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フランス連結会計基準の国際的調和(15)

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(1)

著者 大下 勇二

出版者 法政大学経営学会

雑誌名 経営志林

巻 45

号 1

ページ 1‑20

発行年 2008‑04

URL http://doi.org/10.15002/00007886

(2)

〔論 文〕

フランス連結会計基準の国際的調和 (15)

大 下 勇 二

1 .はじめに

2 .国際的調和化に対するフランス会計制度のス タンス

3 .フランス連結会計基準 ( 1 ) 連結範囲の決定基準 ( 2 ) 作成免除(連結免除)

( 3 ) 連結禁止・連結放棄

(以上第35巻第 4 号)

( 4 ) 連結範囲に関する事例

( 5 ) 1998年12月のプラン・コンタブル連結会 計規定の改正

( 6 ) 連結会計の基本原則

(以上第36巻第 2 号)

( 7 ) 個別計算書類の再処理 ( 8 ) 個別計算書類の義務的再処理

① 同質性の再処理

② 税法の適用だけのために行なわれた会 計処理の影響の除去を目的とする再処理

(以上第36巻第 3 号)

③ 繰延税金の会計処理から生ずる再処理

(以上第37巻2号,第 3 号,第 4 号)

( 9 ) 個別計算書類の選択的再処理

① 商 法 典 お よ び プ ラ ン ・ コ ン タ ブ ル

(PCG)により認められたオプション

(以上第38巻第 1 号)

② D248-8 条オプション

(以上第39巻第 2 号)

③ 6 条オプション

(以上第39巻第 3 号)

(10) 外貨換算会計

(以上第39巻第 4 号,第40巻第 1 号)

(11) リース会計

(以上第40巻第 4 号)

(12) 連結計算書類の作成基準

① 資本連結

1 ) 1968年国家会計審議会(CNC)勧告 書における資本連結の特徴

2 ) 1968年国家会計審議会(CNC)勧告 書の適用例

(以上第43巻第 1 号)

3 ) 1968年国家会計審議会(CNC)勧告 書の資本連結の問題点

4 ) 1978年国家会計審議会(CNC)報告 書案および1982年プラン・コンタブ ル・ジェネラルの連結会計規定

(以上第44巻第 3 号)

5 ) 1970・80年代におけるフランス多国 籍企業グループの資本連結処理

(以上本号)

5 ) 1970・80年代におけるフランス多国 籍企業グループの資本連結処理 a. 可能な処理と類型化

1970・80年代におけるフランス企業グループの 連結処理の実態がどのようなものであったのか。

本稿では,まず,当時において可能な処理を整理 し,次に,これを会計基準,連結方式,第一回連 結差額(連結差額)の処理方法,のれんの計上とその 償却期間・償却方法などの点から類型化してみた い。

(1) 会計基準-国内基準型と国際的基準対 応型

1970・80年代のフランスにおける連結会計基準 としては,既述のとおり1968年国家会計審議会 (CNC)勧告書,さらに1978年国家会計審議会報告 書案を経て1986年プラン・コンタブル・ジェネラ ル(PCG)連結会計規定が公表されていた。

(3)

プラン・コンタブル・ジェネラルの連結会計規定 と平行して,連結計算書類に係るEEC指令第 7 号 (1983年)の国内法化のための1985年 1 月 3 日法律 (第85-11号)および当該法律の適用に係る1986年 2 月17日適用デクレ(第86-221号)が制定された。当 該法律の施行は1986年 1 月 1 日以後に開始する年 度から適用されたため,事業年度として暦年をと る企業の多いフランスでは,事実上,1986年12月 31日決算(1986年度)から適用された。

1986年 2 月17日適用デクレ第 1 条には,「ある会 社の第一回連結差額は,連結貸借対照表の適切な 項目に配分される。当該差額のうち割当てられな かった部分は連結貸借対照表の借方または貸方の 特定の項目に計上される。割当てられなかった差 額は,償却プランまたは引当金の戻入れプランに 従い成果計算書に計上される。注記・附属明細書 に正当な理由が記載される例外的な場合,企業の 割当てられなかった第一回連結差額は,自己資本 に計上またはこれから控除することができる」

(1967年 3 月23日デクレに新第248-3 条として収容) と規定され,プラン・コンタブル・ジェネラルの連 結会計規定と同様の取扱いとなっていた。

以上のとおり,1985年度までは1968年国家会計 審議会(CNC)勧告書が,1986年度以後は1985年法 律・1986年適用デクレおよびプラン・コンタブル・

ジェネラルの連結会計規定が,一般に連結計算書 類に係る「仏基準」とされていた。

しかし,企業グループの中には,次のような連 結計算書類を作成している企業が見られた。

・仏基準の枠内で一部を除き米国基準にも一致

・仏基準の枠内で一部を除き国際会計基準(IAS) にも一致

・仏基準の枠内で一部を除き米国基準および IASにも一致

・仏基準の枠内で一部を除き英国基準にも一致 国際的に活動している企業グループあるいは外 国の証券市場に上場している企業グループの中に,

こういった形で国際的基準を採用したものが見ら れた。ここでは,当該タイプを「国際的基準対応 型」と呼び,仏基準のみに従ったタイプの「国内 基準型」と区別したい。

第 1 図表 会計基準の類型 類 型 国内基準型 国際的基準対応型 会計基準 仏 基 準 米国基準 I A S

米国基準

I A S

英国基準 (筆者作成)

このような「国際的基準対応型」のタイプが可 能なのは,仏基準に処理の詳細が規定されていな いものが多かったためである。

(2) 連結方式-仏方式とアングロ・サクソ ン方式 (AS 方式)-

既述のとおり,当時の資本連結の方式には,1968 年国家会計審議会(CNC)勧告書で示されたような 方式(ここでは「仏方式」と呼ぶ)と,アングロ・サ クソン方式(AS方式)が見られた。仏方式とは,資 本連結において,子会社株式の取得原価と「決算 日」の当該子会社純資産における親会社持分とを 相殺する方式である(1)

これに対して,アングロ・サクソン方式(AS 方 式)は,子会社株式の取得原価と「支配取得日」の 当該子会社純資産における親会社持分とを相殺す る方式である。フランスでは,1978年国家会計審 議会(CNC)報告書案で,「アングロ・サクソン方式 (AS方式)」が採用されたが,当該方式が正式に採 用されたのは,1986年プラン・コンタブル・ジェ ネラル(PCG)連結会計規定および上記1985年 1 月 3 日法律の適用に係る1986年適用デクレ(第248-3 条)においてであった。

第 2 図表 連 結 方 式

類 型 仏 方 式 アングロ・サクソン

方式(AS方式)

連結方式

子会社株式の取 得原 価と「決算日」の当該 子会社純資産に おけ る親会社持分と を相 殺する方式

子会社株式の取 得原 価と「支配取得日」の 当該子会社純資 産に おける親会社持 分と を相殺する方式 (筆者作成)

グループの中には,仏方式を採用した企業グル ープもあれば,アングロ・サクソン方式(AS方式) を採用した企業グループも見られた。また,同一 グループでも,年度により方式が異なる企業グル ープが見られた。このような場合,一般には,仏

(4)

方式からアングロ・サクソン方式(AS方式)に転換 したケースであった。

(3) 第一回連結差額(連結差額)および「のれ ん」の処理

既述のとおり,1968年CNC勧告書は,「仏方式」

に基づき連結差額は全額自己資本に計上していた。

無形資産の存在が考えられる場合には「のれん (survaleur)」を資産として計上することも可能で あった。しかし,「のれん」を計上する場合でも,

連結差額を子会社取得価額と決算日時点の純資産 持分部分との差額として捉える限り,「のれん」の 価額や支配獲得後の子会社利益剰余金が適正額を 表示できないという問題があった(2)

1978年CNC報告書案では,「アングロ・サクソ ン方式」に基づき,第一回連結差額は評価差額と 残額に分解され,前者は該当資産に割当て,後者 は取得プレミアム(または危険引当金)として計上さ れ,償却(または利益戻入れ)しない。分解不能の場 合には,差額全額をのれんとする「簡便法」も認 められた。当該のれんは一定期間定額償却される が,期間は明示されなかった(3)。もっとも当該報 告書案は,最終的な公式見解ではなかった。

さらに,1986年 2 月17日適用デクレおよびプラ ン・コンタブル・ジェネラル(PCG)連結会計規定で は,上述のとおり,第一回連結差額は,連結貸借 対照表の適切な項目に割当てられる部分と割当て られない部分に分解される。前者は評価差額部分 であり,後者はのれん部分である。のれん部分は,

償却プランまたは引当金の戻入れプランに従い成 果計算書に計上される。例外的な場合,注記・附 属明細書に正当な理由が記載されることを条件と して,当該のれん部分は自己資本に計上(または控 除)することができる。

PCGの連結規定にも同様の規定がおかれ,第一 回連結差額の分解を規定し,評価差額はこれを一 定の識別可能資産に割当て,割当てられた資産に 適用される規則に従い,償却または減価引当金の 対象となった(PCG, p.Ⅱ.145)。

特定の識別可能資産に割当てることのできない 残額(のれん)は取得差額と呼ばれ,プラスの場合,

無形固定資産として計上し,償却プランに従い組 織的に償却され(特殊な事情の場合に減価引当金の設

定) (PCG, p.Ⅱ.146),マイナスの場合には,危険・

費用引当金として計上し,一定期間利益に戻入れ る。しかし,償却(戻入)期間は明示されず,その 判断は経営者に委ねられた。また,例外的処理と して,自己資本に即時全額計上することが認めら れた。

さらに,上記第一回連結差額の分解が不可能な 場合には,全額を取得差額(のれん)とする簡便法 も認められた(4)

これに対して,米国基準(APB第16号「企業結合」

1970年,第17号「無形資産」1970年)および国際会計 基準(IAS)第22号「企業結合」(1983年)では,「アン グロ・サクソン方式」に基づき差額の分解が行わ れ,特定の資産・負債に割当てられる部分は,当 該資産・負債の処理方法に従い,割当てられない 部分は「のれん」として資産計上されるのが原則 であった。のれんの処理に関しては,米国基準が 原則最大40年での定額償却,IASが原則 5 年以内で の定額償却を定めていた。但し,IAS の場合,正 当な理由があれば20年を超えない期間も可能であ った。

1983年EEC指令第 7 号(指令案1976年)は,第一回 連結差額の評価差額とのれんへの分解を定め,前 者は該当資産に割当て,後者は最大 5 年以内での 償却が原則とされたが,正当な理由がある場合に はそれより長い償却期間(極限的には無限=非償却) を容認していた。

以上のとおり,仏方式かあるいはアングロ・サ クソン方式か,第一回連結差額(連結差額)を分解す るのか,分解した場合には,評価差額部分とそれ 以外の部分をどのように処理するのかについて,

取扱いに相違が見られた。評価差額部分が有形固 定資産に割当てられた場合,当該資産に適用され る規則に従い償却または減価引当金の対象となる ことから特に問題は生じないが,評価差額のうち 識別可能無形資産に割当てられた部分がある場合 のその処理あるいは特定の資産・負債に割当てら れなかった残額の処理については議論が多い。

当該部分を組織的に償却するのか否か,償却す る場合には何年で償却するのか,自己資本(剰余 金)からの即時一括控除を認めるのかなどの点が これである。

(5)

第 3 図表 第一回連結差額(連結差額)の処理方法

連結方式 処理方法 第一回連結差額(連結差額)の処理 タイプ

仏 方 式

のれん計上・残額を自己資本計上処理 (原則法・簡便法)

のれん償却

のれん非償却

のれん非計上・全額を自己資本計上処理

A S方 式

原 則 法

評価差額部分は特定の資産・負債に割当て処理 割当てられない部分は「のれん」として処理

のれん償却

のれん非償却

自己資本控除

簡 便 法 分解なし 全額を「のれん」として処理

のれん償却

のれん非償却

自己資本控除

(筆者作成)

ここでは,「原則法」と「簡便法」の 2 つに区別 したい。「原則法」とは,第一回連結差額(連結差 額)を分解し,評価差額部分は一定の資産・負債に 割当て,当該資産に適用される規則に従い処理さ れ,それ以外の部分は「のれん」として処理する 方法である。のれんの処理には,償却処理,非償 却処理,自己資本控除処理の 3 つの処理パターン がある。

これに対して,第一回連結差額(連結差額)を分解 せず,差額全額を「取得差額」または「のれん」

とする処理を「簡便法」と呼ぶことにする。さら に,のれんの処理について,原則法と同様, 3 つ の処理がある。なお,仏方式でものれんを計上す る場合には,原則法と簡便法が可能である。

以上の処理を類型化すれば,第 3 図表のとおり である。全部で①~⑨の 9 タイプに分類されるが,

会計基準が「国内基準型」か「国際的基準対応型」

かを加味すれば,15タイプが考えられる(国際的基 準対応型のタイプ①~③は考えられない)。さらに,の れんを償却する場合でも,償却期間が一様でなく,

いかなる年数を採用するかにより,処理はさらに 多様なものとなる。

b. 処理の実態と多様性

次に,代表的なフランス多国籍企業グループを取 り上げ,1970年代および1980年代における資本連結 処理の実態を検討し,その多様性を明らかにしたい。

ここで取り上げる企業グループは,レール・リキ ッド(L'Air Liquid)(化学),BSN(食品),カルフール (Carrefour)( 小 売 ),CGE (Compagnie Générale d'Electricité)(重電),クレディ・リヨネ(Crédit Lyonnais) (金融),ラファルジュ(Lafarge)(金属),ロレアル (L'Oréal)(化粧品),ルイビトン・モエエネシー (LVMH)(食品・皮革製品),ぺシネー(Pechiney)(非鉄 金属),プジョーSA (PSA)(自動車),ローヌ・プーラ ンク(Rhône-Poulanc)(化学),サン・ゴバン(Saint- Gobain)(ガラス),トタル(Total)(石油)の13企業グル ープである(5)

(1) レール・リキッド・グループ

レール・リキッド・グループは,「国際的基準対 応型」のタイプ⑦に分類される。第 4 図表は,同 グループの「のれん」およびその他の無形資産の データである。これによれば,総資産に占める無 形資産の割合は比較的高く,1970年代が 3 %~ 4 %,

1980年代に入って 5 %~ 6 %に上昇した。

第 4 図表 資本連結処理に関するレール・リキッド・グループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1976年 1977年 1978年 1979年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年

190 250 255 309 555 931 1,145 1,140 1869

その他の無形資産 3 20 17 25 20 24 27 27 68

6,356 7,477 8,389 9,465 14,233 17,257 19,495 20,760 30,703

無形資産÷総資産 3% 3.6% 3.2% 3.5% 4% 5.5% 6% 5.6% 6.3%

・無形資産=のれん+その他の無形資産 (各年度の年次報告書により筆者作成)

(6)

1 . 会計基準

当該クループは,1970・80年代を通じて,一貫し て米国基準と大きく異ならない処理基準を適用し ていた。同グループの年次報告書(1978年度)には,

「連結純利益で計上された金額は,外貨換算に 係る未実現損益が繰り延べられまたは直接に引当金 に計上されその結果純利益に何ら影響していない点 を除き,一般に認められた米国会計原則に従い確定 す る 連 結 純 利 益 と 大 き く 異 な っ て い な い (not materially different)。そのような損益が計上されてい たならば,税金および少数株主持分控除後の純利益 は10,311千フラン(1977年度は5,220千フラン)だけ減 少していた」(12頁)と表現し,換算に係る処理を除 き米国基準に一致した処理を行っていること,当該 除外項目の純利益への影響額が約 1 千万フランであ ることを明らかにしている。また,監査報告書(11頁) には,これら米国基準に従った処理が,フランスで

「認められる(acceptable)」ことを明示している。

2 . 連結方式

連結方式に関しては,「アングロ・サクソン方式 (AS方式)」が採用されていた。同グループの1977 年度の年次報告書には,

「のれんは,取得価額と取得日の純帳簿価額との差 額を表している。1972年 1 月 1 日以降生ずるのれんは,

一般に認められた米国会計原則に従って40年の期間 にわたり償却されている」(18頁)と注記され,「取得 日」の純帳簿価額を基準に資本連結処理が行われた。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

上記年次報告書の記述にあるように,子会社株式 の取得価額と取得日の純資産簿価における持分部分 との差額は,全額を「のれん(survaleur)」として資 産計上している。「のれん」は固定資産において,有

形固定資産,無形固定資産と並び記載されている。

1979年度の年次報告書附属の連結計算書類におい ても,「のれんは営業権の価値とか潜在的増価の見積 額を表している」( 7 頁)として,潜在的増価(評価差額) が含まれていることを明らかにした。このように,第 一回連結差額(連結差額)の処理は,評価差額を該当資 産に割当てることなく,簡便法的に処理されている。

4 . のれんの償却期間および償却方法

のれんの償却期間および償却方法に関しては,

「1972年 1 月 1 日以降生じたのれんは,一般に認め られた米国会計原則に従い40年にわたり定額償却 されている」(1977年度年次報告書18頁),また「1972 年 1 月 1 日以降生じたのれんは,一般に認められた 米国会計原則に従い40年を超えない様々な期間に わたり定額償却されている」(1983年度年次報告書20 頁)ことから,一貫して米国基準に基づき最大40 年の期間で定額償却していた。なお,無形資産に 関する詳細は記載されていない。

以上のとおり,レール・リキッド・グループは,

国際的基準対応型・AS方式・簡便法・のれん償却 (最大40年)となっており,「国際的基準対応型」の タイプ⑦(償却最大40年)に分類される。

(2) BSN グループ

BSNグループは,「国際的基準対応型」のタイプ⑦ から移行したタイプ④およびタイプ⑤に分類される。

第 5 図表は,同グループの「のれん」およびその他の 無形資産のデータである。これによれば,総資産に占 める無形資産の割合は高く,1970年代が 3 %~ 4 %,

1980年代に入って 5 %~ 6 %に上昇し,特に1988年に 16.5%,1989年には26.1%にまで達した。

従って,のれんを含む無形固定資産の処理いかんが,

同グループの業績に大きな影響を及ぼすことになる。

第 5 図表 資本連結処理に関するBSNグループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1976年 1977年 1980年 1981年 1982年 1983年 1984年 1988年 1989年

82 92 126 247 263 289 307 4,698 8,214

商 標 ・ ブ ラ ン ド 0 0 0 0 0 0 0 0 4,820

その他の無形資産 274 275 348 531 537 562 802 1,714 1,638

9,580 10,737 13,650 13,892 15,089 17,137 20,646 38,839 56,309

無形資産÷総資産 3.7% 3.3% 3.4% 5.6% 5.3% 5% 5.4% 16.5% 26.1%

・無形資産=のれん+ブランド(1989年から)+その他の無形資産

・1989年の商標・ブランドは,第一回連結差額から分離されて別個に計上されたもの。

・1988・89年の「のれん」および「その他の無形資産」の数値は償却累計前の数値。1988年および1989年の無形資産全体 の償却累額はそれぞれ795と862である。

(各年度の年次報告書により筆者作成)

(7)

1 . 会計基準 当該グループは,

「連結計算書類(Les comptes consolidés)は国家 会計審議会の報告書で定義された原則の枠内で作 成されている。グループの国際的な活動に鑑みて,

以下の点を除き連結財務諸表が米国で一般に認め られた会計原則に一致する(soient conformes)ため に,種々の会社の財務諸表(les états financiers)は 再処理されている」(1977年度の年次報告書23頁) と注記し,1970・80年代を通じて一貫して,仏基 準の枠内で一部を除き米国基準に適合した連結計 算書類を作成していた。一部除外事項としては,

換算,早期退職および子会社本社建物売却益に係 る処理が挙げられている。

2 . 連結方式

連結方式としては,「アングロ・サクソン方式(AS方 式)」が採用されていた。1977年度の年次報告書には,

「参加の取得時に認識されたのれん(survaleur)(取 得価額が取得日の当該会社の純資産持分部分を超える 額)は貸借対照表上資産に計上され,一般に40年の 期間にわたり償却されている」(23頁)と注記され,

「取得日」の純資産を基準に資本連結処理が行わ れたことがわかる。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

上記年次報告書の記述にあるように,支配取得 時に認識された「のれん」は,子会社株式の取得 価額と取得日の純資産持分部分との差額として捉 えられている。しかし,第一回連結差額のうち評 価差額部分を該当資産に割当てた点の記載はない が,簡便法的に差額全額をのれんとして資産計上 しているものと思われる。

しかし,1989年度の年次報告書によれば,評価 差額への該当資産への割当ての記述が見られ,さ らに,

「第一回連結差額の1989年における商標・ブラ ンドへの割当ては,Nabisco (1989年取得),HPFood およびLea and Perrins (1988年に取得)の最近の取 得に関するものである。首尾一貫性を確保するた めに,1986・87年に取得したGénérale Biscuitグル ープの第一回連結差額もブランドへの割当ての対 象となっている」(43頁)

と注記して, 1989年からフランス会計組織の勧告 に従い,第一回連結差額の分解を行い,評価差額 を該当資産に割当て,さらに商標・ブランドとし て個別に計上した。

すなわち,同企業グループは,1989年度におい て初めて,第一回連結差額から「商標・ブランド (marques)」相当部分を分離し,これを貸借対照表 上無形固定資産として認識・計上する処理を行っ たのである。同クループの商標・ブランドは,取 得されかつ広告・宣伝により維持されているもの で,重要性がありかつ永続的な価値の商標・ブラ ンドに限られている。その評価額は,専門家の助 けを借りて,評判や成果への貢献を特に考慮して 算定された(1989年度の年次報告書43頁)。

4 . のれんの償却期間および償却方法 のれんの償却期間および償却方法に関しては,

上記のとおり,米国基準に従い最大40年の期間で定 額償却していた。なお,同企業グループの「その他 の無形固定資産」は,営業権(fonds de commerce),

商標・ブランド(marques),営業許可(licences),

特許権(brevets),賃借権(droit au bail)から構成さ れており,取得原価で計上した上で,営業権は最 大40年,その他の資産は経済的年数にわたり定額 償却していた(例えば,1981年度年次報告書添付の連結 計算書類 5 頁,1989年度年次報告書43頁)。

また,「商標・ブランド」については,処理方法 が変更され,1989年以降,法的保護を受けるブラ ンドは償却の対象となっていない。これら商標・

ブランドは組織的償却ではなく,価値の低下が重 大かつ永続的な場合における減損処理を採用した。

以上のとおり,BSNグループは,国際的基準対 応型・AS方式・簡便法・のれん償却(最大40年)か ら,国際的基準対応型・AS方式・原則法・のれん 償却(最大40年)に移行し,さらに第一回連結差額か ら分離した商標・ブランドについては,非償却(減 損)処理を採用した。

これから,同グループは,「国際的基準対応型」

のタイプ⑦から移行したタイプ④(償却最大40年) およびタイプ⑤(非償却)に分類される。

(3) カルフール・グループ

カルフール・グループは,「国際的基準対応型」

(8)

のタイプ⑦に分類される。第 6 図表は,同グルー プの「のれん」およびその他の無形資産のデータ である。これによれば,総資産に占める無形資産

の割合は1970・80年代を通じて 2 %前後となって おり,それほど高くないといえる。

第 6 図表 資本連結処理に関するカルフール・グループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1974年 1975年 1976年 1977年 1978年 1979年 1980年 1981年 1982年

4 36 47 68 88 107 113 130 132

その他の無形資産 37 35 36 41 40 34 58 31

2,322 2,622 3,525 4,374 5,375 6,269 6,948 8,717 9,851

無形資産÷総資産 0.2% 2.8% 2.3% 2.4% 2.4% 2.3% 2.1% 2.2% 1.7%

・無形資産=のれん+その他の無形資産 (各年度の年次報告書により筆者作成)

1 . 会計基準

カルフール・クループは,

「グループの連結財務諸表(les états financiers consolidés)は,前年同様,米国で一般に認められ た会計原則に一致して(en accord avec les principes comptables gégéralement admis aux USA)作成され ている」(1975年度年次報告書 5 頁)

また,「グループの連結財務諸表は,換算の影響 の為替変動引当金(正の換算の影響は引当金繰入の対 象となっている)を除き,前年同様,米国で一般に 認められた会計原則に一致して作成されている」

(1982年度年次報告書 8 頁)

と注記して,一貫して米国基準にほぼ一致した連 結財務諸表を作成していた。

2 . 連結方式

連結方式に関しては,1975年度の年次報告書に,

「 38,081,000 フ ラ ン の 償 却 前 金 額 の の れ ん (survaleur)は,Sogramo, Venette Superstore, Italmare,

Soracma の株式の取得価額と,株式の取得時のこ

れら会社の純資産価額との差額を表しており,20 年の期間にわたり償却されている」( 6 頁)と注記さ れたことから,「取得日」の純資産を基準とする「ア ングロ・サクソン方式(AS方式)」が採用されていた ことがわかる。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

上記年次報告書の記述からは,第一回連結差額 のうち評価差額部分を該当資産に割当てたかどう かの記述はないが,簡便法的に差額全額をのれん として資産計上していたものと見られる。

4 . のれんの償却期間および償却方法 のれんの償却期間および償却方法に関しては,

上記のとおり,20年の期間にわたって定額償却し ていた。なお,同企業グループの無形固定資産は 合併により生じた「営業権(fonds de commerce)」

から構成されており,営業権は20年の期間で定額 償却された。

以上のとおり,カルフール・グループは,国際 的基準対応型・AS 方式・簡便法・のれん償却(最 大20年)を採用しており,「国際的基準対応型」の タイプ⑦(最大20年償却)に分類される。

(4) CGE クループ

CGEグループは,「国内基準型」のタイプ⑧に分 類される。第 7 図表は,同グループの「のれん」お よびその他の無形資産のデータである。これによれ ば,総資産に占める無形資産の割合は1970・80年代 を通じて 1 %未満となっており,極めて低い。

第 7 図表 資本連結処理に関するCGEグループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1976年 1977年 1978年 1979年 1981年 1982年 1983年

72 73 51 199 207 271 266

その他の無形資産

19,079 22,981 24,576 27,773 59,057 68,217 80,704 の れ ん ÷ 総 資 産 0.4% 0.3% 0.2% 0.7% 0.4% 0.4% 0.3%

・その他の無形資産に関するデータなし (各年度の年次報告書により筆者作成)

(9)

1 . 会計基準

CGE グループは,「連結計算書類は国家会計審 議会の報告書で定義され,1968年 3 月20日付経 済・財政省令により承認された原則を適用して作 成されている」(1978年度年次報告書77頁)との注記 から,1968年国家会計審議会(CNC)勧告書に基づ く連結計算書類が作成されていた。

2 . 連結方式

連結方式に関しては,1976年度の年次報告書に,

「被連結会社株式の取得価額と親会社の保有有価 証券への流入日の当該会社の純資産相当額との間 に認識される超過額は,資産の“のれん”項目に 計上されている」(68頁)と注記され,「アングロ・

サクソン方式(AS方式)」が採用されていたことが わかる。「親会社の保有有価証券への流入日」とは,

株式の「取得日」を意味すると見られるからであ る。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

上記年次報告書の記述からは,第一回連結差額 のうち評価差額部分を該当資産に割当てたかどう かの記述はないが,簡便法的に差額全額をのれん として資産計上していたものと見られる。

4 . のれんの償却期間および償却方法 のれんの償却期間および償却方法に関しては,

同グループはのれんを償却していない。

以上のとおり,CGEクループは,国内基準型・

AS方式・簡便法・のれん非償却を採用しており,

「国内基準型」のタイプ⑧(非償却)に分類される。

(5) クレディ・リヨネ・グループ

クレディ・リヨネ・グループは,「国内基準型」

のタイプ③から移行したタイプ⑦に分類される。

第 8 図表に見られるとおり,仏方式に基づき連結 差額は「連結増価」として自己資本に計上された が,1987年度からのれんの計上が行われた。

第 8 図表 資本連結処理に関するクレディ・リヨネ・グループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1976年 1977年 1978年 1979年 1980年 1981年 1982年 1983年 1984年 1985年 1986年 1987年

の れ ん 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 431

連結増価 +300 369 282 367 425 434 785 752 1,085 1,058

・1986年度までは「のれん」の計上はなし。

・連結増価(plus-values de consolidation)は貸方「自己資本」項目として計上されている。

(各年度の年次報告書により筆者作成)

1 . 会計基準

当該クループは,「連結計算書類の作成のために 適用される規則は,過年度と同様,国家会計審議 会および証券取引委員会により採択された原則を 手本としている」(1976年度の年次報告書64頁)と表 現し,また,「これら規則は正しく適用され,我々 はそれらが1968年 3 月20日付経済・財政省令によ り承認された国家会計審議会勧告書に準拠してい ると証明することができる」(同監査報告書64頁)と 述べ,さらに,1987年度からは,同グループは「連 結財務諸表を作成する上で適用される規則は,国 家会計審議会により確立された原則,金融機関の 連結財務諸表に関する1985年12月銀行規制委員会 決定および1986年 5 月銀行委員会命令に基づいて いる」(1987年度年次報告書59頁)と注記し,1970・

80年代を通じて一貫して,国家会計審議会および

証券取引委員会(COB)の勧告に従い,かつ銀行規 制に基づいて連結計算書類を作成していたことが わかる。

2 . 連結方式

連結方式としては,「連結増価」と呼ばれる連結 差額が自己資本に計上されていることから,1968 年国家会計審議会勧告書に従い,「仏方式」がスト レートに採用されていたものと見られる。

しかし,1987年度からは,新たに「のれん」が 計上された。当該のれんは「特定の資産または負 債に割当てできない部分について,親会社の子会 社株式の価額が取得日の子会社純資産額を上回る 額を表している」(1987年度の年次報告書59頁)と注 記されており,この点から「仏方式」から「アン グロ・サクソン方式(AS方式)」へ転換したことが推

(10)

察される。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

「仏方式」による連結方式の場合,子会社株式 の取得価額価と「決算日」のその純資産額との差 額は,連結差額としてすべて自己資本に計上され る。クレディ・リヨネ・グループの場合,「仏方式」

に基づき,当該差額を「連結増価(plus-values de consolidation)」というプラスの項目で自己資本に 計上している。

しかし,既述のとおり,「アングロ・サクソン方 式(AS方式)」へ転換した1987年度からは,取得日 に「のれん」が認識されている。この場合,上記 のとおり,原則法が採用されて第一回連結差額の うち評価差額部分は該当資産に割当てられている。

4 . のれんの償却期間および償却方法 のれんの償却期間および償却方法に関しては,

1987年度において,「のれんは子会社の事業活動に

応じて決定される期間(現在のところ 5 年~10年)に わたり定額償却されている。未償却のれんはのれ ん項目の下で貸借対照表に計上されている」(1987 年度の年次報告書59頁)と注記され,一定期間で定額 償却された。

以上のとおり,クレディ・リヨネ・クループは,

国内基準型・仏方式・自己資本計上から国内基準 型・AS方式・原則法・のれん償却(償却 5 年~10年) に移行し,「国内基準型」のタイプ③から移行した タイプ⑦(償却 5 年~10年)に分類される。

(6) ラファルジュ・グループ

ラファルジュ・グループは,「国際的基準対応型」

のタイプ⑥に分類される。第 9 図表は,同グルー プの「のれん」およびその他の無形資産のデータ である。これによれば,総資産に占める無形資産 の割合は,1975年以降 1 %未満となっており,極 めて低い。同社ののれん処理の特徴は,自己資本 からの即時一括控除処理を採用した点である。

第 9 図表 資本連結処理に関するラファルジュ・グループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1974年 1975年 1976年 1977年 1978年 1979年 1981年 1982年 1983年

34 16 17 -25 -23 -10 38 27 44

その他の無形資産 17 4 2 2 1 1 8 7 8

3,938 4,251 4,528 4,860 4,930 5,943 17,838 18,065 19,343

無形資産÷総資産 1.3% 0.5% 0.4% -0.5% -0.4% -0.2% 0.3% 0.2% 0.3%

の れ ん ÷ 剰 余 金 5% 2.1% 2% 2.5% 1.8% 0.6% 1.8% 1.4% 2.4%

・のれんは資産に計上せず,全額を即時に自己資本(剰余金)から控除。

・無形資産=のれん+その他の無形資産 (各年度の年次報告書により筆者作成)

1 . 会計基準 当該クループは,

「ラファルジュ株式がロンドン証券取引所に最 初に上場された1972年10月以降,連結計算書類は,

国家会計審議会により定義された連結の基礎に忠 実であり,英国で一般に認められた会計原則とり わけ連結の基礎に一致するよう作成されてきた。

これら二つの目標は,以下に続く連結の基礎およ び会計原則の陳述または注記の中で説明されてい る一定の例外を条件として,ほぼ達成されてき た。」(1975年度年次報告書附属財務書類16頁) と表現し,1970・80年代を通じて,一部の例外を 除き,仏基準に従いつつ英国基準にも適合した連 結計算書類を作成してきた。

英国基準にも適合している点については,ロン ドンの「トゥシュ・ロス(Touche Ross&Co.)」勅 許会計士事務所による報告書をフランスの監査人 (会計監査役)とは別個に掲載している。例えば,

「我々の意見では,これら会計原則は,54頁に報 告されている点を除き,英国で一般に認めれた会計 原則に一致している」(1983年度の年次報告書62頁)。

2 . 連結方式

連結方式に関しては,「アングロ・サクソン方式 (AS方式)」が採用されていた。1975年度の年次報 告書附属の財務書類には,

「子会社・関連会社における投資原価が取得日 の純資産持分を上回る部分の会計処理は,それが

(11)

のれんを表していのるか識別可能な固定資産を表 しているのかによって異なる。当該超過部分が有 形・無形固定資産の価額の過小表示を表している ものについては,適切な資産勘定に割当てられ,

通常の方法で償却される。当該超過部分がのれん を表しているものについては,資産として貸借対 照表に含めるのではなく,取得年度の剰余金から 控除される。グループ会社による事業吸収から生 ずるのれんは,同様に処理されている」(17頁) と注記され,「取得日」の純帳簿価額を基準に資本 連結処理が行われた。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

上記年次報告書の記述にあるように,子会社株 式の取得価額と取得日の純資産簿価における持分 部分との差額は,「評価差額」部分と「のれん」部 分に分解され,前者は該当する資産に割当て,当 該資産の処理ルールに従って処理されている。こ れに対して,後者の「のれん」部分は,自己資本 の剰余金に即時全額チャージした。

4 . のれんの償却期間および償却方法

「のれん(survaleur)」に関しては,上述のとお

り,即時に剰余金から全額控除または加算されて いる。なお,無形資産は取得した商標・ブランド,

特許権,賃借権等から構成されており,自己資本 (剰余金)から即時控除される「営業権(fonds de commerce) 」を除き,適切な期間にわたり定額償 却された(例えば,1983年度年次報告書55頁)。

従って,ラファルジュ・グループの無形資産に 関する処理は,営業権とのれんは,自己資本から 即時控除,その他の無形資産は一定期間・定額償 却となっていた。

以上のとおり,ラファルジュ・グループは,国 際的基準対応型・AS方式・原則法・自己資本控除 を採用しており,「国際的基準対応型」のタイプ⑥ (自己資本控除)に分類される。

(7) ロレアル・グループ

ロレアル・グループは,「国内基準型」のタイプ

②から移行したタイプ⑧に分類される。第10図表は,

同グループの「のれん」およびその他の無形資産の データである。これによれば,総資産に占める無形 資産の割合は著しく変動しているが,1980年代は 7 %~ 8 %に推移し高いといえる。従って,のれん を含めた無形資産の処理の影響は大きい。

第10図表 資本連結処理に関するロレアル・グループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1969年 1970年 1971年 1972年 1973年 1974年 1975年 1976年 1977年

連結差額(のれん) 30 30 1 6 86 210 232 242 262

その他の無形資産 15 20 20 45 81 96 99 99 98

811 1,036 1,196 1,482 2,410 2,919 3,154 3,465 3,805

無形資産÷総資産 5.5% 4.8% 1.8% 3.4% 6.9% 10.5% 10.5% 9.8% 9.5%

資本連結処理に関するロレアル・グループの財務データ (単位:百万フラン) (続き) 年 度 1978年 1979年 1980年 1981年 1982年 1983年 1984年 1985年

連結差額(のれん) 273 301 414 409 409 424 509 535

その他の無形資産 98 102 190 196 200 395 499 437

4,319 5,274 6,762 7,353 8,519 10,936 12,923 13,260

無形資産÷総資産 8.6% 7.6% 8.9% 8.2% 7.1% 7.% 7.8% 7.3%

・無形資産=のれん+その他の無形資産 (各年度の年次報告書により筆者作成)

1 . 会計基準

会計基準に関して,当該クループは特に言及し ていないが,一貫して仏基準を適用していたもの と見られる。

2 . 連結方式

連結方式に関しては,当初,「仏方式」が採用さ れていた。すなわち,

「連結から生ずる差額は,被連結会社への投資 有価証券全体の取得価額と,当期の12月31日のそ れらの当期利益処分前の純帳簿価額(資本金,積立

(12)

金および特別引当金)とのプラスまたはマイナスの 差額である。マイナスの連結差額は,大部分,投 資有価証券の取得価額が再評価されていない固定 資産の項目,またはブランドや一般的な無形価値 といった貸借対照表で計上されていない潜在的増 価を考慮しているという事実から生じている」

(1973年度年次報告書28頁)

と注記され,「決算日」の純帳簿価額を基準に資本 連結処理が行われた。

しかし,1977年度年次報告書では,連結差額を

「被連結株式の取得価額の追加額(Complément de valeur d'acquisition des titres consolidés)」(英文で は「のれん(goodwil)」)と呼び,「当該項目は,被連 結会社の株式の取得価額と取得時の当該会社の純 資産価額との差額に関わっている」(33頁)と注記 して,「取得日」の純帳簿価額を基準とする「アン グロ・サクソン方式(AS方式)」に転換した。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

上記1973年度の年次報告書の記述にあるように,

連結差額には「評価差額」が含まれており,従っ て,ロレアル・グループは子会社株式の取得価額 と当該会社の純資産簿価との差額を,すべて連結 差額として処理していたものと見られる。

4 . のれんの償却期間および償却方法 ロレアル・グループの監査報告書によれば,「資 産項目「被連結株式の取得価額の追加額(のれん)」 は,過年度と同様,償却の対象としていない」(1977 年度監査報告書32頁)と述べられ,「取得差額(のれん)」 は組織的な償却を行わず,減損処理した。なお,同 グループの無形固定資産は,特許権,商標・ブラン ド,賃借権により構成されていた(1981年度年次報告 書附属書類26頁における貸借対照表項目内訳参照)。

以上のとおり,ロレアル・グループは,国内基 準型・仏方式・簡便法・のれん非償却から国内基 準型AS 方式・簡便法・のれん非償却に移行して おり,「国内基準型」のタイプ②(非償却)から移行 したタイプ⑧(非償却)に分類される。

(8) ルイビトン・モエエネシー (LVMH) ルイビトン・モエエネシー・グループは,「国内 基準型」のタイプ③から移行した「国際的基準対 応型」のタイプ④に分類される。第11図表は,同 グループの「のれん」,商標・ブランドおよびその 他の無形資産のデータである。これによれば,総 資産に占める無形資産の割合は著しく変動してい るが,1980年代,特に1987年には19.6%に達する など著しく高い。同社の特徴は商標・ブランドを 分離した点であり,のれんやブランド等を含めた 無形資産の処理の業績への影響は大きい。

第11図表 資本連結処理に関するLVMHグループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1971年 1972年 1975年 1976年 1978年 1979年 1980年 1981年 1983年 連 結 差 額 ( 貸 方 ) -415 -416 -146 -190 -334 -156 -337 -196

132

商 標 ・ ブ ラ ン ド 0 0 0 0 0 0 0 0 0

その他の無形資産 30 36 32 32 35 34 34 97 247

1,158 1,322 2,097 2,256 2,934 3,402 4,121 5,027 7,768

無形資産÷総資産 38.4% 34.2% 8.5% 9.8% 12.6% 5.6% 9% 5.8% 4.9%

資本連結処理に関するLVMHグループの財務データ (続き) 年 度 1984年 1985年 1986年 1987年 1988年

連 結 差 額 ( 貸 方 )

150 115 95 2,292 2,237

商 標 ・ ブ ラ ン ド 0 0 0 1,618 1,581

その他の無形資産 229 220 207 64 98

9,016 9,880 10,754 20,318 28,312 無形資産÷総資産 4.2% 3.4% 2.8% 19.6% 13.8%

・1986年度までのデータはモエ・エネシー社のデータ。同社は1987年度にルイ・ビトン社と合併し,ルイビトン・モエエネ シー(LVMH)となっている。

・1983年度のデータは1984年度年次報告書(米国基準対応)から抽出したもの。

・無形資産=連結差額・のれん+商標・ブランド+その他の無形資産

・貸方「連結差額」(マイナス値)は「のれん」に相当するものとして計算。

(各年度の年次報告書により筆者作成)

(13)

1 . 会計基準

1983年度までは,ルイビトン・モエエネシー (LVMH)グループは,会計基準に関して特に言及し ていないが,一貫して仏基準を適用していたもの と見られる。

しかし,1984年度には,

「当グループの連結計算書類は,米国で一般に 認められた会計基準およびEEC指令第 7 号の会計 規定と一致して(en conformité avec)作成されてい る。これら会計原則は,1984年度に初めて適用さ れたものである」(1984年度年次報告書31頁) と注記して,1984年度の連結計算書類から米国基 準および EEC 指令第 7 号(連結計算書類)に一致し た処理を行ったことを明らかにしている。

さらに,EEC 指令第 7 号の国内法化に係る1985 年 1 月 3 日法律の施行(1986年 1 月 1 日以後に開始する 年度から適用)に伴い,1986年度では「連結財務諸表 は1985年 1 月 3 日フランス法に従って(in compliance with)作成されている。それは,また,米国で一般 に認められた会計原則に一致して(in accordance with)いる」と注記され,フランス法の規定に準拠 して作成された連結計算書類が米国基準にも合致 していることを明らかにした。

しかし,モエ・エネシーとルイビトンが合併して ルイビトン・モエ・エネシー(LVMH)グループとな った1987年度には,「連結財務諸表は1985年 1 月 3 日フランス法に従いかつ IAS (国際会計基準)に一 致して作成されている」と注記し,米国基準対応 からIAS対応に変更されている。

2 . 連結方式

連結方式に関しては,「仏方式」が採用されてい た。すなわち,

「貸方差額は,連結持分の投資原価が子会社の 純資産に占める親会社の持分額より少ない場合の その差額を表している。これとは逆に,借方の差 額が発生する理由は,一般に,連結の範囲に含ま れる会社の資産については時価評価を行うことが できないため,含み益があっても貸借対照表能力 がないがゆえに,表にでてくることがないことに よるものである」(1972年度年次報告書41頁),「連結 から生ずる差額は,被連結会社の購入価額と当期 利益処分前の1976年12月31日のこれら会社の純資

産簿価における親会社持分額とのプラスまたはマ イナスの差額の残高を表している」(1976年度年次 報告書35頁)

と注記され,決算日を基準とする「仏方式」が採 用されていた。

しかし,同グループは,米国基準対応の1984年 度連結計算書類から,

「のれんは,資産・負債項目に割当てできる特 有の項目を控除して,被連結会社の株式の取得価 額と取得日のその純資産におけるモエ・エネシー グループの持分額との差額を表している。のれん は40年を超えない期間にわたり定額償却されてい る」(1984年度年次報告書31頁)

と注記していることから,「取得日」の純帳簿価額 を基準とする「アングロ・サクソン方式(AS方式)」 に転換したことがわかる。

3 . 第一回連結差額(連結差額)の処理

上記1972年度の年次報告書の記述にあるように,

連結差額には「評価差額」が含まれており,従っ て,同グループは子会社株式の取得価額と当該会 社の純資産簿価との差額を,すべて連結差額とし て処理(簡便法処理)していたものと見られる。

しかし,米国基準対応の1984年度からは,第一 回連結差額から評価差額部分を控除して該当資 産・負債に割当てたことが注記されている。

また,IAS 対応の1987年度では,1987年 1 月 1 日 のヴーヴ・クリコ社(Veuve Clicqot)の取得(パーチ ェス法で処理)により生じた第一回連結の差額につ いて,以下の処理が行われている(1987年度年度報告 書48-49頁)。すなわち,当該企業の取得原価(取得 代価)4,514百万フランは,公正価値に基づいて,

・商標(トレード・マーク,ブランド); 1,355百万 フラン

・土地・プラント・設備; 635百万フラン

・長期負債(非流動資産を控除); (429百万フラン)

・流動資産(正味); 1,041百万フラン といった形で配分されている。

この合計額2,602百万フランはヴーヴ・クリコ社 から取得した資産・負債の公正価値である。当該 公正価値と取得代価との差額1,912百万フランは

「のれん」(同グループは“cost in excess of net assets of acquires business”と表現)として処理された。つ

(14)

まり,第一回連結差額から評価差額部分および商 標・ブランド部分を分離し,残額をのれんとして 処理したのである。

なお,ルイビトン社との合併は持分プーリング 法で処理され,のれんは発生していない。

4 . のれんの償却期間および償却方法 上記のとおり,米国基準対応の1984年度から,

第一回連結差額のうちのれんに相当する部分は,

40年 を 超 え な い 期 間 に わ たり 定 額 償 却 さ れ た (1984年度年次報告書31頁)。

さらに,1987年度のヴーヴ・クリコ社の取得の場 合,第一回連結差額から分離された商標・ブランド は,40年で償却されている(1987年度年次報告書49頁)。

また,同グループのその他の無形資産は主とし て取得した商標・ブランドから構成されており,

見積有効年数か40年のいずれか短い期間で定額償 却されている(1984年度年次報告書31頁)。

以上のとおり,ルイビトン・モエエネシー・グ ループは,国内基準型・仏方式・自己資本計上か ら国内基準型・AS 方式・原則法・のれん償却(最 大40年償却)に移行しており,「国内基準型」のタイ プ③から移行した「国際的基準対応型」のタイプ

④(最大40年償却)に分類される。

(9) ぺシネー・グループ

ぺシネー・グループは「国際的基準対応型」の タイプ④に分類される。第12図表は,同クループ の「のれん」およびその他の無形資産のデータで ある。これによれば,総資産に占める無形資産の 割合は 1 %前後で推移していたが,1980年代に入 ると 2 %を超えた。

第12図表 資本連結処理に関するぺシネー・グループの財務データ (単位:百万フラン) 年 度 1972年 1973年 1975年 1976年 1977年 1978年 1981年 1982年 1983年 1984年

41 128 -52 -39 -47 -89 -35 -53 -55 -55

その他の無形資産 100 116 161 167 168 157 781 895

産 19,973 21,340 24,523 27,203 28,515 30,098 28,629 30,403 33,843 37,486

無形資産÷総資産 0.9% 1.1% 0.4% 0.5% 0.4% 0.2% 2.1% 2.2%

・無形資産=のれん+その他の無形資

・1981・82年におけるその他の無形資産のデータなし。

(各年度の年次報告書により筆者作成)

1 . 会計基準

ぺシネー・クループ(旧社名ぺシネー・ユジーヌ・

キュルマン; PUK)の1973年度年次報告書には,

「計算書類は1968年 3 月20日付経済・財政省令 により承認された国家会計審議会の報告書によっ て定義されている原則を適用して連結されている。

その上,グループの国際的な活動な鑑み,それら は米国で一般に認められた会計原則に一致 (se conforment)している」(35頁)

と注記し,また,1976年度年次報告書には,

「計算書類は1968年 3 月20日付経済・財政省令 により承認された国家会計審議会の報告書によっ て定義されている原則を適用して連結されている。

その上,グループの国際的な活動な鑑み,それら は1976年 3 月11日付国際会計基準委員会第 3 号の 勧告および米国で一般に認められた会計原則(た だし為替換算損益に関する FASB 規則第 8 号(1975年10 月)を除く)に一致(se conforment)している」(17頁)

と表明して,仏基準を適用しつつIAS第 3 号およ び米国基準(一部除外)にも一致した「国際的基準対 応型」の連結計算書類を作成していた。

2 . 連結方式

連結方式に関しては,国際的基準対応型の点から,「ア ングロ・サクソン方式(AS方式)」が採用されていたもの と見られる。同グループの1977年度年次報告書には,

「のれんは,資産および負債の特定の項目に正 確に割当てることができない一般的性質のものだ けである。これらのれんは定額償却されている。

償却期間は,1972年度までは一般に10年で計算さ れていた。1973年度では,明確な兆候により迅速 な償却が強制されるものでないすべての場合,当 該期間は,40年に延長された」(42頁)

としてこの点が明確にされていなかったが,1984 年度年次報告書には,

「被連結会社の株式の取得価額と親会社保有有

参照

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