「 DNA の抽出実験」 の指導法
1.は じめに
理科教育にお いて観 察 ・実習が重要であ り, 最近はネ ッ ト上 に もいろいろな実習案が公 開 さ れている。 ここでは,DNA抽 出実験にお ける 留意点をま とめた。
2.
実験方法 と材料
DNA抽 出実験 については,すでに詳 しい教 材研 究があ る (文献1)。 高等学校 での実験法 としては,文献 (2)が標 準的な具体案 と考 え られ る。 これは明 らかに文献 (3) に示 した中 山生欧氏が1996年 に開発 した方法が元になって いるC この報告 では,ネ ッ ト上で紹介 され てい る 『"DNAの抽 出実験"台所 で30分間,バナ ナのDNAが取 り出せ る!、vwlV.geOCILies.jp/
terada26911/dna‑chushusu』 と従 来の方法 と の比較 を行 った。
DNA抽 出実験の場合 ,材料 の選定が重要で ある.サケの精巣 (白子) は,DNA含 是が高 く入手 も容易な最適 な材料 である。 一方,バナ ナは年間を通 じて入手でき, さらに細胞 を破壊 す る ことが容易 な点が優れ ているが,他 の生体 高分子に比べてDNAが どれ程含 まれ ているか 疑問があるO
日野 晶也
3
.実験結果
白子,納豆,バナナ を材料 に,文献 (3) の 方法による抽 出で,エ タノール添加後 に境界面 に 白く糸状の物質が析 出 され た。 白子 と納豆は この物質 をガ ラス棒 で巻 き取 りが可能 だが,バ ナナの場合は不可能だ った。 また得 られ た抽 出 物 を蒸留水 に溶解 した後,分 光光度 計 を用 いて 測 定す る と, 白子 と納 豆 か らは230nm/260nm が0.6‑0.8とな り理想 的 な値0.4よ りやや大 きか った。 しか し,バナナか らの抽 出物 は260
… に明確 な ど‑ クが得 られ ず上記の比 は0.05 以下 となった。 また,バナナ か らの抽 出物の水 溶液は, ヨウ素でんぷん反応 で青 色を呈 した。
4 .考察 と指導法の提案
バナナか ら抽 出 された物質 にDNAが含 まれ ていない とは言 えない。 詳 しい考察は紙面の関 係 で省略す るが,蛋 白質 を結合 した多糖類 ,で んふん等が多い と考 え られ る。 実際,DNA含 丑の少 ない材料 か らの抽 出に, グ リコー ゲンを 添加す る方法が良 く用 い られ てい る。細胞 か ら DNAを含む蛋 白質や多糖類 を含 む高分子 を抽 出す る実習 と してはバナナが優れ た材料 と言 え るC学校現場で多人数の クラスを班 に分 ける場 合 は,班毎に上述の異 った材料 を用いて同一の 方法で実習 させて,結果の違 いを考 え させ るこ とによ り,他 の単元の内容 も含 む総合的な学習 とな りうる。
‑ 141‑
神 奈川 大学 心理 ・散 布研 究論妓 第 31号 (2012年 3J131日)
謝辞 :ここに記 した内容 を確認す るために,莱 際に生徒役 として実験 をお こな った佐藤奉遷君
と工藤若菜 さん に感謝 します。
参考文献
(1)伊佐治錦 司 ・松本省吾 ・ "高等学校 にお け るDNA簡易抽 出実験 に関す る教材 開発 "岐 阜大学教育学部研究報告,教育実践研究 (20 05) p69‑78
(2)川 島誠一郎編 : "DNAの抽 出"高等学校 用教科書 「生物Ⅰ」数研 出版 (2007) p135 (3)日野晶也 . "細胞生物学研 究室第 3で開発 され た理科実験教材"scienceJoUmalof Kanaga、vaUniversity (2009)p301‑304
‑ 142‑