日本小児循環器学会雑誌 14巻3号 476〜477頁(1998年)
第15回北陸小児循環器懇話会
日時:平成10年2月7日(土)
場所石川県立中央病院健康教育館
1.Fontan手術後腹痛発作を繰り返した三尖弁閉 鎖症の1例
石川県立中央病院小児内科
久保 実,上野 康尚 堀田 成紀,大木 徹郎 同 心血管外科 関 雅博,坪田 誠 症例は7歳3カ月の女児.在胎40週,2,570gで出生
し,哺乳不良・チアノーゼを認めたため当科に入院,
三尖弁閉鎖症(1b)と診断された.日齢5にWaterston
術施行,6歳5カ月時にGlenn⊥Fontan手術施行し
た.
術後3カ月頃より腹痛・嘔吐が発作的に出現し,そ の都度安静や補液にて軽快していたが,次第に頻回と なり,7歳3カ月の発作時に低血圧・チアノーゼを認 め入院となった.発作時には低血圧の他,脱水による 血液濃縮や胆汁うっ滞がみられ右心不全の症状と考え られた.症状はその都度安静,補液およびドーパミン 5μg/kg/分点滴にて速やかに軽快した.この右心不全 は術前の肺動脈圧が基準より高かったことや右房一一左 肺動脈吻合部の狭窄が一因と考えられた.発作の予防
には血管拡張剤であるα遮断薬はむしろ逆効果で,選 択的α1受容体刺激剤であるメトリジンが有効と思わ
れた.
2.当科におけるFontan手術適応型症例20例の検 討
金沢大学小児科
太田 邦雄,武井 健吉,西尾 夏人 辻 春江,酒詰 忍,谷口 昌史 小泉 晶一
当科におけるFotan手術適応型症例20例にっいて retorospectiveに検討した. Fontan手術施行例10例の 主要病名は単心室5例,DORV 5例,術前最終カテ結 果は平均PA圧14mmHg, PAI 346mm2/m2,房室弁逆 流はいずれもII度以内であった. Fontan手術未施行 症例10例の主要病名は単心室3例,TGA 2例, cor一
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富山医科薬科大学小児科 市田 蕗子
rected TGA 2例等であった.10例中2例が死亡,1
例が適応なし.1例はPSVTがありablation後再評
価予定の他はFontan手術待機中であった.Fontan手 術施行例10例の術前後の心機能は平均観察期間16カ月 ではいずれも改善もしくは横ばいであった.Fontan型手術施行例の早期予後は良好でbiventricular
repairが選択肢となる症例でも, Fontan型手術も念 頭においてフォローアップが重要と思われた.3.総肺静脈環流異常症(上心臓型)を伴う無脾症 候群に対する外科治療経験
富山医科薬科大学第1外科
宇於崎泰弘,村上 新,土肥 善郎 上山 克史,深原 一晃,三崎 拓郎 同 小児科
市田 蕗子,浜道 裕二,津橋 真一 Fontan型手術を目指す疾患群のうち,無脾症候群
に合併した総肺静脈環流異常症(TAPVC)の手術成績 は未だ不良である.上心臓型TAPVCを伴う無脾症候 群に対し手術を施行した/例を経験したので報告す
る.
症例はAsplenia, SRV, SA, CAVC, PS, DORV,
TAPVCの診断にて日齢24,左BTシャント術(径3.5 mm PTFE))を施行した既往を有する1歳2カ月の男 児である.チアノーゼ,肺墾血を主訴に来院.心エコー 検査では,シャント流量は良好でAVVRを軽度認め た.心カテ検査では,肺動脈の発育は良好で共通肺静
脈幹から流入するとSVCへの引き抜き圧較差は10
mmHgであった. staged Fontan手術を計画し,TAPVC repair, Glenn shunt術を施行した.術後経 過良好で一旦退院.今後肺静脈閉塞及び房室弁逆流に 注意を払いながら外来経過観察を行い,6カ月後心臓 カテーテル検査,2歳までにextracardiac Fontan手 術の予定である.
4.術前軽度チアノーゼが認められたsmall VSD を伴った不完全型心内膜床欠損症の1例
富山県立中央病院心臓血管外科
星野 修一,磯松 幸尚 原 稔,西谷 泰
Presented by Medical*Online
日小循誌 14(3),1998
同 小児科 畑崎 喜芳,丸箸 圭子 術前,肺高血圧症と高度の三尖弁閉鎖不全のため,
軽度チアノーゼが認められた.不完全型心内膜欠損症 の女児を経験した.症例は,muscular inletのsmall VSDを合併しており,6カ月時の超音波検査では認め られたが,肺高血圧症となった1歳11カ月の術前検査 では明らかではなかった.術中その診断に苦慮したが,
三尖弁下に認められ,直接閉鎖が可能であった.
muscular inletのsmall VSDを合併した比較的稀 な不完全型心内膜床欠損症の1例を経験したので報告
した.
5.Dextrocardia,1)ORV subaortic VSD, ASD,
PAPVR, hemiazygos connection, PH乳児の1例 福井心臓血圧センター・福井循環器病院小児 科 早野 尚志 同 外科 河合 隆寛,大中 正光 新生児期に心雑音を主訴として来院した複雑心奇形 の1例の診断と治療経験を報告した.症例は日齢12日,
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女児,在胎39週3,120g Apgar 9にて出生.心雑音指摘 され当院紹介.来院時,心拍数120回毎分,呼吸数60回 毎分.陥没呼吸なし.胸骨右縁に駆出性収縮期雑音2/
6,拡張期ランブル聴取,胸部Xpにて心胸比0.7,肺血 管陰影増強,ECGにて右胸心,右軸偏位,右室肥大.
心エコーにて心室中隔欠損,動脈管開存,右室,右房,
肺動脈の著名な拡大を認めたが肺静脈の還流異常,下 大静脈欠損は診断し得なかった.2カ月時にカテーテ ル・造影検査を施行し,左側の肺静脈の還流異常,下 大静脈欠損に伴う半奇静脈の右上大静脈への還流,両 側上大静脈を確認,肺動脈圧82/31(54)mmHg.4カ月 時に心内修復術を施行した.術後1年のカテーテル検 査で肺動脈圧は29/11(21)mmHgと低下し,左肺静脈 の還流障害も認めず良好な経過である.
特別講演
「Fontan手術について一術式および遠隔成績」
富山県立中央病院心臓血管外科部長 星野 修一先生
Presented by Medical*Online