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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

ITトウシノケイザイコウカニカンスルジッショウケ ンキュウ : ギョウシュベツITトウシトITロウドウ データノコウチクニモトヅクブンセキ

篠﨑, 彰彦

九州大学大学院経済学研究院 : 助教授 : 国際企業経済, 情報ネットワークと企業の経済学, 対日直接投 資

https://doi.org/10.15017/1053

出版情報:經濟學研究. 68 (2/3), pp.219-235, 2001-12-28. Society of Political Economy, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

IT投資の経済効果に関する実証研究1

〜業種別IT投資とIT労働データの構築に基づく分析〜

篠 嫡 彰 彦

1.

2.

3.

4.

5.

6.

     目    次 IT投資に関する日米統計比較 業種別IT投資の日米比較

IT投資と生産性の日米比較

IT消費およびIT中間投入の日米比較 日本の業種別IT労働者

日本のIT導入と生産性への影響 おわりに

参考文献・参考資料 用語解説

はじめに

 90年代の米国経済が情報技術(lnformation Technology:IT)への積極的な企業投資に牽 引されて活況を呈したことにより、ITが経済 に及ぼす影響についての議論が盛んになってい る。米国では、IT投資の経済効果を検証する ための実証分析が数多くなされ、マクロレベル の分析や企業レベルのミクロ分析では一定の経 済効果が確認されている2。

 ITの経済効果は、90年代に停滞した日本経 済を分析する上でも、重要なテーマといえる。

1 本稿は、電気通信普及財団の平成11年度研究調査 助成を受けて行った研究(研究テーマ「日本におけ

る業種別情報化投資額と情報関連労働者のデータ作 成及びその計量モデル分析による情報技術革新の経 済効果に関する実証研究」)の成果をもとにしている。

この問題は技術革新が経済構造に与える影響の 問題であり、その効果はITに関連した資本と 労働の投入構造を客観的にとらえることで分析 可能となる。しかし、日本では、ITに関連し た資本と労働のデータが充分蓄積されていない

という統計上の制約が大きい。官民で様々な試 算が成されているが、算出根拠が不明なものや 定義や範囲の違いを放置したままの国際比較等

(客観性の欠如)が散見される他、マクロ的な 整合性をもつ業種別などの詳細データの整備

(包括性と詳細さの両立)が遅れているため、

ITの経済・産業への導入状況が必ずしも正確 に提示されていない。

 そこで本稿では、日本におけるIT導入の状 況を業種別に確認するため、産業連関表を用い て業種別のIT投資額および業種別IT労働者 の算出を行う。また、投資にとどまらず、中間 投入や消費におけるIT導入の構造を日米比較 するため、 「日米産業連関表」を用いて関連す るデータを構築する。これらのデータに基づい た日米比較分析により、IT導入の現状とその 生産や雇用への影響、輸入構造の変化等につい て、客観的かつ多面的な実態把握を行なってい く。最後に、これらのデータをもとに、IT装

2 しかし、米国商務省の報告によると、産業レベル の検証は充分なされていない(U.S。 Department of

Commerce, Digital Econombl 2000 chapter 4.) .

(3)

経済学研究 第68巻第2・3号

表1 日米の統計による情報化投資

価格表示

詳 細 内 訳 備    考

生産者価格 購入者価格 財 別 業種別 ソフトウェア

GDP統計

× × × × × GDP統計にない

日  本

固定資本マトリクス95 × 業種別の比較可能

1−0表(産出表)95 × 最終需要との比較可能

GDP統計

× × 速報性、GDPとの整合性

米  国

FRTW of the US × × 業種別、最終需要との比較可能

1−0表ベンチマーク92 × × 最終需要との比較可能

日米産業連関表 × × × 日米比較の基礎データ

(注〉日本の固定資本マトリクス、1−0表は総務庁『1995年産業連関表』。米国のFRTW of the USはBEA, Fixed Rep roducible  Tangible Weαlth of the United Stαtes,1925−97。1−O表ベンチマークは、 BEA, Benchmαrk lnput−Output Accounts of the  United States, 1992.

備率、設備のIT化、労働のIT化が労働生産

性の違いに有意な影響を与えているか否かを検

証する。

1.IT投資に関する日米統計の概要

 はじめに、情報化投資について日米の統計の 比較を行う。表1で明らかなように、目米とも 統計によって価格表示の方法や、門別、業種別 の内訳利用の可能性について違いがあるので、

いくつかの統計を様々に利用することによって はじめて、詳細な比較分析が可能になる。各統 計の特徴:と留意点を整理すると次の通りである。

 四半期ごとに公表される速報性のあるGDP 統計は、もっとも注目される経済統計のひとつ であり、需要項目としてのIT投資の動きを経 済成長への寄与度で確認でき、景気動向との関 連で分析する際に有用である。しかし、日本の

国民所得統計では、GDPの内訳にIT投資が

計算されていない。一方、米国ではGDP統計

(NIPA : National lncome and Product Accounts.

SNAとは異なる独自の体系)の中で、設備投資 の一項目としてlnformation processing and related equipmentが計算されている。但し、

業種別の内訳はないため産業別に分析すること は出来ない。また、公表される財の内訳が粗く、

コンピューータ及び同付属装置とソフトウェア以 外は、その他に一括計上されているが、この中

にはIT投資の範疇を大きく外れる

Instrumentsが含まれ3、 I T投資を過大評価 しているなど、精度に若干の問題がある4。

 業種別、財別に詳細な内訳をみることが可能 なのは、日本の統計では旧総務庁より公表され ている「1995年産業連関表」の固定資本マトリ クス、米国の統計では、Bureau・of・Economic Analysisより公表されているFixed Reprodu−

cible Tangible Wealth of the United States (F

RTW),1925−97である。したがって、本稿 で業種別の分析を行う場合は、基本的にこの二 つの統計によることとなる。但し、両統計で比 較分析を行う際には、次の点に注意しなければ

ならない。

3 日本の固定資本マトリクスでは、資本財コード 3719の分析器、理化学機械器具、医療用機械器具に

該当する。

4 詳細な財別の内訳が掲載されているFRTW(Fixed

Reproducible Tangible Wealth of the United States)

 によれば、Instrumentsの規模は227.・6億ドル(95 年)であり、これを除いたIT投資総額1488.9億ド ル(同)を15.3%過大評価することになる。

(4)

 第一は、価格表示の違いである。一般に、産 業連関表には二つの価格表示がある。ひとつは 生産者価格表示であり、もうひとつは購入者価 格表示である。両者の相違は、個々の取引額に 流通費用が含まれていないか(生産者価格)、

含まれているか(購入者価格)である。物量に 近い安定的な技術係数を必要とする産業連関分 析では、通常前者が用いられるが、最終需要の 中に占める割合など、GDP統計の他の勘定と の比較などでは現実の取引認識に近い後者を利

用すべきである。この点、米国のFRTWでは

購i入者価格表示になっているが、日本の固定資 本マトリクスでは生産者価格になっているので、

変換が必要である。生産者価格と購入者価格の 相互変換については、日米とも産業連関表の産 出表を利用すれば可能である。

 第二は、近年重要性を増しているソフトウェ

アの扱いである。米国のGDP統計では99年7

−9月期の事前推定値発表(10,月28日)から従 来は中間投入に計上されていたソフトウェアが 設備投資への計上に変更されている。しかし、

92年1−0表をベンチマークとするFRTWでは、

ソフトウェアについてのデータが利用できない。

一方、日本では、95年産業連関表で1年以上使 用されるソフトウェアの取得が固定資本形成に 含まれるようになった。但し、完全ではない。

ソフトウェアには、①受注ソフトウェア、②汎 用ソフトウェア(パッケージ・ソフト)、③内 山ソフトウェアの三形態がある。米国のGDP 統計では、汎用、内製も含めて設備投資に計上

されているが、日本の固定資本マトリクスでは、

基礎統計の制約もあって、受注ソフトウェアの みが設備投資に計上され、汎用ソフトウェアと 内製ソフトウェアについては依然として中間投 入に計上されている5。このようにデータの制

約が大きいため、本稿において業種別の分析を 行う場合には、ソフトウェアを含まないハード のIT投資を対象とする。

 最後に、日米産業連関表について述べておく。

日米産業連関表は、日米両国における各産業の 生産活動が、日本、米国、及びその他の第三国 のどのような産業または最終需要との関連で行 われているかを明らかにするもので、現在95年 表(速報)が利用可能である。ITに関する定 義を、できるだけ日米で統一するには、この統 計を利用した調整が欠かせない。また、この統 計を利用することで、投資のみならず、消費や 中間投入の面でIT導入を日米比較分析するこ とが可能となる。但し、日本については「1990 年産業連関表」をベースにした「1995年延長 表」、米国については、商務省が1997年12月に 公表した「1992年産業連関表」をベースにした

「1995年延長表」で作成されているため、ソフ トウェアを固定資本形成としては捉えていない。

また、二二の価格表示は日米それぞれの生産者 価格でなされているため、購入者価格に変換す

る必要がある。

 これらの点を要約すると以下の通りである。

5 95年固定資本マトリクスでは、(受注)ソフトウェ アは3兆1517億円である。ちなみに、通商産業 省「平成7年特定サービス産業実態調査報告書」に  よると、ソフトウェア開発・プログラム作成の年間

売上高は、受注ソフトウェアで3兆1405億円、

 ソフトウェアプロダクト(パッケージ・ソフト)で  5567億円となっている。また、産業連関表の雇 用マトリクスを用いて、情報処理技術者(職業コード 0102010)を広告・調査・情報サービス業(産業コード 084)に従事する者とそれ以外の一般企業に従事する 者に分けて集計すると、前者1.・00に対して後者は 0.685の割合である。両者の労働生産性を同じと仮定

すれば、内製ソフトウェアの規模は2兆1584億

円と推計される。

(5)

経 済 学 研

第68巻第2・3号

①業種別IT投資

   日本:固定資本マトリクス(生産者価格)→

      修正マトリクス(購入者価格)→IT

      比率

  米国:FRTW(購入者価格)→IT比率

②日米比較分析

   日米産業連関表(生産者価格)による米国の   数値?購i入者価格→FRTWと比較

表2

日米産業連関表(生産者価格)による日本の 数値→購入者価格→修正マトリクスと比較

2. 日米比較のための統計上の調整

  以下では、表2の分類に基づいて業種別IT 投資の日米比較を行うことにする。また、IT 投資の定義については表3に基づく。このうち、

IT投資の日米業種対応表

資本形成部門分類 Fixed盆eproducible Tangible Wealth of the U. S. 資本形成部門分類 Fixed Reproducible TangibleWealth of the{J. S.

食   料   品 Food and kindred products 金 融 ・保 険 Federal reserve banks

Tobacco products Other depository institutions

一一一一一一一一一一 一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   瞬   鞘   一   一   一   一   一   一   一   一

繊 維 製 品 Textile mill products Nondepository institutions ApParel and other textile products Security and co㎜odity brokers

__.Q____一__ 一一一一一一一一一一備購一一一一一一一一一一一一

パルプ・紙・木製品 Paper and allied products InSUranCe CarrierS

Lumbεr and wood products Insurance agents, brol{ers, and service

一一一一一一一一一一

Furniture and fixtures一一一騨}騨鞠一一一一一一一一一一一一一一一一一

       \一一一一一一一一一一一

Financial holding and investment offices一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

化 学 製 品 Chemicals and allied products 不   動   産 Real estate

一一一一一一一 l一一 一一一一一一一一一一鯛甲一一一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一一一騨一一一一一一一一一一

石油・石炭製品 Petroleum and coal products 運      輸 Railroad transportation 一}一一一一一一一一 _   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   }   }   一   蜘   一   熊   一

窯業・土石製品 Stone, clay, and glass products Local and interurban passenger transit 一一一一騨一一一一一 _   _   騨   一   一   一   辱   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一

鉄      鋼 一一『}一一『一一一 Trucking and warehousing

非 鉄 金 属 一一一一一一一㎜皿.} Water transportation

〈一次金属〉 Primary metal industries Transportation by air 噂一一一一一一一一一 _   _   一   一   一   }   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   『   }

金 属 製 品 Fabricated metal products Pipelines, except natural gas 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一槽轄.一一一一一一一一一一一一

一 般 機 械 Industrial machinery and equipment Transportation services 一一一一一一一一一一 噌   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   騨   一   一   一   一   一   一   一   一

一申一}騨}扁一一一一 }一一一一學一一一一一一一一一一一甲一一}一一一

電 気 機 械 Electronic and other electric equipment 通 信 ・放 送 Telephone and telehgaph 一一一一一一一一一一 _   _   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   }   脚   一   一   一

輸 送 機 械 廻otor vehicles and equipment Radio and television

一一一一一一一一一一 一一一一一一一}『一一一一一一一一一一一一一一}

Other transportation equiPment 対事業所サービス Business services 騨一一一一一一一一} 騨   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   騨   一   一   一   一   一   一   一   一

精 密 機 械 Instfuments and relate(i products Legal services 一一一一}一一一一一 _   _   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   }   一   一   一   一   『   一

その他の製造工業製品 Printing and publishing Nonfinancia1}101ding and investment offices 一一一一一一一一一一 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一嘩 Rubber and miscellaneous plastice products その前非製造業 Personal service

Miscellaneous manufacturing industries Auto repair, services, and parking Leather.an(圭leather products Miscellaneous repair services 一一一一一一一一一一 一一}一一一}一一一一一一一一一一一一一一一}一

建      設 Construction 対個人サービス Hotels and other lodging Places 一一一一一一一一一一 _ _ _ _ 一 _  _ 一 _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _  」  _  _ _

電力・ガス・熱供給 EleCtriC serViCeS 医療・保健・社会保障 Motion pictures

Gas services 教 育 ・研究 Amusemunt and recreation services 一}}一一一一一一一 _   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一

水道・廃棄物処理 Sanitary services その他の公共サービス Health services

一一}}一一一一一一 _   _   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   一   }   『   一   一   一   一   一   一   一 7

卸      売 Wholesale trade

農林水産業

Educational se「vices 一一一一一一一一一一 一一一}一一一一}一一一一一一一一一一一一一一一

小      売 Retail trade 鉱      業 Other services, n. e. c.

一一一一一一一一一一 一一一一一一}}一}一}一一一一一一一一一一一一 Farms

Agricultural services, forestry, and fishing Metal mining

Coal mining

Oil and gas extraction

Nonmetallic minerals, except fuels

(注)資本形成部門分類は、

   U.S.の分類による。

日本の1995年産業連関表の固定資本マトリクス。米国は、Fixed Reproducible Tangible Weαlth of the

(6)

米国の統計では明示的に計上されていない電気

通信施設建設が日本の通信・放送業では

7808億円計上されている。これは、日本の

通信・放送業のIT投資額2兆5082億円の

31%に相当するが、他の業種には全く影響して いない。

 米国については、FRTWをもとに、この定 義と業種分類に集計しなおすことで業種別IT 投資額を算出でき、設備投資全体との対比(1       表3

T投資比率)を求めることができる。一方、目 本については、固定資本マトリクスの財別デー タは生産者価格によって表示されているので、

これを購入者価格に変換する作業が必要となる

(上述①の作業)。上述した通り、IT投資比 率など国民経済計算における他の勘定との比較 を行うには、現実の取引認識に近い購入者価格 による表示を用いることが望まれるからである。

 そこで、はじめに、産業連関表の産出表をも 1丁投資の財別日米対応表

IT投資財分類 固定資本マトリクス表 FRTW of the U. S.

コンピュータ関連

電子計算機本体

鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈齠

d子計算機付属装置

Mainframe computers

oersonal computers一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

cirect access storage(ievices bomputer printers

bomputer terminals bomputer tape drives bomputer storage devices

通 信 関 連

有線電気通信機器 ウ線電気通信機器

サの他の電気通信機器凹一一一一一 一一一一一一一一

d気通信施設建設

Co㎜unicaton equipment

鼈鼈鼈黶g一一一一一鵜一一一一一一一一一一一一

オフィス機器

複   写   機

潤[ドプロセッサ

サの他の事務用機械

Photocopy and related equipment

nther office equipment

(注)FRTW i n t he U. S.は、,FTixed Reproducible Tangible Weαlth of the U. S.の略。

 NIPAのGDP統計ではlnfromation processing and related equipment(いわゆるIT投資)に  Instrumentsが含まれているが、これは日本の固定資本マトリクスでは資本財コード3719の  分析器、理化学機械器具、医療用機械器具に該当するもので、明らかにIT投資の範疇外で  あるため、除外している。

表4 日本のIT投資財の購入者価格と生産者価格

投 資 財 名 購入者価格/生産者価格 コンピュータ関連

電子計算機本体

1.2573

電子計算機付属装置 1.2383 通 信 関 連

有線電気通信機器

1.2218

無線電気通信機器

1.1713

その他の電気通信機器 1.1489

__一一一一一_一一一一一}貞 一一一一一一一哨一一一一一一}一一一一一一一一

電気通信施設建設

1.0000

オフィス機器

複   写   機 1.6187

ワードプロセッサ

1.1772 その他の事務用機械 1.2118 IT投資財全体 1.2235

(除施設建設) 1.2456

(備考)総務庁「1995年産業連関表」をもとに算出

(7)

経済学研究 第68巻第2・3号

とに、財別に生産者価格表示と購i入者価格表示 を調べ、両者の乖離(購入者価格/生産者価 格)を計算する(表4)。その上で、この乖離 率から固定資本マトリクスのIT投資額を財別 に購i入者価格に変換し、それを業種別に集計し て、購入者価格表示による日本の業種別IT投 資額を求めることにする。

 このようなデー一・ タ加工を施して求められた日

本と米国の業種別IT投資で両国の比較を行っ ていくわけであるが、投資財の定義の一致等に ついて妥当性を確認する必要がある。そのため に日米産業連関表を利用する。日米産業連関表 では業種ごとの内訳は不明であるため、IT投 資全体について確認していく (上述②の作業)。

日米産業連関表のIT投資財は、電子計算機・

同付属装置(089)、有線電機通信機械(090)、

その他の電機通信機械及び電子応用装置[除く X線装置] (091)、電気通信施設建設(123)、

通信(141)、事務用機器(086)とした。事務 用機器には複写機が含まれていない。

 これで求められた日米のIT投資額は、生産

者価格表示でそれぞれ8兆1706億円と

1089億ドルとなる。米国についてみると、

95年のFRTWによるIT投資額(除くphoto−

copy and related equipment)はユ312億ドル であり、日米産業連関表の水準はこれの83%と かなり過小である。しかしこれは、殆どが価格

表示の違いによるものと考えられる。米国の1 0表(92年ベンチマーク)をもとに、IT投資 財に関する生産者価格と購入者価格の乖離率を 求め(表5)、日米産業連関表のデータを購入

者価格表示に変換するとFRTWと日米産業連

関表のデータの差は、わずか3.4%に縮小する

(表6)。この点は、日本も同様であり、産業 連関表との差はわずか2.1%にすぎない。つま り、日米産業連関表と日米それぞれのオリジナ ル統計とは、財の分類による差がみられるもの

の、IT投資財として集計された値は、97〜

98%の水準で一致している。したがって、購i入 者価格表示へ変換された修正固定資本マトリク

スによる日本の業種別IT投資とFRTWによ

る米国の業種別IT投資を利用することで、ほ ぼ正確な両国比較ができると判断される。

 裏返すと、生産者価格表示と購入者価格表示 の相違を充分認識しないまま、購入者価格で公 表されている米国のデータと産業連関表をベー スにした日本のデータとを比較すれば、米国を 過大に、もしくは日本を過小に表示してしまう

ことになる。

3。業種別1T投資の日米比較

 業種別IT投資比率の比較に入る前に、IT

投資全体の水準比較を行なうことにする。一般

表5 米国のIT投資財の購入者価格と生産者価格

購i入者価格/生産者価格 備    考 コンピュータ関連

ハ  信  関  連

Iフィ ス機器

1.2059 P.0949 P.3703

Computers and periphθral equipment bommunication equipment

ohotocopy and related equipment nffice equipment except comPuters 王T投資財全体 1.1818

(備考)U.S. Department of Commerce, Benchmark lnput−Output Accounts of the United Stαtes,1992をも

  とに算出

(8)

      表6 日米産業連関表と両国オリジナルデータとの比較

日本のIT投資と日米産業連関表      (単位:百万円)

95産業連関表 日米10表

(生産者価格)(購入者価格) (原数値) (購入者価格)

コンピュータ関連小計

ハ 信 関 連 小 計

。    写    機

Iフィス機器小計

4,415,404    5,514,300 R,432,360    3,949,687

@374,660   606,457

@457,568   549,601

3,906,020    4,878,142 R,839,501    4,418,192

@   0       0

@425,132   510,641 合   計

i除複写機)

8,679,992   10,620,045 W,305,332   10,013,588

8,170,654    9,806,976 W,170,654    9,806,976

米国のIT投資と日米産業連関表 (単位:百万ドル)

9510表推計

FRTW

日米10表

(購入者価格) (原数値) (原数値) (購i入者価格)

Computers and peripheral equipment

bo㎜unication equipment

ohotocopy and related equipment nffice equipment except comPuters

64,758 T9,591 P5,096 U,750

65,293 T9,020 P7,645 U,928

56,921   68,641 S8,056   52,614

@    0       0 R,958    5,583

      sum

?xcept Photocopy

145,986 P30,891

148,886 P31,241

108,935   126,839 P08,935   126,839

にIT投資比率とは、設備投資全体に占めるI T投資の割合のことを指しているが、この比率 を求めると、日本の14.7%に対して米国は 20.5%と5.8ポイントの開きがみられる。米国 に比べると日本は約7割(14.7/20.5)の水準 といえる。しかし、これはIT投資の水準だけ でなく、設備投資全体の水準にも影響される。

米国と比べて日本は、IT以外の設備投資が経 済規模(GDP)に比して大きい。米国の設備 投資は対GDP比で10.0%なのに対し、日本は 14.9%である。つまり、日本の設備投資は米国 に比べて約し5倍の水準といえる。こうした点 を考慮すれば、IT投資の水準は、経済規模で

基準化したIT投資の比率、すなわち対GDP

比をみておく必要がある。すると、意外なこと に日本と米国では差がなく、むしろ全体として は日本の比率のほうがやや上回っている。

 この事実は重要で、少なくとも95年時点では、

日本はIT投資そのものが経済規模に比して低

調だったわけではない6。むしろ、その他の設 備投資の大きさにみられるように、将来に向け

た資源配分を行う上で、 「相対的に」ITの位 置付けが低かった、あるいは、IT以外の分野 の位置付けが高かったものと考えられる。この 点は、個々の企業レベルにおいて、経営上の重 要な意思決定である設備投資の判断で、IT投 資が劣後になっていた可能性を窺わせる。金融 不安等により景気が後退局面に入った97年から、

経費削減の一環として他の投資に先駆けてIT 投資が縮小された事実とも符合する。

 このように、一口にIT投資比率といっても、

IT投資の対設備投資比率は、将来に向けた資 源配分において、ITがどのように位置付けら れているかを相対的にみるものであり、IT投

6 もちろん、95年は移動体通信やウインドウズ95の ブームなどで一時的にIT投資が盛り上がったとい  う事情がある。また、90年代後半のIT投資がかな  り低調で、増勢を続けた米国との差が一気に開いた  ことは事実である。

(9)

経済学研究 第68巻第2・3号

表7 1T投資比率のR米比較

対 設 備 投 資

対 GDP

95 年 日  本 米  国 目  本 米  国

コンピュータ関連

ハ 信 関 連

Iフィス機器

7.64 T.47 P.60

8.97 W.11 R.38

1.14

O.「82

O.24

0.90 O.81 O.34

IT投資合計 14.72 20.46 2.20 2.05

(注)設備投資、GDPとも日本は国民経済計算、米国はNIPAによるデータで対比している。

資の対GDP(付加価値)比率は、現在の経済 活動に占めるIT投資の大きさをみるものとい

える。

 こうした点に留意しつつ、日米それぞれの統

計から業種別のIT投資をみていく。まずIT

投資の対設備投資比率であるが、図2で明らか なように、IT投資比率は、両国とも製造業よ りも非製造業で高い比率となっており、製造業 では日本が7.2%なのに対して米国は13.6%、

非製造業では日本が17.8%に対して米国は 22.7%と、ともに日本の水準が低い。そして、

その差は製造業の方が大きく、製造業13業種の 全てで日本が下回っている。非製造業に関して は、通信・放送、金融・保険、小売など11業種 中5業種で日本が上回っている。

 この製造業と非製造業の相違については、

リースの取り扱いが影響している点に留意が必

要である。FRTWでは、キャピタル・リース

の場合はリース会社ではなく、利用者=賃借人

(Lessee)の資産に計上される7。日本では、

リースなど物品賃貸の資本財については、全て

7 米国では、リースの会計処理に際して、次の四条 件のうちいずれかひとつに該当する場合は、キャピ

タル・リースとして利用者=賃借人(Lessee)の資 産に計上される。①リース終了時に所有権が賃借人 に移転する場合、②格安価格での購入選択権

 (bargain purchase option)が契約に織り込まれて いる場合、③リース期間が耐用年数の75%以上の場 合、合計リース料の現在価値がリース資産の90%以 上の場合である。

リースが属する物品賃貸部門に計上されており、

日本の製造業におけるIT投資はその分だけ過

小評価(日本の物品賃貸のIT投資が過大評

価)されていることになる8。したがって、よ り正確には、米国のキャピタル・リースの割合 をもとに、日本のリース資産について業種別に 再配分する必要があり、今後の課題のひとつで

ある。

 次に、日米産業連関表から求めた業種別の付 加価値額をもとに、IT投資の対付加価値比率 をみると(図3)、全産業ベースでは、日米と も2.4%で差はない(GDP全体に比べて「公 務」の分だけ付加価値が小さいため、表7の数 値と異なる)。産業別にみると、製造業では日 本の1.4%に対して米国の1.5%、非製造業では、

日本の2.7%に対して米国の2.6%と若干の違い

・はあるものの、総じて同レベルといえる。さら に細かく業種別にみていくと、上述したり一ス の取り扱いの差があることもあり、対事業所 サービスのIT投資対付加価値比率が日本でか なり高くなっている。また、通信・放送の比率 が日本でかなり高くなっている(28.2%)が、

これは、日本のみ計上されている電気通信施設 建設が影響している。しかし、それを除いても

日本の通信・放送は20.9%で、米国の場合の 14.7%をかなり上回っており、付加価値に比べ

8 社団法人リース事業協会の資料によると、1995年 度のリース購入額のうち27.6%が製造業向けである。

(10)

図2 業種別IT投資比率の日米比較(95年)

(%)

70. 0

60. 0

50. 0

40. 0

30. 0

20. 0

10.0

一  一  一  一  一  層  旧  曹 曹  曽  藺  一  一  一 一  一  一  }    曹 一  一  一  一  幽  一  一  _ _ r  響  ,  冒  冒  冒  需  一  冒  一  一  曹 一  一  曽  一  _  一  一  一  一  擢  r  需  一  一  ■  曹  一  齢  一 髄  一  一  r  曽  一  ■  曽  一  藺  一  一  一  一  一  一  一  一  一  }  一  一  一  一 雫  一  , 雫  一  層  層  冒  一  「 曹  ■  一  ■  一  一  幽  幽  一  一 口曹ρ幽一幽F甲冒冒曹■曹凹一一一一一一一幽幽一一一

曹  一  曽  曽    一  一  ,  ,  一  曹  一  塵 一 曽  幽  一  一  冒  r  一  一  一  璽  曽  一 一  一  一  幽  幽  畠  F  一  一  F  冒  r  一 謄  冒  冒  曹  一  一  一 一  一  幽  一  一  辱  需  一  冒  冒  曹  一  一  一  一  璽  曹  ρ  一  一  謄  一  曽  一  一  曽  一  一  一  一  一  凹    幽  一  幽  一  一 幽     一 唱     一  層  一  冒  一 曹  一  ■  一  曹  一 髄  一  一   一一 曹幽一一冒一一冒一ロー一一9幽藺一一藺一一,

一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 一一 一  糟 曹  闇  曹  一  一  一  一  一  一  一  F  一  辱  一  一 胴  曾 一  一  曹

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iii

一一 一ii

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一一一 一一

iii

一需一■一一

iii 一iii

一一

図3 業種別IT投資対付加価値比率の日米比較(95年)

(%)

30, oo

25. 00

20, oo

15. 00

10. oo

5. 00

o, oo

ダ繋轡鴨磯飛鋳田畠晦犠畝糞羅熱罐

一−嗣曹■一幽曽一一甲需一一曽曽一P}F層曹冒一一一一魑一一r,F,謄曹一一一一曹一一一一一r−一冒冒一一一一一■一曽一一一 一一一噌辱一一FF鴨冒冒曹一曹一一曽曹曹■曹

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た投資比率の高さが際立っている。裏を返すと、  やPHSなど移動体通信の先行投資が急速に盛 IT投資の割には付加価値を生み出していない   り上がった時期であり、その影響もあると考え という、投資効率の低さを示すものでもある。   られる。

但し、95年は、規制緩和により日本で携帯電話

(11)

経済学研究 第68巻第2・3号

4.IT消費および1T中間投入の日米比較

 経済へのITの導入状況は、設備投資だけで はなく、消費や中間投入の面からも捉えること で、より多面的な把握が可能になる。そこで、

日米産業連関表を用いて、IT消費、 IT中間 投入の面から日米経済を比較分析する。また、

日米産業連関表では、国内供給と輸入による供 給に分けて集計できるため、輸入依存度につい ても比較分析が可能である。

 本稿2節では、日米産業連関表のIT投資財

を、電子計算機・同付属装置(089)、有線電 機通信機械(090)、その他の電機通信機械及 び電子応用装置[除くX線装置] (091)、電 気通信施設建設(123)、通信(141)、事務用 機器(086)と定義したが、これに加えて、半 導体(092)、電子部品(097)、情報サービス

(150)をIT消費財、IT中間投入財とした

(財コードはいずれも95年日米産業連関表)。

 この計算によると、95年の日本のIT消費は

4兆8807億円で個人消費全体の1.7%と なっている。米国は1073億ドルで個人消費

全体の2.1%であるから、日本の水準は米国の 約8割(1.7/2.1)といえる。このIT消費 水準は、米国では5年前と変わらないが、日本

は1.2%から1.7%へ0.5ポイント上昇している。

IT消費の大部分は電話などの通信であり、日 本の場合はIT消費の93.0%、米国の場合は 85.3%を占める。その結果、コンピュータなど 輸入が増加している財が中心となるIT投資に

比べて輸入比率が著しく低い。だが、コン

ピュータなどのサービスを除いた財だけについ てみるとかなり高く、日本のIT消費財の輸入 比率は90年の5.8%から95年の18.9%へ、米国 は同34.5%から41.0%へ上昇している。

 一方、中間投入についてみると、95年の日本

のIT中間投入は20兆6494億円で中間投 入全体の6.1%となっている。米国は3476 表8 1T消費とIT中間投入の日米比較

日本のIT需要と輸入

項 目引1)

IT比率注2) 需要増加率90→95年 輸入比率  90年 輸入比率  95年

90年 95年 うち国産 うち輸入 うち米国 その他世界 うち米国 その他世界

IT企業投資 hT個人消費 hT中間投入

7.8 P.2 T.3

8.9 P.7 U.1

o.9 U4.3 V.8

一7.1

U3.9 R.8

128.1 P04.6 V6.8

5.9 O.3 T.5

4.1 O.3 Q.2

1.9 O.0 R.3

13.4 P.2 X.0

4.1 O.2 Q.8

9.2

P.0 U.2

米国のIT需要と輸入

項 目注1)

IT比率注2) 需要増加率90縛95年 輸入比率  90年 輸入比率  95年

90年 95年 うち国産 うち輸入 うち日本 その他世界 うち日本 その他世界

IT企業投資 hT個人消費 hT中間投入

10.0 Q.1 S.9

10.5 Q.1 V.1

35.2 R8.2 W7.7

19.8 R4.7 V8.0

88.3 P96.6 P50.3

22.5 Q.2 P3.4

8.0 O.7 R.8

14.5 P.4 X.5

31.3 S.6 P7.8

13.4 O.2 R.0

17.9 S.4 P4.8

注1)85年については財・サービスの分類が異なるので、厳密な比較はできない。

 IT企業投資:電子計算機・同付属装置、事務用機器、有線電気通信機械、その他の電気通信機械及び電子応用装置、電気通信施       設建設

 IT個人消費:電子計算機・同付属装置、事務用機器、有線電気通信機械、その他の電気通信機械及び電子応用装置、通信、情       報・コンピュータサービス

 IT中間投入:電子計算機・同付属装置、事務用機器、有線電気通信機械、その他の電気通信機械及び電子応用装置、通信、情       報・コンピュータサービス、半導体

注2)IT比率は、各項目の需要全体に対するIT財・サービスの害il合

(12)

億ドルで中間投入全体の7.1%である。この中 間投入のIT水準は、5年前の90年には、日本

(5.3%)の方が米国(4.9%)を若干上回って いたが、その後逆転したことがわかる。すなわ ち、中間投入のIT水準からみると、90年代前 半に、米国の方が経済構造のIT化をより進展

させたと判断される。

 ITの中間投入では、情報サービスと電話な どの通信が大きな割合を占めており、日本の場 合は、IT中間投入の40.6%が情報サービスで 20.2%が通信と、両者で6割を占める。財では、

電子部品(21.3%)と半i導体(14.5%)が中心

である。米国の場合は、情報サービス

(32.1%)と通信(24.6%)で6割弱を占め、

半導体(17.1%)、電子部品(13.4%)と続く。

いずれにしても貿易に馴染みにくいサービスの 割合が高いため、消費の場合と同じようにIT 投資に比べて輸入比率が低い。但し、半導体の 輸入比率については、日本は90年の14.6%から 95年の34.8%へ、米国は47.1%から44.9%へと 推移している。また、電子部品の輸入比率は、

日本は3.6%から4.7%へ、米国は30.8%から        表9

27.3%と推移している。日本は海外直接投資の 累積効果もあって、半導体に関しては90年代前 半にかなり海外生産への依存度が高まっている が、それ以外の電子部品については依然として 国内の生産活動が活発であることを示している。

他方、米国は、この分野では既に90年の段階で かなり海外の生産に依存している姿が浮き彫り になると同時に、その傾向は頭打ちになってい ることも示されている。

5.日本の業種別IT労働者

 以下では日米比較から離れて、日本b)IT雇 用に関するデータの構築を試みる。雇用の内訳 では、通常業種別の分類が用いられ、ITに関 連した雇用といえば、IT財・サービスを生産 もしくは提供する産業、例えば、コンピュータ 製造産業や情報サービス産業の雇用が思い浮か ぶ。しかし、IT導入の経済効果を考える上で は、いわゆる情報関連産業に属さない企業の内 部における情報部署の人員など、各業種に横断 的に広がるIT関連職種の労働投入が重要な意

IT消費の内訳

IT消費 輸入比率

日 本

i億円) 95年   90年 95年   90年

機器・部品 ハ    信 サービス

 310    486 S,537  2,460

@34    23

18.9%  5.79%

O.03%  0.05%

O。00%  0.00%

合  計 4,881  2,970 1.23%  0.99%

IT消費 輸入比率

米 国

i10万ドル) 95年   90年 95年   90年

機器・部品 ハ    信 サービス

121,032  48,504 X16,153 716,115 R6,580  12,572

41.0% 34.46%

O.00%  0,00%

O。13%  0.正5%

合  計 1,073,765 777,191 4,62%  2.15%

表10 1T中間投入の内訳

IT中間投入 輸入比率

日 本

i億円) 95年   90年 95年   90年 半  導  体

d子部 品 サの他機器

ハ    信 﨣 サービス

2,992  2,702 S,391  4,ioO

@720    700 S,162  4,012 W,385  7,648

34.84%  14.60%

S.66%  3.58%

T0.18%  35.41%

P.61%  1.12%

Q.14%  2.81%

合  計 20,649  19,163 8.98%  5.47%

IT中間投入 輸入比率

米 国

i10万ドル) 95年   90年 95年   90年

半 導 体

d子部品

サの他機器

ハ    信 サービス

 595,471 179,034

@467,218 234,922

@440,778 198,793

@854,311 586,542 P,117,824 652,716

44.94% 47.10%

Q7。31%  30,79%

T0.62%  45.22%

O.00%  0.00%

O.15%  0,18%

合  計 3,475,6021,852,007 17.84%  13.38%

(13)

経済学研究 第68巻第2・3号

味をもつ。なぜならIT投資は業種横断的に取 り組まれており、新しい技術の導入とこれに直 接関連した労働の投入が結びついてはじめて生 産性上昇などの経済効果が生まれるからである。

 本稿では、産業分類による業種別のデータを さらに職種別に分類するというマトリクスの対 応でデータを構築していく。資料としては、産 業連関表の雇用マトリクス表を利用する。雇用 マトリクスには、「産業×職業」と「職業×産 業」の二種類があるが、このマトリクスを利用 することにより、例えば、自動車産業のなかで

IT関連の仕事に従事する者など、職種による 雇用状況を業種ごとに把握することが可能とな

る(表11)。

 ここで、IT関連職種を、情報処理技術者

(0102010)、せん孔機等操作員(0319065)、

電子計算機等操作員(0319066)、無線通信・

無線技術従事者(0836132)、有線通信員

(0836133)、電話交換手(0836134)、その他 の通信従事者(0836136)の7種とし、前の三 職種をコンピュータ関連、後の四職種を通信関

連として、これらに従事する雇用者全体をIT 関連労働者と定義する。

 この定義に基づいて、業種別のIT労働者を 集計すると、全産業(除く公務、不明)では、

85年の596千人から90年には905千人目と増加し たものの、95年には875千人とやや減少してい る。全体の雇用者に占めるIT労働者の比率は、

それぞれ1.4%、1.8%、1.7%となっている。

これを製造業、非製造業別にみると、製造業で は85年の120千人(IT労働者比率0.9%)、90 年の148千人(同1.2%)、95年の136千人(同 1.2%)と推移し、非製造業ではそれぞれ475千 人(同1.5%)、756千人(2.0%)、739千人

(1.8%)と推移している。

 IT労働者比率が特に高い業種をみると、情 報サービス業が含まれる対事業所サービスの 11%(95年)、これに通信・放送の8.4%、電 気機械の2.9%、石油・石炭製品の1.8%、金 融・保険の1.7%と続いている。

 職種別に見ると、通信関連が一貫して減少し ている(全産業で85年126千人、90年81千人、

表11雇用マトリクスの様式

電子・ 広告・調査

符 万 職業分類 9 ■ . 通信機器 通  信 情報サービス ● o o

情報関連産業 非情報関連産業

×××× ××××××××

0102010 情報処理技術者 34,222 10,102 339,106 571,410 383,430 187,980

0319065 せん孔機等操作員 303 330 21,194 43,736 21,827 21,909 0319066 電子計算機等操作員 4,324 3,568 34,975 196,679 42,867 153,812

0836132 無線通信嚥線技術従事者 76 3,497 95 19,619 3,668 15,951

0836133 有線通信員 0 2,072 95 5,091 2,167 2,924

0836134 電話交換手 227 23,702 380 51,246 24,309 26,937

0836136 その他の通信従事者 0 388 0 4,563 388 4,175

×××× X×××××××

合 計 1,065,491 560,002 802,781 55,048,360 2,428,274 52,620,086 情報通信関連職従事者 39,152 43,659 395,845 892,344 478,656 413,688 非情報通信関連職従事者 1,026,339 516,343 406,936 54,156,016 1,949,618 52,206,398

(14)

95年71千人)。これは、交換機などの自動化で、

ウェイトの高かった電話交換手が大きく減少し たことが影響しているが、他にも、携帯電話の 普及などに見られる無線技術の一般化で、特定 の専門技術を要さない利用がかなり増加してい ることも影響していると見られる。一方コン ピュータ関連では、ウェイトの大きな情報処理 技術者が85年の299千人から90年の536千人、95 年の568千人へと増加を続けているが、85年か ら90年の増加に比べて、90年から95年の増加は わずかに留まった。電子計算機操作員は、85年 から90年にかけて大きく増加した(112千人→

234千人)ものの、メインフレームからPCを 中心としたネットワーク・システムへのダウン サイジングが進んだため、95年には193千人へ

と減少している。せん孔埴輪操作員はキーパン チ入力の必要性が低下しており、一貫して減少

している。

 コンピュータ関連の職種の推移をさらに業種 別にみると、製造業では電子・通信機器産業が 情報処理技術者を増加させているが、電子計算 機操作員はどの業種も押しなべて減少している。

また、情報処理技術者についても、電子・通信 機器産業を除くと減少しており、アウトソース 化の影響が反映されていると考えられる。非製 造業では、POSシステムの積極的な導入がみ られた商業で情報処理技術者が増加を続けてい るが、電子計算機操作員は95年に減少している。

金融・保険では、情報処理技術者、電子計算機 操作員とも95年に減少している。通信では、情 報処理技術者が95年に減少しているのに対して、

電子計算機操作員は微増している。但し、ウェ イトの高い通信関連の労働者数は大きく削減さ れており、全体としては一貫して減少傾向にあ る。対事業所サービスでは、電子計算機操作員

は95年に減少しているが、情報処理技術者が増 加を続けておりコンピュータ関連全体として増 加している。また、コール・センターなどのア ウトソース化の流れを受けて、電話交換手も増 加を続けており、通信関連の労働者も増加して

いる。

 これらの動きを整理すると、①時系列的特徴 のひとつは、通信関連で従来型の雇用が減少し ていること、②その一方でコンピュータ関連は 増加傾向にあること、③90年代前半は、メイン フレームを中心とした情報化からダウンサイジ ングへの転換期であったため、80年代まで増加 していた電子計算機操作員は減少していること、

④アウトソーシングの動きがみられること、な どの特徴がみられる。その中で、90年代前半に 全体としてIT関連労働者が微減となった原因 は、旧来型のIT雇用の削減を、新しいタイプ のIT雇用創出が埋め合わせきれなかったこと

を窺わせる。

6.日本のIT導入と生産性への影響

 以上の分析とデータをもとに、資本と労働の 両面から見たIT投入の特徴が、業種間の生産 性の違いに有意に影響を与えているか否かの検 討を行う。資本(K)と労働(L)という要素投 入が付加価値(V)を生み出すことを示すもっ とも基本的なコブ=ダグラス型生産関数を考え ると、以下のとおり、労働生産性(V/L)は資 本装備率(K/L)の増加関数である。

V == A LaKB

 [a十B== 1 (O〈a〈1, O〈B〈1)]

V/L==A・ (K/L) B

d(V/L)/d(K/L)一B (V/K) >O

 以下では、設備投資、労働ともITと非IT

(15)

経済学研究 第68巻第2・3号

業種数 6

5

4

3

2

1

o

図4 業種別の労働生産性度数分布

     労働生産性階層別業種数

1

〆碑曜榔一十蝿趣向駅幽戦・献・・献蹴沸添い(千円/人)

      労働生産性

         表12 労働生産性とITの関係

定 数 項 7,166.2i5.813)*** 6,490.5i5.409)*** 8,845.6i10.512)***

8,978.4

i9.496)***

IT投資/IT労働 i1T設備装備率)

177.3 i2.384)**

一般投資/一般労働 i一般設備装備率)

2,021.7

i3.077)***

IT投資/一般投資

@(設備のIT化)

2,714.4 i1.910)*

IT労働/一般労働

@(労働のIT化)

30,110.8

@(1.123)

相関係数

qad12

0,480O,190 0,577O,298

0,401 O,117

0,250 O,O13

観 測 数 21 21 21 21

()内t値。***は1%、**は5%、*は10%有意水準。

(一般)に分けて整理していく。IT投資はこ れに関連する労働との結びつきによって付加価 値形成に貢献すると考えられるので、ここでは、

IT投資とIT労働の結びつきを「IT装備率

(IT投資/IT労働)」と定義し、それ以外 の設備投資と労働(一般投資と一般労働)の結 びつきを「一般設備装備率(一般投資/一般労 働)」と定義する9。そして、これらが労働生 産性に有意に影響を与えているか否かをクロ

ス・インダストリーの回帰分析により確認する。

 装備率が労働生産性に影響するのは、機械化 による合理化の範疇に入るが、これとは別に、

「設備のIT化(IT投資/一般投資)」や

「労働のIT化(IT労働/一般労働)」と

いった、IT導入による資本と労働の質的な違

9 本来、資本装備率はストック・ベースで考えるべ  きであるが、業種別のITストックは算出されてい ないので、代理変数としてフm一・ベースのIT投

資を利用した。

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