技術に創造性を
泉裕巳
鼠、Q鹸叱.
噸
或る講演会で聞いた話である.科学の研究にとって大切なことは創造性であり,個人の独創性で
ある.よく曰本人は創造性に欠けると言われるが,本当にそうなのか.客観的に正しいとは言えな
いにしても,これらの尺度に国別のノーベル科学受賞者の数がよく引用される.国別の受賞者の数
はアメリカが最も多く3桁で,次いでイギリス・ドイツの2桁と続き,曰本は湯川秀樹博士に1桁
である.この尺度は絶対的なものではないにしても一つの側面を捉えているように思う.
一体創造性とはどんなところから生まれるのであろうか.この例えとして次のような話がある.
古くから欧州の域国には「サロン」というのがあった.それは科学書,芸術家,作家・・・達が余
暇の時間に気儘に集まって談笑し,意見を交換し,気楽に楽しい-時を過ごす場であった.有名な
ニュートンも,何故太陽の回りを地球が廻ろのかと疑問を抱き,疲れて農場のベンチに座って考え
いていた,その時,前にあったリンゴの木から実が-つポツリと落ちた.これが後に地球の万有引
力の法則を発見するきっかけになったのだとも言われている.
科学者たるものは常に何かに疑問をもち,時には異なった専門分野の人達とも気軽に対話の機会
を作り,自由な意見の交換を行っている過程に,何かモヤモヤとして考えていたことに「ハツ」と
気付き,解決の糸口につながることがある,これが独創に発展していくのだそうである.
曰本のノーベル賞受賞者が東大より京大出身者に多いのは何故か,それは京都には祇園があった
からだと,演者は話していた.
本年3月末に沖縄振興特別措置法が国会で可決成立し4月1曰に施行された.30年間続いた「沖
縄振興開発特別措置法」から「開発」の2文字が外され,自立型経済の構築をキーワードに産業振
興に重点を置いた内容になっている.中でも振興計画の下に,特に重点的な分野の-つとして「農
林水産業の振興」を挙げ,個別の行動計画を作成することが新たに定められている.
一方,沖縄県は1999年に独自の計画として「農林水産業振興ビジョン・アクションプログラム」
を策定し,現在諸施策が進行中である.このような状況の中にあって農業関係者は,従前から沖縄
の地理的諸条件を踏まえた「亜熱帯農業の確立」を目指して取り組んできたが,今まさに課題の具
体化に向けて尚一層の努力を重ねる社会的要請の最中にあると言ってよいのではないかと思う.
会員各位の一層の奮起を期待したい.