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大学生の体格 と体力 との関係について

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Academic year: 2021

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(1)

研究論文

大学生の体格 と体力 との関係について

千 葉 義 信

Abs t r act

Thepurposeofthisstudywastoexaminetherelationshipbetweenphysiqueandphysical Btnessofuniversity students.The examineeswere 114 Studentsin 2006 (age:18.9±1.3),

100Studentsin2007(19.0±1.3),47Studentsin2008(19.4±1.8)and35Studentsin2009 (19.7±1.8).TheResearchwascarriedoutwithregardtoheight,weight,grip‑strength,sit‑ up,sitting‑trunk‑lefxion,side‑step,201meterShuttle‑run and standingllongl'ump.Their resultswere:

1)Thereweresignificantpositiverelationship between heightandgrip‑strength,standing‑ long‑jump,sitting‑trunk‑flexionandside‑step.

2)Thereweresignincantpositiverelationshipbetweenweightandgrip‑strength.Furthermore, thereweresignificantnegativerelationshipbetweenheightand20‑meter‑shuttle‑run.

Keywor ds:

physique,physicalfitness,universitystudents キー ワー ド :体格、体力、大学生

は じめに

文部科学省 (旧文部省)の体力 ・運動能力テ ス ト (スポーツテス ト)は、昭和36年 (1961年) に成立 した 「スポー ツ振興法」に基づ き、保健 体育審議会の答 申を基 に、昭和39年 (1964年) よ り開始 された。テス トの内容 は、体力診断テ ス ト (反復横 とび、垂直 とび、他)、運動能力 テス ト(50m走、走 り幅 とび、他 :年齢、性別 によ り種 目が異なる)、競技種 目別テス ト (持 久走、 急歩 、他) の3部 門か ら構成 され てい た10)。 これ らのテス トは、 ヒ トの体力 を総合的 に推定す ることを 目的 としたバ ッテ リーテス ト (組テス ト)の代表 ともいえる。 テス トは若干 の修正、追加 と共に長 きに渡 り続 け られ、毎年

「体育の 日」に公表 され、国民の体力 ・運動能 力に対す る関心を高めてきた。 これ らのテス ト

は、高齢者テス トの必要性、測定上の安全性、

テス ト項 目の妥当性の再検討 がな され、平成11 午 (1999年) よ り 「新体カテス ト」 として改め

られ た。 文部科学省13)は従来 の体力テ ス トか ら新体カテス ト‑の移行 に関 して、まず所要時 間の短縮化の観点か ら、よ り実施 しやすいテス トとす るために測定方法の簡易化やテス ト項 目 の選定を実施 した。現在、新体カテス トは、多

くの研究機 関、教育機 関で実施 さらデータの蓄 積が続 け られてい る14)15)。テス トの結果は、測 定対象者 と全国平均 との比較5)、同一校 内での 年次差の比較 1)、他校同世代の者 との比較11)、 留学生の体力把握8)等様々に利用 されている。

さらに、調査校独 自の評価基準値の算出等 も行 われている2)。 また、筆者3) 4)は、同様 のテス トをタイ国、カンボジア国で実施 して報告 して きた。

(2)

表1 被験者 の年代別身体的特徴

N 年齢 身長 体重 体脂肪 BM I

(cm) (kg) (%) (kg/m2) 2006年度 114

SD

2007年度 100 SD

2008年度 47 SD

2009年度 35 SD

平均 296 SD

9.30.3497813819.190919111111

65.4 19.4 22.4 ll.7 6.6 4.0 64.4 19.6 22.5 14.1 6.9 4.7 66.3 21.3

13.1 6.8 62.4 18.5 9.7 5.8 64.9 19.7 12.6 6.7 SD:StandardDeviation

本報 は、男子大学生 を対象 に新体カテス トを 実施 して、体格 (身長 と体重) の違 いが、体力 テス トの結果 に及 ぼす影響 を調査 して、体格 と 体力 との関係 について検討す るものである。

方法

1.調査対象

神奈川県内大学の在学生であ り、2006年度 、 2007年度、2008年度、2009年度の 「健康 ・体育 ・ スポー ツ関連科 目」 を履修 した男子学生 (以下 被験者 )296名 で あった。被験者 の年代別身体 的特徴 を表 1に示 した。対象4ヶ年 の平均 は、年 齢19.1±1.3歳 、身長170.2±6.3cm、体重64,9±

12.6kg、体脂肪19.7±6.7%、BMI22.4±4.2であっ た。文部科学省スポーツ ・青少年局による体力 ・ 運動能力調査報告書14)による と平成18年度 の1 9歳男子 の平均身長 が171.5cm、体重が63.6kgで ある。本報の被験者 は、 これ らの全 国平均 と比 較す ると、身長 がやや低 く、体重がやや重い も のの、ほぼ平均的な19歳男性 の範 囲である と考 え られ る。

2.

調査期間

各年度授業開始2週 目か ら3週 目を利用 した。

134国際経 営論集 No.38 2009

3.

測定項 目

文部科 学省 スポー ツ ・青少年 局 の規 定13)に 従 い、体格測定項 目として 「身長

「体重」 の 計測 、体力テ ス ト項 目として以下 の6種 目を実 施 した。

1)握力 :筋力要素測定 2)上体起 こし :筋持久力測定 3)長座体前屈 :柔軟性測定 4)反復横 とび :敏捷性測定

5)20mシャ トル ラン :全身持久力測定 (上限 を100回 とした)

6)立ち幅 とび :瞬発力測定

4.統計処理

得 られ たデー タの解析 には統計 ソフ トSPSS 12.0fbrwindowsを使用 し、相 関係数 にはPearson の相 関係数 を採用 した。

結果および考察

体力 を身体的要素 と精神 的要素 に分類 し、更 にそれぞれ を行動体力 と防衛体力 に分類 し検討 してい くことは既 に周知 である9)。一般 に体力 測定 とは、 ここでい う身体的要素の中の行動体 力 の一部 を測定す るこ ととなる.文部科学省13)

は、体力測定における体力評価 区分 について、

(3)

握力 を筋力の評価、上体起 こしを筋持久力の評 価、長座体前屈 を柔軟性 の評価、反復横 とびを 敏捷性 の評価、20mシャ トル ランを全身持久力 の評価、立ち幅 とびを瞬発力の評価‑それぞれ 置 き換 えている。表2に体力測定か ら得 られた 各測定の度数、平均値 、標準偏差、最大値、最 小値 を示 した。松浦12) は、発育 は形態的な増 加 を意味 し、発達は機能 ・能力の発生、拡大、

増加 を意味す るとした上で、 「発育 と発達は現 象 としては相互に独立ではな く、密接 に関連 し あって生ず る」 としてい る。すなわち、体格要 素の発育 と体力要素の発達 を関連付 けて考 えて い く必要がある。

表3は各測定項 目の相 関 を検討 す るた めに pearsonの相 関係数 を算 出 し、相 関行列 を作成 したものである (参考 として、全ての相関関係 を示 した。本報では身長、体重 と各体力測定結 果 との関係 を検討す る)。 身長 と各変量間 との 関係 では、握力 (r=0.442,p0.01) との間で相 関が得 られ、次いで、立 ち幅 とび (r=0.299,p 0.01)、長座体前屈 (r=0.267,p0.01)、反復横

とび (r=0.234,p0.01) との間でそれ ぞれ低い 相関が得 られた。身長 と20mシャ トル ラン (r=

0.157)、上体起 こ し (r=0.157) との間には有 意な相関が認 め られ なかった。体重 と各変量間 との関係 で は、握力 (r=0.385,P〈O.01)、 20m シ ャ トル ラン (r=‑0.329,pく0.01) との間でそ れぞれ低い相 関が得 られた。体重 と上体起 こし (r=‑0.064)、反復横 とび (r=‑0.08)、立ち幅 と び (r=‑0.130)、長座体前屈 (r=0.165)との間 には有意 な相 関が認 め られなかった。

以上の結果か ら体格 と体力 との関係 を考察す ると、身長の高い者が、身長の低い者 と比べて、

筋力、柔軟性、敏捷性、瞬発力 においてよ り高 い基礎運動能力 を発揮す ることが出来 るといえ る。筋力 (握力)に関 しては、身長 と体重 との 関係 (r=0.285,pく0.01) において低 い正の相 関 が認 め られ るこ とか ら (表3)、身長 の増加 に 伴 う体重の増加 が筋力の増加 に繋がっているこ とが推測 され る (図 1)。瞬発力 (立ち幅 とび) に関 しては、被験者 の飛躍距離 を測定す ること

か ら、身長が高い こと、即ち身体重心の高い こ とが有意に働いていることが考えられる (図 2)。 柔軟性測定 (長座体前屈)に関 して、文部科学 省13)は 「体の大 き さ (身長等) が測定値 に影 響す るのではないです か」 との質 問に対 して

「初期姿勢 をoとし、そこか らの移動距離 を計測 す るのですか ら、正 しい初期姿勢 をとれば影響 はでませ ん」 と回答 している。 しか し、筆者6)

の過去の調査で も、身長 の高い者 が優れてい る傾 向が強かった。柔軟性の測定は、距離法ま たは角度法 によって行われ、角度法の方が妥当 性が高い とされているが、測定器具の問題や測 定の簡便性 を考慮 して一般 に距離法が多 く利用 され てい る7)。 本報 で採用 した文部科学省 の

「新体カテス ト」 も距離法 を利用 している。今 後は、測定の方法にさらに留意 して多 くのデー タの蓄積 と共に、その信頼性 をよ り高めてい く 必要があると考 える (図3)。敏捷性 (反復横

とび)に関 して、その能力が優れていることは、

脳 を中心 とした神経系の情報処理能力 と筋の収 縮速度 に優れてい ることを意 味 してお り16)、身 長 との関連性は明確ではない。さらに多 くのデー タの蓄積 と共 に調査 を進 めてい く必要が ある (図

4) 。

一方、体重の重い者が、体重の軽い者 と比べ て、筋力 において より高い基礎運動能力 を発揮 し、体重の軽い者が、体重の重い者 と比べて全 身持久力 において よ り高い基礎運動能力 を発揮 す ることが出来 るといえる。筋力 (握力)に関 して、筋力は筋の断面積 に比例 し増加す ること は既 に周知であ り、体重の重い者 は筋肉量 も多 く筋力 が高 い とい える (図5)。 全 身持 久力 (20mシャ トル ラン) に関 しては、体重が軽い ことがその測定に有効であ り、体重の軽い者が、

体重の重い者 に比べてテス ト結果が良い傾 向で あることは妥当な結果であるといえる (図6)。

体格 と体力要素 との関係 を見てい くと、多 く の体力要素に必要な体格要素が明確 となって く る。 このことは、被験者である学生諸君が親 し むスポーツ活動‑のア ドバイス としても利用可 能である。体格や体力測定の結果 を様々なかた

(4)

表2 体 力測 定か ら得 られ た各測 定 の度数 、平均値 、標 準偏 差、最 大値 、最小値 握 力 上体起 こ し 長座体前屈 反復横 とび 20mシャ トルラン 立ち幅 とび (kg) (回) (cm) (回) (回) (cm) 度数 296

平均 42.3 標準偏差 7.4 最大値 62.0 最小値 20.0

296 296 296 25.9 39.5 48.6

6.1 10.2 8.2 40 64.0 64

10 8 5

296 296 62.9 218.1 21.2 27.6 100 292

9 132

3

各測定項 目間 にお ける相 関行列

身 長 体 重 体脂肪 握 力 上体起こし長座体前屈反復横とび20mシャトルラン立ち幅とび 身 長

0.

*

2

*

85 ‑0.

*

115 0.

*

442

*

0.

*

1

*

82 0.

*

2

*

67 0.

*

23

*

4 0.**157 0.

*

2

*

99 体 重

‑ \

0.

*

805

*

0.**385 ‑0.064 0.

*

1

*

65 ‑0.080 ‑0.

*

3

*

29 ‑0.

*

130 体脂肪

‑ ‑ \

0.**151 ‑0.

*

119 ‑0.026 ‑0.

*

1

*

96 ‑0.**397 ‑0.

*

3

*

21 握 力 ‑

‑ ‑ \

0.

*

3

*

42 0.

*

3

*

36 0.

*

293

*

0.

*

2

*

01 0.

*

42

*

2 上体起こし ‑

‑ ‑ ‑ \

0.

*

3

*

76 0.**590 0.**441 0.**524 長座体前屈 ‑

‑ ‑ ‑ ‑ \

0.

*

31

*

3 0.**297 0.

*

406

*

反復横とび ‑ ‑

‑ ‑ ‑ ‑

0.

*

427

*

0.

*

53

*

9

20mシャトルラン ‑ ‑ ‑

‑ ‑

0.**470

140

136国際経営論集 No.38 2009

150 160 170 180

1

身長 と握 力 との 関係

190 200 (cm)

(5)

140 150 160 170 180 190 200

(cm) 図

2

身長 と立 ち幅 とび との関係

(cm)

70 60 50 40 30 20 10 0

140 150 160 170 180 190 200

3

身長 と長座体前屈 との関係 (cm) (回)

80 70 60 50 40 30 20 10 0

140 150 160 170 180 190 200

(cm) 図4 身長 と反復横 とび との関係

(6)

7060504 0032

(回) 120

100 80 60 40 20 0

20 40 60 80 100 120 140

(kg)

図5 体重 と握力 との関係

20 40 60 80 100 120 140

(kg)

6

体重 と20mシャ トル ランとの関係

ちで利用 して、対象学生‑十分 にフィー ドバ ッ ク してい くとことが今後 も重要 となって くる。

毎年実施 されてい る体力テス トが、単 にデー タ を得 ることを 目的 とす るのではな く、様 々な用 途 に利用 され る様 に工夫 し検討 してい くことが 重要であろ う。

まとめ

本報 の対象 は、神奈川 県 内の男子大学生296 名 であった。体格 、体力テス トを実施 して、体 格 (身長 と体重) の違いが、テス トの結果 に及 138 国際経 営論集 No.38 2009

ぼす影響 を調査 して、体格 と体力 との関係 につ いて検討す ることを 目的 とした。 なお、体力テ ス トの項 目は、握力、上体起 こし、長座体前屈、

反復横 とび、 20mシャ トル ラン、立 ち幅 とびで あった。結果 は以下であった。

1)身長 と握力 との間に正の相 関関係 が認 め ら れ、身長 と立ち幅 とび、長座体前屈、反復 横 とび との関係 に正の低い相 関関係 が認 め

られた。

2)体重 と握力 との関係 に正 の低い相 関関係 が 認 め られ、 20mシャ トル ラン との間に負 の 低い相 関関係 が認 め られた。

(7)

文献

1)千葉義信 ほか (2007)本学学生の体力 と生活 習慣‑2006年度 と2004年度 を比較 して‑.湘 南工科大学紀要41:147‑151.

2)千葉義信 (2008)本学学生の体力 と生活習慣一 本学の体力評価基準値 の作成 について (第一 報) ‑.湘南工科大学紀要42:125‑132.

3)千葉義信 ほか (2008)カ ンボジア王国におけ る体格 ・体力 について一 日本 との比較 ‑.運 動 とスポーツの科学41(1) :117‑122.

4)千葉義信ほか (2009)タイ王国 ウ ドーンタニー 県 にお ける体格 ・体力測定について‑ 日本 と の比較 (第2報) 1.明治学院大学教養教育 セ ンター紀要カルチュール3 (1) :223‑231.

5)千葉義信 (2009)本学学生の体力 と生活習慣 (第4報).湘南工科大学紀要43:143‑149.

6)千葉義信 (2009)工学系学生の体格 と体力 と の関係 について.関東学院大学工学部教養学 会科学/人間38:107‑114.

7)出村慎一 ほか (2002)テキス ト保健体育.大 修館書店 :東京.pp.142.

8)海老沢礼司ほか (2008)留学生 における体力 テス トと生活習慣健康 関連アンケー ト調査結 果 について.国華院大草スポー ツ ・身体文化 研究室紀要39:53‑60.

9)猪飼道夫 (1986)運動生理学入 門 (5版).

杏林書院 :東京.pp,143‑178.

10)小林寛道 (1997)何故体力テス トが必要なの か一過去か ら未来‑‑.体育の科学47 (ll) 844‑846.

ll)小谷恭子 (2002)多変量解析 を用いた新体カ テス トの分析 .帝塚 山学院大学研究論集37:

39‑46.

12)松浦義行 (1992)現代の体育 ・スポーツ科学 体力 の発 達 (第8版).朝倉書店 :東京 . pp.68.

13)文部科学省 (2005)新体カテス ト 有意義 な 活用のために (第5版).ぎょ うせ い :東京.

pp.56‑75.

14)文部科学省 ホームページ (2008)平成18年度

体力 ・運動能力調査報告書, [2008/07/07]

http://ww .next.go.jp/b̲menu/toukei/001/ index22.htm

15)社 団法人 全国大学体育連合情 報部 (2005) 平成16年度体力測定結果調査報告書13:23‑

97.

16)湯浅景元 ほか (2001)体力づ くりのためのス ポーツ科学.朝倉書店 :東京.pp.56‑57.

表 1 被験者 の年代別身体的特徴 N 年齢 身長 体重 体脂肪 BM I ( c m) ( kg ) ( %) ( kg / m 2 ) 2 006 年度 11 4 SD 200 7 年度 1 0 0 SD 20 0 8 年度 47 SD 2 00 9 年度 3 5 SD 平均 2 96 SD 9.30.3497813819.190919111111 65
表 2 体 力測 定か ら得 られ た各測 定 の度数 、平均値 、標 準偏 差、最 大値 、最小値 握 力 上体起 こ し 長座体前屈 反復横 とび 2 0mシャ トルラン 立ち幅 とび (k g) ( 回) ( c m) ( 回) ( 回) ( cm) 度数 2 9 6 平均 42

参照

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