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バブル崩壊後の公共事業と財政

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Academic year: 2021

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(1)バ ブル崩壊後 の公共事業 と財政                                山 田  明. は じめ に.   バ ブル 崩 壊 か ら7年 余 りが 経 過 した が 、 日本 の経 済 社 会 は ます ます 混迷 を深 め て い る。 戦 後 の 高 度 成 長 か らバ ブル 経 済 まで 、総 じて右 肩 上 が りの成 長 軌 道 を走 って きた が 、 ここに きて経 済 社 会 の シス テ ム全 般 に わ た り 「 制 度 疲 労 」 が 目立 って きた 。   巨額 不 良債 権 に起 因 す る金 融 危 機 、 雇 用 情 勢 の 急激 な悪 化 と と もに、 国 や 地 方 自治 体 の財 政 問 題 もい ち だ ん と深 刻 に な っ て い る。 財 政 危機 は 直接 的 に はバ ブル 後 遺症 の も とで の税 収減 に よる が 、財 政 シ ス テ ムや90年 代 の政 策 展 開 、 と りわ け 公共 事 業 政 策 に 起 因 す る と ころ も大 き い。 そ こ で、 本 稿 で は公 共 事 業 に 焦 点 を あ て て 、 バ ブル 崩 壊 後 の 財 政 を め ぐる問題 状 況 を実 態 に即 して 検 証 して い きた い 。. 1  公 共 事 業 と財 政 危 機. (1)1980∼90年. 代の公共事業.   バ ブル 崩 壊 後 の 公 共 事 業 の財 政 問題 を み て い く うえ で 、 高 度 成 長 以 降 の 大 ま か な推 移 を 振 り 返 って お こ う。1)   空 前 の 高度 成 長 が終 わ っ た70年 代後 半 に お い て も、公 共 事 業 が 国 の 財 政 危 機 を 加速 させ る役 割 を演 じた。 ス タ グ フ レー シ ョンに よ る財 政 悪 化 の も とで、 景 気 対 策 の た め に 公 共事 業 予 算 が 大 幅 に増 額 され 、 国 債 残 高 を い ちだ ん と膨 張 させ て い った 。 国 債 減 額 を め ざ す財 政 再 建 が、 経 済 ・財 政 政 策 の最 重 要 課 題 とな り、80年 代 の公 共 事 業 の展 開 に 大 きな影 響 を お よぼす 。   80年 代 前 半 の 公 共 事 業 は 、 国 の財 政 再 建 路 線 の も とで 縮 小再 編 され る。 第2次 臨 時 行 政 調 査 会 の 行 政 改 革 に お い て 、一 般 会 計 の公 共 事 業 関 係 費 は 歳 出 削減 の草 刈 り場 とな り、 緊 縮 予 算 を 余 儀 な くされ た 。財 政 制 約 下 で民 間 主 導 な い し民 間 活 力(民 活)に. よる社 会 資 本 整 備 が 脚 光 を あ び 、. 「民 間版 ニ ュー デ ィー ル」 が 経 済 を 動 か す 主役 と して登 場 して くる。 鉄 鋼 ・造 船 な ど重厚 長 大 産 業 を 中心 に構 成 され るJAPIC(日. 本 プ ロジ ェク ト産 業 協議 会)は 、民 活 型 の大 規 模 プ ロジ ェ ク ト. 推 進 を強 く も とめた 。 行 政 改 革 も歳 出 削減 と と もに 、社 会 資 本 整 備 を は じめ と した民 活 政 策 、 経 済 政 策 に も力 点 が お か れ 、 都 市 開 発 な どの規 制 緩 和 がす す め られ る。   85年 の プ ラザ 合 意 以 降 の 急激 な 円 高 の もと で、 内需 拡 大 に よ る経 済 の構 造 調 整 がせ ま られ る と、.

(2) 民活 型 の社 会資 本 整 備 が経 済 ・財 政政 策 の 中 心 に 位 置 して く る。 「民活 元年 」の86年 に は 、民 間 事 業 者 の能 力 の活 用 に よる特 定 施 設 の整 備 の促 進 に 関 す る臨時 措 置 法 、 いわ ゆ る民 活 法 が 制 定 され 、 産 業構 造 転 換 に と もな う経 済 基 盤 整 備 と 内需 拡 大 が 促 進 され る。 リゾー ト法 や 多 極 分 散 型 国 土 形 成 促進 法 な どの民 活 関連 法 も制 定 され 、徹 底 した 規 制 緩 和 と と もに、 資 金 面 で も民 営 化 の 果 実 で あ るNTT資. 金 な どが積 極 的 に活 用 され た 。 政 府 開 発 金 融 の受 け皿 とな った の が 第 三 セ ク タ ーで. あ り、 民 活 政 策 の 展 開 に と もな い設 立 ラッ シ ュがつ づ い た。   こ うして80年 代後 半 に は民 活 が キ ー ワ ー ドに な り、 ウ ォー タ ー フ ロ ン ト開 発 や リゾ ー ト開 発 、 都 市 改 造 な どが 全 国 各 地 で実 施 され る。 世 は 開 発 新 時 代 の様 相 を呈 した が、 そ れ は バ ブル 経 済 と の相 乗 効 果 で展 開 した 。 バ ブ ル経 済 の も とで の 開発 ラ ッシ ュは 、東 京 一 極 集 中 や 地 価 高 騰 に 拍 車 を かけ 、 そ の是 正 が 重 要 な 政 策課 題 と な っ て くる。 さ ま ざ まな社 会 問題 が渦 巻 くな か で 、 政 府 は バ ブ ル対 策 、金 融 引 き締 め 政策 へ と軌 道 修 正 し、 開発 を め ぐ る経 済状 況 が一 変 す る。 大 蔵 省 に よ る総 量 規 制 も実 施 され 、 地 価 や株 価 な どの資 産 価 格 が急 激 に 下 落 して 、 バ ブル が 崩 壊 す る こ とに な る。   バ ブ ル 崩 壊 と長 期 に わ た る景 気低 迷 は 、90年 代 の 公共 事 業 の動 向に大 き く左 右 す る。 全 国 各 地 で 実 施 され た民 活 プ ロジ ェク トは 、 バ ブ ル崩 壊 で 地価 が急 落 した こ とに よ り大 きな 打 撃 を うけ る。 地 方 圏 の リゾー ト開発 は、 当 初 か ら採 算 性 に 欠 け る もの が多 く、 バ ブル崩 壊 に よ り事 業 継 続 が 困 難 とな る。 事業 主 体 の第 三 セ ク タ ーの 多 くが 経 営 破 た ん に追 い込 まれ 、 自治 体 財 政 に も深 刻 な 影 響 を お よぼ す。   大 都 市 圏 の 民活 プ ロジ ェク トも例 外 で は な く、 民 間 企業 の撤 退 に よ り第三 セ クタ ー の経 営 が急 速 に 悪 化 して 、 そ れ が 自治 体 財 政 に 波 及 して くる。 地 価急 落 か ら都 市 再 開発 が行 きづ ま り、 東 京 湾 や 大 阪 湾 な どの ウ ォー タ ー フ ロン ト開 発 に も急 ブ レーキ が か か る。 世 界 最 大 の ウ ォー ター フ ロ ン ト開 発 で あ る東 京 臨 海 副都 心 は 、 バ ブル 崩 壊 に よ る地価 急 落 と進 出企 業 の撤 退 か ら、 大 幅 な計 画 見 直 しを余 儀 な くされ る。 新 土 地 利 用 方 式 と よば れ る 「開発 者 負 担 の原 則」 が事 実 上 くず れ 、 一 般 会 計 資 金 が 充 当 され は じめ る。 バ ブル=地 価 上 昇 を 前提 と した開 発 方 式 、そ れ に と もな う開 発 規 模 や リス クの 拡 大 な ど、民 活 プ ロ ジ ェ ク トの問 題 点 を集 約 的 に示 して い る。   90年 代 の公 共 事 業 は 、 バ ブ ル崩 壊 後 の 税 収 減 に よ り財 源 が制 約 され るな か 、予 算 的 に は む しろ 大 盤 ぶ る ま い され る。そ れ は90年 の 日米 構 造 協 議 で430兆 円公 共投 資 を対 米 「公 約」 した こ と、景 気 対 策 の柱 と して 公 共 事 業 が積 極 的 に 活 用 され た こ とに よる 。政 府 は バ ブル が崩 壊 した92年 度 以 降 、総 事 業 規 模 で60兆 円 に の ぼ る景 気 対 策 を 実 施 して きた。 そ の ため に 組 ん だ補 正 予 算 は 、95年 度 ま で に9回 に お よん だ 。 な か で も95年9月 円 と過 去 最 大 とな った 。そ れ を うけ て5兆. の 「当面 の 景気 対 策 」 は、 総 事 業規 模 が14兆2240億. 円近 い第2次 補 正 予 算 が 編 成 され た。当 時 、「大蔵 省 が. 緊 急 避 難 的 に財 政 均 衡 主 義 を棚 上 げ した 代 償 が 、増 税 な どの 形 を とっ て、 国 民 に 回 って くる可能 性 を否 定 で きな い2)」な ど と指 摘 され た り した 。   景 気 対 策 のた め に 公 共 事業 予 算 が拡 大 を つ づ け、 再 び 建設 国債 を中 心 に 国債 発 行 額 が急 膨 張 し て くる。 国家 財 政 の 悪 化 に よ り財 政 再 建 が 緊 急 課 題 と され 、政 府 与 党 主 導 で 財政 構 造 改革 がす す.

(3) め られ る。 徹 底 した 歳 出削 減 を め ざ して 、公 共 事 業 も緊 縮 予 算 を せ ま られ る。 しか し、金 融 危 機 や 消 費 税 増 税 な どに よ り景 気 が 急 速 に 悪 化 して くる と、景 気 対 策 を も とめ る声 、公 共 事 業 拡 大 の 圧 力 が強 ま る。 財 政 構 造 改 革 は 事 実 上 た な 上 げ され 、景 気 対 策 の大 合 唱 の な か で公 共 事 業 予 算 が 再 び拡 大 され る。   こ こで 、高 度 成 長 期 か ら最 近 まで の 公 共 事業 の推 移 を行 政 投 資 実 績 か らみ て い こ う(図1)。. 行. 政 投 資 は80年 代 初 頭 ま で ほぼ 一 貫 して 高 い 伸 び を つ づ け 、80年 代 前 半 に は 落 ち込 ん だ が 、 そ の 後 は バ ブ ル期 を 中心 に拡 大 に転 じて い る。 高 度 成 長 以 降 の伸 び は総 じて あ ま り高 くは な い が 、 金 額 的 に は こ こ10年 で倍 増 した。95年 の 行 政 投 資 総額 は 、50兆8944億 円 と前 年 度 に 比 べ て3兆 円 余 り、 率 に して6.4%の. 増 加 とな った 。前 年 度 が85年 以来9年 振 りの マ イ ナ ス 、 そ れ も過 去 最 低 の6.5%. 減 な の とは対 照 的 で あ る。 これ は95年 度 に は 積 極 的 な景 気 対 策 、地 方 単 独 事 業 や補 助 事 業 の 大 幅 な追 加 支 出 が実 施 され た こ とに よる。 行 政 投 資 の な か で も国主 体 の事 業 が11.2%増 業 の補 助 事 業 費 が12.2%増   表1は1960年. 、 普 通建 設 事. と高 い 伸 び を 示 して い る。. か ら95年 まで36年 間 の 行 政 投 資 を5年(90年. 代 は6年)ご. とに 集 約 して 、 そ の 目. 的別 の構 成 比 が集 計 して あ る。 高 度 成 長 期 に は 産 業基 盤 へ の重 点 投 資 、 な か で も道 路 の ウエ イ ト の 高 さが 目立 っ て い る。70年 代 以 降 に は 、 下 水 道 を は じめ と した生 活 基 盤 が か な り伸 び て くるが 、 投 資 の構 造 自体 は大 き く変 わ って い な い 。90年 代 の投 資 を特 色 づ け る のは 、 や は り道 路 が26.1% と全 体 の4分 の1以 上 を 占め て い る こ とで あ る。 これ は60年 代 の ウエ イ トと同 じで あ り、道 路 最 優 先 の投 資 が現 在 もつ づ いて い る。 な お 、90年 代 の行 政 投 資 の 目的 別 推 移 に つ い て は 附表 を参 照 され た い。.

(4) 表1  行政投資の推移 (単位:%) 1965∼69. 24.5. 26.9 2.8. 道      路 港       湾 空       港 その他交通手段 埋立 用 地造 成 工業 用 水道 農 林 水 産 産業基盤(計) 都 市 計 画 住      宅 宅 地 造 成 環 境 衛 生 上  水   道 下  水   道 厚 生 福 祉 文 教 施 設 生活基盤(計) 治 山治 水他 官庁 営繕 他 合    計. 1960∼64 3.0. 0.3 1.4 3.5 1.4 8.6 43.7. 2.1 5.9 1.1 1.2 5.1 2.2 2.4. 0.2. 2.7 2.6 0.9 9.2 45.8 2.3 8.5 2.4 1.4 4.9 3.2 2.7. 1960年 代 26.1 2.8 0.2 2.3 2.8 1.0 9.1 45.2. 2.2 7.7 2.0 1.4 4.9 2.9 2.6. 1970∼74. 1975∼79. 24.4 2.4 0.6 1.9 1.6 0.6 8.7 40.4. 18.6 1.8 0.4 7.2 0.6 0.4 9.4 38.5. 0.5. 0.5. 0.7. 5.5 0.9 0.5 9.2 39.1. 5.8 0.4 0.3 10.0. 2.9 0.1 0.3 10.0 42.0. 2.5 6.9 1.9 2.1 4.5 5.6 3.0 10.6 37.5. 2.5 7.4 2.3 2.1 4.7 5.4 3.1 10.7 38.5. 3.0 6.1 1.7 2.0. 9.2. 9.7. 31.0. 35.2. 33.9. 19.3 6.1. 14.1 4.9. 15.7 5.3. 10.8 8.0. 10.8 13.2. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 生活 基 盤(計)に. 1985∼89. 25.8 2.0. 10.6. 100.0. 1980∼84. 20.2 1.7. 2.7 8.5 3.1 2.1 5.0 4.8 3.3 10.8 40.7. (注)  産 業 基 盤(計)・. 1970年 代 20.4 2.0. 39.0. 4.7 5.3 2.3 2.0 4.1 8.1 3.1 8.9. 1980年 代 23.1 1.9 0.6 4.3 0.3 0.3 10.0 40.6. 1990∼95. 3.9. 26.1 1.8 1.0 1.5 0.2 0.2 8.7. 39.8. 2.0. 5.3 5.8 2.0. 2.0. 2.7. 4.0 7.5. 5.7. 3.1 10.9 37.8. 38.9. 10.8 11.6. 11.4. 12.0. 11.8. 7.1. 11.7 9.3. 3.5 8.4 4.2 8.8 41.1 10.5 8.5. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 100.0. 3.9 6.8. 3.1 9.8 38.3. は そ の 他 を含 む。. (出所)自 治 省 「 都道府県別行政投資実績調査」 より作成。. (2)公. 共 事 業 と財 政 構 造 改 革.   わ が 国 の財 政 は 、 バ ブ ル 崩 壊 後 の 景 気 後退 と と もに 、再 び財 政 危 機 の様 相 を強 め て くる。90年 代 の財 政危 機 の進 行 は 、 国 債 発 行 と国 債 残 高 の推 移 に 明確 に あ らわ れ て い る。 バ ブル 景 気 に よ り、 90年 当 初予 算 で は長 年 に わ た る特 例(赤 字)公 債 へ の依 存 か ら抜 け 出 した。93年 度 まで 特 例 公債 ゼ ロを つ づ け たが 、 建 設 国 債 発 行 は か な りの規 模 に の ぼ った。 建 設 国債 だ け で80年 代 前 半 の 国債 発 行額 を上 回 った 。91年 度 か ら公 債 依 存 度 は再 び 上昇 し、96年 度 に は過 去 最 高 の21兆 円の 国債 発 行 に よ り、依 存 度 は28.8%(補. 正 予 算後)ま で 上 昇 した 。国 債残 高 は240兆 円 を上 回 り、GDPの4. 割 ほ どの規 模 とな る。3)この10年 間 で100兆 円 以上 も増 加 して お り、 と りわ け90年 代 以降 の 急 増 ぶ りが 目立つ 。   図2は 公 共 事 業 費 の 財 源 に 占め る建 設 国債 の推 移 を示 して い る。 建 設 国債 は1966年 度 に初 め て 発 行 され て か ら、 公 共 事 業 の 財 源 と して積 極 的 に活 用 され て きた 。 と くに石 油 シ ョッ ク以 降 は 、 景 気 対 策 の柱 と して 建 設 国 債 の 増 発 に よる公 共 事 業 拡 大 がた びた び行 わ れ た 。 建 設 国債 の発 行 額 は70年 代 後 半 に急 増 して 、80年 代 に い くぶ ん減 少 した も の の 、90年 代 に再 び大 き く増 加 して く る。 と くに94年 度 には9兆 円 余 りの 規 模 とな り、建 設 国債 比 率 は80%近. くま で上 昇 して い る。70年 代. 後 半 以 降 は 、バ ブル 期 な どを 除 くと、 公 共事 業 費 の7割 近 くが建 設 国 債 の発 行 に よ る。   表2に. よれ ば、 公 共 事 業 費 の うち 建 設 国債 発 行 分 は 、1966∼97年 度 で115兆 円 、予 算 額171兆 円. の67%と 試 算 され て い る。 事 業 別 で は 、特 定 財 源 を もつ 道 路 、利 子 補 給 や 家 賃 補 助 な ど建 設 国債 の発 行対 象 に含 まれ な い 経 費 が 比 較 的 多 い住 宅 以外 は 、 治 山治 水 ・生 活 環 境 ・林 道 工業 用 水 等 、 農 業 基盤 な どに お い て90%以. 上 が 建 設 国債 に よ り賄 わ れ て い る。 行 政 投 資 の な か で 最 大 の道 路 は 、. 建 設 国債 よ りも道 路 特 定 財 源 に 圧 倒 的 に依 存 して拡 大 をつ づ け て きた 。 道 路 を は じめ と した特 定.

(5) 財 源 が 、一 般 会 計 の公 共 事 業 関係 費 に 占 め る割 合 は 約2割 に の ぼ り、建 設 国債 と と もに 公 共 事 業 の動 向 を財 源 面 か ら左 右 して い る。. 表2. 公共事業費の うち建設 国債発行に よ り賄われた額(試 算) 年     度 公共事業関係費 治 山 治 水 道 路 整 備. 予算額 国債発行分 (国債充当率) 予算額 国債発行分 (国債充当率) 予算額 国債発行分 (国債充当率). 1966∼97年 度(兆 円) 171 115. (67.0) 29 27. (95.0) 51 10. (20.1). 14 予算額 12 国債発行分 (国債充当率) (85.3) 予算額 19 住          宅 11 国債発行分 (国債充当率) (54.9) 予算額 25 生  活 環 境 国債発行分 24 (国債充当率) (95.7) 予算額 23 農  業  基 盤 21 国債発行分 (国債充 当率) (92.4) 予算額 5 林道工業用水等 国債発行分 5 (国債充当率) (94.6) 予算額 0 調    整    費 国債発行分 0 (国債充当率) (91.7) 予算額 5 災 害 復  旧 国債発行分 4 (国債充当率) (88.3) (注)1  当初ベースの累計額。     3  2  国債充当率=建 自動車重量税は設国債発行 分/予 算額 、一般財源 と して試算(特 定財源 とした      場合、道路整備 の国債充 当率 は1∼2%程 度)。 (出所)  予算轡、大蔵省 「 予算 の説 明」 よ り作成。      前掲 『立法 と調査』32ペ ージによる。. 漁港 港 湾空港.

(6)   この よ うに 、 道 路 や 住 宅 を 除 く国 の公 共 事 業 は 建 設 国債 が財 源 の中 心 に 位置 して い る 。90年 代 初頭 に赤 字 国 債 ゼ ロの な か で建 設 国債 の増 発 が つ づ い た の は 、景 気 対 策 の た め の 公共 事 業政 策 の 展 開 に よる。 岩 波 一 寛 氏 は 公 共事 業 な ど各 種 の財 政統 計 を 分析 して、90年 代 の借 金 急 増 に 象徴 さ れ る財 政 危 機 の 要 因 を 次 の よ うに指 摘 す る。4)とりわ け90年 代 の歳 出膨 張 は、社 会 保 障 関 係 な ど よ り公共 事 業 費 に 起 因 す る。 用地 補 償 費 や 公 債 発 行 に と もな う利 子 コス トを含 め て統 計 を とる と、 財政 支 出を 膨 張 させ 激 変 させ て い る最 大 要 因 が 公 共事 業 な の は 明 白で あ る。現 在 の 日本 の財 政 運 営 の も とでは 、 大 型 公 共 事業 は直 接 的 に建 設 国 債 の 大量 発 行 を ひ き起 こす だ け で な く、 間接 的 に 「 赤 字 国債 」 を 誘 発 す る役 割 を果 た して い る。   国債 累 積 に 象 徴 され る よ うに 、 国家 財 政 が 急速 に悪 化 す る なか で、 大蔵 省 は財 政 危 機 を宣 言 し て96年 度 予 算 編 成 に の ぞ ん だ。 財 政 構 造 改 革 に よ り財 政 再 建 をす す め る こ とが、 規 制 緩 和 や 行 政 改革 と ともに 国 政 の 最 重要 課 題 とされ る。 財政 制 度 審 議 会 は96年7月. に 『財 政 構 造 改 革 に 向け て. の 中間 報 告 』 と 『財 政 構 造 改 革 を 考 え る一 明 る い 未 来 を 子 ど もた ち に 』 と い う白 書 を 公 表 し た。5)この 白書 で は 、財 政 構 造 改革 は21世 紀 に 向け て わ が 国 の経 済 ・社 会 が大 き く変 わ って い くな か で、 これ まで の 経 済 ・社 会 の あ り方 を 前 提 と して組 み 込 まれ て きた財 政 の仕 組 み を 、 新 た な 視 点 に 立 って 、 根 本 か ら洗 い直 してい く作 業 と位 置 づ け られ て い る。   政 府 ・与 党 は97年1月. に財 政 構 造 改革 会 議 を発 足 させ 、6月 の 最終 報 告 を 経 て11月 に は 財 政 構. 造 改 革 法 が 制 定 され る。6月 に 閣 議 決 定 され た財 政 構 造 改 革 の 推進 に よる と、 当 面 の 目標 と して 、 2003年 度 まで に 財 政健 全 化 目標(財 政 赤 字 対GDP比3%、. 赤 字 国 債 発 行 ゼ ロ)の 達 成 を 目指 す こ. と、今 世 紀 中 の3年 間 を 「集 中 改革 期 間」 と定 め 、そ の期 間 中 は、 「 一 切 の 聖 域 な し」 で 歳 出 の 改 革 と縮 減 を す す め る と した 。   公 共 事 業 に つ い て は 、財 政 構 造 改箪 最 終 報 告 な どで 次 の よ うな方 向が 提示 され た が 、 抜本 的 な 見 直 し とは 言 い が た い。 具 体 的 な 見直 し項 目と して 、 公 共投 資 基 本 計 画 の3年 間 の期 間延 長 、多 くの 公 共 事業 長 期 計 画 の2年(土. 地 改 良 は4年)延. 長 、 さら に98年 度 予 算 の前 年 比7%減. な どが. あ げ られ た。 問題 の道 路 特 定財 源 の見 直 しは 、 総 合 的 な観 点 か ら の検討 とい う指 摘 に と どま っ た。 公 共投 資基 本 計 画や 現 行 の 公共 事 業 長 期 計 画 の 枠組 み を変 えず に 、 期 間 の延 長 な ど で予 算 削減 を ね ら う方 向 とい え る。 また 、道 路 に つ い て は次 の よ うな 指摘 もな され て い る。「公 共 事 業 費 の削 減 策 を道 路 がす り抜 け よ うと して い る。 政 府 は 下 水道 な ど5年 間 の長期 計 画 を2年 間 延 長 す る方 針 を打 ち 出 したが 、今 年 度 で終 了 す る道 路 に この 『網 』 はか か って い な い。 ガ ソ リン税 や 自動 車 重 量 税 な ど特 定 財 源 で 事 業量 が決 ま る特 有 の 事情 や 、県 と市 町 村 か らの陳 情 を た て に 、 政 府 が 道路 予算 の温 存 を図 る公 算 が 大 きい。6)」   ま た 、集 中改 革 期 間 中 の公 共 事 業 予 算 の 配 分 に 当た って は 、 経済 構 造 改 革 関 連 の 社 会 資 本(高 規 格 幹 線 道 路 、 拠 点 空港 、 中枢 ・中 核 港 湾 、市 街 地 整 備 等)に つ い て、 物 流 の効 率 化 対 策 に資 す る も の を中 心 と して 、優 先 的 、 重 点 的 に整 備 す る と して い る 。 全体 と して 公 共事 業 予 算 を 削減 す る なか で、 資 本 蓄 積 に 直接 か か わ る社 会 資本 整 備 が 最 優 先 され る わけ で 、 と りわ け生 活 関連 の事 業 へ の しわ 寄 せ が 懸念 され る。 そ れ と継 続 事業 を優 先 し、新 規 事業 、 特 に大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トの.

(7) 実 施 は 抑 制 す る と され た が 、後 述 す る 中部 国際 空 港 な どは 事 業 が 具 体 化 され て い った 。   97年 後 半 に 景 気 が い ち だ ん と下 降す る と、財 政 構 造 改 革 よ りも景 気 対策 を も とめ る声 が圧 倒 的 に 大 き くな って くる。 財 政構 造 改 革 は事 実 上 の凍 結 とな り、 公 共 事業 は景 気 対 策 の柱 とされ る。 公 共 事 業 予 算 は 再 び 拡 大 に 転 じて きた が 、財 政 危 機 を 加 速 させ る こ とは 間違 い な い。. 2  公 共 事 業 と民 活             第 三 セ ク タ ー か らPFIへ. (1)第. 三 セ ク タ ー の経 営悪 化.   90年 代 の 地 方財 政 危 機 は 、 と りわ け 地 方 単 独 事 業 の拡 大 に よ る借 金 急 増 、 財 政 硬 直 化 の 進 行 と と もに 、第 三 セ ク タ ーの経 営 悪化 に も特 徴 が あ る。7)両者 と も公 共 事 業 に起 因 して い る が 、第 三 セ クタ ー の 方 は 先 の民 活 型 プ ロジ ェク トに 関 連 した 動 きで あ る。   日本 経 済 新 聞社 が97年11月 に実 施 した 調 査 結 果 か らみ て い こ う。8)調査 の対 象 は85年 以 降 に 設 立 され た資 本 金1億. 円 以上 の第 三 セ ク タ ーの うち 、1自 治 体 の 出資 比 率 が25%以. 回答 を得 た の は262社 で あ った。97年 度 の業 績 を み る と、赤 字 が51.9%に. 上 の387社 で 、. の ぼ り、そ の理 由 の4割. が 「 初 期 投 資 の負 担 が 大 き く、 償 却 が ま だ 済 ん で い な い」 と答 え て い る。 また 、 累 積 赤 字 は 69.1%に. 達 し、 この うち 「赤 字 解 消 の め どが立 た な い」(44.2%)、. 「 解 消 は 困 難 」(6.6%)が. 過半. 数 を 占 め る。 官 の 出資 比 率 が 高 い ほ ど累 積 赤 字 を抱 え て い る ケ ース が 目立 ち 、 出資 比 率50∼80% で71.5%、80%以   図3の. 上 で は76.5%が. 赤 字 とな って い る。. よ うに 、 第 三 セ ク タ ーに対 す る評 価 をみ る と、 信 用 度 の 高 さや 自治 体 の財 政 支 援 と い っ. た 官 の 威 力 を 背 景 に した利 点 が多 い。 デ メ リ ッ トの方 は 「 採 算 見通 しが甘 くな りや す い」 や 「 役 割 分 担 が 不 明 確 で無 責任 経 営 に な りや す い」 な ど、 責 任 体制 の あ い ま い さ を指 摘 す る声 が 多 い。 この よ うに 、 第三 セ ク ター の7割 が累 積 赤 字 を 抱 え て お り、赤 字 団体 ほ ど官 へ の依 存 が 強 くな る。 赤 字 の理 由 と して は 、第 三 セ ク タ ー とい う組 織 自体 に よる構 造 的 な 問題 で あ る こ とが わ か る。   読 売 新 聞社 が行 った主 要37社 の 金 融 不 安 の 影 響 調査 か らも、 第 三 セ ク タ ーの 深 刻 な経 営 状 況 が 明 らか に な る。 資 本 金 総 額 が 約1511億 円 に 対 し、 累積 赤 字 は2930億 円、 借 入 金 総額 は9倍 以 上 の 1兆1788億 円に 達 して い る。 自治 体 の増 資 に 頼 る な ど金 融 上 の問 題 を 抱 え る第三 セ ク タ ーは 、37 社 の うち32社 に のぼ る。 「 金 融 不 安 を 背 景 に 第 三 セ ク タ ー支援 の た め に公 費 投 入 が 相 次 い で い る。 官 の信 用 力 を 背 景 に 少 額 の出 資 で 大 規模 事業 を展 開 で き る三 セ クの メ リ ッ トに甘 え た た め に借 入 金 が 膨 れ 上 が り、 金 利 負 担 が経 営 を圧 迫 して い る た めだ 。9)」   第 三 セ ク タ ーの 経 営 破 た ん は 、 北海 道 や九 州 な どで リゾ ー ト開 発 に走 った農 村 部 だ け で な く、 大 都 市 圏 の 自治 体 で もみ られ る 。10).

(8)   関 西 国際 空 港 を 沖 合 に の ぞ む大 阪 府 南 部 の泉 佐 野 市 。 そ こに設 立 され た第 三 セ ク タ ー 「 泉佐野 コス モ ポ リス」 が経 営 破 た ん に追 い込 まれ 、 地 元 自治 体 に 大 きな 負担 を もた らす こ とに な った 。 この第 三 セ クタ ーは 大 阪 府 と泉 佐 野 市 、 そ して 銀 行 ・ゼ ネ コ ンな どの共 同 出資 で87年 に設 立 され た。 しか し、ほ とん ど進 出 企業 が 見込 めず 、結 局96年 に620億 円 の借 金 を か か え て事 業 停 止 とな っ た。 膨 大 な借 金 の 処 理 を め ぐ って 自治 体 、 銀 行 、 ゼネ コ ンの 負 担 の押 しつ け 合 い がつ づ き、 民 事 調 停 に持 ち込 まれ 、 総 額221億 円 の公 費 負担 な どを柱 とす る調 停 案 が 受 け 入 れ られ た 。   世 界 最大 の ウ ォー タ ー フ ロ ン ト開発 で あ る東 京 臨 海 副 都 心 も、 バ ブ ル崩 壊 と と もに急 速 に行 き づ ま った。 この人 工 島 は 都 の 出資 企 業 が集 中す る 「 三 セ ク アイ ラ ン ド」 で もあ る。 巨大 開 発 の破 た ん は 、 当然 なが ら開 発 主 体 で あ る 第三 セ ク タ ー の経 営 を 直 撃 した。 都 は債 務 超 過 に陥 った東 京 テ レポ ー トセ ンタ ー、 東 京 臨 海 副 都 心建 設 、 竹 芝 地 域 開 発 の3社 を て こ入 れ す る た め、 そ れ らを 事 実 上 統 合 した うえで 、 今 後10年 間 で270億 円 の税 金 を投 入 す る事 態 に 追 い込 まれ た 。 借 入 金 総 額 は3906億 円、累 積 赤 字 額 も696億 円に の ぼ り、都 と金 融 機 関 が 「経 営 安 定 化 策」 に乗 り出す こ と に な る。 都総 務 局 行 政 管 理 課 の 平 成9年 度 東 京 都 監 理 団体 経 営 評 価報 告 書 に お い て も、 これ ら3 社 と多 摩 ニ ュー タ ウン開 発 セ ン タ ーを 「 赤(危. 険)信 号 」 と評 価 して 、 早急 な対 策 が必 要 と提 言. した 。 臨 海 副都 心 の第 三 セ ク タ ー問 題 は 、財 政 悪 化 がす す む 都 財 政 に 中 長 期 的 に重 大 な影 響 を も た らす で あ ろ う。. (2)始. 動 す る 日本 版PFl.   民 活 プ ロ ジ ェ ク トの担 い手 と して 、80年 代 後 半 か ら急 増 した 第 三 セ ク タ ーだ が 、 バ ブ ル崩 壊 後 に経 営 破 た ん が相 次 ぐ こ とに な った 。 自治 省 も第三 セ クタ ー設 立 に ブ レーキ を か け は じめ た。.

(9)   落 ち 目の第 三 セ クタ ーに 代 わ っ て 、 こ の と こ ろ 注 目を 集 め て い る の がPFIで あ る 。11)これ は Private Finance Initiativeの略 で、直 訳 す る と 「民 間資 金 の 主 導」 とな る。 日本 で は 民 間 資金 を活 用 した 社 会 資 本 整 備 な ど と訳 され 、 民 活 手法 の一 つ とされ て い る。PFIは 英 国 が92年 に 採 用 した のが 最 初 で あ り、96年 か らは 地 方 自治 体 に も導 入 され た。 これ ま でに 交 通 関 係 や 病 院 、 刑務 所 、 教 育 施 設 な ど幅 広 い 分 野 で 事業 化 され 、98年3月 達 す る 。 英 国 で はPFI方 式 の 事 業 は 、 図4の (SPC)が. ま で の契 約 高 は 累 計87億 ポ ン ド(約2兆. よ うに 民 間 企 業 が100%出. 円)に. 資 す る 特 定 目的 会 社. 大 きな 裁 量 権 限 を もつ。 資 金 は 自前 で調 達 す るほ か 、 施 設 も設計 段 階 か ら発 注 、 運 営. まで 自 らの 判 断 で す す め る。 ま た 、 こ の民 間 の事 業 会 社 が 国 や 地 方 自治 体 と契 約 す る 時 に、 官 民 の 責 任 分 担 を は っき りさ せ る。 ス コ ッ トラ ン ドの 下 水 処 理 の 場 合 だ と、用 地 買収 の遅 れ は官 側 の 責 任 、建 設工 期 の遅 れ や 施 設 管 理 面 の 事 故 は 民 間 の 責 任 な ど と され て い る。   日本 のPFIを め ぐる主 な動 き を フ ォ ロー して み よ う。 財 政 再 建 が重 要 な政 策 課 題 と され る中 で 、社 会資 本 も新 た な整 備 手 法 が も とめ られ 、 英 国 で 実 施 され て い るPFIに も関 心 が 高 ま って くる。  PFIが 経 済 政 策 の舞 台 に 登 場 す るの は 、97年11月 の 緊 急 経 済 対 策 か らで あ る。 政 府 自民 党 は98年4月. の総 合 経 済 対 策 の決 定 まで に 、PFI法 案 の 骨 格 を 固. め よ うと駆 け 足 で 作 業 を 行 った 。.   自民 党 は5月 に 「 民 間 資 金 等 の 活 用 に よ る公 共 施設 等 の整 備 等 の促 進 に 関 す る法 律 案 」、 い わ ゆ るPFI法 案 を議 員 提 案 した 。2月 にPFI促 進 調 査 会 を 設 置 して 、各 省 庁 との ヒア リン グな どを 経 て法 案 が 提 出 され た 。 法 案提 出 に あ わ せ る よ うに 、建 設 省 の民 間 投 資 を 誘 導 す る新 しい 社 会資 本.

(10) 整 備検 討 委 員 会 は 、 「日本 版PFIの ガ イ ドライ ン」 とい う中 間 報 告 を 公表 した 。 また 、通 産 省 の研 究 会 も 「日本 版PFIの 基 本 原 則 と課 題」 と題 した 報 告 を ま とめ て い る。  PFI法 案 は参 議 院 選挙 後 の 臨 時 国会 で継 続 審 議 され 、 早 け れ ば秋 に も成 立 の見 込 み とい う。   PFI法 案 は 「民 間 の 資 金 、 経 営 能 力 及 び 技術 的能 力 を活 用 した公 共 施 設 等 の建 設 、 維 持 管 理 及 び運 営 の促 進 を 図 るた め の 措 置 を 講 ず る こ と等 に よ り、 効 率 的 か つ 効 果 的 に 社 会 資 本 を 整備 し、 も って 国 民経 済 の健 全 な 発 展 に 寄 与 す る こ とを 目的」 とす る。 公 共 施 設 等 と して 、 道 路 、 鉄 道 、 公 営 住 宅 、庁 舎 、 病 院 、 情 報 通 信 施 設 、 新 エ ネ ル ギ ー施 設 、 リサ イ クル 施 設 な どを 掲 げ て い る。   PFIの 基 本 理念 と して 、民 間 に ゆ だね る のが 適 切 な もの は で きる 限 り民 間主 体 にす る 、 官 民 の 責任 分 担 の 明 確化 、民 間 に対 す る 国 な どの関 与 を必 要 最 小 限 にす る こ とを あげ て い る。 この 基 本 理念 と矛 盾 す る こ とに な る が 、財 政 上 の支 援 と して 国有 公有 財 産 の無 償 な い し時 価 未 満 で の 提 供 、 国 や 自治 体 に よる 出資 な い しは債 務保 証 、 国 に よ る無 利 子融 資 を提 示 して い る。   この法 案 を み て も、英 国 のPFIと は大 き な違 いが あ る。 日本版PFIの 特 徴 は 、 目先 の景 気 対 策 と して の色 合 いが きわ め て 強 い こ とで あ る。 財 政 制 約下 の 景 気 対 策 の柱 と して 、PFIを テ コ に 公 共 事 業拡 大 が企 図 され た 。 そ れ と と もに 、 ゼ ネ コン の不 良 資 産 処 理 とい う隠 され た狙 い も指 摘 され て い る。12)法案23条 に担 保 不 動 産 の活 用 等 とい う条 項 が あ る 。金 融 機 関 な どが 抱 え る担 保 不 動 産 を 、PFI事 業 に活 用 して 、不 良資 産処 理 を促 進 させ る。  PFI向 け に 土地 を 売却 した側 に損 失 が生 じ た 場 合 に 、損 失 分 を 資 産 と して 計 上 し、10年 を最 長 に 繰 り延 べ 償 却 が で き る。 バ ブ ル後 遺 症 に悩 む 企業 の救 済 策 で あ り、 日本 版PFIの 直 接 的 な ね らい を示 して い る。   景 気 対策 の色 合 いが 強 い た め に 、 「 民 の 活 用 」は影 が薄 く、官 の手 厚 い 支 援 ば か りが 目立 つ 。宮 脇 淳 氏 も次 の よ うに批 判 す る。「日本 版PFIは 民 間資 金 に よる補 助 金 型 公 共 事 業 の 先 食 い 的 な要 素 が強 い 。 民 間資 金 の誘 導 、 資 産 購 入 の 発 想 が 基本 に な っ て お り、 民 間 へ の リス ク移 転 とサ ー ビス 購 入 の 発 想 を徹 底 す る英 国型 か らか け 離 れ て い る。 既 存 の不 透 明な 行 財 政 シ ステ ム、財 政 と金 融 の もた れ あ い 、利 益 誘 導型 の 政 治 を 前提 にす る と、民 へ の リス ク移 転 が 十 分進 まず 、 官 民 の責 任 ・ リス ク関 係 が不 明確 な ま ま、 負 の資 産 と借 金 を積 み上 げ る結 果 とな る。13)」   地 方 財 政 が急 速 に悪 化 して 、第 三 セ ク タ ー方式 も行 き づ ま る なか で 、 自治 体 レベ ル で もPFIに 関心 が 高 ま って い る。 三 重 県 で は過 疎 地 域 の 活性 化 方 策 をPFIで 実 現 し よ うと、 企 業 公 募 説 明 会 を 開い た 。 東 京 都 で は浄 水 場 の 自家 発 電 施 設 の建 設 ・運 営 を民 間企 業 に 任 せ る計 画 を 決 め 、PFI を近 い うち に 事業 化 させ る とい う。   自治 体 レベ ル で も始動 す るPFIで あ る が 、公 共 事 業 改 革 の 切 り札 に な る のか 。 全 国 各 地 で 破 綻 に追 い込 まれ て い る第三 セ クタ ー の二 の舞 に な らな い の か。 日本版PFIの 第1号 事 業 、  PFIの モ デ ル とされ る中 部 国 際 空港 か ら問題 を検 証 して い こ う。. (3)PFIの. モ デ ル=中 部 国 際 空 港.   96年12月 に閣 議 決 定 され た 第7次 空港 整 備5ヵ 年 計 画 に お い て 、 中部 新 空 港 は名 古 屋 空 港 と の.

(11) 定 期便 一 元 化 を前 提 と して 、事 業 推 進 が 打 ち 出 され た 。長 年 にわ た る地 元 の 構 想 か ら、 国家 的 プ ロ ジ ェ ク トと して発 進 す る こ とに な るが 、 新 空港 を め ぐ る情 勢 は厳 しい もの が あ った 。 国 は財 政 再 建=財. 政 構 造 改革 に乗 り出 し、特 殊 法 人 の 新 設 は 困難 を きわ めた 。97年3月. 末 に 空港 計 画 な ど. 「5点 セ ッ ト」 が提 示 さ れ た が 、事 業 方 式 や 事 業 主体 が確 定 で きず 、 誰 が どの よ うに 空港 を つ く る の か 示 され な か った。 行 財 政 改革 が 本 格 化 す るな か で 、大 規 模 プ ロジ ェク トに 対 す る風 当 た り は 相 当 きつ く、 国家 プ ロジ ェ ク トと して 発進 した 中 部新 空港 に も逆 風 が 吹 い た 。   6月 のBIE(博. 覧 会 国 際事 務 局)総 会 に お け る万 博 誘 致 決 定 は 、新 空 港 に対 す る風 向 き を 大 き. く変 え た 。2005年 の万 博 ま で に新 空 港 とい う声 が 政財 界 か ら相 次 ぎ、 建 設 推 進 に弾 み が つ い た。 起 爆 剤 と して の 「万博 効 果 」 で あ り、 事 業 方 式 を め ぐ る具 体 的 な検 討 作 業 が 急 ピ ッチ で すす め ら れ る。 そ して8月 末 、運 輸 省 は概 算 要 求 に新 空港 の着 工 予 算 と して14億 円余 りを 計 上 した。 この 概 算 要 求段 階 で は 、 ほ とん ど民 間 企 業 の 出資 に よ る株 式 会 社 が事 業 主 体 とされ た 。地 元 主導 の民 間 企業 主 体 の 国 際空 港 づ く りに対 して 、 地 元経 済 界 か ら も懸 念 が 表 明 され た 。 空港 の性 格 も あ い ま い で あ り、第1種 空 港 な のか も定 か で な か った 。14)   中 部新 空 港 の建 設 推 進 を方 向づ け た の が 、 重 要 な政 治 課 題 とな った 景 気 対 策 で あ る。 政 府 は11 月 の緊 急 経 済 対 策 に お い て、PFIの 適 用 第1号 事 業 と して 中部 新 空 港 を 明記 した 。 万 博 が 開 か れ る2005年 の 開港 を 目標 に、98年 度 に 必 要 な財 政措 置 を とる と した 。 自民 党 は 日本 版PFIで は 、 事 業 資 金 と して民 間 会 社 に対 す る財 政 投 融資 の無 利 子貸 し付 け を 検 討 して きた 。 これ が 中部 新 空 港 の整 備 手 法 と合 致 す る こ とか ら、PFI第1号. 事 業 に 適 切 と判 断 した と い う。 そ して 、12月 の98年. 度 予 算 案 の復 活 折 衝 で着 工 予 算25億7200万 円 が認 め られ た 。 こ の 際 、 正 式 名 称 は 「中 部 国 際 空 港 」、 空港 整 備 法 の第1種 空 港 とされ 、 総 事 業 費 は7680億 円 に圧 縮 され た 。   98年3月. に中 部 国 際 空 港 の 設 置 及 び管 理 に 関す る法 律 が 成 立 し、4月 に は 中部 国際 空 港 株 式 会. 社 が設 立 され た 。 こ の空 港 会 社 が 中部 国際 空 港 等 の設 置 及 び 管 理 を 行 う者(指 定 会 社)と. して 指. 定 され 、 着 工 に 向け た 作 業 が急 ピ ッチ で行 わ れ て い る。 日本 版PFIの モ デ ル とされ る 中 部 国 際 空 港 だ が 、 そ の実 態 を資 金 面 か らみ て い こ う。   中 部 国 際 空 港 の 事 業 ス キ ー ムは 、 図5の. よ うに な って い る。 指定 会 社 で あ る空 港 株 式 会社 の資. 本 金1024億 円の うち 、民 間企 業 が半 分 の512億 円 を 出資 して い る。残 りを国40%、 自治 体10%の 資 に よ って 賄 う。英 国 で はPFI事. 出. 業 を 実 施 す る会 社 は 、 民 間 の全 額 出資 が 原 則 と され て い る。.   PFIの モ デ ル と され る中 部 国 際空 港 で は、 民 間 企 業 の出資 割合 は2分 の1に. と どま り、 そ れ も. 株 主 は500を 超 す 寄 り合 い 所 帯 で あ る。 国 と 自治 体 か ら の無 利 子 貸 付 金 が2050億 円 に の ぼ り、 資 本 の ル ール か らい え ば民 間主 導 とは言 い に くい 。 出資 金 を含 め た無 利 子 資 金 の 負 担 割 合 は 、 国4、 自治 体1、. 民 間1と な って お り、 これ は 関 西 空 港 の1期 事業 と同 じ割 合 で あ る。 総 事 業費 の60%. は 、空 港 会 社 が借 入 に よ り調 達 す る。 財 政 投 融 資 か らの政 府 保 証 債 や 日本 開 発 銀 行 か らの低 利 融 資 、 さ らに は市 中銀 行 か らの融 資 な どで あ る。.

(12)   この よ うに 中 部 国 際 空港 は、PFIの モデ ル と言 って も、英 国 の それ とは 異 質 で あ り、 官 に 支 え られ た 事 業 方 式 で あ る。 ま さ に 日本 版PFIの モ デ ル な の で あ り、 関西 空 港 の 事 業 方 式 に 限 りな く 近 い 。 事 業 費 が アッ プ した り、 実 際 に 空 港 を 管 理 す る場 合 の負 担 や リス クは 、 現段 階 で は 明確 に な って い な い 。 中 部 国 際 空港 は関 西 空 港 よ りも需 要 が見 込 み に く く、 事 業 着 手 の 前 か ら採 算性 が 疑 問 視 され て い る。 この 間 の経 過 か ら して 、 地 元 の 民 間企 業 な どは で き るだ け 国 や 自治 体 に 負担 や リス クを 転 嫁 しよ うと して い る。 そ もそ も地 元 にPFI的 な発 想 は な く、 国 家資 金 に よ る 国 際 空 港 づ く りを 長 年 に わ た り国 に働 きか け て きた 。PFIに は 自己責 任 の原 則 が も とめ られ 、 と りわ け リス ク負 担 の あ り方 は 重 要 な意 味 を も って くる。   空 港 本 体 だ け で な く、 ア ク セ スを は じめ と した 関連 公 共 事 業 の負 担 の あ り方 も問題 とな る。 中 部 国 際 空 港 は 関 西 空 港 と異 な り、 空 港 島 まで の 連 絡 施設 は空 港 建 設 費 に 含 ま れ て い な い。 鉄 道 は 第 三 セ クタ ー、 道 路 は 愛知 県 が 事 業 主 体 と され て い る。 と りわ け 鉄 道 の 第三 セ クタ ー に つ い て は、 採 算 性 に欠 け るな どの 理 由 で負 担 の調 整 が 難 航 して い る。 連 絡 施 設 以 外 の ア クセ ス 、 そ れ に250 haに お よぶ 関連 開発 用 地 造 成 、 そ れ に土 砂 採 取 お よび跡 地 造 成 な どで 、空港 本 体 に 匹 敵す る事 業 費 が 見 込 まれ て い る。 これ ら関 連 事 業 費 の 多 くは 地 元 自治 体 、 と りわ け 愛知 県 の 巨額 の財 政 負 担 が 予 想 され 、 財 政 悪 化 に 拍車 を か け る こ とが 懸 念 され る。   中 部 国際 空 港 は ア クセ ス な どの関 連 公 共 事 業 も含 め る と、 官 に 支 え られ た性 格 は い ち だ ん と明 確 に な る。 こ う した 日本 版PFIの 問 題 点 は 、 民 活 の か け声 で推 進 され 、 そ の 多 くが 失 敗 に 終 わ っ た リ ゾー ト開 発 に 前 例 が み られ る。 「国土 庁 に よる と、 リゾ ー ト法 適 用 地 域 で の ホ テ ル や ゴル フ 場 な ど、特 定 民 間 施 設 へ の投 資 額 は96年 の 時 点 で2兆5千. 億 円。 これ に 対 して 自治 体 な どが整 備.

(13) した公 共 施 設 へ の投 資 額 は7千 億 円 。 施 設 そ の もの へ の投 資 額 は た しか に民 間 が 主 体 だ 。 し か し、 さ らに 掘 り下 げ て 調 べ る と、 リゾ ー ト地 で の道 路 や橋 な どの 関連 施 設 に 対 す る公 共 投 資 が実 に5 兆 円に の ぼ る こ とが わ か った 。 つ ま り リゾー ト法 関連 の総 投 資 額8兆2千 に 当 た る5兆7千. 億 円 の うち 、 ほ ぼ7割. 億 円 は 公 共 事業 だ っ た こ とに な る。15)」PFIのモ デ ル とされ る中 部 国 際 空 港 も、. こ うした リゾ ー ト開発 と同 じよ うに、 開発 の実 態 は 「官 活」 の 色 合 い が 強 い の で は な いか 。. 3  公 共 事 業 改 革 の課 題 と方 向.   バ ブル 崩 壊 後 も公 共 事 業 が 拡 大 を つ づ け た の は 、直 接 的 に は公 共 事 業 中 心 の 景 気 対 策 に よ る。 再 三 に わ た り補 正 予 算 が 組 まれ 、建 設 国債 を財 源 に して 公 共 事 業 が 拡 大 され て い った。 地 方 債 に よ る地 方 単 独 事 業 も、 景 気対 策 の柱 と して増 額 され 、 大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トや い わ ゆ る ハ コモ ノ行 政 が推 進 され た。 公 共事 業 拡 大 に もか か わ らず 、 長 ら く景 気 低迷 が つ づ い て 、 国や 地 方 自治 体 の 借 金急 増=深 刻 な財 政 危 機 を 引 き起 こ した 。   世 界 で も最 高 水 準 の公 共 事 業 が つ づ くのは 、 景 気 対策 に と どま らず 、経 済 や 公 共 事 業 の シ ス テ ム にか か わ る構 造 的 な背 景 が あ る。   90年 代 の公 共 事 業 の 大 枠 は 、91年 に 策 定 され た 公共 投 資 基 本 計 画 で 方 向づ け られ た。 前 年 に 日 米 構 造 協 議 の 最 終 報 告 が ま と ま り、 内需 拡大 を は か る公 共 投 資 が 対 米 黒 字 削減 の切 り札 とされ 、 そ れ を 受 け て 策 定 され た 。91年 か らの10年 間 に総 額430兆 円 、過 去10年 間 の実 績 見 込 み の お よ そ 1.6倍 も の公 共 投 資 実 施 が 対 米 「公 約」 され た の で あ る。 さ らに94年 に は新 た な公 共 投 資 基 本 計 画 が 策定 され 、95年 か らの10年 間 に お おむ ね630兆 円(弾 力 枠30兆 円含 む)に の ぼ る公 共 投 資 が 決 ま った。 サ ミッ トで の 内需 拡 大 の圧 力 を 受 け て 、 公 共投 資 増 額 が決 ま った 。 わ が 国 の 公 共 投 資 も 90年 代 以 降、 グ ローバ ル な経 済 関 係 に 大 き く左 右 され る よ うに な る。   公 共 投 資 基 本 計 画 に よ り大枠 が 定 め られ た 公共 事 業 は、5ヵ. 年 を 中 心 と した 長 期 計 画 に した. が って 実 施 され る。 道 路 整備5ヵ 年 計 画 な どは 、年 間 予 算 に 匹 敵 す るほ どの 規 模 で あ り、 そ れ が 毎 年 の 予 算 を 通 じて 事 業 化 され る。 公 共 事 業 予 算 に大 き く影 響 す る長 期 的 な 国 土計 画 と して 、 も うひ とつ 重 要 な の が全 国総 合 開発 計 画(全 総 ) で あ る。87年 に 策 定 され た4全 総 は、 多 極 分 散 型 国 土 の形 成 を か か げ て 、86年 か らの15年 間 の 政 府 ・民 間 に よ る国 土 の基 盤投 資 の累 積 額 を1000兆 円程 度 と した。98年3月. 末 に 閣 議 決 定 され た5全 総(正 式 に は 「21世紀 の 国土 の グ ラ ン ドデ ザ イ. ン」 とい う)は 、投 資 規 模 こそ 明示 しな か った が 、従 来 の全 総 路 線 を 引 き継 ぐ内容 に な って い る。 族 議 員 に よる政 治 的 な 圧 力 を うけ て 、 長 大 橋 や 高速 道 路 な どの大 規 模 プ ロジ ェ ク トが 新 国 土 軸 構 想 の も とで推 進 され よ うと して い る。   5全 総 の もとで 公 共 事 業 に 拍 車 が か か り、 開発 新 時 代 の様 相 を強 め て い るが 、 そ の 一 方 で 公 共 事 業 を 見 直 す 気 運 も高 ま って きた 。98年 版建 設 白書 で は、 社 会 経 済 情 勢 の 変化 の 中 で 、近 年 、 住 宅 ・社 会 資 本 整 備 の あ り方 に つ い て様 々 な観 点 か ら厳 し い批 判 が 出て きた と して 、公 共 事業 の あ.

(14) り方 へ の批 判 と見 直 しを 直 接 の テ ー マに か か げ た 。 社 会 資 本 整 備 は 行 政 と国 民 が協 同 で整 備 す る こ とが 大 切 で あ り、 行 政 側 が利 用 老 で あ る 国民 の意 見 を 聞 き、 意 思 決 定 プ ロセ ス へ の参 加 を積 極 的 に求 め るべ き と述 べ て い る。 事 業 につ い て も、新 しい事 業 を 始 め る よ り、 既 存 の ス トッ クを 長 持 ち させ 、機 能 を十 二 分 に発 揮 させ る工 夫 が必 要 と して い る。16)   しか し、 こ うした一 歩 前 進 と評価 で き る 白書 の 指摘 も、 現 実 の事 態 を みれ ば リ ップサ ー ビス で あ った り、 まや か しで あ る こ とが 明 らか に な って くる。 日本 経 済 新 聞 も建 設 省 の 審 議 委 員 会 が 吉 野 川河 口堰 建 設 に ゴ ーサ イ ンを 出 した こ とに 関 連 して 、次 の よ うに批 判 す る 。 「 吉 野 川 をみ る限 り、 白書 の指 摘 は リ ップサ ー ビスに 過 ぎな い よ うに 思 え て くる。 …. 吉 野 川 は従 来 方 式 の 『最 後. の ケ ース』 で な く、 白書 が 指 摘 す る 『最 初 の ケ ー ス』 に しな け れ ば な ら な い。17)」 また 、最 大 の 公 共 事 業 で あ る道 路 に関 して は 、道 路 特 定 財 源 に 支 え られ て5全 総 路 線 の も とで建 設 が 加 速 され よ うと して い る。   建 設 白書 で は 、公 共 事 業 批 判 の主 た る 内容 と して、 効 率性 に 関 す る もの と透 明性 に関 す る も の を あげ て い る。 効 率 性 に 関 して は 、公 共 事 業 の経 済 効 果 、地 域 配 分 、 重 複投 資 に関 す る批 判 で あ る。 また 、 費用 との比 較 で効 果 を 問 う観 点 か ら、 わ が 国 の公 共 工 事 は 高 コス トで あ る との批 判 が 、 国 際比 較 の 観 点 か らな され て きた。 透 明性 に 関 しては 、 意 思 決 定 の 客 観 性 を 問 う観 点 か ら、 公 共 事 業 の評 価 や採 択 の基 準 、 入 札契 約 の方 式 が 問題 とな る。 また 、 意 思 決 定結 果 の時 間 の経 過 に 伴 う社 会 経 済 情 勢 へ の適 合性 を 問 う観 点 か ら、事 業 の再 評 価 が 問 題 とな る。 そ して、 当初 は効 率 性 や透 明性 に つ い て の行 政 の説 明 責任 を 問 う観 点 か らの議 論 が 多 か った が 、 最近 で は これ に加 え て、 現在 の行 政 が もつ 仕組 み で は利 用者 で あ る 国民 の ニ ーズ を満 足 させ るサ ー ビス を行 う こ とが 困 難 で は な いか 、 とい うよ り根 本 的 な と ころ に も議 論 は及 んで い る よ うに 思 わ れ る と指 摘 す る。   こ う した 効 率 性 と透 明性 に 関 す る批 判 は 、公 共 事 業 の公 共性 に か か わ る問題 で あ る。18)公共 事 業 は財 政 危 機 の 引 き金 だ け で な く、公 共 性 か らみ て も重 大 な 欠 陥 が み られ る。 まず は 、世 界 最 高 水 準 の投 資 に もか か わ らず 、 生活 ・都 市 基 盤 が相 変 わ らず貧 弱 な こ とで あ る。 世 界 有 数 の 「経 済 大 国」 に あ りな が ら、 国 民 は い ま だ に豊 か さ を実 感 で きて い な い 。 公 共 事業 は無 駄 な投 資 や 産 業 基 盤(と. くに 道 路)へ の重 点 投資 がつ づ い て 、生 活 ・都 市基 盤 整 備 が な か な か進 展 して いな い 。. 政 ・官 ・業 の 「 鉄 の トライ ア ン グル」=公 共 事 業 複 合 体 が形 成 され 、 公 共事 業 の不 正 や 腐 敗 と と もに、 公 共 事業 見 直 しを 困難 に して い る。 公 共 事 業 に よ る環 境 破壊 も、 公 共性 そ の ものに 問 題 を 投 げか け て い る 。   バ ブル 崩 壊後 の経 済 な い し社 会 状況 は 、公 共 事 業 の公 共性 を 名実 と もに担 保 で き る改 革 の 重 要 性 、緊 急 性 を ます ます 高 め て い る。 それ は公 共 事 業 複 合 体 と直 接 ぶ つ か りあ い、 多 くの困 難 が 予 想 され る。 しか し、財 政 制 約 と環 境 の時 代 を迎 え るな か で 、 公 共 事業 リス トラには 追 い 風 も吹 い て い る。 と くに 財 政面 か らは 、 行政 の優 先 順 位 の 明確 化 、 あ るい は 「 費 用 対 効 果 」 とい う視 点 で 、 足 もとか ら公 共 事 業 の 問題 点 を洗 い 出 して い く作 業 が も とめ られ て い る。.

(15)                           注 1)拙. 稿 「 公 共 投 資 と財 政 」(重 森 暁 ・鶴 田廣 巳 ・植 田和 弘編 『Basic現 代 財 政 学 』 有 斐 閣 、98年 、97∼102.   ペ ー ジ)参 照 。 2)『 朝 日新 聞』95年9月21日 3)一. 付 。 実 際 に も消 費税 の増 税 が 実 施 され る こ とに な る。. 般 会 計 のほ か に、 特 別 会 計 で97年 度 末 で77兆 円 の債 務 残 高 、 国 鉄 清 算 事 業 団 を は じめ と した 隠 れ 借 金.   が35兆 円、 そ れ に136兆 円に の ぼ る地 方 自治 体 の債 務 が つ け 加わ る。 国 と地 方 自治 体 を あわ せ た 債 務 は 、総   額477兆 円 でGDPに. 匹 敵 す る規 模 で あ る。 「日本 で財 政 赤 字 が 問題 だ と して も、 そ れ は 中 央 政府 の 財 政 赤 字.   で は な く、 地 方 政 府 の 財 政 赤 字 な の で あ る」(神 野 直彦 『シ ス テ ム改 革 の政 治 経 済 学 』 岩 波 書 店 、98年 、   214ペ ー ジ)と い う指 摘 の よ うに 、 団 体 な い し会 計 ご とに債 務 を質 的 に 性 格 づ け て い く必 要 が あ ろ う。 4)岩. 波一寛 「 財 政 破 綻 と公 共 事 業 」(『経 済』97年3月. 号)参 照 。. 5)石. 弘 光 監修 『財 政 構 造 改 革 白書 』東 洋 経 済 新 報 社 、96年 。 こ の批 判 的 検 討 に つ い て は 、拙稿 「 財政制度審.   議 会 報 告 の検 討− 財 政 構 造 改 革 の ゆ くえ」(行 財 政 総 合 研 究 所 『行 財 政 研 究 』30号 、96年11月)を. 参 照 され.   た い。 6)『 朝 日新 聞 』97年8月8日 7)90年. 付。. 代 の 地 方 財 政 危機 に つ い て は 、拙 稿 「 公 共 投 資 と地 方財 政 危 機 − 大 規 模 プ ロ ジ ェ ク トと国地 方 の 『財.   政 秩 序 』」(『財 政学 研 究』 第22号 、97年10月)を 8)『 日経 地 域情 報』NO.294、98年5月 9)『 読売 新 聞』98年4月17日. 参 照 の こ と。. を参 照 。. 付。. 10)坂 田 期 雄 「 苦悩 す る第3セ. ク タ ー− そ の現 状 と課 題 」(『地 方 財務 』98年2月. 号)な. ど を参 照 。. 11)こ の と ころPFI関 連 書 が シ ン ク タ ン ク関 係者 な どか ら刊 行 され て い る。 さ しあ た り井熊 均 『PFI公   資 の新 手法 』 日刊 工 業 新 聞社 、98年 、石 黒 正 康 ・小 野 尚 『PFI日. 共投. 本 導 入 で何 が 、 ど う変 わ る』 日刊工 業 新.   聞社 、98年 、そ れ に通 産 省 関 連 の民 間 主 導 型 イ ンフ ラ研 究 会編 『PFI入門 』 商事 法務 研 究 会 、98年 が あ げ ら   れ る。PFIの 問題 点 を 指摘 した もの と して、 宮 前 忠 夫 「PFI・イ ギ リス の実 例 と教 訓− 日本 版 の批 判 的 検 討   のた め に」(『労 働 法 律 旬 報 』NO.1431、98年5月10日)、   本 版 『PFI』導 入」(『住 民 と 自治 』NO.426、98年10月)で. また 拙 稿 「 懸 念 され る三 セ クの 二 の舞!自 治 体 の 日 も、若 干 の 紹 介 と批 判 的 検 討 を 行 っ て い る。以 下.   の 展 開 は 、 この 拙 稿 を ベ ース に して い る。 12)『 日本 経 済 新 聞 』98年7月12日. 付。. 13)『 日本 経 済 新 聞 』98年6月9日. 付。. 14)こ の 段 階 ま で の 財政 問題 につ い て は、 前 掲 の拙 稿 「 公 共 事 業 と地方 財政 危 機 」 に お い て検 討 して い る。 15)『 日本 経 済新 聞』98年8月23日 16)98年. 付。. 版 『 建 設 白 書』 の第1総 説 第3章. 17)『 日本 経 済 新 聞』98年7月16日. 「 新 た な 住 宅 ・社 会 資 本整 備 の あ り方 に 向け て」 を 参 照 。. 付。. 18)前 掲 拙 稿 「公共 投 資 と財 政 」に お い て 、わ が 国 の 公 共投 資 の 問題 点 と課 題 を 公 共 性 と関 連 づ け て検 討 して   い る。 あわ せ て宮 本 憲 一 『公 共 政 策 の す す め 』 有斐 閣 、98年 、第7章. も参 照 の こ と。.

(16) Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ. 附表 行政 投資の推移 (単 位:100万. 1990年. 道         路 港     湾 空     港 そ の他交通手段 電. 気. ・ ガ. ス. 埋 立 用地 造成 工 業 用 水 道 農  林  水 産 小     計 都  市  計  画 住         宅 宅 地 造 成 環 境 衛 生 上    水    道 下    水    道 厚  生 福 祉 文 教 施 設 観  光 施 設 そ   の  他 小         計 治  山 治 水 海  岸 保  全 災  害 復  旧 失 業 対 策 小        計 官 庁 営 繕 収  益 事 業 そ   の   他 小        計 合         計. 1991年. 金  額. %. 金. 9,880,146. 26.9. 額. 10,665,622. 1992年. 金 額. % 26.4. 12,476,060. 1993年. 金. % 26.9. 額. 13,320,523. 1994年. 金. % 26.1. 額. 12,233,511. 円). 1995年. 金  額. % 25.6. 12,887,951. % 25.3. 706,158. 1.9. 720,059. 1.8. 840,170. 1.8. 919,687. 1.8. 871,911. 1.8. 972,162. 1.9. 322,694. 0.9. 480,987. 1.2. 439,788. 0.9. 534,048. 1.0. 437,230. 0.9. 470,429. 1.0. 551,246. 1.5. 635,314. 1.6. 750,851. 1.6. 754,965. 1.5. 717,858. 1.5. 799,208. 1.5. 59,267. 0.2. 69,612. 0.2. 66,133. 0.1. 74,453. 0.1. 73,862. 0.2. 93,958. 0.1. 64,122. 0.2. 72,647. 0.2. 112,125. 0.2. 114,691. 0.2. 101,845. 0.2. 121,779. 0.2. 88,063. 0.2. 106,540. 0.3. 103,670. 0.2. 120,593. 0.2. 92,800. 0.2. 95,750. 0.1. 3,295,499. 9.0. 3,354,361. 8.3. 3,829,166. 8.3. 4,149,604. 14,967,195. 40.7. 16,105,142. 39.9. 18,617,963. 40.1. 19,988,564. 1,917,153. 5.2. 2,219,780. 5.5. 2,561,857. 5.5. 2,721,160. 2,100,636. 5.7. 2,424,480. 6.0. 2,649,198. 5.7. 2,947,985. 8.1. 4,395,181. 9.2. 4,813,853. 9.5. 18,924,198. 39.6. 20,255,090. 39.8. 5.3. 2,450,446. 5.1. 2,723,768. 5.4. 5.8. 2,921,799. 6.1. 2,941,972. 5.8. 39.1. 737,211. 2.0. 892,394. 2.2. 918,559. 2.0. 1,460,091. 2.9. 868,975. 1.8. 786,805. 2.1. 967,848. 2.4. 1,171,123. 2.5. 1,582,831. 3.1. 1,476,805. 3.1. 1,440,198. 2.8. 1,364,544. 3.7. 1,418,163. 3.5. 1,632,411. 3.5. 1,704,066. 3.3. 1,664,861. 3.5. 1,722,236. 3.4. 2,864,365. 7.8. 3,166,125. 7.8. 3,846,217. 8.3. 4,377,358. 8.6. 4,336,916. 9.1. 4,502,132. 8.8. 1,374,987. 3.7. 1,643,169. 4.1. 1,951,027. 4.2. 2,189,657. 4.3. 2,102,188. 4.4. 2,328,301. 4.6. 3,346,808. 9.1. 3,680,426. 9.1. 4,224,872. 9.1. 4,503,141. 8.8. 4,096,818. 8.6. 4,087,135. 50,385. 0.1. 42,750. 0.1. 37,099. 0.1. 37,522. 0.1. 40,913. 0.1. 40,894. 50,012. 0.1. 55,861. 0.1. 59,696. 0.1. 58,458. 0.1. 70,479. 0.1. 688,474. 121,209. 1.4. 8.0 0.1 0.2. 14,592,906. 39.7. 16,510,996. 40.9. 19,052,059. 41.1. 21,582,269. 42.2. 20,030,200. 41.9. 20,596,319. 40.5. 2,993,257. 8.1. 3,140,216. 7.8. 3,670,147. 7.9. 4,047,772. 7.9. 3,953,639. 8.3. 4,216,563. 8.3. 157,201. 0.4. 163,452. 0.4. 200,620. 0.4. 218,487. 0.4. 226,796. 0.5. 839,199. 2.3. 947,090. 2.3. 656,351. 1.4. 782,035. 1.5. 732,507. 1.5. 0.2. 81,037. 0.2. 66,718. 0.1. 57,855. 0.1. 50,621. 0.1. 10.7. 4,593,836. 9.9. 5,106,149. 10.0. 4,963,563. 10.4. 1,375,742. 2.9. 1,638,192. 3.2. 0.1. 80,907. 0.2. 88,612. 4,078,269. 11.1. 1,106,054. 4,331,795. 235,697 1,171,172 51,160 5,674,592. 3.0. 988,602. 2.5. 64,386. 0.2. 80,863. 0.2. 1,984,933. 5.4. 2,318,817. 5.7. 2,624,496. 5.7. 2,730,869. 5.3. 2,515,800. 5.3. 2,993,164. 3,155,373. 8.6. 3,388,282. 8.4. 4,073,417. 8.8. 4,449,968. 8.7. 3,903,008. 8.2. 4,368,394. 36,793,743. 100.0. 40,336,215. 100.0. 73,179. 46,337,275. 100.0. 51,126,950. 100.0. 1,324,664 62,544. 47,820,969. 0.5 2.3 0.1. 11.1. 2.8. 1,301,601. 2.6. 0.1. 73,629. 0.1. 100.0. 50,894,395. 5.9 8.6 100.0.

(17)

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