経済協力の法的機構をめ
一企業法︑ ぐる問題 資本法の側面を中心として一
池
島 宏
幸
経済協力の法的機構をめぐる問題
はじめに
一.日本の経済と経済協力
2.アメリカに対する日本の経済協力
3.外資導入などの主要形態と関係法
4.日本経済に基盤固める外資系企業の実態
5.国際化の進展と中小企業
6.独占禁止と国際協力
7.日本の発展途上国に対する経済協力
8.貿易の振興と経済協力の推進のための税制措置
はじめに
一九七〇年をまえに︑戦後の資本主義の新展開が注目されねぽならない︒
第二次大戦後のIMF体制︵GAT︶によって︑アメリカを中心とする新たな資本主義世界体制の再編成が進行し
てきたが︑一九六〇年︵昭三五︶以降︑政治的︵あるいは軍事的︶には︑新安保体制の確立を契機として︑経済的に
は︑開放体制︵OECD︶への移行による日本資本主義の体質転換と︑これをささえる企業︵産業企業︑商業企業︑
111
金融企業などなど︶の国際化︑﹁国際競争力強化﹂︑さらに貿易・為替管理の自由化から資本取引の自由化が新展開し
てきている︒一九六〇年初頭までの旺盛な成長と急速な発展によって︑いわゆる戦後復興が完全に一段落をつげて︑
それ以後︑本格的展開をみせ︑国内的にも︑国際的にも︑新しい形態と地位とを要求して︑ここに一つの転換期をむ
かえている︒
敗戦による占領の後期︑一九五二年︵昭二七︶﹁日本国との平和条約﹂︵いわゆるサンフランシスコ平和条約︶︑﹁日
本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約﹂︵安保条約︶による占領体制の終結︑そして安保.新安
保体制の展開に対応して︑﹁戦後現代商法11企業法杁資本法の体系﹂が成立し︑それ以後︑数次の大小の改正による
段階的展開をへて︑資本集中の国家的形態と機構ともあいまって︑高度に発展しつつあった生産力の要求にこたえて
きた︵池島﹁現代商法における企業と資本の法的構造﹂法律時報三八巻一号六一頁以下︶︒
本稿では︑近時の世界的ないし対アメリカ的経済協力体制のもとにおける経済の展開とその一環をささ︑兄ている
﹁企業をめぐる法﹂のメカニズムと機能の分析のために︑安保条約第二条を中心として考察し︑﹁法︵国家と政治︶
と経済と企業﹂の騒ξいて・現在考えられる法的枠ぐみを難してみたい.したが・て︑本稿での問題点の充分
な法的検討は︑後日の機会をもちたいと考えている︒︵なお︑時期的な関係などから︑内容的に法律時報臨時増刊﹁安
保条約−その批判的検討﹂一三二頁以下︵池島担当︶と重複する部分があることをおことわりしておきたい︒︶
︵注︶ここで一応の大わくをしるしておくと左のようになるであろう︒
○﹁経済と企業と法﹂の体系
ω独占禁止法
②下請代金支払遅延等防止法
③不当景晶類及び不当表示防止法︑公正競争規約
112
経済協力の法的機構をめぐる問題
㈲国家行政組織法など
㈲独禁法適用除外法一中小企業団体など︑輸出入︑製造業︑鉱業︑商業.サービス業︑金融・保険︑運輸・倉庫など︑農林水
産業など関係法︒一無体財産権︵ノウ・ハウ︶関係法︒1経済団体・特殊会社関係法︒1会社更生法など︒
⑥行政事件訴訟法など手続法令
ω独禁法以外の経済関係法
①消費者保護基本法
②中小企業基本法︑中小企業近代化促進法
③外資法など輸出入関係法
④石油業法など製造業関係法
⑤百貨店法︑割賦販売法︑金融機関の合併及び転換に関する法律など商業・サービス業・金融業関係法
⑥内航海運業法︑日本航空株式会社法︑建設業法︑国際電電株式会社法など運輸・建設・電気関係法
⑦農業基本法︑農産物価格安定法など農林水産業関係法
⑧計量法︑家庭用品品質表示法︑宅地建物取引業法︑不正競争防止法など計量・表示広告・不正競争防止関係法
⑨物価統制令など物価統制関係法
⑩食品衛生法︑薬事法︑公衆浴場法︑義務教育権学校の教科用図書の無償措置に関する法律など保健・衛生・教育関係法
⑪政府契約の支払遅延防止等に関する法律︑商工会議所法︑商工会の組織等に関する法律
⑧経済関係国際条約
⑨国税通則法︑租税特別措置法などの税法制
・1
日本の経済と経済協力
いわゆる﹁日米経済協力﹂の促進についての安保条約第二条は︑この安保条約がただの軍事同盟についてのものだ
けでなく・日米独占資本の経済的同盟をもふくむ条約であ・て・両国の経済的基馨なすものである﹂とが明らかに塒
されているといえよう︒このような日米間の経済的同盟であるいわゆる﹁日米経済協力﹂が︑条約の条文上明確な形
で︑宣言されたのは︑新安保条約であるが︑その意味するところは︑いわゆる旧安保以来からの具体的な事実関係の
継承の確認とその後の指針をさししめすものといえよう︒
それは︑経済的側面における日本の貿易・為替の自由化とさらに資本の自由化という﹁日米経済協力﹂という名の
もとでの︑いわゆる自由主義国家群島での新しい参加形態の展開の方向をしめすものとなっている︒
安保条約によってしめされる日本の権力機構とその経済的基礎との相互関係は︑現代日本の国家独占資本主義その
ものであろう︒今世紀初頭からのアメリカ経済の世界支配体制の現在における崩壊と再編成の過程との連関なしに
は︑これを特徴づけられないであろう︒戦後日本の独占復活政策と﹁防衛力︑対外援助肩代り﹂政策との結合︑展開
における﹁福祉国家﹂とか︑﹁高度経済成長﹂とか︑という立場から︑国家の経済への介入が全面的・全機構的にな
されている︒この介入を促進するイデオロギーとして︑﹁国民経済の合理化﹂と﹁軍事化﹂とが︑相互規定関係にな
っている︵池上淳・日本の国家独占資本主義一四ページ以下︶︒
アメリカの﹁肩代り﹂政策は︑展開して︑商品輸出の拡大のための﹁貿易為替の自由化﹂︑販売した技術が外国企
業の競争力の強化の規制のために︑技術提供には︑かならず﹁資本参加﹂を要求する﹁資本の自由化﹂をおしすすめ
ている︒それは︑経済的基礎と同盟関係の強化のための﹁経済統合﹂を具体化する︒
集団安保体制は︑このように必然化された経済過程の法的表現として存在し︑﹁太平洋の力﹂を﹁大西洋グループ﹂
ヘ ヘ へにむすびつけるかなめとなっている︒安保第二条の日米経済協力の促進は︑日本の従属的な形態において︑政治的.
経済的なむすびつきの強化と軍事的協力関係とを︑タテの両面として︑その性格をますますあらわにしている︒
日米経済協力の当面の具体的内容は︑日本の﹁自由化﹂の問題である︒まずω﹁自由化﹂は︑自由主義陣営内の国
11直
経済協力の法的機構をめぐる問題
指間の国際的法権関係のもつ基本的動向の一環にリンクざれるために︑日本で更新され︑進行している︑吻日本にと
っての﹁自由化﹂は事実上アメリカ一国にたいするそれであり︑結果するものは︑︵形式的にはすべての国との経済
的な交流の拡充であるが︶実質的には︑アメリカとの経済的結合の強化という新たな﹁日米経済協力﹂の拡充を帰結
する︑㈲戦後復興の一段落した日本の独占資本の新たな本格的展開との本質的矛盾なく︑どのように国内.国外市場
の問題に対応して︑アメリカへの従属・依存の大前提がどのようにからむかなどの諸問題がよこたわっている︒日本
の工業力︑技術︑金融のトータルな後進性は︑影のごとくつきまとう︒
たしかに︑日本の自由化︑IMF八条国への移行︑ODCDへの加盟などは︑形式的には︑日本の﹁世界の大国へ
の仲間入り﹂を意味しているかもしれない︒しかし︑日本の基本的な従属とそのもとでの諸条件下では︑その実質的
実体は︑日本の新たな経済的従属︒依存の発展物とならざるをえない︒
﹁日米合同第三国計画に関する日米間の取極め︵一九六〇・三・二三︶﹂とか︑第二条により︑﹁日米対等﹂のかけ
こえのもと︑一九六三年︵昭三八︶設置された﹁日米貿易経済合同委員会﹂などによる日本側の﹁自主規制﹂と︑ア
メリカの﹁パイ・アメリカン﹂﹁シップ・アメリカン﹂﹁ドル防衛﹂政策などと︑日本の自由化は︑さまざまな制約を
のこしながら︑急速にすすんでいるが︑これと正比例的に︑アメリカの対日経済の影響・浸透が全面的かつ全機構的
な形でなされている︒
このような自由化段階での︑経済協力の問題について︑つぎのような各々の側面について︑法的メカニズムが存在
しているかどうか︑明確なかたちで︑その現状を分析するのは︑きわめてむずかしいようであるが︑できるだけ特徴
的にとりあげてみよう︒まず国際間の側面と国内的側面とにわけ︑とくに日米間の経済協力を中心にすえて︑日・ヨ
ーロッパ問題と日・後進国問題︵東西問題と南北問題︶が︑当然関連をもってでてくる︒現代日本のナショナル・イ
ソタレストとインターナショナル・インタレストの調整において︑安保第二条の経済協力は︑ふといパイプとなって︑
OECDなどによる西欧先進国間経済政策との協調の再編成にもとつく︑東西関係の緊密化と南北問題の着実な前進
というトーンによるパリエイションの方向の進展がのぞめる︵一九六八年通商白書総論二七ページ以下︶︒
2.
アメリカに対する日本の経済協力
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日米両国間の﹁国際経済政策における食違いの除去﹂﹁経済的協力の促進﹂とは︑日米間の貿易上の問題の解消と
ともに︑アメリカ資本の導入︑技術提携︑さらに低開発地域いわゆる発展途上国援助などによる国際的な経済協力の
範囲にまでおよぶもので︑日本の経済協力の範囲にまでおよぶもので︑日本の経済的発展に大いに関連をもつもので
ある︒ 従来から︑ω外資導入とくに米資導入︑ω技術導入︑鋤貿易のそれぞれの側面での日米従属的同盟関係のもとで
の︑アメリカの高度の工業力︑原材料︑技術の独占を背景とする資本の支配と日本の低賃金との結合は︑﹁産業合理化﹂
のてことして機能し︑日本の国家資金を動員して︑日本資本主義は世界一の﹁高度成長﹂を達成した︒なかでも重化
学工業化は顕著である︒しかし︑その底辺には農業問題︑中小企業の下請・系列制への再編成などによって︑工業と
農業の不均等発展︑生産と消費の矛盾の拡大の過程をも生みだしている︒またアメリカ的労務管理であるZD︵無欠
点︶︑QC︵品質管理︶にしめされる労働者の相互監視と競争の体制の大規模な導入は︑企業の体質を改善する有効
な方策として強引におしすすめられた︒
また︑いわゆる﹁自由化﹂によって︑アメリカの技術︑資源︑余剰農産物は︑急速に日本に導入され︑とくに﹁資
本の自由化﹂段階では︑ノウ・ハウなどの﹁技術がほしければ︑資本参加をさせろ﹂︵経団連月報一九六七年四月二
経済協力の法的機構をめぐる問題
五ページ︶という技術︑資本の一体的・直接的支配が進もうとしている︵後述4参照︶︒このような従属を前提とし
ての﹁自由化﹂が積極的にうけいれられつつある︒
日本の近年の貿易状況は︑輸出入ともに︑第一位はアメリカで︑それぞれ総輸出入の約三〇パーセントを上まわっ
ている︒日本は︑日米友好通商航海条約というふとい法的パイプを通じてアメリカの資本にとって︑重要な利益の源
泉であり︑アメリカの輸出の第二番目に重要な市場であると同時に︑アメリカの技術の重要なハケロであり︑日本に
おけるアメリカ資本の投資は急速に増大している︒日本はアメリカの余剰農産物の最大の市場であり︑石炭︑くず
鉄︑機械の最大の需要者となっている︵池上・前掲一八六ページ︶︒日本の貿易は︑戦前においても︑アメリカとの
関係は浅くなかったが︑戦後は日本のアジア向け輸出の比重の低下とともに︑アメリカの比重は︑さらに強まってい
るが︑とくに外資導入︑技術導入におけるその比重は圧倒的である︒当面の日本経済は︑アメリカ経済の﹁合理化﹂
の一環に位置づけられ︑アメリカの﹁カサ﹂のなかで︑独自の技術と資源︑新たな市場の開発を準備しなくてはなら
ない︒ アメリカからの﹁対日援助﹂は︑第三次防から完全にうちきられ︑このコ眉がわり﹂のために︑﹁国防﹂費の増大
と軍事技術の開発費用は︑日本の財政と金融に圧迫をくわえている︒当然に日本の物価水準を引きあげ︑日本商品の
国際競争力を減退させる傾向を結果せしめる︒また発展途上国への経済協力という名の費用の増大は︑日本の独自の
市場確保の方向を探求する可能性を︑一面では促進し︑アジア諸国への資本輸出︑技術︑貿易などの浸透の素地を準
備することとなる︒たとえぽ市場開発の側面では︑アメリカとともにアジア開発銀行などの共同開発機関をつくり︑
さらには︑太平洋地域の経済協力機構︵たとえぽ﹁太平洋自由貿易連合﹂︶の確立︑﹁東南アジア共同市場﹂の確保な
どが準備される︒
117
3.
外資導入などの主要形態と関係法
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ω直接投資
ω子会社︑合弁会社などへの経営参加的株式の取得
@支店︑工場その他の営業所の設置
㈲間接投資
↑り貸付金債権の取得
@株式の市場経由および相対取得−株式売買の市場集中︑テイク・オーバー・ビッド︵テンダー・オファー︶
09社債の取得
◎受益証券の取得
㈲公債︑特殊金融債などの取得
㈹技術援助︵導入︶契約一外資法︑管理法による許認可の扱いは三分類方式による︒
ω個別審査方式︵非自由化技術︶一航空機︑宇宙開発︑原子力︑武器︑火薬︑石油化学︑電子計算機など先端七技
術︵いわゆるネガ技術︶
@原則的日銀委任方式−原則として日銀で処理するが︑国内への打撃︑影響が予想される場合は個別審査で処理
㈲自動認可方式一支払い対価が定額払い五万ドル以下の技術援助契約はすべて日銀が自動的に認可︵完全日銀委任
方式︶ 似上の外資導入などの諸形態については︑外資法︑外資法特例政令︑運用省令︑送金省令︑それに日銀の取扱事務
政令︑それに特別外資法︵国際復興開発銀行等からの外資の受入に関する特別措置に関する法律︶︑外為令︑貿易外
省令︑貿易関係貿易外省令などの関係法令によって︑法的に規制されているが︑きわめて外交政治的レベルでの処理
が問題とされよう︒
経済協力の法的機構をめぐる問題
4.
日本経済に基盤固める外資系企業の実態
外資が資本金に占める比率について︑最も狭い解釈をとる外資法では︑外国人または外国法人が資本金の五〇パー
セント以上を所有している企業を︑外資系企業といっている︒ただ︑外国人は一企業の株式を総計二〇パーセント
︵一人あたり七パーセント︶まで株式市場を経由して保有できることになっているので︑二〇パーセントを越える比
率の株式を外国人がもっていれぽ︑ふつう外資系企業とよぼれる︒
日本には︑現在︑ωすでに︑外資法によって認可をうけて︑新会社を設立あるいは経営に参加しているもの︑およ
び㈲一九六三年︵昭三八︶まで規制のなかった円ペースによる設立あるいは経営参加をしている外国資本が多数存在
する︵外資法の存在によって︑一〇〇パーセント子会社の設立は認可されなかったため︑はじめから元本・果実の対
外送金を断念して︑円ベース企業とするのでなけれぽ︑適当なパートナーを選んで合弁会社を設立するはかなかっ
た︶︒ したがって︑外資系企業には︑ω純外資会社︵外資比率一〇〇パーセント︶︑吻合弁会社︵ほぼ折半出資︶︑㈲外資
導入会社︵既存企業が技術導入時などに外資を参加させる︶などある︒
外資系企業の増加は︑国内の技術開発︑金融︑労働市場に大きな影響をあたえ︑産業・労働政策と密接な関連をも
つことから︑外資対策︑資本自由化の展開を左右する︒
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戦後の外資系企業の対日進出の状況とその背景については︑ω外資法の制定︑ω経済の高度成長︑㈹円ベース会社
制度の廃止の三つの懊機による三つの時期︵昭和二〇年代︑昭和三〇年〜三八年︑昭和三九年以降︶があげられる
︵通産省・外資系企業一六ページ以下︶︒外国側出資会社の国籍は︑実質的に七〇パーセント以上がアメリカ系企業
である︵同二三ページ︶︒出資の内容として︑外資系企業全社における外資比率は︑五一︑七パーセントと数値が高
い︵同二七ページ︶︒外資導入︵進出︶の動機は︑ω日本側出資会社の最重要な動機は︑技術導入であり︑ω外国側
のそれは︑単なる技術輸出を避け︑資本参加を条件として︑日本市場の成長性に着目している点︑前述2︑でもふれ
た︒ 外資系企業の日本の企業に占めるシエァは︑それほど大きくはないが︑徐々に上昇傾向にあり︑石油などの業種で
は︑かなり大きく︑たとえば建設土木機械︑電子計算機︑一部の石油化学製品などの特定分野では︑かなりのシェア
をもつにいたっていることから︑日本経済上の地位は︑かならずしも小さくなく︑その売上高よりも︑資産面におげ
る方が高く︑さらに今後の拡大が予想される︵同三七ページ以下︶︒
経済的な要因に︑制度的な要因として︑開放経済体制への移行︑それとともに外資法の運用の緩和という過程は︑
﹁選択的外資導入促進法であった外資法は︑運用の変化を通じて︑次第に外資導入調整法にその性格を変えていっ
た﹂︒さらにこのような原則認可の運用の積み重ねの結果は︑N九六七年︵昭四二︶七月一日から︑第噌次資本の自
由化が実施され︑関係政令および省令の改正および制定が行なわれた︵同義五九ページ︶︒これによって︑六九年︵昭
四四︶三月一日に︑流通︑中小企業などを対象に︑かなり大巾な第二次自由化に踏み切ったあと︑第三次はそれから
二年半後の七一年︵昭四六︶末とし︑このときには︑現在の自由化業種表を﹁非自由化業種表﹂︵いわゆるネガチブ
・リスト︶に切り替え︑大企業の非自由化は︑自動車・石油化学・電子計算機・金融・武器などごく﹁部の問題業種
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経済協力の法的機構をめぐる問題
︵いわゆるネガ技術︶
由化答申書︶︒
5. にとどめることとなっている︵昭四三・一〇・二五外資審議会総会︑昭四四・二・五同率即自
国際化の進展と中小企業
戦後の世界経済の潮流の変化として︑貿易・為替の自由化から世界経済の地域化の段階では︑これが中小企業への
直接の影響はあまりなかったが︑資本取引の自由化では︑これへの直接影響を否定できない情況となってきている︒
七〇年代の南北問題︵特恵問題︶の段階では︑発展途上国の追いあげと欧米先進国企業との競争の激化の拡大によ
り︑内には近代化の進展と︑外には輸出の尖兵として︑それはきわめて大きなものとなるであろう︵中小企業庁・図
で見る中小企業白書二四ページ︶︒
ρ0.
独占禁止と国際協力
いわゆる﹁域外適用﹂の問題の宿命的発生を︑独禁法に関する各国間の国際協力によって回避しようとする試みが
なされる︒つまり︑グローバルな独占体にたいし︑国際的な制限囲障慣行︵カルテル︑独占など︶の規制について︑
同一の考えと協調のもとに歩調をあわせて行動をとり︑各国がそれぞれ国内事業者にたいし︑それぞれの国内法によ
って規制することによって︑域外適用の問題を回避しつつ︑国際的な制限的商慣行規制の問題を解決しようという試
みが︑第二次大戦辛いくたびかなされている︒しかし︑すべて失敗に帰している︒貿易取引の増大︑資本取引の自由
化やワールドエンタープライズの増大によるところのこの問題について︑現在ではOECDにおける協力や︑UNC
TADでの新しい展開が注目される︵通産省・日本産業と独占禁止法二〇五ページ以下︶︒
121
7.
日本の発展途上国に対する経済協力
122
これも︑高度成長した日本の独占にとって︑二条の経済協力と不可分になって展開する︒ネオ・コロニアリズムの
新展開ともいえる︒その内容によって︑ω資本協力︑ω技術協力および㈲貿易を通じての協力の三形態に分類され
る︒その方法は︑左の図のとおりである︵小田村編・図説日本の財政昭和四三年度=九ページ︶︒
@
@
@
@
ュ府べと果響艦
六〇年代が﹁国連開発の一〇年﹂︑七〇年代が﹁第二次国連開発の一〇年﹂とされ︑発展途上国みずからの協力と
ともに︑先進国側からの﹁援助も貿易をも﹂包含した巾広い協力が世界全体の経済発展と平和維持の観点から不可欠
の急務であるという主張が︑従来にも増して強まってきている︒﹁援助より貿易を﹂のスローガンのもと南北問題の
意味と実態の把握とその解決策の一環としての経済協力の位置づけが問題とされよう︵通産省・経済協力の現状と問
題点一九六八年一ページ以下︶︒
ヘ へ これらのための経済協力関係機関には︑日本輸出入銀行︑海外経済協力基金︑海外技術協力事業団︑アジア経済研
究所︑海外技術者研修協会︑日本プラント協会︑海外コンサルティング企業協会︑海外建設協力会︑日本シオス協会
国際経営協力委員会がある︒とくに﹁輸銀﹂は︑経済協力の実施機関として︑中核的役割をはたしている︒そして︑
もともと経済協力は︑援助の被対象国の経済構造までも変革︵化︶させるようなものに展開する動向があり︑その問
題を多元的に担保するためのものとして︑﹁輸銀﹂の機能の不足をカバーするため﹁海外経済協力基金﹂の設置がな
されている︒
元来キャッシュ・ベースで輸出する設備の生産資金を供給する金融機関として発足した﹁輸銀﹂の業務に︑その後
あるいは延払輸出︑あるいは海外投資︑もしくは経済協力などと︑多様な業務が︑順次くわえられ︑とくに国際的な
ものとして︑海外投融資は︑取引の経緯︑契約の態様︑経済上の効果︑もしくは政治︑外交上の配慮などの複雑な要
因がからむので︑個別案件ごとに﹁事前相談﹂が重視され︑その過程で﹁指示﹂︑﹁指導﹂がなされるケイスが多いよ
うである︒﹁輸銀﹂は︑このようにして︑制度金融とともに︑重機械類の輸出中心と協調融資の原則をもって︑政府
金融機関の機能をはたしている︵詳しくは︑国際投資研究所﹁日本輸出入銀行融資制度と手続﹂︶︒
現在の経済協力のパイプを大別すると︑ω国際的機構を通じてのものとして︑①世銀︵国際復興開発銀行︶に対す
る出資︑②第二世銀︵国際開発協会IDA︶に対する出資︒③以上の世界的な機構に対してとくに東南アジアに対す
るものとしてアジア開発銀行に対する出資︒ω日本独自の立場からのものとして︑一九五七年︵昭三二︶頃を境にし
て︑①それ以前の生産財︑資本財の延払輸出に限定する方式から︑②円借款供与方式へと転換している︒民間レベル
のものから︑国家ベースの高次元的段階に転化してきている︒
このことは︑世界的ないし地域的な国際機関とともに︑いわゆる平行的・重畳的な経済協力のメカニズムが着々と 粥
進行していることを意味している︒それは︑単に資本協力のみではなく︑﹁海外技術センター﹂の設置などに象徴的
にみられる技術協力を加えたきめこまかな内容のものとなっている︒日本の自由化という﹁日米経済協力﹂の裏側の
新しい展開といえよう︒
8.
貿易の振興と経済協力の推進のための税制措置
124
一九六八年度には︑ω輸出振興のため︑輸銀の貸付規模を拡大︑ω貿易外収支の改善のため︑外航船舶建造の拡充
を行ない︑㈹対外経済協力の推進のため︑海外経済協力基金の事業規模の拡大とともに︑東南アジア諸国の経済開発
のための経費を大巾に増額し︑日本開発銀行の貸付先を︑基礎産業部門ないし戦略的産業部門︵電力︑海運︑国産技
術の振興︶に重点的に融資を行なうとともに︑一九七〇年大阪で開かれる日本万国博に積極的に支援している︒四三
年度経済白書にもあるように︑四二年の景気拡大を調整する年であるとともに︑長期的には労働力不足と国際化の進
む﹁明治百年﹂にあたるという視点にたって︑ω内国税改正によって︑租税特別措置の拡充と整備の合理化の観点
から︑輸出の振興など︑ω主務大臣が﹁輸出貢献企業﹂と認定すると︑その貢献度に応じて︑輸出割増し償却率を認
める︑回技術など特定の海外取引の所得控除制度の対象範囲の拡大︑のその他︑海外投資損失準備金についての特別
措置など︑またω関税改正により︑ωヶネデイ・ラウンド交渉の妥結に伴う大規模な関税譲許の実施︑@国内法改正
による関税制度の改正がなされている︵前掲日本の財政四七ページ以下︶︒
︵一九六九年二月一〇日︶