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―研究室探訪―

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Academic year: 2021

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内科学第三教室は,脳神経内科,リウマチ・膠原病内科,アミロイドーシスなどの代謝性疾患を専門としていま す。脳科学や免疫学は現在最も注目を集めている研究分野であり,私たちは神経難病学講座をはじめとする学内の 教室,国立精神・神経医療研究センターなどの国内の研究施設,米国スクリプス研究所などの海外の研究施設と共 同で研究を推進しています。以下に私たちの教室で取り組んでいる主な研究テーマを紹介します。

1.アミロイドーシスをはじめとする代謝性神経疾患の病態解明および新規治療法の開発

家族性アミロイドポリニューロパチー(遺伝性 ATTR アミロイドーシス)の病態として,トランスサイレチン

TTR遺伝子変異による TTR 四量体の不安定化が重要であることを解明し,TTR 四量体安定化薬の臨床研究 を実施し実用化につなげました。2018年には TTR 四量体安定化薬が野生型 ATTR アミロイドーシス(老人性全 身性アミロイドーシス)に対しても有効であることが証明されました。また,siRNA を用いたアミロイドーシス の遺伝子治療の国際治験にも参加しています。診断に関しては,微量組織を用いたアミロイドーシスの診断法を開 発し,複数の世界初のアミロイドーシスを発見しています。さらに,アミロイドイメージングや血液バイオマー カーを用いたアミロイドーシスの早期診断の研究も行っています。アミロイドーシス以外にも,成人型シトルリン 血症や脳腱黄色腫症の病態解明および新規治療法開発研究を進めています。

2.脊髄小脳変性症の遺伝学的病態探索および臨床研究

神経難病学講座および遺伝子医療研究センターと共同で,遺伝性神経疾患の遺伝学的診断と遺伝カウンセリング に精力的に取り組んでおり,特に遺伝性脊髄小脳変性症においては,フラグメント解析法やサンガー法を用いて 200家系を超える患者さんの遺伝学的診断を実施しています。最近は次世代シークエンサーを導入し,候補遺伝子 を搭載したパネル解析を駆使して病型未同定家系の原因探索を行い,希少病型の同定に成功しています。また,遺 伝性脊髄小脳変性症患者の動作解析やロボティックスーツを用いた新規リハビリテーション研究,自然史研究など の臨床研究を進めています。

3.筋ジストロフィーの病態解明と新規治療法の開発

臨床症状が非常に軽い DMD 遺伝子エクソン45-55欠失を有する筋ジストロフィー患者の病態を明らかにし,患 者から樹立した iPS 細胞を用いて遺伝子治療(エクソン・スキップ治療)開発や心不全の病態解明を目指していま す。また,長野県内の拠点病院と合同で信州 DMD ネットワークを形成し,長野県内の筋ジストロフィー患者の把 握と臨床試験への参加を行っています。

4.臨床神経生理的手法による神経疾患の病態解明

表面筋電図を用いた不随意運動の解析,脊髄反射・経頭蓋磁気刺激を用いたパーキンソン病や痙縮の病態解明,

脳深部電極を用いた大脳基底核の異常神経活動の記録と不随意運動の関連の解析に関する研究を行い,随意運動の 調節機構とその病態生理の解明を目指しています。また,神経伝導検査や細径線維機能評価法などを用いて末梢神 経障害の早期鑑別診断や病態解明を目指しています。

5.難治性膠原病の病態解明および臨床研究

脳神経内科とリウマチ・膠原病内科を専門とする特色を活かし,多発性筋炎・皮膚筋炎,全身性血管炎,肥厚性 硬膜炎,全身性エリテマトーデスの臨床・基礎研究に取り組んでいます。基礎研究としては,病態に関与するリン パ球の動態や細胞内シグナルの研究,制御性T細胞の制御機構障害回復を目指した研究を行っています。臨床研究 としては,全身性エリテマトーデスに関する多施設共同研究に参加し,神経合併症に関する新たなエビデンスの発 信を目指しています。

6.家族性地中海熱の遺伝学的解析および臨床研究

代表的な遺伝性自己炎症疾患である家族性地中海熱の遺伝子解析,臨床研究に取り組んでおり,全国の医療機関 から1,000例を超えるコンサルテーションに対応しています。多数例の解析により,本邦患者の遺伝型と表現型の 関連,地中海地方の患者との症状や変異の違い,発症年齢による臨床像の違いを明らかにしています。また,世界 初となる新規遺伝子変異も発見しています。

信州大学医学部内科学第三教室 関島 良樹

113 No. 2, 2020

信州医誌,68⑵:113,2020

W aʼ w? ―研究室探訪―

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