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支援の場の 起爆力

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Academic year: 2021

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Field+ 2012 01 no.7

 『支援のフィールドワーク』と名 付けられたこの本は、「支援につい てフィールドワークで研究した本」

ではない。支援なのかフィールド ワークなのかわからない渾然一体と なった現場からの報告、である。海 外での開発援助、平和支援、日本で の福祉の現場、とそれぞれの現場は バラバラで、しかし、つながってい る。それぞれの現場から、他の現場 も意識しつつ、ダイナミックなプロ セスとしての「支援」、そして「フィー ルドワーク」が語られる。

 なぜ調査と支援が渾然一体として いるのか。なぜ渾然一体となったと ころに著者たちは注目するのか。そ こには、支援が専門化・制度化して いったという背景があるように思 う。福祉の現場におけるケアや支援 も、開発協力における支援も、質量 ともに近年大きな進展を見せてい る。大きくなればなるだけ当然制度 化が進み、また、専門化が進む。し かし制度化や専門化が進むと、逆に そこからこぼれ落ちるものの大きさ に私たちは気がつく。

 この本の著者たちは、さまざまな 支援の現場に専門家として、あるい は研究者として入り込み、あるいは 巻き込まれ、試行錯誤を繰り返す。

支援の現場にあるのは、「玉虫色の ように意味が変わり続ける行為の数 かず」(p. 6)であり、「多層的な関 係者の背景、価値観や、ひとつの場 面に対して複数の解釈が混在する状 況」(p. 59)である。これはたまた ま著者たちがそういう状況に遭遇し た、というものではない。現場はい つもそうなのだ。私たち一人ひとり は、自分の現場でそうした場の多面 性や意味のダイナミズムと向き合い ながら生きている。生き延びるすべ を身につけている。しかし、よそか ら来る研究者や支援者は最初、その 多面性に気がつかない。「研究」だ、

「支援」だ、と来るアウトサイダーは、

意味がころころ変わる現場で大きく とまどい、そして必ずと言っていい ほど、自分は専門家なのか、支援者 なのか、研究者なのか、一人の市民 なのか、といった「自分は誰なのか」

問題に襲われる。

支援の場の 起爆力

研究者 の本棚

宮内泰介

みやうち たいすけ / 北海道大学

調査研究するということと支援活動をするということ。

この一見別モノの二つが、実は現場では渾然一体としている、

あるいは、渾然一体としているところにこそ 宝がある、とこの本は静かに語る。

 しかし、なかなかにしぶといア ウトサイダー(本書の著者たちが そうだ)はそのうち気がつく。そ ういう問いが発せられるようなプ ロセスこそ大事なのだと。そのよ うなことがダイナミックに変化し ていく場こそが重要なのだと。

 もっと言えば、現実が一つの意 味に集約されないで、多面的な意 味が豊かに生みだされる場こそが 大事であり、そうした場が設定さ れることが大事なのだ。「私が出 会った支援の場の複雑性は、それ らの事象が個人の人間関係のなか で再構築される可塑性に富むもの で(中略)その場にいる一人ひとり が、現実構築のリソースになって いく可能性をもっている」(p. 75)。

「大事なのは完成したモデルではな く、完成までの道のりにどのよう な紆余曲折があり、プロセスがあ り、涙を流した者がいたかという ことを参照できるようにすること」

(p. 120)。「先々で遭遇する『場』で、

相手を深く知り、人びとが新しい関 係へとひらかれていく。(中略)こ のような連続性のなかで『支援』と いう言葉が変わるときがある。そこ から、より深い『支援』が始まるの である」(pp. 180-181)。支援が「ダ イナミックな場」であることで、そ こに豊かな意味が生まれ、より深い かかわりと支援が生まれる。この本 が言いたかったことの核心がここに ある。

 よくできた本であり、かつ、読み やすく、またそれぞれの著者が描く エピソード(その多くは著者たち自 身のとまどいが吐露されている)が 単純におもしろい。ぜひご一読を。

現場は多義的

場を設けることで支援が深まる

小國和子・亀井伸孝・飯嶋秀治

『支援のフィールドワーク

——開発と福祉の現場から 』

(世界思想社、2011 年)

参照

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