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中学校生徒における技術・家庭科(男子向き)のレディネス調査

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Academic year: 2021

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(1)Title. 中学校生徒における技術・家庭科(男子向き)のレディネス調査. Author(s). 奥野, 亮輔; 山田, 正; 溝淵, 敏雄; 村上, 守. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 27(2): 85-92. Issue Date. 1977-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4718. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 奥野亮軸他:中学校生徒における技術科のレデネス調査. 中学校生 徒における技術・家庭 科 (男子向き) の レデネ ス調査. 奥野 溝淵. 1. 亮輔・山田 敏雄・村上. 正 守. 諸. 中学校の教科の中 で技術科ほ ど, その目標について議論されている教科はない. これは新しい教 科と いうことだけ ではなく, 金のかかる特殊な施設・設備・実習費や教科の必要性の根拠など, 他. 教科にない問題が横たわっ ているからである. )という言葉 しかし, 現在では, 他教科では修得しにくい教育目標 である 「合理的実践力の育成」1. で代表されているように, 生徒1人1人の作業を通して創造的思考力と実践力を伸ばしてやるのが 目標 である と 云 われて いる. 実際, 中学校 では実習の伴わない技術科教育はないの であり, しか 、も 興味の点からい ても上位2 }の方を占めているが この学校教育が どの程度に家庭における工 っ , , , 4 ー )しか実施 作 と 結 びつ い て い る か と い う 調 査 は ほ と ん どな い. あ っ た と して も,50 人程度の小人数3 さ れ た も の しか な い.. このデータは, 学校教育における指導法にも影響するものであり, 技術科の全分野についての調 査が望ま しいが, ここ では, 主に, 木工の分野について調べてみた. 調査に当っ ては, なるべく対 象生徒数を多く して, しかも, 地域・学校規模・学年に ついて片寄らないように考慮して実施した. 1 1 調査対象及 び方法 1-1に示した如く28校で,だいたい北海道全域にわ この調査に協力していただいた中学校は表1 たっ ており, 学校の選定も, 地域・学校規模を考慮に 入れて, 大都市 (札幌市) 所在校・都市所在 校・郡部所在校・単式校が適当に混るように選定した.. 調査対象生徒は, 1年から3年までの男子約240 0人で,1 9 75年5月より7月までの3 ヶ月間 で実 施した. 調査方法では表1 1-2のような調査用紙を生徒に配り, 約3 0分間 で記入させた.. 実施時期からみて, 1年生の中には設問内容を理解 できない箇所もあると考えたので, 調査担当 の先生方には細かい点についての説明書を添付した, その内容は, おおよそ次の通り である. 問1. の, 家 で作ったことのある人の 「家」 とは, 主として自分の家を指しているが, 友達の家を含めて もかまわない. 但し, クラ ブ活動やそれに類する場合は除く, 問1のAからFまでで, 製品がどこ に属するか判断に迷う場合は, その迷っ た項目の中の どこか1箇所に品名を記入させる.「電気を応. 用したもの」 は, モーター・豆球・ベ ル・トランジスター等を使用した電気回路を組み込ん でいる ものとする. 問4と問5については, この設問の仕方 では不充分で, 生徒の考えている答がない場合 も あ る が, な る べ く, こ の 中 で1 番近 い と 思 わ れ る も の を 選 ばせ る ま た, 他 の い ろ い ろ の 設 問 に ,. 関しては先生の判断でやっ てもらう.. 以上のような説明書 を付けたのですが, まだ説明不足のため多少の混乱があったが, それらは結 85.

(3) . 奥野亮輔他:中学校生徒における技術科のレデネス調査 表-1 1一 I 学. 記号 規模地域 学年 生 徒 数. 名. 校. 中. 央 (札. 幌). 追. 分 (胆. 振). 平. 岸 (札. 幌). 白. 糖 (釧. 路). 札. 幌 (札. 幌). 啓. 徳 (留. 萌). 伏. 見 (札. 幌). 鬼 志 別 (宗. 谷). 北. 栄 (札. 幌). 浜佐呂間 (網. 走). 澄. 川 (札. 幌). 計 根 別 (根. 室). 深. 堀 (函. 館). 川. 湯 禽“ 路). 東. 山 (小. 樽). 高. 島 (十. 勝). (岩 見沢). 庶. 野 (日. 高). 川). 竹. 浦 (胆. 振). 醗= 路). 若. 松 (桧. 山). 緑. 盤 (旭. 常 北. 中央長 沼 (夕. 張). 札 比 内 (空. 知). 乙. 部 (松. 山). 厚. 田 (石. 狩り. 木 古 内 (渡. 島). 忠. 類 (十. 勝). A. B. C. 小. 全. 札幌 市. 札 幌市 以外の市. 郡. 部. 単 式 校. A+B. +C+小. I. 305. 2. 303. 3. 306. I. 143. 2. 167. 3. 170. I. 161. 2. 145. 3. 164. I. 170. 2. 186. 3. 162. I. 779. 2. 801. 3. 802. 1-2 表1 A. (おもに) 木で作った物. B. (おもに) 金属 で作っ た物. C. (おもに)紙で作った物. D. 0 ラ フ. E. 電気を応用した物. F. 花や野菜 (やさい). モ. や ル テ. 2 次の工具の中 で, 家にあるものは□の中に○をつけなさい. ないものは×をつけなさい, )電気はんだごて □( し )砥 石 (といし) ィ □( □( )両刃のこ □( ホ )金きりぱさみ □{ リ )た が ね ヮ )そのほかにあるもの □( ソ )かなづち ヌ )ペ ン チ □( 力 )手まわし ドリル □K 口 □㈹金 工 や す り 口( ノ うか ん な □( ョ )電 気 か ん な □( □( ト )ね じ ま わ し 口0 し )ス パ ナ 夕 )電 気 の こ □ )の み □げ )さ し が ね □( )くぎぬき □( ヲ 家で木を使 って物を作ったことのない人は,その作らない理由をえらびだして,あてはまるものを□の中に○をかきなさい。 □( 二 ) 物を作るひまがないから 口( ィ ) のこやかんな, かなづちなどが家にないから. 3. 口 ) 物を作ることがきらいだから □{. 村 物を作るのはきらいではないが, 作るきかしないから 口(. □ ⑮ 家で作ると. □ ( 家に作る場所がないから. 父や母にしかられるか ら. □{ ) その他の理由 (理由をかく) ト. 家で木を使 って物を作った人は, それを作ったとき, その工作図 (設計図) についてあてはまるものに□の中に○をかき なさい。. 86.

(4) . 奥野 亮輔 他: 中 学 校生 徒に おけ る 技 術科の レ デネ ス調 査 ィ □{ ) いつもじょう木やコン パスを使っ てきちんと工作図をかいた □ ◎ 気のむいたときだけ工作図をかいた ) いつも工作図はかくがじょう木やコンパスは使わなかった □( ロ □( ホ ) 工作図をかいて作っ たことがない ′ 口( 9 かんたんなものは工作図をかかないが, むずかしいものだけ工作図をかいた 5. 家で木を使って物を作ったとき, その刃物についてあてはまるものに口の中に○をかきなさい □( ィ ) 工具 (のこ・かんな・のみ・ナイフなど) の刃は自分でといでから物を作った ) 工具が切れなくなったときだけ自分 でといだ □( 口 □ う 工具の刃は, 父や兄にといでもらった □( 自分の家の工具は刃をといだことがない. 果の処理のところで考慮してみた. 最初, このアンケートを作成するに当っ て, 製図と工作の関係を調べたいと思っ ていたが、 用紙 のスペー スや 工作に対するレデネスの関係から, 問1・問2に付け加えた. 特に, 問1は製品の名 称記入場所のスペー ス・製品の分類等についてか なり無理があることは最初から分っ ていたが, あ えて設問してみた, 間2は地域によって工具の所有が異るか否かという事の他に, 工具の数と工 作 数の関係についても調べるために設問した, 1 1 1 結果及 び考察 1) 設問1について このAからFまでの 項目に対する回答は非常に変化に富み, しかも, 多数の名前が列 挙された. Aについては1人平均2種類程記入され, 多いものになると6種類以上 記 入さ れ て い る もの も あ っ た,. 0種類程になり, 多いものになると30種類を越し これを学校・学年度に集計してみると, 平均1 てしまうが, 作品の名称が違う だけ で内容がほとん ど変ら ないものや, 使用目的が同じものが多数. あることが分ったので, 表1 1 1-1のように, それを本箱 (本立・本箱・本棚等) ・箱 (筆立・ごみ 箱・机・椅子・状差・新聞入れ・小物入れ等)・乗物(竹馬・そり等)・小屋(犬小屋・鳥小屋等)・ 玩具 (ヌンチャ ク・船・飛行機・刀等) ・その他 (将棋板・楽 器・木彫等) の6種類に分類した.. このようにして振り分けてみると, 地域・学校規模・学年に関係なく玩具が最も多く, 次に本箱 になっ ている. 地域・規模別にみると, 大規模校 では3学年を通して玩具と小 屋が少ないが, この. 理由として, 大都市では生徒の身の回りに玩具および, それに類した遊び物が豊富にあるので, わ ざわ ざ費用と手間のかかる木工作をしないのではないだろうか. また, 小屋についても, 巣箱を掛 ける林もなく, 犬を飼うことを許可されない住宅環境にあるためと思われる.. 逆に 多いものは乗物がある, この内容は竹馬とそりがほとん どであるが, 何故大都市に集中し, 中都市が最低になっ ているかの説明はつけにくい. 本箱については, 地域・学年に関係なく 一定な のは, 木工作をする生徒の多くは, 作り易く実用になる本立・本棚を一度は 作っ たことがあるため と考えられる。 大都市以外の地域で玩具が多く なっ ているが, この中で特に目につくのは, ヌンチャ クが非常に 多か っ た こ と であ る. こ れ は テ レ ビや 映画 の 影 響 が あ っ て, 一 時 的 な も の と 思 わ れ る. こ の調 査 で. は, 中学生が1年間に平均2個前後の木工作品を作っ ていることになる. Bの金属で作った物については, 回答が非常に少なく, 無回答の生 徒が90%を越 えた し, 回答 があっ ても種類が少なかっ たので, 板金 (ちりとり・餌箱・ ブッ クエン ド等) ・その他 (もり・ ド. ライ バー・刀等)の2種類に分けた. 金属の加工は, それが板材 であるうと棒材であるうと, 切断・ 接続・切削が困難なために, 地域・規模・学年に関係なく生徒になじまないということ である, そ の数少ない作品も, 接続や切削の不要な空缶を利用した餌箱・筆立・灰皿や ブッ クエン ドである.. この金属加工品は, 年平均5人に1品も作られていないことが分る,. 87.

(5) . 奥野亮輸他:中学校生徒における技術科のレデネス調査. Cは紙 で作った工作物を考えていたので, 厚紙 で作っ た箱や模型の回答を予想していたが, 折紙 や飾付けが多数あっ たのに途惑っ た。 これもAと 同様に 多くの名称に分かれてしまっ たの で, 飛行 機 (ライ トプレーン・ グライ ダ・凧等) ・箱 (本立・お面等) ・折紙 (飾付けも含める) ・厚紙工 作 (家・船・車等の模型類 で箱は含めない) ・その他 (楽器・ グロー ブ・ゲーム機等の分類しずら いもの) の5種類に分けた。. 紙 工作 では飛行機が地域・規模・学年に関係 なく60%以上の生徒が1台以上作っていることに なる.また, 折紙については, 調査校や生徒によっ て紙工作という範ちゅうに 入れな、いところもあっ たの で, 記入がまちまちになり, データとして扱わない方が良いと思われる. 折紙・飾付けと飛行. 機という市販されている材料 で作るものを除いて, 家の中に廃品としての材料が豊富に あるにもか. かわらず, あまり紙工作をやっ ていないことが分る. これは自分で設計して作るという 創造活動を きらうと同時に, 切断・接着・着色という紙の長所は認めているが, 剛性・精度・耐ガぐ性等の欠陥 表一m - I 学. 生. 規 生 木. 工. 徒 本. 1. 年. 2. 模. A. B. C. 小. 全. A. 数. 30 5. 1 43. 16 1. 1 70. 3 779 30. 年. B. C. 16 7. 145. 3. 年. 小. 全. A. B. C. 小. 全. 186. 80 1. 3 06. 1 70. 16 4. 16 2. 80 2. 箱 48.8 2 3 3 5 3 4. 3 31. I 2 7.2 36.6 3 9.4 40. 9, 2 38. 3 3 3. 4 6. 9 31.I 29.6 33.3 33, 篤. 4. 4. 4. 1 5. 0 1 8,8 15.5 1 1 15.6 1 5 39.5 1 5.8 15.6 20. 2 21.5 1 7 1 8, 2 25.3 20 I . 3.4 11,8 20.6 1 9.3 23. 7 6.5 IL7 21.O 1 7, 3 2 1. 2 4. I 1 0.3 9.3 1 2.9. 乗. 物 3 0. 0. 小. 屋. 9 5.. 金. 4.6 6 .5 1. 8.3 21. 7 22.9 13. 3. 7. 2 11.9 11・7 11.8 l o, I. 7・ l 1 6. 4 20, 7 24. I 1 5. 3 玩 具 31.8 82.5 94,9 85.3 66.8 22.7 53.8 48.9 64.5 43.6 27.4 39.4 62.8 19,8 35.6 そ の 他 36 7.9 25 7・ l 28. 3 27. 7 28.I 28.2 11.8 2 4, 2 43. I 2 4. 7 2 8, 0 9.9 2 9. 4 .4 1 .3 2 板. 4.3 1 4.7. 4 1 3. 7 1 0.3 9. 3 1 7.. 9.9. 8 4 .. 6.5 1 2.8. 9. 4. 4 1 6. 9.5 1 3 7 .6 11・. 華そ. の. 他 1 2.I. 紙 飛. 行. 機 48.8 6 2.8 6 0.I 80. 7 76.5 6 3,5 6 2. 3 6 9.6 61.3 63. 5 5 1. 3 65, 8 7 5.0 6 4.2 6 1. 8. 箱. 7. 2 9, 1.2 7.9 4. 2 8.3 2.0 3.8 4.2 3.5 2. 9 4.2 7 4.3 1 紙 14. 4 23. 4.7 2 8. 4 1 4. 8 23.9 25. 5 53.8 2 7. 7 16. 9 1 5. 8 26 O 21.7 6 .2. 工. 折. 6 .2. 2. 4. 7. 2. 53. 4.I. 7・0. 6. 2 3 1. 6. 作 厚紙工作 2 3.6 3 3.O 5 4.7 30 8. 4 1 9.I 1 0.3 26.3 1 8. 9 1 8. 6 7. 0 1 .6 1 そ プ ラ 戦. の. 他 21. 9 13, 2 1 9.8. 4. 5 5.3 1 6 .3 1. 8.3 1 0.3. 0. 9. 1 1 8. 6. 6. 4. 4. 7. 7, 3. 1 2 .2 15. 7. 4. 4. 3. 9.3 1 0 7・. 9.7 1 0, 5 1 2. 2. 2. 9 2 2.5. 0 1 2. 3. 車. I 9 1 9 4 87. 2 8 3 1. I 6 9. 4 8 2.7 1 8 6 5. 3 82. 9 8 2.3 9 6. 9 77. 8 67. 7, 4 95.6 1 4 1.3 8 . .. 船. 6 6 8.2 6 2. 0 76.3 70. 2 6 2. O 72. 3 6 4, 0 6 5. 車 74. 3 71. 7.3 6 7 O 65. O 7 7.6 70・0 72. 2. 4 66 5 9.3 74.8 73.2 75.3 7 2. 4 6 7. 6 61 0, O 91.9 70. 5 6 O 66. 3. 7 .4 58 .O 6 .O 6. モ デ 飛 ル 扇. 行. 機 68 4 6 2.6 6 1. I 6 4 5 4.8 53 2.7 70・0 6 9, O 6 2. O 6 5.2 6 1.3 62. 9. 0. I .5 76 .7 6 .2 6. 風. 機. そ. の. 電 ラ. ジ. 5. 2 1 8.I 15.5 1 9 3. 9 8.3 1 0, 3 8.I 6. 9 8. I 8. 8 7. 3 4. 9 7・ 4 5.3 11. 2.8 43 他 49,1 3 2 3 3 58. 7 3 9.5 30.3 3 5 6 1 I 3 4 I 4 3 9 2 4 I 4 4 3 9.I 55. 4,I 45. , . . . . . 4 1 6. I 38.2 22. 9 1 4 7. 4 2 オ 1 6, 4.3 9.6 1 3, 2 9.3 3.5 1 2. 8 2 3. 3. 7 19.3 3.8 1 7,0 31. 磁 43.6 33.5 55.2 1 8.8 38, 3. 3 38 7 1 7 1 6. 2, 8 7 2 7 3 .9 44.I 11.3 31.3 27, 4 9.8 4,1 4.8 4.9 6. 7 3. 4 11.8 8. 明 1 6 2.I 1 8.8 1 3. 0,8 4. 4 1 1.8 11.8 1. 電 気 照. そ の 他 1 0 8 2 4.2 0 8 0. 4 2. 0. 5 1 6.7 3, 4 7 5.5 5, 9 7・0 1 .I 16.6 5. .3 2 6 2 5 0.8 47.9 5 4. 4 45.7 49.6 65.O 6 0. 5 71 3 4 1 4 6 0 5 9. 0 51. 3. 栽 1・2年草 72.I 63.6 5 . , . 4 26. 4 1 根 2 6 1 4 1 2.9 20. 7 1 6.5 1 9. I 1 3.7 11.8 1 5. I 2 9. 7.6 1 6 7 1 7 5 球 0. 9.5 30. . , 木 1 2. 7. 花 培 野 そ. 88. の. 1.3. 1.8. 1.2. 5.9. 9, 2. 2. 9. 2.7. 2, 7. 5.2 18.3. 2. 9. 4.8. 4.3. 9, 2. 4 菜 40, 3 28.2 40.3 38. 5 8 9. 2 31. 7 5 5. 4 5 1.2 6 2, O 314 5 5.9 3 4.I 40. 4 42 ,5 38. 4. I 7.9 8.6 9. 8 1 8.0 5,3 1 2.3 4. 6 l o・ 7 1 0,3 7.5 7.6 7.8 1 3 他 9. 9.5 1.

(6) . 奥野亮輔他:中学校生徒における技術科のレデネス調査. の方が作品に影響を与えると考えているよう だ。. Dのプラモデルは1種類 でよいと思ったが, 集計してみると車・戦車・船・飛行機・扇風機が非 常に多かったので分けてみた. その他の中には楽器・家・鉄砲・人形・ブーメラン等が含まれてい る,. 中学生の作る プラモデルは, かなり精密で, しかも, 接着剤 で手軽に組立てられるという現 代の 生活にマ ッチした製作物 であるため, 地域・規模・学年に関係なく非常な流行をきたしている 生 , 徒1人当り年間平均3個以上のプラモデルを作っ ていることになる. 昔は木や紙を使用 して長 時間. かけて作り上げた車・戦車・船・飛行機がプラモデルとして 市販され て から, 増々 人気 が集ま っ て おり, こ の 4 種 で プ ラ モ デ ル 全 体 の 80% を 越 え て い る ,. 昔も今も生徒が作成すると いう意欲は充分に認められるが, 入学試験の激化に伴い時間のかかる もの・手工技術の顕著に現われるものは敬遠する傾向にあり, その結果として プラモデルの全盛時 代になったものと思う. この傾向の意味するものは, 個人のもつ技術や個性をなくし, 画一的でイ. ンスタント的人間を増加させることになるの で, 技術教育のあり方を考え直す必要がある,. Eの 電 気 に つ い て は, ラ ジ オ(ア ン プ ・ イ ン タ ー ホ ン も 含 む)電 磁 (ベ ル・モー タ・モー ルス信 号 ・. 電磁石等) ・照明 (交通信号・スタン ド等) その他 (電磁と照明の区別のつけれないもの等) の4 種類に分けた. この電気回路を利用した物の製作は多くはないが, その中で電磁を利用 したものが 比較的多い.これはベル・モータ・電磁石の利用が比較的容易 で, しかも面白いためだと思われる . 地域別に見ると大都市にラジオの製作者が多いのが目につく, この理由としてラジオやアンプの 製作には パーツの購入が容易であり, しかも教えてくれる指導者や仲間がいることが大きな条件に. なっている, さらに, これらの製作には勉強部屋でよく, しかも大きな音を伴う作業がないため夜 でも作業ができるの で, 大都市の家庭でも容易 であり, 上にあげた条件も満しやすい. 実際, この. 調査でも都市人口の減少と共に製作品数が減少していくことが分る. この電気回路を利用した製作 品は, 1人当りの年平均0.6個程度であるが, 好きな生徒が幾品も作るという傾向も見られる. Fの栽培も1人で20種類以上もかく生徒がいて, 全体を名称だけ で分けると50種にも達した . そこで1・2年草 (朝顔・ひまわり・マリー ゴールド等) ・球根 (チュ ーリッ プ・グラジオラス・ 水仙等)・花木(ぼたん・ばら・ぼけ等)・野菜(トマト・ ピーマン・白菜・西瓜・キャ ベツ等)・. その他 (菊・しゃくやく等) の5種類に分けた.. 地域・規模・学年に関係なく1・2年草と野菜を栽培している生徒が多い, 確かに1・2年草と いうインスタントな植物が多いが生活があわただしくなる程, 植物に対する親しみと愛着が増して. き, 大都市のように畑がほとんどない家庭においても鉢とかプラン夕を利用して植物を育てること に力を注いでいるように思われる, 都市にいて野菜を栽培している生徒の多いのも, それを生活の 一部にしようとするの ではなく, 自分で育てたものを自分の料理法で試食してみたいという好奇心 と, 自然食品に対するあこがれからきているの ではなかろうか. 2). 設問2について. 大部分の中学校においては, 1年生のとき技術科実習のため, ある種 類の木工具を購入させ ているの で木工製作には不自由しないと思われる しかし 実際に家庭常備 , . 工具の大規模な調査は行われたことがないので, この調査を機会に行っ てみた , この調査結果を表m-2にのせ ているが, こ れから分るように中学校 で購入する木工具の両刃 鋸・鞄・金づち・のみ・さし金は地域・規模・学年に関係なく90%以上の家庭にある この他に , , ねじ回し・釘抜き ・ ペ ンチ・スパナ・砥石も90%前後常備しているが この程度の工具がなければ , 現代家庭生活の維持に支障をきたすの ではなかろうか , ・ また 金属加 工に 必要な 金切はさ み・金工やすり・電気半ごて・手 回し ドリルも50%前後所有 , 89.

(7) . 奥野亮朝日也:中学校生徒における技術科のレデネス調査. しているのが目につく, この半田では, 1・2年生については地域や規模によっ て変化はないが, 3年になると全体的に所有者が多く なり, 更に都市の家庭の方が20%以上も郡部や小規模校の 家庭. よりも多く なっ ている. これは都市の中学校 で電気に力を入れているという他に, 個人的に電気を. 扱う生徒や家族が多く なっ ているの ではなかろうか.. 5%前後も普及しており, 日曜大工の浸透がかなり進ん 郡部・都市を問わず, 電気鋸・電気銅が1. でいるようである. その他の中 で圧倒的に 多かっ たのは, 中学校の購入品目に入っ ているけ引き であ 表[ ロー 2. イ ロ. 設 ホ へ ト. 問. I. 規 模 -- .. B. 年. C. 小. 」. 全. 2. 年. 3. E 1 M 萱 圭 三 喜 憂. 両 刃 の こ 83, 3 87. 4 9 3.1 83.5 86 .1 、ち 9 かなづ 1 0 0 0 1 0 0 0 8 8 9.3 94 . , 9. 9 ん. 年. 蓋劃霊歳金扇雨圏爾繊 A. 生 徒 数国 司 爾 爾 可. ′・ か 二. 学 年1. B. .--. 98.3 99,4 90. 8 85 .8 94.2. 3 86. 4. 1,8 7 み 7 4 8 0, 7 8 6. 4,6 9.2 8 9. 2 9 2. 4 8 6. 6 88.1 96.0 98 .8 ・ 金 は さ み 51 4 4 7 5 7 0 7 1 8 6 0 4 5 2 4 6 2 2 8 5 5 7 2 0 6 5 0 6 9 6 7 2 9 7 , . . . . . . . . . . . 金ヤ スリ 5 4.1 6 0. 2 52.8 59. 2. 2.3 7.7 47.5 72.0 6 8 8 0 63. 4 61, 8 71. 2 6 9 9 ネジ回し 9 0 0 0 9 5 98 7. 6.7 1 7. 9,3 98, 8 98 9 98. 7 96. 7 1 0 0 0 . .6 97. .8 9 .. さ し が ね 44.9 5 3.8 79. 5 78 .2 た 力く ね 2 3.0 47.8 46 5.9 2 .5 ヌ ペ ン チ 9 5,o, 柵, o l o o o 95.3 , ル ス パ ナ 81 4.8 88.1 8 1. 2 .3 7. 全. 4 9 96. 7.6 9 5.1 91 4 95.3 . 0 0 0 9 98・6 1 8・ 7 96 ・ ・9 98・6. な 7 4.8 7 6. 9 8 5.0 83, 5 7 9. 2. の. 小. 8 7. 1 86 8 .4 92, 4. 3 75 7 4 .3 72, 71. 3 71 .3 .0 69 98.1 9 8.1 98, 0. チ. 2,8 8 6. 2 9 1. 7 83. 3 85 2,8 91 4. 1 8 7.0 8 6 0. 9 8 9.6 .2 9 .7 8. リ. 4. 1 33, 9 42. 0 42. 6 5 8.0 4 8. 3 5 40.6 45. 2 3 9, 5 48.0 4 7. 7 9 8 8 7. 3 98. 8 1 0 0 0 98. 4 98 4 8 1 97. 0 9 9 4 9 9 6 9 7 . . .3 96 . , . . 81. 5 81. 5 80. 8 1 0 0 0 90. 3 86, 3 91 4 86 7 80, 7 8 9. 6 91. . . .6 91.0 9 7. 0 9 7. 9 9 3. 6 9 4.I 9 2. 0 9 2.8 9 6 9 2.6 93.6 7.. 氏 し 石. L 三 誓 壷 E, 言 書当 1 一 計 主 著 雲 イ. ロ ハ. 問. 3. ニ ホ ヘ. ト. 0. 0. 0, 6. 0.2. 0,6. 1, 0. 1. 9. 0. 3 1.3. 0.3. 0. 0. 6. 1. 2. 0.9. 4 0.. 1.6. 0・ 7. 4. 7. 7・I. 7.3. 1 2,I 1 1・I. 1 2. 8. L3. 4 2.. 0. 1 .5. 6. 8. 4. 7. 7, 5. 1. 8. 1. 2. 1 .6. 2.3. 1.3. 1. 3. 1. 2. 1. 2. 1 .6. 3, 2. 1,3. 1. 8. i 読 書 馨 要 一 E き 董三 善 一 1 言 ー. イ. ロ. 問. ハ. 4. ニ. ホ. 5, 9 l o・1 8 1 2.7 1 3. O 11.. 1 0.9 12.I. 8. 8. 1 0.9 13.7. 1 2.9. 3 5 32 3.5 2 6. .2. 2 4.1 28. 1. 2 4, 5. 3, 1 3, O 1 3. 5 1 9. 1 4.8 1 8.6. 1 5, 3. 4 33,5 2 4.6 30.. 23. 2 1 7.9. 22, 6. 1, 5 9. 4 1. 1 0.8 1 7.3. 1 2, O. 29, I 2 4.I 2 4.2. 23. 5 29, 4. 2 8. O. 9, 7 42. 4 33 3 .2. 4. 9 1 2 8.6. 2 0, O. 21, I 2 2. 4 2 3, 2. 2 2.3 1 6.3. 1 9. 4. 9. 3. 誓 言E 1 誓 言 喜一聾 三 簾 園 三 三 香 義 i イ. 問 5. 90. 1 4. 9.

(8) . 奥 野 亮卓 南他: 中 学 校生 徒に おけ る 技 術科のレ デネ ス調 査. り, 次い で方力になっ ていた. 中には大工道具は全部そろっ ているとか,名前は分らないが自動車・ 自転車の修理工具が沢山あるという生徒が郡部に 多かっ た.. この調 査では生徒の目に付く 工具や名前を知っ ている工具しか記入していないので, 実際にはこ の倍ぐらいの工具が各家庭にあるものと思 われる. 全体を通して工具所有に ついては, 地域の差が ほとん どないよう に思われる,. 3) 設問3について 家庭 で木を材料にして物を製作した事のない生 徒は1年生で7%・2 年生 で24%・3年生 で25%にも達している. その ・理由としては, 地域・学年を問わず, 作らない生. 徒の大部分が (ホ) の 「物を作るのはきらいでないが, 作る気がしない」 を上げている, 木で物を作るという事は根気と時間・技能が必要 であり, また, 作品はラジオや機械的なものの ように動的な部分が少なく, 美術的な要素を多分に含むため, 現代の若い生徒にはマッチしないの ではなかろうか. これは生徒に落付いて物事をなすという根気が少なく, 何時も何かに追いたてら れている気が心の中に存在するためと思われる,. 次に多いのは (二) の 「物を作るひまがないから」 になっ ている, これは1年生では少なく, 2 ~3年と学年を追う度に増加していくことから考えて, 高等学校の入学試験と密接に関係している. ことは確かである. (ロ) の 「物を作るのはきらい」 とか, (へ) の 「家に作る場所がないから」 と いう理由で木工作をしない生徒は非常に少なかっ たので, 指導の仕方によっ ては, もっ と生徒に木 工作の楽しみを学習させられるように思われる. この設問も, 地域・規模による顕著な違 いはない. よう である.. 4) 設問4について ここ では製作に当っ て製作図を画くか否か, もし画くとすればどの程 度のものになる かについての調査 である. その結果として (ハ) の 「簡単なものは工作図をかかな. いが, 難しいものだけ工作図をかいた」 というのと, (ホ) の 「工作図をかいて作ったことがない」 の2項が25%前後と比較的多か っ た. 技術科の授業で製図の重要性を学習しているの で, 高学年に. なる程製図を画く生徒が多く なるかと思っ ていたが, 地域・規模に関係なく, 学年による変化がみ られないか, 心もち減少している. これは高学年になると実習経験が多く なるため, 製図をしなく ても作るものが頭の中に入っているためと思われる. これらの項目の中 で (ハ) と (ニ) の 「気の向いた時だけ工作図をかいた」 という所に○印を付. けた生徒は, 実際に物を作っ た中 で, 製図を画いた割 合は非常に少ないと思われるので, (ハ) ・ (ニ) ・ (ホ) とも, ほとんど製図を画かないと考えてよいから, 製図を画いてから作業するとい う生徒は3 0%も満たない.(イ)の 「いつも定木やコン パスを使用 してきちんと工作図をかいた」 と (ロ) の 「いつも工作図はかく が定木やコンパスを使わなかっ た」 という項に○印を付けた生徒は 比較的都市部に多い.. 全般的には, 製図と作品の結びつきは大きいものでないようだ. これは生徒が経験をつんだため の他に,製図しなければ作れないような難しい物を作ることをしなくなっ ているためと考えられる . 5) 設問5について 最近の傾向として, 刃物は工場で砥がれたものを使用し, それが切れ なくなると捨てるようになっ たものが多く市販されて いる 例えば, ナイフ・鞄・レザー・金属切 . 削用 バイ トなどは切れなくなっ た刃の部分を折っ たり, クラン プをゆるめて刃を交換する スローア ウェー・チッ プ型の刃物が増加の一途をたどっ ている. 家庭や学校 で使用する程度の鋸にいたっ て. は, 砥ぎに出すより新品を購入した方が安く つくの で, 鋸にま で使い捨て時代が到来したよう であ る.. このような時代においても, 一般家庭にあるのみ・鋸・鞄などの木工具は, 多少切れなく なっ た からといっ て使い捨てるだけの余裕はないので, 物の製作に当っ て切れない刃物を使用することが 91.

(9) . 奥野亮軸他:中学校生徒における技術科のレデネス調査. ままある. これは作品の精度・能率のみ ならず, 非常な危険を伴うもの である. この項は以上のことを考えるための調査 であるが, その結果は, 地域・規模・学年に関係なく木 工作をする生徒の20%以上が(ニ)の「自分の家の工具は刃を砥いだことがない」という回答があっ た。 昔の大工は刃物砥ぎに時間の大部分を費や したといわれているが, 現代の生徒は物を作る前に 0%程 である.(口)の 「工具の切 れなく なっ たときだけ自分で砥いだ」 と 刃物の手入れをするのは1 いう回答は約25%あるが, この切 れない状態というのは作品の精度に影響を及ぼすというより, もっと悪い状態になっ てから砥 ぐ場合が多いの で, 実際には砥がないと等しいの ではなかろうか. また, 刃物は自分で砥ぐものでなく父兄が砥いでくれると考えている生徒も25%前後いる. 地域・規模・学年に関係なく90%程度の生徒は,刃物の切れ味に無頓着に物を作っ ているよう で. ある, このような状態では, よい精度と仕上げ面を持っ た作品を作ることが難しいの で, 増々木工 作から遠ざかることになる, W. 要. 約. 今回の調 査は, 設問の仕方や方法で不備な点もあっ たが, これらの資料を基にして導びき出され た結果を要約してみると次のように なる. 1) 家 で作る物の大部分は プラモデルであり, 手間ひまのかかる物はあまり作らない. 特に金. 属材料で物を作ることはほとん どない.. 技術料の授業用に購入させている 木工具については, 90%以上の家庭で常備している. そ の他に ペンチ・ねじ回し・釘抜き・ス パナも90%以上もっ ていて, 木工作には不便ないはずだが, 2). この活用 が充分でない. 3). 家 で木工作をしない生徒の多くは「物を作るのはきらい でないが, 作る気がしない」 と「物. を作るひまがないから」 と理由に上げている. これは入試という壁に向っ て生徒が追いつめられた 気持ちの現われ であると思われる. 生徒に手作りの楽しみを持たせ, それによ っ て身の回りにある 沢山の品物の価値を認めさせ, 物を大切に扱う心を養うには,,単に技術教育を徹底させるだけ でな. く, 入試制度も含めて教育全般を考えなくてはいけないと思われる, 4) 物の製作に当っ て製図を画く生徒は30%に満たない. 製図がなければ作れない木工品は製 作しない傾向があるよう である. 5). 物の製作に当っ て, 刃物を砥いでから製作する生徒は10%前後であり, 工具に気を使わな. い傾向にある. このために複雑 で精密な工作をする意欲をなくする原因にもなっ ている. 参 考 文 献 1) 樋口博章 1 96 8 , 技術・家庭科の主体的学習, 明治図書, 7頁 4 97 2) 奥野亮輔・榊原郁子・渡部俊夫・村山登・林重雄, 1 , 123 頁 , 北海道教育大学紀要IC, 25 1 8 248 頁 3) 佐々木信夫 1973 技術教育, 国土社, No 12頁 96 8 技術・家庭科教育の創造, 国土社, 1 4) 産業教育研究連盟 1. (奥野亮軸, 本学助教授, 岩見沢分校, 山田正.札幌市立中央中学校, 溝淵敏雄・札幌市立陵北中学校, 村上守 札市立平岸中学校). 92.

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