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鹿児島から近代日本を考える──統合・周縁 企画趣旨及び研究会の概要

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【共同研究】

鹿児島から近代日本を考える──統合・周縁

企画趣旨及び研究会の概要

桐蔭法学研究会

戦後 70 年を超えた現在、日本国憲法を基底とする「戦後体制」は内政・

外交ともにその自明性を問われている。このことは、明治維新から 150 年と いう語り直しにより再定位されつつある「近代日本」の像とどのような関係 に立つのか。この問いを考える上で、国民国家としての「近代日本」の周縁 となる地域において、その統合のあり方を逆照射することが有益である。

明治維新における旧体制への挑戦者の象徴としての西郷隆盛を基軸に「近 代日本」をまさに語り直しつつある鹿児島は、統合された国民国家としての 日本という、ともすれば前景化することのない問いを考えるという意味では、

特別な位置を占める。1863(文久 3)年に薩英戦争という対外戦争の当事者 となり、明治国家の黎明期には台湾出兵から琉球処分にかけて国民国家の外 縁としての「国境」の現場となった鹿児島は、第二次世界大戦終結直後に

「外郭地域」が日本本土の占領管理の対象から外れることにより、1972(昭 和 47)年の沖縄返還に至るまでの間、ふたたび「国境」を直近に画する地 域となったのである。

桐蔭法学研究会では、上記の関心に基づき、2018 年 2 月 9 日~ 2 月 11 日 にかけて、城野一憲氏(鹿児島大学教育学部専任講師)の協力を得て、鹿児 島大学での共同研究会、及び知覧平和特攻記念館・鹿児島県歴史資料センタ ー黎明館・尚古集成館等の関連施設の見学を実施した。鹿児島での研究会に は、本学の教員に加え、学外から城野一憲氏、佐藤宏行氏(鹿児島大学教育 学部准教授)が参加した。

研究会では、勝亦、出口、升に加え、学外からも佐藤氏が報告を行い、実 定法学から基礎法学、政治学、教育学に至るまで多様な観点から報告と質疑 応答がなされた(このうち勝亦報告については、紙幅の関係で本号には掲載

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桐蔭法学 24 巻 2 号(2018 年)

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していない)。それぞれの教員の研究領域が異なるため、一貫したテーマに 基づいて、ある特定の問題に限定された形で研究会の報告を構成するのは難 しい。しかし、広範囲に及ぶ包括的なテーマの設定の下で研究会を開催する ことは、同じ学部に所属する教員同士、自らの研究テーマを他の教員の問題 関心と接合する機会となり、桐蔭横浜大学法学部の学問的発展に大いに寄与 するものと言えよう。

地方での研究会の開催は、昨年の「近代化と自由――土佐の山間より考え る」に引き続き、2 回目となる。地方で研究会を開催し、関連施設を視察す る意義は、判例や研究書を読むだけでは深く知ることのできない事柄を肌で 感じ、理解を深めるところにある。例えば、知覧平和特攻記念館の視察では、

左右どちらの歴史観によることのない展示がなされ、様々な宗教団体の慰霊 碑があり、多宗教の施設であることが理解できた。また、開催校の教員との 意見交換を通じて、首都圏とは違った地方の大学や地域の問題を知ることが できる。そこで得られた知見は、各教員の研究教育活動に大いに役立つと考 えられ、有意義な研究会となった。

なお、本研究会の実施にあたっては、鹿児島大学の城野一憲講師に、会場 の提供や現地での見学等の点で多大なご協力を頂き、また佐藤宏行准教授に は、報告を元にご寄稿をいただいた。この場を借りて、篤く御礼を申し上げ たい。

(とういんほうがくけんきゅうかい)

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