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時代による中国人歌手の歌声の特徴、及び日本人歌手の歌 声との比較
Characteristics of Chinese singers’ voice by era, and the comparison with Japanese singers’ voice
1W100177-‐4 吴 靓 指導教員 菅野 由弘 教授
WU Liang Prof. KANNO Yoshihiro
概要:本研究は、中国人歌手に着目し、音域と歌声の特徴を抽出して、時代による中国人歌手の歌 声の移り変わり、及び中国人歌手と日本人歌手の歌声に差があるかどうかを探求するものである。本 研究では、1970 年から 2012 年に至るまで、中国で人気がある流行歌を取り上げ、計 253 曲の最高 音・最低音・地声による最高音・曲中の頻度が高かった音域・歌手一人ずつの音域・歌声の特徴につ いて調査し、年代ごとにまとめ、時代による変化を考察している。また、熊崎の研究で扱った日本人歌 手の曲の最高音・最低音・地声による最高音・曲中の頻度が高かった音域のデータを基に、中国人 歌手と日本人歌手の歌声を年代ごとに比較し、考察している。
キーワード:音域、歌声、年代 Keywords: diapason, voice, era
1. はじめに
2000 年代に入り、中国の音楽業界 は競争が激化し、歌手も曲も多様にな ってきた。現代の曲と 70 年代の曲を聞 き比べてみると、曲のジャンルや歌手の 声が、かなり変わっているという印象を 持つ。こうした観点に立って、本研究で は、実際に歌手の歌声が本当に変わっ たかどうかを検証している。また、同様 にアジアに属しており、文化も似ている 中国と日本では、歌手の歌声に差があ るかどうかについても考察している。
研究方法として、各年代に流行した曲、
及び活躍した歌手と彼らの代表曲を選 別し、曲中の最高音、最低音、地声に よる最高音、頻度が高かった音域、及 び歌声の特徴を調べた。また、マン・ホ イットニーの U 検定とボンフェロニー法 を使い、中国人歌手と日本人歌手の音 域の差、及び年代別の中国人歌手の
音域の差を検定した。
2. 中国人歌手の歌声の変遷
女性歌手の音域分布は年代による明 確な変化は見られなかった。ただし、80 年代と 90 年代は 70 年代より音域がや や高く、2000 年代以降になるとまたや や低くなってゆく傾向が見られている。
男性歌手の声の高さは時代による変 化が見られている。その変化は主に 70 年代と各年代の差から出ている。最低 音分布では、70 年代は各年代より低い 傾向がある。最高音分布では 70 年代と 90 年代の比較で、効果量が 0.3329 で、
「中」くらいの差があり、70 年代は 90 年 代より低い。また、70 年代が他の年代と 比べてもより低い傾向がある。さらに、
頻度が高かった音域について、70 年代 は最高 C4〜E4 に集中しているのに対
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し、他の年代はより散らばっており、G4、
A4 まで至ったケースも少なくない。従っ て、全体的には 70 年代の音域は 80 年 代から 2000 年代以降よりやや低いと言 える。
3. 中国人歌手と日本人歌手の歌 声の比較
女性歌手については、70 年代を除い て、中国人女性歌手のほうが日本人女 性歌手より音域がやや広く、多様性が 見られている。その差は主に低音部に 現れており、中国人女性歌手のほうが 日本人女性歌手よりやや低い声が出て いる。一方、70 年代では日本人女性歌 手のほうが音程が広範囲に分布してい る。
男性歌手については、70 年代では、
中国人男性歌手は日本人男性歌手より 音域がやや低い。80 年代になると、中 国人男性歌手は日本人男性歌手より、
音域がやや高くなった。90 年代から 2000 年代以降にかけて、中国人男性 歌手は日本人男性歌手より音域が広 い。
4. 結論
中国女性歌手の音域分布は年代に よる明確な変化は見られなかった。ただ し、80 年代と 90 年代は 70 年代より音域 がやや高くなり、2000 年代以降になると またやや低くなってゆく傾向が見られて いる。また、歌声も柔らかく、伸びやか で、スイートな感じの声から高音部がパ ワフルな声・硬く、金属感がある声に発 展し、最近では浅く、軽い声も出てき た。
それに対し、中国男性歌手の声の高 さは時代による変化が見られている。そ の変化は主に 70 年代と各年代の差か ら出ており、70 年代の音域は他の年代 よりやや低い。また、歌声は柔らかく、
伸びやかな声・朗々とした声から高音 部では勢いと浸透力がある声・金属感
がある声に発展し、最近では浅く、軽い 声も出てきた。
また、中国人歌手と日本人歌手の歌 声に差があることが考察できた。全体的 から見ると、中国人歌手は 70 年代の音 域が日本人歌手よりやや低く、その後 は広くなり、日本人歌手より広範囲にな った。これは 70 年代の中国の流行歌は まだ発展の初期であり、曲のスタイルが 単一だったのに対し、日本では幅広い ジャンルの音楽が生まれ、音域が多種 多様になった事によるものと考えられる。
また、70 年代末から、中国の流行歌の 発展は急激に進み、曲のジャンルも歌 手の表現力も豊富になり、かつ中国人 は高音が好む傾向があるため、高音域 の歌手が増えてきて、音域が広くなっ た。
参考文献:熊崎陽一著 「時代とともに 移り変わる日本人の声」