西松 建設技報 vOL,24
複数の構造形式 を使用 した大断 面集成材の施工
岩崎昭治革 Akiharulwasaki
1.は じめに
本建築物 は,愛知県北設楽郡内における中学校3校の 統合校舎である.設計 コンセプ トは内外部の仕上げを木 造 として,安定感 と温かみのある学校創 りを心がけると 共 に,地場産業振興 にも考慮 した大断面集成材 による屋 根架構及 び柱 は鉄筋 コンク リー ト道の建物である.写真
‑1に示す平屋 部分 が管理教 室棟 で あ り,ホー ムベ ー ス ・職員室 な どが レイアウ トされ,2階建 ての部分 は, 特別教室棟 にな り,技術室 ・理科室 ・音楽室な どの教科 教室が レイアウ トされている.
写真‑1 施工現場全景 2.工事概要
工事名称 :設楽中学校校舎建築工事
工事場所 :愛知県北設楽郡設楽町大字田口字大西8‑1 発 注 者 :設楽町
設 計 者 :㈱伊藤建築設計事務所 監 理 者 :同上
監 修 :豊橋技術科学大学建築工学系 渡辺研究室 総合施工 :西松 ・吉川 ・太平特定建設工事共同企業体 全体工期 :平成11年8月3日〜平成12年12月24日 主要用途 :中学校
構造規模 :構 造 :鉄筋 コンクリー ト造 一都木造 (大断面集成材)
階 数:2階建 最高高 さ 10.2m 建築面積 :3256.57m2
延床面積 :3946.60m2
敷地面積 :27203.77mJ2
*中部 (支) 設楽 (也)
抄録
図‑1 完成予想図
3.集成材
(1)搬入計画
これ まで価格 ・納期の観点か ら,大規模集成材 は米国 産の ものが主流であったが,本工事では,集成材 として 国内産唐松 を使用 して施工 を行った. また,内部仕上げ 材 も杉 な どの地場三河産 を使用 しているなど,地場 に考 慮 した計画になっている. この時の工程管理の上の最 も 大 きな問題は納期である.これは国内産であること,磨 松 の限界強度の関係上,品質の良い材木が多量 に必要な ことな どが原因である. このため,発注時期が非常 に重 安であ り,本工事では,材料発注か ら建 て方 開始 まで6 ケ月 とい う時間が必要であった.
(2)養 生
集成材 を使 う理由 としては,外観の美 しさがあげ られ る. このため,集成材 をいかに傷つけず,かつ,汚 さず に保つかが重要なポイン トなる.架設 においては,幅広 のナイロンス リングを使用することで ワイヤー跡 を残 さ ない ように配慮 し,工場での1回塗 りの塗装 (キ シラデ コール) によ り,架設後の腐食 ・変色 を防いだ. また,粘 着性 ルーフィングを使用による施工の短縮 により,雨に よる母屋お よび木毛セメン ト板か らの汚れを防止 した.
4.構造概要
本建築物の屋根形状 (写真‑2)は,各教室 に よ り異 なってお り,それに伴い集成材の構造形式 も異 な り,以 下の4種類 に大別で きる分ける.
(∋平行弦 トラス (彰張弦材 を使用 した梁 (丑平行弦 トラスによる格子梁 (む単材 +方杖
この ように,複数の構造形式が使われてお り,施工計 画には特別な配慮が必要であった.
なお,接合部おいて,一般的には中ボル トを用いるが, 本工事では, ドリフ トピンを使用 している.
構造諸元 を以下に示す.
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抄録
・構造諸元
最大スパ ン :16m
最大部材寸法 :wxhxl:150mmx180mmX16500mm 集成材 192m3
金物 370kN
品質等級 :品 名 :構造用集成材 強度 区分 :E120‑F330 樹 種 名 :唐松 (国内産)
・部材数
管理教室棟 :(建築面積 :1733.26m2)
集成材パ ター ン 142種類 集成材部材数 1382部材 張弦材パ ター ン 24種類 張弦材本数 191本 接続金物パ ター ン 56種類 接続金物数 748セ ッ ト
ドリフ トピン 576本
BOLT
350本 特別教室棟 :(建築面積 :1523.31m2)集成材パ ター ン 184種類 集成材部材数 1091部材 張弦材パ ター ン 19種類 張弦材本数 110本 接続金物パ ター ン 50種類 接続金物数 310セ ッ ト
ドリフ トピン 96本
BOLT
36本写真‑2 屋根形状
5.
施工概要(1)架設精度の確保
本施工では,各集成材の接合部 に ドリフ トピンを使用 した. ドリフ トピンを受 ける集成材 の穴経 は, ドリフ ト ピンに対 して±0精度が要求 され る ものであ る. また, トラスな どの斜材 と平行弦材 の接合部 には,力 を十分 に 伝 え られ る よう
,
『面 タ ッチ』の施工 が必要 であ った.この ように,架設精度が施工上の重要 ポイ ン トであった.
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したが って,施工精度 を確保す るため, トラスの組立て 時 に施工 中の応力が残 らない よう,支保工 を設 けて施工 を行 った. また,RC部材 と集成材接 合部 の取付 け精 度 に関 しては,RC埋 め込み ア ンカーのば らつ きを考慮 し, 打設後 ア ンカーの原寸 をと り, ア ンカープ レー トの製作
を行 ない,設置精度の確保 を図った.
(2)仮設足場
集成材 における仮設足場 は,鉄骨道の場合 とは異 な り, すべ ての部材 に手が届 く必要があるため,基本的に総足 場 が必要 となる. しか し,写真‑2に示す ように,屋根 形状が複雑 なため,足場 もそれに合 わせ て複雑 な形状 と なる.今回,足場 を計画す るにあた り,工程の短縮お よ び,作業量 を減 らす ため,集成材工事終了後,内部の総 足場 を50cmジャ ッキ ダウ ンで きる構 造 と し, ジ ャ ッキ ダウ ン後,天井用足場 として使用で きるように した.罪 常 に複雑 な足場 となったが, この方法 に よ り大幅 な工期 短縮が可能 となった.
(3)搬入計画
本現場 は,名古屋 よ り90km,時間に して2時間の 山間 部 に位置す る.幅員の狭 い場所やヘヤ ピンカーブが多い.
このため,最大部材寸法16.5mの集成材 の搬 入経路 が重 要 なポ イ ン トで あ っ た. 当初,16.5mの部材 を2ピー ス に分 け,搬入す ることを検討 したが,意匠上,極力接合 部の発生 を避 けたいため,綿密 な搬入経路計画 を行 い, 分割せず搬入 した. これによ り,工程 も短縮 された.
写真‑3 完成状況
6.
おわ りに大規模集成材 は構造体 であ りなが ら,仕上げ材 ともな るため,品質の確保 には綿密 な施工計画 ・管理が必要 と なる.本工事 は,工程 ・品質 ・安全管理 を厳密 に行 い, 満足 のい く施工がで きた と考 えている.本報告が,今後 の施工の参考 になれば幸 いである.