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越境するリサイクルのフィールド・ワーク (フィールドワーク心得帖 第30回)

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Academic year: 2021

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越境するリサイクルのフィールド・ワーク (フィー

ルドワーク心得帖 第30回)

著者

小島 道一

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

205

ページ

57-58

発行年

2012-10

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00003861

(2)

ਸ਼৚ؙ小島道一

小規模リサイクル業者の

調査

  筆者は 、 二〇〇〇年頃から 、 アジアの十数カ国でさまざまな リサイクルの現場を訪問し、工 程を観察し 、インタビューを 行ってきた。町中で再生資源を 購入しているジャンクショッ プ、ジャンクショップなどから 再生資源を集め輸出を行ったり 再生資源を利用する工場に販売 したりしている再生資源問屋 、 公害対策設備を持っていない小 規模のリサイクル業者、環境管 理 シ ス テ ム ︵ ISO14001 ︶ の 認 証を取り公害対策を進めている リサイクル業者などさまざまな 事業者を訪問してきた。   特に調査が難しいのが小規模 のリサイクル業者である。家の 裏庭など、目立たないところで 操業しており、事業者のリスト などは存在していない。政府の 統計などでもカバーされておら ず、定量的にその実態をつかむ ことは難しい。 しかし、 国によっ て、また、リサイクルされる再 生資源によっては、小規模事業 者がリサイクルの主たる担い手 となっている。政府の認可を受 けた工場が存在せず、小規模事 業者のみがその国内でリサイク ルを行っている場合もある。例 えば、ベトナムでは、数年前ま で車やオートバイのバッテリー で使われている鉛のリサイクル に関して政府の認可を受けてい る工場は、存在しておらず、小 規模のリサイクル業者が鉛リサ イクルの担い手となっていた。   これ まで 、 様 々 な 国 で 、 現 地 の研 究 者 の ア レ ン ジ で 訪 問 し た りす るだ け でなく 、 通 訳を連れ て飛 び込み で 話を 聞かせ て も らっ た り 、現 地 に 進 出 し て い る 日系 企業 の 人 に案 内し てもら っ たりし て 、 小 規 模 リサイク ル業 者を訪問し て きた 。   しかし、 国 ・ 地 域 によ っ て 、 また 、 品 目によ っ て 、 外部 から の訪問 者 を警 戒し 、 イ ンタ ビ ュ ー が 難し い場 合も ある 。筆 者 が 、 広 東 省 で 廃 電子 ・ 電 気 製 品のリサイク ルで 有 名 な 貴 嶼 鎮 を 、 鎮 政 府 ︵ 村役場︶ の 案内 で 二 〇〇九 年に訪問した際には 、 比較 的 、 環境対策が行わ れ て い る 工 場お よび そ の 周辺 の エ リ ア し か 案内 し て も ら え な か っ た 。 コ ン ピュー タ な ど の 電 子 基 板 の ハ ン ダを溶かし I C チ ッ プ を取り出 すプ ロ セ ス や I C チ ッ プ な ど か ら酸などを使 っ て 金 を 回収す る プロセス な ど 、汚 染 を ひ き 起 こ すプ ロ セ ス が 集中的 に 行 わ れ て いる と 報 告 さ れ た 地区へ の 案 内 は拒まれた 。 中国 の北京にある 大学 の先生 に 聞くと 、 同地 区 の 調 査 は 、﹁ 地 方 政 府 を 通 じ て 、 現地を訪問し ても 、 本 当 に 汚染 が激し い と こ ろは見せ てもらえ な い ﹂ と い う こ と で あ り、 現 地 の 研究者 で も 、 簡 単 に は 入 れ な い 地 域 があると いう 。 二 〇〇 四年に 、 現地 の大学生 の案内 で 、 汚 染 の 激し い地 区 の 訪問を行 っ た こ と もある が 、 外 から作 業 を見る こ とは でき ても 、 話 を聞 く こ とは できず 、 すぐに追 い払われた 。 二〇 〇八 年 に は 、 汚 染 の 激 しい 地区 を調 査しよう としたアメリ カの バー ゼル ・ ア クシ ョ ン ・ ネ ッ トワ ー ク という N GOのス タッ フが 、 車 を降りたとたん に襲わ れ る と い う事件も起き て い る 。   その 一 方 で 、 現 地 の 研 究 者 等 の協 力 の もと 、 フ ィ リ ピ ン やイ ンドネ シ ア で は 、 同 様 の プ ロ セ スを間 近 で 観 察 し 、 プ ロ セ スや ビジネ ス のやり 方 な ど に つ い て 詳しく話を 聞 く こ とが でき て い る。 基 板 を 破 砕 す る な どした 後 、 酸や シ ア ン な ど の 薬剤等を つ かっ て 金 を 回 収 し た り 、 被 覆 銅 線の プラ スチ ッ ク 部 分 を 燃 や し 、 銅を 取り出すと い っ た 処 理 が行

越境するリ

ール

ーク

写真1 携帯電話の基 板から金を取り出す作 業。台所のすぐ脇のス ペ ー ス で 行 わ れ て い た。( イ ン ド ネ シ ア・ バンドンにて2010年9 月筆者撮影) 写真2 被覆銅線のプラスチック部分を 焼き、銅を取り出す作業(ベトナム・ヴィ ンフック省にて2011年1月筆者撮影)

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われ て い る。 ︵写 真 1、 2参照 ︶   中国 の貴 嶼 鎮 と 、 フ ィ リ ピ ン やイ ンドネ シ ア で の対 応 の 違 い は 、 公 害 規 制 の執 行 の 強 さ の相 違 や マ ス コミで ど れ だ け た た か れている かの 違い が 大 き い と 思 われる 。 貴 嶼 鎮は 、 二 〇〇 年に バー ゼル ・ ア ク シ ョ ン ・ネ ッ ト ワーク 等 が 、 アメリ カ か ら 大 量 の廃電 子 ・ 電 気 製 品 が 同 地 に輸 出さ れ 、 不適切な リ サ イ ク ル を 行っ て い る と 報 告 書 お よ び ビ デ オで 取 り 上 げ た 地 域 で あ る 。有 害廃棄物 の 越 境移動を 規制す る バー ゼル 条 約 の 締 約 会 合 で 紹 介 され たり 、 欧 米 の マ ス メ デ ィ ア も 取 り上げた りしたため 、 国 際 的に有 名 にな っ た 地 域 で あ る 。 中国国 内 でも貴 嶼 鎮 の リサイク ルに よる 環 境 汚 染 が 報 道 さ れ 、 輸入 規 制 の強 化 な ど に つ な が っ ている 。 その 結 果 、 現 地の 小 規 模リサイク ル 業 者 も 、 外国人 や 報道 関係者など に 対す る 警 戒感 が非 常に強 く な っ て い ると 思わ れ る 。 地 元政府も 、 住 民 と の 軋 轢を生 む 原 因 とな り か ねな い こ とな どから、 外国人や 中 央 政 府 、 研究者 、 マ ス コ ミ の 訪 問 を 快く 思っ て い な い 。   フィリ ピ ン や イ ン ド ネ シ ア で は、そ の よ う な 報 道 が あ ま り 行 われ ておら ず 、 小 規 模 リサイク ル業 者 の 警 戒 感も比 較 的 薄 い と 思われ る 。 た だし 、 あ る フ ィ リ ピ ン 環境 天然資源省 の 有害廃棄 物担当官 は 、﹁我 々 が 、 調 査 す れば 殺さ れ か ね な い ﹂、 ﹁ 研究者 が実 態を把 握 し て くれ る こ と は、 あり がた い 。﹂ と 述 べ て い た こと が あ る 。 当 該 国の な か で 、 影響力 の な い 外 国 人 の 研究者だ から調 査 を受 け 入 れ て もらえ る 側面 もある と 思 わ れる。   小規模な リ サ イ ク ル 業 者 の 公 害対策 の た め の 支 援を 政府が 考 え た り 、 国内外 の 企 業が 公害対 策を行 っ た し っ か りと し た 工 場 への 投 資 が 成 り 立 つ か ど う か を 判断 し た り す る た め に は 、 そ の 実 態 把 握 は 欠 かせな い 。 中国 や ベト ナ ム 、 イ ン ド ネ シ ア 、 タ イ など で は 、 日 本 の よ う に リ サ イ クル のた め の 制 度 作 り を 準 備 し てお り 、 小 規 模リサ イ ク ル 業 者 をア ッ プ グ レ ー ド してい く の か 、 ある い は 、 排 除 し た 形 で 制 度 づ くりをする の か 、 制 度 の方 向 性 を考え る ため にも情 報 収 集 が必 要と な る 。 中 国 の よ う に 小 規模 リサイク ル業 者 の 実 態 が つ かめ なけれ ば 、 他 国 の ケー ス を 参 考 にしな が ら 、 そ の 実 態 を 類 推 せ ざる を 得 な い だろ う 。

グローバル化するリサイ

クルのフィールド・ワー

ク対象地の広域化

  いろ いろ な リ サ イ ク ル 業 者 を 訪問 するなか で 、 リサ イク ル分 野で も グ ロ ー バ ル 化 が 進 ん で 来 ているこ と を 実 感 す る 機 会 が 少 なくな い 。   フィリ ピ ンの セ ブ と 、 マ レ ー シアの ペ ナンで 尋 ね た 古 紙 問 屋 を訪問した際 、﹁ タイ のウ ォ ン パ ニとい う 業 者 を 知 っ て い る か ﹂ と同 じ 質 問 を う け た こ と が あ る。 ど ち ら の 業 者 も タ イ 北 部 の ピサヌル ー ク に あ る ウ ォ ン パ ニ 社を訪問し 、 再 生 資源 の 回 収 ビ ジネ ス に 関 す る 研 修に参 加 した こと が あ る と いう 。 そ し て 、 困 っ た こ と が あれ ば 、 同 社 の社長に 電話し て 相 談 を し て い ると い う。 ウ ォ ン パ ニ 社 は、 タ イ の ピ サヌル ー ク を 本 拠 に 、 再 生 資 源 の回 収 ビ ジ ネ ス を 発 展 さ せ 、 フ ラン チャイ ズ 形 式 で タ イ 全 国 に 一〇 〇 店 以 上 の ジ ャ ン ク シ ョ ッ プを 展開 し て い る 会 社 で あ る 。 セ ブ の 古 紙 回 収業者 も 、 ペ ナ ン の古 紙回 収 業 者も、 将 来 的 に は 、 ウォ ン パ ニ の よ う に 、 種 々 の 機 械を い れ 、 規 模を拡 大 し て い き たい と 語 っ て い た 。   ベト ナ ム の ハ ノ イ 近 郊 の 廃 電 子・ 電 気 製 品 の 解 体 業 者 で は 、 中国人 の バ イ ヤーとたまたま会 う こ とが でき た 。 中 国 語を 話す 共同研 究 者 と 一 緒 に訪問し て い たこ と か ら 、 中 国 語 で 話 を き く こと がで き た 。ベ ト ナ ムに 滞 在 しな がら 、 電 子 基 板 な どを 買 い 集め て い ると い う 。 ラ オ ス 南 部 のサ バ ナ ケ ッ ト で は 、 複 数 のベ トナ ム 人 が 再 生資 源 を 集 め る ジャ ン ク シ ョ ッ プ を 開 き 、 ビ ジ ネス を 始 めている 。 ラ オス 出 身 の研 究 者 と ベ ト ナ ムを 専 門 と す る研 究 者 と 一 緒に 訪 問 する こ と で、 ジ ャ ン ク ショ ッ プ の 場 所 を 聞き出し 、 イ ン タ ビ ュ ー を 行う こと がで き た 。   アジ ア地域 で は 、 貿 易 や製造 業での 海 外 直 接 投 資の 拡 大 な ど 、 経 済 の 国 際 化 が進ん で い る が、医 療 サ ー ビ ス 、 教 育 な ど 他 の分野 で も国 際 化 が 進 ん で き て いる 。 筆 者 が 研 究 を 進 めている リサ イク ル分野も 国 際 化 が進ん でき て い る 一 例と い え る 。 こ の ような国 際 化 の実 態を捉え る に は、 複 数 の 地 域 研 究 者 や ひ とつ のテ ー マ を 広 域 で 研 究 している 研究者が 、 共 同 で 調査 し 、 実態 を把 握し て い く こ と が 必要と なっ て い る と 思 わ れ る 。 こじま みちかず/アジア経済研究所 環境・資源研究グループ

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1 Library, Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization (3-2-2 Wakaba Mihama-ku Chiba-shi, Chiba 261-8545). 情報管理 56(1), 043-048,

Basic Input-Output Table of Thailand, 1975, (IDE Statistical Data Series, No. 30), Tokyo: Institute of Developing Economies. OSCAS-NEC (Office of Statistical Coordination

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