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平成27年報告書表紙

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(1)

平成 27 年

交通事故死亡事例調査報告書

平成 29 年 11 月

(2)

1

目 次

委員名簿 2 死亡事故事例調査検証部会委員名簿 3 1.はじめに 4 2.調査の目的 4 3.調査方法・内容 5 4.調査用紙 5 5.調査結果 6 6.考 察 15 7.結語と提言 16 8.文 献 17 【PTD または PTD の可能性有りと判定された事例】 18 略 21 資料 1 交通死亡事故事例調査(病院前)のお願い 22 資料2 交通外傷死亡事例調査票(病院前) 23 資料 3 交通事故死亡事例調査のお願い 25 資料 4 交通事故死亡症例調査票(医療機関) 27

(3)

2

千葉県交通事故調査委員会

委員名簿

委員長

千葉大学 名誉教授(行動科学、交通社会学)

鈴木 春男

副委員長

日本大学大学院 名誉教授(交通工学・交通土木工学) 榛澤 芳雄

委 員

日本医科大学千葉北総病院救命救急センター 教授(医学) 益子 邦洋(~H25.3)

松本 尚(H26.4~)

日本大学理工学部 准教授(交通工学)

安井 一彦

交通事故総合分析センター 研究第一課長

西田 泰(H29.5~)

交通事故総合分析センター

研究部主任研究員 木下 義彦

(H29.6~)

警察庁科学警察研究所 交通科学部長

三井 達郎(~H25.3)

田久保 宣晃(H26.4~)

国土交通省関東地方整備局千葉国道事務所交通対策課

課 長

千葉県防災危機管理部消防課

課 長

千葉県健康福祉部高齢者福祉課

課 長

千葉県健康福祉部医療整備課

課 長

千葉県環境生活部生活・交通安全対策課(~H25.3)

千葉県環境生活部生活安全課(~H28.4)

課 長

千葉県環境生活部くらし安全推進課(H28.5~)

課 長

千葉県県土整備部道路環境課

課 長

千葉県教育庁教育振興部学校安全保健課

課 長

千葉市市民局市民自治推進部市民サービス課(~H27.5)

課 長

千葉市市民局市民自治推進部地域安全課(H27.6~)

課 長

東日本高速道路株式会社関東支社千葉管理事務所

管理担当課長

千葉県警察本部交通総務課

課 長

千葉県警察本部交通指導課

課 長

千葉県警察本部交通捜査課

課 長

千葉県警察本部交通規制課

課 長

千葉県警察本部免許課

課 長

(4)

3

千葉県交通事故調査委員会

交通死亡事故事例調査検証部会 委員名簿(H29.4~)

部会長

日本医科大学千葉北総病院救命救急センター長

松本 尚

委 員

千葉大学医学部附属病院救急部・集中治療部教授

織田 成人

千葉県救急医療センター外傷治療科主任医長

嶋村 文彦

成田赤十字病院救命救急センター長

中西 加寿也

旭中央病院救命救急センター長

髙橋 功

国保松戸市立病院救命救急センター長

村田 希吉

君津中央病院救急・集中治療科部長

北村 伸哉

船橋市立医療センター救命救急センター長

境田 康二

亀田総合病院救命救急センター長

不動寺 純明

順天堂大学医学部附属浦安病院救命救急センター長

田中 裕

東千葉メディカルセンター救命救急センター長

渡邉 栄三

東京慈恵会医科大学附属柏病院救命救急センター長

卯津羅 雅彦

日本医科大学千葉北総病院救命救急センター助教

本村 友一

千葉県健康福祉部医療整備課医療体制整備室室長

大野 一美

千葉県防災危機管理部消防課企画指導班班長

村杉 一成

オブザーバー

千葉大学大学院医学研究院法医学教授

岩瀬 博太郎

千葉大学大学院医学研究院法医学医師

本村 あゆみ

日本医科大学千葉北総病院救命救急センター助教

平林 篤志

事務局

千葉県健康福祉部医療整備課医療体制整備室主事

星谷 健太

(5)

4 1. はじめに 千葉県では医工連携による交通事故死者数削減への取り組みとして、平成 14 年から「千葉県交通事故調査委員会」 を組織し、様々な視点から調査研究を行ってきた。平成16 年からは、同委員会の下部組織として「交通死亡事故事例 検証部会」を設置し、交通死亡事故事例を対象に県内 3 次救急医療関係者による死亡事例検証部会(Peer Review) を実施している。 交通事故により負傷した重症外傷患者は、受傷から1時間以内に手術療法などの根本的治療を受けられるか否か によって生死が左右される。それ故、最初に現場到着する救急隊員による適切な重症度評価と搬送先病院の選定、生 命維持に必要な処置、それらを支える消防組織全体の隊活動の是非が、その後の外傷患者の転帰を決定することもし ばしば経験される。これらの活動の質を担保するためには、医師による医学的観点からの検証、再教育、消防組織に 対する意識改革の啓発など、救急業務の高度化を図るためのメディカルコントロール体制の充実もまた不可欠である。 さらに、重症外傷患者が搬送される第三次救急医療機関等における外傷診療の質に施設間格差が存在することは厚 生労働科学特別研究事業からも明らかであり、外傷登録システム等の活用により各施設の診療機能を評価し、外傷診 療を適切な施設が実施できるような方策を講じる必要がある。本報告書は、このような救急医療の立場から交通死亡事

故事例を見直し、千葉県内で発生した交通死亡の防ぎ得た外傷死(Preventable Trauma Death; PTD)(※)の実態を明

らかにすることを通じて、交通死亡事故削減のための救急医療体制ならびに医療機関における外傷診療に対する提 言を行おうとするものである。

なお、本報告書の最後には、平成20 年からの交通事故死亡事例調査以降の PTD または PTD の可能性ありと判定

された症例の発生率についてまとめてあるので、経時的な変化も併せて読み取りいただければ理解が深まるものと思 料している。

※ 防ぎ得た外傷死亡(Preventable Trauma Death: PTD): 外傷患者では、生理学的重症度(Revised Trauma Score: RTS で表わされ

る病院到着時の意識、呼吸数、収縮期血圧から導かれる値)、解剖学的重症度(Injury Severity Score: ISS で表わされる)、年齢か ら一人一人の予測生存率(Probability of Survival: Ps)を算出することができる。このとき、Ps≧0.5 即ち生存する確率が 50%以上 であったにも拘らず死亡に至った症例は「予測外死亡症例(unexpected death)」と定義される。一般的にはこれが PTD とされること が多いが、実際には生死の転帰に至るまでには様々な要因が係わるために数字だけで判定することは困難である。 そこで、複数の医師により死亡事例の診療経過を詳細に検討することによって PTD を判定する同僚審査(Peer Review)が行わ れる。Peer Review において、「適切な時間内に、適切な医療機関へ搬送され、適切な診療を受けることによって、当該事例の死亡 が回避できた」と判断された場合にPTD と判定される。PTD または PTD の可能性有りと判定された場合には、問題点の所在につ き更に検討がなされ、検証によって抽出された課題は地域救急医療体制の改善に向けて活用されることになる。 2. 調査の目的 交通事故死者抑止対策の一つである「救急医療体制の整備」により、更なる交通事故死者の減少を図るため、平成 27 年中の県内における交通事故死者(24 時間以内死亡)180 人について、警察、消防、医療機関合同により、救急隊に よる処置から病院診療に至る「現場処置、搬送、医療機関」等の外傷システム全般について調査・検証を行い、交通事 故による死亡の原因を特定し、受傷から死亡に至る時間経過を医学的に明らかにすることを通じ、救急医療体制の更 なる整備を図ることを目的に本調査を実施した。

(6)

5 3. 調査方法・内容 平成 27 年 1 月 1 日から同年 12 月 31 日の期間で、千葉県内で発生した交通事故により 24 時間内に死亡した人身傷 害者リストに基づき、千葉県警察本部から該当する消防本部へ「交通死亡事故事例調査のお願い」の文書(資料 1)な らびに調査用紙(資料 2)を送付した。調査項目は、現場状況、負傷状況、時間経過、患者接触時の生命徴候(バイタ ルサイン)、病院選定理由等である。また医療機関に対しては、千葉県交通事故調査委員会委員長から各病院長宛て に「交通死亡事故事例調査のお願い」の文書(資料 3)ならびに調査用紙(資料 4)を送付し、メールへ添付または FAX する形で回答書を回収した。調査の内容は、病院到着時の所見、診療経過、診断名、死亡原因等である。 全症例のうち、救急隊が現場到着した時に生命徴候が認められた 75 事例を対象として、救急隊情報と医療機関情 報をもとに、平成 29 年 4 月 20 日に県内 3 次救急医療関係者による死亡事例検証部会(Peer Review)を開催した。 Peer Review に先立ち、患者個人が特定できる情報、取り扱い救急隊名、受け入れ医療機関名などを伏せた形の資 料を事務局で作成し、事後検証に供した。検証部会の進行は部会長により行い、個々の事例毎に担当者から事例の 概要を簡単に説明し、事例毎の死亡に至る経過を全員で検討した。防ぎ得た外傷死亡(Preventable Trauma Death; PTD)の評価に関しては、全員の判定が一致した場合を PTD とし、意見が分かれる場合には PTD の可能性ありとした。 PTD または PTD の可能性ありと判定された場合には、問題の発生場所と判定理由を明らかにした。 死亡事例検証部会で得られた結果を千葉県交通事故調査委員会において報告し、外傷診療体制の質の向上に向 けた課題を整理し、課題の解決に向けて提言を作成した。 4. 調査用紙 A. 病院前調査用紙(救急隊用) 資料 2 に示した。 B. 医療機関用調査用紙 資料 4 に示した。

(7)

6 5. 調査結果 千葉県内の交通死亡事故事例は 180 例であった。東京消防庁管轄事案であった 1 例を除いて、消防本部の回答率は 100%であり、ここから社会死による不搬送 11 例を除いたそれぞれ 168 例の搬送先医療機関は、救命救急センター119 例(71%)であった。残りの症例は 2 次以下の医療機関に搬送されていた。医療機関からの回答率はいずれも 100%であ った。 A. 24 時間内死亡者の概要 (1) 年齢、性別分布 例年の年齢分布は、10~30 歳代と 60~70 歳代にピークを有する 2 峰性のパターンであったが、平成 27 年は 10~30 歳代のピークが消失し、この数年の傾向がさらに進んでいた。に比べると若年者のピークは低くなってい た。また、71~80 歳代にピークが集中していた。(図 1)。 男女比は例年通り男性が 70%程度を占めていた(図 2)。 図 1 図 2 (2) 受傷機転 歩行者が約 40%で大きな変化はないが、四輪車乗員が約 25%とこの数年でやや増加傾向、バイク乗員はこの 数年低下傾向にある(平成 25 年 19%、平成 26 年 18%)、一方で自転車乗員はこの 3 年間は 16%程度の横 ばいである(図 3)。 図 3

年齢分布(177例)

0 9 16 16 18 20 25 51 22 3 0 10 20 30 40 50 60 中央値67歳 平成27年

性別分布(179例)

120 67% 59 33% 男性 女性 平成27年

受傷機転

72 40% 46 26% 24 14% 31 17% 4 2% 2 1% 歩行者 四輪車乗員 バイク乗員 自転車乗員 その他 不明 平成27年

(8)

7 (3) 受傷機転別死亡事例の年齢層別分布 ① 歩行者 歩行者の中央値は 72 歳であり 71~80 歳台が最多を占めた(図 4)。これは平成 25 年、26 年と変化はな かった。 ② 四輪車乗員 四輪車乗員の中央値は 52.5 歳であったが、概ね全年齢層に分布していた(図 5)。 図 4 図 5 ③ バイク乗員 バイク乗員は中央値は 41.5 歳で 40 歳代にピークを認める分布であった(図 6)。 ④ 自転車乗員 自転車乗員は 70 歳代から急激に増加しており、平成 25 年、26 年が 70 歳代から増加していたのに比べ るとピークが後ろに移動していた(図 7)。 図 6 図 7

歩行者死亡

年齢分布(72例)

0 1 5 4 6 5 12 26 11 2 0 5 10 15 20 25 30 中央値72歳 平成27年

四輪車死亡

年齢分布(46例)

0 5 3 8 4 9 5 9 3 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 中央値52.5歳 平成27年

バイク死亡

年齢分布(24例)

0 3 5 3 6 4 2 1 0 0 0 1 2 3 4 5 6 7 中央値41.5歳 平成27年

自転車死亡

年齢分布(31例)

0 0 2 1 2 2 3 12 8 1 0 2 4 6 8 10 12 14 中央値73歳 平成27年

(9)

8 (4) 心肺停止の状況 救急隊到着時既に心肺停止状態(CPA)であったのは 104 例(58%)で、うち 11 例は現場で社会死状態のため 不搬送となった。 現場で何らかの生命徴候を有していたのは75 例(42%)、平成 25 年 81 例(44%)、平成 26 年 70 例(38%) と比べて大きな変化はみられなかった。救急搬送中に心停止に陥ったのは、平成 25 年の 64 例(34%)、平成 26 年の 56 例(31%)に対して、平成 27 年は 60 例(34%)と変化はみられなかった。(図 8)。 図8 (5) 死亡原因 死亡原因は、出血(34%)、脳損傷(40%)で全体の 4 分の 3 を占め、高位頸髄損傷と呼吸不全がこれに続いて いた(図9)。これは例年の傾向と変化が無かった。 図9

心停止に至ったフェーズ

11 93 15 60 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 社会死 救急隊接触時 救急搬送中 病院 平成27年 58%

42%

死因

(のべ)

179例

70 34% 82 40% 10 5% 10 5% 9 4% 1 1% 7 3% 0 0% 0 0% 5 2% 13 6% 1出血 2脳損傷 3高位頚髄損傷 4呼吸不全 5心タンポナーデ 6脳死 7ショック遷延 8多臓器不全 9既存疾患 10その他 11不明 平成27年

(10)

9 B. 病院前救護 (1) 全 179 例の病院前救護に要した時間 ① 事故発生から消防覚知(119 番通報)までの時間は、中央値 2 分で 0~10 分までがほとんどを占め、平成 26 年と大きな変化は無かった(図 10)。 ② 119 通報から患者接触までの時間(レスポンスタイム)は、中央値 10 分で 6~10 分の事例がもっとも多くを 占め、平成 26 年と大きな変化は無かった(図 11)。 図 10 図 11 ③ 救急隊の患者接触から現場出発までの時間(現場活動時間)は平成 26 年同様、中央値が 12 分で 6~15 分の事例が多くを占めた(図 12)。 ④ 現場出発から病院に到着して医師の治療が開始されるまでの時間(搬送時間)分布は、中央値が 14 分 で、平成 26 年よりも 16~20 分の事例がやや増加していた。(図 13)。 図 12 図 13

時間経過

①事故発生~消防覚知 11 53 30 29 12 9 21 4 2 2 0 4 0 10 20 30 40 50 60 中央値 2分 177例 平成27年 発生時刻不明2例

時間経過

②消防覚知~救急隊接触 (レスポンスタイム) 8 96 53 12 4 1 5 0 20 40 60 80 100 120 0~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~30 31~ 中央値 10分 平成27年 179例

時間経過

③救急隊接触~現場出発 (現場活動時間) 12 55 50 23 13 8 8 11 0 10 20 30 40 50 60 0~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~30 31~ 社会死 中央値 12分 平成27年 179例

時間経過

④現場出発~医師接触 (搬送時間) 18 37 40 30 19 7 8 1 5 3 11 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 中央値 14分 平成27年 179例

(11)

10 ⑤ 交通事故が発生してから、医師の治療が開始されるまでの時間(①+②+③+④)は中央値で 42 分であ り、平成 26 年の 40 分よりもやや延長していた(図 14)。 図 14(左:平成 27 年、右:平成 26 年) (2) 救急隊接触時に生命徴候を認めた症例の病院前救護時間 救急隊接触時に生命徴候を認めた事例は 75 例で、全死亡者に占める割合は 42%であった(図 15)。平成 24 年、25 年、26 年はそれぞれ 34%、44%、38%であり、この 4 年間ではほぼ横ばいであった。 図 15 ① 事故発生から消防覚知(119 番通報)までの時間は 80%以上が 5 分以内であったが、6 分以上を要した事 例は 8 例(11%)に認められたが過去 3 年と比較して減少傾向にある(図 16)。 ② 119 通報から患者接触までの時間(レスポンスタイム)のピークはいずれも 6~10 分で、10 分を超える事例は 28 例(37%)であった。過去 3 年と比較して 30 数%と変化がみられていない(図 17)。

時間経過

①+②+③+④:事故発生~医師接触 0 5 32 40 40 18 26 2 5 11 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 中央値 42分 平成27年 179例

時間経過

①+②+③+④:事故発生~医師接触 0 10 20 30 40 50 60 中央値 40分 平成26年 182例

救急隊接触時に生命徴候を認めた事例

(peer reviw対象)

75例

11 93 15 60 0 50 100 150 200 社会死 EMS接触時 救急搬送中 病院 75例 平成27年 心停止に至った フェーズ

(12)

11 図 16 図 17 ③ 救急隊の患者接触から現場出発までの時間(現場活動時間)の中央値は 13 分で、21 分を超えた事例が 16 例(21%)であった(図 18)。 ④ 現場出発から病院に到着して医師の治療が開始されるまでの時間(搬送時間)は中央値は 15 分、ピーク は6~10 分と 11~15 分であった。16 分を超える事例は平成 24 年 21 例(35%)、25 年 32 例(40%)、26 年 31 例(44%)に対して 38 例(51%)と過去 4 年間で上昇傾向が明確であった(図 19)。 図18 図 19 ⑤ 交通事故が発生してから医師が接触して治療 が開始されるまでの時間(①+②+③+④) は中央値で 43 分と平成 25 年と同じであった が、過去 3 年間はヒストグラムの右方移動がみ られ、医師接触までの時間が延長している可 能性が伺える(図 20,21)。60 分を超える事例 は 14 例(19%)でこの数年は減少していない。 図 20

時間経過

①事故発生~消防覚知 67 7 0 0 1 0 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~ 中央値 2分 平成27年 75例 8例(10.7%)

時間経過

②消防覚知~救急隊接触 (レスポンスタイム) 3 45 20 6 1 1 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 0~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~ 中央値 9分 平成27年 75例 28例(37%)

時間経過

③EMS接触~現場出発 (現場活動時間) 3 21 26 9 9 6 1 0 5 10 15 20 25 30 0~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~30 31~ 中央値 13分 平成27年 75例 16例(21%)

時間経過

④現場出発~医師接触 (搬送時間) 5 16 16 15 9 4 4 0 3 3 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 0~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~30 31~35 36~40 41~90 91~ 中央値 15分 平成27年 75例 38例(51%)

時間経過

①+②+③+④:事故発生~医師接触 0 2 12 18 18 11 10 1 3 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0~10 11~20 21~30 31~40 41~50 51~60 61~90 91~120 121~ 中央値 43分 平成27年 75例 14例(19%)

(13)

12 図 21 以上を整理すると、事故発生から医師の患者接触までは概ね 45 分程度を要していることがわかる(図 22)。この 数字はこの 3 年間でほとんど変化はみられていない。 図 22 C. ISS, RTS, Ps の検討 1) 解剖学的重症度(ISS) ISS は、平成 24 年は 21~25 の群が 18 例と多か った。ISS が 15 を超える重症外傷例は 62 例 (83%)を占めていた。 一方、ISS15 以下で死亡した症例は 13 例あり、 平成 25 年の 14 例、26 年の 10 例とこの 3 年間、 減少傾向がみられていない(図 23)。 図 23

時間経過

①+②+③+④:事故発生~医師接触 0 1 11 30 17 10 9 1 2 0 5 10 15 20 25 30 35 0~10 11~20 21~30 31~40 41~50 51~60 61~90 91~120 121~ 平均45分46秒 平成25年 81例 13例(16%)

時間経過

①+②+③+④:事故発生~医師接触 0 2 8 17 20 9 7 3 4 0 5 10 15 20 25 0~10 11~20 21~30 31~40 41~50 51~60 61~90 91~120 121~ 中央値 43分 平成26年 70例 14例(20%)

事故発 生 覚知

救急隊 接触

現場出 発 医師診 療

時間経過 (中央値)

(救急隊接触時に生命徴候を認めた75例) 救命 術 2分 9分 13分 15分 43分* 平成27年 *①+②+③+④の中央値で、それぞれの中央値の合計とは必ずしも一致しない

解剖学的重症度(ISS)分布 全75例

5 3 5 12 18 8 6 3 10 1 0 2 0 0 2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0-5 -10 -15 -20 -25 -30 -35 -40 -45 -50 -55 -60 -65 -70 -75 62例(83%) 平成27年

(14)

13 2) 生理学的重症度(RTS) RTS が 7 未満の重症例が平成 25 年で 63 例(84%)を占めた。一方、RTS がフルスコアの事例が 8 例(11%)も 存在した(図 24)。 病院到着後、医師が接触した時の RTS の平均は 3.49 であり、心肺停止を示す RTS が 0 の事例は 19 例 (25%)であった。これらの症例は救急隊接触時には生命徴候を有していたが現場または搬送中に心肺停止に 陥ったものである。RTS が 7 以上の 6 例は、意識、呼吸、血圧といった生理学的徴候が良好であった群で、病 院到着時における良好な生理学的徴候が必ずしも良好な転帰を保証するものでないことを示している(図 25)。 図 24 図 25 医師の治療開始時点の平均 RTS は、救急隊が現場で 患者に接触したときの平均 RTS よりも有意に低下し、これ までにもみられたように、対象症例の生理学的状態は救 急 隊 の 現 場 活 動 中 ま た は 搬 送 中 に 悪 化 し て い た (p=0.015)(図 26)。 図 26 3) 予測生存率(Ps) ISS と RTS から算出される予測生存率(Ps)を、救急隊接触時と病院到着時で比較検討した。 救急隊接触時の Ps のうち、33 例、全体の 44%は Ps が 0.3 以下、即ち、予測生存率 30%以下の症例であっ た。50%までの 38 例(51%)は救命することがかなり困難な群である一方で、70%以上の症例は 23 例(31%)存 在していた(図 27)。医師診療開始時の Ps のうち、最も多かったのは救命確率 10%以下の群(25 例)であり、そ の他のカテゴリーはすべて 10 例以下であった。(図 28)。

生理学的重症度(RTS)分布

[医師接触時] 75例

19 2 5 5 3 15 14 6 2 4 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0 <1.00 <2.00 <3.00 <4.00 <5.00 <6.00 <7.00 <7.84 7.84 平成27年

(15)

14 図 27 図 28 救急隊の現場活動中または搬送中に予測生存率は 10 ポイント低下していた(p=0.033)(図 29)。 図 29 D. 死亡事例検証部会の検討結果 死亡事例検証部会において、救急隊の現場到着時に生 命徴候が認められた症例に対して Peer Review を行った 結果、平成 27 年は救命困難が 57 例(76%)、判定不能 1 例(1%)、防ぎ得た死亡(PTD)が 7 例(9%)、PTD の可能 性有りが 10 例(13%)と判定された(図 30)。 したがって、PTD または PTD の可能性有り(以下、 「PTD または PTD 疑い」とする)の割合は、平成 27 年の交 通事故死亡 179 例の 9%、救急隊現場到着時に生命徴 候を有した事例の23%(17/75)であった。 図30

予測生存率(Ps)分布

[EMS接触時] 75例

11 9 13 4 1 9 5 5 8 10 0 2 4 6 8 10 12 14 -0.1 -0.2 -0.3 -0.4 -0.5 -0.6 -0.7 -0.8 -0.9 -1 平成27年

予測生存率(Ps)分布

[医師接触時] 75例

25 7 7 6 2 4 6 6 7 5 0 5 10 15 20 25 30 -0.1 -0.2 -0.3 -0.4 -0.5 -0.6 -0.7 -0.8 -0.9 -1 平成27年 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

予測生存率(Ps)の変化

EMS接触時→医師診療時 75例

P=0.033 医師接触時 平成27年 EMS接触時 0.371±0.332 0.467±0.319

Peer review 結果 全75例

7 9% 10 13% 1 2% PTD PTDの可能性あり 救命不能 判定不能 PTD

7

例 + PTD可能性あり

10

例=

17

例 17/75 =

22.7

%

(16)

15 死亡事例検証部会でPTD または PTD 疑いと判定された 17 例について、問題発生場所を検討した結果、病院前が 17 例中 7 例(41%)、初療室が 17 例中 12 例(71%)であった(図 31)。 図31 E. PTD または PTD 疑い事例の年次推移 平成20 年の交通事故死亡事例調査以降では、全交通死亡事故事例中の PTD または PTD 疑い事例の率は、この 7 年間を通してみるとほぼ横ばいである。救急隊現場到着時に生命徴候を有した事例を対象として PTD または PTD 疑い事例の率をみても、平成 20 年から 21 年にかけては減少したものの、以後の 5 年間ではやや横ばい、この 3 年 間に限ってみると微増傾向となっている(図 32)。 図 32 6. 考 察 平成 27 年 1 月 1 日からの 1 年間に千葉県内で発生した交通事故による 24 時間死者数は 180 名であった。千葉県警察 本部から提供されたこれらの死亡事例リストに基づき、消防機関と受け入れ病院にアンケート調査を行った。受傷から死 亡に至る経過のデータをもとに、死亡事故事例検証部会において Peer Review を行い、病院前救護から医療機関内の診 療に至る間の問題点を検討し、防ぎ得た外傷死亡(Preventable Trauma Death: PTD)の有無について検討した。

PTD 7例

問題点(のべ)

2 2 2 7 0 3 3 2 3 0 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

PTDの可能性あり 10例

問題点(のべ)

5 4 1 5 0 4 4 1 0 0 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 10 20 30 40 50 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 生命徴候(+)例 全死亡例

PTDまたはPTD疑い事例の年次推移

41 18 26 29 19 20 23 23 12 8 11 11 6 9 9 9

(17)

16 180 例のうち東京消防庁管轄事案であった 1 例を除いた 179 例を対象とした平成 27 年の千葉県交通死亡事故事例 における PTD または PTD 疑い事例の発生率(以下、PTD 率)は 9%、救急隊接触時に生命徴候を認めた 75 例を分母と したときの PTD 率は 23%と言う結果であった。 平成20 年からの 8 年間の推移をみると1-6)、死亡者の属性、年齢分布、受傷機転、二大原因(出血と脳損傷)の割合、 救急隊接触時に生命徴候を認めた症例数などには大きな変化はかった。このような背景の下で、図32 が示す通り、過去 8 年間の全交通死亡事故事例中の PTD 率、救急隊現場到着時に生命徴候を有した事例を対象とした PTD 率は、平成 21 年以降はそれぞれ 23%、9%とまったく変化がみられていない。この間、救急隊員への病院前外傷教育プログラム (JPTEC)や外傷診療に係わる医師への初期外傷診療ガイドライン(JATEC)の普及は継続的に行われており、またこの間 のドクターヘリの出動は 67%増であったことを考えると、外傷診療に関係するインフラ、ソフトウェアの不備が PTD 率不変 の原因であるとは考えにくい。問題発生場所の検討からは、平成 27 年は病院前の「病院選定に問題あり」と判定された事 例が 6 例もあり救急隊にも課題が残されているものの、病院内での初療時におけるショック対策や治療方針の決定に問 題有りとされた事例が目立っており、医療機関側の課題克服が PTD 率減少のための要諦であると推察された。 右図は、11 の救命救急センター(A~K)と二次医療 機関全体(P)ごとの過去 8 年間の PTD 率をまとめたもの である(註 1)。救命救急センターであっても PTD の発生 率には大きなバラツキがあることが明確である。8 年間で 100 件を超す死亡事例を扱った救命救急センターは 3 箇所(A、C、H)、それらの施設の PTD 率は 3%、12%、 12%と低値であり、経験症例数の多寡と PTD の発生率 には一定の関係性が読み取れる。また、二次医療機関 への搬送は PTD 率を高める可能性が高いことも明らか であろう。 (註 1:現時点で千葉県内には 13 の救命救急センターがあるが、近年指 定された 2 施設は症例数が少ないためこの比較検討からは除外している) 重症外傷はそれを専門に治療する「外傷センター」(註 2)へ搬送さ れれば、死亡率は 25%削減できると言われており 7)、上記の結果を踏 まえれば、千葉県もこれ以上の交通事故死亡を減少させようとするなら ば、一刻も早く「外傷センター」の設置を行い、症例を集約することが求 められる。事実、わが国でも豊富な症例数は良好な治療成績をもたら すことが示されている8)。米国や英国では人口200 万人に 1 箇所の外 傷センターが設置されており9-11)、わが国では横浜市がこれに倣って2 つの医療機関が外傷センターとなっている12)。人口640 万人の千葉県 であれば 3 箇所の外傷センターが設置されるべきであり、右図が示す A、C、H の施設であれば千葉県の地勢的な状況にも合致し、理想的な 外傷診療体制の確立が期待できる。 (註 2:外傷センターの定義については日本外傷学会が提言をしており 13,14)、これまで十分 な議論が交わされてきたところである) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 A B C D E F G H I J K P Case/% 12% 千葉県内救命救急センターにおけるPTD 千葉県交通死亡事故事例調査委員会報告 12% 3%

Total trauma death Preventable trauma death (%) SOL(+) before EMT arrival

A

C

(18)

17 7. 結語と提言 (1) 平成27 年の PTD または PTD 疑い事例の発生率は、年間の交通事故死亡例では 9%、救急隊現場到着時に 生命徴候を有した事例に限ると23%であったが、平成 21 年以降の 7 年間で PTD または PTD 疑い事例の発 生率の低下はまったく認められていない。 (2) 県内救命救急センターの過去 8 年間の PTD または PTD 疑い事例の発生率には施設間格差が顕著である。 (3) これまでのデータから千葉県内に3 箇所の外傷センター(A、C、H)を設置すべきである。 8. 文 献 1) 千葉県交通事故調査委員会:平成 20 年交通事故死亡事例調査報告書. 2010 年 2 月. 2) 千葉県交通事故調査委員会:平成 21 年交通事故死亡事例調査報告書. 2011 年 4 月. 3) 千葉県交通事故調査委員会:平成 22 年交通事故死亡事例調査報告書. 2012 年 8 月. 4) 千葉県交通事故調査委員会:平成 23 年交通事故死亡事例調査報告書. 2013 年 11 月. 5) 千葉県交通事故調査委員会:平成 24 年交通事故死亡事例調査報告書. 2014 年 12 月. 6) 千葉県交通事故調査委員会:平成 25-26 年交通事故死亡事例調査報告書. 2016 年 11 月.

7) Hondo K, Shiraishi A, Fujie S, et al: In-hospital trauma mortality has decreased in Japan possibly due to trauma education. J Am Coll Surg 2013; 217: 850-857.

8) Matsumoto H, et al: Impact of urgent resuscitative surgery for life-threatening torso trauma. Surg Today 2017; 47: 827-835.

9) The Royal College of Surgeons of England. Regional Trauma Systems: Interim guidance for commissioners. 2009. RCSENG-Professional Standards and Regulation. https://www.rcseng.ac.uk/library-and-publications/college-publications/docs/regional-trauma-systems-interim-guidance-for-commissioners/(Accessed Jan.10.2017).

10) Branas CC, MacKenzie EJ, Williams JC, et al: Access to trauma centers in the United States. JAMA 2005; 293: 2626-2633. 11) MacKenzie EJ, Hoyt DB, Sacra JC, et al: National inventory of hospital trauma centers. JAMA 2003; 289: 1515-1522. 12) 森村尚登, 他: 横浜市重症外傷センターの開設経緯と現況. 日外傷会誌 2017; 31: 79-86.

13) 日本における外傷性センター整備のあり方に関する提言-第 24 回日本外傷学会学術会 シンポジウムの討議から-. 日外傷会誌 2010; 24: 445-446.

14) 松本 尚, 松下 隆: 第 30 回日本外傷学会総会・学術集会パネルディスカッション1 「わが国における外傷センターとは?」総括報告.

参照

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