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実行機能と選手評価の関連:フットサル競技におけ る検討

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Kyushu University Institutional Repository

実行機能と選手評価の関連:フットサル競技におけ る検討

梅崎, 高行

甲南女子大学人間科学部

北村, 勝朗

日本大学理工学部

中山, 雅雄

筑波大学体育系

杉山, 佳生

九州大学大学院人間環境学研究院

https://doi.org/10.15017/4773212

出版情報:健康科学. 44, pp.95-106, 2022-03-25. 九州大学健康科学編集委員会 バージョン:

権利関係:

(2)

 

1)甲南女子大学人間科学部 Faculty of Human Science, Konan Women’s University, Japan  2)日本大学理工学部 College of Science and Technology, Nihon University, Japan  3)筑波大学体育系 Faculty of Health and Sport Sciences, University of Tsukuba, Japan. 

4)九州大学大学院人間環境学研究院 Faculty of Human­environment Studies, Kyushu University, Japan 

*連絡先:甲南女子大学人間科学部 658­0001 兵庫県神戸市東灘区森北町6­2­23 Tel078­413­3091 

*Correspondence to: Faculty of Human Science, Konan Women’s University 6­2­23 Morikita­machi, Higashinada­ku, Kobe, Hyogo 658­0001, Japan  Tel: +81­78­413­3091 E­mail: umezaki@konan­wu.ac.jp 

-原 著-

実行 行機 機能 能と と選 選手 手評 評価 価の の関 関連 連: :フ フッ ット トサ サル ル競 競技 技に にお おけ ける る検 検討 討  

 

梅崎高行

1) *

,北村勝朗

2)

,中山雅雄

3)

,杉山佳生

4)

 

 

Correlations between executive functions and evaluation of futsal players   

 

Takayuki UMEZAKI

1)*

, Katsuro KITAMURA

2)

, Masao NAKAYAMA

3)

,  

and Yoshio SUGIYAMA

4)

 

   

Abstract 

 

Recently, approaches have been developed to improve athletic performance based on neuroscientific foundations by focusing on executive functions. This study investigated Japanese futsal, which requires players to develop the mind and improve information processing abilities. In Study 1, we focused on executive functions as the basis for scoring goals and measured its functions as well as related variables. Based on the results of Study 1, in Study 2, we conducted interviews with players that have superior executive functions by inquiring about what was in their mind when they played futsal, which indicated correlations between executive functions and performance as suggested by previous studies. The approaches and thinking of players with superior executive functions might suggest practical futsal techniques. However, this study was cross­sectional and examined correlations among variables. It is suggested that future studies should adopt a longitudinal study design and present findings useful for coaching. 

Key Words: executive functions, game intelligence, mindfulness, futsal players, coaching 

(Journal of Health Science, Kyushu University, 44: ●­●, 2022)  Vol.44, 2022年3月   

 

(Journal of Health Science, Kyushu University, 44: 95-106, 2022)

(3)

問 題

本研究では,神経科学的なメカニズムとしての実行 機能(Executive Function)に着目し,フットサル競技に 取り組むアスリートを対象として,パフォーマンスと の関連を探る。後述する現場の問題提起を受け,これ に応える心理学的なアプローチによって,実践に有効 な知見の提出を目指す。

実行機能は,目標に向けて注意を制御し,行動を組 織化して,自分をコントロールする能力と定義される1)。 実行機能は脳内機構であり,情報の記憶と更新,認知 的な柔軟性,反応の抑制などの諸側面を司っている。

近年,経済学を中心とする知見によって,学業達成な どに代表される認知的スキルの優位性が問い直されて

いる2) 3)。代わって注目されるのが,社会情動的スキル

―目標に向かって,他者と協働し,感情をコントロー ルする能力4)―であり,ヘックマン2) 3)によれば,人生 の成功を規定する要因とも位置づけられる。実行機能 は,社会情動的スキルの神経科学的な基盤であり,近 年,スポーツの場面においても,その働きに対する関 心が高まっている。

スポーツの中でも比較的,実行機能に対する関心が 高いサッカー競技においては,スポーツ場面における 実行機能を,game intelligenceとして捉える研究が開始 されている5)。game intelligenceは,状況への素早い反 応,戦略の即応的な変更,衝動的な反応の抑制などを 助け,ゲームでのパフォーマンスを左右する能力と見 なされている。医科学研究所として世界的に知られる カロリンスカ研究所が実施した研究によれば,game

intelligence の高さが,プロサッカー選手のゴール数や

アシスト数を予測したことが報告されている6) 7)。これ らの知見から,実行機能によるアプローチは実践に恩 恵をもたらす可能性が予見されるが,ただし,これら 報告は変数間の関連を確認するにとどまり,わが国で game intelligenceに注目した研究も似た状況にある8) 9)。 そのため選手の年齢(ユースか成人か)や競技レベル

(アマチュアかプロか)に目を向けながら10) 11),縦断 的にパフォーマンスの向上に寄与する研究が求められ ている。

実行機能に着目することの利点として,動機づけな どの心理的構成概念とは異なり,神経科学的な基盤を もつことから,操作が可能である点が挙げられる。と りわけ,指導や養育といった環境要因の見直しによっ て機能の向上が見込める点は,実行機能に目を向ける 最大の意義と言えよう 12)。身の回りでも,高齢者の認

知機能の改善や,障害児の発達支援などの場面におい て,実行機能の改善を図る実践が進められている 13)。 この種の実践には,いわゆる‘脳トレ’など非科学的 なものも混在しており,注意が必要ではあるが 14),ア スリートのパフォーマンス向上においても,実行機能 に注目した同様のプロジェクト展開が,ますます期待 される状況にある。

すでに述べたようにサッカー競技においては,実行 機能に着目した実践がここ10年ほどで見られる。一般 にも知られるところでは,前述のカロリンスカ研究所

15)や,ドイツのサッカー1部リーグに所属するTSG 1989

Hoffenheimの取り組み16)が挙げられる。取り組みを通

じて実行機能の働きが可視化されつつあり,神経科学 的な基盤に依拠したトレーニング・プログラムの普及 も,そう遠くない未来の話であると思われる。本研究 でも,上記した整理を踏まえて実行機能を測定し,パ フォーマンス向上を目指す研究の後を追う。先行研究 を参考に実行機能とパフォーマンスの関連を調べて,

実践と研究の協働に向けた資料を提出する。

方 法 予備調査

本研究は,日本サッカー協会(以下,JFA)指導普及 部へのインタビューを踏まえてデザインされた。イン タビューは2021年5月にWebを使用して実施し,参加 した JFAインストラクターによって,わが国のフット サル競技の課題が次のように語られた。

曰く,(1)フットサル競技は交代が自由であり,出 場選手が2~3分で入れ替わる。その競技形態はサッカ ーよりむしろ,ハンドボール,アイスホッケーや,バ スケットボールなどに近い面があると考えられる。ゲ ームではパフォーマンスが悪いために交代を命じられ るケースもあるが,そのようにしてベンチに戻った場 合でも,選手は再度ピッチに立たねばならない。その ためフットサル競技において,短時間での気持ちの立 て直しは,勝利に向けて不可欠の課題である。(2)フ ットサルはサッカーに比べ,ゲームのテンポが速いと いう競技特性を有している。そのため,選手に係る認 知的な負荷も高いと考えられる。次々に変化する情報 を,いかに取得して競技に臨むのか。対戦相手よりも 優位にゲームを進める上で,トレーニングなどの可能 な対策としては,どのような方法が考えられるのか。

以上の課題―気持ちの立て直しと情報処理能力の向 上―に取り組むべく,本研究では上述した先駆的な実

(4)

践例や,根拠となる先行研究のレビューを基に,2つの 課題に通底する能力としての実行機能にねらいを定め た。今回は,JFA 指導者養成講習会に参加する受講生 の協力を見込み,講習会の中で情報を得て,知見を還 元できるように計画を立てた。調査 1 では,指導者と 選手に対するアンケート調査を実施し,選手評価に係 る実行機能他の要因を探る。調査 2 では,選手に対す るインタビュー調査を実施し,インストラクターによ って整理されたわが国のフットサルの課題について,

選手側の意見も踏まえて多角的に捉え直す。 

調査1 指導者と選手に対するアンケート調査 調査協力者

研究の趣旨を説明し,JFAが開催した2021年度フッ トサルA級コーチ養成講習会に参加した指導者12(男 性11,女性1)名と,彼らが指導する 237(男性205, 女性 31,不明1)名の選手から協力を得た。この講習 会で取得されるフットサルA級コーチライセンスは,

日本のフットサル指導体系における最上位の資格に当 たる。協力した指導者の平均年齢は38.01(±5.09)歳,

平均指導年数は12.25(±5.89)年であった。選手が所属 するチームの種別は,1種(成人)が7チームであり,

この中には国内最上位のフットサルリーグであるF リ ーグに参加するチームが4チーム含まれていた。残る5 チームは,2種(高校生)または3種(中学生)年代の チームであった。本調査に参加した 1 種チームはすべ て男性で構成されるチームであったが,2種と3種には,

女性のみで構成されるチームが1チーム含まれていた。 

 

調査期間

2021年6月,講習会に参加する指導者に対し,調査 を実施するためのマニュアルと,所属選手数分の調査 票が郵送された。調査は各チームで静穏な環境が用意 され,マニュアルに従いチームごとに集合形式で,講 習会を受講する指導者の手によって実施された。調査 にかかる時間として25分間を見込み,回答は7月末を 締め切りとして,JFAに返送するよう依頼した。 

調査内容

指導者を対象とした調査

選手評価 指導者に依頼してチームごとに,調査に 回答した選手たちの,所属チームにおける評価を集め た。Sを最高ランクとし,チームの協力選手全体の10%

程度(20人が協力したチームであれば2人ほど)にこ

の評価を付与してもらった。続くランクを A として 20%を配分し,以下Bランクを20%,Cランクを20%, Dランクを20%,Eランクを10%,それぞれ選出する ように求めた。

選手を対象とした調査

Design Fluency Test 実行機能の評価に用いられる Design Fluency Test(以下,DFT)は,高次脳機能検査 において瞬間的な創造性を評価する目的で使用される。

海外では,DFT をサッカー競技場面に援用した検査が 行われており,この知見を踏まえて松竹8)は,わが国の 大学サッカー部所属選手を対象に,DFT の測定を行っ ている。テストの内容は,1分の制限時間内にできるだ け数多くの異なるデザインを作成するものであり,基 礎課題,干渉課題の順に取り組む。基礎課題では,5 つの黒点を4本の線によって繋ぎ,続く干渉課題では,

5つの黒点と5つの白点のうち,黒点は使用せずに白点 だけを4本の線によって繋ぐ。本研究では,松竹8)に倣 って測定シートを準備し,課題ごとに選手が作成した デザイン数をカウントしてDFT得点とした。同じデザ インや,指示に合わない描き方によって作成されたデ ザインは,カウントに含めなかった。

Trial Making Test DFT同様に実行機能の評価に用 いられるTrial Making Test(以下,TMT)は,実行機能 の中でも注意機能を評価するテストに当たる。海外で は,やはりサッカー競技場面を対象とした成果が蓄積 されており,これを踏まえて松竹8)は,デジタルタッチ パネルを利用してこのテストを実施している。本研究 では,従来,一般的に利用されてきたA4サイズ大の紙 媒 体 を 利 用 し た テ ス ト 形 式 を 採 用 し , 基 礎 課 題

(1→2→3…と,ランダムに用紙に配置された1~25ま での数字を順に線で繋ぐ。基礎課題では,注意機能の うち選択性を評価する)と,干渉課題(1→あ→2…と,

→さ→13までの数字・文字を順に線で繋ぐ。干渉課題 では,注意機能のうち転換性や配分性を評価する)の2 つの課題に取り組んでもらった。課題ごとに,ゴール に到達するまでにかかった時間を計測して TMT 得点 とした。

パーソナリティ特性 一流選手に共通するパーソナ リティ特性とは何かなど,競技の世界では以前から,

パーソナリティとパフォーマンスの関連に注目してき た。パーソナリティを把握するモデルは複数あるが,

本研究では,近年,頻繁に用いられるモデルとして,

パーソナリティ特性を 5つの観点で把握するBig Five

(5)

を使用した17)。Gosling, Rentfrow, & Swann18)は,ごく少 数の項目でBig Fiveの測定を試み,10項目から成るTen Item Personality Inventory(TIPI)を開発している。他言 語への翻訳が進む中,日本でも小塩・阿部・ピノ 19)

日本語版TIPI(以降,TIPI­J)を作成し,本研究ではこ

の尺度を使用した。尺度は自分自身に関する10の質問 について,「強くそう思う(7)」から「全く違うと思う

(1)」まで7 件法で回答を求める。アスリートを対象

に,Big Fiveパーソナリティ特性と競技レベルの関連を

調べた研究 20)では,Conscientiousness:勤勉性(「しっ かりしていて,自分に厳しいと思う」,「だらしなく,

うっかりしていると思う(逆転項目)」の高さと,集団 競技における競技レベルの高さとの間に有意な関連を 見出している。この知見を踏まえて本研究でも,5つの パーソナリティ特性のうち,特に勤勉性に注目した。2 項目の内的整合性を示すα係数は.46であり,値は十分 ではなかったが,尺度の開発過程では十分な値が確認 されているため,今回はオリジナルの 2 項目を合算し て使用することにした。

マインドフルネス マインドフルネスとは,今この 瞬間に起きているできごとや経験に気づき,注意を払 う心の働きを指す 21)。パーソナリティ特性との関連が 指摘される他,近年,マインドフルネスに基づく心理 療法は,抑うつ低減の他,心身の状態を良好に保つ効 果を示すことが報じられ,関心を集めている 22)。うつ 病など,臨床的な課題を抱える人々は,注意が拡散し てしまう症状(マインドワンダリングと呼ばれる)に 苦しむケースがみられる。こうした症状に対し,従来 の認知行動療法にマインドフルネス瞑想と呼ばれる瞑 想法を組み入れたトレーニング技法は,実行機能を高 めて臨床的症状を緩和するのみならず,加えて認知機 能も改善するトレーニングとして期待が寄せられてい る 23)。スポーツ競技の世界でも,過去や将来に気持ち を奪われて「いま,ここ」に対する注意を欠くあまり,

本来のパフォーマンスを発揮できない状況に陥ること がある。この課題に対し,マインドフルネスの技法を 用いたサイコロジカルスキルトレーニングは,一定の 成果を示し,徐々にその有効性が知られつつある 24)。 本研究では,このマインドフルネスの測定に,Brown &

Ryan21)が開 発し た Mindful Attention Awareness Scale

(MAAS)の日本語版(日本語版 MAAS)22)を使用し た。尺度は日頃の実際の体験について,15の質問(項 目例「気づいたら注意を払わずに何かをしている」,「自 分のしていることをあまり意識しないまま,自動的に

動いている気がする」)に答えるものであり,「ほとん ど全くない(6)」から「ほとんど常にある(1)」まで6 件法で回答を求めた。項目の内的整合性を示す α 係数 は.80であった。

セルフコントロール セルフコントロールは,複数 の目標が乱立して葛藤が引き起こされた状態にあると き,長期的,抽象的,社会的な価値に基づく整理によ って比較的望ましい目標を選択し,望ましくない目標 の追求は抑制するよう自らを統制する心性を指す 25)。 Tangey, Baumeister, & Boone26)は,セルフコントロール の高さと精神疾患・過食・アルコール依存といった問 題の少なさ,また,学業成績,対人スキル,人間関係 などとの良好さとの関連を報告している。この,セル フコントロールの基盤となっているのが実行機能であ り 14),他にもパーソナリティ特性としての,勤勉性と の関連も示されている27)。尾崎ら25)は,Tangney et al.26) が開発したBrief Self­Control Scale短縮版(BSCS)を翻 訳し,日本語版(BSCS­J)を開発した。開発の過程で は,反応抑制の測定に用いられるストップシグナル課 題との関連を測定して,当該課題の併存的妥当性を検 証している。本研究では尾崎ら 25)の翻訳版を使用し,

DFT,TMT,マインドフルネス調査の結果との関連を 見る。尺度は対象者が自分の思考・感情や行動につい て13の質問(項目例「誘惑に負けない」,「よくないこ とと知りつつ,やめられない時がある(逆転項目)」)

に答えるものであり,「全くあてはまらない(1)」から

「とてもあてはまる(5)」まで5 件法で回答する。項 目の内的整合性を示すα係数は.80であった。 

倫理的配慮

指導者には,マニュアルに付した説明文章によって,

わが国のフットサル競技の課題を検討するための基礎 データの提供を頼んだ。この依頼において指導者の同 意・承諾を得た後で,選手に対しては,指導者を通じ て指導者と同じ趣旨の説明を,文書を配布して行った。

参加は選手の意思により,同意した場合には同意書の 同意欄にチェックを入れ,無記名で回答を提出するよ う依頼した。回収したデータは個人情報に配慮した上 で全体として解析が行われた。この結果を指導者に対 し,2021年10月に開催されたJFAフットサルA級コ ーチ養成講習会「スポーツ心理学」講義の中でフィー ドバックした。選手に対しては,講習会に参加した指 導者を通じ,資料を配布してフィードバックの機会を 代替した。 

(6)

結果

現場から提出された 2 つの課題に対し,実行機能を 中心とした変数の関連を探った。データの解析には,

SPSS Statics Ver. 27を使用した。 

解析に先立ち,各変数間の関連を検討した(Table 1)。 選手評価と正の関連があったのは,選手年齢(r=.26, p<.001),フットサル歴(r=22, p<.001),勤勉性(r=.23, p<.001)の3変数であった。またDFTの2課題(r=.71, p<.001)とTMTの2課題(r=.35, p<.001)の間に正の 関連を確認した。この他,TMT 選択性(r=.19, p<.01) とTMT転換・配分性(r=.16, p<.05)は,それぞれ性別 との正の関連も見られた。これ以外の正の関連は,選 手年齢とフットサル歴(r=.61, p<.001),選手年齢とDFT 基礎(r=.14, p<.05),勤勉性とマインドフルネス(r=.32, p<.001),勤勉性とセルフコントロール(r=.55, p<.001), マインドフルネスとセルフコントロール(r=.57, p<.001) の間で見られた。一方,負の関連は,性別と年齢(r=­.39, p<.001),性別とマインドフルネス(r=­.15, p<.05),性 別とDFT基礎(r=­.07, p<.05),性別とDFT干渉(r=­.15, p<.05),年齢と TMT選択性(r=­.28, p<.001),年齢と TMT転換・配分性(r=­.17, p<.05),フットサル歴とTMT 選択性(r=­.19, p<01),DFT基礎とTMT選択性(r=­.30, p<.001)),DFT干渉とTMT選択性(r=­.26, p<.001), 以上の変数間に見られた。 

続いて対象者のグルーピングを行った。グルーピン グは,ユースかプロ(Fリーガー)か,指導者による選 手評価が平均値(3.56点)より高いか低いかの2つの 観点の組み合わせによって4 群化し,ロジスティック 回帰分析によって各グループに対する関連要因の影響 を対照した。各グループの人数は,ユース評価低群が 78(男性64,女性14)名(平均年齢17.62±5.28歳,平 均フットサル歴 3.66±4.32 年),F リーガー評価低群が 男性のみ36名(平均年齢23.17±6.06歳,平均フットサ

ル歴6.74±5.24年),ユース評価高群が81(男性63,女

性17,不明1)名(平均年齢19.09±6.41歳,平均フッ

トサル歴 4.81±4.38歳),Fリーガー評価高群が男性の

み 42 名(平均年齢 27.02±4.97 歳,平均フットサル歴 9.89±4.71歳)であった。 

ロジスティック回帰分析では,記述統計量を確認し た変数のうち,複数の変数の投入を見合わせた。この うち性別については,女性の所属がユース年代に限ら れたため投入を見送った。またDFT基礎とTMT配分・

転換性の課題において,教示に沿わない方法での回答 がそれぞれ12ケース,34ケースと見られた。加えて,

すでに述べたようにDFTの2課題とTMTの2課題の 間に高い相関が確認されたため,多重共線性を回避す る目的からも両変数の投入を見送った。こうして得ら れたモデルのうち,交互作用があるモデルとないモデ

(7)

ルとを比較した(Table 2)。カイ二乗値の変化は交互作 用項を投入したモデルで有意傾向を示すにとどまり

(χ2(12)=12.17, p<.10),参照系に設定したユース評価低 グループとの違いを示すオッズ比もほとんど 1.0 倍で あった。したがってモデルの優位性は十分に認められ ないものとして,交互作用なしモデルを採用した。ユ ース低評価グループとの比較により,Fリーガー評価低 群は1.13倍年齢が高く,TMT選択性課題を終えるのに かかった時間は0.96倍と,課題解決のスピードに優れ ていた。次にユース評価高群は1.90倍勤勉性が高く,

0.92倍セルフコントロールで劣っていた。最後にFリ ーガー評価高群では,年齢とフットサル歴が参照グル ープよりも 1.17 倍,また勤勉性が 1.89 倍高く,TMT 選択性課題の時間も0.96倍短かった。総じて,指導者 による選手評価に関わる項目として,優れた選手はパ ーソナリティ特性としての勤勉性と,実行機能として 情報を適切に選び取る TMT のスピードの速さが示さ れた。 

調査2 選手に対するインタビュー調査

JFA は,わが国のフットサル競技の課題として,気 持ちの立て直しと情報処理能力の向上を挙げる。これ

を踏まえて調査 1では,先行する研究や実践に依拠し ながら,両課題の解消に寄与する実行機能他の関連変 数について検討を行った。 

ロジスティック回帰分析の結果では,実行機能のう ちTMTで測定される注意の転換・配分性の優位性がプ ロ選手に認められ,先行知見が示す結果と合致した。

この他,ユースとプロを問わず,評価の高い選手には 勤勉性の高さが認められた。プロ選手においてはこの 勤勉性が,評価の高低を分けていた。この点を考慮し つつも,ユース選手の評価を分ける要因は,自己評価 に基づくセルフコントロール得点の高低であり,評価 高群の選手はむしろセルフコントロール得点が低い結 果を示した。評価の高い選手は,日常的なセルフコン トロールにルーズな一面があるのかもしれない。ある いは,日常的な自制のレベルが中程度であることが,

競技場面での実力発揮につながるのかもしれない。な お,ロジスティック回帰分析では,選手の協力状況か ら性差による解析は実施できなかった。TMTの選択性

t(234)=2.95, p<.01)と転換・配分性(t(200)=2.31, p<.05) において,女性が男性よりも有意に高い得点を示した ことから,性差の検討は今後の課題と考えられる。 

この他,実行機能のうちDFTや,関連変数としての

Table 2 ユース評価低群(n=69)を参照した他グループの説明要因に関する多項ロジスティック回帰分析

95%CI 95%CI 95%CI 95%CI 95%CI 95%CI

選手年齢 1.13* 1.03­1.25 1.14** 1.03­1.25 1.07+ .99­1.16 1.08+ 1.00­1.17 1.17** 1.06­1.28 1.17** 1.06­1.29

フットサル歴 1.08 .96­1.21 1.07 .94­1.22 1.05 .96­1.15 1.04 .95­1.15 1.17** 1.05­1.32 1.22** 1.07­1.39 ポジション/複数

(参照 いずれか1種類) 1.21 .34­4.33 1.18 .33­4.23 .92 .36­2.36 .91 .35­2.35 .90 .25­3.28 .80 .21­3.03

勤勉性 .71 .42­1.20 .72 .43­1.23 1.90** 1.26­2.87 1.96** 1.28­3.02 1.89* 1.08­3.32 1.89* 1.06­3.37

マインドフルネス 1.03 .96­1.10 1.01 .90­1.14 1.03 .98­1.08 .99 .91­1.70 1.03 .96­1.10 .99 .86­1.13 セルフコントロール .99 .91­1.08 .98 .86­1.11 .92** .86­.98 .92+ .84­1.01 .95 .87­1.03 .94 .81­1.09

DFT干渉 1.03 .94­1.13 1.03 .89­1.19 .99 .92­1.06 1.00 .90­1.12 .98 .90­1.08 .87 .73­1.03

TMT選択性 .96* .93­.99 .96+ .91­1.01 .99 .98­1.01 .97+ .94­1.00 .96* .93­.99 .92** .87­.98

フットサル歴×

  マインドフルネス 1.00 .99­1.02 1.01 1.00­1.02 1.01 .99­1.03

フットサル歴×

  セルフコントロール 1.00 .98­1.02 1.00 .98­1.01 1.00 .98­1.02

フットサル歴×

  DFT干渉 1.00 .98­1.02 1.00 .98­1.01 1.02 .99­1.04

フットサル歴×

  TMT選択性 1.00 1.00­1.01 1.01+ 1.00­1.01 1.01* 1.00­1.01

〈モデルの適合度〉

モデルχ2(df) Δχ2(df)

­2対数尤度

Cox­Snell R2   Nagelkerke R2  + p < .10   * p< .05   ** p < .01

.36   .39

12.169(12), p<.10

オッズ比

交互作用なし

オッズ比 オッズ比 オッズ比 オッズ比 オッズ比

交互作用あり

注 分析に用いなかった変数のうち,性別は,女性がユースに限られたため,DFT基礎とTMT配分性・転換性は,先に述べた理由によって,それぞれ投入を見送った。

Fリーガー評価高(n=37 ユース評価高(n=79

Fリーガー評価低(n=34 交互作用あり

交互作用なし 交互作用なし 交互作用あり 交互作用なし 交互作用あり

.39   .42 469.511 109.222(36), p<.001 97.053(24), p<.001

481.681

 Table 2 ユース評価低群 (n=69) を参照した他グループの説明要因に関する多項ロジスティック回帰分析

(8)

マインドフルネスについては影響が確認できなかった。

DFT については,教示に沿わない複数件の回答が見ら れたことから,遠隔的に実施した調査の限界も指摘で きる。この点を考慮しつつも,この課題で測定された 創造性やマインドフルネスが,現時点で評価の高低を 見分ける視点として,指導者にあまり重視されていな いという見方もできるかもしれない。仮にそうである ならば,そうした視点にも留意して選手評価を行うこ とで,実践にポジティブな効果をもたらすことができ るのか,今後の検討が求められよう。

以上の整理を踏まえて調査 2 では,今後の取り組み の足掛かりとして,両課題に対する選手の日常的な認 識について確認を行う。具体的には,プロ選手のうち TMT転換・配分性得点に優れていた4名の選手を選び,

協力を願ってインタビューを行う。「プレーで心がけて いること」などを尋ねた質問への回答から,実行機能 に優れたプロ選手の取り組みや考え方の一端が垣間見 られるものと期待される。

方法

協力者と期間

調査1で実施したTMT転換・配分性得点に優れたF リーガーのうち,チームの了解を得て,インタビュー に応じた4名の選手を対象とした。期間は2021年9月 であった。当該期間は緊急事態宣言下にあり,チーム の求めに応じて個別に,訪問インタビューと電話イン タビューを併用した。4 名の選手の平均年齢は 25.25

(±5.19)歳,TMT 転換・配分性の平均得点は 59.50

(±12.87)点,インタビューの平均時間は12分45秒(±3 分35秒)であった。

インタビュー内容

半構造化面接法により,あらかじめ用意した質問を 投じ,その後は選手に自由に回答してもらうように進 めた。最初に「フットサルのプレーで大切なこと」を 挙げてもらい,それらの順位と理由についても語って もらった。次いで「自身のプレーのストロングポイン トと課題」について尋ねた。以上のやりとりを通じて インタビューに慣れてもらった後で,調査の主たる目 的である「気持ちの立て直し」と「情報処理能力の向 上」に対する質問を行った。選手にはICレコーダーに よる録音の許可を求め,同意を得て語りを録音した。

インタビュー後に録音された語りを逐語化して,共通 性と個別性の観点から語りを整理・解釈した。

結果

気持ちの立て直し(Table 3)

気持ちの立て直しについて,4選手ともそれが重要で あることに同意している。A 選手は,気持ちの立て直 しは苦手ではないとしながら,噛み締めるようにその 重要性を述べた。

A 選手 気持ちの切り替え,大事っすね。試合中って いうことですか,点取られたりとか,ああ,

ああすごい,大事だと思います。

次に「気持ちの立て直しが優れた選手の特徴」とし て,D 選手は多少羨むような視点から,気持ちの立て 直しが得意な選手と不得意と自覚する自分の違いを語 っている。

D選手 切り替えてやれる選手は,のびのびプレーでき てるのかなっていうのは思います。

著者 それを心がけていますか?

D選手 ま,心がけてはいるもののって感じですかね。

著者 うまくいかない原因を分析していますか?

D選手 あー,でもどうですかね,僕は結構一緒に出て る人の顔色とかうかがっちゃいますね。ま,そ れが原因かは分からないですけど(笑)。

著者 ミスしたときとかにですか?

D選手 そうですね,僕がミスしたときとか,ま,こう 自分たちのプレーがうまくいかなかったって ときとかっていうときに,やっぱり周りがイラ イラしてそうなのを見ると,やっぱり,あー,

よくないなって思ったり,ま僕のミスでプレー が終わったりして,も,気にしちゃうことが結 構ありますね,周りっていうか一緒に出てる人 の。その出てる4人が,同じことを考えて,そ のプレーできるってのがいちばんいいと思う んですけど,それが,できないとやっぱり,す ごい,プレッシャーに考えることがあるかもし れない。

著者 メンタルに優れた選手はあまり他人を気にし ないのでしょうか?

D選手 あ,でも,それはあるかもしれないですね。

著者 対してD選手は繊細で優しい?

D選手 はは(笑)。そうですね,まわかんないですけ ど。

著者 メンタルに優れた選手はあまり考えていない

(9)

   

気気持持ちちのの 立立てて直直ししA選選手手B選選手手C選選手手D選選手手 1.大切と思う か

気気持持ちちのの切切りり替替ええ,,大大事事っっすすねね。 (略)点取られたり…とか,ああ, ああすごい,大事だと思います。

そそううでですすねね,(略)フットサルはこ う5人で,しかもコートが狭いってこ とで,ま自自分分ががここううミミススっっててししままうう とと,,ももううそそのの時時点点でで4対対3ととかか,,ここ うう数数的的不不利利ににななっってて,,まま得得点点にに直直 結結すするる…まあのー,展開が速くて直 結しやすいと思うんで,(略)

いいややももうう,,すすべべててににおおいいててそそうう思思 いいまますす。 (*この質問以前に聞いた「フット サルで大切な3つのプレー」でも自ら リストアップ)

ああ,,思思いいまますすねね。僕はあんまり得意 じゃないんですけど(笑)。まやっ ぱり,ミミススはは誰誰ででももすするるここととだだとと 思思ううんんでで,,((略略))ああととでで反反省省ししたた ららいいいいことで,(略)別にそこで, その気持ち的に落ちる必要はないか なと思うんですけど。 2.優れた選手 とそうでない 選手の違い

(略)チチーームムががママイイナナススのの方方にに行行 ききそそううななととききででもも,,ししっっかかりり自自分分 ののププレレーーっってていいううかか,,いいいいととこころろ 出出せせるるっていうのは,ま自分の一 個,いいところだとは思います。

自自信信ももっっててややっっててるる選選手手ががメメンンタタ ルル的的にに優優れれたた選選手手かなって思いま す。(割合が)多いとは思います。

例えばなんですけど,シュートをし た後に敵に当たって,気持ちがブレ てる人はそこでボールが敵に渡っ ちゃうんですけど,シュートをして も気気持持ちちががブブレレててなないい人人っっててのの はは,,ままたたセセカカンンドドでで,,シシュューートトにに 行行けけるるような,なんかミスがミスに ならないような,

切切りり替替ええててややれれるる選選手手はは,,ののびびのの びびププレレーーででききててるるののかかななっってていいうう ののはは思思いいまますす。(略)僕は結構一緒 に出てる人の顔色とかうかがっちゃ いますね。(メンタルに優れた選手 はあまり他人を気にしない?)あ, でも,それはあるかもしれないです ね。(メンタルに優れた選手はあま り考えていない?)考えてはいるん でしょうけど,(略)次次,,次次っってて切切 りり替替ええれれててるるんんだだとと思思いいまますす。 3.プレーで心 がけているこ と

(略)先輩たちが,下向いてる… (略)まそういうときは自自分分がが盛盛りり 上上げげてて,,助助けけてて,,ああげげよよううっってて気気 持持ちちににななるるんで,(略)

どどれれだだけけ試試合合にに,,軽軽いい気気持持ちちでで挑挑 めめるるかかってのは,結構,(自分が真 面目)過ぎるがゆえに頑張ってると こですね。

(略)練習でいいプレーして試合出 るためにっていう風な,流れってい うか,サイクルがあるじゃないです か。(略)練練習習ででいいいいププレレーーががでできき なないいととそそののチチーームムででのの,,立立ちち位位 置置っってていいううかか,,存存在在価価値値っってていいうう ととこころろでで,,((略略))気気持持ちちはは落落ちち沈沈 んんじじゃゃううかかななってとこですね。 4.普段の生活 で意識してい ること

日日常常生生活活ででそそのの,,ででききるるだだけけ自自分分 ののメメンンタタルルにに負負担担ををかかけけなないいっってて いいううかか。(略)夜寝てないとか,の だけでも,寝てないから悪いプレー なるかもみたいな,(略)できるだ けこう不安要素を減らすというか, (略)

何何かか課課題題ととかか,,ミミススととかかががああれれ ばば,,5分分以以内内ににはは全全部部片片づづけけるるよようう ににししててまますす。なんかミスとかしたと きに,(略)5分以内にその人に謝っ てしまえば,(略)悩んでること は,なくなるみたいな考え方で。

ああんんままりり気気ににししなないいよよううににししててるる とといいううかか。日常のミスっていうと難 しいんですけど。(仕事とかで?) そうですね仕事とかで,(略)気に しないようにしてます。

Table 3 気持ちの立て直しに関するインタビューの結果

(10)

んでしょうか?

D選手 考えてはいるんでしょうけど,そこまでその,

状況をミスしてしまったんだっていうより,次,

次って切り替えれてるんだと思います。

さらに「気持ちの立て直しを行うために,プレーで 心掛けていることがあるか」という質問には,それを 苦手だと自覚するC選手とD選手が,考え過ぎないよ うにすると語っている。ここではC選手の語りを見る。

C選手 心がけてることは,全然関係ない話にはなって くるんですけど,自分がいま,頭が固くて真面 目過ぎるんで,どれだけふざけるではないけど,

どれだけ試合に,軽い気持ちで挑めるかっての は,結構,過ぎるがゆえに頑張ってるとこです ね。

著者 ストイックに追い込み過ぎちゃう?

C選手 それもそうですし,一つのとこしか見えなくな っちゃうとことかも,はい結構あります。

著者 もう少し心に余裕をもってということです か?

C選手 そうです。

最後に「気持ちの立て直しを行うために,普段の生 活で意識していることがあるか」という質問には,A 選手以外の 3 選手が,阻害する要因を貯め込まずに取 り除くと述べている。B選手の語りを見る。

B 選手 そのー,メンタル大事なんで,日常生活でそ の,できるだけ自分のメンタルに負担をかけな いっていうか。そういうことですかね。できる だけそういったところで,不安要素をなくして,

またとえば,夜寝てないとか,のだけでも,寝 てないから悪いプレーなるかもみたいな,そう いう意味で,できるだけこう不安要素を減らす というか,息抜きしながら,普段は,過ごして ます。

情報処理能力の向上(Table 4)

一方,情報処理能力についても,4選手ともそれが重 要であることに同意している。D 選手は,この質問以 前にインタビューの冒頭で,「フットサルのプレーで大 切なこと」を尋ねた際にも,次のように情報処理能力 の重要性に言及した。

D 選手 で 2 つ目は,ま常に,周りを見て,その状 況っていうか,状況を認知することが必要だと 思っていて,でその状況認知した状況から,

ま適切な判断っていうのが必要だと思ってま す。判断っていうか,決断ですかね。

次に「情報処理能力が優れた選手の特徴」として,A 選手とD選手は,プレーの選択肢が豊富であると述べ ている。またB選手とC選手とは,情報処理能力が優 れていることの前提について話し,見ることを含めた 技術力が関係すると述べている。C選手の語りを見る。

C 選手 優れた選手は,もともと足元うまい人多いか なって気もしますね。状況判断が優れてるから,

足元がうまいのか,足元がうまいから心に余裕 があるかは,実際わからないんですけど,そう いう気は,してます。普通の選手はテクニック で劣ることがあるかなって感じですかね。

さらに「情報処理を速めるために,プレーで心掛けて いることがあるか」という質問には,4選手ともが,よ く見ることを挙げている。A選手の回答を以下に示す。

A 選手 えっと,までも,ほんと基本だと思うんです けど,ボールが来る前に,周りを見たりとか,

たとえば,逆に,自分にボールがないときにそ の,パス回しとか,味方がしてるときに,どこ のスペースでボールをもらえるかっていうの を見たり,あとは,相手のもちろん立ち位置と か,っていうのを,ましっかりと見て,判断す るって,いうところですね。

最後に「情報処理能力を速めるために,普段の生活 で意識していることがあるか」という質問には,B 選 手が映像機器を用いた振り返りを挙げている。

B 選手 後でビデオで振り返るとか,えーと引いたと ころとかでまあビデオとかで見るってのは違 うので,そういうところでその,自分がピッチ のところではどうだったかとか,まあビデオで 見て,そのプレーがほんとに,何て言うんです かね,あの自分が思ってたような配置になって るのかっていうのは,何か確認したりはします けど。

(11)

   

情情報報処処理理能能力力 のの向向上上A選選手手B選選手手C選選手手D選選手手 1.大切と思う 大大切切でですすねね,,ははいいああああ,,ももちちろろんん思思いいまますす

そそううでですすねね,,デディィフフェェンンスス面面でで特特 にに大大切切かかななっってて,,ここのの頃頃特特にに思思っっ ててまますす。(略)まあキーパーと,含 めて,敵と22になったとき, (略)ま,ついていくのかいかない のかの,(略)ま判断が必要だなっ て思ってます。

そそううでですすねね (*この質問以前に聞いた「フット サルで大切な3つのプレー」でも自ら リストアップ) 2.優れた選手 とそうでない 選手の違い

状況判断が早い,っていうか周りが 見えてる選手っていうのは,(略) ボボーールルももららっったたととききににはは,,ももうう次次 ののププレレーーがが選選択択ででききるるっていう, (略)で逆に,判断が遅いとか周り が見えてないっていう選手は, (略)遅くなったり,ま相手に,寄 せられて取られたりっていうのが。

優れた選手ってのは,(略)その1個個 2個個先先っっててののをを見見れれててるる選選手手がが多多いい のかなと,思います。優れてない選 手ってのは,そういうところがま あ,見れてなかったり,まあ経経験験のの 部部分分がが大大ききかかっったたりりすするるとと思思うう ですけど,ボール来てから考えた り,とか,(略)

優優れれたた選選手手はは,,ももととももとと足足元元ううまま いい人人多多いいかなって気もしますね。状 況判断が優れてるから,足元がうま いのか,足元がうまいから心に余裕 があるかは,実際わからないんです けど,(略)普普通通のの選選手手ははテテククニニッッ ククでで劣劣るることがあるかなって(略)

優優れれたた選選手手はは,,選選択択肢肢をを多多くく持持っっ ててるるというか,たぶん普通の選手だ と,これだと思って,実行して,相 手に取られたりがあったり,ボー ルをロストしてしまうことがあった りすると思うんですけど,(略) 3.プレーで心 がけているこ

ほんと基本だと思うんですけど, ボボーールルがが来来るる前前にに,,周周りりをを見見たたりり ととかか,たとえば,逆に,自分にボー ルがないときにその,(略)どこの スペースでボールをもらえるかって いうのを見たり,あとは,相手のも ちろん立ち位置とか,(略)

プレー中はそのどどここをを見見るるかかっっててのの をを,,自自分分のの中中でではは考考ええななががらら,, ややっっててまますす。(略)自分もらった後 にこの,どこにスペースあるとか味 方がどこにいるとか,相手がどこに いるとか,ってのを,できるだけ見 ながら,(略)

自分は焦っちゃう状況が多いんで, (略)周周りりのの敵敵をを,,どどうういいうう距距離離 感感ででいいるるののかかををほほんんととにに確確認認すす るるっていうのは,ポジション的にも すごい,頑張ってるとこです。

意識的なことなんですけど,味味方方のの 状状況況だだっったたりり,,相相手手ががどどうういいうう状状 況況でで,,っってていいううののをを,,常常にに把把握握 すするるよよううににはは,,ししててるるかなと思いま す。 4.普段の生活 で意識してい ること

後後ででビビデデオオでで振振りり返返るるととかか,(略) あの自分が思ってたような配置に なってるのかっていうのは,何か確 認したりはしますけど。

普段の生活から心がけていること (笑),特に浮かびはしないです ね,いま。

明明日日雨雨降降りりそそううだだっったたらら,,そそのの洗洗 濯濯ししととここううととかか,ご飯なくなりそう だから,買っとくとか,(賞味)期 限いついつまでだから,いついつま でに,とかですかね。

Table 4 情報処理能力の向上に関するインタビューの結果

(12)

総合考察 

選手に対するインタビュー調査によって,JFA イン ストラクターによって整理されたわが国フットサル競 技の課題は,選手にも共有されていることが確認され た。インタビューに対する回答から,TMTで測定され た実行機能に優れた選手も,さらなる向上を目指して これらの課題に向き合っていることが示された。気持 ちの立て直しについては,4選手のうち3選手が,「競 技と日常のつながりを意識した生活を心がけている」

と語った。また情報処理能力の向上については,4選手 ともプレーにおける「見ることへの意識」に言及した。

マス調査によって選手をピックアップし,優れた選手 が考えていることを明らかにしたこの方法により,他 の選手の参考となり得る情報を提供したと考えられる。 

上記の一方,調査 1 も含めて本研究は,変数間の関 連を示すなど現状を把握したに過ぎない内容にとどま っている。この点で先行研究の課題を解消できておら ず,今後,必要な研究デザインの採用により,実行機 能とパフォーマンスの関連を頑強にする知見を得ると ともに,これを踏まえて具体的な介入方法を開発して いく必要がある。このとき留意すべきは,至極当然の ことではあるが,アスリートとしてのバランスの取れ た成長を目指すプログラムの中に,実行機能の向上を 目指す実践を位置づけていくことであろう。本研究で も関連が見られたように,今日までに提出されたエビ デンス(たとえばBeavan et al.10)から,実行機能が競 技能力の予測因として機能する可能性は高い。とりわ けプロサッカー選手の優劣に関わるといった知見 6) 7) はインパクトがあり,このエビデンスに基づきユース 世代の実行機能の改善を試みるアプローチなどは興味 深い。しかし,高齢者の認知機能の改善や障害児の発 達支援に身体活動を導入する実践からも示唆されるよ うに 13),そもそもフットサルやサッカーなどの競技に は,実行機能を向上させる刺激が本質的に埋め込まれ ていると考えられる。そのため,その要素だけを取り 出してトレーニングしていくことが,アスリートがも つ限られた時間の中でどの程度有効であり,また適当 なことであるのか。こうした点を,ユース/プロや,

競技能力の低さ/高さといった状況を踏まえて議論し,

選手が個別に利用できるメニューとして開発していく ことが望ましいと思われる。 

折しも本調査は,日本代表が出場したフットサルワ ールドカップの期間に実施された。大会の成績は一定 の評価が与えられるものであり,この歩みを進める上

で心理学の立場から,2つの課題に向けた取り組みが求 められている。 

 

謝辞 

現場の課題を教示いただいたJFAインストラクター の前川義信様,調査をコーディネートいただいた JFA 指導普及部の齋藤智治様,則松紀和子様に,深くお礼 を申し上げます。 

 

引用文献

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参照

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