論文内容要旨
論文題名
Predicting patient-reported outcomes of dental implant treatments.
(患者立脚型指標を用いたインプラント治療効果の予測)
掲載雑誌名
Clinical Oral Implants Research(投稿中)
歯科補綴学 武川 佳世
内容要旨
患者立脚型評価によるインプラントの治療効果について数多くの研究 が行われており,治療効果に影響を及ぼす因子として様々な報告されてい るが実証されるには至っていない.また,全身的な健康状態に対する影響 についても不明である.そこで本研究では,インプラントの治療効果に影 響を及ぼす因子を明らかにすることを目的としてインプラント治療前後 の口腔関連
QoL
(OHRQoL)および健康関連QoL
(HRQoL)を調査した.2008
年4
月から2016
年4
月に昭和大学歯科病院歯科補綴科・インプ ラントセンターを受診し,インプラントによる欠損部補綴治療を希望した 患者を連続サンプリング,研究参加の同意を得た150
名(平均58.1±11.5
歳)を被験者とした.OHRQoL
の評価にはOHIP
の日本語版,HRQoL の評価にはMOS 36-Item Short-Form Health Survey
(SF-36)を用いた.調査は術前後の 計2
回行った.OHIPに関してはインプラント術前後の49
項目の合計値 および4
つのサブドメインの合計値,術前後の変化量を算出した.SF-36 に関しては術前後の身体的健康を表す合計値(PCS)と精神的健康を表す 合計値(MCS),術前後の変化量を算出した.統計解析は,年齢,性別,学歴,欠損本数,Echiner分類,術前の状態,埋入部位,インプラント埋 入本数,上部構造の固定様式,各術前スコアを独立変数とし,OHIP と
SF-36
の各術前後の変化量を従属変数として線形重回帰分析(有意水準5%,SPSS 22.0J)を行った.
OHRQoL
に関してはインプラント治療によりOHIP
合計値,4 つのサブドメインの合計値のすべてが有意に向上した(p<0.001).術前スコアと インプラント埋入部位がサマリースコアと審美性の変化量と有意に関連
づけられ,術前スコアが悪く,かつ上下にインプラントを埋入している患 者の改善度が高いこと示唆された(p<0.05).また術前スコア,年齢,イ ンプラント埋入部位と口腔機能の変化量が有意に関連付けられ,術前スコ アが悪い若年層で,かつ上下にインプラントを埋入している患者の口腔機 能が大きく改善する傾向が認められた(p<0.05).さらに術前スコアと痛 み,心理社会的影響の変化量との間に有意な関連が認められ,術前スコア が悪いほど痛みと心理社会的影響の改善度が高い傾向が示唆された ,
(p<0.001).
HRQoL
に関しては,インプラント治療により有意にMCS
が向上した(p<0.05).また,術前スコアが
PCS
とMCS
の変化量と有意に関連し,術前のスコアが悪 い患者の
HRQoL
が改善しやすい傾向が示された(p<0.001).
本研究から,インプラント治療により口腔関連