 文 学、 ス ポ ー ツ、 ファッションなどに関心がある。 ・旅行先は安全面を重視する。 効果的な 宣伝方法 ・日本は行きやすく、費用対効果の高いサービ スが得られ、各地を巡る周遊の旅も容易であ ることを伝える。 ・新婚旅行の場合は、ロマンチックなオーダー メイド旅行が可能で、2人きりでの異国情緒 が体験できることを訴求。 ・一般的な交通手段の案内と宿泊施設のバリ エーションの提示。(例:旅館で宿泊し、新 幹線で各地を移動する) 旅行種類 ・イタリア語ガイド付きツアーを好む。 アピール ポイント ・イタリア語でのサポートが必要。全行程をエ スコートし、全てをアレンジできるガイドが いると好ましい。 旅行時期・ 費用など ・通年。 ・予算は、1人当たり1,500ユーロ∼2,000ユー ロからスタート。 ・平均滞在日数:12日。 選択の背景 ・長距離旅行を行うための出費が可能である。 ・十分な余暇があるため安定したターゲットと して期待できる。 ・旅行先は安全面を重視する。 効果的な 宣伝方法 ・日本は安全な旅行先であり、伝統と現代の場 所に訪れられ、多種多様な体験ができる旅行 先であることを伝える。 ・旅行中には、高いレベルのサポートと快適さ を求める。 ■若者 属性 ・全訪日客の21.6%を占める*29 。 ・冒険的で、気軽に出かける。 ・低予算。 ・ミレニアル世代(1980、90年代に生まれた世 代。2015年には16歳から35歳に相当。)は 特に新しい旅先を求める。 旅行種類 ・FIT(自由に旅行)。 ・ JRパス、低価格宿泊施設(ホステル、カプセ ルホテルなど)を組み合わせた旅。 アピール ポイント ・海外旅行への抵抗が少ない。 旅 行 時 期・ 費用など ・通年。 ・予算は、1人当たり1,000ユーロ∼1,800ユー ロ。 ・平均滞在日数:12日∼15日。 選択の背景 ・学生は学習目的の旅が期待できる。 ・個人的な関心や趣味のために旅を行う。 効 果 的 な 宣 伝方法 ・ 1人旅をしても安全であり、安価な旅行・生 活手段がある。旅を通して、人々と交流がで きる(ストリート観光が可能)。 ■商用旅行 属性 ・全訪日客の13.7%を占める*30 。 ・旅行してまわる十分な時間が取れない。 ・予算が高い。 旅行種類 ・商用旅行 アピール ポイント ・商用旅行の期間・目的にあった予算額の提案。 旅行時期・ 費用など ・通年。 ・予算は、職種によって異なる。 ・平均滞在日数:5日。

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第2章 外国旅行の動向 豪州 カナダ 米 国 ロシア ドイツ フランス 英 国 イタリア スペイン 選択の背景 ・経済的動向は出張に影響を受けず、実施され る。 効果的な 宣伝方法 ・質と効率の面で高いレベルのサービスが体験 できることを訴求。 ・ WIFI環境などの仕事に必要な設備の有無につ いて。 ■家族 属性 ・全訪日客の9.8%を占める*31 。 ・学校休暇時期のみに長期旅行を行う傾向があ る。 ・家族構成(子どもの数、長期旅行可能な年齢 の子どもである、など)。 旅行種類 ・複数の旅行地を含む旅程であるが、1カ所あ たりで過ごす時間が長め。 アピール ポイント ・子ども向けの博物館やエンターテインメント を選ぶ。 ・子どもの年齢に応じて異なる種類のサービス が必要(3人∼4人用の部屋、チャイルドシー ト、ゆりかご、特別な食事など) 旅行時期・ 費用など ・夏期休暇時期(7月∼8月)。 ・1家族あたり3,500ユーロからスタート。 ・平均滞在日数:12日。 選択の背景 ・旅行先は文化的・経済的な理由で選ぶため。 2年に一度外国旅行する傾向。 効果的な 宣伝方法 ・家族向け施設、子ども向けエンターテインメ ントの有無。 *24: 資 料:2014年 ツ ア オ ペ レ ー タ ー ヒ ア リ ン グ 調 査(TTG Italia)。

*25:  Openmind Tourism Marketing(JNTOイタリアレップ)による現 地旅行会社とツアーオペレーターへのヒアリングによる。 *26: 資 料:2014年 ツ ア オ ペ レ ー タ ー ヒ ア リ ン グ 調 査(TTG Italia)。 *27: 資 料:2014年 ツ ア オ ペ レ ー タ ー ヒ ア リ ン グ 調 査(TTG Italia)。 *28: 資 料: 2014年 ツ ア オ ペ レ ー タ ー ヒ ア リ ン グ 調 査(TTG Italia)。 *29: 資 料: 2014年 ツ ア オ ペ レ ー タ ー ヒ ア リ ン グ 調 査(TTG Italia)。 *30: 資 料: 2014年 ツ ア オ ペ レ ー タ ー ヒ ア リ ン グ 調 査(TTG Italia)。 *31: 資 料: 2014年 ツ ア オ ペ レ ー タ ー ヒ ア リ ン グ 調 査(TTG Italia)。

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訪日旅行の買い物品目

観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2015 年)に よると、イタリア人の購入品目で人気の高かったも のは、「その他食品・飲料・酒・たばこ」(56.3%)、「菓 子類」(35.8%)、「和服(着物)・民芸品」(34.8%) である。また、満足した購入品は「和服・民芸品」 が 34.1%と最も高かった*32 。イタリア人は日本での 買い物を目的に旅行するのではなく、日本での体験 を旅の目的として好む傾向があるため、訪日旅行の 買い物の品目としては、イタリアにはなく日本らし さを感じるもの、飛行機で運びやすいサイズの小物、 布製品、日本の食べ物などお土産になるものが好ま れる。例えば、招き猫、こけし、能のお面などの置 物、手拭いや浴衣、扇子、お箸といった文化的なも の、鯉のぼり、剣玉といった小さい玩具、日本のお 菓子や抹茶のセットといった食べ物などが考えられ る。 *32: 資料:国土交通省、平成 27 年における訪日外国人の消費 動向

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日本の食に対する嗜好

日本食は 1980 年代の終わり頃にイタリアに入って きたが、特にこの 10 年ぐらいの間にイタリア人の日 本食に関する関心が高まっている。レストランの総 数 16 万 4,519 件に対し、日本食レストランの数は 630 件(北西部 357 件、北東部 49 件、中部 173 件、南部 32 件、島嶼部 19 件)*33 となっている。 寿司チェーン店は、主要な都市(ローマ、ミラノ、 トリノなど)だけでなく地方都市にまで店舗を展開 しているため、イタリア各地で寿司を食すことがで きる。ただし、日本の寿司とは異なるアレンジの加 わったものを提供していることが多い。また、寿司 や刺身といったオーソドックスなメニュー以外への 関心もある。ミラノやローマ、トリノでは、ラーメ ン屋が開店し、多くのイタリア人が訪れている。 日本食レストランは増加しているものの、イタリ アの慣習や伝統とはかけ離れた日本食についてのマ ナーをあまりよく知らない人もまだ多い。しかし、 ミラノ万博における日本館の人気や、ブログやウェ ブサイトによる情報発信により、今後、ますます日 本食への関心は高まることが期待される。 *33: 資料:日本貿易振興機構(JETRO)、イタリア(ミラノ)に おける日本食レストラン実態調査、2015年3月

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接遇に関する注意点

① 食:床で食事を摂る習慣や箸の使用、食器へ口を 付ける作法、麺類をすする、などの食べ方は馴染 みがないものが多く、特に座敷などで床に座る (あぐらを含む)ことは人によっては膝に負担が かかるなど身体的苦痛を伴うこともあるため、注 意が必要である。従って、日本文化の体験を目的 とする場合以外では、テーブル席やスプーン、

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め、寿司といった伝統的ものだけでなく、洋食に 近いメニュー(例えば、焼き鳥、てんぷら、焼き そば、お好み焼きなど)も好まれる。なお、食事 の空間は禁煙であることが強く望まれる。イタリ アでは、カフェ、レストラン、オフィス、公共交 通機関、駅などは屋外で喫煙することになってお り、屋外の公共空間にはスモーキングエリアが設 けられている。 ② 交通:ローマ、ミラノなどの主要都市間を移動す る長距離高速列車『フレッチャ』が走行している。 利用する電車や購入時期などの条件によって異な るが、陸路で約 540㎞走行するローマ - ミラノ間 は、スタンダードクラスの乗車券が 89 ユーロから 購入できるため、日本の新幹線と比較すると価格 の面でイタリアの方が安い。しかし、日本の新幹 線は、イタリアよりも「早く、時間が正確」との 印象を持たれている。 ③ 宿泊:商習慣上、基本的にイタリアのホテルが「1 名あたり」の料金を表記することはなく、宿泊料 金の表示は「1 室あたり」が大前提である。その ため 1 名あたりの料金を提示する場合は、その旨 明記することが必要である。税金やサービス料を 含めた最終価格を提示できると分かりやすい。「日 本の標準的なダブルルームはイタリア人にとって はとても狭く、かつ高い。」という苦情が、しば しば聞かれる。また、イタリア人は、朝、塩味で はなく、甘いものを食べることが定番であるため、 日本食メニューのみではなく、コンチネンタルブ レックファスト(コーヒーと甘いパンやビスケッ ト)のような軽いメニューも選べることが望まし い。特にコーヒーへのこだわりは強く、アメリカ ンコーヒーではなく、エスプレッソや朝であれば カプチーノが望まれる。そして、ホテルは主要な 観光サイトに近い場所にあることが好まれる。 日本の伝統的な宿泊施設(旅館など)を体験した いイタリア人は多いが、「靴を脱ぐ」、「畳での休息」 など、習慣が全く異なるため、初来日のイタリア人 には、1 泊程度が好ましい。ツアーの場合、食事は 和食と洋食を組み合わせると良い。 その他: ● 和室などで履物を脱ぐ習慣についてはある程度周 旅行者がいる。駅の並び方同様、理由を説明でき れば、このことも旅行者にとって日本文化体験の 一つとなり得る。 ● 温泉や銭湯などの施設における刺青(タトゥー) の入浴制限については必ずしも認識されているわ けではない。絆創膏やテーピングで対応できる場 合は、それらのグッズを用意する、または近辺で 購入できるドラッグストアなどを案内できれば、 旅行者の不満を軽減できると思われる。

参照

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