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大学と地域との連携協働によるまちづくりを推進す るイベント事例報告

著者 杉岡 秀紀

雑誌名 同志社政策科学研究

巻 9

号 2

ページ 231‑239

発行年 2007‑12‑20

権利 同志社大学大学院総合政策科学会

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011448

(2)

₁.はじめに

 「大学と地域との連携協働によるまちづくり1」 を推進する動きが昨今非常に盛んになってきた2。 詳細は拙稿3に譲るが、その背景としては、少子 高齢化による大学全入時代の到来や、地方分権 社会の到来によるガバナンス型のまちづくりの 浸透などにより、もはや大学は象牙の塔として、

「研究」「教育」だけに依拠できなくなり、また 地方自治体も単独でまちづくりを進められなく なったことが挙げられる。

 また、現在筆者が勤務している内閣官房内に 設置されている「都市再生本部」が、平成17年 12月に「大学と地域の連携協働による都市再生 の推進」を都市再生プロジェクト(第十次決定)

として決定したことも大きい。このことは、単 に自主的な取組みとしてこういった連携協働を 捉えるのではなく、政府としても、むしろこう した取組みを地域活性化に寄与するまちづくり 政策として採用、促進をしていこうという象徴

と捉えられるからである4

 とかく、このような潮流と相まって、この「大 学と地域との連携協働によるまちづくり」をさ らに推進すべく、ここ数年で一気に「大学」「地 域」「連携」「協働」「まちづくり」をキーワー ドとするフォーラムや大会、会議等が全国規模 で増えてきた5

 そこで本稿では、そのうちで筆者が参加した 3つの事例に注目し、それぞれの大会が持つ魅 力と可能性、またそこで感じた課題などを報告 する。

大学と地域との連携協働によるまちづくりを推進するイベント事例報告

杉 岡  秀 紀    

1 総務省の類型では、①地域資源を活用している事例、②学生が地域活性化に貢献している事例、③大学の研究・教育活動が直 接具体的な取組となる事例、④各種計画策定に係る調査研究・アドバイス、⑤小・中学校の学習支援や継続的に一貫したテー マでの生涯学習、⑥自治体が設立または誘致を行った大学との連携事例、⑦国の研究費助成制度等を活用している事例、⑧組 織的な連携窓口を活用している事例、⑨相互利用、という類型に分けられ、都市再生本部のそれでは、①市民を対象した生涯 学習講座、文化教養講座の実施、社会人の教育講座の開催、②教育支援活動(インターンシップ、ボランティア、学生相談など)、

③大学と地域産業の連携・起業支援、④地域の政策課題等に関する調査・研究の委託、共同研究、⑤審議会等への大学関係者 の委員委嘱、⑥大学などの施設の設置、⑦施設の相互利用、大学施設の住民への開放、⑧中心市街地の再生やまちづくり活動 への参加、⑨その他、という分類になる。

2 大学と市区町村との連携協定は2002年以降に急激に増加し、2007年には「542(1827市区町村中)」の市区町村が大学との連携 協定を締結している(内閣官房都市再生本部『大学と地域との取組実態についてのアンケート調査結果』2007)。

3 杉岡 秀紀「大学と地域との地学連携によるまちづくりの一考察」『同志社政策科学研究』第9巻第1号、2007

4 都市再生本部では、この「第十次決定」以降、大学と地域が連携してまちづくりに取り組む地域間相互で情報・意見交換を行 うことにより、各地域の自主的・自発的な取り組みを促進するネットワーク「大学地域連携まちづくりネットワーク」を立ち 上げ、メーリングリストをそのツールとして、意見交換の場作りなどを行っている。

5 代表的なものとしては、「学生まちづくり学会(2002年~)」「全国都市再生まちづくり会議(2005年~)」「全国学生まちづくり サミット(2006年~)」「全国まちづくり政策フォーラムin登別(2006年~)」「同in京田辺(2007年~)」「大学まちづくりフォー ラム(2007年~)」等がある。

(博士後期課程 2007年度生)

(3)

杉 岡  秀紀 232

₂.全国都市再生まちづくり会議(2005年~)

₂.₁ 概要

名   称 全国都市再生まちづくり会議2007(通称:全まち会議) 

日   時 2007年7月15日(日)・16日(月)

場   所 工学院大学 新宿キャンパス テ ー マ 「連携」

主   催 全国都市再生まちづくり会議、NPO日本都市計画家協会

(全国都市再生まちづくり会議座長 伊藤滋、NPO日本都市計画家協会会長  黒川洸)

目   的 全国各地でまちづくり活動を行っている団体や人々が、互いに横につながり、

連携し、情報の交換、交流を進めることにより、日本各地のまちづくりがより 一層、活性化すること

プログラム ①展示(ポスターセッション) 64団体(69ブース)

②まちづくり交流会 8分野

  (ⅰ)経済活性化/中心市街地活性化    (ⅱ)市民活動 

  (ⅲ)まちづくりニューウエーブ    (ⅳ)景観まちづくり

  (ⅴ)被災地復興、連携による地域おこし    (ⅵ)学生都市再生まちづくり会議    (ⅶ)企業展示 

  (ⅷ)まちづくり相談窓口

③トークイベント・シンポジウム(1日目のみ)

 テーマ :「まちづくりに求められる市民力・行政力・企業力」

 パネラー: 伊藤滋(NPO日本都市計画家協会名誉会長)、植村泰佳(元サッ ポロファクトリープロジェクトリーダー)、駄田井正(町衆)、望 月照彦(多摩大学教授)

④懇親会(1日目のみ)

参 加 者 数 約700人(2006年度集計) ※2007年はまだ未公表 事 務 局 NPO日本都市計画家協会6

 〒105-0002 東京都港区愛宕 1-1-9 愛宕チャンピオンビル4F  TEL 03-5401-3359 / FAX 03-5401-3389

U   R   L http://jsurp.net/

そ の 他 ・ 参加した大学は、「桜美林大学」「熊本大学」「慶應義塾大学」「静岡大学」「都 留文科大学」「同志社大学」「東北芸術工科大学」「東北公益文科大学」「一ツ 橋大学」「北海道大学」「室蘭工業大学」の11大学(五十音順)。

・「まちづくり大賞(1団体)」「まちづくり賞(2団体)」「奨励賞(4団体)」

という3つの表彰制度あり。

6 都市・地域計画の専門家、まちづくりに興味のある人、まち歩きの好きな人など多様な人が参加してまちづくりで社会貢献し ようとする組織。1994年設立。2001年にNPO法人格取得。「広くさまざまな視点に立って協力し合い都市・地域づくりについて 調査・研究し各方面に啓発・提言・支援をし、その人材を育てるなどの、豊かで魅力的な空間と文化を創造して公益の増進に 寄与すること」をミッションに、①調査や研究、②政策の提言、③社会的普及や啓発、④活動主体への支援や協力、⑤人材の 育成や研修、⑥専門職能の研究と社会的確立、⑦国際的な交流、⑧情報の発信という事業を展開している。現在会員620名。全 国に5支部ある。

(4)

₂.₂ 当日の模様

 

₂.₃ 感想(評価・課題など)

 この大会の最も評価すべきは、「規模の大き さ」である。民間が主催ということもあるのか もしれないが、64団体(昨年度は54団体)を集 めた各団体のユニークな展示企画、バラエティ に富んだ8つの交流会は、それぞれ三桁以上の 人を集める盛況ぶりで、大いなる知恵の交流・

意見交換・相談の場となっていた(筆者も2つ の交流会で発表)。また、その交流会の中でも とりわけ10以上の大学が参加した「学生都市再 生まちづくり会議」が果たす役割は大きかった。

というのも、北海道から九州まで、地域はもち ろん、国立・私立問わず、また単科・総合や大 学の規模を問わず、ここまで幅広く日本全国か ら「まちづくり」をテーマに大学生、そして、

それを支える市民が集まった事例はそうないか らである。翻せば、これこそが「全国」と名を 冠する大会ならではの醍醐味というべき印象を 受けた。

 そして、もう1点評価すべきは、「アメ」の 仕組みである。まちづくりとは言わずもがな、

終わりのない活動である。また成果が出るにも 時間が掛かる、そんな活動である。それゆえに、

学生であれ市民であれ「継続意欲へのモチベー

(展示の様子) (交流会の様子 / 会場1) (交流会の様子 / 会場2)

(結果発表の様子) (表彰の様子) (表彰状)

ト」という視点が欠かせない。そういう意味に おいて、この大会は「問題意識」や「課題解決 へのプロセス」、また「まちに寄せる情熱」や「オ リジナリティ」といった指標で各々の事例を評 価し、頑張っている個人や団体をエンパワーメ ントする機能を果たしていた。つまり、賞のた めに頑張るのは本末転倒であるが、「頑張った 個人や団体は副産物として「アメ」がもらえる 仕組みづくり」を作った。これこそが、大会が 順調に継続し、またリピーターを産んでいる装 置となっているのであろう。

 他方、若干残念だったのは、開催地が第1回 から3年続けて「東京」に限定されていること と、プログラムがやや「固定化」されつつある ということ。これは毎年参加している参加者は もとより、スタッフ内部からも若干そういう声 が漏れていた。前者に関しては、せっかく主催 団体である日本都市計画家協会が全国に支部を 所有しているのだから、アクセス面も考慮しな がらではあるが、もう少しそういった地方支部 との連携を望みたいところである。そして、後 者に関しては、参加した参加者の声を反映し、

望む声があればスタッフになってもらうなどを して、是非新しい風を入れてもらいたいもので ある。

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杉 岡  秀紀 234

₃.全国大学まちづくり政策フォーラム(2006年~)

₃.₁ 概要

名   称 全国大学まちづくり政策フォーラムin京田辺 日   時 2007年3月16日(金)~ 18日(日)

場   所 同志社大学京田辺キャンパスほか テ ー マ 特になし

主   催 「全国大学まちづくり政策フォーラムin 京田辺」実行委員会

(実行委員長:真山達志 / 同志社大学政策学部教授)

共   催 (京都府)京田辺市、同志社大学 

目   的 全国の大学生や大学院生が京田辺市に集い、政策を多角的に議論するとともに 政策の実施プログラムを作成し評価する、一連の政策過程を射程に入れた「ま ちづくり政策議論」の必要性を発信し、京田辺市を始め、全国の自治体の活性 化に寄与すること

プログラム チームごとに発表テーマを自由に設定し、京田辺市を分析して政策提言。

 1日目:オリエンテーション・基調講演・市内施設見学・交流会  2日目:現地調査・情報収集・提言書の作成

 3日目: 政策提言の発表・市民フォーラム(パネルディスカッション「けい はんなまちづくりフォーラム」、まちづくり基調講演

参 加 者 数 73人(学生45人、学生スタッフ5人、教員7人、自治体職員16人)

※講演会などの聴衆者数は含んでいない。

事 務 局 京田辺市市民部市民参画課

〒610-0393 京都府京田辺市田辺80

TEL 0774-64-1314 / FAX 0774-64-1305 [email protected] 

U   R   L http://www.kyotanabe.jp/1ka1hp/shiminsannkaku/chigakurenkei/forum/

index.html

そ の 他 ・ 2006年に北海道登別市にて開催された「全国大学まちづくり政策フォーラム in登別」の京田辺版として企画立案された。

・ 参加大学は同志社大学、日本大学、明治大学の3大学(6チーム)。

・ 賞には、「最優秀賞」「優秀賞」「特別賞」の3賞が用意され、それぞれ「同志 社大学ANDASチーム」「明治大学牛山ゼミ」「同志社大学真山ゼミ」が受賞 した。

・ 審査は、「課題設定の明確さ」「地域貢献度」「独創性」「実現可能性」「プレゼ ンテーション」の基準により5人の審査員が審査。

・ 予算は約200万円(参加費含む)。

(6)

₃.₂ 当日の模様

₃.₃ 感想(評価・課題など)

 このフォーラムの最大の特徴は「政策」とい う言葉が全面に出ているところにある。という のも、このフォーラムは、発起人となった真山 達志教授、そして、このフォーラムのモデルと なった「全国大学まちづくり政策フォーラムin 登別」の発起人である今川晃教授がともに政策 学部の教授ということもあり「政策視点からの まちづくり」に力点が置かれ、企画立案された からである。それが証拠に設立趣意書の中には、

「我々には、次代を担う若者に対して、全国的 な課題のみならず、各地域に特有の課題を発見 し、課題解決に向けて政策の議論を行い、さら に実践する学習環境を整えていく使命があるも のと考えます(登別)」「我々が直面する課題は

(中略)対処療法的な対応だけでは立ち向かう ことができずに、まず地域がどのような方向を 目指すべきかという政策議論によって、目指す べき地域像の共有化を図る必要があります(京 田辺)」という記述がある。このアカデミズム な視点こそが他のフォーラムや大会の追随を許 さない特徴となり、同時に評価点と言える。

 そして、もう一つの特筆すべき事項は、その 開催地として筆者が8年間関わり続けたまち

「京田辺」が選ばれ、またその自治体である京 田辺市が事務局として非常に熱心にこのフォー

(開会挨拶の様子) (基調講演の様子) (市内施設見学の様子)

(交流会の様子) (政策提言発表の様子) (表彰式の様子)

ラムのマネジメントを牽引した点である。その 背景は色々であるが、趣意書にある「京田辺市 には同志社大学京田辺キャンパスがあり、京田 辺市と同志社とは両者が連携して地域の活性化 に取り組んできました。このような大学との連 携基盤のある京田辺市に、広く全国から大学生 や大学院生が集まり京田辺市を調査分析(評価)

し、政策議論を展開することで、これからの「ま ちづくり政策」の必要性を全国に発信できるも のと確信しております」この一文にある意味集 約されている。つまりは、このようなフォーラ ムを行うこと自身が、様々な人々、とりわけ大 学生に、まちを知ってもらえる機会を提供する

「まちづくり」につながっているという訳であ る。是非今後はこのような点でも、登別と良い 意味で差別化、そして競争・協調しながら、お 互いに発展していってもらいたい。

 他方、スタッフ(コーディネーター/アドバ イザー)として参加してみて、唯一残念だった のは、このような「政策」を冠したフォーラム が全国的にも珍しい事例であったためか、先生 方や自治体の懸命な呼びかけにも関わらず、参 加大学が「3大学」に留まってしまったことで ある。やはり「全国」と銘打つからには、全国 のまちづくりや政策に関心のある大学生にもっ とこのような大学横断型の政策議論の場に認 知、そして参加して欲しいものである。

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杉 岡  秀紀 236

₄.大学まちづくりフォーラム(2007年~)

₄.₁ 概要

名   称 大学まちづくりフォーラム 日   時 2007年7月8日(日)

場   所 ヴィアーレ大阪

テ ー マ 「大学から都市の活性化を」

主   催 関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学、産経新聞社

後   援 都市再生本部、文部科学省、国土交通省、京都府、大阪府、兵庫県、京都市、

大阪市、大学コンソーシアム京都、大学コンソーシアム大阪、大学コンソーシ アムひょうご神戸

特 別 協 賛 株式会社 学生情報センター 企 画 運 営 学生企画運営委員会

目   的 都市の活性化に取り組んできた学生・教員らが、現状や課題を共有し、理想の まちづくりを話し合うこと

プログラム 第1部:4大学活動報告

 関西大学「Web福祉マップによる中等教育の実質化とまちづくり」

 関西学院大学「学生による『劇上空間・宝塚』の都市再生」

 同志社大学「地域連携によるまちづくり―同志社京田辺祭を事例として―」

 立命館大学「大学と地域が連携して行うエコプロジェクト」

第2部:グループワーク

 分科会①「ひとづくり部会~まちづくりスーパーマンのつくり方~」

 分科会② 「しくみづくり部会~ 100年続くまちづくり、1年で終わるまちづ くり~」

 分科会③「きっかけづくり部会~まちづくりにハマる方法~」

 分科会④「ことづくり部会~まちづくり前夜祭ノウハウ~」

第3部:懇親会

参 加 者 数 124人(学生・生徒63人、教職員30人、自治体職員11人、一般20人)

事 務 局 関西学院大学研究推進社会連携機構

 〒662-8501 兵庫県西宮市上ヶ原一番町1-155  TEL 0798-54-6890

U   R   L なし

そ の 他 ・ 今年は関西学院大学が幹事校となったが、来年からは残りの関西大学、立命 館大学、同志社大学という順番で持ち回る予定。

・ 産経新聞と共催したこともあり、6月8日(朝刊)、6月14日(朝刊)、6月 23日(夕刊)、6月28日(夕刊)に開催告知が、7月9日(朝刊)に開催報告 が、7月27日(朝刊)には全国版で特集が組まれた。

(8)

₄.₂ 当日の模様

₄.₃ 感想(評価・課題など)

 このフォーラムの最大のポイントは、「関関 同立」という今までは「ライバル関係」であり、

「競争関係」でしかなかった4つの大学が「ま ちづくり」をキーワードに手を取り合い、それ ぞれの足らざる部分は補い合い、一つのイベン トを「ゼロ」から創造したことである。

 確かに冒頭でも触れたように、これからの少 子高齢化の時代を迎えるにあたって、大学その ものは、「大学間競争」という、生き残りを掛 けた時代に入る。しかし、これも繰り返しにな るが、これからの大学は「教育」と「研究」だ けでは生き残っていけない。つまりは、いかに

「まちに認められ、受け入れられ、そして仲良 くできるか」という「社会貢献的な視点」がこ れからは欠かせないのである。逆に言えば、よ うやく、まちは「建物として」から、「資源と して」また「パートナーとして」、大学を捉え るようになった、ということでもある。そして、

このことこそが今までは「競争」という言葉で しかお互いを見ることが出来なかった関関同立 が積極的な理由で「協働」するきっかけを作っ た背景となったのは言うまでもないであろう。

 もう1点特筆すべき事項がある。それはこの

(打ち合わせの様子) (会場の様子) (活動報告の様子)

(グループワークの様子) (発表の様子) (まちづくり宣言の様子)

イベントの企画運営は広報・予算面を除けば、

筆者を含めほぼ全て四大学の学生が担うという

「自主性(ボランタリー性)によるシナジー効果」

がもたらされたことである。つまり、ボランティ アの機能とは、よく「無償性」「自主性」「先駆性」

「公共性」という、この4つで語られる訳だが、

要はこのエッセンスが今回のフォーラムでは、

想像を超える「思いの掛け算」をもたらし、そ れが成功への導きとなった。言い換えれば、確 かにイベントの発端こそ大学主導ではあった が、「分科会の運営は学生が中心に考えても良 い」という、いわば“余白部分”が、学生の「自 主性」を駆り立て、そして、それが大学という 枠組みを超えて絡み合ったところで、思いもよ らない化学反応を生んだということである。“誰 に頼まれなくても自主的にするけれど、誰かに 頼まれたらしない”という、ある意味矛盾した、

しかし、純粋な「ボランティア」の精神がこの イベントで忌憚なく発揮されたということだろ うか。

 他方、課題として残ったのは、今後の「継続性」

の問題と、「拡張性」の問題である。今年は、

発起校である関西学院大学が事務局(幹事校)

となったが、これが来年以降は「持ち回り制」

で事務局を務めることが決まっている。しかし、

(9)

杉 岡  秀紀 238

こうなるとどうしても「使命感」よりも「義務感」

が先行しがちになる。これをどう打破し、毎年 のフォーラム開催を盛り上げられるか、これが フォーラムの継続性の肝になるであろう。これ に付随して、現在こそ関西の大学中心ではある が、全国展開できる可能性を持っているという 意味で、どこまでの大学を巻き込むかという「拡 張制」の範囲の問題もこれにより不可避な課題 となる。幹事校も含め、いったい全国のどこま での大学に声を掛け、拡張するのか、その方向 性やイニシアチブについても多いに議論の余地 がありそうである。

₅.おわりに

 以上、3つの事例から「大学と地域との連携 協働によるまちづくり」を推進するイベントの 実際を報告してみた訳だが、論を結ぶに当たり、

最後にこのようなイベントの意義というものを 改めて考えてみると、それはまさしく、「競争」・

「協働」・「教導(ともに教え合い、導き合う)」

という、この3つのキーワードで集約できそう である。

 1つ目は「競争」。これはまさにこのような 場は、お互いに刺激を受け、切磋琢磨をしなが ら、次の活動へとつなげるための仕掛け・仕組 みになるということである。2つ目は、「協働」。

これはこのような場は、参加する側の学びの場 を創造するだけでなく、実はこの場作り自身に 参加しながら、客観的且つ俯瞰的な立場を取り つつ、利害や立場を超えた仲間と一緒に、つな いだり、広げたりする楽しみの場の創造にもな り得るということ。そして、最後3つ目は「教導」。

このように氷山の一角で頑張っている学生もい る一方、他方では“よそもの・ばかもの・若者”

と揶揄されてしまうことも多い学生が、このよ うな場に参加することで、“ここまで同じベク トルで頑張っている人たちもいるんだ。頑張っ ているのは自分だけでないんだ”と、共に気づ き合い「教え導き合う」「学び合う」の場にな るということである。

 ともあれ、このような「大学の地域との連携 協働によるまちづくり」はまだ始まったばかり であり、成功事例や学問的な裏づけもまだまだ 発展途上中である。他方、これから訪れる「少

子高齢化社会」「知識基盤社会」「ガバナンス型 地域社会」の到来を考えれば、このような今ま でにない大学と地域、大学生と市民との掛け算 が、「新しい時代」を作る重要な鍵、そして影 響力を握っていることも疑う余地がない。

 今後も是非引き続き、このような人・知識・

情報・アイディアの交換や交流を通じて、どん どんと「特色のある大学」「個性あふれるまち」、

そしてそれらが見事に絡み合った「大学と地域 との連携協働によるまちづくり(univercity)」

が増えていくことを、1研究者の卵として、1 大学人として、そして、1国民として願ってや まないばかりである。

参考文献

杉岡 秀紀「大学と地域との地学連携によるまちづくり の一考察」『同志社政策科学研究』第巻第号、

2007

参考資料

関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学・産 経新聞社『第回 大学まちづくりフォーラム~大 学から都市の活性化を~開催報告書』2007 産経新聞月27日朝刊(28面)、2007/07/27

参考URL

都市再生本部HP、2007 

(http://www.toshisaisei.go.jp/03project/dai10/network.

html)2007/10/01

総務省(自治行政局)HP、2007 

(http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daigaku/index.html)

2007/10/01

日本都市計画家協会HP、2007

(http://jsurp.net/)2007/10/01 登別市HP、2007

(http://www.city.noboribetsu.hokkaido.jp/index.html)

2007/10/01 京田辺市HP、2007

(http://www.kyotanabe.jp/1ka1hp/shiminsannkaku/

chigakurenkei/forum/index.html)、2007/10/01 関西学院大学HP、2007

(http://www.kwansei.ac.jp/News?n_id=2417&n_type=1&

yyyy=2007&mm=06)2007/10/01 関西大学HP、2007

(10)

(http://www.kansai-u.ac.jp/calendar/archives/2007/07/

post_432.html) 2007/10/01 立命館大学HP、2007 

(http://www.ritsumei.jp/pickup/detail07_10_j.html)

2007/10/ 同志社大学HP、2007

(http://www.doshisha.ac.jp/japanese/)2007/10/01

参照

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